(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022123647
(43)【公開日】2022-08-24
(54)【発明の名称】地盤改良工法及び地盤改良用掘削装置
(51)【国際特許分類】
E02D 3/10 20060101AFI20220817BHJP
【FI】
E02D3/10 104
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021086
(22)【出願日】2021-02-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】502126921
【氏名又は名称】株式会社エムエルティーソイル
(71)【出願人】
【識別番号】503364146
【氏名又は名称】本間技建株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084102
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 彰
(72)【発明者】
【氏名】田邊 隆雄
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 彰浩
(72)【発明者】
【氏名】畠山 正樹
(72)【発明者】
【氏名】畠山 寛之
【テーマコード(参考)】
2D043
【Fターム(参考)】
2D043CA02
2D043CA06
2D043DA07
2D043DB05
2D043DB13
2D043DC11
2D043DD20
2D043EA02
(57)【要約】
【課題】 砂地盤Bの液状対策として砕石によるドレン孔(砕石杭)を圧密に且つ効率的に構築する工法を提供する。
【解決手段】上下適宜間隔で砕石投入口12を設けたケーシング1と、ケーシング1に内装され、下端に掘削ビット及び抑え込み螺旋羽根を備えた掘削部22を設けた掘削ロッド2と、ケーシング上端に着脱自在に装着すると共に、掘削ロッド上端に連結する連繋体3とで構成した掘削装置を、所定の掘削機体Aに装着して掘削部による無排土穿孔掘削によって、地盤Cにケーシング1の立て込みを行い、ケーシングの砕石投入口12から砕石投入及び投入砕石の掘削部による充填圧縮を、ケーシングの引き抜きに合わせて段階的に行いながら掘削装置を引き抜いて地盤に砕石杭Dを構築する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下適宜間隔で砕石投入口を設けたケーシングと、ケーシングに内装され、下端に掘削ビット及び掘削ビット直上に抑え込み螺旋羽根を備えた掘削部を設けた掘削ロッドと、ケーシング上端に着脱自在に装着すると共に、掘削ロッド上端に連結する連繋体とで構成した掘削装置を、所定の掘削機体に装着して掘削部による無排土穿孔掘削によって、地盤にケーシングの立て込みを行い、ケーシングの砕石投入口から砕石投入及び投入砕石の掘削部による充填圧縮を、ケーシングの引き抜きに合わせて段階的に行いながら掘削装置を引き抜いて地盤に砕石杭を構築してなる地盤改良工法。
【請求項2】
掘削部による投入砕石の充填圧縮を、連繋体とケーシングの連結を解除し、掘削部の螺旋羽根の回転による砕石押し込み、或いは掘削部の上下動による砕石押し込みの何れか又は双方で行ってなる請求項1記載の地盤改良工法。
【請求項3】
ケーシングと、ケーシングに内装される掘削ロッドと、ケーシング上端で掘削ロッド及びケーシングと各別に連結する連繋体とで構成され、
ケーシングは、上下適宜間隔で砕石投入口を設けた所定長の筒状部を備えると共に、前記筒状部の上端に連繋体と連結着脱自在とした筒状の駆動連結部を設けてなり、
掘削ロッドは、ケーシングに対応する所定長さの軸長を有する軸部の下端に、掘削ビット及び前記掘削ビットの直上に抑え込み螺旋羽根を備えた掘削部をケーシング先端から所定長突出可能に設け、軸部上端に連繋体と連結する上端連結部を設けてなり、
連繋体は、前記ケーシング上端の筒状の駆動連結部に嵌合着脱自在に装着される連繋筒体と、上端の掘削機体への装着部と下端のロッド連結部とを備えて前記連繋筒体に貫通態様で接続される伝達軸体とからなり、伝達軸体と連繋筒体との接続部を上下位置変更可能構造としてなる特徴とする地盤改良用掘削装置。
【請求項4】
伝達軸体に、上下多段となる複数の接続部を設けてなる請求項3記載の地盤改良用掘削装置。
【請求項5】
連繋体における伝達軸体と連繋筒体との接続部を、伝達軸体に連結した掘削部がケーシング下端より突出して組み込まれる位置と、ケーシング内に納まる位置になるように設定してなる請求項3又は4記載の地盤改良用掘削装置。
【請求項6】
連繋筒体とケーシングの駆動連結部は、ケーシングと連繋筒体とが所定の相対角度位置でのみ連結解除される構造としてなる請求項3乃至5記載の何れかの地盤改良用掘削装置。
【請求項7】
ケーシングの外周面適宜箇所に、掘削回転方向に対応する押圧傾斜面を備えた孔壁押圧部を設けてなる請求項3乃至6記載の何れかの地盤改良用掘削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤の液状化対策のための地盤改良工法及び前記工法に使用する掘削装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液状化対策を目的とした地盤改良手段として、軟弱地盤に砕石杭(ドレン孔)を形成し、地盤の排水性を高め、地震時の完全液状化を軽減することが知られている。前記の砕石杭を地盤に構築するためには、地盤中にケーシングを立て込み、ケーシング内に充填材(砕石)を投入充填し、砕石を地盤に残してケーシングを引き抜き、砕石杭を構築しているものである。
【0003】
一般的に軟弱地盤の改良手段としてドレン孔(主として砂杭)を構築する際に採用されているケーシングの立て込み工は、先端に掘削ビットを設けたケーシングと、ケーシング内に配置した排土用オーガを組み合わせて排土穿孔する手段(特許文献1)、先端に圧縮カム形状の掘削羽根を設けたケーシングを採用して、無排土掘削でケーシングを立て込む手段(特許文献2)、先端に開閉可能な円錐状開閉扉を設けたケーシングを非掘削でスパイラル圧入する手段(特許文献3)が知られている。
【0004】
また砕石・砂等の充填材の充填工は、排土オーガの逆回転で充填材の下方押し込みを行う手段(特許文献1)、螺旋羽根を備えた搬送部で充填材の下方搬送を行う手段(特許文献2)、ケーシング内に投入した充填材(砂)をウオータージェットで押し込む手段(特許文献3)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-154532号公報。
【特許文献2】特開2006-316592号公報。
【特許文献1】特開2000-110156号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、地盤液状化対策として地盤に立て込んだケーシング内に砕石を投入してドレン孔となる砕石杭を構築することを目的とするもので、上記した従前の地盤改良工法はドレン孔となる砂杭の構築を前提としているため、投入砂のケーシング内への充填は、掘削土排出オーガの逆転(特許文献1)や搬送用螺旋羽根(特許文献2)を採用しているが、砂に比較して砕石は流動性が低くいため、ケーシング内への砕石投入に際してオーガや搬送用の螺旋羽根部分が邪魔になり砕石投入が効率的になされない。
【0007】
また砕石杭においては砕石が十分に締め固められていることが必要である。このため特許文献3に記載のようにケーシング内の空間に単に砕石を投入するのみでは砕石の圧縮を実現することができない。
【0008】
そこで本発明は、砕石杭構築作業を効率的に行えると共に、投入砕石の充填圧縮並びに周辺地盤の圧縮も実現する新規な地盤改良工法及びその掘削装置を提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1記載に係る地盤改良工法は、上下適宜間隔で砕石投入口を設けたケーシングと、ケーシングに内装され、下端に掘削ビット及び掘削ビット直上に抑え込み螺旋羽根を備えた掘削部を設けた掘削ロッドと、ケーシング上端に着脱自在に装着すると共に、掘削ロッド上端に連結する連繋体とで構成した掘削装置を、所定の掘削機体に装着して掘削部による無排土穿孔掘削によって、地盤にケーシングの立て込みを行い、ケーシングの砕石投入口から砕石投入及び投入砕石の掘削部による充填圧縮を、ケーシングの引き抜きに合わせて段階的に行いながら掘削装置を引き抜いて地盤に砕石杭を構築してなることを特徴とするものである。
【0010】
また本発明の請求項2記載に係る地盤改良工法は、上記工法において、掘削部による投入砕石の充填圧縮を、連繋体とケーシングの連結を解除し、掘削部の螺旋羽根の回転による砕石押し込み、或いは掘削部の上下動による砕石押し込みの何れか又は双方で行ってなるものである。
【0011】
本発明の請求項3記載に係る地盤改良装置は、上記工法を実現するもので、ケーシングと、ケーシングに内装される掘削ロッドと、ケーシング上端で掘削ロッド及びケーシングと連結する連繋体とで構成され、ケーシングは、上下適宜間隔で砕石投入口を設けた所定長の筒状部を備えると共に、前記筒状部の上端に連繋体と連結着脱自在とした筒状の駆動連結部を設けてなり、掘削ロッドは、ケーシングに対応する所定長さの軸長を有する軸部の下端に、掘削ビット及び前記掘削ビットの直上に抑え込み螺旋羽根を備えた掘削部をケーシング先端から所定長突出可能に設け、軸部上端に連繋体と連結する上端連結部を設けてなり、連繋体は、前記ケーシング上端の筒状の駆動連結部に嵌合着脱自在に装着される連繋筒体と、上端の掘削機体への装着部と下端のロッド連結部とを備えて前記連繋筒体に貫通態様で接続される伝達軸体とからなり、伝達軸体と連繋筒体との接続部を上下位置変更可能構造としてなることを特徴とするものである。
【0012】
而して掘削ロッドの上端を連繋体(伝達軸体)に連結し、掘削ロッドをケーシング内に配置し、ケーシング上端の駆動連結部と連繋体(連繋筒体)を連結して掘削装置を一体とする。次に連繋体(伝達軸体)の装着部を、所定の掘削機体(走行機体にリーダマストを備え、リーダマストに沿って上下動する回転駆動機構を有する周知の掘削機体)の回転駆動機構に連結して前記掘削装置を吊下げ装着し、所定の地盤改良工事を行うものである。
【0013】
地盤改良工事は、地盤のドレン孔となる砕石杭を構築するもので、掘削機体に本発明の掘削装置を装着し、掘削装置を回転駆動して掘削穿孔し、地盤中に掘削装置全体を挿入する。特に前記の掘削穿孔においては、掘削部をケーシング下端から突出させた状態で行う。従って掘削部の掘削ビットで砂地掘削を行うと共に、掘削土砂を抑え込み螺旋羽根で掘進方向に押し出してケーシング内への侵入を阻止するので、効率的な無排土穿孔掘削がなされると共に、掘削孔周囲の地盤を圧縮することになる(掘削工)。
【0014】
前記掘削工を終えると砕石の投入及び投入した砕石の充填圧縮を行うもので、砕石は地表面上に露出したケーシングの砕石投入口からケーシング内に投入し、連繋体とケーシングとの連結を解除してケーシングをそのままで掘削部を可動とし、掘削部の上下動、螺旋羽根による押し込み回転で砕石の充填圧縮を行う。前記の砕石投入・充填圧縮は、ケーシングの適宜な引き抜きに対応して段階的に行うもので、ケーシングの引き抜きによって地表近くに露出した砕石投入口からケーシング内に砕石を投入して、掘削部による充填圧縮を行うことを適宜繰り返し、掘削孔の全体に対して砕石の充填圧縮を行う(充填圧縮工)。従って前記の充填圧縮工を終え掘削装置を掘削地盤から引き抜くと、地盤にドレン孔となる砕石杭が構築され、前記砕石杭を所定の間隔で構築することで地盤に液状化対策が施されることになる。
【0015】
また本発明の請求項5記載に係る地盤改良用掘削装置は、上記装置において、特に連繋体における伝達軸体と連繋筒体との接続部を、伝達軸体に連結した掘削部がケーシング下端より突出して組み込まれる位置と、ケーシング内に納まる位置になるように設定しているもので、掘削工が速やかに行うことができる共に、掘削部の引き込み位置に設定することに定によって砕石の充填圧縮をケーシング外直下又はケーシング内で行うことができる。
【0016】
また本発明の請求項6記載に係る地盤改良用掘削装置は、前記掘削装置において特に連繋筒体とケーシングの駆動連結部は、ケーシングと連繋筒体とが所定の相対角度位置でのみ連結解除される構造としてなるもので、ケーシングが埋設状態で連繋筒体(掘削ロッド)を当該連結状態と逆回動して所定位置まで回動すると、ケーシングと連繋筒体の連結が解除されることになり、充填圧縮工に際してケーシングを非動のままでの掘削ロッドの独自動作への移行を簡単に行える。
【0017】
また本発明の請求項7記載に係る地盤改良用掘削装置は、上記のいずれかの掘削装置において、ケーシングの外周面適宜箇所に、掘削回転方向に対応する押圧傾斜面を備えた孔壁押圧部を設けてなるもので、掘削時に掘削孔の孔壁を効率的に圧縮し、結果的に軟弱な周辺地盤自体を圧縮することになると共に、掘削時及び引き抜き時(掘削方向回転の場合)のケーシングの孔壁による抵抗を軽減する。
【発明の効果】
【0018】
本発明は上記の通り、先端に所定の掘削部を備えた掘削ロッドをケーシング内に配置した掘削装置を使用して、掘削作業の効率を高めると共に、前記掘削部によって投入砕石の圧縮を行うようにしたもので、地盤改良のための砕石が充填圧縮された砕石杭を効率的に構築することができたものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】同工事過程の説明図(掘削工・ひらがな表示は施工順を示す)。
【
図4】同図(投入砕石の充填圧縮工・引き抜き工)。
【
図5】同図(砕石の充填圧縮時の掘削部動作の説明図)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に本発明の実施形態について説明する。実施形態に示した掘削装置は、ケーシング1と、掘削ロッド2と、連繋体3で構成される。
【0021】
ケーシング1は、例えば約5m長(構築する砕石杭長より適宜長くする)、直径50cm程度の筒状部11で形成したもので、筒状部11には上下適宜間隔で砕石投入口12を設けてなり、上端に駆動連結部13を設け、筒状部下端に掘削刃14を垂設し、下方外周面に掘削用螺旋突条(掘削回転:以下「正回転」でケーシングをねじ込むスパイラル突条)15を周設し、筒状部11の外周面全体に掘削回転方向(正回転方向)に対応する押圧傾斜面を備えた孔壁押圧部16を、上下及び放射状に適宜間隔で設けてなる。
【0022】
また前記駆動連結部13は、後述する連繋体3の連繋筒体31の連結突部312が差し込まれ、連繋筒体31の正回転(掘削回転)方向移動・逆回転(引抜回転)方向移動で係止状態となる逆T字状溝17が形成されている。
【0023】
掘削ロッド2は、所定長さの軸部21の下端に掘削部22を連結し、上端に後述する連繋体3の伝達軸体32と連結する上端連結軸部23を設けたものである。
【0024】
掘削部22は、軸部21の連結する掘削軸221に掘削方向回転で掘削物を下方に押し込む螺旋羽根222(ケーシング1の掘削用螺旋突条15とは逆方向のスパイラル)を設け、螺旋羽根222の下端面に掘削ビット223を垂設したものである。
【0025】
連繋体3は、連繋筒体31と伝達軸体32で構成され、連繋筒体31は、本体311が上記駆動連結部13内に嵌合する大きさの筒体で、本体311の外周面に逆T字状溝17に係止できる連結突部312を突設したものである。
【0026】
伝達軸体32は、連繋筒体31を上下に貫通する十分な長さを備えた軸部321を備え、上端に掘削機体Aの回転駆動機構bへの装着部322と、下端に掘削ロッド2の上端連結軸部23と連結するロッド連結部323を設けたものである。
【0027】
連繋筒体31と伝達軸体32は、上下位置変更可能な構造の接続部をもって接続するもので、油圧シリンダーを添設して連続的に位置変更する構造を採用することもできるが、図示した本実施形態は、接続箇所が上下多段で選択的に連結可能とした接続部位を備えることで対応しているものである。具体的には、接続構造として伝達軸体32に、上中下の各位置に放射状(4方向)に突設した接続腕部324a,324b,324cを設けると共に、各接続腕部324a・・・にピン貫通孔325を設け、連繋筒体31には、前記伝達軸体32の軸部321及び接続腕部324a,・・・が通過する挿通孔を穿設した上蓋部313を設けると共に、上蓋部313上の接続腕部324a・・・挟む位置に接続受部314を設け、接続受部314にピン装着孔315を設けているものである。
【0028】
従って連繋筒体31と伝達軸体32とは、上中下段の接続腕部324a、・・・の何れかを接続受部314の位置に合わせ、一致するピン貫通孔325及びピン装着孔315にピンを挿着することで接続され一体化するもので、特に上段接続腕部324aの位置で接続した場合は、掘削部22がケーシング1の下端から突出するようにして掘削作業に対応させ、中段接続腕部324b又は下段接続腕部324cの位置で接続した場合は、掘削部22がケーシング1内に納まるようにして、砕石の充填圧縮作業に対応させる。
【0029】
上記した各部材は、所定の組み上げを以て掘削装置とするもので、ケーシング1内に配置される掘削ロッド2が、その上端連結軸部23と連繋体3の伝達軸体32のロッド連結部323と連結し、伝達軸体32は連繋筒体31と所定の接続部位で接続し、前記の接続状態で連繋筒体31をケーシング1の筒状駆動連結部13に嵌合装着し、連結突部312を逆T字状溝17に侵入させて回動すると、連繋体3とケーシング1とが係止され、掘削装置が一体となるものである。
【0030】
なお連繋体3における連繋筒体31と伝達軸体32とは、掘削装置における掘削部22の組み込み位置を定めるために、接続受部314と接続する接続腕部324a,324b,324cを決定するものであるが、前述したとおり掘削開始時には、掘削部22をケーシング1の下端から突出させるように、上段接続腕部324aを接続受部314にピン連結接続し、後に中段接続腕部324b又は下段接続腕部324cを接続受部314に連結接続する。
【0031】
本発明工法は、上記の各部材を組み合わせて構成した掘削装置を、所定の掘削機体Aに装着し、地盤Bに砕石Cで形成したドレン孔(砕石杭)Dを構築に際して、砕石の圧密を実現するものである。
【0032】
使用する掘削機体Aは、リーダマストaを備えた走行機体で、掘削装置を連結して回転駆動する回転駆動機構bを、前記リーダマストaに装着し、回転駆動機構bに掘削装置を吊下げ連結してリーダマストaに沿って上下動させ掘削作業を行うものである。
【0033】
而して前記の掘削装置を使用して、ケーシング1を地盤Bに挿入する掘削工、ケーシング1内に砕石Cを投入して砕石Cを充填圧縮する充填圧縮工を順次行い、所定のドレン孔(砕石杭)Dを構築する。
【0034】
掘削工は、一体とした掘削装置の伝達軸体32の装着部322を掘削機体Aの回転駆動機構bに連結して取り付けて(
図2あ)、従前の地盤掘削と同様に掘削装置全体(ケーシング1、掘削ビット2、連繋体3)を回転沈下させて地盤穿孔を行う(
図2い)。
【0035】
前記の掘削工は、掘削ビット223で下方地盤を掘削し、掘削砂を螺旋羽根222で抑え込み、掘削砂のケーシング1内への侵入を阻止しながら掘削して無排土掘削を行う。更にケーシング1の螺旋突条15によってケーシング1の回転も掘進力として作用し、且つ孔壁押圧部16によってケーシング1と孔壁との抵抗が軽減される。
【0036】
掘削工を終了すると砕石投入及び投入した砕石の充填圧縮を行う。砕石の投入はケーシング1における地表近くに露出した砕石投入口12からケーシング1内に砕石Cを投入して、掘削ロッド2による充填圧縮作業を行うものである。
【0037】
掘削ロッド2による砕石Cの充填圧縮は、連繋体3及び掘削ロッド2をケーシング1に対して所定方向の回動(連結突部312を逆T字状溝17の中央位置=連結解除位置)すると、掘削ロッド2及び連繋体3は、ケーシング3との連結が解除されるので、掘削ロッド2及び連繋体3は、上下移動並びに回転駆動が可能になると共に、中段接続腕部324b又は下段接続腕部324cを連繋筒体31への接続を可能とするものである。
【0038】
砕石の充填圧縮工は、前記の掘削ロッド2及び連繋体3とケーシング3との連結及び連結解除、掘削装置全体又は掘削ロッド2及び連繋体3の上下移動並びに回転駆動を順次行い、前記のケーシング3の段階的引き抜きに応じて地表に露出している砕石投入口12から順次砕石Cをケーシング1内に投入して段階的に実施し(
図4え)、掘削装置の引き抜き時には、ドレン孔(砕石杭)Dが構築されるものである(
図4お)。
【0039】
具体的には、掘削終了時(
図3)に掘削部22をケーシング1内に引き上げ、砕石Cをケーシング1の砕石投入口12からケーシング1内に投入すると、掘削箇所(掘削孔)Eに砕石Cが落下し、掘削孔Eに砕石Cが満たされると、砕石の圧縮を行うものである。
【0040】
即ち連繋筒体31の連結突部312を逆T字状溝17から引き抜いた位置まで掘削部22を上昇させ、砕石Cを投入すると共に適宜掘削部22を掘削回転(正回転)させると、ケーシング1の下方の掘削孔Eに砕石Cが送り込まれ(押し込まれ)充填されることになり、更に必要に応じて掘削部22を上下動させると砕石Cを押し込むことになり、掘削孔E内の砕石Cは圧密される(
図5え1)。
【0041】
前記した最初の掘削孔Eへの砕石投入・充填圧縮に際して、掘削工時のままの連繋筒体31と伝達軸体32の接続箇所を上段接続腕324aとして行っても良いが、中段接続腕部324bと接続して行っても良い。掘削装置の引き抜き及び次回以降の砕石投入・充填圧縮に際しては、連繋筒体31と伝達軸体32の接続箇所を中段接続腕部324bにする。
【0042】
連繋筒体31と伝達軸体32の接続箇所を中段接続腕部324bとして、連繋筒体31を駆動連結部13に嵌合し、掘削部22は略ケーシング1の先端口に臨む位置にして、掘削ロッド2を逆回転(引き抜き回転)させると、連結突部312が逆T字状溝17に係止し、そのまま掘削装置全体を逆回転させながら所定距離引き抜く。
【0043】
前記の掘削装置を適宜距離引き抜くと、砕石Cが充填されていない新たな掘削孔部分E1が露出するので、前記と同様に砕石投入及び充填圧縮を行うものである(
図5え2)。これを掘削装置全体の引き抜きまで数回繰り返しことでドレン孔(砕石杭)Dの構築がなされる。
【0044】
また特に掘削装置の引き抜き及び砕石投入・充填圧縮の作業に際して、連繋筒体31と伝達軸体32の接続箇所として下段接続部324cを採用すると、ケーシング1内の掘削部22の位置が変更される。従って掘削装置の引き上げ時には、
図5(えイ、ロ)に示すように、ケーシング1内の掘削部22下方に砕石非充填空間Fが生ずることになるので、砕石Cの充填圧縮の全部もしくは一部をケーシング1内で行うことができることになり、砕石の充填圧縮工に際して、掘削孔Eの孔壁の崩壊の発生を防止しながら実施することができる。
【0045】
以上の砕石Cの充填圧縮工を行い、最終的にケーシングの引き抜きを終えると地盤Bにドレン孔となる砕石杭Dが構築され(
図4お)、前記砕石杭Dを所定の間隔で構築することで地盤Bに液状化対策が施されることになる。
【0046】
なおケーシング1の引き抜きに際してケーシング1及び掘削ロッド2の掘削逆回転で行うものであるが、ケーシング1内に砕石Cが存在し、且つ掘削ロッド2には、螺旋羽根222が存在しているので、掘削装置の引き抜きに際して砕石Cの上昇移動が行われるが、次の充填圧縮作業によって前記の砕石移動は解消される。仮にケーシンク1の引き抜きを掘削方向回転で行った場合、掘削用螺旋突条15は逆螺旋となって抵抗となるが、地盤であり孔壁押圧部16によって孔壁が保持されるため特に支障とはならない。
【符号の説明】
【0047】
1 ケーシング
11 筒状部
12 砕石投入口
13 駆動連結部
14 掘削刃
15 掘削用螺旋突条
16 孔壁押圧部
17 逆T字状溝
2 掘削ロッド
21 軸部
22 掘削部
221 掘削軸
222 螺旋羽根
223 掘削ビット
23 上端連結軸部
3 連繋体
31 連繋筒体
311 本体
312 連結突部
313 上蓋部
314 接続受部
315 ピン装着孔
32 伝達軸体
321 軸部
322 装着部
323 ロッド連結部
324a,324b,324c 接続腕部
325 ピン貫通孔
A 掘削機体
a リーダマスト
b 回転駆動機構
B 砂地
C 砕石
D ドレン孔(砕石杭)
E 掘削孔
【手続補正書】
【提出日】2021-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
本発明工法は、上記の各部材を組み合わせて構成した掘削装置を、所定の掘削機体Aに装着し、地盤Bに砕石Cで形成したドレン孔(砕石杭)Dを構築に際して、砕石の圧縮を実現するものである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
前記の掘削工は、掘削ビット223で下方地盤を掘削し、掘削土を螺旋羽根222で抑え込み、掘削土のケーシング1内への侵入を阻止しながら掘削して無排土掘削を行う。更にケーシング1の螺旋突条15によってケーシング1の回転も掘進力として作用し、且つ孔壁押圧部16によってケーシング1と孔壁との抵抗が軽減される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
即ち連繋筒体31の連結突部312を逆T字状溝17から引き抜いた位置まで掘削部22を上昇させ、砕石Cを投入すると共に適宜掘削部22を掘削回転(正回転)させると、ケーシング1の下方の掘削孔Eに砕石Cが送り込まれ(押し込まれ)充填されることになり、更に必要に応じて掘削部22を上下動させると砕石Cを押し込むことになり、掘削孔E内の砕石Cは
圧縮される(
図5え1)。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
上下適宜間隔で砕石投入口を設けたケーシングと、ケーシングに内装され、下端に掘削ビット及び掘削ビット直上に抑え込み螺旋羽根を備えた掘削部を設けた掘削ロッドと、ケーシング上端に着脱自在に装着すると共に、掘削ロッド上端に連結する連繋体とで構成した掘削装置を、所定の掘削機体に装着して前記掘削部による無排土穿孔掘削によって、地盤にケーシングの立て込みを行い、ケーシングの砕石投入口から砕石投入及び投入砕石の前記掘削部による充填圧縮を、ケーシングの引き抜きに合わせて段階的に行いながら掘削装置を引き抜いて地盤に砕石杭を構築してなる地盤改良工法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項2】
掘削部による投入砕石の充填圧縮を、連繋体とケーシングの連結を解除し、前記掘削部の螺旋羽根の回転による砕石押し込み、或いは前記掘削部の上下動による砕石押し込みの何れか又は双方で行ってなる請求項1記載の地盤改良工法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の請求項1記載に係る地盤改良工法は、上下適宜間隔で砕石投入口を設けたケーシングと、ケーシングに内装され、下端に掘削ビット及び掘削ビット直上に抑え込み螺旋羽根を備えた掘削部を設けた掘削ロッドと、ケーシング上端に着脱自在に装着すると共に、掘削ロッド上端に連結する連繋体とで構成した掘削装置を、所定の掘削機体に装着して前記掘削部による無排土穿孔掘削によって、地盤にケーシングの立て込みを行い、ケーシングの砕石投入口から砕石投入及び投入砕石の前記掘削部による充填圧縮を、ケーシングの引き抜きに合わせて段階的に行いながら掘削装置を引き抜いて地盤に砕石杭を構築してなることを特徴とするものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
また本発明の請求項2記載に係る地盤改良工法は、上記工法において、掘削部による投入砕石の充填圧縮を、連繋体とケーシングの連結を解除し、前記掘削部の螺旋羽根の回転による砕石押し込み、或いは前記掘削部の上下動による砕石押し込みの何れか又は双方で行ってなるものである。