(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124125
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】フレーム、及び保護具
(51)【国際特許分類】
A62B 18/08 20060101AFI20220818BHJP
A41D 13/11 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
A62B18/08 D
A41D13/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021712
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】礒崎 誠
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA06
2E185BA08
2E185CC36
(57)【要約】
【課題】 容易に装着可能であり、且つ、利便性に優れたフレームを提供する。
【解決手段】 保護具用のフレーム10であって、フレーム後部と、フレーム後部の一端からフレームの前端側に延び一方の側頭部と対向する第1対向部及び第2対向部と、各対向部と連続しフレームを頭部に装着した状態では第1対向部又は第2対向部とは反対側の端が頭部の上側を向くように屈曲した第1屈曲部又は第2屈曲部と、各屈曲部における第1対向部又は第2対向部とは反対側の端から延出しフレームを頭部に装着した状態では頭部の上側に向かっている第1延出部又は第2延出部と、各延出部に設けられフィルムの横幅方向におけるフィルムの一端部を支持する第1支持部又は第2支持部と、を備え、第1支持部及び第2支持部は、フィルムが横幅方向に沿う軸を中心にして回転可能な状態でフィルムの端部を支持し、頭部に装着した状態ではフィルムを顔の正面で顔と対向させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔面保護用のフィルムを固定し、頭部に装着可能なフレームであって、
前記フレームの後端部をなし、後頭部に沿って延びたフレーム後部と、
前記フレーム後部の一端から前記フレームの前端側に延び、一方の側頭部と対向する第1対向部と、
前記フレーム後部の他端から前記フレームの前端側に延び、他方の側頭部と対向する第2対向部と、
前記第1対向部と連続し、前記フレームを頭部に装着した状態では前記第1対向部とは反対側の端が頭部の上側を向くように屈曲した第1屈曲部と、
前記第2対向部と連続し、前記フレームを頭部に装着した状態では前記第2対向部とは反対側の端が頭部の上側を向くように屈曲した第2屈曲部と、
前記第1屈曲部における前記第1対向部とは反対側の端から延出し、前記フレームを頭部に装着した状態では頭部の上側に向かっている第1延出部と、
前記第2屈曲部における前記第2対向部とは反対側の端から延出し、前記フレームを頭部に装着した状態では頭部の上側に向かっている第2延出部と、
前記第1延出部に設けられ、前記フィルムの横幅方向における前記フィルムの一端部を支持する第1支持部と、
前記第2延出部に設けられ、前記横幅方向における前記フィルムの他端部を支持する第2支持部と、を備え、
前記第1支持部及び前記第2支持部は、前記フィルムが前記横幅方向に沿う軸を中心にして回転可能な状態で前記フィルムの端部を支持し、
前記フレームを頭部に装着した状態では前記フィルムを顔の正面で顔と対向させる、フレーム。
【請求項2】
顔面保護用のフィルムを固定し、頭部に装着可能なフレームであって、
前記フレームの後端部をなし、後頭部に沿って延びたフレーム後部と、
前記フレーム後部の一端から前記フレームの前端側に延び、一方の側頭部と対向する第1対向部と、
前記フレーム後部の他端から前記フレームの前端側に延び、他方の側頭部と対向する第2対向部と、
前記第1対向部と連続し、前記フレームを頭部に装着した状態では前記第1対向部とは反対側の端が頭部の下側を向くように屈曲した第1屈曲部と、
前記第2対向部と連続し、前記フレームを頭部に装着した状態では前記第2対向部とは反対側の端が頭部の下側を向くように屈曲した第2屈曲部と、
前記第1屈曲部における前記第1対向部とは反対側の端から延出し、前記フレームを頭部に装着した状態では頭部の下側に向かっている第1延出部と、
前記第2屈曲部における前記第2対向部とは反対側の端から延出し、前記フレームを頭部に装着した状態では頭部の下側に向かっている第2延出部と、
前記第1延出部に設けられ、前記フィルムの横幅方向における前記フィルムの一端部を支持する第1支持部と、
前記第2延出部に設けられ、前記横幅方向における前記フィルムの他端部を支持する第2支持部と、を備え、
前記第1支持部及び前記第2支持部は、前記フィルムが前記横幅方向に沿う軸を中心にして回転可能な状態で前記フィルムの端部を支持し、
前記フレームを頭部に装着した状態では前記フィルムを顔の正面で顔と対向させる、フレーム。
【請求項3】
前記第1支持部は、前記第1延出部における前記第1屈曲部とは反対側の端に設けられ、
前記第2支持部は、前記第2延出部における前記第2屈曲部とは反対側の端に設けられる、請求項1又は2に記載のフレーム。
【請求項4】
前記フレームを頭部に装着し、顔の正面で顔と対向させた状態において、
前記フィルムの横幅方向における端部の少なくとも一部は、前記第1延出部又は前記第2延出部と当接する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフレーム。
【請求項5】
前記フレーム後部は、円弧状に湾曲し、弾性を有し、前記フレームが頭部に装着された状態では後頭部に沿って後頭部と当接する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のフレーム。
【請求項6】
前記第1支持部及び前記第2支持部のうちの少なくとも一方は、2つ以上の支持箇所にて前記フィルムを支持する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のフレーム。
【請求項7】
前記第1延出部及び前記第2延出部の各々は、前記第1延出部及び前記第2延出部の各々から突出した軸部を備え、
前記第1支持部及び前記第2支持部の各々は、前記フィルムに取り付けられた取り付け部材と、前記取り付け部材に形成された挿入孔とを有し、前記軸部が回転可能な状態で前記挿入孔に挿入されることで前記フレームの端部を回転可能に支持する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のフレーム。
【請求項8】
前記第1支持部及び前記第2支持部の各々は、前記フィルムが前記第1支持部及び前記第2支持部に対して着脱可能な状態で前記フィルムを支持する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のフレーム。
【請求項9】
前記第1支持部は、前記フィルムの横幅方向における一端部を支持し、
前記第2支持部は、前記フィルムの横幅方向における他端部を支持する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のフレーム。
【請求項10】
前記フレームが頭部に装着された状態では、前記第1支持部及び前記第2支持部により支持された前記フィルムが、前記フィルムによって少なくとも顔の口部分が覆われる位置に配置される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のフレーム。
【請求項11】
顔面保護用のフィルムと、
前記フィルムを固定し、頭部に装着可能なフレームと、を備え、
前記フレームは、
前記フレームの後端部をなし、後頭部に沿って延びたフレーム後部と、
前記フレーム後部の一端から前記フレームの前端側に延び、一方の側頭部と対向する第1対向部と、
前記フレーム後部の他端から前記フレームの前端側に延び、他方の側頭部と対向する第2対向部と、
前記第1対向部と連続し、前記フレームを頭部に装着した状態では前記第1対向部とは反対側の端が頭部の上側を向くように屈曲した第1屈曲部と、
前記第2対向部と連続し、前記フレームを頭部に装着した状態では前記第2対向部とは反対側の端が頭部の上側を向くように屈曲した第2屈曲部と、
前記第1屈曲部における前記第1対向部とは反対側の端から延出し、前記フレームを頭部に装着した状態では頭部の上側に向かっている第1延出部と、
前記第2屈曲部における前記第2対向部とは反対側の端から延出し、前記フレームを頭部に装着した状態では頭部の上側に向かっている第2延出部と、
前記第1延出部に設けられ、前記フィルムの横幅方向における前記フィルムの一端部を支持する第1支持部と、
前記第2延出部に設けられ、前記横幅方向における前記フィルムの他端部を支持する第2支持部と、を備え、
前記第1支持部及び前記第2支持部は、前記フィルムが前記横幅方向に沿う軸を中心にして回転可能な状態で前記フィルムの端部を支持し、
前記フレームを頭部に装着した状態では前記フィルムを顔の正面で顔と対向させる、保護具。
【請求項12】
顔面保護用のフィルムと、
前記フィルムを固定し、頭部に装着可能なフレームと、を備え、
前記フレームは、
前記フレームの後端部をなし、後頭部に沿って延びたフレーム後部と、
前記フレーム後部の一端から前記フレームの前端側に延び、一方の側頭部と対向する第1対向部と、
前記フレーム後部の他端から前記フレームの前端側に延び、他方の側頭部と対向する第2対向部と、
前記第1対向部と連続し、前記フレームを頭部に装着した状態では前記第1対向部とは反対側の端が頭部の下側を向くように屈曲した第1屈曲部と、
前記第2対向部と連続し、前記フレームを頭部に装着した状態では前記第2対向部とは反対側の端が頭部の下側を向くように屈曲した第2屈曲部と、
前記第1屈曲部における前記第1対向部とは反対側の端から延出し、前記フレームを頭部に装着した状態では頭部の下側に向かっている第1延出部と、
前記第2屈曲部における前記第2対向部とは反対側の端から延出し、前記フレームを頭部に装着した状態では頭部の下側に向かっている第2延出部と、
前記第1延出部に設けられ、前記フィルムの横幅方向における前記フィルムの一端部を支持する第1支持部と、
前記第2延出部に設けられ、前記横幅方向における前記フィルムの他端部を支持する第2支持部と、を備え、
前記第1支持部及び前記第2支持部は、前記フィルムが前記横幅方向に沿う軸を中心にして回転可能な状態で前記フィルムの端部を支持し、
前記フレームを頭部に装着した状態では前記フィルムを顔の正面で顔と対向させる、保護具。
【請求項13】
前記フィルムは、飛沫飛散防止用のフィルムであり、
前記フレームが頭部に装着された状態では、前記第1支持部及び前記第2支持部により支持された前記フィルムが、前記フィルムによって少なくとも顔の口部分が覆われる位置に配置される、請求項11又は12に記載の保護具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームに係り、特に、顔面保護用のフィルムを固定し、頭部に装着可能なフレームに関する。また、本発明は、上記のフレームに顔面保護用のフィルムを固定して構成される保護具に関する。
【背景技術】
【0002】
感染症防止目的等のために利用される保護具は、例えば、利用者の顔の一部又は全部を覆うフィルムを、利用者の頭部に装着可能なフレームによって固定することで構成される。
【0003】
保護具のフレームの中には、例えば、略環状の可撓部材からなり、保護具の利用者の頭部の略全周を囲うように装着されるものが存在する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の保護具を利用する場合、フレームは、頭部の上方から頭部の周囲を囲むように頭部に装着される。しかし、フレームを装着する際に、フレームに固定されたフィルムが顔に当たったりする等して、スムーズにフレームを装着することができない場合があった。また、保護具の装着中、顔の正面にフィルムが存すると、そのままでは飲食等をすることができず、例えば、飲食のために保護具を頭部から外す必要があった。そのため、利用者に対して保護具着脱の負担が大きくなり得る。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、以下に示す目的を解決することを課題とする。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、容易に装着可能であり、且つ、利便性に優れたフレームを提供することを目的とする。
また、本発明は、上記のフレームによってフィルムを固定して構成された保護具を提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、以下の構成により上記目的を達成することができることを見出した。
[1] 顔面保護用のフィルムを固定し、頭部に装着可能なフレームであって、フレームの後端部をなし、後頭部に沿って延びたフレーム後部と、フレーム後部の一端からフレームの前端側に延び、一方の側頭部と対向する第1対向部と、フレーム後部の他端からフレームの前端側に延び、他方の側頭部と対向する第2対向部と、第1対向部と連続し、フレームを頭部に装着した状態では第1対向部とは反対側の端が頭部の上側を向くように屈曲した第1屈曲部と、第2対向部と連続し、フレームを頭部に装着した状態では第2対向部とは反対側の端が頭部の上側を向くように屈曲した第2屈曲部と、第1屈曲部における第1対向部とは反対側の端から延出し、フレームを頭部に装着した状態では頭部の上側に向かっている第1延出部と、第2屈曲部における第2対向部とは反対側の端から延出し、フレームを頭部に装着した状態では頭部の上側に向かっている第2延出部と、第1延出部に設けられ、フィルムの横幅方向におけるフィルムの一端部を支持する第1支持部と、第2延出部に設けられ、横幅方向におけるフィルムの他端部を支持する第2支持部と、を備え、第1支持部及び第2支持部は、フィルムが横幅方向に沿う軸を中心にして回転可能な状態でフィルムの端部を支持し、フレームを頭部に装着した状態ではフィルムを顔の正面で顔と対向させる、フレーム。
[2] 顔面保護用のフィルムを固定し、頭部に装着可能なフレームであって、フレームの後端部をなし、後頭部に沿って延びたフレーム後部と、フレーム後部の一端からフレームの前端側に延び、一方の側頭部と対向する第1対向部と、フレーム後部の他端からフレームの前端側に延び、他方の側頭部と対向する第2対向部と、第1対向部と連続し、フレームを頭部に装着した状態では第1対向部とは反対側の端が頭部の下側を向くように屈曲した第1屈曲部と、第2対向部と連続し、フレームを頭部に装着した状態では第2対向部とは反対側の端が頭部の下側を向くように屈曲した第2屈曲部と、第1屈曲部における第1対向部とは反対側の端から延出し、フレームを頭部に装着した状態では頭部の下側に向かっている第1延出部と、第2屈曲部における第2対向部とは反対側の端から延出し、フレームを頭部に装着した状態では頭部の下側に向かっている第2延出部と、第1延出部に設けられ、フィルムの横幅方向におけるフィルムの一端部を支持する第1支持部と、第2延出部に設けられ、横幅方向におけるフィルムの他端部を支持する第2支持部と、を備え、第1支持部及び第2支持部は、フィルムが横幅方向に沿う軸を中心にして回転可能な状態でフィルムの端部を支持し、フレームを頭部に装着した状態ではフィルムを顔の正面で顔と対向させる、フレーム。
[3] 第1支持部は、第1延出部における第1屈曲部とは反対側の端に設けられ、第2支持部は、第2延出部における第2屈曲部とは反対側の端に設けられる、[1]又は[2]に記載のフレーム。
[4] フレームを頭部に装着し、顔の正面で顔と対向させた状態において、フィルムの横幅方向における端部の少なくとも一部は、第1延出部又は第2延出部と当接する、[1]乃至[3]のいずれかに記載のフレーム。
[5] フレーム後部は、円弧状に湾曲し、弾性を有し、フレームが頭部に装着された状態では後頭部に沿って後頭部と当接する、[1]乃至[4]のいずれかに記載のフレーム。
[6] 第1支持部及び第2支持部のうちの少なくとも一方は、2つ以上の支持箇所にてフィルムを支持する、[1]乃至[5]のいずれかに記載のフレーム。
[7] 第1延出部及び第2延出部の各々は、第1延出部及び第2延出部の各々から突出した軸部を備え、第1支持部及び第2支持部の各々は、フィルムに取り付けられた取り付け部材と、取り付け部材に形成された挿入孔とを有し、軸部が回転可能な状態で挿入孔に挿入されることでフレームの端部を回転可能に支持する、[1]乃至[6]のいずれかに記載のフレーム。
[8] 第1支持部及び第2支持部の各々は、フィルムが第1支持部及び第2支持部に対して着脱可能な状態でフィルムを支持する、[1]乃至[7]のいずれかに記載のフレーム。
[9] 第1支持部は、フィルムの横幅方向における一端部を支持し、第2支持部は、フィルムの横幅方向における他端部を支持する、[1]乃至[8]のいずれかに記載のフレーム。
[10] フレームが頭部に装着された状態では、第1支持部及び第2支持部により支持されたフィルムが、フィルムによって少なくとも顔の口部分が覆われる位置に配置される、[1]乃至[9]のいずれかに記載のフレーム。
【0008】
[11] 顔面保護用のフィルムと、フィルムを固定し、頭部に装着可能なフレームと、を備え、フレームは、フレームの後端部をなし、後頭部に沿って延びたフレーム後部と、フレーム後部の一端からフレームの前端側に延び、一方の側頭部と対向する第1対向部と、フレーム後部の他端からフレームの前端側に延び、他方の側頭部と対向する第2対向部と、第1対向部と連続し、フレームを頭部に装着した状態では第1対向部とは反対側の端が頭部の上側を向くように屈曲した第1屈曲部と、第2対向部と連続し、フレームを頭部に装着した状態では第2対向部とは反対側の端が頭部の上側を向くように屈曲した第2屈曲部と、第1屈曲部における第1対向部とは反対側の端から延出し、フレームを頭部に装着した状態では頭部の上側に向かっている第1延出部と、第2屈曲部における第2対向部とは反対側の端から延出し、フレームを頭部に装着した状態では頭部の上側に向かっている第2延出部と、第1延出部に設けられ、フィルムの横幅方向におけるフィルムの一端部を支持する第1支持部と、第2延出部に設けられ、横幅方向におけるフィルムの他端部を支持する第2支持部と、を備え、第1支持部及び第2支持部は、フィルムが横幅方向に沿う軸を中心にして回転可能な状態でフィルムの端部を支持し、フレームを頭部に装着した状態ではフィルムを顔の正面で顔と対向させる、保護具。
[12] 顔面保護用のフィルムと、フィルムを固定し、頭部に装着可能なフレームと、を備え、フレームは、フレームの後端部をなし、後頭部に沿って延びたフレーム後部と、フレーム後部の一端からフレームの前端側に延び、一方の側頭部と対向する第1対向部と、フレーム後部の他端からフレームの前端側に延び、他方の側頭部と対向する第2対向部と、第1対向部と連続し、フレームを頭部に装着した状態では第1対向部とは反対側の端が頭部の下側を向くように屈曲した第1屈曲部と、第2対向部と連続し、フレームを頭部に装着した状態では第2対向部とは反対側の端が頭部の下側を向くように屈曲した第2屈曲部と、第1屈曲部における第1対向部とは反対側の端から延出し、フレームを頭部に装着した状態では頭部の下側に向かっている第1延出部と、第2屈曲部における第2対向部とは反対側の端から延出し、フレームを頭部に装着した状態では頭部の下側に向かっている第2延出部と、第1延出部に設けられ、フィルムの横幅方向におけるフィルムの一端部を支持する第1支持部と、第2延出部に設けられ、横幅方向におけるフィルムの他端部を支持する第2支持部と、を備え、第1支持部及び第2支持部は、フィルムが横幅方向に沿う軸を中心にして回転可能な状態でフィルムの端部を支持し、フレームを頭部に装着した状態ではフィルムを顔の正面で顔と対向させる、保護具。
[13] フィルムは、飛沫飛散防止用のフィルムであり、フレームが頭部に装着された状態では、第1支持部及び第2支持部により支持されたフィルムが、フィルムによって少なくとも顔の口部分が覆われる位置に配置される、[11]又は[12]に記載の保護具。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、容易に装着可能であり、且つ、利便性に優れたフレーム、及び、当該フレームによってフィルムを固定して構成された保護具が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】第1実施形態に係る保護具の分解した状態を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る保護具を第1状態で装着した利用者の頭部を側方から見た図である。
【
図4】第1実施形態に係る保護具を第2状態で装着した利用者の頭部を側方から見た図である。
【
図5】フィルムとフレームの第1状態を示す図である。
【
図6】フィルムとフレームの第2状態を示す図である。
【
図7】フィルムとフレームの第3状態を示す図である。
【
図8】第1実施形態に係る保護具の変形例を示す図である。
【
図9】第2実施形態に係る保護具を第1状態で装着した利用者の頭部を側方から見た図である。
【
図10】第2実施形態に係る保護具を第2状態で装着した利用者の頭部を側方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のフレーム及び保護具について、添付の図面に示す二つの好適な実施形態(第1実施形態及び第2実施形態)を参照しながら、以下に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするために挙げた具体例の一つにすぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、以下に説明する実施形態から変更又は改良され得る。また、当然ながら、本発明には、その等価物が含まれる。
【0012】
また、本明細書において、本発明のフレーム中の各部分の位置及び状態等を説明する場合には、特に断る場合を除き、フレームが装着されているときの位置及び状態等を説明することとする。また、以下の説明中、「前」及び「後」は、フレームを装着した着用者から見たときの「前」及び「後」を意味し、「上」及び「下」は、フレームを装着した着用者から見たときの「上」及び「下」を意味する。
【0013】
(第1実施形態について)
本発明の第1実施形態に係るフレーム(以下、フレーム10)は、顔面保護用のフィルム(以下、フィルム50)を固定し、利用者の頭部に装着可能なフレームである。つまり、フレーム10は、フィルム50とともに
図1に示す保護具1を構成する。
【0014】
保護具1は、所謂フェイスガード又はマウスシールドであり、その主たる用途は、利用者の口から放出される唾滴等の飛沫が飛散するのを防止することである。すなわち、フィルム50は、飛沫飛散防止用のフィルムであり、フレーム10が頭部に装着された状態では、
図3に示すように、少なくとも利用者の顔の口部分を覆う位置に配置される。なお、フェイスガードとして機能する保護具1(
図1乃至4に示す保護具)は、利用者の顔に飛沫及び浮遊物等が付着するのを防ぐ目的にも利用され得る。その場合には、フィルム50を顔の目を覆う位置に配置することもできる。
【0015】
フィルム50の材質及び厚み等の寸法値等については、特に限定されるものではない。例えば、フィルム50の材質は、意匠性、特に保護具1を利用した状態での利用者の顔が良好に視認できる透明性(光透過性)が高いものであることが好ましく、無色透明のものが特に好ましい。本発明のフレーム10とフィルム50を組み合わせた際、対面者に与える利用者が保護具1を装着している印象を特に弱める視覚的効果が高いからである。フィルム50の好適な材質の一例としては、トリアセチルセルロース(Triacetylcellulose:TAC製)、ポリエチレンテレフタレート、又はポリカーボネート等のフィルムが挙げられる。透明性の点でトリアセチルセルロースが好ましい。また、フィルム50の片面もしくは両面に反射防止のコートを付与することも好ましい。また、フィルム50の厚みは、フレーム10の間をかけ渡し顔の正面にフィルム50を対向するように配置した際の強度の点から80μm以上が好ましく、フレーム10にフィルム50を配置した際のフィルム50の曲げやすさや重量感の点から500μm以下が好ましい。より好ましくは100μm以上300μm以下、さらに110μm以上250μm以下であることが好ましい。
【0016】
フレーム10は、
図1に示すように、三次元状に折り曲げられた形状をなし、フレーム幅方向の中心位置を基準として対称な形状となっている。具体的に説明すると、フレーム10は、円弧状に湾曲して延びるフレーム後部11を備える。また、
図1に示すように、フレーム10の一端部には、フレーム後部11に近い側から順に、第1対向部12、第1屈曲部13及び第1延出部14が設けられ、第1延出部14には第1支持部15が設けられている。フレーム10の他端部には、フレーム後部11に近い側から順に、第2対向部16、第2屈曲部17及び第2延出部18が設けられ、第2延出部18には第2支持部19が設けられている。
【0017】
上述したフレーム10の全部又は一部(例えば、フレーム後部11、第1対向部12、第1屈曲部13、第1延出部14、第2対向部16、第2屈曲部17及び第2延出部18)は、例えば樹脂又は金属によって構成されてもよい。フレーム10の材質としては、使用感に関する軽量性や装着時の目立ち易さ等の意匠性、フレーム10及び保護具1としての強度を付与するための材料の剛性、フレーム形状とするための加工性、並びに材料コストなどの観点から適宜選択することができる。金属からなるフレーム10であれば、細くしても十分な強度を確保することができ、より細くなるほど装着時に目立ち難くなる。なお、フレーム10の材質として利用する金属は、鋼、ステンレス、あるいは、アルミ又はチタン等の比較的軽量な金属又はその合金等が好ましい。また、金属の形状は、針金又はワイヤ等のような細長い芯線形状であってもよく、若干の幅を有するリボン形状であってもよい。また、本発明の保護具1は、眼鏡と併用する場合があるが、その際には眼鏡のツル部分とフレーム10(厳密には、第1対向部12及び第2対向部16)が耳の付け根よりも上側の位置に装着されることになるため、フレーム10を細くすること、もしくは平たく、例えば縦長のリボン状や楕円上等の形状とすることも好ましい。なお、フレーム10の各部分の材質及び形状は、特に限定されず、例えばフレーム10の全部又は一部がプラスチック等の樹脂成型品であってもよい。
【0018】
フレーム10中の一部が他の部分と異なってもよく、例えば、第1支持部15及び第2支持部19とそれ以外の部分とが異なる構成であってもよい。具体的には、第1支持部15及び第2支持部19が樹脂成型品によって構成され、それ以外の部分が金属芯線によって構成されてもよい。また、金属芯線の一部(例えば、フレーム後部11、第1対向部12、第1屈曲部13、第2対向部16及び第2屈曲部17)を樹脂、布又は紙等にて被覆することで構成されてもよい。ただし、フレーム10は、例えば一体成型品であってもよく、換言すると、フレーム10中の各部分が同一材料によって構成されてもよい。この場合には、フレーム10をより簡単に製造することができる。
【0019】
また、フレーム10が装飾品として利用されることを考慮して、フレーム10中の各部分には加飾処理が施されてもよい。
【0020】
以下、フレーム10の各部分について詳しく説明する。フレーム後部11は、円弧状に湾曲した部分であり、前端が開いている。また、フレーム後部11は、弾性を有し、フレーム10を装着する際には前端の開き度合いが大きくなるように(換言すると、フレーム後部11の曲率が小さくなるように)弾性変形する。
【0021】
第1対向部12は、
図1乃至4に示すように、フレーム後部11の一端(具体的には、右端)側でフレーム後部11と隣接し、フレーム後部11を延長させた部分に相当する。すなわち、第1対向部12は、フレーム後部11に沿ってフレーム10の前端側に延びている。第1対向部12は、フレーム10を側方から見たときにS字状に緩やかに曲がっている。第2対向部16は、第1対向部12と対称形状であり、フレーム後部11の他端(具体的には、左端)側でフレーム後部11と隣接し、フレーム後部11に沿ってフレーム10の前端側に延びている。第1対向部12及び第2対向部16の各々は、フレーム後部11と連続しており、フレーム後部11と同一の太さ(又は幅)を有する。
【0022】
第1屈曲部13は、
図1乃至4に示すように、フレーム後部11とは反対側で第1対向部12と連続する部分である。第1屈曲部13は、第1対向部12とは反対側の端(前端)が頭部の上方を向くように略L字状に屈曲している。第2屈曲部17は、第1屈曲部13と対称形状であり、フレーム後部11とは反対側で第2対向部16と連続する部分である。第2屈曲部17も、第2対向部16とは反対側の端(前端)が頭部の上方を向くように略L字状に屈曲している。なお、第1屈曲部13及び第2屈曲部17は、フレーム10の前端部分をなし、それぞれの屈曲部位は、フレーム10の前端に存在する。
【0023】
第1延出部14は、
図1乃至4に示すように、第1屈曲部13における第1対向部12とは反対側の端(上端)から頭部の上方に向かって延出した部分である。第1延出部14は、
図3及び4に示すように、略鉛直方向に延出している。また、第1延出部14は、第1屈曲部13とは反対側の端がフィルム50の横幅方向に沿って外側にL字状に屈曲しており、第1支持部15に固定するための第1軸部14aが形成されている。第2延出部18は、第1延出部14と対称形状であり、第2屈曲部17における第2対向部16とは反対側の端(上端)から頭部の上方に向かって延出した部分である。また、第2延出部18における、第2屈曲部17とは反対側の端には、第2支持部19に固定するための第2軸部18aが形成されている。
【0024】
第1支持部15は、
図1乃至4に示すように、フィルム50を第1延出部14に回転可能に固定するために、フィルム50の横幅方向における一端部に取り付けられる。第1支持部15は、
図5乃至7に示すように、板片状の取り付け部材である外側部材31と内側部材32とを有し、外側部材31と内側部材32との間に形成される空隙にフィルム50を挟み込んで支持する。外側部材31には、第1延出部14(厳密には、第1軸部14a)を挿入するための挿入孔33が設けられており、内側部材32には、上側から切り込み34が設けられている。切り込み34は、キー溝であり、
図7に示すように第1延出部14が通過可能な孔である。挿入孔33は、切り込み34に臨む位置にあり、切り込み34の下端部と対向する位置に設けられている。
【0025】
外側部材31及び内側部材32には、フィルム50を挟持したときに、フィルム50の横幅方向の一端部に形成された不図示の嵌合孔と対応する位置に不図示の嵌合孔が設けられている。これにより、外側部材31と内側部材32との間にフィルム50を挟持したうえで、外側部材31及び内側部材32の嵌合孔及びフィルム50の嵌合孔とを重ねた状態で留め具であるビス35が挿し込まれる。これにより、第1支持部15がフィルム50の横幅方向の一端部を支持する。
【0026】
また、第2支持部19は、第1支持部15と同様、フィルム50を第2延出部18に回転可能に固定するために、フィルム50の横幅方向における他端部に取り付けられる。第2支持部19は、第1支持部15と同様の構造を有し、第1支持部15と同様の手順によってフィルム50の横幅方向の他端部を支持する。
【0027】
上記のように第1支持部15及び第2支持部19によってフィルム50の横幅方向端部が支持される。これにより、フレーム10における2つの側端部の間にフィルム50が弓形に撓んだ状態で掛け渡される。
【0028】
また、第1支持部15及び第2支持部19を介して、フィルム50は第1延出部14及び第2延出部18の各々に対して回転可能に固定される。具体的に説明すると、第1延出部14における第1軸部14a側の端部を切り込み34に沿わせ、
図7に示すように第1延出部14の端部を、切り込み34を通じて外側部材31と内側部材32との隙間内に入れ込む。このとき、第1軸部14aが挿入孔33に対して若干の遊びを設けた状態で挿入孔33に挿入される。これにより、第1軸部14aが挿入孔33内で回転可能となる。また、第1軸部14aの回転に伴い、
図6に示すように、第1延出部14が外側部材31と内側部材32との間で第1軸部14aを支点として揺動(回動)する。この結果、フィルム50の一端部は、第1延出部14に対してフィルム50の横幅方向に沿う軸を中心に回転可能な状態で第1支持部15によって支持される。
【0029】
また、第2支持部19は、第1支持部15と左右対称の構造であり、上記と同様の構造により、フィルム50の他端部は、第2延出部18に対してフィルム50の横幅方向に沿う軸を中心に回転可能な状態で第2支持部19によって支持される。
【0030】
第1実施形態では、外側部材31及び内側部材32の嵌合孔並びにフィルム50の嵌合孔に嵌り込んだビス35を外すことで、フィルム50を第1支持部15及び第2支持部19から取り外すことができる。このように、第1支持部15及び第2支持部19の各々は、フィルム50が第1支持部15及び第2支持部19の各々に対して着脱可能な状態でフィルム50を固定してもよい。この場合には、使用済みのフィルム50をフレーム10から取り外して新しいフィルム50に交換することができる。ただし、これに限定されず、第1支持部15及び第2支持部19が、フィルム50を着脱不能に固定するものであってもよい。
【0031】
また、フィルム50が第1延出部14及び第2延出部18に対して回転するのを許容する一方で、フィルム50が第1支持部15及び第2支持部19に対して回転する(例えば、ビス35を中心として回転する)のを抑える必要がある。その観点から、第1実施形態では、第1支持部15及び第2支持部19のうちの少なくとも一方は、2つ以上の固定箇所を備えるとよい。
図1乃至4に示すケースでは、第1支持部15及び第2支持部19の各々が、2つの固定箇所として、2つのビス35(
図5参照)により固定されている。
【0032】
なお、ビス35に代えて、第1支持部15及び第2支持部19に不図示の嵌合突起を備える構成とし、フィルム50側の嵌合孔に嵌合させる構成であってもよい。また、フィルム50側に嵌合突起を設け、第1支持部15及び第2支持部19のそれぞれに嵌合孔が設けられてもよい。嵌合突起の断面形状は、円形以外の形状、具体的には楕円形、あるいは多角形又は星形等であってもよい。これらの形状であれば、必ずしも2つ以上の固定箇所を備えなくても、フィルム50が第1支持部15及び第2支持部19に対して回転することを抑えることができる。
【0033】
また、第1支持部15及び第2支持部19によってフィルム50を固定する構造については、ビス35又は嵌合突起と嵌合孔との凹凸嵌合構造に限定されるものではない。例えば、スナップフィット方式による固定構造、若しくは鉤爪(フック)状の先端部分をフィルムの縁等に引っ掛けることでフィルム50を固定する構造も利用可能である。あるいは、第1支持部15及び第2支持部19が、クリップ等のようにフィルム50を挟むだけの構造であってもよい。
【0034】
以上のように第1支持部15及び第2支持部19によって支持されたフィルム50は、フレーム10に対して回転可能な状態で固定される。
【0035】
具体的には、フィルム50と第1支持部15及び第2支持部19とが、第1延出部14及び第2延出部18に対して、フィルム50の横幅方向に沿う軸(すなわち、第1軸部14a)を中心に回転する。これにより、フィルム50の状態は、その時点にある回転位置に応じて変化し、詳しくは、フレーム10とフィルム50とが、
図5に示す第1状態、
図6に示す第2状態、及び
図7に示す第3状態との間で切り替え可能となる。
【0036】
第1状態では、フレーム10の第1延出部14は、第1支持部15の空隙内に収容された状態となっている。なお、第1状態では、
図3に示すように、第1延出部14がフィルム50の横幅方向における端部(側面)に当接しており、この位置よりもフィルム50側には回転しない構成となっている。
【0037】
第2状態では、第1状態にあるときから第1延出部14及び第2延出部18が約90度回転している。なお、第2状態では、
図4に示すように、フィルム50は、顔の上方に向かって回動して跳ね上げられた状態となっている。
【0038】
第3状態では、第1状態にあるときから第1延出部14及び第2延出部18が約180度回転して切り込み34に沿って切り込み34と隣り合う位置に至っている。この状態で第1延出部14及び第2延出部18をキー溝である切り込み34から引き出すことにより、第1延出部14及び第2延出部18を第1支持部15及び第2支持部19から脱離させることができる。
【0039】
なお、第1支持部15及び第2支持部19は、フィルム50側に固定される構造に限定されない。
図8に示すように、例えば、フレーム10側に回転可能に固定し、フィルム50とは、取り外し可能に取り付けてもよい。具体的に説明すると、第2支持部19は、後側に第2延出部18が収容可能な大きさの溝36が設けられており、溝36内では、不図示の保持機構により連結部37を回転軸として第2延出部18を回転可能に保持している。一方、前側には、フィルムを挟み込んで支持するための空隙が設けられており、フィルム50を挟持したときに、フィルム50の横幅方向における一端部に形成された嵌合孔39と対応する位置に嵌合孔38が設けられている。これにより、空隙にフィルム50を挟持したうえで、第2支持部19の嵌合孔38及びフィルム50の嵌合孔39を重ねた状態で留め具である不図示のビスを挿し込み、その挿し込まれたビスが嵌合孔38及び嵌合孔39に嵌合することにより、第2支持部19がフィルム50の横幅方向の一端部に固定される。上記の構成により、連結部37を支点に第2延出部18を回転させることにより、フィルム50の一端部をフレーム10に対して回転させることができる。
【0040】
以上までに説明してきたフレーム10が利用者の頭部に装着された状態(以下、フレーム装着状態という。)では、
図3及び4に示すように、フレーム後部11が利用者の後頭部に沿って後頭部と当接する。
【0041】
また、フレーム装着状態では、第1対向部12が一方(具体的には左側)の側頭部と当接し、不図示ではあるが、第2対向部16が他方(具体的には右側)の側頭部と当接する。より詳しく説明すると、フレーム後部11が弾性変形した状態でフレーム10が頭部に装着されるため、フレーム10には復元力が発生する。この復元力により、フレーム10は、第1対向部12と第2対向部16とにより頭部を挟み込んだ状態で装着され、フレーム10の装着状態を良好に維持することができる。
【0042】
また、フレーム装着状態では、
図3及び4に示すように、第1対向部12及び第2対向部16が、利用者の耳の付け根よりも上側から前側(顔側)にかけて位置することになる。つまり、第1対向部12及び第2対向部16の各々は、少なくとも耳の付け根よりも上側の位置で側頭部と当接する。このように、第1実施形態に係るフレーム10は、眼鏡のフレーム(ツル部分)のように耳の付け根に引っ掛けた状態で装着される。
【0043】
また、第1屈曲部13及び第2屈曲部17の各々が、耳よりも前方(顔側)に位置し、耳の付け根の上端部と同じ高さ又は若干上方位置に配置される。さらに、第1延出部14及び第2延出部18の各々が、耳よりも前方(顔側)に位置し、耳の付け根の上端部よりも上方位置に配置される。より具体的に説明すると、第1屈曲部13及び第2屈曲部17の各々は、例えば、こめかみ付近に配置され、第1延出部14及び第2延出部18の各々は、例えば、こみかみ付近よりも上方に配置される(
図3及び4参照)。
【0044】
そして、フレーム装着状態であって、且つフレーム10が第1状態にあると、
図3に示すように、フィルム50が利用者の顔の正面で顔と対向するようになる。この際、フィルム50の少なくとも一部は、顔の口部分の前方に位置する。換言すると、フレーム装着状態では、第1支持部15及び第2支持部19により支持されたフィルム50が、フィルム50によって少なくとも顔の口部分が覆われる位置(以下、使用位置ともいう)に配置される。
【0045】
図1乃至4に示すフェイスシールドガード型の保護具1のように、上下方向の長さが十分に長いフィルム50が用いられる場合、フレーム10が第1状態にあると、第1支持部15及び第2支持部19により支持されるフィルム50が、フィルム50によって顔の全体が覆われる位置に配置される。
【0046】
また、フレーム10が第1状態から第2状態に遷移することでフィルム50がフレーム10に対して回転すると、フィルム50が、
図3に示す使用位置から、
図4に示す退避位置へ移動する。つまり、フィルム50は、顔の上方に向かって回動して跳ね上げられる。このようにフレーム10の状態を第1状態と第2状態都の間で切り替えることにより、フィルム50を使用位置から退避位置へ、あるいは退避位置から使用位置へ容易に移動させることができる。
【0047】
また、フレーム10が第2状態にあるときには、
図4に示すようにフレーム10の第1延出部14及び第2延出部18からフィルム50が離間しているため、フレーム10の着脱が容易になる。また、装着時においても、フィルム50を跳ね上げて、第1状態から第2状態に変化させれば、飲食のためにわざわざフレーム10を取外す必要もなくなり、フィルム50を装着したまま、飲食をすることも可能になる。さらに、フレーム10を第1状態から第3状態に遷移させることで、フィルム50を第1支持部15及び第2支持部19とともにフレーム10(正確には、フレーム10中、第1支持部15及び第2支持部19を除く部分)から容易に取り外すことができる。このようにフレーム10の着脱し易さ、及び、保護具1を使用する際の利便性が向上することで、後頭部にフレームを支持させる構造の保護具1について、利用者に掛かる負担を軽減することができる。
【0048】
また、第1実施形態のフレーム10では、装着感に優れる。すなわち、フレーム装着状態において、フィルム50及びフレーム10が利用者の顔に触れないため、保護具1の装着中に顔に掛かる負荷(フィルム50及びフレーム10からの接触圧)を抑えることができる。
【0049】
また、フレーム10は、フレーム装着状態では後頭部及び側頭部付近に配置されることになるので、フレーム10が利用者の視界に入らない(視野が広くなる)うえ、保護具1を装着した利用者の顔を正面から見た際には目立たない。さらにはフィルム50の透明性を高めることで、透明板の存在を認識しにくい視覚的効果を与えることができる。
【0050】
さらに、フレーム10は、顔の正面にフィルム50を保持するために利用者の後頭部に回り込み、利用者の耳に引っ掛けた状態で装着されるため、フレーム10の前側(すなわち、フィルム50側)では、フィルム50の自重に起因する下向きの力がフレーム10に作用する。この負荷により、フレーム10が利用者の耳に引っ掛けられた箇所を支点として回転しようとするが、フレーム後部11が後頭部に引っ掛かることにより、上記の力に抗してフレーム装着状態を良好に維持することができる。
【0051】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係るフレーム(以下、フレーム20)について、
図9及び10を参照しながら説明する。また、第2実施形態のフレーム20は、所謂マウスシールド型の保護具1Xに用いられるフレーム20であり、フィルム50としては、上下方向の長さが比較的短いフィルム50が用いられる。
【0052】
フレーム20は、第1実施形態のフレーム10と同様、
図9及び10に示す保護具1Xを構成するものであり、顔面保護用のフィルム50を固定し、利用者の頭部に装着可能である。フレーム20の材質については、第1実施形態のフレーム10と共通するため、説明を省略することとする。なお、フレーム20の一部は、第1実施形態と同様、フレーム装着時に目立ちにくくするために細くする理由から金属、特にワイヤ等の線状金属材料によって構成されるのが好ましい。
【0053】
以下では、フレーム20の構造のうち、第1実施形態のフレーム10と異なる点を中心に説明する。フレーム20は、
図9及び10に示すように、横幅方向の中央位置を基準として対称(左右対称)な構造である。フレーム20は、フレーム後部21、第1対向部22、第1屈曲部23、第1延出部24、及び、第1支持部25を有する。なお、横幅方向の反対側には、第2対向部、第2屈曲部、第2延出部、及び、第2支持部を有するが、対称な構造であるため、図示を省略する。
【0054】
フレーム20の第1対向部22及び不図示の第2対向部は、第1実施形態のフレーム10の第1対向部12及び第2対向部16とは異なる形状で湾曲している。
【0055】
また、第1屈曲部23は、
図9及び10に示すように、第1実施形態のフレーム10とは異なり、第1対向部22とは反対側の端が頭部(顔)の下方を向くように略L字状に屈曲している。なお、不図示の第2屈曲部は、第1屈曲部23と対称形状であり、第2対向部とは反対側の端が頭部(顔)の下方を向くように略L字状に屈曲している。
【0056】
第1延出部24は、
図9及び10に示すように、第1屈曲部23における第1対向部22とは反対側の端(下端)から頭部(顔)の下方に延出した部分である。なお、不図示の第2延出部は、第1延出部24と対称形状であり、第2屈曲部における第2対向部とは反対側の端(下端)から頭部(顔)の下方に延出した部分である。また、第1延出部24及び第2延出部の端部には、第1支持部25及び不図示の第2支持部が各々取り付けられている。
【0057】
第2実施形態のフレーム20においても、第1支持部25及び第2支持部によってフィルム50の横幅方向端部が支持される。つまり、フィルム50は、第1延出部24及び第2延出部に対して回転可能な状態で第1支持部25及び第2支持部に支持される。これにより、フレーム20における2つの側端部の間にフィルム50が弓形に撓んだ状態で掛け渡される。
【0058】
フレーム装着状態では、
図9及び10に示すように、フレーム後部21が利用者の後頭部に沿って後頭部と当接する。そして、フレーム装着状態であって、且つフレーム20が第1状態である場合には、
図9に示すようにフィルム50が利用者の顔の正面で顔と対向するようになる。この際、フィルム50の少なくとも一部は、顔の口部分の前方に位置する。換言すると、フレーム装着状態では、第1支持部25及び第2支持部により支持されたフィルム50が、フィルム50によって少なくとも顔の口部分が覆われる位置に配置される。
【0059】
一方、第2実施形態においても、第1実施形態と同様、フィルム50は、フレーム20に対して回転可能に固定されている。つまり、第2実施形態においても、フィルム50は、
図9及び10に示すように使用位置と退避位置との間を移動自在に構成されている。そのため、フレーム装着状態においても、フレーム20を第1状態から第2状態に遷移させてフィルム50を倒し下げると、飲食のためにフレーム20を取り外す手間を要さず、フレーム20を装着したまま飲食が可能になる。このようにフレーム20の着脱し易さ、及び、保護具1Xを使用する際の利便性が向上することで、利用者に掛かる負担を軽減することができる。
【0060】
(その他の実施形態)
以上までに、本発明のフレーム及び保護具について、具体的な二つの実施形態を挙げて説明してきたが、上述した実施形態は、あくまでも一例に過ぎず、他の実施形態も考えられ得る。
【0061】
上記の実施形態では、フレーム装着状態においてフレーム後部11,21が利用者の後頭部に当接することとしたが、これに限定されるものではない。フレーム装着状態において、フレーム後部11,21は、後頭部から若干浮いた位置(離間した位置)に配置されてもよい。
【0062】
また、第1実施形態では、フレーム10がフレーム後部11、第1対向部12、第1屈曲部13、第1延出部14、第1支持部15、第2対向部16、第2屈曲部17、第2延出部18及び第2支持部19を備えるが、これら以外の部分、例えば加飾用に設けられた延出部分をさらに備えてもよい。同様に、第2実施形態においても、例えば、加飾用の延出部分をさらに備えてもよい。
【0063】
また、保護具1,1Xの用途については、特に限定されないが、対面接客用、医療用、調理用、介護用、教育用又は事務作業用等の様々な分野において、本発明の保護具及びフレームは利用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1,1X 保護具
10 フレーム
11 フレーム後部
12 第1対向部
13 第1屈曲部
14 第1延出部
14a 第1軸部
15 第1支持部
16 第2対向部
17 第2屈曲部
18 第2延出部
18a 第2軸部
19 第2支持部
20 フレーム
21 フレーム後部
22 第1対向部
23 第1屈曲部
24 第1延出部
25 第1支持部
31 外側部材
32 内側部材
33 挿入孔
34 切り込み
35 ビス
36 溝
37 連結部
38 嵌合孔
39 嵌合孔
50 フィルム