(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126997
(43)【公開日】2022-08-31
(54)【発明の名称】ワンタッチネクタイ
(51)【国際特許分類】
A41D 25/02 20060101AFI20220824BHJP
【FI】
A41D25/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024900
(22)【出願日】2021-02-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 展示会名:2021 SPRING & SUMMER Cool With Hot Scene 展示日 :2020年10月14日~16日、21日~23日 [刊行物等] カタログ名:2021 SPRING & SUMMER Cool With Hot Scene カタログ配布日:2020年10月14日~16日、21日~23日 [刊行物等] 展示会名:時代が生んだ新定番スタイル Father’s Day Jobs & Lives of Next Generation 2021 展示日 :2021年1月27日~29日、2月3日~5日 [刊行物等] カタログ名:時代が生んだ新定番スタイル Father’s Day Jobs & Lives of Next Generation 2021 カタログ配布日:2021年1月27日~29日、2月3日~5日
(71)【出願人】
【識別番号】300046902
【氏名又は名称】株式会社オックスフォード広島屋
(74)【代理人】
【識別番号】100118924
【弁理士】
【氏名又は名称】廣幸 正樹
(72)【発明者】
【氏名】速水 秀樹
(57)【要約】
【課題】襟回りに巻き付けることなく、簡便な操作で装着できるネクタイは提案されているが、装着後の微調節を行ったり、ネクタイを緩めるという動作が行えるものはなかった。
【解決手段】少なくともノットと、前記ノットの下方に連続して形成される大剣部を有する外形織物およびネクタイ側磁性体を有するネクタイ部と、
ワイシャツ側に取り付けられ、クリップ側磁性体を有するクリップ部を有し、
前記クリップ側磁性体と、前記ネクタイ側磁性体のうち、一方が他方より長い寸法で形成されていることを特徴とするワンタッチネクタイは、クリップ部を付け替えれば、デザインの異なるワイシャツにも、装着状態に締めることができ、さらに、ノットを引き下げることでネクタイを緩めるという模擬操作を行うことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともノットと、前記ノットの下方に連続して形成される大剣部を有する外形織物およびネクタイ側磁性体を有するネクタイ部と、
ワイシャツ側に取り付けられ、クリップ側磁性体を有するクリップ部を有し、
前記クリップ側磁性体と、前記ネクタイ側磁性体のうち、一方が他方より長い寸法で形成されていることを特徴とするワンタッチネクタイ。
【請求項2】
前記ネクタイ部は、
本体と、
前記本体上部の接合部から斜め上方向に延設された一対の腕部を有し、
前記本体裏面に前記ネクタイ側磁性体を有するY字状のネクタイ留め具と、
前記ネクタイ留め具の前記接合部に前記ノットが形成される前記外形織物と
で構成され、
前記クリップ部は、
一対のクリップ片がヒンジで連結され、
前記クリップ片にクリップ側磁性体が配されており、
前記ネクタイ側磁性体が前記クリップ側磁性体より長い寸法である
ことを特徴とする請求項1に記載されたワンタッチネクタイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、襟回りに巻き付けて固定する従来のネクタイではなく、ワンタッチで簡便に装着できるネクタイに関する。
【背景技術】
【0002】
クールビズが提唱され、夏場でのネクタイ着用を緩和する企業が増えてきた。しかし、冬場や就職活動、営業活動においては、まだまだネクタイ着用が正装とされる機会は多い。ネクタイは一方の端に大剣形状、他方の端に小剣形状を有する1本の布製で、通常襟元にノットと呼ばれる結び目を作り、その下に大剣部が表側にくるように結ばれる。
【0003】
この結び方は複数種知られているが、どの方法を用いても、表に来る大剣部の長さの調節を行う必要がある。そのため、ネクタイの装着は、簡単にできるものではなく、慣れと手間が必要となる。
【0004】
特許文献1は、ワイシャツの襟に直接縛ることなく装着できるネクタイ用具として、Y字形状の本体の先にボタンに固定する器具を連結したネクタイ固定具が開示されている。つまり、ネクタイ固定具に予めネクタイを結んでおき、ボタンへの固定器具でワイシャツの第1ボタンに固定し、Y字の腕部分をワイシャツの襟下に挿入して固定する。
【0005】
一方特許文献2には、一定の縦長さの着用時形状に成形されたネクタイの上部に一定の横間隔で一対の吸着体となる磁石が設けられ、シャツの襟元の襟下の一定の横間隔位置の襟首内に、前記ネクタイの一対の磁石が吸着する吸着受けが設けられ、ネクタイをシャツに一定の強さの磁力による吸着力で取り付ける磁石を有するネクタイとシャツの吸着取付構造が開示されている。
【0006】
磁石を利用した簡単にネクタイを装着する発明としては、特許文献3や特許文献4などもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3121634号公報
【特許文献2】特開2009-041163号公報
【特許文献3】実用新案登録第3132296号公報
【特許文献4】特開2017-078236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の技術で示されたものは、ネクタイを素早く装着するためのもので、本明細書では以下「ワンタッチネクタイ」と呼ぶ。つまり、ワンタッチネクタイには、予めネクタイ留め具にネクタイを巻き付けておき、ネクタイ留め具をワイシャツの台衿ボタンの部分や襟元を利用して固定するタイプや、磁石を使って固定するタイプのものが発案されている。
【0009】
しかし、これらのものは、予め取付位置を調整しておく必要があり、装着してから微調節を行うことはできない。また、ネクタイを装着したままノットの部分を緩めたり(ノット部分を下げる)、再度締め直す(ノット部分を引き上げる)といった動作はできない。
【0010】
ワンタッチネクタイは、実際に襟に巻き付けるものではないので、実際に襟元が息苦しいといったことは少ないが、ノットの部分を上下させることは精神的な緊張と緩和をもたらすもので、できることが好ましい。
【0011】
また、従来のワンタッチネクタイでは、ワイシャツの台衿ボタンを締めておかないと装着できないものもあり、台衿ボタンを外して装着したいという要望もある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記の課題に鑑みて想到されたものであり、一定の範囲でノットを上げたり下げたりすることができるワンタッチネクタイを提供するものである。
【0013】
より具体的に本発明に係るワンタッチネクタイは、
少なくともノットと、前記ノットの下方に連続して形成される大剣部を有する外形織物およびネクタイ側磁性体を有するネクタイ部と、
ワイシャツ側に取り付けられ、クリップ側磁性体を有するクリップ部を有し、
前記クリップ側磁性体と、前記ネクタイ側磁性体のうち、一方が他方より長い寸法で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るワンタッチネクタイは、ネクタイの外観にあたる外形織物にネクタイ側磁性体を持たせたネクタイ部と、クリップ側磁性体を有するクリップ部を有することで、クリップ部をワイシャツに留めれば、ネクタイ部のネクタイ側磁性体をクリップ側磁性体と吸着させ、ワンタッチでネクタイ部をワイシャツに装着することができる。
【0015】
また、ネクタイ側磁性体と、クリップ側磁性体の一方が他方より長い寸法で形成されているので、ネクタイ部だけを上下に移動させることができる。すなわち、ネクタイを締めたり、緩めたりするような動作を行うことができる。
【0016】
また、ネクタイ側磁性体は、ネクタイ部のノットより下側に配置させることができるので、ワイシャツの台衿ボタンを留めなくても、ネクタイ部を装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るワンタッチネクタイを構成するネクタイ部とクリップ部を示す図である。
【
図2】ネクタイ部のネクタイ留め具の斜視図である。
【
図3】装着された時のネクタイ部とクリップ部の位置関係を示す図である。
【
図4】ワンタッチネクタイの他の構成を示す図である。
【
図5】実施例の外形織物とクリップ部を示す図である。
【
図7】ネクタイ部の組立と、装着状態の側面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明に係るワンタッチネクタイ1について図面を示し説明を行う。なお、以下の説明は、本発明の一実施形態を例示するものであり、本発明が以下の説明に限定されるものではない。以下の説明は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変することができる。
【0019】
また、以下の説明においては、ワンタッチネクタイ1の装着者の胸から首元に向かう方向を「上」とし、その逆方向を「下」とする。また、ワンタッチネクタイ1の各部については、装着者から見て、体に近い方を「裏」、遠い方を「表」とする。
【0020】
また、本明細書において「装着状態」とは、第三者が見て、装着者がネクタイを締めているように見える状態である。言い換えると、ワンタッチネクタイ1のノット14aがワイシャツの左右の襟の間(台衿ボタンの表側)に配置された状態である。
【0021】
図1に本発明に係るワンタッチネクタイ1の構成を示す。
図1(a)はネクタイ部10の裏側を見る斜視図であり、
図1(b)は表側を見る斜視図であり、
図1(c)は、クリップ部50を示す図である。ワンタッチネクタイ1は、ネクタイ部10(
図1(a)、
図1(b))とクリップ部50(
図1(c))で構成されている。ネクタイ部10は、ネクタイとして見える外形織物12と、外形織物12を支持するネクタイ留め具20で構成される。
【0022】
外形織物12は、少なくともノット14aとそれに続く大剣部16を有する。ノット14aと大剣部16の間にはディンプル18が形成されていてもよい。つまり、外形織物12は、装着した際に他人が見ることができる体の表側に露出している部分について、通常ネクタイと同様に見えればよい。したがって、通常のネクタイが有する小剣部はなくてもよい。
【0023】
外形織物12は、ワンタッチネクタイ1のために特別に作られたものであってよいが、もちろん、通常のネクタイを用いてもよい。また、ネクタイ留め具20は裏面にネクタイ側磁性体40が配置されている。
【0024】
クリップ部50はクリップ側磁性体60を有し、ワイシャツ側に固定されるものである。クリップ側磁性体60は、装着者がワンタッチネクタイ1を装着状態にした時に、ネクタイ側磁性体40と対向し磁力で吸着することで、ネクタイ部10をワイシャツに固定する。クリップ部50のワイシャツへの固定方法は特に限定されない。固定方法としては、例えば、弾性体(バネを含む)で付勢を利用する、磁力を利用する、針と針受けでワイシャツに固定する(タイ・タック型)といった方式が例示でき、形態としてはさまざまな形態を含みうる。
【0025】
クリップ部50の好適な形態としては、
図1に示すように、一対のクリップ片52がヒンジ54で連結されたものである。互いのクリップ片52は、ヒンジ54の部分で折れ曲がり、互いのクリップ片52の内側が接触することができる。クリップ部50は、樹脂、厚紙、布、若しくはこれらの組み合わせによって形成されている。これ以外の材質であってもよいが、磁性体でないことが望ましい。クリップ側磁性体60は互いのクリップ片52に配置され、固定されている。
【0026】
図2にネクタイ留め具20だけを示す。
図2(a)はネクタイ留め具20の表側から見た斜視図であり、
図2(b)は裏側から見た斜視図である。ネクタイ留め具20は、正面視(表面視)Y字形状をしている部材で、縦長の本体22の上端から左右の斜め上方向に延びる腕部36を有する。言い換えると、腕部36の根元は本体22上部と接合されている。接合されている部分を接合部24と呼ぶ。したがって、本体22上部と腕部36、および腕部36同士は、接合部24で接合されているとも言える。
【0027】
ネクタイ留め具20は、樹脂で形成されることができる。しかし、樹脂に限らず、厚布、厚紙、厚布や厚紙の中に金属板を挟んだものなど、ある程度の柔軟性を有する構造であってもよい。
【0028】
本体22は、外形織物12のノット14a(
図1参照)および大剣部16の真裏にあたる本体表面22aとその裏側にあたる本体裏面22bを有する。本体裏面22bには、ネクタイ側磁性体40が固定されるネクタイ側磁性体固定部26が形成されている。ネクタイ側磁性体固定部26は接合部24より下方に形成される。つまり、ネクタイ側磁性体40は、ワンタッチネクタイ1のノット14aより下方に配置されている。
【0029】
なお、ネクタイ側磁性体40の固定方法は、特に限定されるものではなく、本体裏面22bに形成された係止爪で固定される若しくは本体裏面22bに接着剤で固定される等、様々な固定方法を採用することができる。
【0030】
本体22の幅22wは、10mm~20mm程度であり、外形織物12で一番細くなるディンプル18の部分より細くなるのが望ましい。なお「~」は以上、以下を表す。本体22の長さ22Lは50mm~100mm程度である。ネクタイ側磁性体固定部26が、ワイシャツの台衿ボタン(喉元直下にあるボタン。ワイシャツのボタンとしては、最も上にあるボタン。)と第1ボタン(台衿ボタンの次に配置されたボタン。)の間若しくは、第1ボタンと第2ボタン(第1ボタンの下に配置されているボタン。)の間に配置される程度の長さがあるのが望ましい。
【0031】
腕部36は、本体22上部の接合部24から互いに離れる様に斜め上方向に延設された部分である。「Y字の腕部分」と言ってもよい。互いの腕部36のなす角度は60度~90度程度の角度が好適である。腕部36の長さは50mm~100mm程度である。腕部36は、ワイシャツの襟下に挿入され、ワンタッチネクタイ1が左右にぶれないようにする。
【0032】
ネクタイ側磁性体40およびクリップ側磁性体60は、互いに対向状態で吸着することで、ワンタッチネクタイ1が装着状態に固定される。
【0033】
ネクタイ側磁性体40とクリップ側磁性体60の内、少なくとも1つは、永久磁石である。永久磁石でない方は、鉄、コバルト、ニッケルといった磁性金属元素を含む材料を用いる。もちろん、両方とも永久磁石であってもよい。
【0034】
永久磁石の材料としては、限定されるものではなく、アルニコ磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石等が好適に利用できる。ワンタッチネクタイ1に使用する磁石は全体を薄く形成し、表裏の面を帯磁させたものを利用する。したがって、薄くしても外部磁界を得やすい、サマリウムコバルト磁石やネオジム磁石といった磁力の大きな磁石を利用するのが好適である。
【0035】
なお、磁石を複数利用する場合は、磁石の対向する面同士を互いに異極にし、互いに引力が働ように配置しなければならない。
【0036】
図3に本発明の使用状況を説明する。
図3では、ワイシャツに固定されたクリップ部50と、ネクタイ部10のネクタイ側磁性体40が吸着する状態を側面視したものである。クリップ部50は、ワイシャツの台衿ボタンと第1ボタン、若しくは第1ボタンと第2ボタンの間に固定する。そして、ネクタイ部10のネクタイ側磁性体40が、クリップ部50のクリップ側磁性体60と対向する位置に移動させ、吸着させる。
図3では、説明のためにクリップ部50のクリップ側磁性体60とネクタイ部10のネクタイ側磁性体40の間は隙間を開けて示しているが、使用時には。クリップ部50のクリップ側磁性体60とネクタイ部10のネクタイ側磁性体40は吸着している。
【0037】
本発明においては、ネクタイ側磁性体40と、クリップ側磁性体60の一方が他方より長い寸法で形成されている点が特徴である。
図3の場合は、ネクタイ側磁性体40がクリップ側磁性体60より長い寸法で形成されている。そのため、ワイシャツに固定されたクリップ部50に対して、ネクタイ部10は上下することが可能となる。この際、クリップ部50とネクタイ部10が磁力によって連結したまま上下できることを意味する。
【0038】
図3(a)では、ネクタイ部10が下がっている状態を示し、
図3(b)ではネクタイ部10が上がっている状態を示している。両図において、クリップ部50はワイシャツに固定されている状態を示す。。
【0039】
この動きは、ワンタッチネクタイ1を装着状態にする際の微調節に有用な動きである。そのため、種類の異なるワイシャツ毎にワンタッチネクタイ1の装着状態を微調節することが可能である。また、ネクタイを緩めるといった動作を真似ることもできる(これを「模擬操作」と呼ぶ。)。装着したワンタッチネクタイ1を下方向に下げ、ネクタイを緩める模擬操作は、精神的休息感を得ることもできる。
【0040】
また、本発明は、ネクタイ部10とクリップ部50に設けられたネクタイ側磁性体40と、クリップ側磁性体60の寸法が異なっていればよい。例えば
図4に示すように、ネクタイ留め具20の腕部36にネクタイ側磁性体40が備えられており、クリップ部50として首の後側の襟下に配置される半首輪形状の先端にもクリップ側磁性体60を備え、それらの寸法が異なるように形成してもよい。
図4では、クリップ側磁性体60の寸法がネクタイ側磁性体40より長い場合を示している。
図4のような構成であっても、ネクタイ部10を上下に移動させることができる。
【0041】
ネクタイ側磁性体40とクリップ側磁性体60の寸法の違いは、ネクタイ部10が7mm~20mm上下に移動できればよい。移動できる長さが短いと緩める模擬操作の感覚を得ることができず、微調節幅も小さくなる。一方、移動できる長さが長いと磁性体の長さ自体が長くなり、ワンタッチネクタイ1として重量が重くなる。
【0042】
また、ネクタイ側磁性体40とクリップ側磁性体60の寸法の違いは、外形織物12のノット14aが上下に移動するような方向での寸法の違いを言う。例えば、
図1のようにネクタイ留め具20の本体裏面22b側とクリップ部50にそれぞれネクタイ側磁性体40とクリップ側磁性体60を配置させる場合、「寸法の違い」とは、装着者が装着した時のネクタイ側磁性体40とクリップ側磁性体60の上下方向の寸法の違いをいう。
【0043】
図4の場合であれば、半首輪形状のクリップ部50の長さ方向とネクタイ留め具20の腕部36の長さ方向(ここれらの箇所にクリップ部側磁性体60とネクタイ側磁性体40が配置されている。)の寸法の違いをいう。
【実施例0044】
図5(a)および
図5(b)に示す外形織物12と、
図6に示すネクタイ留め具20と、
図5(c)に示すクリップ部50を作製した。
図5を参照して、
図5(a)は大剣部16の表側16aを見た図であり、
図5(b)は大剣部16の裏面16bを見た図である。外形織物12は、通常のネクタイの小剣部を切断し、ノット14aとなる環14を縫い付けたものである。後述するように、
図5(b)の大剣部16の先端16sをそのままノット14aの上部14auから環14に通し、締めることで形成した。したがって、環14は、ノット14aが大剣部16の裏面16b側にできるように縫い付けた。
【0045】
図6を参照する。
図6(a)はネクタイ留め具20の表面視した図であり、
図6(b)は、側面視した図であり、
図6(c)は裏面視した図である。ネクタイ留め具20は、ABS樹脂で成型したものである。表面視すると、本体22は、幅15mm~18mmで形成した。腕部36は正面視した際に厚さ2mm~3mmで、側面視すると7mmとした。外形織物12のノット14aが巻き付かれる両腕部36と本体22の接合部24は、表面視した際に、緩やかな曲線で略逆三角形状に形成した。
【0046】
本体22の下方にはネクタイ側磁性体固定部26を設けた(
図6(c)裏面視参照)。ネクタイ側磁性体固定部26は、四隅に固定用爪を設け、30mm×15mm×2mmの平板磁石を固定できるようにした。また、下端には、外形織物12を縫い留めできるように貫通孔22hを設けた。
【0047】
本体22を側面視すると、本体表面22aは、下端から接合部24まで平坦に成型した。ネクタイ側磁性体固定部26は薄く、両腕部36と本体22の接合部24に向かって、2段の傾斜部34を設けて、本体裏面22b側は分厚く成型した。ここを厚肉部32とする。すなわち、接合部24の本体裏面22bには厚肉部32が形成されている。
【0048】
腕部36は本体表面22aよりも本体裏面22b側に向かって少し抉った。一方、本体裏面22b側では、接合部24から本体表面22a側に向かって抉り、腕部36の中央付近から側面視した時の幅が一定になるように形成した。
【0049】
図5(c)を参照して、クリップ部50は30mm×65mmの型紙を、中央部で折り目をつけヒンジ54を形成し、一対のクリップ片52がヒンジ54で連結された形状を形成した。それぞれのクリップ片52上に直径15mm、厚さ2mmの円磁石を2つ固定した(クリップ側磁性体60)。全体に布をかけて、周囲を縫製することで、磁石によるクリップ部50を形成した。なお、クリップ部50の磁石はクリップ片52同士が閉じた際に引力が働く方向に固定した。
【0050】
また、ネクタイ留め具20のネクタイ側磁性体固定部26に配置させたネクタイ側磁性体40と引力関係になる側に印を入れた。ネクタイ側磁性体40も永久磁石を用いたので、3つの磁石の対向面が異極同士にする必要がある。クリップ部50はクリップ片52のどちらを表側にしてもワイシャツに取り付けることができるため、吸着面が判るようにしておかないと、ネクタイ側磁性体40とクリップ側磁性体60の対向面が斥力を生むことになり、ネクタイ部10が固定されないからである。
【0051】
図7(a)を参照する。次に外形織物12をネクタイ留め具20に締め付けた。より具体的には、ネクタイ留め具20の下端(貫通孔22hのある側)をノット14aとなる環14に差し込み、大剣部16の先端16sをノット14a上部14auから差し込み、形を整えることでネクタイ部10(
図1(a)、
図1(b)参照。)を作製した。
【0052】
ワイシャツの台衿ボタンと第1ボタンの間に印が表になるようにクリップ部50を挟み、ネクタイ部10の両腕部36を両襟の襟下に差し込み、ネクタイ側磁性体40とクリップ側磁性体60を吸着させた。ネクタイ部10を上に引き上げ、ノット14aの位置を微調節し、ワンタッチネクタイ1を装着した。
【0053】
このワンタッチネクタイ1は、ノット14aに人差し指をかけ、下におろすと、約10mm程度ノット14aが下がり、本物のネクタイを緩める模擬操作を行うことができた。
【0054】
図7(b)を参照する。また、ネクタイ側磁性体固定部26より、接合部24に形成した厚肉部32が厚いため、接合部24がワイシャツ表面より表側に突き出て、ノット14a上端も表側に少し突出する。そのため、ネクタイとして綺麗に締めたような外見を得ることができた。
【0055】
また、ネクタイ留め具20の腕部36はノット14aよりもさらに表側に突出することとなるが、人体が胸元から喉にかけて裏側に傾斜していくので、ワイシャツの襟がしっかりと立ったように見え、ノット14aと共に、装着者の襟元が、綺麗に強調されるような外観を得ることができた。