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特開2022-128700乾燥機管理方法、乾燥機管理装置、乾燥機管理システム、及び乾燥機管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128700
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】乾燥機管理方法、乾燥機管理装置、乾燥機管理システム、及び乾燥機管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   F26B 9/06 20060101AFI20220829BHJP
   F26B 25/00 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
F26B9/06 B
F26B25/00 C
F26B25/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021027062
(22)【出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】古市 光洋
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AC78
3L113BA18
3L113CA02
3L113DA22
(57)【要約】
【課題】相対的に高い負荷で稼働することにより劣化した部品を検出する乾燥機管理装置を提供する。
【解決手段】乾燥機管理装置100は、データ記憶部150と、時間算出部160と、劣化部品検出部170と、出力部180とを備える。データ記憶部150は、乾燥機300が穀物を乾燥している稼働時間と、稼働時間のうちの各時間における穀物の水分値とを記憶する。時間算出部160は、水分値に基づき、乾燥機300の負荷に応じた仮想稼働時間を算出する。劣化部品検出部170は、仮想稼働時間に基づき、乾燥機300の部品のうち劣化している劣化部品を検出する。出力部180は、劣化部品が劣化していることを表す劣化部品信号を出力する。仮想稼働時間は、乾燥機300が相対的に高い負荷で稼働しているときに実際の実稼働時間より長くなるように算出される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥機が穀物を乾燥している稼働時間と、前記稼働時間のうちの各時間における前記穀物の水分値とを記憶することと、
前記水分値に基づき、前記乾燥機の負荷に応じた仮想稼働時間を算出することと、
前記仮想稼働時間に基づき、前記乾燥機の部品のうち劣化している劣化部品を検出することと、
前記劣化部品が劣化していることを表す劣化部品信号を出力することと、
を含み、
前記仮想稼働時間は、前記乾燥機が相対的に高い負荷で稼働しているときに実際の実稼働時間より長くなるように算出される
乾燥機管理方法。
【請求項2】
前記仮想稼働時間を算出することは、
前記水分値に基づき、前記乾燥機が相対的に高い負荷で稼働している高負荷時間を算出することと、
前記高負荷時間と前記稼働時間とに基づき、前記仮想稼働時間を算出することと、
を含む請求項1に記載の乾燥機管理方法。
【請求項3】
前記高負荷時間は、前記水分値が閾値より大きい前記穀物を乾燥しているときの時間である
請求項2に記載の乾燥機管理方法。
【請求項4】
前記稼働時間と、前記水分値とを記憶することは、前記乾燥機の前記部品と、前記部品を交換すべき交換時期とを記憶することを含み
前記交換時期は、前記乾燥機が穀物を乾燥している前記稼働時間により表され、
前記劣化部品を検出することは、前記交換時期と、前記仮想稼働時間とを比較して前記劣化部品を検出することを含む
請求項1から3のいずれか1項に記載の乾燥機管理方法。
【請求項5】
前記乾燥機のエラーを表すエラー情報に基づき、前記エラーに関連する関連部品を抽出することと、
前記関連部品から劣化している前記劣化部品を検出することと、
前記劣化部品を交換することを表す部品交換信号を出力することと、
を含む請求項1から4のいずれか1項に記載の乾燥機管理方法。
【請求項6】
乾燥機が穀物を乾燥している稼働時間と、前記稼働時間のうちの各時間における前記穀物の水分値とを記憶するデータ記憶部と、
前記水分値に基づき、前記乾燥機の負荷に応じた仮想稼働時間を算出する時間算出部と、
前記仮想稼働時間に基づき、前記乾燥機の部品のうち劣化している劣化部品を検出する劣化部品検出部と、
前記劣化部品が劣化していることを表す劣化部品信号を出力する出力部と、
を備え、
前記仮想稼働時間は、前記乾燥機が相対的に高い負荷で稼働しているときに実際の実稼働時間より長くなるように算出される
乾燥機管理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の乾燥機管理装置と、
前記乾燥機と、
を備え、
前記乾燥機は、前記穀物を乾燥している前記稼働時間と、前記水分値とを表す稼働情報を出力し、
前記データ記憶部は、前記稼働情報を記憶する
乾燥機管理システム。
【請求項8】
乾燥機が穀物を乾燥している稼働時間と、前記稼働時間のうちの各時間における前記穀物の水分値とを記憶することと、
前記水分値に基づき、前記乾燥機の負荷に応じた仮想稼働時間を算出することと、
前記仮想稼働時間に基づき、前記乾燥機の部品のうち劣化している劣化部品を検出することと、
前記劣化部品が劣化していることを表す劣化部品信号を出力することと、
を演算装置に実行させ、
前記仮想稼働時間は、前記乾燥機が相対的に高い負荷で稼働しているときに実際の実稼働時間より長くなるように算出される
乾燥機管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥機管理方法、乾燥機管理装置、乾燥機管理システム、及び乾燥機管理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
収穫された穀物を乾燥する乾燥機の稼働状況を管理することが行われている。
【0003】
特許文献1には、乾燥機を構成する各部品の稼働時間を携帯端末に表示して、ユーザが部品の交換時期を確認することができる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-56569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
圃場において収穫された穀物は、乾燥機により基準水分量になるまで乾燥される。ここで、水分値が大きいほど穀物の籾は重くなるため、水分値が大きいほど乾燥機の主要部品、例えば昇降機、搬送コンベア、ベルトなどへの負荷が大きくなる。このため、同じ稼働時間であっても、水分量が大きい穀物を乾燥しているときと、水分量が小さい穀物を乾燥しているときでは、乾燥機の部品が劣化する程度が異なる。このように、発明者は、乾燥されている穀物の水分量に応じて、乾燥機の部品への負荷が変わることを見出した。
【0006】
しかし、特許文献1に記載の技術は、穀物の水分量が考慮されておらず、乾燥機の稼働時間に応じて部品の交換時期を通知している。
【0007】
上記の状況に鑑み、本開示は、相対的に高い負荷で稼働することにより劣化した部品を検出する乾燥機管理方法を提供することを目的の1つとする。他の目的については、以下の記載及び実施の形態の説明から理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0009】
上記目的を達成するための一実施の形態による乾燥機管理方法は、乾燥機(300)が穀物を乾燥している稼働時間と、稼働時間のうちの各時間における穀物の水分値とを記憶することを含む。また、乾燥機管理方法は、水分値に基づき、乾燥機(300)の負荷に応じた仮想稼働時間を算出することを含む。さらに、乾燥機管理方法は、仮想稼働時間に基づき、乾燥機(300)の部品のうち劣化している劣化部品を検出することを含む。さらに、乾燥機管理方法は、劣化部品が劣化していることを表す劣化部品信号を出力することを含む。仮想稼働時間は、乾燥機(300)が相対的に高い負荷で稼働しているときに実際の実稼働時間より長くなるように算出される。
【0010】
上記目的を達成するための一実施の形態による乾燥機管理装置(100)は、データ記憶部(150)と、時間算出部(160)と、劣化部品検出部(170)と、出力部(180)とを備える。データ記憶部(150)は、乾燥機(300)が穀物を乾燥している稼働時間と、稼働時間のうちの各時間における穀物の水分値とを記憶する。時間算出部(160)は、水分値に基づき、乾燥機(300)の負荷に応じた仮想稼働時間を算出する。劣化部品検出部(170)は、仮想稼働時間に基づき、乾燥機(300)の部品のうち劣化している劣化部品を検出する。出力部(180)は、劣化部品が劣化していることを表す劣化部品信号を出力する。仮想稼働時間は、乾燥機(300)が相対的に高い負荷で稼働しているときに実際の実稼働時間より長くなるように算出される。
【0011】
上記目的を達成するための一実施の形態による乾燥機管理システム(1000)は、前述の乾燥機管理装置(100)と、乾燥機(300)とを備える。乾燥機(300)は、穀物を乾燥している稼働時間と、水分値とを表す稼働情報を出力する。データ記憶部(150)は、稼働情報を記憶する。
【0012】
上記目的を達成するための一実施の形態による乾燥機管理プログラム(520)は、乾燥機(300)が穀物を乾燥している稼働時間と、稼働時間のうちの各時間における穀物の水分値とを記憶することを演算装置(120)に実行させる。また、乾燥機管理プログラム(520)は、水分値に基づき、乾燥機(300)の負荷に応じた仮想稼働時間を算出することを演算装置(120)に実行させる。さらに、乾燥機管理プログラム(520)は、仮想稼働時間に基づき、乾燥機(300)の部品のうち劣化している劣化部品を検出することを演算装置(120)に実行させる。さらに、乾燥機管理プログラム(520)は、劣化部品が劣化していることを表す劣化部品信号を出力することを演算装置(120)に実行させる。仮想稼働時間は、乾燥機(300)が相対的に高い負荷で稼働しているときに実際の実稼働時間より長くなるように算出される。
【発明の効果】
【0013】
上記の形態によれば、相対的に高い負荷で稼働することにより劣化した部品を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施の形態における乾燥機管理システムの概略構成図である。
図2】一実施の形態における稼働履歴データの構成を表す図である。
図3】一実施の形態における部品データの構成を表す図である。
図4】一実施の形態における乾燥機管理システムが実行する機能ブロックを表す図である。
図5】一実施の形態における乾燥機管理システムにより乾燥機の交換部品を報知する処理を表すフローチャートである。
図6】一実施の形態におけるエラーデータの構成を表す図である。
図7】一実施の形態における乾燥機管理システムにより乾燥機のエラーを報知する処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施の形態)
本発明の本実施の形態による乾燥機管理システム1000を、図面を参照して説明する。本実施の形態において、図1に示すように、乾燥機管理システム1000は、乾燥機管理装置100と、端末200と、1つ以上の乾燥機300とを備える。乾燥機管理装置100は、ネットワーク20、例えばインターネットを介して、端末200と、1つ以上の乾燥機300と通信可能に接続されている。
【0016】
例えば、ネットワーク20は、乾燥機300が設置されるポストハーベスト施設400の外部に設けられ、ポストハーベスト施設400内の乾燥機300と、ポストハーベスト施設外の乾燥機管理装置100とを互いに通信可能に接続する。また、ネットワーク20は、乾燥機管理装置100と、端末200とを互いに通信可能に接続する。
【0017】
乾燥機管理装置100は、乾燥機300から稼働情報を取得して、稼働情報に基づき、交換すべき部品を検出するために利用される仮想稼働時間を算出する。仮想稼働時間は、乾燥機300の負荷状態に応じて算出され、相対的に高い負荷で稼働しているときに乾燥機300が実際に稼働した実稼働時間より長くなるように算出される。乾燥機管理装置100は、算出された仮想稼働時間に基づき、劣化した部品を検出し、検出された部品を交換することをユーザ、例えば作業者、乾燥機300のサービスマンなどに報知する。例えば、乾燥機管理装置100は、電子メールをユーザの端末200に送信して、交換部品をユーザに通知する。
【0018】
このように、乾燥機管理装置100は、乾燥機300の負荷状態に応じて算出される仮想稼働時間を用いて交換部品を検出する。これにより、乾燥機管理装置100は、実際に稼働した実稼働時間が短いときでも、相対的に高い負荷で稼働することにより劣化した部品を検出することができる。
【0019】
乾燥機管理システム1000の構成を説明する。乾燥機300は、ポストハーベスト施設400の内部に設置され、圃場で収穫された穀物を乾燥するように構成されている。乾燥機300は、乾燥するために張り込まれた穀物の水分値を所定の時間間隔で測定し、測定された水分値と水分値が測定された時間とを表す情報を稼働情報として乾燥機管理装置100に送信する。また、乾燥機300は、エラー、例えば故障、自己診断により検出される不具合が発生すると、エラーを表すエラー情報を乾燥機管理装置100に送信する。
【0020】
乾燥機管理装置100は、入出力装置110と、演算装置120と、通信装置130と、記憶装置140とを備える。乾燥機管理装置100は、例えば、コンピュータである。入出力装置110には、演算装置120が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置110は、演算装置120が処理を実行した結果を出力する。入出力装置110は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。入出力装置110は省略されてもよい。
【0021】
通信装置130は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置130は、乾燥機300から取得する乾燥機300の稼働情報とエラー情報とを演算装置120に転送する。また、演算装置120が生成した信号を端末200または乾燥機300に転送する。通信装置130は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0022】
記憶装置140は、乾燥機300に搭載された交換すべき部品を検出するための様々なデータ、例えば稼働履歴データ500と、部品データ510と、乾燥機管理プログラム520とを格納する。記憶装置140は、乾燥機管理プログラム520を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。乾燥機管理プログラム520は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体1に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0023】
稼働履歴データ500は、乾燥機300が穀物を乾燥しているときの稼働状態を乾燥機300ごとに表す。稼働状態は、例えば、穀物を乾燥した稼働時間と、稼働時間のうちの各時間における穀物の水分値とを含む。稼働履歴データ500は、例えば、図2に示すように、穀物を乾燥しているときの経過時間501と、所定の時間、例えば1時間が経過するごとに測定された水分値502とを記憶する。この場合、経過時間501は、乾燥機300の使用を開始してからの総経過時間を表す。このため、稼働時間は、経過時間501の最大値、例えば最下段の値により表される。図2に示す例において、経過時間501が「0」であるときの水分値502は、乾燥機300の稼働を開始したときに張り込まれた穀物の水分値を表す。また、経過時間501が「1」であるときの水分値502は、乾燥を開始してから1時間経過したときの穀物の水分値を表す。水分値は、例えば、穀物に含まれる水分の重量パーセントで表される。
【0024】
図1に示す部品データ510は、乾燥機300の部品を交換する時期を表す。例えば、部品データ510は、図3に示すように、部品ごとの交換時間511と、交換状態512とを記憶する。交換時間511は、例えば部品を交換するときの乾燥機300の総稼働時間を表す。図3に示す例は、「部品A」を、乾燥機300の総稼働時間が100時間、200時間、300時間であるときに交換されることを表す。「部品B」は、乾燥機300の総稼働時間が200時間、600時間、1000時間であるときに交換される。
【0025】
交換状態512は、対応する部品を交換したか否かを表す。例えば、交換状態512は、対応する部品を交換したときの稼働時間を表す。図3において、「部品A」に対応する交換状態512の「100」は、稼働時間が100時間のときに「部品A」が交換されたことを表す。交換状態512は、各交換時間511に部品が交換されているかを表してもよい。この場合、「部品A」について、交換時間511が100時間であるときに行われるべき交換が実行されていることを表す。また、「部品B」に対応する交換状態512の「0」は、「部品B」が1度も交換されていないことを表す。
【0026】
稼働履歴データ500と、部品データ510とは、図1に示す演算装置120に読み出され、交換すべき部品を検出するための様々なデータ処理に使用される。演算装置120は、乾燥機管理プログラム520を記憶装置140から読み出し実行して、乾燥機300に搭載された交換すべき部品を検出する。例えば、演算装置120は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0027】
演算装置120は、乾燥機管理プログラム520を読み出し実行することで、図4に示すように、データ記憶部150と、時間算出部160と、劣化部品検出部170と、出力部180と、エラー解析部190とを実現する。データ記憶部150は、稼働履歴データ500と、部品データ510とを記憶する。時間算出部160は、稼働履歴データ500に基づき、交換すべき部品を検出するために利用される仮想稼働時間を算出する。劣化部品検出部170は、仮想稼働時間と、部品データ510とに基づき、交換すべき部品を検出する。出力部180は、交換すべき部品の情報を出力する。エラー解析部190は、発生したエラーを解析し、交換すべき部品を検出する。
【0028】
次に、端末200の構成を説明する。端末200は、図1に示すように、入出力装置210と、演算装置220と、通信装置230と、記憶装置240とを備える。端末200は、例えば、コンピュータ、タブレット、携帯電話などを含む。入出力装置210には、演算装置220が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置210は、演算装置220が処理を実行した結果を出力する。入出力装置210は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。
【0029】
通信装置230は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置230は、乾燥機管理装置100から取得する信号を演算装置220に転送する。また、演算装置220が生成した信号を乾燥機管理装置100に転送する。通信装置230は、例えば、無線LAN(Local Area Network)の送受信機、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0030】
記憶装置240は、乾燥機管理装置100が検出した乾燥機300の交換すべき部品をユーザに報知するための様々なデータ、例えば報知プログラム530を格納する。記憶装置240は、報知プログラム530を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。報知プログラム530は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体2に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。報知プログラム530は、記憶媒体1に記録されて提供されてもよい。
【0031】
演算装置220は、報知プログラム530を読み出し実行することで、図4に示すように、入出力装置210と協働して、報知部250を実現する。報知部250は、乾燥機管理装置100が検出した交換部品の情報を取得して、ユーザに交換部品を報知する。例えば、乾燥機管理装置100が電子メールを用いて交換部品を報知するとき、報知部250は電子メールを閲覧するソフトウェアを含む。
【0032】
(作業管理システムの動作)
図1に示す乾燥機300は、穀物の乾燥を開始すると、稼働情報を乾燥機管理装置100の演算装置120に送信する。乾燥機管理装置100の演算装置120は、乾燥機300の稼働情報を受信すると、乾燥機管理プログラム520を読み出し実行する。乾燥機管理プログラム520を実行することで、演算装置120は、乾燥機管理方法の一部である図5に示す処理を開始する。乾燥機300は、穀物の乾燥が終了したときに、稼働情報を乾燥機管理装置100の演算装置120に送信してもよい。
【0033】
ステップS110において、演算装置120で実現されるデータ記憶部150は、乾燥機300から稼働情報を取得して、取得された稼働情報を稼働履歴データ500に記憶する。稼働情報は、乾燥機300が穀物を乾燥しているときの稼働状態を表し、例えば、穀物を乾燥した稼働時間と、稼働時間のうちの各時間における穀物の水分値とを表す。
【0034】
ステップS120において、時間算出部160は、稼働履歴データ500に基づき、乾燥機300が相対的に高い負荷で稼働しているときの高負荷時間を算出する。例えば、時間算出部160は、稼働履歴データ500の水分値502に基づき、高負荷時間を算出する。具体的には、時間算出部160は、稼働履歴データ500に基づき、穀物の水分値502が相対的に高いときの乾燥機300の稼働時間を高負荷時間として算出する。時間算出部160は、水分値が所定の閾値、例えば24%より大きいときの乾燥機300の稼働時間を高負荷時間として算出する。図2に示す例において、水分値502は、経過時間501が0時間、1時間、2時間、3時間のときに24%より高い。このため、時間算出部160は、経過時間501が0~4時間までの間、乾燥機300が高負荷で稼働していると判定し、高負荷時間を4時間と算出する。所定の閾値は、例えば、過去に測定された乾燥機300に張り込まれた穀物の水分値から設定される。例えば、所定の閾値は、乾燥機300に張り込まれた穀物の水分値の平均値を表す。所定の閾値は、すべての乾燥機300に張り込まれた穀物の水分値の平均値でもよく、同じ型式の乾燥機300に張り込まれた穀物の水分値の平均値でもよい。また、所定の閾値は、同じ乾燥機300に張り込まれた穀物の水分値の平均値でもよい。さらに、所定の閾値は、測定された水分値のうち、直近の所定の数の水分値の平均値でもよい。
【0035】
ステップS130において、時間算出部160は、算出された高負荷時間と、稼働履歴データ500に表された稼働時間とに基づき、仮想稼働時間を算出する。仮想稼働時間Vは、以下の式(1)により算出される。
V=X+kH (1)
ここで、Xは、乾燥機300の実際の実稼働時間を表す。Hは、ステップS120で算出された高負荷時間を表す。kは、補正係数を表し、所定の正の値、例えば0より大きい固定値である。補正係数kは、例えば、過去に部品を交換したときの部品が劣化している程度から、実験的に決定される。
【0036】
仮想稼働時間Vは、乾燥機300の実稼働時間に、高負荷時間に補正係数kを乗算した時間を加えて算出される。このため、仮想稼働時間Vは、補正係数kが「1」であるとき、実稼働時間に高負荷時間を加算して算出され、高負荷時間だけ実稼働時間より長くなる。実稼働時間には、乾燥機300が高負荷で稼働しているときの高負荷時間が含まれる。このことから、乾燥機300が高負荷で稼働しているときの仮想稼働時間Vは、補正係数kが「1」であるとき、実稼働時間の2倍の時間で算出される。このように、仮想稼働時間Vは、乾燥機300が高負荷で稼働しているときに実際の実稼働時間より長くなるように算出される。
【0037】
ステップS140において、劣化部品検出部170は、仮想稼働時間と、部品データ510とに基づき、乾燥機300の部品のうち劣化している劣化部品を検出する。最初に、劣化部品検出部170は、図3に示す部品データ510に基づき、各部品が次に交換されるべき稼働時間を決定する。図3の例において、「部品A」の次の交換時期は、稼働時間が200時間であるときと決定される。「部品B」の次の交換時期は、稼働時間が200時間であるときと決定される。
【0038】
次に、劣化部品検出部170は、交換時期と仮想稼働時間との差が所定の時間以内である部品を劣化部品として検出する。図3の例において、仮想稼働時間が200時間であるとき、「部品A」と「部品B」とが劣化部品として検出される。ここで、所定の時間は、運用、例えば乾燥機300が1回で乾燥するのに要する時間や、部品交換を行うサービスマンがポストハーベスト施設400を訪問する間隔などにより決定される。例えば、乾燥機300が1回の乾燥に約30時間かかるとき、所定の時間は、30時間より長い時間に設定される。
【0039】
図5に示すステップS150において、出力部180は、検出された劣化部品を表す劣化部品信号を生成し、生成された劣化部品信号を端末200の演算装置220に出力する。劣化部品信号は、乾燥機300の部品のうち、交換すべき部品を表し、例えば電子メールの送信信号である。
【0040】
ステップS160において、図1に示す端末200の演算装置220は、劣化部品信号を受信すると、報知プログラム530を読み出し実行する。演算装置220により実現される報知部250は、劣化部品信号に基づき、交換すべき劣化部品をユーザに報知する。例えば、報知部250は、出力部180から送信された電子メールを表示して、ユーザに劣化部品を報知する。
【0041】
このように、乾燥機管理システム1000は、乾燥機300の負荷状態に応じて算出される仮想稼働時間を用いて交換部品を検出し、検出された交換部品をユーザに報知する。これにより、乾燥機管理装置100は、実際に稼働した実稼働時間が短いときでも、相対的に高い負荷で稼働することにより劣化した部品をユーザに報知する。
【0042】
また、図1に示す乾燥機管理システム1000は、乾燥機300で発生したエラーに応じて、交換すべき劣化部品を特定し、特定した劣化部品をユーザに報知する。乾燥機管理装置100の記憶装置140は、図6に示すエラーデータ515を記憶する。エラーデータ515は、エラーに関する情報を表し、例えばエラー番号と、エラーコメントと、関連部品を表す情報とを関連付けて記憶する。エラー番号は、エラーを区別するための識別子である。エラーコメントは、エラーをユーザに報知するときに出力されるコメントを表す。関連部品は、乾燥機300の部品のうちエラーに関連する関連部品を表す。図6に示す例において、エラー番号が「E100」であるエラーは、「ベルトA」と「ベルトB」とに関連している。
【0043】
図1に示す乾燥機300は、動作不良や自己診断などによりエラーを検出すると、乾燥機管理装置100の演算装置120にエラー情報を送信する。エラー情報は、例えばエラー番号を表す。乾燥機管理装置100は、乾燥機300からエラー情報を受信すると、乾燥機管理プログラム520を読み出し実行する。乾燥機管理プログラム520を実行することで、演算装置120は、乾燥機管理方法の一部である図7に示す処理を開始する。
【0044】
ステップS210において、演算装置120で実現されるエラー解析部190は、エラー情報に基づき、対応するエラーに関連する関連部品が存在するかを判定する。エラー解析部190は、エラー情報に表されるエラー番号を抽出し、図6に示すエラーデータ515に基づき、抽出されたエラー番号に対応する関連部品の情報を取得する。図6に示す例において、エラー解析部190は、エラー番号が「E100」であるとき、関連部品に「ベルトA」と「ベルトB」とが含まれることを表す情報を取得する。また、エラー番号が「E101」であるとき、エラー解析部190は、関連部品に「ベルトC」と「コンベア」とが含まれることを表す情報を取得する。エラー解析部190がエラーに関連する関連部品が存在すると判定すると、処理はステップS220に移行する。エラー解析部190がエラーに関連する関連部品が存在しないと判定すると、処理はステップS270に移行する。
【0045】
エラーに関連する関連部品が存在しないとき、ステップS270において、エラー解析部190は、図6のエラーデータ515に基づき、乾燥機300で発生したエラーに対応するエラーコメントを表すエラー信号を生成する。例えば、エラー解析部190は、乾燥機300からのエラー情報に表されたエラー番号を抽出し、エラーデータ515から抽出されエラー番号に対応するエラーコメントを取得する。エラー解析部190は、取得されたエラーコメントを表すエラー信号を生成し、端末200の報知部250に送信する。例えば、エラー信号は電子メールの送信信号である。
【0046】
ステップS280において、端末200の報知部250は、エラー信号に基づき、エラーをユーザに報知する。具体的には、報知部250は、エラー信号が表すエラーコメントを取得し、取得されたエラーコメントを入出力装置210に出力する。例えば、報知部250は、エラー解析部190から送信された電子メールを表示して、ユーザにエラーを報知する。
【0047】
図7に示すステップS210でエラーに関連する関連部品が存在するとき、時間算出部160は、ステップS220において、稼働履歴データ500に基づき、乾燥機300が相対的に高い負荷で稼働しているときの高負荷時間を算出する。この処理は、図5に示すステップS120と同様であるため、説明を省略する。
【0048】
図7に示すステップS230において、時間算出部160は、算出された高負荷時間と、稼働履歴データ500に表された稼働時間とに基づき、仮想稼働時間を算出する。この処理は、図5に示すステップS130と同様であるため、説明を省略する。
【0049】
図7に示すステップS240において、劣化部品検出部170は、算出された仮想稼働時間と、部品データ510とに基づき、関連部品が劣化しているかを判定する。最初に、劣化部品検出部170は、図3に示す部品データ510に基づき、関連部品が次に交換されるべき稼働時間を決定する。次に、劣化部品検出部170は、交換時期と仮想稼働時間との差が所定の時間以内である関連部品を劣化部品として検出する。ここで、所定の時間は、図5に示すステップS140における所定の時間と同様に、運用により決定される。所定の時間は、図5に示すステップS140と同じでもよく、異なってもよい。例えば所定の時間は、ステップS140の所定の時間より長くてもよい。劣化部品検出部170により関連部品が劣化していると判定されると、処理はステップS250に移行する。劣化部品検出部170により関連部品が劣化していないと判定されると、エラー解析部190はステップS270の処理とステップS280の処理とを実行して、ユーザにエラーを報知する。
【0050】
エラー解析部190は、劣化部品検出部170により関連部品が劣化していると判定されると、ステップS250において、乾燥機300で発生したエラーと、劣化部品を交換することとを表す部品交換信号を生成する。例えば、エラー解析部190は、乾燥機300からのエラー情報に表されたエラー番号を抽出し、エラーデータ515から抽出されエラー番号に対応するエラーコメントを取得する。さらに、エラー解析部190は、取得されたエラーコメントに検出された劣化部品を交換することを表すコメントを追加して部品交換コメントを生成する。エラー解析部190は、部品交換コメントを表す部品交換信号を生成し、端末200の報知部250に送信する。例えば、部品交換信号は電子メールの送信信号である。
【0051】
ステップS260において、端末200の報知部250は、部品交換信号に基づき、エラーと交換すべき関連部品とをユーザに報知する。具体的には、報知部250は、部品交換信号が表す部品交換コメントを取得し、取得された部品交換コメントを入出力装置210に出力する。例えば、報知部250は、エラー解析部190から送信された電子メールを表示して、ユーザにエラーと交換すべき関連部品とを報知する。
【0052】
このように、乾燥機管理システム1000は、乾燥機300で発生したエラーとともに、図3に示す部品データ510の交換時間511に応じて交換すべき関連部品をユーザに報知する。これにより、ユーザは、効率よくエラーを解消することができる。また、交換すべき関連部品は、乾燥機300の負荷状態に応じて算出される仮想稼働時間を用いて判定される。このため、実際に稼働した実稼働時間が短いときでも、相対的に高い負荷で稼働することにより劣化した部品が検出される。
【0053】
(変形例)
実施の形態において説明した構成は一例であり、機能を阻害しない範囲で構成を変更することができる。例えば、稼働履歴データ500は、各乾燥機300の部品ごとに稼働情報を表してもよい。例えば、稼働履歴データ500は、部品が交換されてから乾燥機300が穀物を乾燥している稼働時間と、稼働時間のうちの各時間における穀物の水分値とを含む。この場合、部品データ510は、各部品が交換されてから次に交換するまでの稼働時間を表す。時間算出部160は、図5に示すステップS120とステップS130とにおいて、部品ごとに仮想稼働時間を算出する。劣化部品検出部170は、ステップS140において、部品ごとに算出された仮想稼働時間と、部品データ510に表された次に交換するまでの部品ごとの稼働時間とを比較して、劣化部品を検出する。
【0054】
時間算出部160は、ステップS120において、水分値に応じて、複数の高負荷時間を算出してもよい。例えば、時間算出部160は、2つの高負荷時間を算出するとき、水分値が第1閾値より大きいときの稼働時間を第1高負荷時間として算出する。また、時間算出部160は、水分値が第1閾値以下で、かつ、第2閾値より大きいときの稼働時間を第2高負荷時間として算出する。この場合、時間算出部160は、ステップS130において、以下の式(2)により仮想稼働時間Vを算出する。
V=X+k+k (2)
ここで、Xは、乾燥機300の実際の実稼働時間を表す。Hは第1高負荷時間を表し、Hは第2高負荷時間を表す。k、kは、補正係数を表し、kはkより大きい値である。
【0055】
以上において説明した実施の形態および変形例は一例であり、各実施の形態および変形例で説明した構成は、機能を阻害しない範囲で、任意に変更してもよく、または/および、任意に組み合わせてもよい。さらに、必要となる機能を実現できれば、実施の形態および変形例で説明した一部の機能を省略してもよい。例えば、図1に示す乾燥機管理システム1000に端末200と乾燥機300とが含まれなくてもよい。
【0056】
また、乾燥機管理装置100は、乾燥機300に組み込まれてもよい。この場合、図4に示す出力部180は、図5に示すステップS150において、劣化部品信号を乾燥機管理装置100の入出力装置110に送信してもよい。劣化部品信号は、入出力装置110に劣化部品を表示するための信号である。また、図4に示すエラー解析部190は、図7のステップS250において、部品交換信号を入出力装置110に送信してもよい。さらに、エラー解析部190は、ステップS270において、エラー信号を入出力装置110に送信してもよい。部品交換信号とエラー信号とは、入出力装置110に各々の情報を表示するための信号である。
【0057】
また、乾燥機管理装置100は、図5に示す処理、または、図7に示す処理を省略してもよい。図5に示す処理が省略されても、乾燥機管理装置100は、乾燥機300がエラーを検出したときに、乾燥機300の交換すべき部品をユーザに報知する。図5に示す処理が省略されても、乾燥機管理装置100は、乾燥機300の部品の交換時期に応じて、交換すべき部品をユーザに報知する。これにより、いずれの場合でも、乾燥機管理装置100は、相対的に高い負荷で稼働することにより劣化した部品をユーザに報知することができる。
【符号の説明】
【0058】
1、2 :記憶媒体
20 :ネットワーク
100 :乾燥機管理装置
110 :入出力装置
120 :演算装置
130 :通信装置
140 :記憶装置
150 :データ記憶部
160 :時間算出部
170 :劣化部品検出部
180 :出力部
190 :エラー解析部
200 :端末
210 :入出力装置
220 :演算装置
230 :通信装置
240 :記憶装置
250 :報知部
300 :乾燥機
400 :ポストハーベスト施設
500 :稼働履歴データ
501 :経過時間(稼働時間)
502 :水分値
510 :部品データ
511 :交換時間
512 :交換状態
515 :エラーデータ
520 :乾燥機管理プログラム
530 :報知プログラム
1000 :乾燥機管理システム
V :仮想稼働時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7