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特開2022-131896燃料電池スタック及び燃料電池ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131896
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】燃料電池スタック及び燃料電池ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/2465 20160101AFI20220831BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20220831BHJP
【FI】
H01M8/2465
H01M8/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031124
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】水草 遼
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126AA28
5H126FF09
5H127AB04
5H127AB29
5H127AC01
5H127BA02
5H127BA22
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB37
5H127CC07
5H127EE01
5H127EE26
(57)【要約】
【課題】第1集電体と第2集電体の構成を変えることなく、燃料電池セルの積層枚数の調整に対応できる燃料電池スタック及び燃料電池ユニットを提供すること。
【解決手段】燃料電池ユニット10において、積層方向Aから燃料電池スタック20を見て、第1端子33は第1側辺F3から水平方向Xにセルスタック21の外部へ突出している。積層方向Aから燃料電池スタック20を見て、第2端子43は上辺F1から鉛直方向Zにセルスタック21の外部へ突出している。第1端子33と第2端子43は、互いに干渉しないように周方向に離れた位置に配置されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層方向に複数の燃料電池セルを積層したセルスタックと、
前記セルスタックの前記積層方向の一端に配置された第1集電体と、
前記セルスタックの前記積層方向の他端に配置された第2集電体と、を有する燃料電池スタックであって、
前記セルスタックは、
前記積層方向から前記セルスタックを見て鉛直方向の上端に位置する上辺と、前記鉛直方向の下端に位置する下辺と、水平方向の第1端に位置する第1側辺と、前記水平方向の第2端に位置する第2側辺と、を有し、
前記積層方向から見て、前記上辺、前記第1側辺、前記下辺、及び前記第2側辺が繋がる方向を前記セルスタックの周方向とし、
前記第1集電体は、前記セルスタックに積層される第1集電部、及び前記第1集電部の縁部から突出し、第1電気配線が接続される第1端子を有し、
前記第2集電体は、前記セルスタックに積層される第2集電部、及び前記第2集電部の縁部から突出し、第2電気配線が接続される第2端子を有し、
前記積層方向から前記燃料電池スタックを見て、前記第1端子及び前記第2端子の少なくとも一つは前記第1側辺又は前記第2側辺から前記水平方向に前記セルスタックの外部へ突出し、かつ互いに干渉しないように前記周方向に離れた位置に配置されていることを特徴とする燃料電池スタック。
【請求項2】
前記積層方向から前記燃料電池スタックを見て、前記第1端子は前記第1側辺又は前記第2側辺から前記水平方向に前記セルスタックの外部へ突出し、前記第2端子は前記上辺から前記鉛直方向に前記セルスタックの外部へ突出している請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項3】
前記積層方向から前記燃料電池スタックを見て、前記第1端子及び第2端子の双方は前記第1側辺又は前記第2側辺から前記水平方向に前記セルスタックの外部へ突出している請求項1に記載の燃料電池スタック。
【請求項4】
燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックと電気的に接続される配電部と、
前記燃料電池スタックと前記配電部を接続する電気配線と、を有し、
前記配電部は、前記燃料電池スタックの鉛直方向の下側に配置されている燃料電池ユニットであって、
前記燃料電池スタックは、
積層方向に複数の燃料電池セルを積層したセルスタックと、
前記セルスタックの前記積層方向の一端に配置された第1集電体と、
前記セルスタックの前記積層方向の他端に配置された第2集電体と、を有し、
前記セルスタックは、
前記積層方向から前記セルスタックを見て前記鉛直方向の上端に位置する上辺と、前記鉛直方向の下端に位置する下辺と、水平方向の第1端に位置する第1側辺と、前記水平方向の第2端に位置する第2側辺と、を有し、
前記積層方向から見て、前記上辺、前記第2側辺、前記下辺、及び前記第1側辺が繋がる方向を前記セルスタックの周方向とし、
前記第1集電体は、前記セルスタックに積層される第1集電部、及び前記第1集電部の縁部から突出する第1端子を有し、
前記第2集電体は、前記セルスタックに積層される第2集電部、及び前記第2集電部の縁部から突出する第2端子を有し、
前記積層方向から前記燃料電池スタックを見て、少なくとも前記第1端子は前記第1側辺又は前記第2側辺から前記水平方向に前記セルスタックの外部へ突出し、
前記積層方向から前記燃料電池スタックを見て、前記第1端子及び前記第2端子は互いに干渉しないように前記周方向に離れた位置に配置され、
前記電気配線は、第1端子接続部と、当該第1端子接続部から延びる電線と、前記電線の前記第1端子接続部と反対の第2端子接続部とを有し、
前記電気配線は、前記第1端子接続部が前記第1端子に接続され、前記電線が前記第1端子から垂れる状態で前記第2端子接続部が前記配電部と電気的に接続されていることを特徴とする燃料電池ユニット。
【請求項5】
前記鉛直方向及び前記水平方向に直交する方向を前記燃料電池ユニットの奥行方向とした場合、前記鉛直方向に前記燃料電池ユニットを見た平面視では、前記燃料電池スタックは、前記燃料電池ユニットの前記奥行方向の第1端面寄りに配置され、前記第1端子は、前記第1端面に沿って配置されている請求項4に記載の燃料電池ユニット。
【請求項6】
前記第1端子接続部は丸端子であり、前記第1端子と前記第1端子接続部とは、ボルトとナットの螺合によって接続されている請求項4又は請求項5に記載の燃料電池ユニット。
【請求項7】
前記積層方向から前記燃料電池スタックを見て、前記第2端子は前記上辺から前記鉛直方向に前記セルスタックの外部へ突出し、
前記第2端子は、前記第2集電部から上へ突出する基端板と、当該基端板に対して交差する先端板と、前記先端板の下面に接合されたナットと、前記ナットの雌ねじを下方から塞ぐカバーと、を有する請求項4~請求項6のうちいずれか一項に記載の燃料電池ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池スタック及び燃料電池ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池スタックを備える燃料電池ユニットとして、例えば、特許文献1の燃料電池システムが開示されている。特許文献1の燃料電池システムは、燃料電池スタックとしてのスタックを備える。スタックは、燃料電池セルとしてのセルが多数積層された積層体と、積層体の積層方向の一端に正の集電体を備え、積層体の積層方向の他端に負の集電体を備える。一対の集電体のそれぞれは電流を取り出すための端子として、上部端子及び下部端子を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-145225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料電池スタックには、燃料電池スタックの搭載先及び要求に合わせて複数の仕様が設けられる。燃料電池スタックの仕様の一つとして、燃料電池セルの積層枚数を減らした仕様があるが、この仕様では積層方向への燃料電池スタックの寸法は小さくなる。一対の集電体の間隔も積層方向に狭まり、一対の集電体の端子間の距離も積層方向に狭まると、一方の端子に対する部品の接続時、他方の端子が邪魔になり、端子と部品の接続が面倒になる。また、短絡を防止するため、集電体の端子の位置を変更する必要があり、燃料電池スタックの複数の仕様に合わせて集電体の形状を変更する必要が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するための燃料電池スタックは、積層方向に複数の燃料電池セルを積層したセルスタックと、前記セルスタックの前記積層方向の一端に配置された第1集電体と、前記セルスタックの前記積層方向の他端に配置された第2集電体と、を有する燃料電池スタックであって、前記セルスタックは、前記積層方向から前記セルスタックを見て鉛直方向の上端に位置する上辺と、前記鉛直方向の下端に位置する下辺と、水平方向の第1端に位置する第1側辺と、前記水平方向の第2端に位置する第2側辺と、を有し、前記積層方向から見て、前記上辺、前記第1側辺、前記下辺、及び前記第2側辺が繋がる方向を前記セルスタックの周方向とし、前記第1集電体は、前記セルスタックに積層される第1集電部、及び前記第1集電部の縁部から突出し、第1電気配線が接続される第1端子を有し、前記第2集電体は、前記セルスタックに積層される第2集電部、及び前記第2集電部の縁部から突出し、第2電気配線が接続される第2端子を有し、前記積層方向から前記燃料電池スタックを見て、前記第1端子及び前記第2端子の少なくとも一つは前記第1側辺又は前記第2側辺から前記水平方向に前記セルスタックの外部へ突出し、かつ互いに干渉しないように前記周方向に離れた位置に配置されていることを要旨とする。
【0006】
これによれば、第1端子に第1電気配線を接続する作業、又は第2端子に第2電気配線を接続する作業を行う際、第1電気配線と第2端子との干渉、又は第2電気配線と第1端子との干渉がなく、端子と電気配線を接続する作業が行いやすい。
【0007】
また、燃料電池セルの積層枚数の調整により、積層方向へのセルスタックの寸法が小さくなることがある。積層方向へのセルスタックの寸法が小さくなると、第1集電体と第2集電体の積層方向への間隔が狭くなる。第1端子と第2端子は、互いに干渉しない位置にあるため、間隔が狭くなっても第1端子と第2端子との短絡、ひいては第1電気配線と第2電気配線の短絡を防止できる。したがって、第1端子と第2端子の位置を設定することで、第1集電体と第2集電体の構成を変えることなく、燃料電池セルの積層枚数の調整に対応できる。
【0008】
燃料電池スタックについて、前記積層方向から前記燃料電池スタックを見て、前記第1端子は前記第1側辺又は前記第2側辺から前記水平方向に前記セルスタックの外部へ突出し、前記第2端子は前記上辺から前記鉛直方向に前記セルスタックの外部へ突出していてもよい。
【0009】
これによれば、積層方向から燃料電池スタックを見て第1端子と第2端子は、異なる辺から突出しており、第1端子と第2端子とを離しやすい。このため、第1端子に第1電気配線を接続する作業、又は第2端子に第2電気配線を接続する作業が行いやすい。さらに、第1電気配線と第2電気配線の短絡を防止できる。
【0010】
燃料電池スタックについて、前記積層方向から前記燃料電池スタックを見て、前記第1端子及び第2端子の双方は前記第1側辺又は前記第2側辺から前記水平方向に前記セルスタックの外部へ突出していてもよい。
【0011】
これによれば、第1端子に第1電気配線を接続する作業、及び第2端子に第2電気配線を接続する作業が行いやすい。
上記問題点を解決するための燃料電池ユニットは、燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックと電気的に接続される配電部と、前記燃料電池スタックと前記配電部を接続する電気配線と、を有し、前記配電部は、前記燃料電池スタックの鉛直方向の下側に配置されている燃料電池ユニットであって、前記燃料電池スタックは、積層方向に複数の燃料電池セルを積層したセルスタックと、前記セルスタックの前記積層方向の一端に配置された第1集電体と、前記セルスタックの前記積層方向の他端に配置された第2集電体と、を有し、前記セルスタックは、前記積層方向から前記セルスタックを見て前記鉛直方向の上端に位置する上辺と、前記鉛直方向の下端に位置する下辺と、水平方向の第1端に位置する第1側辺と、前記水平方向の第2端に位置する第2側辺と、を有し、前記積層方向から見て、前記上辺、前記第2側辺、前記下辺、及び前記第1側辺が繋がる方向を前記セルスタックの周方向とし、前記第1集電体は、前記セルスタックに積層される第1集電部、及び前記第1集電部の縁部から突出する第1端子を有し、前記第2集電体は、前記セルスタックに積層される第2集電部、及び前記第2集電部の縁部から突出しする第2端子を有し、前記積層方向から前記燃料電池スタックを見て、少なくとも前記第1端子は前記第1側辺又は前記第2側辺から前記水平方向に前記セルスタックの外部へ突出し、前記積層方向から前記燃料電池スタックを見て、前記第1端子及び前記第2端子は互いに干渉しないように前記周方向に離れた位置に配置され、前記電気配線は、第1端子接続部と、当該第1端子接続部から延びる電線と、前記電線の前記第1端子接続部と反対の第2端子接続部とを有し、前記電気配線は、前記第1端子接続部が前記第1端子に接続され、前記電線が前記第1端子から垂れる状態で前記第2端子接続部が前記配電部と電気的に接続されていることを要旨とする。
【0012】
これによれば、第1端子に電気配線を接続する作業を行う際、電気配線と第2端子との干渉がなく、端子と電気配線を接続する作業が行いやすい。
また、燃料電池セルの積層枚数の調整により、積層方向へのセルスタックの寸法が小さくなることがある。積層方向へのセルスタックの寸法が小さくなると、第1集電体と第2集電体の積層方向への間隔が狭くなる。第1端子と第2端子は、互いに干渉しない位置にあるため、間隔が狭くなっても第1端子と第2端子との短絡を防止できる。したがって、第1端子と第2端子の位置を設定することで、第1集電体と第2集電体の構成を変えることなく、燃料電池セルの積層枚数の調整に対応できる。
【0013】
また、燃料電池ユニットでは、燃料電池スタックの下方に配電部が配置されている。このため、第1端子から垂れた電線の先に配電部が位置し、電気配線と配電部との接続が容易となる。
【0014】
燃料電池ユニットについて、前記鉛直方向及び前記水平方向に直交する方向を前記燃料電池ユニットの奥行方向とした場合、前記鉛直方向に前記燃料電池ユニットを見た平面視では、前記燃料電池スタックは、前記燃料電池ユニットの前記奥行方向の第1端面寄りに配置され、前記第1端子は、前記第1端面に沿って配置されていてもよい。
【0015】
これによれば、第1端子に電気配線を接続する作業の際、燃料電池ユニットの外側から第1端子にアクセスしやすく、第1端子に第1端子接続部を接続して電気配線を接続する作業が行いやすい。
【0016】
燃料電池ユニットについて、前記第1端子接続部は丸端子であり、前記第1端子と前記第1端子接続部とは、ボルトとナットの螺合によって接続されていてもよい。
これによれば、第1端子接続部にボルトを挿通しやすく、ボルトとナットを用いて第1端子と第1端子接続部とを接続する作業が行いやすい。
【0017】
燃料電池ユニットについて、前記積層方向から前記燃料電池スタックを見て、前記第2端子は前記上辺から前記鉛直方向に前記セルスタックの外部へ突出し、前記第2端子は、前記第2集電部から上へ突出する基端板と、当該基端板に対して交差する先端板と、前記先端板の下面に接合されたナットと、前記ナットの雌ねじを下方から塞ぐカバーと、を有していてもよい。
【0018】
これによれば、ナットにボルトを螺合するときに異物が発生しても、カバーによって異物を受け止め、異物がセルスタックに落下することを防止できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、第1集電体と第2集電体の構成を変えることなく、燃料電池セルの積層枚数の調整に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】燃料電池ユニットを示す斜視図。
図2】燃料電池ユニットを示す平面図。
図3】燃料電池スタックを示す斜視図。
図4】燃料電池スタックを示す分解図。
図5】第1端子及び第2端子を示す断面図。
図6】燃料電池ユニットを示す正面図。
図7】第1端子と第1電気配線を示す分解斜視図。
図8】第2端子と、バスバーと、第2電気配線を示す分解斜視図。
図9】別例の燃料電池スタックを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、燃料電池スタック及び燃料電池ユニットを具体化した一実施形態を図1図8にしたがって説明する。
図1及び図2に示すように、燃料電池ユニット10は、フレーム11と、水素タンク13と、エアコンプレッサ14と、キャパシタ15と、熱交換器16と、配電部17と、燃料電池スタック20と、を有する。また、燃料電池ユニット10は、燃料電池スタック20と配電部17とを電気的に接続する第1電気配線18、第2電気配線19及びバスバー48を有する。
【0022】
フレーム11は、底板11aと、底板11aから立ち上がる複数の柱11bと、複数本の柱11bに支持される支持板11cとを有する。
燃料電池ユニット10が水平面上に置かれているものとして重力の方向をZ軸で示し、水平面に沿う方向をX軸とY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。以下の説明では、Z軸と平行な方向を鉛直方向Zともいい、X軸と平行な方向を水平方向Xともいう。水平方向Xは、底板11aの長辺方向に平行である。また、Y軸と平行な方向を奥行方向Yともいう。奥行方向Yは、底板11aの短辺方向に平行である。したがって、奥行方向Yは、水平方向X及び鉛直方向Zの両方に直交する方向である。柱11bが底板11aから立ち上がる方向は、鉛直方向Zに平行である。
【0023】
底板11aには、水素タンク13と、熱交換器16と、配電部17が配置されている。水素タンク13と配電部17は奥行方向Yに並んでいる。水素タンク13と熱交換器16は水平方向Xに並んでいる。支持板11cには、燃料電池スタック20と、エアコンプレッサ14と、キャパシタ15とが配置されている。燃料電池スタック20とエアコンプレッサ14は、水平方向Xに並び、燃料電池スタック20とキャパシタ15は奥行方向Yに並んでいる。配電部17は、燃料電池スタック20の鉛直方向Zの下側に配置されている。
【0024】
燃料電池スタック20の正極端子である第1端子33と配電部17の正極端子17aとは、第1電気配線18によって電気的に接続されている。
第1電気配線18は、電線としての第1電線18aと、第1電線18aの一端の第1端子接続部18bと、第1電線18aにおける第1端子接続部18bと反対の第2端子接続部18cと、を有する。第1端子33と第1端子接続部18bが接続され、正極端子17aと第2端子接続部18cが接続されている。第1端子接続部18b及び第2端子接続部18cは丸端子である。
【0025】
燃料電池スタック20の負極端子である第2端子43と、配電部17の負極端子17bとは、第2電気配線19及びバスバー48を経由して電気的に接続されている。したがって、バスバー48は、第2端子43と接続される電気配線でもある。
【0026】
バスバー48は、細長な金属板状である。第2電気配線19は、第2電線19aと、第2電線19aの一端の第1端子接続部19bと、第2電線19aにおける第1端子接続部19bと反対の第2端子接続部19cと、を有する。第1端子接続部19b及び第2端子接続部19cは丸端子である。
【0027】
第2端子43とバスバー48の第1端部が接続されている。バスバー48の第2端部と第1端子接続部19bが接続され、負極端子17bと第2端子接続部19cが接続されている。
【0028】
燃料電池スタック20は、例えば、水素及び酸素を燃料として駆動する燃料電池車両の動力源として用いられる。燃料電池スタック20は、水素タンク13から供給される水素ガスと、エアコンプレッサ14から供給される空気中の酸素とを反応させて直流の電気エネルギー(直流電力)を発生する。エアコンプレッサ14は、空気を圧縮して燃料電池スタック20に供給する。
【0029】
キャパシタ15は、燃料電池スタック20によって発電された電力を蓄える。熱交換器16は、燃料電池スタック20と熱交換した熱交換媒体と外気との間で熱交換を行う。熱交換媒体としては冷却水が用いられるが、その他の媒体を用いてもよい。配電部17は、燃料電池スタック20の発電を制御する部品を含む。
【0030】
図2図3及び図4に示すように、燃料電池スタック20は、セルスタック21と、第1集電体31と、第2集電体41と、第1カバープレート22と、第2カバープレート23と、締結部材24と、インシュレータ25と、スタックマニホールド26と、を備える。
【0031】
セルスタック21は、複数の燃料電池セルSを積層した積層体である。燃料電池セルSの積層された方向を「積層方向A」と称する。したがって、セルスタック21は積層方向Aに複数の燃料電池セルSを積層して形成されている。
【0032】
積層方向Aから部材を見ることを単に「正面視」と称する。燃料電池セルSは、水素及び酸素の化学反応のエネルギーを電力として取り出す蓄電モジュールである。燃料電池セルSは、長四角形の板状部材である。
【0033】
積層方向Aは、燃料電池ユニット10の奥行方向Yに一致する。セルスタック21は、積層方向Aの第1端に第1積層端面21aを有し、積層方向Aの第2端に第2積層端面21bを有する。
【0034】
燃料電池スタック20は、全ての燃料電池セルSが積層方向Aに積層されて形成された上面H1と、下面H2と、を有している。また、燃料電池スタック20は、全ての燃料電池セルSが積層方向Aに積層されて形成された第1側面H3と、第2側面H4と、を有している。
【0035】
図6に示すように、セルスタック21は、積層方向Aからセルスタック21を見た正面視において、鉛直方向Zの上端に位置する上辺F1と、鉛直方向Zの下端に位置する下辺F2と、水平方向Xの第1端に位置する第1側辺F3と、水平方向Xの第2端に位置する第2側辺F4と、を有する。セルスタック21の上辺F1は、セルスタック21の上面H1に沿う辺であり、セルスタック21の下辺F2は、セルスタック21の下面H2に沿う辺である。セルスタック21の第1側辺F3は、セルスタック21の第1側面H3に沿う辺であり、セルスタック21の第2側辺F4は、セルスタック21の第2側面H4に沿う辺である。
【0036】
セルスタック21の上辺F1、第2側辺F4、下辺F2、及び第1側辺F3が繋がる方向をセルスタック21の周方向とする。
第1集電体31は、セルスタック21の積層方向Aの一端である第1積層端面21aに配置されている。第1集電体31は、燃料電池セルSが発電した電力を取り出すためのものである。第1集電体31には、種々の導体を用いることができる。
【0037】
図2図3及び図4に示すように、第1集電体31は、第1集電部32と、第1端子33と、を備える。第1集電部32は、長四角形の板状である。第1集電部32は、水平方向Xの両端に2つの短縁部32aを備える。第1集電部32は、セルスタック21の第1積層端面21aに積層されている。第1集電部32の長辺方向は、燃料電池セルSの長辺方向と一致している。また、第1集電部32の板厚方向は、積層方向Aと一致している。第1集電部32は、積層方向Aから見た正面視においてセルスタック21を内部領域に含むように配置されている。
【0038】
第1端子33は、第1電気配線18に接続される端子である。第1端子33は、第1集電部32の一つの縁部である短縁部32aから突出している。第1端子33は、第1端子板34と、第1端子板34に接合された第1ナット35と、第1ナット35に一体化された第1カバー36と、を有する。
【0039】
図5に示すように、第1端子板34は、一方の短縁部32aから水平方向Xに突出している。第1端子板34には、第1端子板34を板厚方向に貫通する第1貫通孔34aが形成されている。第1ナット35は、軸線方向の一端面が第1端子板34に接合されている。第1ナット35の雌ねじ35aは、第1貫通孔34aに重なる。第1ナット35は、第1端子板34に接合された端面と反対側の端面から凹む圧入孔35bを有する。圧入孔35bは、雌ねじ35aよりも大径である。第1ナット35には圧入孔35bが形成されているが、雌ねじ35aは、第1ボルト37を十分に螺合できるだけの長さが確保されている。
【0040】
第1カバー36は合成樹脂製である。第1カバー36は、筒部36aと、筒部36aの片方を閉塞する蓋36bと、を有する。筒部36aの外径は、圧入孔35bの内径と同じ又は僅かに大きい。筒部36aは、蓋36bと反対側の端部が圧入孔35bに圧入されている。この圧入により、第1カバー36は第1ナット35に一体化されている。第1カバー36の蓋36bは、雌ねじ35aを第1貫通孔34aとは反対側から塞いでいる。
【0041】
図2図3及び図4に示すように、第2集電体41は、セルスタック21の積層方向Aの他端である第2積層端面21bに配置されている。第2集電体41は、燃料電池セルSが発電した電力を取り出すためのものである。第2集電体41には、種々の導体を用いることができる。第2集電体41は、第2集電部42と、第2端子43と、を備える。
【0042】
第2集電部42は、長四角形の板状である。第2集電部42は、鉛直方向Zの両端に長縁部42aを備える。第2集電部42は、セルスタック21の第2積層端面21bに積層されている。第2集電部42の長辺方向は、燃料電池セルSの長辺方向と一致している。また、第2集電部42の板厚方向は、積層方向Aと一致している。第2集電部42は、積層方向Aから見た正面視においてセルスタック21を内部領域に含むように配置されている。第2集電部42は、セルスタック21とスタックマニホールド26との間で燃料ガスや冷却水が通過できるように、図示しない流路孔を備える。
【0043】
第2端子43は、バスバー48とともに第2電気配線19に接続される端子である。第2端子43は、第2集電部42の一つの縁部である長縁部42aから突出している。第2端子43は、第2端子板44と、第2端子板44に接合された第2ナット45と、第2ナット45に一体化された第2カバー46と、を有する。
【0044】
第2端子板44は、一つの長縁部42aから鉛直方向Zに沿って上へ突出する基端板44aと、基端板44aに対して交差する先端板44bとを有する。先端板44bは、基端板44aから第1集電体31に向けて積層方向Aに突出する。
【0045】
図5に示すように、第2端子板44の先端板44bには、先端板44bを板厚方向に貫通する第2貫通孔44cが形成されている。第2ナット45は、先端板44bの下面に接合されている。第2貫通孔44cは、先端板44bの上面で開口している。第2ナット45の雌ねじ45aは、第2貫通孔44cに重なる。第2ナット45は、片方の端面から凹む圧入孔45bを有する。第2ナット45には圧入孔45bが形成されているが、雌ねじ45aは、第2ボルト47を十分に螺合できるだけの長さが確保されている。
【0046】
第2カバー46は合成樹脂製である。第2カバー46は、筒部46aと、筒部46aの片方を閉塞する蓋46bと、を有する。筒部46aの外径は、圧入孔45bの内径と同じ又は僅かに大きい。筒部46aは、蓋46bと反対側の端部が圧入孔45bに圧入されている。この圧入により、第2カバー46は第2ナット45に一体化されている。第2カバー46の蓋46bは、雌ねじ45aを第2貫通孔44cとは反対側、つまり下から塞いでいる。上記構成を有する第2端子43は、第2集電部42から上へ突出する基端板44aと、当該基端板44aに対して交差する先端板44bと、先端板44bの下面に接合された第2ナット45と、第2ナット45の雌ねじ45aを下から塞ぐ第2カバー46と、を有する。
【0047】
図2図3及び図4に示すように、第1カバープレート22及び第2カバープレート23は、セルスタック21を積層方向Aに加圧するための部材である。
第1カバープレート22は、長四角形の板状である。第1カバープレート22の短辺は、第1集電部32の短辺より長い。また、第1カバープレート22の長辺は、第1集電部32の長辺より長い。第1カバープレート22は、第1集電体31を挟んでセルスタック21の第1積層端面21aに設けられている。したがって、第1集電体31は、第1カバープレート22とセルスタック21との間に設けられている。
【0048】
第2カバープレート23は、長四角形の板状である。第2カバープレート23の長辺は、第2集電部42の長辺より長い。第2カバープレート23の短辺は、第2集電部42の短辺より長い。第2カバープレート23は、第2集電体41を挟んでセルスタック21の第2積層端面21bに設けられている。
【0049】
締結部材24は、第1カバープレート22と第2カバープレート23とを締結する。締結部材24は、ボルト24aと、ナット24bとにより構成される。ボルト24aは、第1カバープレート22及び第2カバープレート23に挿通される。ナット24bは、第1カバープレート22及び第2カバープレート23に対してセルスタック21を加圧するように、ボルト24aに取り付けられている。締結部材24は、第1カバープレート22と第2カバープレート23との間に設けられているセルスタック21等の部材を積層方向Aに加圧し、固定する。
【0050】
インシュレータ25は、第1集電体31を第1カバープレート22と絶縁するための絶縁部材である。インシュレータ25は、第1集電体31を挟んで、セルスタック21の第1積層端面21aに設けられている。
【0051】
スタックマニホールド26は、セルスタック21に水素、酸素及び冷却水を供給するための配管部品である。スタックマニホールド26は、第2集電体41と第2カバープレート23との間に設けられている。
【0052】
燃料電池スタック20は、順に、第2カバープレート23、スタックマニホールド26、第2集電体41、セルスタック21、第1集電体31、インシュレータ25、第1カバープレート22を積層方向Aに積層することにより形成されている。
【0053】
図6に示すように、積層方向Aから燃料電池スタック20の第1積層端面21aを見た正面視では、第1端子33は、セルスタック21の第1側辺F3から水平方向Xにセルスタック21の外部へ突出している。なお、以下の説明では、積層方向Aから燃料電池スタック20の第1積層端面21aを見た正面視のことを、単に「燃料電池スタック20の正面視」と記載する。燃料電池スタック20の正面視では、第1端子板34の第1貫通孔34aは、奥行方向Yに沿って外に向けて開口している。燃料電池スタック20の正面視では、奥行方向Yにおける第1端子板34の裏側に第1ナット35が配置されている。
【0054】
燃料電池スタック20の正面視では、第2端子43は、セルスタック21の上辺F1から鉛直方向Zにセルスタック21の外部へ突出している。第2端子43は、水平方向Xにおける上辺F1の中央よりも第2側辺F4寄りに位置している。第2端子43の基端板44aは、上辺F1から上に向けて鉛直方向Zに突出している。先端板44bは、基端板44aに対して屈曲して積層方向Aに突出している。先端板44bは、鉛直方向Zに上面H1と対向している。先端板44bと上面H1との間には鉛直方向Zに間隔が空いている。第2端子板44の第2貫通孔44cは、上に向けて開口している。このため、第2端子板44よりもセルスタック21寄りに第2ナット45が配置されている。また、第2カバー46は、第2ナット45の雌ねじ45aを下から塞いでいる。
【0055】
燃料電池スタック20の正面視では、第1端子33と第2端子43は、セルスタック21の異なる辺から突出している。燃料電池スタック20の正面視では、第1端子33と第2端子43は互いに干渉しないように、セルスタック21の周方向に離れた位置に配置されている。
【0056】
燃料電池スタック20の正面視では、第1端子33は、第2端子43の斜め下方に配置されている。第1端子33は、第2端子43に対し、セルスタック21の長辺の半分程度の長さだけ水平方向Xに離れている。
【0057】
図7に示すように、第1端子33には、第1ボルト37によって、第1電気配線18の第1端子接続部18bが接続されている。第1ボルト37は、燃料電池ユニット10の外側から第1端子接続部18bに挿通され、第1貫通孔34aに挿通されている。第1貫通孔34aを貫通した第1ボルト37は、第1ナット35の雌ねじ35aに螺合されている。
【0058】
図8に示すように、第2端子43には、第2ボルト47によって、バスバー48の第1端部が接続されている。第2ボルト47は、燃料電池ユニット10の上側からバスバー48の第1孔48aに挿通され、第2貫通孔44cに挿通されている。第2貫通孔44cを貫通した第2ボルト47は、第2ナット45の雌ねじ45aに螺合されている。
【0059】
バスバー48の第2端部は、セルスタック21の第1側面H3に対向する位置に配置されている。バスバー48の第2端部には、第3ボルト49によって、第2電気配線19の第1端子接続部19bが接続されている。第3ボルト49は、燃料電池ユニット10の左側からバスバー48の第2孔48bに挿通されている。第3ボルト49は、ナット51に螺合されている。
【0060】
図6に示すように、第1電気配線18の第1電線18aは、第1端子33から垂れた状態である。そして、第1電線18aが第1端子33から垂れる状態で第2端子接続部18cが配電部17と電気的に接続されている。つまり、第1電線18aは、第1端子33から配電部17に向けて垂れている。第1電気配線18の第2端子接続部18cは、配電部17の正極端子17aに接続されている。
【0061】
第2電気配線19の第2電線19aは、バスバー48の第2端部から垂れている。第2電線19aは、バスバー48の第2端部から配電部17に向けて垂れている。第2電気配線19の第2端子接続部19cは、配電部17の負極端子17bに接続されている。
【0062】
図2に示すように、鉛直方向Zから燃料電池ユニット10を見た平面視では、燃料電池スタック20は、燃料電池ユニット10の奥行方向Yの第1端面寄りに配置され、キャパシタ15は、奥行方向Yの第2端面寄りに配置されている。鉛直方向Zから燃料電池ユニット10を見た平面視では、第1集電体31は、第2集電体41よりも奥行方向Yの第1端面寄りに配置されている。第1端子33は燃料電池ユニット10の第1端面に沿って配置され、第2端子43よりも第1端面寄りに配置されている。
【0063】
以下、本実施形態の作用効果について説明する。
(1)燃料電池スタック20には、燃料電池スタック20の搭載先に合わせて複数の仕様が設けられる。燃料電池スタック20の仕様の一つとして、燃料電池セルSの積層枚数を減らした仕様がある。この仕様では、積層方向Aへの燃料電池スタック20の寸法は小さくなる。同時に、第1集電体31と第2集電体41の積層方向Aへの間隔も狭まる。
【0064】
燃料電池スタック20の正面視で、第1端子33は第1側辺F3から水平方向Xにセルスタック21の外部へ突出し、第2端子43は上辺F1から鉛直方向Zにセルスタック21の外部へ突出している。このため、第1集電体31と第2集電体41の積層方向Aの間隔が狭まっても、第1端子33と第2端子43が積層方向Aに重なることはなく、互いに干渉しない。その結果、第1集電体31と第2集電体41の積層方向Aの間隔が狭くなっても第1端子33と第2端子43との短絡、ひいては第1電気配線18と第2電気配線19の短絡を防止できる。
【0065】
よって、第1端子33と第2端子43の位置を設定することで、第1集電体31と第2集電体41の構成を変えることなく、燃料電池セルSの積層枚数の調整に対応できる。また、第1集電体31と第2集電体41の構造を変更することなく、第1端子33と第2端子43の干渉を回避できる。つまり、第1集電体31と第2集電体41を共通化しても燃料電池スタック20の仕様変更に対応できる。
【0066】
(2)燃料電池スタック20の正面視では、第1端子33は第1側辺F3から水平方向Xにセルスタック21の外部へ突出し、第2端子43は上辺F1から鉛直方向Zにセルスタック21の外部へ突出している。このため、第1端子33と第2端子43は、燃料電池スタック20において互いに干渉しないように周方向に離れた位置に配置されている。よって、第1端子33に第1電気配線18を接続する作業、及び第2端子43にバスバー48を接続する作業のいずれか一方を行う際、他方の端子が作業の妨げになることがない。このため、第1端子33に第1電気配線18を接続する作業、又は第2端子43にバスバー48を接続する作業が行いやすい。
【0067】
(3)燃料電池スタック20の正面視において、第1端子33及び第2端子43の両方が第1側辺F3から突出していると、第1端子33と第2端子43が積層方向Aに近づき、第1電気配線18と第2電気配線19とが短絡する虞が高くなる。しかし、燃料電池スタック20の正面視では、第1端子33は第1側辺F3から水平方向Xにセルスタック21の外部へ突出し、第2端子43は上辺F1から鉛直方向Zにセルスタック21の外部へ突出している。このため、第1端子33と第2端子43の短絡を防止できる。
【0068】
(4)燃料電池スタック20の正面視では、第1端子33は第1側辺F3から水平方向Xにセルスタック21の外部へ突出している。第1端子33に第1電気配線18を接続すると、第1電線18aを第1端子33から垂らすことができる。そして、燃料電池ユニット10では、燃料電池スタック20の下方に配電部17が配置されている。このため、第1端子33から垂れた第1電線18aの先に配電部17が位置し、第1電気配線18と配電部17との接続が容易となる。
【0069】
(5)燃料電池スタック20の正面視では、第2端子43の基端板44aは上辺F1よりも上に突出し、さらに、先端板44bは、上面H1に対向するように基端板44aに対し折り曲げられている。そして、先端板44bでは第2貫通孔44cが上に向けて開口するとともに、先端板44bの下面に第2ナット45が接合されている。このため、燃料電池スタック20の上から第2貫通孔44cに第2ボルト47を挿通して第2ナット45に螺合できる。よって、第2ボルト47を用いた第2集電体41に対するバスバー48の接続作業が行いやすい。
【0070】
(6)第2集電体41の第2カバー46は、第2ナット45の雌ねじ45aを下から塞ぐ。このため、第2ナット45に第2ボルト47を螺合するときに異物が生じても、第2カバー46によって異物がセルスタック21の上面H1に落下することを防止できる。
【0071】
(7)第1端子33の第1端子板34には第1ナット35が接合されている。このため、第1ナット35が第1端子板34と別体の場合と比べると、第1ボルト37の螺合が行いやすい。同じく、第2端子43の第2端子板44には第2ナット45が接合されている。このため、第2ナット45が第2端子板44と別体の場合と比べると、第2ボルト47の螺合が行いやすい。
【0072】
(8)鉛直方向Zに燃料電池ユニット10を見た平面視では、燃料電池スタック20は、燃料電池ユニット10の奥行方向Yの第1端面寄りに配置されている。そして、第1端子33は燃料電池ユニット10の第1端面に沿って配置されている。このため、第1端子33に第1電気配線18を接続する作業の際、第1端子33にアクセスしやすく、第1端子33に第1電気配線18を接続する作業が行いやすい。
【0073】
(9)第1電気配線18の第1端子接続部18bは丸端子であり、第1端子33と第1端子接続部18bとは、第1ボルト37と第1ナット35の螺合によって接続される。これによれば、第1端子接続部18bに第1ボルト37を挿通しやすく、第1ボルト37と第1ナット35を用いて第1端子33と第1電気配線18を接続する作業が行いやすい。特に、奥行方向Yに第1ボルト37を移動させて第1ナット35に螺合するとき、第1ボルト37を第1端子接続部18bに挿入した状態で第1ボルト37を移動させることができ、第1端子接続部18bを第1端子33に接続する作業が行いやすくなる。
【0074】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○ 第1端子33の第1カバー36は無くてもよいし、第2端子43の第2カバー46は無くてもよい。
【0075】
○ 第1端子33の第1端子板34に、第1ナット35の代わりに第1ボルト37を接合してもよい。第1端子33に第1電気配線18の第1端子接続部18bを接続する際は、第1端子板34から飛び出した第1ボルト37を第1端子接続部18bに挿通した後、第1ボルト37に第1ナット35を螺合する。
【0076】
○ 第2端子43の第2端子板44に、第2ナット45の代わりに第2ボルト47を接合してもよい。第2ボルト47は、先端板44bの上面から突出しているのが好ましい。第2端子43にバスバー48を接続する際は、第2端子板44から飛び出した第2ボルト47をバスバー48の第1孔48aに挿通した後、第2ボルト47に第2ナット45を螺合する。
【0077】
○ 第1端子33と第1電気配線18は溶接によって接続されていてもよい。同じく、第2端子43とバスバー48は溶接によって接続されていてもよい。
○ 鉛直方向Zに燃料電池ユニット10を見た平面視では、第1端子33は燃料電池ユニット10の第1端面と反対側に配置されていてもよい。この場合、燃料電池スタック20は第2集電体41が奥行方向Yの第1端面寄りに配置され、第1集電体31は第2集電体41よりも奥行方向Yの奥に配置される。
【0078】
○ 燃料電池スタック20の正面視で、第1端子33は第2側辺F4から突出し、第2端子43は上辺F1から突出していてもよい。
図9に示すように、燃料電池スタック20の正面視で、第1端子33は第1側辺F3から突出し、第2端子43も第1側辺F3から突出していてもよい。つまり、積層方向Aから燃料電池スタック20を見て、第1端子33及び第2端子43の双方は第1側辺F3又は第2側辺F4から水平方向Xにセルスタック21の外部へ突出していてもよい。この場合、第1端子33と第2端子43を鉛直方向Zに可能な限り離すのが好ましい。このように構成すると、第1端子33に第1電気配線18を接続する作業、及び第2端子43に第2電気配線19を接続する作業が行いやすい。
【0079】
○ 燃料電池スタック20の正面視で、第1端子33は第1側辺F3又は第2側辺F4から突出し、第2端子43は下辺F2から突出していてもよい。
○ 第1電気配線18の第1端子接続部18b及び第2電気配線19の第1端子接続部19bの少なくとも一方を、丸端子からY端子に変更してもよい。
【0080】
○ ナット24bは省略してもよい。その場合は、第1カバープレート22に雌ねじが形成され、第1カバープレート22及び第2カバープレート23に対してセルスタック21を加圧するように、ボルト24aが螺入される。すなわち、締結部材24は、ボルト24aと第1カバープレート22に形成された雌ねじとにより構成される。
【符号の説明】
【0081】
A…積層方向、F1…上辺、F2…下辺、F3…第1側辺、F4…第2側辺、S…燃料電池セル、X…水平方向、Y…奥行方向、Z…鉛直方向、10…燃料電池ユニット、17…配電部、18…第1電気配線、18a…第1電線、18b…第1端子接続部、18c…第2端子接続部、19…第2電気配線、20…燃料電池スタック、21…セルスタック、31…第1集電体、32…第1集電部、32a…短縁部、33…第1端子、35…第1ナット、37…第1ボルト、41…第2集電体、42…第2集電部、42a…長縁部、43…第2端子、44a…基端板、44b…先端板、45…第2ナット、46…第2カバー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9