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特開2022-131968画像処理装置、撮影制御装置、放射線画像撮影システム、画像処理方法、及び画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131968
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】画像処理装置、撮影制御装置、放射線画像撮影システム、画像処理方法、及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/02 20060101AFI20220831BHJP
【FI】
A61B6/02 300M
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031246
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 弘毅
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA11
4C093BA17
4C093DA06
4C093EA06
4C093EC25
4C093EC34
4C093ED21
4C093FD07
4C093FD11
4C093FF35
4C093FF37
4C093FG04
4C093FG13
4C093FH02
4C093FH06
4C093FH09
(57)【要約】
【課題】全てを用いて生成した場合に被写体全体が写らなくなる照射角度範囲のトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像を含む投影画像群から、高分解能な断層画像と、被写体全体が写った断層画像とを生成することができる画像処理装置、撮影制御装置、放射線画像撮影システム、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】CPU50Aは、全体撮影用照射角度範囲ARよりも広い照射角度範囲のトモシンセシス撮影で得られた投影画像群を取得する。CPU50Aは、全体撮影用照射角度範囲ARよりも広い第1の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影で得られた投影画像84~8413を用いて乳房の一部が写る複数の第1の断層画像86を生成し、全体撮影用照射角度範囲AR以下の第2の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影で得られた投影画像84~84を用いて乳房の全体が写る複数の第1の断層画像86を生成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射角度が異なる複数の照射位置の各々から放射線源により被写体に向けて放射線を照射して前記照射位置毎に前記被写体の投影画像を撮影するトモシンセシス撮影を行う放射線画像撮影装置に用いられる画像処理装置であって、
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
前記複数の照射位置のうち、それぞれで得られた投影画像を用いて断層画像を生成した場合に前記被写体の全体が写る断層画像を得ることが可能な照射角度範囲である全体撮影用照射角度範囲よりも広い照射角度範囲のトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像を含む投影画像群を取得し、
前記投影画像群に含まれる投影画像のうちの、前記全体撮影用照射角度範囲よりも広い第1の照射角度範囲のトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像を用いて前記被写体の一部が写る複数の第1の断層画像を生成し、
前記投影画像群に含まれる投影画像のうちの、前記全体撮影用照射角度範囲以下の第2の照射角度範囲のトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像を用いて前記被写体の全体が写る複数の第2の断層画像を生成する
画像処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記投影画像群として、1回のトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像を取得する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記第1の断層画像の生成に用いられる複数の投影画像の一部を用いて前記複数の第2の断層画像を生成する
請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記第1の断層画像と前記第2の断層画像と、を並べて表示させる
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記第2の断層画像に、前記第1の断層画像に写る前記被写体の範囲を表す情報を重畳させて表示させる
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記複数の第1の断層画像のうちの少なくとも一部を合成した第1の合成2次元画像、及び 前記複数の第2の断層画像のうちの少なくとも一部を合成した第2の合成2次元画像の少なくとも一方を生成し、
前記複数の第1の断層画像及び前記第1の合成2次元画像の少なくとも一方と、前記複数の第2の断層画像及び前記第2の合成2次元画像の少なくとも一方とを並べて表示させる
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記複数の第2の断層画像のうちの少なくとも一部を合成した第2の合成2次元画像を生成し、
前記第2の合成2次元画像に、前記第1の断層画像に写る前記被写体の範囲を表す情報を重畳させて表示させる
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記複数の第1の断層画像のスライス厚を、前記複数の第2の断層画像のスライス厚よりも薄くする
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記被写体の厚み及び前記被写体の面積の少なくとも一方に基づいて定まる前記全体撮影用照射角度範囲を表す全体撮影用情報を取得し、
取得した前記全体撮影用情報に基づいて前記第2の照射角度範囲を特定する
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記被写体は、撮影台に配置され、かつ圧迫部材により圧迫状態とされた乳房であり、
前記被写体の面積は、前記撮影台に接する前記乳房の面積、または前記圧迫部材に接する前記乳房の面積である
請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記放射線源は、前記複数の照射位置の各々に配置され、かつ放射線を発生する複数の放射線管を備え、
前記放射線画像撮影装置は、前記複数の放射線管から、順次放射線を発生させてトモシンセシス撮影を行う
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記放射線源は、放射線を発生する放射線管を備え、
前記放射線画像撮影装置は、前記放射線源を前記複数の照射位置に移動させてトモシンセシス撮影を行う
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項13】
照射角度が異なる複数の照射位置の各々から放射線源により被写体に向けて放射線を照射して前記照射位置毎に前記被写体の投影画像を撮影するトモシンセシス撮影を行う放射線画像撮影装置に用いられる撮影制御装置であって、
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
前記被写体の厚み及び前記被写体の面積の少なくとも一方に基づいて定まる全体撮影用照射角度範囲を表す全体撮影用情報を取得し、
取得した前記全体撮影用情報に応じた前記全体撮影用照射角度範囲よりも広い照射角度範囲のトモシンセシス撮影を行わせる制御を前記放射線画像撮影装置に対して行う
撮影制御装置。
【請求項14】
放射線を発生する放射線源と、
照射角度が異なる複数の照射位置の各々から放射線源により被写体に向けて放射線を照射して前記照射位置毎に前記被写体の投影画像を撮影するトモシンセシス撮影を行う放射線画像撮影装置と、
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
を備えた放射線画像撮影システム。
【請求項15】
照射角度が異なる複数の照射位置の各々から放射線源により被写体に向けて放射線を照射して前記照射位置毎に前記被写体の投影画像を撮影するトモシンセシス撮影を行う放射線画像撮影装置に用いられる画像処理方法であって、
前記複数の照射位置のうち、それぞれで得られた投影画像を用いて断層画像を再構成した場合に前記被写体の全体が写る断層画像を得ることが可能な照射角度範囲である全体撮影用照射角度範囲よりも広い照射角度範囲のトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像を含む投影画像群を取得し、
前記投影画像群に含まれる投影画像のうちの、前記全体撮影用照射角度範囲よりも広い第1の照射角度範囲のトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像を用いて前記被写体の一部が写る複数の第1の断層画像を生成し、
前記投影画像群に含まれる投影画像のうちの、前記全体撮影用照射角度範囲以下の第2の照射角度範囲のトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像を用いて前記被写体の全体が写る複数の第2の断層画像を生成する
処理をコンピュータが実行する画像処理方法。
【請求項16】
照射角度が異なる複数の照射位置の各々から放射線源により被写体に向けて放射線を照射して前記照射位置毎に前記被写体の投影画像を撮影するトモシンセシス撮影を行う放射線画像撮影装置に用いられる画像処理プログラムであって、
前記複数の照射位置のうち、それぞれで得られた投影画像を用いて断層画像を再構成した場合に前記被写体の全体が写る断層画像を得ることが可能な照射角度範囲である全体撮影用照射角度範囲よりも広い照射角度範囲のトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像を含む投影画像群を取得し、
前記投影画像群に含まれる投影画像のうちの、前記全体撮影用照射角度範囲よりも広い第1の照射角度範囲のトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像を用いて前記被写体の一部が写る複数の第1の断層画像を生成し、
前記投影画像群に含まれる投影画像のうちの、前記全体撮影用照射角度範囲以下の第2の照射角度範囲のトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像を用いて前記被写体の全体が写る複数の第2の断層画像を生成する
処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、撮影制御装置、放射線画像撮影システム、画像処理方法、及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
照射角度が異なる複数の照射位置の各々から放射線源により被写体に向けて放射線を照射して照射位置が異なる複数枚の被写体の放射線画像を撮影する、いわゆるトモシンセシス撮影が知られている。
【0003】
トモシンセシス撮影では、撮影が行われる複数の照射位置の照射角度の範囲である照射角度範囲が広くなるほど、得られた複数の投影画像を用いて生成した断層画像が高分解能になる。しかし、照射角度により放射線の斜入の影響により放射線の照射領域が異なるため、照射角度が大きくなるほど放射線の斜入の影響を受け易くなり、投影画像に写る被写体の領域は小さくなる。複数の投影画像から断層画像を生成する場合において、断層画像として再構成される被写体の領域を再構成領域とすると、再構成領域は、照射角度範囲が広いほど狭くなる。というのも、再構成には、被写体の同じ領域について照射角度を変化させて撮影した複数の投影画像を用いる必要があり、再構成領域は、再構成に使用する複数の投影画像のすべてにおいて共通して含まれる被写体の領域に限定される。そのため、照射角度が大きくなるほど投影画像に写る被写体の領域は狭くなるので、照射角度範囲が広いほど再構成領域は狭くなる。その反対に、照射角度範囲が狭くなるほど、被写体に対する放射線の斜入の影響を受け難くなるため、再構成領域が広くなる。
【0004】
つまり、照射角度範囲が広いほど、再構成領域が被写体の一部に限定される反面、断層画像の分解能が高くなり、照射角度範囲が狭いほど、再構成領域を被写体の全体などに広げられる反面、断層画像の分解能が低くなる。
【0005】
そのため、照射角度範囲を異ならせてトモシンセシス撮影を行う技術が知られている。例えば、特許文献1には、標準モードと、照射角度範囲を標準モードよりも広くした高鮮鋭モードの2種類のトモシンセシス撮影を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-137873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の技術では、再構成領域及び分解能が異なる2種類の断層画像を得るためには、標準モードのトモシンセシス撮影で得られた投影画像群から断層画像を生成する。また、高鮮鋭モードのトモシンセシス撮影で得られた投影画像群から断層画像を生成する。
【0008】
このように、従来の技術では、トモシンセシス撮影毎に得られた投影画像群の各々から断層画像を生成している。
【0009】
本開示は、以上の事情を鑑みて成されたものであり、全てを用いて生成した場合に被写体全体が写らなくなる照射角度範囲のトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像を含む投影画像群から、高分解能な断層画像と、被写体全体が写った断層画像とを生成することができる画像処理装置、撮影制御装置、放射線画像撮影システム、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本開示の第1の態様の画像処理装置は、照射角度が異なる複数の照射位置の各々から放射線源により被写体に向けて放射線を照射して照射位置毎に被写体の投影画像を撮影するトモシンセシス撮影を行う放射線画像撮影装置に用いられる画像処理装置であって、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、複数の照射位置のうち、それぞれで得られた投影画像を用いて断層画像を生成した場合に被写体の全体が写る断層画像を得ることが可能な照射角度範囲である全体撮影用照射角度範囲よりも広い照射角度範囲のトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像を含む投影画像群を取得し、投影画像群に含まれる投影画像のうちの、全体撮影用照射角度範囲よりも広い第1の照射角度範囲のトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像を用いて被写体の一部が写る複数の第1の断層画像を生成し、投影画像群に含まれる投影画像のうちの、全体撮影用照射角度範囲以下の第2の照射角度範囲のトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像を用いて被写体の全体が写る複数の第2の断層画像を生成する。
【0011】
本開示の第2の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、プロセッサは、投影画像群として、1回のトモシンセシス撮影で得られた投影画像群を取得する。
【0012】
本開示の第3の態様の画像処理装置は、第1の態様または第2の態様の画像処理装置において、プロセッサは、第1の断層画像の生成に用いられる複数の投影画像の一部を用いて複数の第2の断層画像を生成する。
【0013】
本開示の第4の態様の画像処理装置は、第1の態様から第3の態様のいずれか1態様の画像処理装置において、プロセッサは、第1の断層画像と第2の断層画像と、を並べて表示させる。
【0014】
本開示の第5の態様の画像処理装置は、第1の態様から第4の態様のいずれか1態様の画像処理装置において、プロセッサは、第2の断層画像に、第1の断層画像に写る被写体の範囲を表す情報を重畳させて表示させる。
【0015】
本開示の第6の態様の画像処理装置は、第1の態様から第3の態様のいずれか1態様の画像処理装置において、プロセッサは、複数の第1の断層画像のうちの少なくとも一部を合成した第1の合成2次元画像、及び 複数の第2の断層画像のうちの少なくとも一部を合成した第2の合成2次元画像の少なくとも一方を生成し、複数の第1の断層画像及び第1の合成2次元画像の少なくとも一方と、複数の第2の断層画像及び第2の合成2次元画像の少なくとも一方とを並べて表示させる。
【0016】
本開示の第7の態様の画像処理装置は、第1の態様から第3の態様のいずれか1態様の画像処理装置において、プロセッサは、複数の第2の断層画像のうちの少なくとも一部を合成した第2の合成2次元画像を生成し、第2の合成2次元画像に、第1の断層画像に写る被写体の範囲を表す情報を重畳させて表示させる。
【0017】
本開示の第8の態様の画像処理装置は、第1の態様から第7の態様のいずれか1態様の画像処理装置において、プロセッサは、複数の第1の断層画像のスライス厚を、複数の第2の断層画像のスライス厚よりも薄くする。
【0018】
本開示の第9の態様の画像処理装置は、第1の態様から第8の態様のいずれか1態様の画像処理装置において、プロセッサは、被写体の厚み及び被写体の面積の少なくとも一方に基づいて定まる全体撮影用照射角度範囲を表す全体撮影用情報を取得し、取得した全体撮影用情報に応じた投影画像群を取得する。
【0019】
本開示の第10の態様の画像処理装置は、第9の態様の画像処理装置において、被写体は、撮影台に配置され、かつ圧迫部材により圧迫状態とされた乳房であり、被写体の面積は、撮影台に接する乳房の面積、または圧迫部材に接する乳房の面積である。
【0020】
本開示の第11の態様の画像処理装置は、第1の態様から第10の態様のいずれか1態様の画像処理装置において、放射線源は、複数の照射位置の各々に配置され、かつ放射線を発生する複数の放射線管を備え、放射線画像撮影装置は、複数の放射線管から、順次放射線を発生させてトモシンセシス撮影を行う。
【0021】
本開示の第12の態様の画像処理装置は、第1の態様から第10の態様のいずれか1態様の画像処理装置において、放射線源は、放射線を発生する放射線管を備え、放射線画像撮影装置は、放射線源を複数の照射位置に移動させてトモシンセシス撮影を行う。
【0022】
また、上記目的を達成するために本開示の第13の態様の撮影制御装置は、照射角度が異なる複数の照射位置の各々から放射線源により被写体に向けて放射線を照射して照射位置毎に被写体の投影画像を撮影するトモシンセシス撮影を行う放射線画像撮影装置に用いられる撮影制御装置であって、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、被写体の厚み及び被写体の面積の少なくとも一方に基づいて定まる全体撮影用照射角度範囲を表す全体撮影用情報を取得し、取得した全体撮影用情報に応じた全体撮影用照射角度範囲よりも広い照射角度範囲のトモシンセシス撮影を行わせる制御を放射線画像撮影装置に対して行う。
【0023】
また、上記目的を達成するために本開示の第14の態様の放射線画像撮影システムは、放射線を発生する放射線源と、照射角度が異なる複数の照射位置の各々から放射線源により被写体に向けて放射線を照射して照射位置毎に被写体の投影画像を撮影するトモシンセシス撮影を行う放射線画像撮影装置と、本開示の画像処理装置と、を備える。
【0024】
また、上記目的を達成するために本開示の第15の態様の画像処理方法は、照射角度が異なる複数の照射位置の各々から放射線源により被写体に向けて放射線を照射して照射位置毎に被写体の投影画像を撮影するトモシンセシス撮影を行う放射線画像撮影装置に用いられる画像処理方法であって、複数の照射位置のうち、それぞれで得られた投影画像を用いて断層画像を再構成した場合に被写体の全体が写る断層画像を得ることが可能な照射角度範囲である全体撮影用照射角度範囲よりも広い照射角度範囲のトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像を含む投影画像群を取得し、投影画像群に含まれる投影画像のうちの、全体撮影用照射角度範囲よりも広い第1の照射角度範囲のトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像を用いて被写体の一部が写る複数の第1の断層画像を生成し、投影画像群に含まれる投影画像のうちの、全体撮影用照射角度範囲以下の第2の照射角度範囲のトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像を用いて被写体の全体が写る複数の第2の断層画像を生成する処理をコンピュータが実行するための方法である。
【0025】
また、上記目的を達成するために本開示の第16の態様の画像処理プログラムは、照射角度が異なる複数の照射位置の各々から放射線源により被写体に向けて放射線を照射して照射位置毎に被写体の投影画像を撮影するトモシンセシス撮影を行う放射線画像撮影装置に用いられる画像処理プログラムであって、複数の照射位置のうち、それぞれで得られた投影画像を用いて断層画像を再構成した場合に被写体の全体が写る断層画像を得ることが可能な照射角度範囲である全体撮影用照射角度範囲よりも広い照射角度範囲のトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像を含む投影画像群を取得し、投影画像群に含まれる投影画像のうちの、全体撮影用照射角度範囲よりも広い第1の照射角度範囲のトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像を用いて被写体の一部が写る複数の第1の断層画像を生成し、投影画像群に含まれる投影画像のうちの、全体撮影用照射角度範囲以下の第2の照射角度範囲のトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像を用いて被写体の全体が写る複数の第2の断層画像を生成する処理をコンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0026】
本開示によれば、全てを用いて生成した場合に被写体全体が写らなくなる照射角度範囲のトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像を含む投影画像群から、高分解能な断層画像と、被写体全体が写った断層画像とを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態の放射線画像撮影システムにおける全体の構成の一例を概略的に表した構成図である。
図2】トモシンセシス撮影の一例を説明するための図である。
図3】実施形態のマンモグラフィ装置及びコンソールの構成の一例を表したブロック図である。
図4】実施形態のコンソールの機能の一例を表す機能ブロック図である。
図5】照射角度範囲と被写体の厚みとの関係を説明するための図である。
図6】照射角度範囲と被写体の面積との関係を説明するための図である。
図7】トモシンセシス撮影の流れの一例を表すフローチャートである。
図8】実施形態のコンソールによる撮影制御処理の流れの一例を表したフローチャートである。
図9】実施形態のコンソールによる画像処理の流れの一例を表したフローチャートである。
図10A】第1の断層画像及び第2の断層画像が表示部に表示された状態の一例を示す図である。
図10B】第1の合成2次元画像及び第2の断層画像が表示部に表示された状態の一例を示す図である。
図10C】第1の断層画像及び第2の合成2次元画像が表示部に表示された状態の一例を示す図である。
図11】実施形態における1回のトモシンセシス撮影について説明するための図である。
図12】複数の放射線管を備えた放射線源の一例を示す図である。
図13図12に示した放射線源を用いて行われるトモシンセシス撮影の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本実施形態は本発明を限定するものではない。
【0029】
まず、本実施形態の放射線画像撮影システムにおける、全体の構成の一例について説明する。図1には、本実施形態の放射線画像撮影システム1における、全体の構成の一例を表す構成図が示されている。図1に示すように、本実施形態の放射線画像撮影システム1は、マンモグラフィ装置10及びコンソール12を備える。
【0030】
まず、本実施形態のマンモグラフィ装置10について説明する。図1には、本実施形態のマンモグラフィ装置10の外観の一例を表す側面図が示されている。なお、図1は、被検者の左側からマンモグラフィ装置10を見た場合の外観の一例を示している。
【0031】
本実施形態のマンモグラフィ装置10は、コンソール12の制御に応じて動作し、被検者の乳房を被写体として、乳房に放射線R(例えば、X線)を照射して乳房の放射線画像を撮影する装置である。なお、マンモグラフィ装置10は、被検者が起立している状態(立位状態)のみならず、被検者が椅子(車椅子を含む)等に座った状態(座位状態)において、被検者の乳房を撮影する装置であってもよい。
【0032】
また、本実施形態のマンモグラフィ装置10は、放射線源を放射線検出器の検出面20Aの法線方向に沿った照射位置として撮影を行う通常撮影と、放射線源29を複数の照射位置の各々に移動させて撮影を行う、いわゆるトモシンセシス撮影とを行う機能を有している。
【0033】
放射線検出器20は、被写体である乳房を通過した放射線Rを検出する。詳細には、放射線検出器20は、被検者の乳房及び撮影台24内に進入して放射線検出器20の検出面20Aに到達した放射線Rを検出し、検出した放射線Rに基づいて放射線画像を生成し、生成した放射線画像を表す画像データを出力する。以下では、放射線源29から放射線Rを照射して、放射線検出器20により放射線画像を生成する一連の動作を「撮影」という場合がある。本実施形態の放射線検出器20の種類は、特に限定されず、例えば、放射線Rを光に変換し、変換した光を電荷に変換する間接変換方式の放射線検出器であってもよいし、放射線Rを直接電荷に変換する直接変換方式の放射線検出器であってもよい。
【0034】
図1に示すように、放射線検出器20は、撮影台24の内部に配置されている。本実施形態のマンモグラフィ装置10では、撮影を行う場合、撮影台24の撮影面24A上には、被検者の乳房がユーザによってポジショニングされる。
【0035】
撮影を行う際に乳房を圧迫するために用いられる圧迫板38は、撮影台24に設けられた圧迫ユニット36に取り付けられる。詳細には、圧迫ユニット36には、圧迫板38を撮影台24に近づく方向または離れる方向(以下、「上下方向」という)に移動する圧迫板駆動部(図示省略)が設けられている。圧迫板38の支持部39は、圧迫板駆動部に着脱可能に取り付けられ、圧迫板駆動部により上下方向に移動し、撮影台24との間で被検者の乳房を圧迫する。本実施形態の圧迫板38が、本開示の圧迫部材の一例である。
【0036】
図1に示すように本実施形態のマンモグラフィ装置10は、撮影台24と、アーム部33と、基台34と、軸部35と、を備えている。アーム部33は、基台34によって、上下方向(Z軸方向)に移動可能に保持される。また、軸部35によりアーム部33が基台34に対して回転をすることが可能である。軸部35は、基台34に対して固定されており、軸部35とアーム部33とが一体となって回転する。
【0037】
軸部35及び撮影台24の圧迫ユニット36にそれぞれギアが設けられ、このギア同士の噛合状態と非噛合状態とを切替えることにより、撮影台24の圧迫ユニット36と軸部35とが連結されて一体に回転する状態と、軸部35が撮影台24と分離されて空転する状態とに切り替えることができる。なお、軸部35の動力の伝達・非伝達の切り替えは、上記ギアに限らず、種々の機械要素を用いることができる。
【0038】
アーム部33と撮影台24は、軸部35を回転軸として、別々に、基台34に対して相対的に回転可能となっている。本実施形態では、基台34、アーム部33、及び撮影台24の圧迫ユニット36にそれぞれ係合部(図示省略)が設けられ、この係合部の状態を切替えることにより、アーム部33、及び撮影台24の圧迫ユニット36の各々が基台34に連結される。軸部35に連結されたアーム部33、及び撮影台24の一方または両方が、軸部35を中心に一体に回転する。
【0039】
マンモグラフィ装置10においてトモシンセシス撮影を行う場合、放射線照射部28の放射線源29は、アーム部33の回転により順次、照射角度が異なる複数の照射位置の各々に移動される。放射線源29は、放射線Rを発生する放射線管27を有しており、放射線源29の移動に応じて、放射線管27が複数の照射位置の各々に移動される。図2には、トモシンセシス撮影の一例を説明するための図を示す。なお、図2では、圧迫板38の図示を省略している。本実施形態では、図2に示すように放射線源29は、予め定められた角度θずつ照射角度が異なる照射位置80(k=1、2、・・・、図2では最大値は13)、換言すると放射線検出器20の検出面20Aに対する放射線Rの入射角度が異なる位置に移動される。各照射位置80において、コンソール12の指示により放射線源29から放射線Rが乳房Wに向けて照射され、放射線検出器20により放射線画像が撮影される。放射線画像撮影システム1では、放射線源29を照射位置80の各々に移動させて、各照射位置80で放射線画像の撮影を行うトモシンセシス撮影を行った場合、図2の例では13枚の放射線画像が得られる。なお、以下では、トモシンセシス撮影において、各照射位置80において撮影された放射線画像を他の放射線画像と区別して述べる場合は「投影画像」という。また、投影画像及び後述する断層画像等の種類によらず放射線画像について総称する場合、単に「放射線画像」という。また、以下では各照射位置80を総称する場合、各照射位置を区別するための符号kを省略して「照射位置80」という。
【0040】
なお、図2に示すように、放射線Rの入射角度とは、放射線検出器20の検出面20Aの法線CLと、放射線軸RCとがなす角度αのことをいう。放射線軸RCは、各照射位置80における放射線源29の放射線管27の焦点と検出面20Aの中心等予め設定された位置とを結ぶ軸をいう。また、ここでは、放射線検出器20の検出面20Aは、撮影面24Aに略平行な面とする。以下では、図2に示すように、トモシンセシス撮影における入射角度を異ならせる所定範囲を「照射角度範囲」という。なお、本実施形態では、放射線Rについて、「入射角度」と「照射角度」とは、同義としている。
【0041】
また、図2には、照射位置80、80、80、80、8013の各々に放射線源29が位置する場合に得られる投影画像84、84、84、84、8413の各々に含まれる被写体の領域82、82、82、82、8213が示されている。被写体の領域82は、放射線検出器20の検出面20Aにおける放射線Rの照射野に対応する。なお、本実施形態では、被写体の領域82、投影画像84、及び断層画像86の各々について、照射位置80との対応関係を示す場合は、符号に、照射位置80~照射位置8013各々を表す「1~13」を付して表記する。例えば、第7照射位置80に放射線源29が位置する場合に得られるのは、被写体の領域82を含む投影画像84である。また、以下では簡略化のため、ある照射位置80に放射線源29が位置する場合に得られる投影画像84について、単に「照射位置80で得られる投影画像84」と表現する。
【0042】
照射角度が0度となる法線CLに沿った第7照射位置80で得られる投影画像84に含まれる被写体の領域82は、被写体である乳房Wの全体像の撮影が可能な範囲及び大きさを有する。
【0043】
角度αが大きくなるほど、換言すると放射線検出器20の検出面20Aに斜入する放射線Rの入射角度が大きくなるほど、放射線Rの射入の影響が大きくなり、放射線Rの照射野は狭くなる。そのため、図2に示すように、角度αが大きくなると投影画像84に含まれる被写体の領域82が狭くなる。換言すると、照射角度が比較的大きい照射位置80に放射線源29が位置する場合は、放射線Rの斜入の影響が大きくなるため、得られる投影画像84に含まれる被写体の領域82は、被写体の領域82に比べて狭くなる。図2に示した例では、照射角度が最も大きくなる照射位置80で得られる投影画像84に含まれる被写体の領域82、及び照射位置8013で得られる投影画像8413に含まれる被写体の領域8213は、いずれも被写体の領域82に比べて狭い。具体的には、被写体の領域82及び被写体の領域8213は、撮影の際に放射線源29が位置する側の領域が欠けた形状となっている。このように、投影画像84に含まれる被写体の領域82は、照射位置80に応じて大きさ等が異なる。
【0044】
トモシンセシス撮影により得られた複数の投影画像84を用いて断層画像86を再構成する場合、再構成領域は、各投影画像84における被写体の領域82に依存する。具体的には、再構成領域は、断層画像86の生成に用いる全ての投影画像84に含まれる被写体の領域82のうち、共通する部分の領域(以下、「部分領域」という)に限定される。
【0045】
図2に示すように照射角度が比較的小さい照射位置80の場合、放射線源29から照射された放射線Rが放射線検出器20の検出面20Aに斜入しても、被写体の領域82と同等の形状及び大きさの被写体の領域82が得られる。複数の照射位置80の各々において得られる投影画像84に含まれる被写体の領域82を被写体の領域82と同等とした場合、部分領域83、すなわち再構成領域85も被写体の領域82と同等となる。なお、この場合、各投影画像84に含まれる被写体の領域82全体が部分領域83とみなせるため、厳密には「部分」とは言えないが、説明の便宜上「部分」と称している。再構成領域85が被写体の領域82と同等である場合、断層画像86は、被写体全体が写った画像となる。また、断層画像86に写る「被写体全体」とは、例えば、乳房等の撮影対象物において照射角度αが0度の照射位置から放射線が照射された際に放射線検出器20に写る部分のことをいう。また、被写体に放射線Rが投影される面についてであり、例えば乳房全体等を言うのではなく、少なくともユーザにより読影等のために所望とされる被写体の領域全体のことをいい、例えば、読影等に要さない被写体の端部等が欠けている場合も含む。
【0046】
このように、断層画像86における再構成領域85を、被写体の領域82と同等とすることができる投影画像84が得られる照射位置80の範囲である照射角度範囲を、全体撮影用照射角度範囲ARという(図2参照)。すなわち、全体撮影用照射角度範囲ARとは、複数の照射位置80のうち、それぞれで得られた投影画像84を用いて断層画像86を生成した場合に被写体の全体が写る断層画像86を得ることが可能な照射角度範囲のことをいう。厳密には、全体撮影用照射角度範囲ARとは、被写体の全体が写る断層画像86を得ることが可能な最大の照射角度範囲のことをいう。
【0047】
照射角度範囲が全体撮影用照射角度範囲ARよりも広い場合、断層画像86における再構成領域85が被写体の領域82よりも狭くなるため、断層画像86は、被写体の一部が写った画像となる。
【0048】
図2には、全体撮影用照射角度範囲ARよりも広い照射角度範囲として第1の照射角度範囲ARが示されている。照射角度範囲が第1の照射角度範囲ARの場合、照射位置80~8013の各々において得られる投影画像84~8413に含まれる被写体の領域82~8213に共通する部分領域83が第1の断層画像86を生成する際の再構成領域85に対応する。部分領域83、すなわち再構成領域85は、投影画像84~8413に含まれる被写体の領域82~8213に比して小さくなる。
【0049】
第1の断層画像86では、再構成領域85が、被写体が写ることが可能な領域である。そのため、第1の断層画像86は、被写体の一部が写った画像となる。例えば、図2には、被写体である乳房Wの一部が写る第1の断層画像86が示されている。
【0050】
断層画像86の分解能は、照射角度範囲に依存し、照射角度範囲が広くなるほど、断層画像86の分解能は高くなる。そのため、第1の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像84~8413を用いて生成された第1の断層画像86は、高分解能な画像となる。
【0051】
一方、照射角度範囲が全体撮影用照射角度範囲AR以下の場合、断層画像86における再構成領域85が被写体の領域82と同等となるため、断層画像86は、被写体の一部が写った画像となる。
【0052】
図2には、全体撮影用照射角度範囲AR以下の照射角度範囲として第2の照射角度範囲ARが示されている。照射角度範囲が第2の照射角度範囲ARの場合、照射位置80~80の各々において得られる投影画像84~84に含まれる被写体の領域82~82に共通する部分領域83が第2の断層画像86を生成する際の再構成領域85に対応する。部分領域83、すなわち再構成領域85は、投影画像84~84に含まれる被写体の領域82~82と同等である。
【0053】
第2の断層画像86では、再構成領域85が、被写体が写ることが可能な領域である。そのため、第2の断層画像86は、被写体全体が写った画像となる。例えば、図2には、被写体である乳房Wの全体が写る第2の断層画像86が示されている。
【0054】
断層画像86の分解能は、照射角度範囲に依存し、照射角度範囲が狭くなるほど、断層画像86の分解能は低くなる。そのため、第2の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像84~84を用いて生成された第2の断層画像86は、第1の断層画像86に比べて分解能が低い画像となる。
【0055】
このように、照射角度範囲が全体撮影用照射角度範囲AR以下の場合、各照射位置80で得られる投影画像84を用いて生成された断層画像86は、被写体の全体が写った断層画像となる。また、照射角度範囲が全体撮影用照射角度範囲ARよりも広い場合、各照射位置80で得られる投影画像84を用いて生成された断層画像86は、被写体の一部が写った断層画像となるものの、高分解能な画像となる。
【0056】
また、図3には、実施形態のマンモグラフィ装置及びコンソールの構成の一例を表したブロック図が示されている。図3に示すように本実施形態のマンモグラフィ装置10は、制御部40、記憶部42、I/F(Interface)部44、操作部46、及び線源移動部47をさらに備えている。制御部40、記憶部42、I/F部44、操作部46、及び線源移動部47はシステムバスやコントロールバス等のバス49を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0057】
制御部40は、コンソール12の制御に応じて、マンモグラフィ装置10の全体の動作を制御する。制御部40は、CPU(Central Processing Unit)40A、ROM(Read Only Memory)40B、及びRAM(Random Access Memory)40Cを備える。ROM40Bには、CPU40Aで実行される、放射線画像の撮影に関する制御を行うための撮影プログラム41等を含む各種のプログラム等が予め記憶されている。RAM40Cは、各種データを一時的に記憶する。
【0058】
記憶部42には、放射線検出器20により撮影された放射線画像の画像データや、その他の各種情報等が記憶される。記憶部42の具体例としては、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等が挙げられる。I/F部44は、無線通信または有線通信により、コンソール12との間で各種情報の通信を行う。マンモグラフィ装置10で放射線検出器20により撮影された放射線画像の画像データは、I/F部44を介してコンソール12に無線通信または有線通信によって送信される。
【0059】
本実施形態の制御部40、記憶部42、及びI/F部44の各々は撮影台24内部に設けられている。
【0060】
また、操作部46は、例えば、マンモグラフィ装置10の撮影台24等に複数のスイッチとして設けられている。なお、操作部46は、タッチパネル式のスイッチとして設けられていてもよいし、医師及び技師等のユーザが足で操作するフットスイッチとして設けられていてもよい。
【0061】
線源移動部47は、上述したようにトモシンセシス撮影を行う場合に、制御部40の制御に応じて放射線源29を複数の照射位置80の各々に移動させる機能を有する。具体的には、線源移動部47は、撮影台24に対してアーム部33を回転させることにより複数の照射位置80の各々に放射線源29を移動させる。本実施形態の線源移動部47は、アーム部33内部に設けられている。
【0062】
一方、本実施形態のコンソール12は、無線通信LAN(Local Area Network)等を介してRIS(Radiology Information System)等から取得した撮影オーダ及び各種情報と、操作部56等によりユーザにより行われた指示等とを用いて、マンモグラフィ装置10の制御を行う機能を有している。
【0063】
本実施形態のコンソール12は、一例として、サーバーコンピュータである。図3に示すように、コンソール12は、制御部50、記憶部52、I/F部54、操作部56、及び表示部58を備えている。制御部50、記憶部52、I/F部54、操作部56、及び表示部58はシステムバスやコントロールバス等のバス59を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0064】
本実施形態の制御部50は、コンソール12の全体の動作を制御する。制御部50は、CPU50A、ROM50B、及びRAM50Cを備える。ROM50Bには、CPU50Aで実行される、撮影制御プログラム51A及び画像生成プログラム51Bを含む各種のプログラム等が予め記憶されている。RAM50Cは、各種データを一時的に記憶する。本実施形態ではCPU50Aが、本開示のプロセッサの一例であり、コンソール12が、本開示の画像処理装置及び撮影制御装置の一例である。また、本実施形態の画像生成プログラム51Bが、本開示の画像処理プログラムの一例である。
【0065】
記憶部52には、マンモグラフィ装置10で撮影された放射線画像の画像データや、その他の各種情報等が記憶される。記憶部52の具体例としては、HDDやSSD等が挙げられる。
【0066】
操作部56は、放射線Rの照射指示を含む放射線画像の撮影等に関する指示や各種情報等をユーザが入力するために用いられる。操作部56は特に限定されるものではなく、例えば、各種スイッチ、タッチパネル、タッチペン、及びマウス等が挙げられる。表示部58は、各種情報を表示する。なお、操作部56と表示部58とを一体化してタッチパネルディスプレイとしてもよい。
【0067】
I/F部54は、無線通信または有線通信により、マンモグラフィ装置10、RIS、及びPACS(Picture Archiving and Communication Systems)との間で各種情報の通信を行う。本実施形態の放射線画像撮影システム1では、マンモグラフィ装置10で撮影された放射線画像の画像データは、コンソール12が、I/F部54を介して無線通信または有線通信によりマンモグラフィ装置10から受信する。
【0068】
本実施形態のコンソール12は、トモシンセシス撮影における照射角度範囲を制御する機能を有する。また、本実施形態のコンソール12は、トモシンセシス撮影において得られた投影画像から断層画像を生成する機能を有する。図4には、本実施形態のコンソール12における、照射角度範囲を制御する機能及び断層画像を生成する機能に係る構成の一例の機能ブロック図を示す。図4に示すようにコンソール12は、情報取得部60、照射角度範囲制御部62、画像取得部64、第1の断層画像生成部66、第1の合成2次元画像生成部68、第2の断層画像生成部70、第2の合成2次元画像生成部72、及び表示制御部74を備える。一例として本実施形態のコンソール12は、制御部50のCPU50AがROM50Bに記憶されている撮影制御プログラム51Aを実行することにより、CPU50Aが情報取得部60及び照射角度範囲制御部62として機能する。また、コンソール12は、制御部50のCPU50AがROM50Bに記憶されている画像生成プログラム51Bを実行することにより、CPU50Aが情報取得部60、画像取得部64、第1の断層画像生成部66、第1の合成2次元画像生成部68、第2の断層画像生成部70、第2の合成2次元画像生成部72、及び表示制御部74として機能する。
【0069】
情報取得部60は、上述した全体撮影用照射角度範囲ARを表す全体撮影用情報を取得する機能を有する。上述したように全体撮影用照射角度範囲ARとは、被写体全体が写る断層画像86を生成することが可能な投影画像84を得ることができる照射角度範囲である。全体撮影用照射角度範囲ARは、被写体の厚み及び被写体の面積に依存する。「被写体の厚み」とは、圧迫板38により圧迫状態とされた乳房の厚みのことをいう。本実施形態において「被写体の厚み」とは、撮影台24の撮影面24Aから圧迫板38の乳房を圧迫する圧迫面までの距離のことをいう。
【0070】
図5に示した例では、放射線源29が照射位置80に位置する場合、厚みH1を有する乳房WH1、及び厚みH1よりも大きな厚みH2を有する乳房WH2のいずれも、放射線Rが照射される領域R内に全体が存在している。そのため、照射位置80で得られる投影画像84には、乳房WH1及び乳房WH2のいずれも全体が写る。
【0071】
一方、放射線源29が照射位置80に位置する場合、乳房WH1は放射線Rが照射される領域R内に全体が存在する。一方、乳房WH2は、放射線Rが照射される領域R内に収まりきれず、領域R外まで存在する。そのため、照射位置80で得られる投影画像84には、乳房WH1は全体が写るが、乳房WH2は一部が写る。
【0072】
このように、被写体の厚みが大きくなるほど、被写体の全体が写ることが可能な放射線Rの照射角度が小さくなる。従って、被写体の厚みが大きい場合、全体撮影用照射角度範囲ARは狭くなる。
【0073】
また、「被写体の面積」とは、圧迫板38により圧迫状態とされた乳房における放射線Rが照射される面積のことをいう。本実施形態において「被写体の面積」とは、撮影台24の撮影面24Aに接する乳房の面積、または圧迫板38に接する乳房の面積のことをいう。
【0074】
乳房の面積が大きくなるほど、乳房の幅が大きくなる。そのため、図6に示した例では、幅L1を有する乳房WL1よりも、幅L2を有する乳房WL2の方が面積が大きい。放射線源29が照射位置80に位置する場合、幅L1を有する乳房WL1、及び幅L1よりも大きな幅L2を有する乳房WL2のいずれも、放射線Rが照射される領域R内に全体が存在している。そのため、照射位置80で得られる投影画像84には、乳房WL1及び乳房WL2のいずれも全体が写る 一方、放射線源29が照射位置80に位置する場合、乳房WL1は放射線Rが照射される領域R内に全体が存在する。一方、乳房W2は、放射線Rが照射される領域R内に収まりきれず、領域R外まで存在する。そのため、照射位置80で得られる投影画像84には、乳房WL1は全体が写るが、乳房WL2は一部が写る。
【0075】
このように、被写体の面積が大きくなるほど、被写体の全体が写ることが可能な放射線Rの照射角度が小さくなる。従って、被写体の面積が大きい場合、全体撮影用照射角度範囲ARは狭くなる。
【0076】
このように、全体撮影用照射角度範囲ARは、乳房の厚み及び乳房の面積に依存して変化するため、本実施形態の情報取得部60は、全体撮影用照射角度範囲ARを表す全体撮影用情報を取得する。
【0077】
一例として本実施形態では、乳房の厚み及び乳房の面積と、全体撮影用照射角度範囲ARaとが対応付けられた照射角度範囲対応関係情報が予め得られている。情報取得部60は、照射角度対応関係情報を参照して全体撮影用照射角度範囲ARを表す全体撮影用情報を取得する。
【0078】
まず、情報取得部60は、圧迫板38により圧迫状態とされた乳房の厚み及び面積を取得する。情報取得部60が乳房の厚みを取得する方法は特に限定されない。一例として本実施形態では、乳房を圧迫する際に圧迫ユニット36が圧迫板38を移動させる移動量に基づいて、情報取得部60が乳房の厚みを取得する。
【0079】
また、情報取得部60が乳房の面積を取得する方法も特に限定されない。一例として、本実施形態では、ユーザがコンソール12の操作部56により入力した乳房の大きさに基づいて、情報取得部60が乳房の面積を取得する。具体的には、大、中、及び小等の乳房の大きさを表す情報と、その大きさにおける平均的な乳房の面積とが対応付けられた面積対応関係情報が予め得られており、情報取得部60は、面積対応関係情報を参照して、ユーザが操作部56により入力した乳房の大きさに対応する乳房の面積を取得する。
【0080】
なお、情報取得部60が乳房の面積を取得する方法は、本形態に限定されない。例えば、撮影台24や圧迫板38の乳房と接する面に接触センサを設けておき、情報取得部60は、接触センサが乳房の接触を感知した範囲に応じて乳房の面積を取得する形態としてもよい。また例えば、可視光による画像を撮影する可視光画像撮影装置を用い、情報取得部60は、圧迫板38により圧迫状態とされた乳房の圧迫面の可視光画像を取得し、可視光画像に写る乳房の領域の大きさに応じて乳房の面積を取得する形態としてもよい。
【0081】
また、情報取得部60は、全体撮影用情報を参照して乳房の厚み及び面積に対応する全体撮影用照射角度範囲ARを表す全体撮影用情報を取得する。そして、情報取得部60は、取得した全体撮影用情報を照射角度範囲制御部62、画像取得部64、及び第2の断層画像生成部70に出力する。
【0082】
照射角度範囲制御部62は、全体撮影用情報に応じた全体撮影用照射角度範囲ARよりも広い照射角度範囲のトモシンセシス撮影を行わせる制御をマンモグラフィ装置10に対して行う機能を有する。本実施形態の照射角度範囲制御部62は、マンモグラフィ装置10に対して、情報取得部60から入力された全体撮影用情報に応じた全体撮影用照射角度範囲ARよりも広い第1の照射角度範囲ARを照射角度範囲として設定する。マンモグラフィ装置10では、制御部40が線源移動部47により放射線源29を移動させて、コンソール12により設定された照射角度範囲のトモシンセシス撮影を行う。これにより第1の照射角度範囲ARを照射角度範囲としてトモシンセシス撮影がマンモグラフィ装置10により行われる。なお、照射角度範囲制御部62が、第1の照射角度範囲ARを、全体撮影用照射角度範囲ARよりもどの程度広くするかについては、特に限定されない。すなわち、第1の照射角度範囲ARと全体撮影用照射角度範囲ARとの差分については、特に限定されない。例えば、第1の照射角度範囲ARと全体撮影用照射角度範囲ARとの差分は、±15度等、予め定められた値であってもよいし、所望とされる分解能に応じた値であってもよい。
【0083】
画像取得部64は、全体撮影用照射角度範囲ARよりも広い照射角度範囲のトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像84を含む投影画像群を取得する機能を有する。具体的には本実施形態の画像取得部64は、情報取得部60から入力された全体撮影用情報に応じた全体撮影用照射角度範囲ARよりも広い照射角度範囲として、第1の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影で得られた投影画像84~8413を取得する。画像取得部64は、取得した投影画像84~8413を表す画像データを第1の断層画像生成部66及び第2の断層画像生成部70に出力する。
【0084】
第1の断層画像生成部66は、画像取得部64が取得した投影画像群に含まれる投影画像のうちの、第1の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像84~8413を用いて被写体の一部が写る複数の第1の断層画像86を生成する機能を有する。第1の断層画像生成部66が複数の第1の断層画像86を生成する方法は特に限定されず、公知の手法を用いることができる。例えば、FBP(Filter Back Projection)法や逐次近似再構成法等の逆投影法により再構成を行ってもよく、公知の技術を適用することができる。第1の断層画像生成部66が生成する断層画像86のスライス厚(以下、「第1のスライス厚」という)は特に限定されない。なお、断層画像が高分解能であるほど、スライス厚を薄くことができる。そのため、本実施形態では、第1のスライス厚を、第2の断層画像86のスライス厚(以下、「第2のスライス厚」という)よりも薄くしている。具体的には、第1のスライス厚は、例えば、関心物の大きさ、放射線画像の画質、生成における演算処理の処理負荷、及びユーザからの指示等に応じて定めることができる。第1の断層画像生成部66は、生成した複数の第1の断層画像86を表す画像データを、第1の合成2次元画像生成部68及び表示制御部74に出力する。
【0085】
第1の合成2次元画像生成部68は、複数の第1の断層画像86のうちの少なくとも一部を合成した第1の合成2次元画像を生成する機能を有する。第1の合成2次元画像生成部68は、生成した第1の合成2次元画像を表す画像データを表示制御部74に出力する。
【0086】
なお、第1の合成2次元画像生成部68が、第1の合成2次元画像を生成する方法は特に限定されず、公知の手法を用いることができる。一例として、本実施形態の第1の合成2次元画像生成部68は、米国特許第8983156号明細書に記載の手法を用いている。米国特許第8983156合名最初には、断層画像から検出された関心物(ROI:Region Of Interest)を2次元画像にブレンド(合成)して合成2次元画像を生成することにより、断層画像から検出された病変等が反映された合成2次元画像を生成する技術が記載されている。なお、断層画像から関心物を検出する方法も特に限定されず、例えば、公知のコンピュータ支援画像診断(CAD: Computer Aided Diagnosis、以下CADという)のアルゴリズムを用いて、断層画像から関心物を表す特定構造を抽出する方法が挙げられる。CADによるアルゴリズムにおいては、断層画像における画素が関心物であることを表す確率(例えば、尤度)を導出し、その確率が予め定められた閾値以上の場合に、その画素を関心物の画像を構成する画素として検出することが好ましい。また例えば、関心物を抽出するためのフィルタによるフィルタリング処理等によって、断層画像から関心物を抽出する手法を用いてもよい。
【0087】
なお、第1の合成2次元画像生成部68が第1の合成2次元画像を生成する方法としては、例えば、特開2014-128716号公報には、複数の断層画像、または複数の断層画像の少なくとも1つ及び複数の投影画像の少なくとも1つを乳房における断層面が並ぶ深さ方向に投影する、または最小値投影法を用いることにより、合成2次元画像を生成する手法を用いてもよい。また例えば、特許第6208731号公報には、複数の断層画像または複数の断層画像の少なくとも1つ及び複数の投影画像の少なくとも1つを、フィルタ補正逆投影法、最尤再構成法、反復再構成法、代数的方法を使用する再構成法、及び三次元再構成法等のいずれかの方法により再構成することにより合成2次元画像を生成する手法を用いてもよい。
【0088】
一方、第2の断層画像生成部70は、画像取得部64が取得した投影画像群に含まれる投影画像のうちの、第2の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像84~84を用いて被写体の全体が写る複数の第2の断層画像86を生成する機能を有する。具体的には、第2の断層画像生成部70は、情報取得部60から入力された全体撮影用情報に応じた全体撮影用照射角度範囲AR以下の照射角度範囲である第2の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影で得られた投影画像84~84を画像取得部64から取得する。そして、第2の断層画像生成部70は、取得した投影画像84~84を用いて複数の第2の断層画像86を生成する。第2の断層画像86の第2のスライス厚は特に限定されないが本実施形態では、上述したように、第1のスライス厚よりも厚い。具体的な第2のスライス厚は、例えば、関心物の大きさ、放射線画像の画質、生成における演算処理の処理負荷、及びユーザからの指示等に応じて定めることができる。なお、第2の断層画像生成部70が複数の第2の断層画像86を生成する方法は特に限定されず、例えば、第1の断層画像生成部66が第1の断層画像86を生成する方法と同様の方法を適用すればよい。第2の断層画像生成部70は、生成した複数の第2の断層画像86を表す画像データを、第2の合成2次元画像生成部72及び表示制御部74に出力する。
【0089】
第2の合成2次元画像生成部72は、複数の第2の断層画像86のうちの少なくとも一部を合成した第2の合成2次元画像を生成する機能を有する。第2の合成2次元画像生成部72は、生成した第2の合成2次元画像を表す画像データを表示制御部74に出力する。なお、第2の合成2次元画像生成部72が第2の合成2次元画像を生成する方法は特に限定されず、例えば、第1の合成2次元画像生成部68が第1の合成2次元画像を生成する方法と同様の方法を適用すればよい。
【0090】
表示制御部74は、第1の断層画像86、第2の断層画像86、第1の合成2次元画像、及び第2の合成2次元の少なくとも一つを表示部58に表示させる機能を有する。表示制御部74によるこれらの画像の表示形態については、詳細を後述する。
【0091】
次に、トモシンセシス撮影におけるコンソール12の作用について図面を参照して説明する。コンソール12は、マンモグラフィ装置10によりトモシンセシス撮影を行った(図7、ステップS10)後、トモシンセシス撮影により得られた投影画像群を用いて、各種の放射線画像を生成し、表示部58等に表示させる(図7、ステップS12参照)。
【0092】
まず、図7のステップS10に示した、マンモグラフィ装置10によるトモシンセシス撮影におけるコンソール12の作用について説明する。トモシンセシス撮影を行う場合、ユーザは、マンモグラフィ装置10の撮影台24に被写体となる乳房をポジショニングし、圧迫板38により乳房を圧迫する。乳房の圧迫が完了すると、コンソール12は、図8に示した撮影制御処理を実行する。具体的には、コンソール12は、RISから取得した撮影メニューにトモシンセシス撮影が指示された状態で、乳房の圧迫が完了したことを表す情報を受け付けた場合等に、図8に示した撮影制御処理を実行する。図8には、本実施形態のコンソール12による撮影制御処理の流れの一例を表したフローチャートが示されている。本実施形態のコンソール12は、一例として、制御部50のCPU50Aが、ROM50Bに記憶されている撮影制御プログラム51Aを実行することにより、図8に一例を示した撮影制御処理を実行する。
【0093】
図8のステップS100で情報取得部60は、乳房の厚みを取得する。上述したように、本実施形態の情報取得部60は、乳房を圧迫する際に圧迫ユニット36が圧迫板38を移動させる移動量に基づいて、情報取得部60が乳房の厚みを取得する。
【0094】
次のステップS102で情報取得部60は、乳房の面積を取得する。上述したように、本実施形態の情報取得部60は、ユーザがコンソール12の操作部56により入力した乳房の大きさに基づいて乳房の面積を取得する。
【0095】
次のステップS104で情報取得部60は、全体撮影用照射角度範囲ARを表す全体撮影用情報を取得する。上述したように、本実施形態の情報取得部60は、照射角度対応関係情報を参照して、上記ステップS100で取得した乳房の厚み、及びステップS102で取得した乳房の面積に対応する全体撮影用情報を取得する。
【0096】
次のステップS106で照射角度範囲制御部62は、マンモグラフィ装置10に対してトモシンセシス撮影における照射角度範囲を設定する。上述したように、本実施形態の照射角度範囲制御部62は、上記ステップS104で情報取得部60が取得した全体撮影用情報に基づいて第1の照射角度範囲ARを特定し、特定した第1の照射角度範囲ARを照射角度範囲としてマンモグラフィ装置10に設定する。ステップS106の処理が終了すると、図8に示した撮影制御処理が終了する。これによりマンモグラフィ装置10では、放射線源29を照射位置80~8013の各々に移動させて、第1の照射角度範囲AR1のトモシンセシス撮影が行われ、投影画像84~8413が撮影される。
【0097】
マンモグラフィ装置10によるトモシンセシス撮影が終了すると、図7のステップS12に示した、コンソール12による各種の放射線画像の生成及び表示が行われる。各種の放射線画像の生成及び表示におけるコンソール12の作用について説明する。
【0098】
一例として本実施形態のマンモグラフィ装置10は、トモシンセシス撮影が終了すると、撮影された投影画像群の画像データをコンソール12に出力する。コンソール12は、マンモグラフィ装置10から入力された投影画像群の画像データを記憶部52に記憶させる。
【0099】
記憶部52に投影画像群の画像データを記憶させた後、コンソール12は、図9に示した画像処理を実行する。図9には、本実施形態のコンソール12による画像処理の流れの一例を表したフローチャートが示されている。本実施形態のコンソール12は、一例として、制御部50のCPU50Aが、ROM50Bに記憶されている画像生成プログラム51Bを実行することにより、図9に一例を示した画像処理を実行する。
【0100】
図9のステップS200で、画像取得部64は、投影画像群を取得する。上述したように、本実施形態の画像取得部64は、情報取得部60から入力された全体撮影用情報に応じた全体撮影用照射角度範囲ARよりも広い照射角度範囲として、第1の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影で得られた投影画像84~8413を投影画像群として取得する。
【0101】
次のステップS202で第1の断層画像生成部66は、第1の断層画像86を生成する。上述したように、本実施形態の第1の断層画像生成部66は、上記ステップS200で取得した投影画像群に含まれる投影画像のうちの、第1の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像84~8413を用いて被写体の一部が写る複数の第1の断層画像86を、第1のスライス厚で生成する。
【0102】
次のステップS204で第1の合成2次元画像生成部68は、第1の合成2次元画像を生成する。上述したように、本実施形態の第1の合成2次元画像生成部68は、上記ステップS202で生成した複数の第1の断層画像86のうちの少なくとも一部を合成した第1の合成2次元画像を生成する。
【0103】
次のステップS206で第2の断層画像生成部70は、第2の断層画像86を生成する。上述したように、本実施形態の第2の断層画像生成部70は、上記ステップS200で取得した投影画像群に含まれる投影画像のうちの、第2の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像84~84を用いて被写体の全体が写る複数の第2の断層画像86を生成する。
【0104】
次のステップS208で第2の合成2次元画像生成部72は、第2の合成2次元画像を生成する。上述したように、本実施形態の第2の合成2次元画像生成部72は、上記ステップS206で生成した複数の第2の断層画像86のうちの少なくとも一部を合成した第2の合成2次元画像を生成する。
【0105】
次のステップS210で表示制御部74は、各種の放射線画像を表示させる。具体的には、上記ステップS202で生成した第1の断層画像86、上記ステップS204で生成した第1の合成2次元画像、上記ステップS206で生成した複数の第2の断層画像86、及び上記ステップS208で生成した第2の合成2次元画像を表示部58に表示させる制御を行う。
【0106】
一例として本実施形態の表示制御部74は、まず、表示部58に、第1の断層画像86及び第2の断層画像86を並べて表示させる。図10Aには、第1の断層画像86及び第2の断層画像86が表示部58に表示された状態の一例を示す。図10Aに示すように、表示部58には、1枚の第1の断層画像86、及びスライダバー90が表示される。ユーザが操作部56を操作してスライダバー90のバーをスライダに沿って移動させると、バーの位置に応じた高さの第1の断層画像86が表示部58に表示される。また、表示部58には、1枚の第2の断層画像86、及びスライダバー90が表示される。ユーザが操作部56を操作してスライダバー90のバーをスライダに沿って移動させると、バーの位置に応じた高さの第2の断層画像86が表示部58に表示される。なお、本実施形態の表示制御部74は、表示部58に表示される第1の断層画像86及び第の断層画像86の断層面を揃える制御を行う。換言すると、表示制御部74は、表示部58に表示される第1の断層画像86及び第2の断層画像86の高さを揃える制御を行う。そのため、ユーザがスライダバー90及びスライダバー90のいずれか一方を操作して表示部58に表示される第1の断層画像86及び第2の断層画像86のいずれか一方の高さを変更した場合、表示部58に表示される第1の断層画像86及び第2の断層画像86の他方の高さも変更される。なお、本実施形態と異なり、表示部58に表示される第1の断層画像86及び第2の断層画像86の断層面を異ならせる形態であってもよいし、断層面を揃えるか否かについてユーザによる切替が可能であってもよい。
【0107】
また、図10Aに示すように、本実施形態の表示制御部74は、第1の断層画像86を表示する場合、第1の断層画像86上に、第1の断層画像86における再構成領域85を示す再構成領域情報87を重畳させて表示させる。このように、第1の断層画像86上に再構成領域85を表す再構成領域情報87を表示させることにより、ユーザは、第1の断層画像86及び第2の断層画像86の対比が行い易くなる。なお、本実施形態の再構成領域情報87が、本開示の被写体の範囲を表す情報の一例である。
【0108】
また、図10Aに示すように、本実施形態の表示制御部74は、切替ボタン92、92を表示部58に表示させる。表示制御部74は、ユーザが操作部56を用いて行った切替ボタン92の操作を受け付けた場合、表示部58に表示される放射線画像を、第1の断層画像86及び第1の合成2次元画像88のうちの一方から他方に切り替える制御を行う。図10Aに示した状態において切替ボタン92をユーザが操作した場合、図10Bに示すように表示部58には、第1の断層画像86に代えて第1の合成2次元画像88を表示部58に表示させる。一方、表示制御部74は、ユーザが操作部56を用いて行った切替ボタン92の操作を受け付けた場合、表示部58に表示される放射線画像を、第2の断層画像86及び第2の合成2次元画像88のうちの一方から他方に切り替える制御を行う。図10Aに示した状態において切替ボタン92をユーザが操作した場合、図10Cに示すように表示部58には、第2の断層画像86に代えて第2の合成2次元画像88を表示部58に表示させる。図10Cに示した例では、第2の合成2次元画像88上に再構成領域情報87を表示させた形態を示している。このように、第2の合成2次元画像88上にも再構成領域情報87を表示させることにより、ユーザは、第1の断層画像86または第1の合成2次元画像88と、第2の合成2次元画像88との対比が行い易くなる。
【0109】
このようにしてステップS210の処理が終了すると、図9に示した画像処理が終了する。
【0110】
以上説明したように、上記形態のコンソール12は、照射角度が異なる複数の照射位置80の各々から放射線源29により乳房に向けて放射線Rを照射して照射位置80毎に乳房の投影画像84を撮影するトモシンセシス撮影を行うマンモグラフィ装置10に用いられる。コンソール12は、少なくとも1つのプロセッサとしてCPU50Aを備える。CPU50Aは、複数の照射位置80のうち、それぞれで得られた投影画像84を用いて断層画像86を生成した場合に乳房の全体が写る断層画像86を得ることが可能な照射角度範囲である全体撮影用照射角度範囲ARよりも広い照射角度範囲のトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像84を含む投影画像群を取得する。CPU50Aは、投影画像群に含まれる投影画像84のうちの、全体撮影用照射角度範囲ARよりも広い第1の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像84~8413を用いて乳房の一部が写る複数の第1の断層画像86を生成する。CPU50Aは、投影画像群に含まれる投影画像84のうちの、全体撮影用照射角度範囲AR以下の第2の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像84~84を用いて乳房の全体が写る複数の第1の断層画像86を生成する。
【0111】
このように上記形態のコンソール12は、全体撮影用照射角度範囲ARaよりも広い照射角度範囲のトモシンセシス撮影により得られた投影画像群から、2種類の断層画像86を生成する。1つ目の断層画像86は、全体撮影用照射角度範囲ARよりも広い第1の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影に応じた第1の断層画像86である。第1の照射角度範囲ARは全体撮影用照射角度範囲ARよりも広いため、第1の断層画像86は、被写体の一部が写る画像となるが、高分解能な画像となる。2つ目の断層画像86は、全体撮影用照射角度範囲AR以下の第2の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影に応じた第2の断層画像86である。第2の照射角度範囲ARが全体撮影用照射角度範囲AR以下であるため、第2の断層画像86は、第1の断層画像86よりも分解能が下がるが、被写体の全体が写る画像となる。
【0112】
従って、上記形態のコンソール12によれば、全てを用いて生成した場合に被写体全体が写らなくなる照射角度範囲のトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像を含む投影画像群から、高分解能な断層画像と、被写体全体が写った断層画像とを生成することができる。
【0113】
また、上記形態では、1回のトモシンセシス撮影により、第1の照射角度範囲ARによるトモシンセシス撮影と、第2の照射角度範囲ARによるトモシンセシス撮影を行うことができる。そのため、第1の照射角度範囲ARによるトモシンセシス撮影と、第2の照射角度範囲ARによるトモシンセシス撮影とを別々に行う形態、すなわちトモシンセシス撮影を2回行う形態によりも、2つのトモシンセシス撮影が終了するまでの時間を短くすることができる。また、撮影が終了するまでの時間を抑制することにより、被写体の体動を抑制することができる。
【0114】
なお、本実施形態において「1回のトモシンセシス撮影」とは、少なくとも、乳房を圧迫板38により圧迫したままで行われるトモシンセシス撮影のことをいう。そのため、乳房を圧迫板38により圧迫した状態で第1の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影を行った後、乳房を圧迫板38により圧迫したままで、第2の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影を行う場合も含む。または、「1回のトモシンセシス撮影」とは、撮影メニュー等により、開始位置として定められた照射位置80における投影画像84の撮影の開始から、終了位置として定められた照射位置80における投影画像84の撮影が終了するまでに行われたトモシンセシス撮影のことをいう。
【0115】
図11を参照して1回のトモシンセシス撮影について、上記形態と異なる例について説明する。まず、圧迫板38(図11では図示を省略)により乳房Wを圧迫状態として、開始位置として定められた照射位置80から照射位置8013まで放射線源29を移動方向M1に移動させて第1の照射角度範囲ARによるトモシンセシス撮影を行う。続けて、圧迫板38により乳房Wを圧迫状態としたままで、放射線源29を照射位置8013から照射位置80まで移動方向M2に移動させる。放射線源29が照射位置80に至ると、乳房Wを圧迫状態としたままで照射位置80から終了位置として定められた照射位置80まで移動方向M3に移動させて第2の照射角度範囲ARによるトモシンセシスを行う。このように乳房Wを圧迫板38により圧迫状態としたままで2種類のトモシンセシス撮影が行われるため、各トモシンセシス撮影の間で体動により乳房が動いてしまうのを抑制することができる。
【0116】
また、上記形態では、第1の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影により得られた投影画像84~84を第2の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影により得られた投影画像84~84として用いている。このように、上記形態のコンソール12では、1つの投影画像84を第1の断層画像86及び第2の断層画像86の生成に用いるため、トモシンセシス撮影全体における投影画像84の撮影回数を少なくすることができ、2種類のトモシンセシス撮影が終了するまでのトモシンセシス撮影全体に係る時間を短くすることができる。
【0117】
なお、上記形態では、第2の照射角度範囲AR内の照射位置80~80により得られた投影画像84~84を、第1の断層画像86及び第2の断層画像86の両方の生成に用いる形態について説明したが、本形態に限定されない。投影画像84~84の各々は、第1の断層画像86及び第2の断層画像86のいずれか一方の生成に用いられる形態としてもよい。例えば、照射位置80、80は、第1の断層画像86の生成に用いられ、照射位置80、80、80は、第2の断層画像86の生成に用いられる形態としてもよい。換言すると、第1の照射角度範囲AR内の照射位置80を、照射位置80~80、80、80、8010~8013とし、第2の照射角度範囲AR内の照射位置80を、照射位置80、80、80とする形態としてもよい。
【0118】
また、上記形態では、マンモグラフィ装置10の放射線源29が1つの放射線管27を備え、放射線源29を各照射位置80に移動させることによりトモシンセシス撮影を行う形態について説明したが、複数の放射線管27を備える放射線源29を用い、放射線源29を移動させずにトモシンセシス撮影を行う形態としてもよい。図12には、複数の放射線管27を備えた放射線源29の一例を示す。なお、図12では、9個の放射線管27を祖阿寝た放射線源29を示しているが、放射線源29が備える放射線管27の数は、本形態に限定されない。9つの放射線管27は、3つずつ分割してハウジング32~32に収容されている。3つのハウジング32~32は、線源収容部30に収容された状態で放射線照射部28に配置される。
【0119】
マンモグラフィ装置10においてトモシンセシス撮影を行う場合、放射線照射部28の放射線源29は、アーム部33の回転により順次、照射角度が異なる複数の照射位置の各々に移動される。放射線源29は、放射線Rを発生する放射線管27を有しており、放射線源29の移動に応じて、放射線管27が複数の照射位置の各々に移動される。
【0120】
図13には、図12に示した放射線源29を用いて行われるトモシンセシス撮影の一例を説明するための図を示す。なお、図13では、圧迫板38の図示を省略している。本実施形態では、図13に示すように放射線源29の放射線管27~27(j=2、・・・、図13では最大値は9)の各々は、予め定められた照射位置80に配置されている。換言すると、図13に示した例では、放射線管27~27は、放射線検出器20の検出面20Aに対する放射線Rの入射角度が異なる照射位置80~80に各々配置されている。各照射位置80~80において、コンソール12の指示により放射線源29から放射線Rが乳房Wに向けて順次、照射され、放射線検出器20により投影画像が撮影される。放射線画像撮影システム1では、放射線管27~27から放射線Rを順次照射させて、投影画像84~84の撮影を順次行う。図13の例では、9枚の投影画像が得られる。
【0121】
照射角度範囲が全体撮影用照射角度範囲ARよりも広い第1の照射角度範囲ARの場合、照射位置80~80の各々において得られる投影画像84~84に含まれる被写体の領域82~82に共通する部分領域83が第1の断層画像86を生成する際の再構成領域85に対応する。部分領域83、すなわち再構成領域85は、投影画像84~84に含まれる被写体の領域82~82に比して小さくなる。従って、本形態においても、第1の断層画像86は、被写体の一部が写った画像となる。例えば、図13には、被写体である乳房Wの一部が写る第1の断層画像86が示されている。
【0122】
第1の照射角度範囲ARは、全体撮影用照射角度範囲ARよりも広いため、第1の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像84~84を用いて生成された第1の断層画像86は、高分解能な画像となる。
【0123】
一方、照射角度範囲が全体撮影用照射角度範囲AR以下の場合、断層画像86における再構成領域85が被写体の領域82と同等となるため、断層画像86は、被写体の一部が写った画像となる。
【0124】
また、照射角度範囲が第2の照射角度範囲ARの場合、照射位置80~80の各々において得られる投影画像84~84に含まれる被写体の領域82~82に共通する部分領域83が第2の断層画像86を生成する際の再構成領域85に対応する。部分領域83、すなわち再構成領域85は、投影画像84~84に含まれる被写体の領域82~82と同等である。そのため、本形態においても、第2の断層画像86は、被写体全体が写った画像となる。例えば、図13には、被写体である乳房Wの全体が写る第2の断層画像86が示されている。
【0125】
このように、放射線源29が複数の放射線管27を備え、複数の放射線管27の各々が照射位置80に配置されている場合、放射線源29、すなわち放射線管27を各照射位置80に移動させずともトモシンセシス撮影を行うことができる。なお、図13に示した例では、放射線管27~27が直線的に並んだ形態を示したが、放射線管27~27の具体的な配置は本形態に限定されない。例えば、放射線管27~27において、焦点と検出面20Aの中心等予め設定された位置とを結ぶ軸の長さが共通となる状態に、放射線管27~27が配置された形態としてもよい。この場合、放射線管27~27が配置された位置が、照射位置80となるため、図2に示した照射位置80~8013等のように円弧を描くように放射線管27~27が配置される。
【0126】
なお、上記形態では、コンソール12が本開示の画像処理装置及び撮影制御装置の一例である形態について説明したが、コンソール12以外の装置が本開示の画像処理装置及び撮影制御装置の機能を備えていてもよい。換言すると、情報取得部60、照射角度範囲制御部62、画像取得部64、第1の断層画像生成部66、第1の合成2次元画像生成部68、第2の断層画像生成部70、第2の合成2次元画像生成部72、及び表示制御部74の機能の一部または全部をコンソール12以外の、例えばマンモグラフィ装置10や、外部の装置等が備えていてもよい。また、上記形態では、画像処理装置及び撮影制御装置の機能を1台の装置が備える形態について説明したが、画像処理装置及び撮影制御装置の機能を各々異なる装置が備える形態であってもよい。また例えば、画像処理装置及び撮影制御装置の機能の一部または全部をコンソール12以外の装置が備えていてもよいし、コンソール12も含む複数の装置が備えていてもよい。
【0127】
また、上記形態では、本開示の被写体の一例として乳房を適用し、本開示の放射線画像撮影装置の一例として、マンモグラフィ装置10を適用した形態について説明したが、被写体は乳房に限定されず、また放射線画像撮影装置はマンモグラフィ装置に限定されない。例えば、被写体は胸部や腹部等であってもよいし、放射線画像撮影装置はマンモグラフィ装置以外の放射線画像撮影装置を適用する形態であってもよい。
【0128】
また、上記形態において、例えば、情報取得部60、照射角度範囲制御部62、画像取得部64、第1の断層画像生成部66、第1の合成2次元画像生成部68、第2の断層画像生成部70、第2の合成2次元画像生成部72、及び表示制御部74といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0129】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0130】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0131】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0132】
また、上記各形態では、撮影プログラム41がROM40Bに予め記憶(インストール)されており、また撮影制御プログラム51A及び画像生成プログラム51BがROM50Bに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。撮影プログラム41、撮影制御プログラム51A、画像生成プログラム51Bの各々は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、撮影プログラム41、撮影制御プログラム51A、画像生成プログラム51Bの各々は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0133】
1 放射線画像撮影システム
10 マンモグラフィ装置
12 コンソール
20 放射線検出器、20A 検出面
24 撮影台、24A 撮影面
27、27~27 放射線管
28 放射線照射部
29 放射線源
30 線源収容部
32~32 ハウジング
33 アーム部
34 基台
35 軸部
36 圧迫ユニット
38 圧迫板
39 支持部
40A、50A CPU、40B、50B ROM、40C、50C RAM
41 撮影プログラム
42、52 記憶部
44、54 I/F部
46、56 操作部
47 線源移動部
49、59 バス
51A 撮影制御プログラム、51B 画像生成プログラム
58 表示部
60 情報取得部
62 照射角度範囲制御部
64 画像取得部
66 第1の断層画像生成部
68 第1の合成2次元画像生成部
70 第2の断層画像生成部
72 第2の合成2次元画像生成部
74 表示制御部
80~8013、80、80 照射位置
82、82、82、82、8213 被写体の領域
83、83 部分領域
84、84、84、84、8413 投影画像
85 85 再構成領域
86 第1の断層画像、86 第2の断層画像
87 再構成領域情報
88 第1の合成2次元画像、88 第2の合成2次元画像
90、90 スライダバー
92、92 切替ボタン
AR 第1の照射角度範囲、AR 第2の照射角度範囲、AR 全体撮影用照射角度範囲
CL 法線
H1、H2 厚み
L1、L2 幅
M1~M3 移動方向
R 放射線、R、R、R 領域
RC 放射線軸
W、WH、WH、WL、WL 乳房
α、θ 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13