(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131993
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】頭部に装着する、遮へい物を開閉する開閉機構を備えた口腔遮へい装具。
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220831BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021068691
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】521159355
【氏名又は名称】矢口 知弘
(72)【発明者】
【氏名】矢口 知弘
(57)【要約】
【課題】会食時の飲食が容易に出来ると共に、会話時の口から出る飛沫拡散を極力、防止する効果のある衛生的な会食に役立つものを提供する。
【解決手段】利用者が口腔遮へい装具を装着して飲食しようとしてうつむくと、首の動きに連動する開閉機構部5の働きにより、利用者の鼻及び口周辺を覆う遮へい物6を取り付けた可動フレーム4が、利用者の手を使わずとも下方に大きく開くことにより、利用者の視界を妨げることなく、飲食物を容易に口に入れることが出来、利用者が首を元に戻すと、開閉機構部5の収縮部11により、開閉機構部5がうつむく前の状態に戻り、利用者の手を使わずとも下方に開いていた遮へい物6が上方へ跳ね上がり、利用者の鼻及び口周辺を覆うことになり、会話時の飛沫拡散を防止する効果がある。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の下顎から首元までの領域に設けられ、利用者がうつむくと、首の動きに連動する開閉機構部と、下部フレームと、利用者の下顎に密着させる上部フレームと、利用者の耳に掛ける耳掛け部と、前記開閉機構部の作用により上下に開閉する可動フレームと、可動フレームに取り付けられた利用者の鼻及び口周辺から下方に伸びる遮へい物を備えることを特徴とする口腔遮へい装具。
【請求項2】
上記開閉機構部は、下部フレーム左右上部に設けられ、利用者の首の動きに連動して開閉するヒンジA及びヒンジBと、ヒンジAとBの開閉により反転する反転部と、反転部に斜めの角度をつけて設けられたヒンジCと、復元力を持つ収縮部を備えられたことを特徴とする。請求項1に記載した開閉機構部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不衛生でウイルス感染の原因となる会食環境の改善に役立ち、今までなかった開閉機構に関する口腔遮へい装具である。
【背景技術】
【0002】
昨今、新型コロナ禍を受けて、新しい「生活様式」の意識が求められていて、日常生活の上でも、常時マスクの着用がもとめられている。
【0003】
しかし、会食時にはマスクを外さなければならず、会話による飛沫が周囲の人の身体や顔面や飲食物にかかり不衛生で、会食がウイルス拡散の原因と問題視されている。
【0004】
このような点に着目し、マスクを着用したまま飲食を可能とするマスクが開示されている(特許文献1参照)。特許文献1のマスクでは、マスクの下方が開放出来る構造により、飲食時には片手でマスク下方を跳ね上げて、口を露出させて飲食を行うとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたマスクは、飲食物を口に入れようとしてマスク下方を片手で跳ね上げると、手とマスクが飲食者の目線の視界の障害となり、飲食物を口に入れにくいことや、マスクが飲食物で汚れる恐れや、片手が塞がってしまうことの課題がある。
【0007】
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたもので、会食時の飲食が容易に出来ると共に、会話時の口から出る飛沫拡散を極力、防止する効果のある衛生的な会食に役立つものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明は、以下の構成のものとした。
[1] 利用者の下顎から首元までの領域に設けられ、利用者がうつむくと、首の動きに連動する開閉機構部と、下部フレームと、利用者の下顎に密着させる上部フレームと、利用者の耳に掛ける耳掛け部と、前記開閉機構部の作用により上下に開閉する可動フレームと、可動フレームに取り付けられた利用者の鼻及び口周辺から下方に伸びる遮へい物を備えた口腔遮へい装具とする。
[2] 上記開閉機構部は、下部フレーム左右上部に設けられ、利用者の首の動きに連動して開閉するヒンジA及びヒンジBと、ヒンジAとBの開閉により反転する反転部と、反転部に斜めの角度をつけて設けられたヒンジCと、復元力を持つ収縮部を備えた口腔遮へい装具とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、遮へい物が利用者の首の動きに連動して開くことにより、飲食が容易に出来ると共に、会話時には遮へい物が閉じることにより、利用者の口から出る飛沫拡散を極力、防止する効果のある衛生的な会食に役立つことが出来る、全く新しいものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】利用者が、遮へい物が付いた口腔遮へい装具を装着した正面図である。
【
図2】利用者がうつむいた時の遮へい物が付いたフレームと、全体の側面図である。
【
図3】遮へい物を外したフレームと、全体の図である。
【
図4-A】可動フレームが閉じている時のフレームと全体の側面図と、外側から見た開閉機構部の拡大図と、内側から見た開閉機構部の拡大図である。
【
図4-B】可動フレームが開いている時のフレームと全体の側面図と、外側から見た開閉機構部の拡大図と、内側から見た開閉機構部の拡大図である。
【
図4-C】利用者がうつむく前とうつむいた時の、下部フレームと、上部フレームと、可動フレームの正面図である。
【
図5】利用者がうつむく前とうつむいた時の、利用者の顔面と身体の上体との角度の変位と、利用者の下顎から首元までの距離の変位を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して説明する。
図1、
図3に示すように、利用者の下顎から首元までの領域に設けられ、利用者がうつむくと、首の動きに連動する開閉機構部5と、下部フレーム1と、利用者の下顎に密着させる上部フレーム2と、利用者の耳に掛ける耳掛け部3と、前記開閉機構部5の作用により上下に開閉する可動フレーム4と、可動フレーム4に取り付けられた利用者の鼻及び口周辺から下方に伸びる遮へい物6を備える。
【0012】
図3、
図4-Aに示すように、上記開閉機構部5は、下部フレーム1の左右上部に設けられ、利用者の首の動きに連動して開閉するヒンジA7及びヒンジB8と、ヒンジA7とヒンジB8の開閉により反転する反転部10と、反転部10に水平から上方に約30度から80度程度の斜めの角度をつけて設けられたヒンジC9と、復元力を持つ収縮部11を備える。
【0013】
ヒンジC9の取り付けの角度設定により、可動フレーム4の開く大きさが変化する。
【0014】
上記ヒンジA7は下部フレーム1と反転部10を繋ぎ、上記ヒンジB8は反転部10と上部フレーム2を繋ぎ、上記ヒンジC9は反転部10と可動フレーム4を繋ぎ、上記収縮部11はゴム、スプリングなどの収縮性があるものとなっている。
【0015】
上記によれば、利用者がこれを装着して飲食しようとしてうつむくと、首の動きに連動する開閉機構部5の反転部10の反転をヒンジC9のひねりの力に変換する働きにより、利用者の鼻及び口周辺を覆う遮へい物6を取り付けた可動フレーム4が、利用者の手を使わずとも下方に大きく開くことにより、利用者の視界を妨げることなく、飲食物を容易に口に入れることが出来る。
【0016】
利用者がうつむくと、利用者の顔面と身体の上体との角度の変位と利用者の下顎から首元までの距離の変位が生じることにより(
図5)、利用者の首元に接触した下部フレーム1に上方への圧縮の力が加わり、ヒンジA7が閉じ、ヒンジB8が開くことにより、反転部10を反転させる。
【0017】
上記反転部10が反転することにより、ヒンジC9にひねりの力が加わり、その反力とヒンジC9を斜めに取り付けた角度の作用により、ヒンジC9を閉じる方向へ力を変換し、その結果、可動フレーム4が下方へ開く。(
図4-B)
【0018】
そして、利用者が首を元に戻すと、開閉機構部5の収縮部11により、開閉機構部5がうつむく前の状態に戻り、利用者の手を使わずとも下方に開いていた遮へい物6が上方へ跳ね上がり、閉じることにより、利用者の鼻及び口周辺を覆うことになり、会話しても、飛沫拡散を防止する効果がある。
【0019】
上記した、下部フレーム1と、上部フレーム2と、可動フレーム4と、反転部10と、耳掛け部3と、遮へい物6と、ヒンジA7、ヒンジB8、ヒンジC9など構成物の材質は、紙、布、木材、樹脂、ゴム、金属などの公知の材質を広く採用できる。
【0020】
上記口腔遮へい装具を利用者に装着する耳掛け部3は、上部フレーム2の左右両端付近又は、下部フレーム1の左右上部付近に設けられた紐状のもので、利用者の耳に掛けて上部フレーム2と下部フレーム1を保持する。
【0021】
上記上部フレーム2の中央には、利用者の下顎に安定させるための凸部を有する。
【0022】
上記遮へい物6は、マスク又はシールドでもよいし、利用者の鼻及び口周辺から下方へ用途に応じて広げることと、図や文字を記入することが出来、会食時の話題性が上がる期待がもてる。
【0023】
上記遮へい物の大きさと形状やデザインを変えることで、危険作業時の顔面保護の目的や、遊び目的にも応用できる。
【符号の説明】
【0024】
1 下部フレーム
2 上部フレーム
2a うつむいた時の上部フレーム
3 耳掛け部
4 可動フレーム
5 開閉機構部
6 遮へい物
7 うつむく前の開いたヒンジA
7a うつむいた時の閉じたヒンジA
8 うつむく前の閉じたヒンジB
8a うつむいた時の開いたヒンジB
9 うつむく前の開いたヒンジC
9a うつむいた時の閉じたヒンジC
10 うつむく前の反転部
10aうつむいた時の反転した反転部
11 収縮部
12 利用者の顔面の仮想線
13 利用者の身体の上体の仮想線
14 利用者の顔面と身体の上体との角度の変位
15 利用者の下顎から首元までの距離の変位