(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013361
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】エレベータの群管理制御システム
(51)【国際特許分類】
B66B 1/14 20060101AFI20220111BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
B66B1/14 L
B66B3/00 M
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020115869
(22)【出願日】2020-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】大橋 信重
【テーマコード(参考)】
3F303
3F502
【Fターム(参考)】
3F303CA14
3F303CB23
3F303CB31
3F303DC25
3F502HB01
3F502JA05
3F502JA19
3F502JA20
3F502KA05
3F502KA15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】利用者がエレベータを乗り間違えたままエレベータが運行される虞を抑制することが可能な、エレベータの群管理制御システムを提供する。
【解決手段】群管理制御システム1は、エレベータ20a,20b,20cの利用者を撮影する第1のカメラ13と、認証手段12,31,32と、当該利用者にエレベータ20a,20b,20cのうち一の号機を割当号機として割り当てる割当手段33,34と、正規の利用者に上記割当号機を通知する通知手段14と、第1のカメラ13によって撮影された正規の利用者の画像を保持する記憶手段32と、各号機に対応して設けられ、当該号機に乗り込む利用者を撮影する第2のカメラ23と、当該利用者の割当号機が上記第2のカメラ23に対応する号機であるか判定する判定手段35と、判定手段35の判定結果に応じて当該利用者に乗り間違いを報知する報知手段36,24と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数号機のエレベータを群管理制御するエレベータの群管理制御システムにおいて、
前記複数号機のエレベータの利用者を撮影する第1のカメラと、
前記利用者を認証する認証手段と、
前記認証手段によって前記利用者が前記複数号機のエレベータの利用を許可された正規の利用者として認証された場合に、当該利用者に前記複数号機のエレベータのうち一の号機を割当号機として割り当てる割当手段と、
前記認証手段によって前記正規の利用者として認証された前記利用者に、前記割当号機を通知する通知手段と、
前記認証手段によって前記正規の利用者として認証された前記利用者の前記第1のカメラによって撮影された画像を、前記正規の利用者の画像として保持する記憶手段と、
各号機に対応して設けられ、当該号機に乗り込む利用者を撮影する第2のカメラと、
前記記憶手段に保持された画像と前記第2のカメラによって撮影された利用者の画像とに基づいて、当該利用者の割当号機が前記第2のカメラに対応する号機であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記第2のカメラによって撮影された前記利用者の割当号機が当該第2のカメラに対応する号機でないと判定された場合、当該利用者に乗り間違いを報知する報知手段と、を備えた、エレベータの群管理制御システム。
【請求項2】
前記判定手段によって前記第2のカメラによって撮影された前記利用者の割当号機が当該第2のカメラに対応する号機でないと判定された場合、前記報知手段は当該利用者に当該利用者の割当号機を報知する、請求項1に記載のエレベータの群管理制御システム。
【請求項3】
前記判定手段によって前記第2のカメラによって撮影された前記利用者の割当号機が当該第2のカメラに対応する号機でないと判定された場合、当該第2のカメラに対応する号機は一定時間運行を停止する、請求項1または2に記載のエレベータの群管理制御システム。
【請求項4】
前記判定手段によって前記第2のカメラによって撮影された前記利用者の割当号機が当該第2のカメラに対応する号機であると判定された場合、前記報知手段は、当該第2のカメラに対応する号機に乗車している利用者に新たに乗車する利用者がいる旨を報知する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエレベータの群管理制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、エレベータの群管理制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数号機のエレベータの運行を制御する群管理制御システムとして、エレベータが設置された建物のセキュリティシステムと連動した群管理制御システムが知られている。たとえば、複数の事務所が入るオフィスビルなどの建物において、利用者が建物に設置されたセキュリティゲートを通過する際に、利用者が持つセキュリティカードに記録された認証情報を読み込み、利用者が正規の利用者であると認証できた場合にセキュリティゲートを開く。
【0003】
セキュリティカードには、認証情報だけでなく、利用者の行先階の情報も記録されている。そして、利用者が正規の利用者であると認証された場合には、利用者の行先階が群管理制御システムに自動登録される。あるいは、セキュリティカードの認証情報およびその他の情報から利用者の行先階候補が決定され、利用者に提示される。そして、利用者がエレベータの乗車前に上記行先階候補の中から行先階を選択することにより、行先階が登録される。
【0004】
このようにエレベータの乗車前に行先階が登録されることで、エレベータの割当てを行先階ごとにまとまって行うことができ、複数号機のエレベータ全体の運行効率の向上を図ることができる。なお、利用者には、当該利用者に割り当てられたエレベータが、エレベータの乗車前に通知される。これにより、利用者は、自己に割り当てられたエレベータを把握して、当該エレベータに乗車することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようなエレベータの群管理制御システムにおいては、利用者によるエレベータの乗り間違いが問題となっている。例えば、利用者は、自己に割り当てられたエレベータよりも先に乗場に到着したエレベータがある場合、先に乗場に到着した号機に乗車してしまうことがある。このように利用者が自己に割り当てられた号機とは異なる号機に乗車すると、利用者を効率よくその行先階に運ぶことができなくなってしまう。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、利用者がエレベータを乗り間違えたままエレベータが運行される虞を抑制することが可能な、エレベータの群管理制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施の形態によるエレベータの群管理制御システムは、
複数号機のエレベータを群管理制御するエレベータの群管理制御システムであって、
前記複数号機のエレベータの利用者を撮影する第1のカメラと、
前記利用者を認証する認証手段と、
前記認証手段によって前記利用者が前記複数号機のエレベータの利用を許可された正規の利用者として認証された場合に、当該利用者に前記複数号機のエレベータのうち一の号機を割当号機として割り当てる割当手段と、
前記認証手段によって前記正規の利用者として認証された前記利用者に、前記割当号機を通知する通知手段と、
前記認証手段によって前記正規の利用者として認証された前記利用者の前記第1のカメラによって撮影された画像を、前記正規の利用者の画像として保持する記憶手段と、
各号機に対応して設けられ、当該号機に乗り込む利用者を撮影する第2のカメラと、
前記記憶手段に保持された画像と前記第2のカメラによって撮影された利用者の画像とに基づいて、当該利用者の割当号機が前記第2のカメラに対応する号機であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記第2のカメラによって撮影された前記利用者の割当号機が当該第2のカメラに対応する号機でないと判定された場合、当該利用者に乗り間違いを報知する報知手段と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態におけるエレベータの群管理制御システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すセキュリティゲートとエレベータの乗場を示す図である。
【
図6】
図6は、
図1に示す群管理制御システムの動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、
図1に示す群管理制御システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施の形態に係るエレベータの群管理制御システムの構成を示す図である。図示された例では、本システムは、例えば複数の事務所が入るオフィスビルなど、セキュリティゲートが設置された建物に適用されている。
【0012】
図示された例では、群管理制御システム1は、セキュリティゲート10と、複数号機のエレベータ(A号機20a、B号機20bおよびC号機20c)と、複数号機のエレベータの運行を制御する群管理制御装置30と、を備える。
【0013】
セキュリティゲート10は、建物の基準階などに設置されている。
図2に示すように、セキュリティゲート10には扉11が設けられており、扉11の開閉によってセキュリティゲート10の先に設けられたエレベータ20a,20b,20cの乗場2への進入が許容または阻止される。また、セキュリティゲート10には、利用者が持つセキュリティカードSに記録された情報を読み取る読取装置12と、利用者を撮影する第1のカメラ13と、利用者が当該利用者の行先階に行くために乗車すべき号機(当該利用者に割り当てられた割当号機)を案内するための通知装置14と、扉11を開閉する扉開閉装置15とを有する。
【0014】
セキュリティカードSは、エレベータ20a,20b,20cの利用が許可された正規の利用者(例えばオフィスビルであれば、そのビルに入っている事務所の社員)に予め配布されている。セキュリティカードSには、各利用者に固有のID(identification)番号とその利用者の行先階の情報が記録されている。図示された例では、セキュリティカードSは、非接触ICカードである。
【0015】
読取装置12は、セキュリティゲート10を通過しようとする利用者のセキュリティカードSに記録されたID番号および行先階の情報を読み取る。図示された例では、読取装置12は、セキュリティカードSが非接触ICカードであることに対応して、非接触ICカードリーダであり、セキュリティカードSが近付けられると、そのカードS内のメモリに記録されたID番号と行先階の情報を読み取る。
【0016】
読取装置12は、セキュリティカードSから読み取った利用者のID番号および行先階に関する情報を、群管理制御装置30に渡す。さらに、読取装置12は、当該利用者が通過しようとするセキュリティゲート10の設置階(図示された例では1階)に関する情報を、群管理制御装置30に渡す。
【0017】
第1のカメラ13は、セキュリティゲート10を通過しようとする利用者を撮影して、当該利用者の画像を生成する。図示された例では、第1のカメラ13は、利用者の顔を撮影して顔画像を生成するが、これに限られない。第1のカメラ13は、得られた画像を群管理制御装置30に渡す。
【0018】
通知装置14は、セキュリティゲート10を通過しようとする利用者が正規の利用者である場合に、当該利用者に割り当てられた号機(割当号機)に関する情報を群管理制御装置30からから受け取り、当該割当号機を特定する情報を利用者に通知する。
図3に示す例では、通知装置14は液晶パネル等からなる表示部14aを有している。表示部14aに、セキュリティゲート10を通過しようとする利用者の割当号機を特定する情報(
図3に示す例では「B号機」)を、一定時間表示する。このような表示部14aにより、利用者は、どの号機に乗車すべきかを把握することができる。
【0019】
なお、通知装置14は、表示により上記情報を通知するものに限られない。通知装置14は、例えば、音声により上記情報を通知するものであってもよい。
【0020】
扉開閉装置15は、群管理制御装置30から、当該利用者が正規の利用者であるか否かの判定結果を受け取り、当該判定結果に応じてセキュリティゲート10の扉11を開閉する。具体的には、扉開閉装置15は、セキュリティゲート10を通過しようとする利用者が正規の利用者である場合にのみ、扉11を一定時間開放する。
【0021】
次に、エレベータ20a,20b,20cについて説明する。各エレベータ20a,20b,20cは、昇降路内を昇降する乗りかご21と、対応する乗りかご21の昇降を制御する単体制御装置22と、を有する。
【0022】
単体制御装置22は、群管理制御装置30からの入力を受けて、対応する乗りかご21を昇降動作させるためのモータの制御や、対応する乗りかご21に設けられたかごドアの開閉制御などを行う。
【0023】
各乗りかご21内には、第2のカメラ23および報知装置24が設けられている。
【0024】
第2のカメラ23は、当該第2のカメラ23が設けられた乗りかご21に乗り込む利用者を撮影して、当該利用者の画像を生成する。第2のカメラ23は、得られた画像を群管理制御装置30に渡す。
【0025】
報知装置24は、群管理制御装置30からの入力を受けて、種々の情報を乗客に提供するものである。図示された例では、報知装置24は、音声により情報を報知するものであるが、これに限られない。例えば、報知装置24は、表示により情報を報知するものであってもよい。
【0026】
次に、群管理制御装置30について説明する。図示された例では、群管理制御装置30は、認証部31と、データベース32と、呼び登録部33と、割当制御部34と、画像照合部35と、報知指令部36とを有する。
【0027】
認証部31は、セキュリティゲート10で読取装置12によってセキュリティカードSから読み取られた情報に基づいて、セキュリティゲート10を通過しようとする利用者の認証を行う。詳しくは、認証部31は、セキュリティカードSに記憶されたID番号とデータベース32に記憶された正規の利用者のID番号とを照合することにより、セキュリティゲート10を通過しようとする利用者が正規の利用者であるか否かを判定する。そして、得られた判定結果を、当該セキュリティゲート10の扉開閉装置15に渡す。
【0028】
データベース32は、正規の利用者のID番号を保持する。ID番号は、正規の利用者にセキュリティカードSを配布する際に、データベース32に登録される。また、データベース32は、第1のカメラ13によって撮影された画像のうち、認証部31によって正規の利用者として認証された利用者の画像を、正規の利用者の画像として保持する。データベース32には、
図4に示すように、エレベータの正規の利用者のID番号と、当該正規の利用者の画像(顔画像)とが、対応付けて記憶されている。
【0029】
呼び登録部33は、セキュリティゲート10を通過しようとする利用者が正規の利用者として認証された場合、当該利用者の行先階に関する情報と当該セキュリティゲート10の設置階に関する情報とを含む乗場呼び情報を、当該利用者のID番号とともに記憶する(
図5参照)。
図5に示す例では、上記セキュリティゲート10の設置階に関する情報は、乗場呼び情報が登録された登録階に関する情報として記憶されている。また、呼び登録部33は、後述する割当制御部34で各利用者に割り当てられた割当号機に関する情報を、各利用者のID番号に対応付けて記憶する。
【0030】
割当制御部34は、呼び登録部33に登録された乗場呼び情報と、単体制御装置22から得られたA~C号機20a~20cの運転情報(現在位置、運転方向、戸開閉状態など)とに基づいて、当該乗場呼び情報に対応する利用者に、複数号機のエレベータ20a,20b,20cのうち一の号機を割当号機として割り当てる。号機の割当ては、複数号機のエレベータ20a,20b,20c全体の運転効率を考慮して行われる。号機の割当ては、例えば所定の割当評価式を用いて行われる。もちろん、号機の割当方法としては、他の方法も採用可能である。
【0031】
割当制御部34は、各利用者に割り当てられた割当号機に関する情報を、呼び登録部33に渡す。また、割当制御部34は、各利用者に割り当てられた割当号機に関する情報を、当該利用者が通過しようとするセキュリティゲート10の通知装置14に渡す。また、割当制御部34は、各号機の単体制御装置22に、当該号機が割り当てられた利用者の行先階および登録階に関する情報を渡す。
【0032】
画像照合部35は、エレベータ20a,20b,20cの第2のカメラ23が撮影した利用者が当該利用者の割当号機に乗り込んでいるか否か(すなわち、当該利用者がエレベータを乗り間違えていないか否か)を判定する。画像照合部35は、第2のカメラ23が撮影した利用者の画像と、データベース32に記憶された画像のうち、上記第2のカメラ23に対応する号機が割り当てられた利用者の画像とを照合することにより、判定を行う。例えば、
図4および
図5に示す例では、画像照合部35は、A号機20aの第2のカメラ23からA号機20aに乗り込む利用者Xの画像を取得すると、まず、
図5に示す呼び登録部33を参照してA号機20aが割り当てられた利用者のID番号「1001001」および「1001002」を取得する。次に、
図4に示すデータベース32からID番号が「1001001」または「1001002」である利用者の画像を抽出する。そして、抽出された画像と第2のカメラ23から得られた利用者Xの画像とを比較し、抽出された画像の中に利用者Xの画像があるか否かを判定する。これにより、画像照合部35は、第2のカメラ23が撮影した利用者の割当号機が当該第2のカメラ23に対応する号機であるか否かを判定することができ、当該利用者がエレベータを乗り間違えていないか否かを判定することができる。
【0033】
すなわち、抽出された画像の中に利用者Xの画像がある場合には、第2のカメラ23が撮影した利用者の割当号機は当該第2のカメラ23に対応する号機であり、当該利用者はエレベータを乗り間違えていない、と判定する。一方、抽出された画像の中に利用者Xの画像がない場合には、第2のカメラ23が撮影した利用者の割当号機は当該第2のカメラ23に対応する号機ではなく、当該利用者はエレベータを乗り間違えている、と判定する。
【0034】
画像照合部35は、得られた判定結果を報知指令部36に渡す。また、画像照合部35は、上記判定結果を、上記利用者の画像を撮影した第2のカメラ23に対応する号機の単体制御装置22に渡す。
【0035】
報知指令部36は、報知装置24に信号を入力して当該信号に応じた情報を報知させるものである。報知指令部36は、画像照合部35の判定結果に応じた信号を報知装置24に入力する。具体的には、画像照合部35が、A号機20aの第2のカメラ23によって撮影された利用者Xはエレベータを乗り間違えていない、と判定した場合、報知指令部36は、A号機20aの報知装置24に信号を入力して、新たに乗車する利用者(利用者X)がいることを報知させる。これにより、A号機20aの乗りかご21内の利用者に対して、当該乗りかご21内に新たに乗車する利用者Xのためのスペースを作るよう、促すことができる。一方、画像照合部35が、A号機20aの第2のカメラ23によって撮影された利用者Xはエレベータを乗り間違えている、と判定した場合、報知指令部36は、A号機20aの報知装置24に信号を入力して、エレベータの乗り間違いを報知させる。これにより、利用者Xは、A号機20aが利用者Xの割当号機ではないことを把握して、A号機20aから移動することができる。
【0036】
上述したエレベータの群管理制御システム1において、読取装置12と群管理制御装置30の認証部31およびデータベース32とが、複数号機のエレベータ20a,20b,20cの利用者を認証する認証手段を構成する。また、群管理制御装置30の呼び登録部33および割当制御部34が、利用者に複数号機のエレベータ20a,20b,20cのうち一の号機を割当号機として割り当てる割当手段を構成する。また、通知装置14が、割当号機を上記認証手段により認証された利用者に通知する通知手段を構成する。また、群管理制御装置30のデータベース32が、正規の利用者の画像を保持する記憶手段を構成する。また、群管理制御装置30の画像照合部35が、記憶手段に保持された画像と第2のカメラ23によって撮影された利用者の画像とに基づいて、第2のカメラ23に対応する号機に乗り込む利用者の割当号機が当該第2のカメラ23に対応する号機であるか否かを判定する判定手段を構成する。また、群管理制御装置30の報知指令部36と報知装置24とが、利用者に乗り間違い等を報知する報知手段を構成する。
【0037】
次に、
図6及び
図7を参照して、
図1に示すエレベータの群管理制御システム1の動作について説明する。
図6及び
図7は、
図1に示す群管理制御システム1の動作を示すフローチャートである。
【0038】
まず、
図6を参照して、利用者がセキュリティゲートを通過しようとする際の群管理制御システム1の動作について説明する。
【0039】
まず、セキュリティゲート10の読取装置12にセキュリティカードSがかざされる前、扉開閉装置15は、セキュリティゲート10の扉11を閉鎖した状態に維持している。この状態で、セキュリティゲート10を通過しようとする利用者がセキュリティカードSを読取装置12にかざすと、当該セキュリティカードSからID番号および行先階の情報が読み取られる。また、第1のカメラ13が当該利用者を撮影して、当該利用者の画像を生成する(ステップS11)。読み取られたID番号および行先階の情報は、上記セキュリティゲート10の設置階の情報および第1のカメラ13によって生成された画像とともに、群管理制御装置30に渡される。次に、群管理制御装置30の認証部31によって、利用者が正規の利用者であるか否かの判定が行われ、判定結果が扉開閉装置15に渡される(ステップS12)。ステップS12において正規の利用者でないと判定された場合(NO)、扉開閉装置15はセキュリティゲート10の扉11を閉鎖した状態に維持する。
【0040】
一方、ステップS12において正規の利用者であると認証された場合(YES)、呼び登録部33に、認証された利用者の乗場呼び情報(当該利用者の行先階に関する情報と当該利用者が通過しようとするセキュリティゲート10の設置階に関する情報とを含む情報)が、当該利用者のID番号とともに登録される。また、データベース32に、第1のカメラ13によって生成された当該利用者の画像が、当該利用者のID番号に対応づけて登録される(ステップS13)。また、割当制御部34によって、当該利用者に割り当てる割当号機が選択される(ステップS14)。また、扉開閉装置15は扉11を開放し、通知装置14は割当号機を表示部14aに表示する(ステップS15)。これにより、利用者はエレベータ20a,20b,20cの乗場2に進み、当該乗場2で割当号機を待つことができる。
【0041】
セキュリティゲート10の扉11が開放されると、扉開閉装置15によって扉11の開放から一定時間経過したか否かの判定が行われる(ステップS16)。ステップS16において一定時間が経過したと判定されると、扉開閉装置15によって扉11が閉鎖され、同時に通知装置14の表示が消去される(ステップS17)。
【0042】
次に、
図7を参照して、セキュリティゲート10を通過した利用者が複数号機20a,20b,20cのいずれかに乗り込む際の群管理制御システム1の動作について説明する。ここでは、利用者XがA号機20aに乗り込む場合を例に挙げて説明する。
【0043】
A号機20aのかごドアが戸開され、利用者XがA号機20aに乗り込むと(ステップS21)、A号機20aに対応して設けられた第2のカメラ23によって利用者Xが撮影され、利用者Xの画像が生成される(ステップS22)。生成された画像は群管理制御装置30の画像照合部35に送られる。そして、呼び登録部33が参照されつつ、データベース32からA号機20aが割り当てられた利用者の画像が抽出され、画像照合部35において、第2のカメラ23により得られた画像と抽出された画像とが照合される。これにより、利用者Xの割当号機がA号機20aであるか否かの判定が行われる(ステップS23)。
【0044】
ステップS23において利用者Xの割当号機がA号機20aであると判定された場合(YES)、報知指令部36からA号機20aの報知装置24に信号が入力され、当該報知装置24によって新たに乗車する利用者がいる旨の報知がなされる(ステップS24)。その後、利用者XがA号機20aに乗り込んでから一定時間が経過したか否かの判定が、A号機20aの単体制御装置22によってなされる(ステップS25)。ステップS25で一定時間が経過したと判定された場合(YES)、A号機20aの単体制御装置22によってA号機20aのかごドアが戸閉され、A号機20aの乗りかご21の昇降動作が開始される。これにより、当該乗りかご21は、乗場2から出発する(ステップS26)。
【0045】
一方、ステップS23において利用者Xの割当号機がA号機20aでないと判定された場合(NO)、報知指令部36からA号機20aの報知装置24に信号が入力され、当該報知装置24によって乗り間違いが報知される(ステップS27)。その後、A号機20aの報知装置24が報知を行ってから一定時間が経過したか否かの判定が、A号機20aの単体制御装置22によってなされる(ステップS28)。ステップS28で一定時間が経過したと判定された場合(YES)、さらに、A号機20aの戸閉ボタンが押されたか否かの判定が、A号機20aの単体制御装置22によってなされる(ステップS29)。ステップS29で戸閉ボタンが押されたと判定された場合、A号機20aの単体制御装置22によってA号機20aのかごドアが戸閉され、A号機20aの乗りかご21の昇降動作が開始される。これにより、当該乗りかご21は、乗場2から出発する(ステップS26)。
【0046】
なお、上述したエレベータの群管理制御システム1は、一例にすぎず、種々の変更を施すことが可能である。
【0047】
例えば、セキュリティカードSおよび読取装置12は、それぞれ、非接触ICカードおよび非接触ICカードリーダに限られない。セキュリティカードとしては、接触式ICカード、磁気ストライプカード、又はコード画像(例えばQRコード(登録商標))が印刷されたカードが用いられてもよい。また、カード型のセキュリティカードSに代えて、コイン型やボタン型等、種々の形状の情報記録媒体が採用されてもよい。あるいは、スマートフォンなどの電子機器に情報記録媒体の機能を実装してもよい。読取装置12は、セキュリティカードSまたは情報記録媒体に応じて設計されてよい。例えば、情報記録媒体として磁気ストライプカードが用いられる場合、読取装置12は磁気カードリーダであってよい。
【0048】
さらに、上述した例では、利用者のID番号や行先階はセキュリティカードS(情報記録媒体)から読み取られるが、これに限られない。例えば、セキュリティゲート10に
図8に示すようなキー入力方式の入力装置16を設置し、入力装置16を用いて利用者がID番号および行先階を入力してもよい。
【0049】
また、上述した例では、第2のカメラ23は乗りかご21内に設置されているが、これに限られない。第2のカメラ23は、各号機20a,20b,20cに対応して設けられていれば、乗場2に設置されてもよい。この場合、第2のカメラ23は、各号機20a,20b,20cの乗場ドア付近に設けられてよい。
【0050】
また、報知装置24も、乗りかご21内ではなく乗場2に設置されてよい。この場合、報知装置24は、各号機20a,20b,20cに対応して設けられていなくてもよく、1つの報知装置24で、複数の号機20a,20b,20cに対する報知を行ってよい。
【0051】
また、画像照合部35は、第2のカメラ23が撮影した利用者の割当号機が当該第2のカメラ23に対応する号機でない場合には、当該利用者の割当号機に関する情報を特定し、当該割当号機に関する情報を報知指令部36に渡してもよい。そして、報知装置24は、当該割当号機に関する情報を報知してもよい。この場合、画像照合部35は、例えば、第2のカメラ23が撮影した利用者の画像とデータベース32に記憶された全ての正規の利用者の画像とを照合して、当該利用者のID番号を特定し、さらに呼び登録部33を参照することにより、当該利用者の割当号機を特定することができる。
【0052】
また、上述した例では、データベース32に登録される正規の利用者の画像は、利用者がエレベータを利用する際に撮影されるが、これに限られない。例えば、正規の利用者の画像は、当該正規の利用者にセキュリティカードSを配布する際、あるいはそれよりも前に撮影されてデータベース32に登録されてもよい。ただし、正規の利用者の画像を当該利用者がエレベータを利用する際に撮影しデータベース32に登録することで、データベース32には、常に正規の利用者の最新の画像(当該正規の利用者がエレベータを利用する直前の画像)が登録されることになる。この結果、認証手段12,31,32は認証をより正確に行うことができる。
【0053】
上述した一実施の形態によれば、複数号機のエレベータ20a,20b,20cを群管理制御するエレベータの群管理制御システム1は、複数号機のエレベータ20a,20b,20cの利用者を撮影する第1のカメラ13と、上記利用者を認証する認証手段12,31,32と、認証手段12,31,32によって上記利用者が上記複数号機のエレベータ20a,20b,20cの利用を許可された正規の利用者として認証された場合に、当該利用者に上記複数号機のエレベータ20a,20b,20cのうち一の号機を割当号機として割り当てる割当手段33,34と、認証手段12,31,32によって正規の利用者として認証された利用者に上記割当号機を通知する通知手段14と、を備えている。また、群管理制御システム1は、認証手段12,31,32によって正規の利用者として認証された上記利用者の第1のカメラ13によって撮影された画像を、正規の利用者の画像として保持する記憶手段32と、各号機に対応して設けられ、当該号機に乗り込む利用者を撮影する第2のカメラ23と、記憶手段32に保持された画像と上記第2のカメラ23によって撮影された利用者の画像とに基づいて、当該利用者の割当号機が上記第2のカメラ23に対応する号機であるか否かを判定する判定手段35と、を備えている。さらに、群管理制御システム1は、判定手段35によって上記第2のカメラ23によって撮影された上記利用者の割当号機が当該第2のカメラ23に対応する号機でないと判定された場合、当該利用者に乗り間違いを報知する報知手段36,24と、を備えている。
【0054】
このようなエレベータの群管理制御システム1によれば、利用者がエレベータを乗り間違えたままエレベータ20a,20b,20cが運行される虞を抑制することができ、利用者を効率よくその行先階に運ぶことができる。また、第1のカメラ13によって常に正規の利用者の最新の画像を取得することができるため、認証手段12,31,32による認証を、高い精度で行うことができる。
【0055】
また、上述した一実施の形態によれば、判定手段35によって上記第2のカメラ23によって撮影された利用者の割当号機が当該第2のカメラ23に対応する号機でないと判定された場合、報知手段36,24は当該利用者に当該利用者の割当号機を報知する。これにより、利用者は自己の割当号機に移動することができる。この結果、利用者がエレベータを乗り間違えたままエレベータ20a,20b,20cが運行される虞を、さらに効果的に抑制することができる。
【0056】
また、上述した一実施の形態によれば、判定手段35によって上記第2のカメラ23によって撮影された利用者の割当号機が当該第2のカメラ23に対応する号機でないと判定された場合、当該第2のカメラ23に対応する号機は一定時間運行を停止する。これにより、上記利用者は、第2のカメラ23に対応する号機から安全に移動することができる。
【0057】
また、上述した一実施の形態によれば、判定手段35によって上記第2のカメラ23によって撮影された利用者の割当号機が当該第2のカメラ23に対応する号機であると判定された場合、報知手段36,24は、当該第2のカメラ23に対応する号機に乗車している利用者に新たに乗車する利用者がいる旨を報知する。これにより、上記第2のカメラ23に対応する号機に乗車している利用者に対し、乗りかご21内に新たに乗車する利用者ためのスペースを作るよう、促すことができる。
【0058】
上述した実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、上述した実施の形態やその変形を、部分的に適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0059】
1:群管理制御システム、10:セキュリティゲート、12:読取装置、13:第1のカメラ、14:通知装置、15:扉開閉装置、20a:A号機、20b:B号機、20c:C号機、21:乗りかご、22:単体制御装置、23:第2のカメラ、24:報知装置、30:群管理制御装置、31:認証部、32:データベース、33:呼び登録部、34:割当制御部、35:画像照合部、36:報知指令部、S:セキュリティカード
【手続補正書】
【提出日】2021-10-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数号機のエレベータを群管理制御するエレベータの群管理制御システムにおいて、
前記複数号機のエレベータの利用者を撮影する第1のカメラと、
前記利用者を認証する認証手段と、
前記認証手段によって前記利用者が前記複数号機のエレベータの利用を許可された正規の利用者として認証された場合に、当該利用者に前記複数号機のエレベータのうち一の号機を割当号機として割り当てる割当手段と、
前記認証手段によって前記正規の利用者として認証された前記利用者に、前記割当号機を通知する通知手段と、
前記認証手段によって前記正規の利用者として認証された前記利用者の前記第1のカメラによって撮影された画像を、前記正規の利用者の画像として保持する記憶手段と、
各号機に対応して設けられ、当該号機に乗り込む利用者を撮影する第2のカメラと、
前記記憶手段に保持された画像と前記第2のカメラによって撮影された利用者の画像とに基づいて、当該利用者の割当号機が前記第2のカメラに対応する号機であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記第2のカメラによって撮影された前記利用者の割当号機が当該第2のカメラに対応する号機でないと判定された場合、当該利用者に乗り間違いを報知する報知手段と、を備え、
前記認証手段は、前記利用者のセキュリティカードから当該セキュリティカードに記録されたID番号を読み取り、
前記記憶手段は、前記第1のカメラで撮影された前記利用者の画像と当該利用者のID番号とを対応づけて記憶し、
前記割当手段は、前記割当号機に関する情報を、当該割当号機が割り当てられた利用者のID番号に対応づけて記憶し、
前記判定手段は、前記第2のカメラに対応する号機が割り当てられた利用者のID番号を前記割当手段から取得し、取得したID番号の利用者の前記第1のカメラによって撮影された画像を前記記憶手段から抽出し、抽出された画像と前記第2のカメラから得られた前記利用者との画像とを比較することにより、当該利用者の割当号機が前記第2のカメラに対応する号機であるか否かを判定する、エレベータの群管理制御システム。
【請求項2】
前記判定手段によって前記第2のカメラによって撮影された前記利用者の割当号機が当該第2のカメラに対応する号機でないと判定された場合、前記報知手段は当該利用者に当該利用者の割当号機を報知する、請求項1に記載のエレベータの群管理制御システム。
【請求項3】
前記判定手段によって前記第2のカメラによって撮影された前記利用者の割当号機が当該第2のカメラに対応する号機でないと判定された場合、当該第2のカメラに対応する号機は一定時間運行を停止する、請求項1または2に記載のエレベータの群管理制御システム。
【請求項4】
前記判定手段によって前記第2のカメラによって撮影された前記利用者の割当号機が当該第2のカメラに対応する号機であると判定された場合、前記報知手段は、当該第2のカメラに対応する号機に乗車している利用者に新たに乗車する利用者がいる旨を報知する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエレベータの群管理制御システム。