(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133740
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】調理釜の傾倒装置及び調理釜
(51)【国際特許分類】
A47J 27/14 20060101AFI20220907BHJP
G05G 1/04 20060101ALI20220907BHJP
G05G 5/18 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
A47J27/14 D
G05G1/04 Z
G05G5/18
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032604
(22)【出願日】2021-03-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】518361103
【氏名又は名称】株式会社フィールド
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】特許業務法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】須賀 重寿
【テーマコード(参考)】
3J070
4B054
【Fターム(参考)】
3J070AA03
3J070BA08
3J070BA41
3J070CB02
3J070DA57
3J070EA01
4B054AA03
4B054AA16
4B054AB01
4B054AB05
4B054CE12
(57)【要約】
【課題】傾倒操作の完了時に、よりしっかりと釜本体を所定の角度に固定することのできる、調理釜の傾倒装置を提供することを目的としている。
【解決手段】調理釜の傾倒装置2は、軸部11と、ベース部3と、レバー部4と、ベースギヤ33と、レバーギヤ42と、レバー部の傾倒操作に伴って、ベースギヤ32とレバーギヤ42の噛み合いを連結/分離可能にロックするロック機構5と、を備えている。ロック機構5は、レバーギヤ42をベースギヤ33に向かって付勢する弾性部材としての板バネ60と、レバーギヤ42をベースギヤ33から引き離すように持ち上げる持上げ機構7と、から構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理釜の釜本体に接続された軸部と、
前記軸部を回転自在に支承するベース部と、
前記軸部に連結されて前記軸部を回転させるレバー部と、
前記ベース部に固定されたベースギヤと、
前記レバー部に取り付けられて前記ベースギヤと噛み合うレバーギヤと、
前記レバー部の傾倒操作に伴って、前記ベースギヤと前記レバーギヤの噛み合いを連結/分離可能にロックするロック機構と、
を備える、調理釜の傾倒装置。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記レバーギヤを前記ベースギヤに向かって付勢する弾性部材と、前記レバーギヤを前記ベースギヤから引き離すように持ち上げる持上げ機構と、から構成される、請求項1に記載された、調理釜の傾倒装置。
【請求項3】
前記持上げ機構は、前記レバー部に取り付けられる持上げカムと、前記レバーギヤに設けられるL字孔と、前記持上げカムと前記L字孔とにかけ渡されるアームと、から構成される、請求項1又は請求項2に記載された、調理釜の傾倒装置。
【請求項4】
前記持上げ機構の前記持上げカムには、前記レバー部の傾倒方向に対称な一対の軸孔が設けられるとともに、前記レバーギヤには、前記レバー部の傾倒方向に対称な一対の前記L字孔が設けられて、一対の前記アームが互いに交差するように前記軸孔と前記L字孔にかけ渡されている、請求項2又は請求項3に記載された、調理釜の傾倒装置。
【請求項5】
前記アームは、取り付けられた状態で下に凸となるように鈍角に屈曲されている、請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載された、調理釜の傾倒装置。
【請求項6】
前記レバー部の側面には略8の字形状の取付軸が突設されるとともに、前記持上げカムには前記取付軸よりも大きい略8の字形状の取付孔が設けられて、前記取付軸が前記取付孔に挿入されている、請求項2乃至請求項5のいずれか一項に記載された、調理釜の傾倒装置。
【請求項7】
前記レバーギヤには長孔が設けられるとともに、前記レバー部の側面には連結軸が突設されて、前記連結軸が前記長孔に挿入されている、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載された、調理釜の傾倒装置。
【請求項8】
釜本体と、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載された調理釜の傾倒装置と、を備えた調理釜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理釜の傾倒装置及びこの傾倒装置を備えた調理釜に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、学校給食や外食産業等の業務調理において、大型の調理釜が用いられている。この調理釜への食材の投入、調理、又は、調理物の取り出しなどのために、調理釜を前後方向へ傾倒する技術が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、一般に用いられている調理釜の一例が開示されている。従来の調理釜では、その左右両側に軸を設け、この軸を架台に回転可能に取り付けるとともに、一方の軸の端部にはウォームホイールが取り付けられて、このウォームホイールにウォームが噛み合わされている。そして、手でハンドルを回転させると、ウォームに連動してウォームホイールが回転し、これによって調理釜が前後方向へ傾倒するようになっている。
【0004】
そして、特許文献1は、従来の調理釜と比べてコンパクトに配置でき、調理室の限られたスペースを有効活用できる調理釜を開示している。この特許文献1の調理釜は、釜口を前後に長い矩形状に形成するとともに、この釜の左右両側にリングを取り付け、このリングを架台の上端に回動自在に係合することによって、架台上に釜を前後方向へ傾倒自在に載架している。さらに、リングの周方向にラックを配設して、このラックにストッパを噛み合わせるとともに、リングの半径方向に傾倒操作用のアームを突設し、さらに、アームの上部にレバーを設けている。そして、レバーを操作すればラックからストッパが解除されるように構成したことを特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された調理釜では、操作者がアームの上部のレバーを引くことで、調理釜の側方のリングに取り付けられたラックからストッパの噛み合いが解除され、この状態で操作者がアームを傾倒操作することによって調理釜が傾倒するようになっている。そして、操作者がレバーを離すことで、ラックにストッパが噛み合い、調理釜が所定の傾斜角度にて固定されるようになっている。
【0007】
ところで、特許文献1に記載された調理釜では、調理釜の傾倒のためのレバー操作の完了時に―つまり操作者がレバーを離すときに―、操作者はストッパとラックとの噛み合いを目視できず、噛み合いは偶然にまかされる。そのため、ストッパのラックに対する相対位置によっては、それらを噛み合わせるために、操作者がレバーを離してから、さらにアームを傾倒させる必要があり、安全性に課題がある。
【0008】
そこで、本発明は、傾倒操作の完了時に、よりしっかりと釜本体を所定の角度に固定することのできる、調理釜の傾倒装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の調理釜の傾倒装置は、調理釜の釜本体に接続された軸部と、前記軸部を回転自在に支承するベース部と、前記軸部に連結されて前記軸部を回転させるレバー部と、前記ベース部に固定されたベースギヤと、前記レバー部に取り付けられて前記ベースギヤと噛み合うレバーギヤと、前記レバー部の傾倒操作に伴って、前記ベースギヤと前記レバーギヤの噛み合いを連結/分離可能にロックするロック機構と、を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の調理釜の傾倒装置は、軸部と、ベース部と、レバー部と、ベースギヤと、レバーギヤと、レバー部の傾倒操作に伴って、ベースギヤとレバーギヤの噛み合いを連結/分離可能にロックするロック機構と、を備えている。このような構成であれば、ロック機構によってベースギヤとレバーギヤの噛み合いをロックするため、傾倒操作の完了時によりしっかりと釜本体を所定の角度に固定することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図6】レバーギヤとベースギヤの噛み合いについての説明図である。(a)は連結状態であり、(b)は分離(解除)状態である。
【
図7】ロック機構の連結状態を示す作用図である。(a)は連結状態であり、(b)は分離(解除)状態である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、以下の実施例に記載されている構成要素は例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例0013】
(構成)
まず、
図1、
図2を用いて、実施例の調理釜の傾倒装置2を備える調理釜1の全体構成を説明する。調理釜1は、釜本体10と、この釜本体10を手前側に向かって傾倒させる調理釜の傾倒装置2と、から構成されている。
【0014】
釜本体10は、病院や学校で使用される大型の釜であり、金属によって円筒容器状に形成されている。釜本体10の左右両側の側面には、回転軸である軸部11、11が突設されている。釜本体10は、傾倒装置2によって軸部11、11を中心として傾倒(回転、揺動)するようになっている。
【0015】
傾倒装置2は、
図2中の右側にある軸部11と、軸部11を回転自在に支承するベース部3と、軸部11に連結されて軸部11を回転させるレバー部4と、ベース部3に固定されたベースギヤ33と、レバー部4に取り付けられてベースギヤ33と噛み合うレバーギヤ42と、レバー部4の傾倒操作に伴って、ベースギヤ33とレバーギヤ42の噛み合いを連結/分離可能にロックするロック機構5と、を備えている。
【0016】
ベース部3は、
図2中で左右にある支持脚30、30と、左右の支持脚30、30の上部に固定された左右の軸受31、31と、右側にある支持脚30の上部から上に伸びるブラケット32、32と、ブラケット32、32の途中に固定される1/4円筒殻状のベースギヤ33と、ベースギヤ33の上側にベースギヤ33と平行に設置される反力カバー34と、から構成されている。
【0017】
ベースギヤ33は、全体として、約1/4(約90度)の細長い円筒殻として形成されており、ベース部3に固定されている。そして、この1/4円筒殻の外面にはギヤ(凹凸)が螺刻されており、後述するレバーギヤ42と噛み合うようになっている。より詳細に言うと、1/4円弧の中心は、釜本体10の回転中心であり、レバー部4の回転中心でもある軸部11と一致している。換言すると、ベースギヤ33は、レバー部4の傾倒操作に伴って、レバー(41)と共に回転するレバーギヤ42(の連結軸41b)との距離が一定に保持されるように構成されている。
【0018】
反力カバー34は、ロック機構5の弾性部材としての板バネ(60)に反力を与えるものである。反力カバー34は、実施例の態様に限定されるものではなく、レバー部4の傾倒操作に伴ってレバーギヤ42が移動しても-すなわちどの回転位置にあっても-、レバーギヤ42をベースギヤ33に向かって付勢するように構成されていればよい。したがって、例えば、ベースギヤ33の裏面(内面)に掛止されるように構成されて、レバーギヤ42とともに移動するような態様であってもよい。
【0019】
レバー部4は、手で操作されるグリップ40を有するレバー本体である棒状のレバー41と、レバー41の途中の側面に突設された連結軸41bと、レバー41の末端(下端)の側面に突設された取付軸41aと、から構成されている。
【0020】
連結軸41bは、円形の短円柱状に形成され、レバー41の上部の側面に突設されている。後述するように、連結軸41bは、レバーギヤ42の長孔42aに挿入されて、レバー41にレバーギヤ42が連結されている。
【0021】
取付軸41aは、上下左右に4か所のフック形状を有する略8の字状(無限大記号を縦にした形状)の断面を有し、レバー41の末端が垂直に折り曲げられて、釜本体10の軸部11と同軸(同一の軸線上)に形成されている。後述するように、取付軸41aは、持上げカム71の取付孔71bに挿入されて、レバー41に持上げカム71が取り付けられている。
【0022】
レバーギヤ42は、前述したように、レバー41の連結軸41bを介して、スライド移動可能かつ回転可能(揺動可能)に、レバー41に取り付けられている。レバーギヤ42の詳細な構成については、ロック機構5(の持上げ機構7)の説明中で説明する。
【0023】
そして、本実施例のロック機構5は、
図3に示すように、レバーギヤ42をベースギヤ33に向かって付勢する弾性部材としての板バネ60と、レバーギヤ42をベースギヤ33から引き離したり近づけたりできる、持上げ機構7と、から構成される。したがって、レバー部4を操作しない状態では、持上げ機構7が機能せずにレバーギヤ42がベースギヤ33と噛み合い、レバー部4を操作している状態では、持上げ機構7が機能してレバーギヤ42がベースギヤ33と噛み合わないようになっている。
【0024】
弾性部材としての板バネ60は、レバーギヤ42と反力部材としての反力カバー34との間に配置されて、レバーギヤ42をベースギヤ33に向かって付勢するようになっている。図示しないが、板バネ60は、一部がレバーギヤ42に掛止されたり、固定されたりすることで、レバーギヤ42の移動に追従するようになっている。
【0025】
ここにおいて、弾性部材は、板バネ60に限定されるものではなく、レバー部4の移動に追従するように移動し、かつ、レバーギヤ42とベースギヤ33とを近づけるように力を及ぼすものであれば、どのような態様であってもよい。
【0026】
そして、本実施例の持上げ機構7は、レバー部4の傾倒操作に伴って、レバーギヤ42を持上げるように構成されている。すなわち、レバー部4を手前側に倒すとレバーギヤ42の手前側が持ち上がり、レバー部4を奥側に起こすとレバーギヤ42の奥側が持ち上がるようになっている。
【0027】
具体的には、持上げ機構7は、
図3に示すように、レバー部4に取り付けられる持上げカム71と、レバーギヤ42に設けられるL字孔72と、持上げカム71とL字孔72とにかけ渡されるアーム73と、から構成される。なお、持上げ機構7の構成は、実施例の態様に限定されるものではない。以下では、持上げ機構7の一例を説明する。
【0028】
持上げカム71は、
図3、
図4に示すように、横長のひし形状に形成されるものであり、左右には2つの円形の軸孔71a、71aが設けられ、中央には略8の字形状の取付孔71bが設けられている。中央の取付孔71bには、レバー部4の取付軸41aが所定の隙間(遊び)を介して嵌め込まれている。
【0029】
このように、取付孔71bとの間に遊びを介して取付軸41aが挿入されているため、レバー41の少量の傾倒操作では持上げカム71は回転することはなく、所定量以上の傾倒操作によって、はじめて持上げカム71が回転するようになっている。一方で、レバーギヤ42は、レバー41の少量の傾倒操作によっても移動するようになっている。
【0030】
L字孔72は、
図3、
図5に示すように、レバーギヤ42の左右両側に設けられている。すなわち、レバーギヤ42は、左右に2つのL字孔72が形成され、中央には長孔42aが形成されている。
【0031】
より詳細に言うと、各L字孔72は、屈曲点から上方の伸びる部分(縦孔)と、屈曲点から内側(すなわちレバー41の軸線寄り)に向かって伸びる部分(横孔)と、から構成されている。したがって、レバーギヤ42は、アーム73の上端部に対してL字形状にスライド移動可能かつ回転可能になっている。また長孔42aは、レバー41の軸線に沿うように伸びている。したがって、レバーギヤ42は、レバー41の連結軸41bに対して、(主として上下に)スライド移動可能かつ回転可能になっている。
【0032】
上述したように、持上げ機構7の持上げカム71には、レバー部4の傾倒方向に対称な一対の軸孔71a、71aが設けられる。さらに、レバーギヤ42には、レバー部4の傾倒方向に対称な一対のL字孔72、72が設けられる。そして、一対のアーム73、73が互いに交差するように軸孔71a、71aとL字孔72、72に架け渡されている。
【0033】
アーム73は、金属製の棒状に形成されるものであり、取り付けられた状態で下に凸となるように鈍角に屈曲されている。すなわち、持上げカム71の回転移動によって、突き上げるような力を及ぼしやすいようになっている。
【0034】
そして、
図6に示すように、ベースギヤ33とレバーギヤ42が噛み合うことによって、ベースギヤ33とレバーギヤ42の噛み合いが連結/分離可能にロックされる。すなわち、
図6(a)に示すように、連結状態では、アーム73、73が中立位置にあることで、ベースギヤ33とレバーギヤ42が噛み合って移動不能になっている。
【0035】
一方、
図6(b)に示すように、分離状態では、アーム73、73が移動することで、ベースギヤ33がレバーギヤ42から離れて移動可能になっている。具体的には、一方のアーム73の先端はL字孔72の縦孔に位置し、他方のアーム73の先端はL字孔72の横孔に位置するようになっている。
【0036】
(作用)
次に、
図3、
図7、
図8を用いて、本実施例のロック機構5の作用について説明する。まず、
図7(a)に示す連結状態では、ベースギヤ33とレバーギヤ42とが噛み合った状態となっている。つまり、レバー部4を倒さない状態では、板バネ60によってレバーギヤ42がベースギヤ33に向かって押圧されているため、両者が噛み合った状態が保持される。一方、
図7(b)に示す分離状態(解除状態)では、ベースギヤ33とレバーギヤ42とが噛み合っていない状態となっている。つまり、レバー部4を板バネ60の弾性力に抗して傾倒させることで、持ち上げカム71が回転し、アーム73がレバーギヤ42の傾倒方向側(この場合、下側)を押し上げる。そうすると、レバーギヤ42の傾倒方向側(下側)が持ち上がるため、結果として、手で傾倒させると傾倒方向には移動するが、レバー部4から手を離しても(板バネ60の弾性力で戻るため)反対方向には移動しないようになる。このように、ロック機構5には、レバー部4の操作に応じて、一方向のみに回転する、ラチェット機構が組み込まれている。
【0037】
このように、レバー部4を傾倒操作することによって、
図8に示すように、釜本体10が手前側に任意の角度で傾倒されるようになる。
【0038】
(効果)
次に、本実施例の調理釜の傾倒装置2の効果を列挙して説明する。
【0039】
(1)上述したように、本実施例の調理釜の傾倒装置2は、軸部11と、ベース部3と、レバー部4と、ベースギヤ33と、レバーギヤ42と、レバー部の傾倒操作に伴って、ベースギヤ33とレバーギヤ42の噛み合いを連結/分離可能にロックするロック機構5と、を備えている。したがって、レバー部4を傾倒操作することで、任意の角度で釜本体10を固定できる。さらに、このような構成であれば、ロック機構5によってベースギヤ33とレバーギヤ42の噛み合いをロックするため、傾倒操作の完了時によりしっかりと釜本体10を所定の角度に固定することができるようになる。
【0040】
(2)また、ロック機構5は、レバーギヤ42をベースギヤ33に向かって付勢する弾性部材としての板バネ60と、レバーギヤ42をベースギヤ33から引き離すように持ち上げる持上げ機構7と、から構成される。このような構成であれば、レバー部4を操作しない状態では、常にレバーギヤ42をベースギヤ33に向かって押し付けて固定できる。さらに、レバー部4を操作すれば、容易かつ確実に、固定状態を解除できる。
【0041】
(3)さらに、持上げ機構7は、レバー部4に取り付けられる持上げカム71と、レバーギヤ42に設けられるL字孔72と、持上げカム71とL字孔72とにかけ渡されるアーム73と、から構成されるため、シンプルな構造によってレバーギヤ42を持上げることができるようになる。
【0042】
(4)また、持上げ機構7の持上げカム71には、レバー部4の傾倒方向に対称な一対の軸孔71a、71aが設けられるとともに、レバーギヤ42には、レバー部4の傾倒方向に対称な一対のL字孔72、72が設けられて、一対のアーム73、73が互いに交差するように軸孔71a、71aとL字孔72、72に架け渡されていることが好ましい。このような構成であれば、レバー部4の傾倒方向とは逆向きにレバーギヤ42を揺動(回転)させることができる。
【0043】
(5)さらに、アーム73は、取り付けられた状態で下に凸となるように鈍角に屈曲されていることが好ましい。このような構成であれば、持上げカム71の回転力を上向きの力としてレバーギヤ42に伝達することができるようになる。
【0044】
(6)また、レバー部4の側面には略8の字形状の取付軸41aが突設されるとともに、持上げカム71には取付軸41aよりも、ひと回り大きい略8の字形状の取付孔71bが設けられて、取付軸41aが取付孔71bに挿入されていることが好ましい。このような構成であれば、レバー部4の傾倒操作と持上げカム71の回転動作のタイミングをずらすことで、持上げ機構7を円滑かつ確実に動作させることができるようになる。
【0045】
(7)さらに、レバーギヤ42には長孔42aが設けられるとともに、レバー部4の側面には連結軸41bが突設されて、連結軸41bが長孔42aに挿入されていることが好ましい。このような構成であれば、持上げ機構7を円滑かつ確実に動作させることができるようになる。
【0046】
(8)また、本実施例の調理釜1は、釜本体10と、上述したいずれかの調理釜の傾倒装置2と、を備えている。このため、したがって、レバー部4を傾倒操作することで、任意の角度で釜本体10を固定できる。さらに、このような構成であれば、ロック機構5によってベースギヤ33とレバーギヤ42の噛み合いをロックするため、傾倒操作の完了時によりしっかりと釜本体10を所定の角度に固定することができるようになる。
【0047】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0048】
例えば、実施例ではアーム73は途中で折れ曲がった形状であるとして説明したが、これに限定されるものではなく、アーム73は直線状に形成されるものであってもよい。
【0049】
また、レバー41の取付軸41aは略8の字状であるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、手前側への傾倒操作と奥側への傾倒操作の両方で、所定の遊びがあり、その後に確実に掛止できる形状であればよい。
前記持上げ機構は、前記レバー部に取り付けられる持上げカムと、前記レバーギヤに設けられるL字孔と、前記持上げカムと前記L字孔とにかけ渡されるアームと、から構成される、請求項1に記載された、調理釜の傾倒装置。
前記持上げ機構の前記持上げカムには、前記レバー部の傾倒方向に対称な一対の軸孔が設けられるとともに、前記レバーギヤには、前記レバー部の傾倒方向に対称な一対の前記L字孔が設けられて、一対の前記アームが互いに交差するように前記軸孔と前記L字孔にかけ渡されている、請求項2に記載された、調理釜の傾倒装置。
前記レバー部の側面には略8の字形状の取付軸が突設されるとともに、前記持上げカムには前記取付軸よりも大きい略8の字形状の取付孔が設けられて、前記取付軸が前記取付孔に挿入されている、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載された、調理釜の傾倒装置。