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特開2022-135132燃料電池ユニットおよび情報収集システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135132
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】燃料電池ユニットおよび情報収集システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04664 20160101AFI20220908BHJP
   G06F 11/34 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
H01M8/04664
G06F11/34 176
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034742
(22)【出願日】2021-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 雄介
【テーマコード(参考)】
5B042
5H127
【Fターム(参考)】
5B042GA37
5B042MA08
5B042MA09
5B042MA11
5B042MC15
5B042MC40
5H127AB04
5H127AB29
5H127AC07
5H127AC15
5H127BA02
5H127BA22
5H127BB02
5H127DB09
5H127DB19
5H127DB29
5H127DB39
5H127DB50
5H127DB90
(57)【要約】
【課題】燃料電池ユニット内のデータの通信量を削減することにより、消費電力と通信料金の低減を図ること。
【解決手段】燃料電池ユニット100は、燃料電池システム10と、燃料電池システム10からの各種データを収集する情報収集端末20と、を備える。燃料電池システム10は、燃料電池システム10を制御するFCECU15を備える。FCECU15は、燃料電池システム10のエラーコードと対応するデータタイプが認識されている。FCECU15は、燃料電池システム10のエラー発生時に、燃料電池システム10に関するセンサ値や制御変数のうち、エラーコードを基にデータタイプに割り当てられたデータを情報収集端末20へ送信する。情報収集端末20は、送信されたデータをサーバ200へアップロードする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池システムと、
前記燃料電池システムからの各種データを収集する情報収集端末と、
を備える燃料電池ユニットであって、
前記燃料電池システムは、
前記燃料電池システムを制御するFC主制御基板を備え、
前記FC主制御基板は、前記燃料電池システムのエラーコードと対応するデータタイプが認識されており、
前記FC主制御基板は、前記燃料電池システムのエラー発生時に、前記燃料電池システムに関するデータのうち、前記エラーコードを基に前記データタイプに割り当てられたデータを前記情報収集端末へ送信し、
前記情報収集端末は、送信された前記データをサーバへアップロードする
ことを特徴とする燃料電池ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池ユニットであって、
前記燃料電池ユニットは、前記データタイプと対応する変換テーブルが記憶され、
前記情報収集端末は、前記変換テーブルに基づいて、前記FC主制御基板から送信されたデータを物理値に変換する
ことを特徴とする燃料電池ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載の燃料電池ユニットと、
前記サーバと、を備える情報収集システムであって、
前記サーバは、前記データタイプと対応する変換テーブルが記憶され、
前記サーバは、前記変換テーブルに基づいて、前記FC主制御基板から送信されたデータを物理値に変換する
ことを特徴とする情報収集システム。
【請求項4】
請求項2に記載の燃料電池ユニットであって、
前記データには、前記データタイプの情報が割り当てられており、
前記情報収集端末は、前記データに割り当てられた前記データタイプに対応する前記変換テーブルに基づいて、前記FC主制御基板から送信されたデータを前記物理値に変換する
ことを特徴とする燃料電池ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池ユニットおよび情報収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池ユニットでは、すなわち、異常発生の原因を突き止めて、正常に動作させるために、燃料電池ユニットにかかわるセンサ値や、制御変数などのデータを収集して、情報収集端末へ送信する必要がある。情報収集端末では、送信されたデータを上位装置であるサーバへ送信して、異常解析や設計開発に使用される。
【0003】
例えば、機器のエラーに対応する一つまたは複数のエラーコードを取得し、該エラーコードと機器を識別するための機器固有情報を対応付け、選択した通信方式でサーバ制御部に送信することができる遠隔監視システムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-95362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、発生したエラーの種類を問わずに全てのデータを情報収集端末やサーバへアップロードすると、データ通信量が増加し、情報収集端末の消費電力の増加および情報収集端末との間の通信料金の増加する場合があるため好ましくない。
【0006】
また、全てのデータ情報がサーバへアップロードされるとすると、サーバのデータ蓄積量の増加に伴いサーバのリソースを補強しなければならず、管理費の増加が懸念されるため好ましくない。
【0007】
また、燃料電池システムと燃料電池ユニット間をCANで接続している場合には、データ通信量の増加に伴い、燃料電池ユニット内におけるCANのバスの負荷が増加するという問題があるため好ましくない。
【0008】
本発明の一側面にかかる目的は、燃料電池ユニット内のデータの通信量を削減することにより、消費電力と通信料金の低減を図ることができる燃料電池ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る一つの態様の燃料電池ユニットは、燃料電池システムと、前記燃料電池システムからの各種データ情報を収集する情報収集端末と、を備える。前記燃料電池システムは、前記燃料電池システムを制御するFC主制御基板を備える。前記FC主制御基板は、前記燃料電池システムのエラーコードと対応するデータタイプが認識されている。前記FC主制御基板は、前記燃料電池システムのエラー発生時に、前記燃料電池システムに関するデータ情報のうち、前記エラーコードを基に前記データタイプに割り当てられたデータ情報を前記情報収集端末へ送信し、前記情報収集端末は、送信された前記データ情報をサーバへアップロードすることを特徴とする。
【0010】
以上の構成により、燃料電池ユニット内のデータの通信量を削減することにより、通信に必要な燃料電池ユニットの消費電力を削減することができる。さらに、情報収集端末からサーバへ送信されるデータの通信量を削減することで、通信料金の低減を図ることができる。
【0011】
また、前記燃料電池ユニットは、前記データタイプと対応する変換テーブルが記憶され、前記情報収集端末は、前記変換テーブルに基づいて、前記FC主制御基板から送信されたデータを物理値に変換する。
【0012】
これにより、FC主制御基板から送信されたデータを解析者や解析機器が解析できる値(数値)に変換することができる。
【0013】
また、前記サーバは、前記データタイプと対応する変換テーブルが記憶され、前記サーバは、前記変換テーブルに基づいて、前記FC主制御基板から送信されたデータを物理値に変換する。
【0014】
これにより、FC主制御基板から送信されたデータを解析者や解析機器が解析できる値(数値)に変換することができる。
【0015】
また、前記データには、前記データタイプの情報が割り当てられており、前記情報収集端末は、前記データに割り当てられた前記データタイプに対応する前記変換テーブルに基づいて、前記FC主制御基板から送信されたデータを物理値に変換する。
【0016】
これにより、データに割り当てられたデータタイプに基づいて、FC主制御基板から送信されたデータを解析者や解析機器が解析できる値(数値)に変換することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、燃料電池ユニット内のデータの通信量を削減することにより、消費電力と通信料金の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係わる情報収集システムの一例を示す図である。
図2】データタイプ対応テーブルを説明する図である。
図3】情報収集端末へ送信するデータタイプに割り当てられたデータの一例を示す図である。
図4】変換テーブルを示す図である。
図5】燃料電池システムと、情報収集端末との接続関係の一例を示す図である。
図6】燃料電池システムのFCECUと、情報収集端末の主制御基盤とのデジタル信号回路の一例を示す図である。
図7】燃料電池システムのFCECUで実行されるデータ送信処理の一例を示すフローチャートである。
図8】情報収集端末で実行されるデータ変換処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係わる情報収集システムの一例を示す図である。情報収集システム1は、燃料電池ユニット100と、サーバ200とを備える。情報収集システム1は、図1に示していない他の構成を備えていてもよい。
【0021】
図1に示す燃料電池ユニット100は、フォークリフトなどの産業車両や電気自動車などの車両に搭載され、負荷に電力を供給する。なお、負荷は、走行用モータや荷役モータ、電装部品、コンピュータやメモリなどに電力を供給するための電源などである。
【0022】
燃料電池ユニット100は、燃料電池システム10と、情報収集端末20とを備える。燃料電池ユニット100は、図1に示していない他の構成を備えていてもよい。燃料電池システム10は、燃料電池11と、蓄電装置12と、センサ13と、メモリ14と、FC主制御基板(以下、「FCECU」と呼ぶ)15と、リレー16とを備える。燃料電池システム10は、図1に示していない他の構成を備えていてもよい。
【0023】
燃料電池11は、水素タンクから供給される水素と、大気中から供給される空気中の酸素との化学反応により、電気エネルギーを生成する。すなわち、燃料電池11は、水素と酸素の化学反応により発電する。蓄電装置12は、燃料電池11により発電された電力を燃料電池11の発電状況や負荷の状況に応じて蓄電する。
【0024】
センサ13は、燃料電池11や蓄電装置12に関するセンサ値や制御変数を取得する。センサ値は、情報収集端末20が収集するデータの一種である。制御変数は、燃料電池システム10を制御するのに必要な変数の一つである。センサ13は、FCECU15が制御対象を制御する際に参照する参照情報を入力するセンサである。センサ13が取得するセンサ値として、例えば、電圧、電流、温度、圧力、流量、濃度などのセンサ値を取得する。センサ13が取得するセンサ値には、例えば、燃料電池11を構成するセルごとの電圧、温度、燃料電池11の排気(オフガス)の温度、外気の温度などの各種情報が含まれる。なお、FCECU15には、例えば、汎用のOSとは異なる専用のOSが搭載されている。
【0025】
メモリ14は、RAM(Random Access Memory)またはROM(Read Only Memory)などにより構成され、プログラム、センサ13により取得された各種センサ値や制御変数、エラーコードなどのデータを記憶している。メモリ14には、センサ値や制御変数に対応する閾値を記憶してもよい。メモリ14は、燃料電池システム10の内部に備えられている。図1では、メモリ14は、FCECU15とは別に構成されているがこの限りではなく、FCECU15の内部に構成されていてもよい。
【0026】
FCECU15は、燃料電池システム10全体の処理および動作を制御するものである。FCECU15は、制御部に対応する。FCECU15は、たとえば、汎用なICなどによって構成される。なお、FCECU15は汎用なICの代わりに、CPU(Central Processing Unit)、マルチコアCPU、またはプログラマブルなデバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device))などにより構成されていてもよい。FCECU15には、制御対象として、燃料電池11と、蓄電装置12と、センサ13と、メモリ14とが、それぞれ電気的に接続されている。
【0027】
FCECU15は、センサ13により取得したセンサ値や制御変数を取得する。また、FCECU15は、センサ13により取得したセンサ値や制御変数がエラーであるか否かを判定する。センサ値や制御変数がエラーであるか否かの判定は、例えば、メモリ14に記憶されている所定の閾値との比較により判定することができる。センサ値や制御変数がエラーであるか否かの判定は、他の方法により実施してもよい。
【0028】
FCECU15は、燃料電池システム10のエラーコードと対応するデータタイプを認識している。FCECU15は、センサ値や制御変数がエラーである場合には、エラーに対応するエラーコードを燃料電池システム10自身へ通知する。
【0029】
例えば、FCECU15は、燃料電池システム10の動作フェーズに関連したエラーに対応するエラーコードを燃料電池システム10自身へ通知してもよい。動作フェーズとして、例えば、基板電源ONフェーズ、センサチェックフェーズ、リレー・コンタクタONフェーズ、水素入れフェーズ、エア入れフェーズ、発電フェーズなどを含む複数のフェーズに分類することができる。
【0030】
エラーコードとは、各フェーズにおいて燃料電池システム10の異常を解析するのに必要なセンサ値や制御変数が対応づけされた識別情報である。したがって、例えば、動作フェーズに対応したエラーコードとして、1-1、1-2、1-3、1-4…、などを採用することができる。FCECU15は、センサ値や制御変数がエラーである場合には、エラーに対応するエラーコードを燃料電池システム10自身へ通知する。
【0031】
基板電源ONフェーズとして、例えば、燃料電池システム10のFCECU15に電源を入れる段階を採用することができ、この場合エラーコード1-1がFCECU15自身へ通知される。エラーコード1-1に対応するセンサ値として、例えば、リレー16の電圧を対象とすることができる。
【0032】
センサチェックフェーズとして、例えば、燃料電池システム10のセンサ13の異常をチェックする段階を採用することができ、この場合エラーコード1-2がFCECU15自身へ通知される。エラーコード1-2に対応するセンサ値として、例えば、センサ13の接点電圧を対象とすることができる。
【0033】
リレー・コンタクタONフェーズとして、例えば、燃料電池システム10のリレー16を準備する段階を採用することができ、この場合エラーコード1-3がFCECU15自身へ通知される。エラーコード1-3に対応するセンサ値として、例えば、リレー16の電圧を対象とすることができる。
【0034】
水素入れフェーズとして、例えば、燃料電池11の水素タンクから水素を供給する段階を採用することができ、この場合エラーコード1-4がFCECU15自身へ通知される。エラーコード1-4に対応するセンサ値として、例えば、水素タンクの圧力を対象とすることができる。
【0035】
エア入れフェーズとして、例えば、大気中から酸素を供給する段階を採用することができ、この場合エラーコード1-5がFCECU15自身へ通知される。エラーコード1-5に対応するセンサ値として、例えば、酸素の流量を対象とすることができる。
【0036】
発電フェーズとして、例えば、燃料電池11により発電を開始する段階を採用することができ、この場合エラーコード1-6がFCECU15自身へ通知される。エラーコード1-6に対応するセンサ値として、例えば、すべてのセンサ値の情報を対象とすることができる。
【0037】
図2は、データタイプ対応テーブルを説明する図である。データタイプ対応テーブルは、エラーコードとデータタイプとを対応付けたテーブルである。データタイプ対応テーブルは、例えば、燃料電池システム10のメモリ14に記憶されている。
【0038】
FCECU15は、燃料電池システム10のエラー発生時に、燃料電池システム10に関するセンサ値や制御変数のうち、エラーコードを基にデータタイプを決定する。
【0039】
図2に示すように、エラーコード1-1、1-2、1-3、1-4…、に対応するデータタイプとして、データタイプA、データタイプB、データタイプA,データタイプCがそれぞれ対応付けられている。
【0040】
したがって、例えば、エラーコード1-1がFCECU15自身により通知された場合には、FCECU15は、データタイプとしてデータタイプAを決定する。同様に、FCECU15は、図2のデータタイプ対応テーブルを参照して各エラーコードに対応したデータタイプを決定(定義)する。FCECU15は、燃料電池システム10のエラー発生時に、燃料電池システム10に関するデータのうち、通知されたエラーコードに対応するデータタイプを決定する。
【0041】
図3は、情報収集端末20へ送信するデータタイプに割り当てられたデータの一例を示す図である。図3(1)は、データタイプAに割り当てられたデータの一例である。図3(2)は、データタイプBに割り当てられたデータの一例である。各データタイプA、データタイプB・・・には、複数の組み合わせのセンサ値や制御変数のデータが対応付けられている。
【0042】
図3(1)に示すように、例えば、データタイプAには、燃料電池システム10の各電圧に関するセンサ値の情報が対応付けられている。同様に、図3(2)に示すように、例えば、データタイプBには、燃料電池システム10の各圧力に関するセンサ値の情報や、制御変数の情報が対応付けられている。
【0043】
FCECU15は、決定したデータタイプに割り当てられたCAN IDと、センサ値や制御変数の情報とを対応付けたデータを情報収集端末20へ送信する。
【0044】
CAN IDは、燃料電池システム10と情報収集端末20との間の通信であること、すなわち、図2に示していない他の機器との通信でないことを識別するための識別情報である。図3の例では、CAN IDとして0x500, 0x501, 0x502,…0x5FFが対応付けられている。また、CAN IDのデータには、データタイプの情報が割り当てられる。データタイプの情報は、CAN IDの任意の位置に割り当てることができる。図3の例では、CAN ID 0x500のデータタイプの情報は、CAN IDの1byte目に割り当てられている。
【0045】
また、CAN IDのデータには、データタイプに対応したセンサ値や制御変数のデータが割り当てられる。センサ値や制御変数のデータは、CAN IDの任意の位置に割り当てることができる。図3(1)の例では、データタイプAに対応する電圧Aのセンサ値のデータがCAN ID 0x500の2byte目に割り当てられている。データタイプAに対応する電圧Bのセンサ値のデータがCAN ID 0x500の3byte目に割り当てられている。
【0046】
データは、1byteずつ割り当てられているがこの限りではなく、数byteに渡って割り当てられていてもよい。例えば、図3(2)のCAN ID 0x500に示すように、センサ値や制御変数のデータは、2byteに渡って割り当てられていてもよい。図3(2)の例では、濃度Bの情報が3byte目と4byte目の2byteに渡って割り当てられている。
【0047】
FCECU15は、決定されたデータタイプに割り当てられたデータを情報収集端末20へ送信する。すなわち、FCECU15は、データタイプに割り当てられたセンサ値や制御変数を含むデータのみを情報収集端末20へ送信する。これにより、燃料電池システム10の異常解析に必要最低限のセンサ値や制御変数の情報を含むデータのみを情報収集端末20へ送信することができる。したがって、通信に必要な情報収集端末20の消費電力の必要最低限に抑えることができる。また、燃料電池システム10と情報収集端末20とを接続するCANバスの負荷を抑えることができ、消費電力と通信料金の低減を図ることができる。
【0048】
なお、汎用OSが搭載されている情報収集端末20は、燃料電池システム10のFCECU15よりも起動が遅い。このため、FCECU15は、情報収集端末20が起動していない場合には、情報収集端末20が起動するまで、センサ13により取得されるセンサ値や制御変数を含むデータをメモリ14に一時記憶する。その後、情報収集端末20が起動した場合には、FCECU15は、メモリ14に一時記憶していたデータを情報収集端末20へ送信する。
【0049】
リレー16は、FCECU15の制御に基づき、蓄電装置12から情報収集端末20へ供給する12Vの電力の供給を開始または停止を行う。キーONされた場合には、FCECU15は、リレー16をONにして情報収集端末20への電力の供給を開始し、情報収集端末20の稼働を開始させる。キーOFFされた場合には、FCECU15は、リレー16をOFFにして情報収集端末20への電力の供給を停止し、情報収集端末20の稼働を終了させる。
【0050】
情報収集端末20は、電源制御部21と、主制御基盤22と、携帯通信アンテナ23とを備える。
【0051】
電源制御部21は、燃料電池システム10と電気的に接続され、燃料電池システム10から供給された12Vの電力を主制御基盤22へ供給する。
【0052】
主制御基盤22は、情報収集端末20全体の処理および動作を制御するものである。主制御基盤22は、たとえば、汎用なICなどによって構成される。なお、主制御基盤22は汎用なICの代わりに、CPU、マルチコアCPU、またはプログラマブルなデバイス(FPGAやPLD)などにより構成されていてもよい。主制御基盤22には、制御対象として、電源制御部21と、携帯通信アンテナ23とが、それぞれ電気的に接続されている。主制御基盤22には、汎用のOSが搭載されているため、燃料電池システム10よりも起動に時間がかかる。また、情報収集端末20の主制御基盤22は、燃料電池システム10のFCECU15と電気的に接続されている。
【0053】
情報収集端末20は、変換テーブルに基づいて、FCECU15から送信されたデータを物理値に変換する。
【0054】
図4は、変換テーブルを示す図である。図4(1)は、データタイプAに対応する変換テーブルを示し、図4(2)は、データタイプBに対応する変換テーブルを示す。変換テーブルには、データタイプの情報、データタイプのデータに対応するセンサ値や制御変数の名称の情報、センサ値や制御変数の最下位ビット(least significant bit:lsb)の情報、センサ値や制御変数の単位(unit)の情報が記憶される。情報収集端末20は、FCECU15から送信されたCAN IDから、データタイプを決定する。
【0055】
図4(1)に示すように、情報収集端末20は、FCECU15から送信されたCAN ID 0x500の1byteを解析することにより、CAN ID 0x500のデータはデータタイプAであることを認識する。続いて、情報収集端末20は、図4(1)の変換テーブルに基づいて、FCECU15から送信されたCAN IDの2byte目には、電圧Aのセンサ値が割り当てられていることを確認する。そして、情報収集端末20は、電圧Aのセンサ値に対し、lsbを掛けることにより、物理値へ変換することができる。すなわち、FCECU15から情報収集端末20へ送信される送信時においては、センサ値や制御変数の小数点や桁数を削減することで通信量の削減を行うことができるともに、変換テーブルを用いて物理値へと変換することで解析に必要な値に復元することができる。
【0056】
図4(1)の変換テーブルには、データは、1byteずつ割り当てられているがこの限りではなく、数byteに渡って割り当てられていてもよい。例えば、図4(2)の3byte目、4byte目に示すように、センサ値の濃度Bの情報が3byte目と4byte目の2byteに渡って割り当てられている。数byteに渡ったセンサ値や制御変数の情報も物理値へ変換することができるため、桁数の大きいセンサ値や制御変数を扱うことができ、様々な種類のセンサ値や制御変数の情報を取り扱うことができる。
【0057】
情報収集端末20は、FCECU15から送信されたデータをサーバ200へアップロードする。具体的には、情報収集端末20の携帯通信アンテナ23は、燃料電池システム10のFCECU15から取得して、物理値へ変換したデータを主制御基盤22の制御に基づきサーバ200へアップロードする。
【0058】
図5は、燃料電池システム10と、情報収集端末20との接続関係の一例を示す図である。図5に示すように、燃料電池システム10(FCECU15)と、情報収集端末20(主制御基盤22)との間で、バッテリ電圧、GNDおよびデジタル信号、CAN通信のデータが通信可能に接続されている。
【0059】
デジタル信号は、情報収集端末20の主制御基盤22から燃料電池システム10のFCECU15に対し出力されるONまたはOFFの信号である。情報収集端末20の電源がONの状態、すなわち、情報収集端末20のCAN通信が可能な状態である場合には、情報収集端末20の主制御基盤22は、燃料電池システム10に対し出力するデジタル信号をOFFからONへ切り替える。情報収集端末20の電源がOFFの状態、すなわち、情報収集端末20が終了状態である場合には、情報収集端末20の主制御基盤22は、燃料電池システム10に対し出力するデジタル信号をONからOFFへ切り替える。
【0060】
図6は、燃料電池システム10のFCECU15と、情報収集端末20の主制御基盤22とのデジタル信号回路の一例を示す図である。デジタル信号回路として、例えば、プルアップ回路を採用することができる。図6に示すように、デジタル信号回路は、コネクタ間の端子電圧により信号のON/OFF(12V/0V)により、電源がOFF状態であるのか、またはON状態でありCAN通信が可能な状態であるのかを判定することができる。
【0061】
図7は、燃料電池システム10のFCECU15で実行されるデータ送信処理の一例を示すフローチャートである。
【0062】
はじめに、FCECU15は、燃料電池システム10で異常が発生したか否かを判定する(ステップS101)。燃料電池システム10で異常が発生したか否かを判定する処理については、図7に示すデータ送信処理とは別個独立にまたは並行して実行される。
【0063】
燃料電池システム10で異常が発生していない場合(ステップS101:NO)には、異常が発生するまで処理を待機する。燃料電池システム10に異常が発生した場合(ステップS101:YES)には、FCECU15は、FCECU15自身が通知したエラーコードを取得する(ステップS102)。
【0064】
FCECU15は、図2のデータタイプ対応テーブルを参照して、ステップS102で取得したエラーコードからデータタイプを決定する(ステップS103)。FCECU15は、ステップS103で決定したデータタイプに応じたデータのみを情報収集端末20へ送信する(ステップS104)。この処理が終了すると、燃料電池システム10のFCECU15で実行されるデータ送信処理は終了となる。処理の終了後、再び図7のデータ送信処理が実行される。
【0065】
図8は、情報収集端末20で実行されるデータ変換処理の一例を示すフローチャートである。図8に示すデータ変換処理は、図7に示すデータ送信処理とは別個独立にまたは並行して実行される。
【0066】
はじめに、情報収集端末20は、FCECU15から、異常に関するCANのデータを受信する(ステップS201)。情報収集端末20は、ステップS202で受信したデータに含まれるデータタイプの識別情報を取得する(ステップS202)。情報収集端末20は、例えば、識別情報として、CAN IDの1byte目の情報を取得する。情報収集端末20は、ステップS202で取得した識別情報に基づき受信したCAN IDのデータタイプを特定する(ステップS203)。
【0067】
情報収集端末20は、特定したデータタイプに対応する図4に示す変換テーブルに基づいて、受信したデータを物理値へ変換する(ステップS204)。情報収集端末20は、ステップS204で変換した物理値をサーバ200へアプロードする(ステップS205)。この処理が終了すると、情報収集端末20で実行されるデータ変換処理は終了となる。処理の終了後、再び図8のデータ変換処理が実行される。
【0068】
以上の構成により、FCECU15は、燃料電池システム10のエラー発生時に、燃料電池システム10に関するデータのうち、エラーコードを基にデータタイプに割り当てられた情報に絞ったデータを情報収集端末20へ送信する。
【0069】
このため、燃料電池システム10から情報収集端末20へ送信されるデータの送信料を削減することができる。これにより、燃料電池ユニット100内のデータの通信量を削減することができ、通信に必要な燃料電池ユニット100の消費電力を削減することができる。さらに、情報収集端末20からサーバ200へ送信されるデータの通信量を削減することで、通信料金の低減を図ることができる。
【0070】
また、燃料電池ユニット100の情報収集端末20には、データタイプと対応する変換テーブルが記憶されている。情報収集端末20は、燃料電池ユニット100に記憶された変換テーブルに基づいて、FCECU15から送信されたデータを物理値に変換する。これにより、FC主制御基板から送信されたデータを解析者や解析機器が解析できる値(数値)に変換することができる。
【0071】
また、サーバ200は、データタイプと対応する変換テーブルが記憶されていてもよい。この場合、サーバ200は、変換テーブルに基づいて、FCECU15から送信されたデータを物理値に変換する。これにより、FCECU15から送信されたデータを解析者や解析機器が解析できる値(数値)に変換することができる。
【0072】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 情報収集システム
10 燃料電池システム
11 燃料電池
12 蓄電装置
13 センサ
14 メモリ
15 FCECU
16 リレー
20 情報収集端末
21 電源制御部
22 主制御基盤
23 携帯通信アンテナ
100 燃料電池ユニット
200 サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8