(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135508
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】電気自動車用オフグリッド充電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20220908BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20220908BHJP
B60L 53/30 20190101ALI20220908BHJP
B60L 53/80 20190101ALI20220908BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 302A
H02J7/00 303C
B60L50/60
B60L53/30
B60L53/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035360
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】521095455
【氏名又は名称】株式会社SAKAHOKO
(74)【代理人】
【識別番号】100131406
【弁理士】
【氏名又は名称】福山 正寿
(72)【発明者】
【氏名】小室 健一
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503BA04
5G503BB02
5G503CA08
5G503CB09
5G503EA05
5G503EA08
5G503FA03
5G503FA06
5G503GB03
5G503GD04
5H125AA01
5H125AC12
5H125FF06
5H125FF14
(57)【要約】
【課題】電力の利用効率のさらなる向上を図ること。
【解決手段】電気自動車用オフグリッド充電装置1において、蓄電池12,12,12を筐体10から取り外し可能に収容する構成とする。これにより、当該電気自動車用オフグリッド充電装置1の近くに、十分な電池残容量を有する蓄電池12,12,12を搭載した他の電気自動車用オフグリッド充電装置があれば、当該電気自動車用オフグリッド充電装置1と他の当該電気自動車用オフグリッド充電装置との間で蓄電池12,12,12を交換することが可能であるため、電気自動車用オフグリッド充電装置1をより迅速に実施可能な状態とすることができる。なお、電気自動車用オフグリッド充電装置1の蓄電池12,12,12間で電力のやり取り(充放電)が発生しないため、蓄電池12,12,12間での電力変換に伴う損失が発生しないため、電力の利用効率のさらなる向上を図ることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車の車載蓄電池を充電するための電気自動車用オフグリッド充電装置であって、
筐体と、
該筐体内に取り外し可能に収容される少なくとも1つの蓄電池と、
該蓄電池から出力される電圧を所定電圧に変圧可能に、該蓄電池に電気的に接続される昇圧器と、
前記蓄電池からの電力を前記車載蓄電池に供給可能に前記昇圧器に電気的に接続される電力供給部と、
前記蓄電池および前記昇圧器を制御可能に該蓄電池および該昇圧器に電気的に接続される制御装置と、
を備える電気自動車用オフグリッド充電装置。
【請求項2】
前記制御装置に電気的に接続された振動センサをさらに備え、
前記制御装置は、該振動センサによって閾値以上の振動が検知されたとき、前記電気自動車用オフグリッド充電装置の異常の有無を診断し、異常がある場合には該電気自動車用オフグリッド充電装置の作動を禁止し、異常がない場合には該電気自動車用オフグリッド充電装置の作動を許可する
請求項1に記載の電気自動車用オフグリッド充電装置。
【請求項3】
前記蓄電池は、少なくとも1つの電波情報を受信可能な受信部と、受信した前記電波情報を受信電波情報として記憶可能であると共に前記蓄電池の使用場所を特定可能な情報としての少なくとも1つの所定電波情報を記憶可能な記憶部と、を有しており、
前記制御装置は、前記受信電波情報と、前記所定電波情報と、に基づき前記蓄電池が所定の使用場所に配置されたか否かを判定し、前記所定の使用場所に配置されたと判定した場合には、前記電気自動車用オフグリッド充電装置の作動を許可し、前記所定の使用場所に配置されていないと判定した場合には、前記電気自動車用オフグリッド充電装置の作動を禁止する
請求項1または2に記載の電気自動車用オフグリッド充電装置。
【請求項4】
前記受信電波情報は、受信電波の識別情報を含んでおり、
前記所定電波情報は、所定電波の識別情報を含んでおり、
前記制御装置は、前記受信電波の識別情報に合致する前記所定電波の識別情報の数が所定数以上あるときに、前記蓄電池が所定の使用場所に配置されたと判定し、前記受信電波の識別情報に合致する前記所定電波の識別情報の数が所定数未満であるときに、前記蓄電池が所定の使用場所に配置されていないと判定する
請求項3に記載の電気自動車用オフグリッド充電装置。
【請求項5】
前記受信電波情報は、前記受信電波の強度情報を含んでおり、
前記所定電波情報は、前記所定電波の強度情報を含んでおり、
前記記憶部は、前記受信電波の識別情報と前記受信電波の強度情報とを対応付けて記憶すると共に前記所定電波の識別情報と前記所定電波の強度情報とを対応付けて記憶しており、
前記制御装置は、前記識別情報が合致した前記受信電波および前記所定電波それぞれの強度情報の合致数が所定数以上あるときに、前記蓄電池が所定の使用場所に配置されたと判定し、前記識別情報が合致した前記受信電波および前記所定電波それぞれの強度情報の合致数が所定数未満であるときに、前記蓄電池が所定の使用場所に配置されていないと判定する
請求項4に記載の電気自動車用オフグリッド充電装置。
【請求項6】
前記蓄電池は、送信部をさらに有しており、
前記制御装置は、前記蓄電池が所定の使用場所に配置されていないと判定した場合、前記電波情報を送信するよう前記送信部を制御する
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電気自動車用オフグリッド充電装置。
【請求項7】
前記電力供給部は、前記車載蓄電池に電気的に接続可能な給電ケーブルであり、
前記筐体は、前記給電ケーブルを収容可能な収容部と、該給電ケーブルが使用される際に該給電ケーブルの一部を保持可能な保持部と、を有しており、
前記保持部は、前記給電ケーブルの保持を検知可能に前記制御装置に電気的に接続されるケーブルセンサを有しており、
前記制御装置は、前記ケーブルセンサが前記給電ケーブルの保持を検知したときに、前記電気自動車用オフグリッド充電装置の作動を許可する
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電気自動車用オフグリッド充電装置。
【請求項8】
前記筐体は、前記収容部を開閉可能なカバーをさらに有しており、
前記ケーブルセンサは、前記保持部に前記給電ケーブルが保持された状態、かつ、前記カバーが閉状態となったときに前記給電ケーブルの保持を検知する
請求項7に記載の電気自動車用オフグリッド充電装置。
【請求項9】
前記制御装置および前記昇圧器に電力を供給可能な電源をさらに備える
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の電気自動車用オフグリッド充電装置。
【請求項10】
前記蓄電池と前記昇圧器との電気的接続の有無を検知可能に前記制御装置に電気的に接続される接続検知部をさらに備え、
前記制御装置は、前記蓄電池と前記昇圧器との電気的接続を検知した場合には、前記電気自動車用オフグリッド充電装置の作動を許可し、前記蓄電池と前記昇圧器との電気的接続を検知しない場合には、前記電気自動車用オフグリッド充電装置の作動を禁止する
請求項9に記載の電気自動車用オフグリッド充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車の車載蓄電池を充電するための電気自動車用オフグリッド充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2017‐195722号公報(特許文献1)には、少なくとも1つの蓄電池を搭載すると共に自律的に移動可能な電気自動車用オフグリッド充電装置が記載されている。
【0003】
当該電気自動車用オフグリッド充電装置は、電気自動車に搭載された車載蓄電池の充電を行うことができることは勿論のこと、当該電気自動車用オフグリッド充電装置の近くに配置された他の電気自動車用オフグリッド充電装置であって、予め定められた閾値よりも少ない電池残容量となった当該他の電気自動車用オフグリッド充電装置の位置まで移動して、当該他の電気自動車用オフグリッド充電装置の蓄電池を充電することができる。
【0004】
このように、他の電気自動車用オフグリッド充電装置は、蓄電池の電池残容量が閾値より少なくなった場合であっても、充電スタンドまで移動しなくても良いため、当該他の電気自動車用オフグリッド充電装置の蓄電池の充電を迅速に行うことができる。
【0005】
即ち、上述した公報に記載の電気自動車用オフグリッド充電装置は、電気自動車用オフグリッド充電装置の蓄電池間での充放電を実現することによって、電力の利用効率の向上を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、蓄電池は、充放電の際に2回、電力の変換に伴う損失が発生する。上述した公報に記載の電気自動車用オフグリッド充電装置では、充電スタンドにおいて、電気自動車用オフグリッド充電装置の蓄電池を充電した後、当該電気自動車用オフグリッド充電装置の蓄電池から電気自動車の蓄電池へ充電する際には、充電スタンドから電気自動車用オフグリッド充電装置の蓄電池への充電の際、および、電気自動車用オフグリッド充電装置の蓄電池から電気自動車の蓄電池へ充電する際の2回、電力の変換に伴う損失が発生する。
【0008】
一方、充電スタンドにおいて、電気自動車用オフグリッド充電装置の蓄電池を充電した後、当該電気自動車用オフグリッド充電装置の蓄電池から電池容量が閾値より少なくなった他の電気自動車の蓄電池へ充電し、当該他の電気自動車用オフグリッド充電装置の蓄電池から電気自動車の蓄電池へ充電する際には、電気自動車用オフグリッド充電装置の蓄電池から他の電気自動車用オフグリッド充電装置の蓄電池へ充電する際の1回分、余分に電力の変換に伴う損失が発生する。このように、上述した公報に記載の電気自動車用オフグリッド充電装置では、電力の利用効率という点において、なお改良の余地がある。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、電力の利用効率のさらなる向上に資する電気自動車用オフグリッド充電装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電気自動車用オフグリッド充電装置は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0011】
本発明に係る電気自動車用オフグリッド充電装置の好ましい形態によれば、電気自動車の車載蓄電池を充電するための電気自動車用オフグリッド充電装置が構成される。当該電気自動車用オフグリッド充電装置は、筐体と、当該筐体内に取り外し可能に収容される少なくとも1つの蓄電池と、当該蓄電池に電気的に接続される昇圧器と、昇圧器に電気的に接続される電力供給部と、蓄電池および昇圧器を制御可能に当該蓄電池および昇圧器に電気的に接続される制御装置と、を備えている。昇圧器は、蓄電池から出力される電圧を所定電圧に変圧可能である。電力供給部は、蓄電池からの電力を車載蓄電池に供給可能である。
【0012】
本発明に係る電気自動車用オフグリッド充電装置によれば、蓄電池が取り外し可能であるため、蓄電池の電池残容量が少なく充電が必要となった場合に、当該蓄電池と、近くに配置された他の電気自動車用オフグリッド充電装置の蓄電池であって、十分な電池残容量を有する蓄電池と、を交換することが可能となる。これにより、電気自動車用オフグリッド充電装置を迅速に使用可能な状態とすることができる。なお、蓄電池を交換するのみであるため、電気自動車用オフグリッド充電装置の蓄電池間で電力のやり取り(充放電)を行う従来構造のように、蓄電池間での電力変換に伴う損失が発生しないため、電力の利用効率のさらなる向上を図ることができる。
【0013】
本発明に係る電気自動車用オフグリッド充電装置の更なる形態によれば、制御装置に電気的に接続された振動センサをさらに備えている。そして、制御装置は、振動センサによって閾値以上の振動が検知されたとき、電気自動車用オフグリッド充電装置の異常の有無を診断し、異常がある場合には電気自動車用オフグリッド充電装置の作動を禁止し、異常がない場合には電気自動車用オフグリッド充電装置の作動を許可する。
【0014】
本発明に係る電気自動車用オフグリッド充電装置によれば、電気自動車用オフグリッド充電装置に振動が入力されたとき、例えば、充電目的の電気自動車が装置に衝突した場合や、装置の盗難を含む装置に損害が与えられたときに、装置の異常の有無を診断し、異常有の場合には、装置の作動が禁止される。これにより、装置が異常を生じたまま作動されることを防止できる。この結果、装置の安全性の向上を図ることができる。
【0015】
本発明に係る電気自動車用オフグリッド充電装置の更なる形態によれば、蓄電池は、少なくとも1つの電波情報を受信可能な受信部と、受信した電波情報を受信電波情報として記憶可能であると共に蓄電池の使用場所を特定可能な情報としての少なくとも1つの所定電波情報を記憶可能な記憶部と、を有している。そして、制御装置は、受信電波情報と、所定電波情報と、に基づき蓄電池が所定の使用場所に配置されたか否かを判定し、所定の使用場所に配置されたと判定した場合には、電気自動車用オフグリッド充電装置の作動を許可し、所定の使用場所に配置されていないと判定した場合には、電気自動車用オフグリッド充電装置の作動を禁止する。
【0016】
本発明に係る電気自動車用オフグリッド充電装置によれば、蓄電池が所定の場所以外で使用されることを防止することができる。なお、記憶部に予め記憶された蓄電池の使用場所を特定可能な所定電波情報と、蓄電池が受信した受信電波情報と、を比較するのみであるため、蓄電池が所定の使用場所に配置されたか否かを簡易に判定できる。
【0017】
本発明に係る電気自動車用オフグリッド充電装置の更なる形態によれば、受信電波情報は、受信電波の識別情報を含んでいる。また、所定電波情報は、所定電波の識別情報を含んでいる。そして、制御装置は、受信電波の識別情報に合致する所定電波の識別情報の数が所定数以上あるときに、蓄電池が所定の使用場所に配置されたと判定し、受信電波の識別情報に合致する所定電波の識別情報の数が所定数未満であるときに、蓄電池が所定の使用場所に配置されていないと判定する。
【0018】
本発明に係る電気自動車用オフグリッド充電装置によれば、蓄電池が所定の使用場所に配置されたか否かをより正確に判定することができる。
【0019】
本発明に係る電気自動車用オフグリッド充電装置の更なる形態によれば、受信電波情報は、受信電波の強度情報を含んでいる。また、所定電波情報は、所定電波の強度情報を含んでいる。さらに、記憶部は、受信電波の識別情報と受信電波の強度情報とを対応付けて記憶すると共に所定電波の識別情報と所定電波の強度情報とを対応付けて記憶している。そして、制御装置は、識別情報が合致した受信電波および所定電波それぞれの強度情報の合致数が所定数以上あるときに、蓄電池が所定の使用場所に配置されたと判定し、識別情報が合致した受信電波および所定電波それぞれの強度情報の合致数が所定数未満であるときに、蓄電池が所定の使用場所に配置されていないと判定する。
【0020】
本発明に係る電気自動車用オフグリッド充電装置によれば、蓄電池が所定の使用場所に配置されたか否かをより一層正確に判定することができる。
【0021】
本発明に係る電気自動車用オフグリッド充電装置の更なる形態によれば、蓄電池は、送信部をさらに有している。そして、制御装置は、蓄電池が所定の使用場所に配置されていないと判定した場合、電波情報を送信するよう送信部を制御する。
【0022】
本発明に係る電気自動車用オフグリッド充電装置によれば、蓄電池が所定の使用場所でない場所に配置された場合に、送信された電波情報を基に当該蓄電池の所在を推定することが可能となる。
【0023】
本発明に係る電気自動車用オフグリッド充電装置の更なる形態によれば、電力供給部は、車載蓄電池に電気的に接続される給電ケーブルである。筐体は、給電ケーブルを収容可能な収容部と、当該給電ケーブルが使用される際に当該給電ケーブルの一部を保持可能な保持部と、を有している。また、保持部は、給電ケーブルの保持を検知可能に制御装置に電気的に接続されるケーブルセンサを有している。そして、制御装置は、ケーブルセンサが給電ケーブルの保持を検知したときに、電気自動車用オフグリッド充電装置の作動を許可する。
【0024】
本発明に係る電気自動車用オフグリッド充電装置によれば、給電ケーブルが、充電対象に電力を供給する使用状態となるまでは、電気自動車用オフグリッド充電装置が作動状態とならないため、待機電力による消費電力を抑制することができる。これにより、装置の省電力化を図ることができる。
【0025】
本発明に係る電気自動車用オフグリッド充電装置の更なる形態によれば、筐体は、収容部を開閉可能なカバーをさらに有している。ケーブルセンサは、保持部に給電ケーブルが保持された状態、かつ、カバーが閉状態となったときに給電ケーブルの保持を検知する。
【0026】
本発明に係る電気自動車用オフグリッド充電装置によれば、カバーを閉状態とすることによって、給電ケーブルの保護を図ることができる。また、カバーが開いた不安定な状態で充電対象が充電されることを防止できる。これにより、安全性の向上を図ることができる。
【0027】
本発明に係る電気自動車用オフグリッド充電装置の更なる形態によれば、制御装置および昇圧器に電力を供給可能な電源をさらに備えている。
【0028】
本発明に係る電気自動車用オフグリッド充電装置によれば、制御装置や昇圧器の稼働に蓄電池の電力を用いる必要がないため、蓄電池の電力を充電対象の充電に有効に活用することができる。
【0029】
本発明に係る電気自動車用オフグリッド充電装置の更なる形態によれば、蓄電池と昇圧器との電気的接続の有無を検知可能に制御装置に電気的に接続される接続検知部をさらに備えている。そして、制御装置は、蓄電池と昇圧器との電気的接続を検知した場合には、電気自動車用オフグリッド充電装置の作動を許可し、蓄電池と昇圧器との電気的接続を検知しない場合には、電気自動車用オフグリッド充電装置の作動を禁止する。
【0030】
本発明に係る電気自動車用オフグリッド充電装置によれば、蓄電池と昇圧器との電気的接続が検知されるまでは、電気自動車用オフグリッド充電装置を作動しないため、電源の待機電力による消費電力を抑制することができる。これにより、装置の省電力化をより図ることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、電力の利用効率のさらなる向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本実施の形態に係る電気自動車用オフグリッド充電装置1の配置の一例を示す説明図である。
【
図2】本実施の形態に係る電気自動車用オフグリッド充電装置1の構成の概略を示す概略構成図である。
【
図3】上部カバー22および扉24を開状態とした本実施の形態に係る電気自動車用オフグリッド充電装置1を扉24の方向から見た外観図である。
【
図4】蓄電池12の記憶部36に記憶された蓄電池関連情報37を示す説明図である。
【
図5】制御装置70の記憶部72に記憶された管理情報74を示す説明図である。
【
図6】本実施の形態の電気自動車用オフグリッド充電装置1の制御装置70により実行される作動制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図6の作動制御処理から分岐した部分のフローチャートである。
【
図8】BMU34により実行される蓄電池配置場所判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】本実施の形態の電気自動車用オフグリッド充電装置1の制御装置70により実行される作動制御処理の別例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例0034】
本発明の実施の形態に係る電気自動車用オフグリッド充電装置1は、
図1に示すように、電気自動車2に搭載された車載蓄電池4に電力を供給(充電)するための装置であり、火力発電システムや原子力発電システム、太陽光発電システム、風力発電ンシステムなどの電力会社の送電網(送電系統)PSとは電気的に非接続状態で設置される。
【0035】
電気自動車用オフグリッド充電装置1は、
図2に示すように、筐体10と、取外し可能に当該筐体10内に収容される蓄電池12,12,12と、当該蓄電池12,12,12に電気的に接続されたジャンクションボードJBと、当該ジャンクションボードJBに電気的に接続された昇圧器14と、当該昇圧器14に電気的に接続された給電ケーブル16と、装置全体を制御する制御装置70と、ジャンクションボードJBや昇圧器14,制御装置70に電力を供給可能にジャンクションボードJB、昇圧器14、および、制御装置70に電気的に接続された電源60と、を備えている。給電ケーブル16は、本発明における「電力供給部」に対応する実施構成の一例である。
【0036】
筐体10は、
図2に示すように、内部に空間を有する直方体として構成されており、仕切板20によって当該内部空間が上下に区画されている。また、筐体10は、
図3に示すように、上部空間を開閉可能な上部カバー22と、下部空間を開閉可能な扉24と、を有している。
【0037】
上部空間には、
図2に示すように、給電ケーブル16が収容される。上部カバー22は、
図3に示すように、機械式錠22aと、上部空間に向かって突出する押え部22bと、を有している。上部カバー22は、機械式錠22aは、図示しない専用鍵によって作動され、上部カバー22の施錠と解錠を行う。押え部22bは、給電ケーブル16が上部空間から取り出されて後述する切欠き11にセットされ(給電準備状態とされ)、かつ、上部カバー22が閉状態とされたときに、給電ケーブル16の一部に当接可能な位置に配置されている。上部カバー22は、本発明における「カバー」に対応する実施構成の一例である。
【0038】
なお、筐体10を構成する壁面のうち給電ケーブル16を取り出す方向(
図3の紙面に垂直方向)の一方に配置された壁面10aは、
図3に示すように、切欠き11と、表示灯13と、を有している。
【0039】
切欠き11は、給電ケーブル16を給電準備状態にする際に、給電ケーブル16を保持する。また、筐体10の切欠き11の近傍には、給電ケーブル16が給電準備状態となったことを検知するためのセンサCSが配置されている。当該センサCSとしては、例えば、近接センサや圧力センサ、リミットスイッチなどが考えられる。なお、センサCSは、給電ケーブル16が上部空間から取り出されて切欠き11にセットされ(給電準備状態とされ)、かつ、上部カバー22が閉状態とされて押え部22bが給電ケーブル16の一部を押圧した際に、セット完了信号を出力する。切欠き11は、本発明における「保持部」に対応し、センサCSは、本発明における「ケーブルセンサ」に対応する実施構成の一例である。
【0040】
表示灯は、電気自動車用オフグリッド充電装置1の状態、例えば、蓄電池12,12,12が適切か否かや、コネクタ付ケーブル33,33,33およびコネクタ付ケーブル,40,40,40が接続されているか否か、電気自動車用オフグリッド充電装置1が正常に作動しているか否か、電気自動車用オフグリッド充電装置1に異常が発生しているか否かなどを、色違いによる点灯や点滅、消灯などによって視覚的に知らせる。本実施の形態では、表示灯13は、接続ランプ13aと、蓄電池用ランプ13bと、作動ランプ13cと、を有する構成とした。なお、本実施の形態では、コネクタ付ケーブル33,33,33およびコネクタ付ケーブル,40,40,40が接続されている場合は接続ランプ13aを点灯させ、コネクタ付ケーブル33,33,33およびコネクタ付ケーブル,40,40,40が接続されていない場合は接続ランプ13aを点滅させ、蓄電池12,12,12の配置場所が適切、即ち、所定の使用場所である場合は、蓄電池用ランプ13bを点灯させ、蓄電池12,12,12の配置場所が不適切、即ち、所定の使用場所でない場合、あるいは、蓄電池12,12,12がセットされていない場合は、蓄電池用ランプ13bを点滅させ、電気自動車用オフグリッド充電装置1が正常に作動している場合は作動ランプ13cを点灯させ、電気自動車用オフグリッド充電装置1が正常に作動している場合は作動ランプ13cを点滅させる構成とした。なお、接続ランプ13aは、コネクタ付ケーブル33,33,33およびコネクタ付ケーブル,40,40,40の1つでも接続されていれば点灯させる構成や、コネクタ付ケーブル33,33,33およびコネクタ付ケーブル,40,40,40の全てが接続されているときに点灯させる構成、コネクタ付ケーブル33,33,33およびコネクタ付ケーブル,40,40,40の1つでも接続されていなければ接続ランプ13aを点滅させる構成、コネクタ付ケーブル33,33,33およびコネクタ付ケーブル,40,40,40の全てが接続されていないときに点滅させる構成、あるいは、コネクタ付ケーブル33,33,33およびコネクタ付ケーブル,40,40,40の接続数によって接続ランプ13aの点灯・点滅の態様を異ならせる構成など、如何なる構成を採用しても良い。
【0041】
下部空間は、蓄電池12,12,12を収容するための電池収容部BAと、ジャンクションボードJB、昇圧器14、電源60、および、制御装置70を収容するための電装品収容部ECAと、を有している。扉24は、壁面10a側の開口を開閉可能に、当該壁面10aに配置されている。扉24は、
図3に示すように、機械式錠24aを有している。機械式錠24aは、図示しない専用鍵によって作動され、扉24の施錠と解錠を行う。
【0042】
電池収容部BAには、蓄電池12,12,12を載置可能な一対の載置レールPr,Prが配置されている(
図2および
図3参照)。当該一対の載置レールPr,Prは、上下方向に3組配置されている。これにより、電池収容部BAには、上下方向に蓄電池12,12,12を配置可能となっている。なお、載置レールPr,Prは、電池収容部BAから突出する方向(
図3の紙面に対して手前に向かう方向)および電池収容部BAに引っ込む方向(
図3の紙面に対して奥に向かう方向)に摺動可能に構成されている。これにより、蓄電池12,12,12を交換する際の、当該蓄電池12,12,12の電池収容部BAへの出し入れ性の向上を図っている。なお、本実施の形態では、蓄電池12,12,12はパレットP,P,P(
図3参照)に収容した状態で、電池収容部BAに収容される構成とした。
【0043】
このように、本実施の形態では、蓄電池12,12,12が取り外し可能であるため、蓄電池12,12,12の電池残容量SOCが少なく充電が必要となった場合に、十分な電池残容量SOCを有する蓄電池12,12,12と交換することができる。これにより、電気自動車用オフグリッド充電装置1を迅速に使用可能な状態とすることができる。なお、近くに配置された他の電気自動車用オフグリッド充電装置1の蓄電池12,12,12の電池残容量SOCが十分である場合は、当該他の電気自動車用オフグリッド充電装置1との間で蓄電池12,12,12の交換を行うことができる。これにより、電気自動車用オフグリッド充電装置1をより迅速に使用可能な状態とすることができる。
【0044】
ここで、本実施の形態によれば、蓄電池12,12,12を交換するのみであり、電気自動車用オフグリッド充電装置1の蓄電池12,12,12間で電力のやり取り(充放電)が発生しないため、蓄電池12,12,12間での電力変換に伴う損失が発生しない。この結果、電力の利用効率のさらなる向上を図ることができる。
【0045】
また、蓄電池12は、複数の電池セル(図示せず)を有する電池本体32と、当該電池本体32の出力端子に電気的に接続されたコネクタ付ケーブル33と、電池本体32の状態を監視・制御するバッテリマネージメントユニット(以下、「BMU」という)34と、記憶部36と、通信部38と、を備えている。電池本体32は、本実施の形態では、リチウムイオン電池を用いる構成とした。なお、蓄電池12は、電池セルへの充電電流や、電池セルからの放電電流を通電状態から遮断するための図示しない遮断器が回路中に配置されている。通信部38は、本発明における「受信部」および「送信部」に対応する実施構成の一例である。
【0046】
BMU34には、蓄電池12を管理するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。BMU34に入力される信号としては、例えば、電池本体32の出力端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,電池本体32の出力端子に接続された電力ライン(例えば、コネクタ付ケーブル33)に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,電池本体32に取り付けられた図示しない温度センサからの電池温度、接続検出回路90からのコネクタ接続信号などを挙げることができる。なお、BMU34では、電池本体32を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて電池残容量(SOC)も演算している。また、BMU34からは、図示しない遮断器へのオン・オフ信号や、通信部38への送受信信号などが出力される。本実施の形態では、BMU34は、接続検出回路90からのコネクタ接続信号を受信するまでは遮断器をオフする構成とした。即ち、蓄電池12,12,12が電気自動車用オフグリッド充電装置1に電気的に接続されて初めて遮断器がオンされる。さらに、BMU34は、制御装置70と図示しない通信ポートを介して接続されており、記憶部36に記憶されたデータや情報を制御装置70に出力する。
【0047】
記憶部36は、
図2および
図4に示すように、蓄電池12に関する蓄電池関連情報37などの各種データを記憶している。通信部38は、ネットワーク(図示せず)に接続されて、蓄電池関連情報37などの各種データの送受信を含む他の機器と双方向の通信を行う。
【0048】
記憶部36に記憶された蓄電池関連情報37は、
図4に示すように、蓄電池管理テーブル37aと、使用場所特定テーブル37bと、受信電波テーブル37cと、を含んでいる。蓄電池管理テーブル37aは、電池IDと、電池残容量SOCと、電池温度と、を対応付けたテーブルである。電池IDは、複数の蓄電池12,12,12,・・・のうちのいずれであるかを特定可能な情報である。蓄電池管理テーブル37aには、この他、蓄電池12を入れ替えた入替回数や、蓄電池12の充放電回数などを含んでいても良い。使用場所特定テーブル37bは、電池IDと、蓄電池12の使用場所において受信される電波(以下、「所定電波」という)、即ち、蓄電池12の使用場所を特定可能な電波の識別情報(以下、「所定電波識別情報」という)と、当該所定電波の強度に関する情報(以下、「所定電波強度」という)と、を対応付けたテーブルである。本実施の形態では、蓄電池12の使用場所において受信される複数の電波およびその電波強度を予め測定して使用場所(会員ID)と関連付けて後述する装置管理テーブル74aに記憶しておき、蓄電池12の使用場所(会員ID)が決定したときに、対応する電波の識別情報および強度を、所定電波識別情報および所定電波強度として使用場所特定テーブル37bに入力しておく構成とした。受信電波テーブル37cは、電池IDと、蓄電池12の通信部38によって受信された電波の識別情報(以下、「受信電波識別情報」という)と、当該受信電波の電波強度(以下、「受信電波強度」という)と、を対応付けたテーブルである。
【0049】
ジャンクションボードJBは、
図2に示すように、蓄電池12,12,12のそれぞれと昇圧器14との接続切り替えや、を行うための回路を有する基板である。ジャンクションボードJBは、当該ジャンクションボードJBと蓄電池12,12,12とを電気的に接続可能なコネクタ付ケーブル40,40,40を有している。当該コネクタ付ケーブル40,40,40は、電池収容部BAまで延出しており、当該電池収容部BAに収容された蓄電池12,12,12のコネクタ付ケーブル33,33,33と電池収容部BA内において接続される。コネクタ付ケーブル33,33,33およびコネクタ付ケーブル40,40,40は、接続したことを検知可能な接続検出回路90(
図2参照)を有している。
【0050】
昇圧器14は、蓄電池12,12,12によって電気自動車2の車載蓄電池4を充電するために、蓄電池12,12,12の出力電圧を昇圧して給電ケーブル16に出力可能なコンバータである。
【0051】
制御装置70は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、各種処理プログラムを記憶するROM、一時的にデータを記憶するRAM、処理プログラムなどの各種アプリケーションプログラムや管理情報74を含む各種データを記憶する記憶部72(
図5参照)、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備え、装置全体の制御を司る。制御装置70には、筐体10に配置された振動センサVSからの振動や、接続検出回路90からのコネクタ接続信号、BMU34からの蓄電池配置場所判定結果、センサCSからのセット完了信号などが入力ポートを介して入力されている。また、制御装置70からは、表示灯13への点灯指示や、ジャンクションボードJB,昇圧器14,および,電源60への駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。なお、制御装置70は、前述したように、BMU34と通信ポートを介して接続されており、BMU34と各種制御信号やデータのやり取りを行っている。BMU34および制御装置70は、本発明における「制御装置」に対応する実施構成の一例である。
【0052】
記憶部72に記憶された管理情報74は、
図5に示すように、装置管理テーブル74aと、蓄電池管理テーブル74bと、使用場所特定テーブル74cと、受信電波テーブル74dと、を含んでいる。装置管理テーブル74aは、装置IDと、会員IDと、契約プランと、異常ステータスと、装置温度と、所定電波識別情報と、所定電波強度と、を対応付けたテーブルである。装置IDは、複数の電気自動車用オフグリッド充電装置1のいずれかを特定可能な情報である。会員IDは、複数のユーザを識別可能な情報である。契約プランは、契約プランは、電気自動車用オフグリッド充電装置1の利用状況に応じて設定される料金プランに関する情報である。異常ステータスは、電気自動車用オフグリッド充電装置1に異常が発生しているか否かを表す情報である。所定電波識別情報は、電気自動車用オフグリッド充電装置1が配置される場所を特定可能な情報である。所定電波強度は、電気自動車用オフグリッド充電装置1が配置される場所を特定可能な所定電波の強度に関する情報である。
【0053】
蓄電池管理テーブル74b、使用場所特定テーブル74c、および、受信電波テーブル74dは、制御装置70がBMU34から取得した情報であり、電気自動車用オフグリッド充電装置1に設置される蓄電池12,12,12の全て情報を含む点以外は、各蓄電池12,12,12の蓄電池管理テーブル37a、使用場所特定テーブル37b、および、受信電波テーブル37cと同様の情報を含むテーブルである。なお、電気自動車用オフグリッド充電装置1に搭載される蓄電池12,12,12が交換されると、蓄電池管理テーブル37a、使用場所特定テーブル37b、および、受信電波テーブル37cの情報に変更が生じるため、蓄電池管理テーブル74b、使用場所特定テーブル74c、および、受信電波テーブル74dの情報も変更される。
【0054】
こうして構成された電気自動車用オフグリッド充電装置1は、スーパーやコンビニ、飲食店などの店舗の駐車場や、月極駐車場、時間貸し駐車場、サービスエリアやパーキングエリアなどの駐車場、マンションの駐車場、戸建ての駐車場などに設置され、電気自動車2に搭載された車載蓄電池4に電力の供給(充電)を行う。なお、電気自動車用オフグリッド充電装置1は、火力発電システムや原子力発電システム、太陽光発電システム、風力発電ンシステムなどの電力会社の送電網(送電系統)PSとは電気的に非接続状態で設置されるため、交換可能な蓄電池12,12,12の電力によって、車載蓄電池4を充電する。
【0055】
次に、こうして構成された電気自動車用オフグリッド充電装置1の動作、特に、電気自動車用オフグリッド充電装置1が作動する際の動作について説明する。
図6は、実施例の電気自動車用オフグリッド充電装置1の制御装置70により実行される作動制御処理の一例を示すメインフローチャートであり、
図7は、
図6のメインフローチャートから分岐したサブフローチャートである。この処理は、電気自動車用オフグリッド充電装置1の作動指示、例えば、ユーザによるキー操作などがなされたときに実行される。
【0056】
作動制御処理が実行さると、制御装置70は、まず、振動センサVSからの振動や、コネクタ接続信号、蓄電池配置場所判定結果、給電ケーブルセット状況などを入力する処理を実行する(ステップS100)。続いて、入力した振動が閾値以上であるか否かを判定する処理を実行する(ステップS102)。ここで、閾値は、電気自動車用オフグリッド充電装置1に異常が発生しているか否かの判断を行うために設定されるものであり、制御装置70やBMU34、昇圧器14、ジャンクションボードJBなどの振動に対する耐久性などを考慮して設定することができる。
【0057】
振動が閾値未満であるときには、コネクタ付ケーブル33,33,33とコネクタ付ケーブル,40,40,40とが接続されたか否かを判定する処理を実行する(ステップS104)。コネクタ付ケーブル33,33,33とコネクタ付ケーブル,40,40,40とが接続されたか否かは、本実施の形態では、接続検出回路90からのコネクタ接続信号のオン・オフを検出することにより行う構成とした。なお、本実施の形態では、コネクタ付ケーブル33,33,33およびコネクタ付ケーブル,40,40,40の全てが接続されたときに、コネクタ付ケーブル33,33,33およびコネクタ付ケーブル,40,40,40が接続されていると判定する構成としたが、コネクタ付ケーブル33,33,33およびコネクタ付ケーブル,40,40,40の少なくとも1つが接続されていれば、コネクタ付ケーブル33,33,33およびコネクタ付ケーブル,40,40,40が接続されていると判定する構成としても良い。
【0058】
コネクタ付ケーブル33,33,33とコネクタ付ケーブル,40,40,40とが接続されている場合は、蓄電池12,12,12が所定の使用場所に配置されているか否かを判定する処理を実行する(ステップS106)。ここで、蓄電池12,12,12が所定の使用場所に配置されているか否かの判定は、本実施の形態では、各蓄電池12,12,12のBMU34,34,34が実施し、当該BMU34,34,34から出力される「蓄電池配置場所判定結果」を用いる構成とした。
【0059】
図8は、BMU34により実行される蓄電池配置場所判定処理の一例を示すフローチャートである。本実施の形態では、この処理は、接続検出回路90からのコネクタ接続信号がオンしたとき、即ち、コネクタ付ケーブル33,33,33とコネクタ付ケーブル,40,40,40とが接続されたときになどに実行される構成とした。
【0060】
蓄電池配置場所判定処理が実行されると、BMU34は、まず、電波を受信すると共に受信した電波の情報を受信電波テーブル37cとして記憶部36に記憶する処理を実行する(ステップS200)。ここで、本実施の形態では、無線LAN機器が発する電波情報、例えば、アクセスポイントを示す識別情報(SSID)および電波強度を受信する構成とした。
【0061】
続いて、受信電波テーブル37cと使用場所特定テーブル37bとを比較する処理を実行する(ステップS202)。具体的には、受信電波テーブル37c中の受信電波識別情報と、使用場所特定テーブル37b中の所定電波識別情報と、を比較する。
【0062】
そして、受信電波識別情報に合致する所定電波識別情報の数が所定数以上であるか否かを判定する処理を実行する(ステップS204)。ここで、所定数は、蓄電池12,12,12が適切な場所、即ち、所定の使用場所に配置されたか否かを判定するために設定されるものであり、1以上の値、例えば、「2」、「3」、「4」などのように設定することができる。
【0063】
受信電波識別情報に合致する所定電波識別情報の数が所定数以上である場合は、合致した受信電波識別情報および所定電波識別情報に対応付けられた受信電波強度および所定電波強度の合致数が所定数以上であるか否か、を判定する。ここで、所定数は、蓄電池12,12,12が適切な場所、即ち、所定の使用場所に配置されたか否かを判定するために設定されるものであり、1以上の値、例えば、「2」、「3」、「4」などのように設定することができる。
【0064】
電波強度の合致数が所定数以上である場合、蓄電池12,12,12の配置場所は「適切」であることを出力して(ステップS208)、本処理を終了する。一方、ステップS204において、識別情報の合致数が所定数未満であった場合、あるいは、ステップS206において、電波強度の合致数が所定数未満であった場合、蓄電池12,12,12の配置場所は「不適切」であることを出力すると共に、受信電波に関する情報、即ち、受信電波テーブル37cに入力された受信電波識別情報および受信電波強度を外部に送信して(ステップS210)、本処理を終了する。
【0065】
ここで、外部とは、例えば、充電システム管理センターに配置された管理端末(図示せず)が考えられる。当該管理端末が、BMU34が送信した受信電波に関する情報(受信電波テーブル37cに入力された受信電波識別情報および受信電波強度)を受信することで、不適切な場所に配置された蓄電池12,12,12の所在を推定することができる。これにより、蓄電池12,12,12の盗難防止効果に資するという効果を奏することができる。もとより、BMU34は、接続検出回路90からのコネクタ接続信号を受信するまでは遮断器をオフする構成であるため、蓄電池12,12,12の盗難先において、接続検出回路90を有しない場合には、蓄電池12,12,12を使用することもできない。
【0066】
こうしてBMU34から出力された蓄電池配置場所の判定結果が「適切」であれば、続いて、給電ケーブル16の状態を判定する処理を実行する(ステップS108)。給電ケーブル16の状態の判定は、本実施の形態では、センサCSからのセット完了信号の受信の有無により行う構成とした。
【0067】
セット完了信号を受信しない場合、即ち、給電ケーブル16のセットが完了していない場合は、給電ケーブル16のセットが完了するまでステップS108の処理を繰り返し実行する。そして、セット完了信号を受信した場合、即ち、給電ケーブル16のセットが完了している場合は、アクティベーションを実行、具体的には、蓄電池12,12,12からの電力が給電ケーブル16に出力されるようにジャンクションボードJBおよび昇圧器14へ駆動指示を行うと共に、接続ランプ13a、蓄電池用ランプ13bおよび作動ランプ13cへ点灯指示を行って(ステップS110)、本処理を終了する。
【0068】
ステップS102の処理において、振動が閾値以上であるときは、
図7のフローチャートに示すように、電気自動車用オフグリッド充電装置1の異常診断を開始すると共に(ステップS112)、異常が発生しているか否かの判定を行う処理を実行する(ステップS114)。電気自動車用オフグリッド充電装置1に異常が発生しているか否かの診断は、例えば、蓄電池12,12,12や昇圧器14、ジャンクションボードJB、あるいは、制御装置70の温度や電流値あるいは電圧値が所定値以上となっているか否かを診断することにより行うことができる。
【0069】
ステップS114において異常が発生していると判定された場合は、作動ランプ13cへ点滅指示を行うと共に、「異常発生」信号を送信して(ステップS116)、本処理を終了する。一方、ステップS114において異常が発生していないと判定され場合は、何もせずに本処理を終了する。
【0070】
なお、ステップS104において、コネクタ付ケーブル33,33,33とコネクタ付ケーブル,40,40,40とが接続されていないと判定した場合は、接続ランプ13aへ点滅指示を行って(ステップS118)、本処理を終了する。
【0071】
また、ステップS106において、判定結果が「不適切」であった場合は、蓄電池用ランプ13bへ点滅指示を行って(ステップS120)、本処理を終了する。
【0072】
以上、説明した本実施の形態に係る電気自動車用オフグリッド充電装置1によれば、蓄電池12,12,12を取り外し可能であるため、蓄電池12,12,12の電池残容量が少なく、充電が必要となった場合に、当該蓄電池12,12,12を交換するのみで電気自動車用オフグリッド充電装置1を使用可能な状態とすることができる。また、当該電気自動車用オフグリッド充電装置1の近くに、十分な電池残容量を有する蓄電池12,12,12を搭載した他の電気自動車用オフグリッド充電装置があれば、当該電気自動車用オフグリッド充電装置1と他の当該電気自動車用オフグリッド充電装置との間で蓄電池12,12,12を交換することが可能であるため、電気自動車用オフグリッド充電装置1をより迅速に実施可能な状態とすることができる。なお、蓄電池12,12,12を交換するのみであるため、電気自動車用オフグリッド充電装置1の蓄電池12,12,12と他の電気自動車用オフグリッド充電装置の蓄電池12,12,12との間で電力のやり取り(充放電)が発生しない。これにより、蓄電池12,12,12間での電力変換に伴う損失が発生しないため、電力の利用効率のさらなる向上を図ることができる。
【0073】
また、本実施の形態に係る電気自動車用オフグリッド充電装置1によれば、閾値以上の振動の入力を検知したときに装置の異常診断を行い、異常が発生している診断された場合には、装置を作動させない構成であるため、装置が異常を生じたまま作動されることを防止できる。この結果、装置の安全性の向上を図ることができる。
【0074】
さらに、本実施の形態に係る電気自動車用オフグリッド充電装置1によれば、蓄電池12,12,12が適正な場所、即ち、所定の使用場所に配置されたか否かの判定を、蓄電池12,12,12が受信した電波情報、即ち、無線LAN機器が発するアクセスポイントを示す識別情報(SSID)およびその電波強度に基づき実施するため、蓄電池12,12,12が適正な場所、即ち、所定の使用場所に配置されたか否かを簡易な構成かつ正確に判定することができる。
【0075】
また、本実施の形態に係る電気自動車用オフグリッド充電装置1によれば、蓄電池12,12,12が適正な場所、即ち、所定の使用場所に配置されていないと判定した場合、受信した電波情報を外部、例えば、充電システム管理センターに配置された管理端末(図示せず)に送信するため、当該管理端末が、蓄電池12,12,12からの電波情報(受信電波テーブル37cに入力された受信電波識別情報および受信電波強度)を受信することで、不適切な場所、即ち、所定の使用場所でない場所に配置された蓄電池12,12,12の所在を推定することができる。これにより、蓄電池12,12,12の盗難防止効果に資するという効果を奏することができる。もとより、蓄電池12,12,12は、コネクタ付ケーブル33,33,33の電気的接続が確認されるまでは遮断器がオフされるため、盗難先において、コネクタ付ケーブル33,33,33の電気的接続が確認されない場合には、蓄電池12,12,12を使用することもできない。
【0076】
また、本実施の形態に係る電気自動車用オフグリッド充電装置1によれば、給電ケーブル16が、車載蓄電池4に電力を供給可能な使用状態となるまでは、電気自動車用オフグリッド充電装置1が作動状態とならないため、待機電力による消費電力を抑制することができる。これにより、装置の省電力化を図ることができる。なお、上部カバー22が閉状態とされるまでは、給電ケーブル16が車載蓄電池4に電力を供給可能な使用状態となったとは判定されないため、上部カバー22が開いた不安定な状態で充電が開始されることを防止できる。これにより、安全性の向上を図ることができる。もとより、上部カバー22によって、給電ケーブル16の保護を図ることができる。
【0077】
また、本実施の形態に係る電気自動車用オフグリッド充電装置1によれば、ジャンクションボードJBや昇圧器14、制御装置70に電力を供給可能な電源60を備えているため、ジャンクションボードJBや昇圧器14、制御装置70の稼働に蓄電池12,12,12の電力を用いる必要がないため、蓄電池12,12,12の電力を車載蓄電池4の充電に有効に活用することができる。
【0078】
さらに、本実施の形態に係る電気自動車用オフグリッド充電装置1によれば、コネクタ付ケーブル33,33,33とコネクタ付ケーブル40,40,40との接続が検知されるまでは、電気自動車用オフグリッド充電装置1を作動しないため、電源60の待機電力による消費電力を抑制することができる。これにより、装置の省電力化をより図ることができる。
【0079】
本実施の形態では、BMU34によって蓄電池12,12,12の配置場所が適正か否かを判定したが、これに限らない。例えば、蓄電池12,12,12の配置場所が適正か否かの判定を、制御装置70によって実施しても良い。この場合、
図6の作動制御処理に変えて
図9の作動制御処理を行うことができる。なお、当該構成の場合には、BMU34は、通信部38が受信の機能のみを有する構成とすることができる。これにより、通信部38を簡易な構造とすることができ、コスト低減を図ることができる。当該構成では、制御装置70が、本発明における「制御装置」に対応し、通信部38は、本発明における「受信部」に対応する実施構成の一例である。
【0080】
図9の作動制御処理は、
図6の作動制御処理のステップS100の処理をステップS1000の処理に変えた点、および、ステップS106の処理をステップS1106およびS11108の処理に変えた点を除いて、
図6の作動制御処理と同一の処理を行う。したがって、以下では、
図9の作動制御処理のうち
図6の作動制御処理とは異なる処理の部分についてのみ説明する。
【0081】
図9の作動制御処が実行されると、制御装置70は、まず、振動センサVSからの振動や、コネクタ接続信号、BMU34が出力した受信電波情報および所定電波情報、給電ケーブルセット状況などを入力する処理を実行する(ステップS1000)。ここで、受信電波情報とは、具体的には、BMU34が受信して受信電波テーブル37cとして記憶部36に記憶した受信電波テーブル37c中の受信電波識別情報および受信電波強度であり、所定電波情報は、具体的には、蓄電池12の使用場所を特定する電波情報として予め使用場所特定テーブル37bに入力された所定電波識別情報および所定電波強度である。
【0082】
続いて、
図6の作動制御処理のステップS102~S104までの処理と同様の処理を実行する。そして、ステップS104において、コネクタ付ケーブル33,33,33とコネクタ付ケーブル,40,40,40とが接続されていると判定した場合は、蓄電池12,12,12が所定の使用場所に配置されているか否かを判定する処理を実行する(ステップS1106、S1108)。
【0083】
ここで、蓄電池12,12,12が所定の使用場所に配置されているか否かの判定は、具体的には、受信電波識別情報に合致する所定電波識別情報の数が所定数以上であるか否かを判定すると共に、受信電波識別情報に合致する所定電波識別情報の数が所定数以上である場合、合致した受信電波識別情報および所定電波識別情報に対応付けられた受信電波強度および所定電波強度の合致数が所定数以上であるか否かを判定することにより行うことができる。
【0084】
受信電波識別情報に合致する所定電波識別情報の数が所定数以上であり、かつ、合致した受信電波識別情報および所定電波識別情報に対応付けられた受信電波強度および所定電波強度の合致数が所定数以上である場合、即ち、蓄電池12,12,12の配置場所が「適切」である場合、
図6の作動制御処理のステップS108~S110までの処理と同様の処理を実行して、本処理を終了する。
【0085】
一方、受信電波識別情報に合致する所定電波識別情報の数が所定数未満であるか、あるいは、受信電波識別情報に合致する所定電波識別情報の数が所定数以上であるが、合致した受信電波識別情報および所定電波識別情報に対応付けられた受信電波強度および所定電波強度の合致数が所定数未満である場合、即ち、蓄電池12,12,12の配置場所が「不適切」である場合、
図6の作動制御処理のステップS120の処理と同様の処理を実行して、本処理を終了する。
【0086】
なお、ステップS102において、振動が閾値以上であると判定され場合は、
図7の作動制御処理のサブフローチャートのステップS112~S116の処理と同様の処理を実行し、ステップS104において、コネクタ付ケーブル33,33,33とコネクタ付ケーブル,40,40,40とが接続されていないと判定された場合は、
図6の作動制御処理のステップS118と同様の処理を実行して、本処理を終了する。
【0087】
当該構成によれば、BMU34による制御を簡易なものとすることができるため、蓄電池12,12,12のコスト低減を図ることができる。
【0088】
本実施の形態では、給電ケーブル16により充電を行う電気自動車用オフグリッド充電装置1に適用したが、これに限らない。例えば、ワイヤレス充電を行う電気自動車用オフグリッド充電装置1に適用しても良い。この場合、昇圧器14に電気的に接続される例えば送電用コイルが、本発明における「電力供給部」に対応する実施構成の一例である。
【0089】
本実施の形態では、電気自動車用オフグリッド充電装置1に異常が発生した場合や、コネクタ付ケーブル33,33,33とコネクタ付ケーブル,40,40,40との接続が検知されない場合、蓄電池12,12,12の配置場所が不適切であると判定された場合、給電ケーブル16が車載蓄電池4に電力を供給可能な使用状態となっていない場合は、制御装置70がジャンクションボードJBおよび昇圧器14へ駆動信号を出力しないことで、電気自動車用オフグリッド充電装置1を作動させない構成としたが、これに限らない。例えば、制御装置70あるいはBMU34が蓄電池12,12,12の遮断器をオフさせること、あるいは、制御装置70が電源60をオフさせることで電気自動車用オフグリッド充電装置1を作動させない構成としても良い。
【0090】
本実施の形態では、電気自動車用オフグリッド充電装置1に異常がなく、コネクタ付ケーブル33,33,33およびコネクタ付ケーブル,40,40,40が適切に接続され、蓄電池12,12,12の配置場所が適切であり、給電ケーブル16が車載蓄電池4に電力を供給可能な使用状態となっている場合に、電気自動車用オフグリッド充電装置1を作動させる構成としたが、これに限らない。例えば、給電ケーブル16が車載蓄電池4に電力を供給可能な使用状態となっていなくても、電気自動車用オフグリッド充電装置1を作動させる構成としても良い。また、ユーザからの要求に基づいて電気自動車用オフグリッド充電装置1を作動させる構成としても良い。
【0091】
本実施の形態では、無線LANのアクセスポイントおよび電波強度を受信することにより、蓄電池12,12,12の位置を判定したが、これに限らない。例えば、GPSを活用して蓄電池12,12,12の位置を判定しても良い。
【0092】
本実施の形態では、表示灯13を点灯ないし点滅させることで、電気自動車用オフグリッド充電装置1の状態を視覚的に知らせる構成としたが、これに限らない。例えば、表示灯13を異なる色で点灯させることで、電気自動車用オフグリッド充電装置1の状態を視覚的に知らせる構成や、表示灯13に変えて、あるいは、表示灯13と共に、電気自動車用オフグリッド充電装置1の状態を文字やイラストを含む図柄によって視覚的に知らせる構成、電気自動車用オフグリッド充電装置1の状態を聴覚的に知らせる構成としても良い。
【0093】
本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。なお、本実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下に示す。