(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135992
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】車両への水素供給管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220908BHJP
B60L 50/70 20190101ALN20220908BHJP
B60S 5/02 20060101ALN20220908BHJP
F17C 5/06 20060101ALN20220908BHJP
G08G 1/0962 20060101ALN20220908BHJP
【FI】
G06Q50/10
B60L50/70
B60S5/02
F17C5/06
G08G1/0962
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022029239
(22)【出願日】2022-02-28
(31)【優先権主張番号】2102143
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】522077889
【氏名又は名称】ロジュリス ホールディング
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】シルヴァン ジュルディ
【テーマコード(参考)】
3D026
3E172
5H125
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
3D026CA08
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BD03
3E172DA87
3E172EA02
3E172EB02
3E172KA22
5H125AA01
5H125AC07
5H125BE03
5H125CA18
5H125CC04
5H125CD02
5H125CD10
5H125EE41
5H125EE53
5H125EE57
5H181AA01
5H181AA05
5H181AA06
5H181AA07
5H181AA14
5H181BB04
5H181BB05
5H181FF04
5H181FF05
5H181LL07
5H181LL08
5L049CC11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】製造及び購入コストを制御しながら販売ステーションの水素製造、補充及び車両への水素供給を最適化する管理方法を提供する。
【解決手段】販売ステーション7が販売する水素から移動中の車両1への水素供給を管理する方法は、車両内に搭載された少なくとも2つのセンサ(センサ2、地理位置特定手段3)により、車両の位置特定を少なくとも含めた、移動の際の車両に関する少なくとも2つのパラメータを収集し、これらのパラメータを制御モジュール5に伝送することと、販売ステーション内で利用可能な水素に関する少なくとも1つのパラメータを、少なくとも1つの定量化手段12により収集し、このパラメータを制御モジュールに伝送することと、車両の移動の際に少なくとも1つの水素販売ステーションを識別し、利用可能な水素販売ステーション及び識別された販売ステーションにおける水素供給条件を、車両のユーザに通知することと、を少なくとも含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
販売ステーション(7)が販売する水素から移動中の車両(1)への水素供給を管理する方法において、
-a)車両(1)内に搭載された少なくとも2つのセンサ(2、3)により、車両(1)の地理位置特定および車両の水素必要量を少なくとも含めた、移動の際の車両(1)の作動および運転に関する少なくとも2つのパラメータを収集するステップと、
-b)少なくとも車両(1)の水素必要量およびその地理位置特定に関するパラメータを制御モジュール(5)に伝送するステップと、
-c)水素販売ステーション(7)内で利用可能な水素に関する少なくとも1つのパラメータを、少なくとも1つの水素販売ステーション(7)内に存在する少なくとも1つのセンサ(12)により収集するステップと、
-d)水素販売ステーション(7)内で利用可能な水素に関するこのパラメータを、制御モジュール(5)に伝送するステップと、を含むことを特徴とする方法であって、
-e)制御モジュール(5)によって、移動の際に車両に補給することのできる少なくとも1つの水素販売ステーション(7)を識別するステップと、
-f)移動の際に車両(1)に補給できる少なくとも1つの水素販売ステーション(7)、および識別された水素販売ステーション(7)における水素補給条件についての情報を、車両のユーザに提供するステップと、を少なくとも含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
車両重量、タイヤ空気圧、トレーラの存在、加速に関するパラメータの収集用センサ(2)が、車両に搭載されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
制御モジュール(5)が、水素販売ステーション(7)から遠隔のサーバ内に収容されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
制御モジュール(5)が、人工知能に基づくものであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップf)に際して、ユーザの必要量、提案されたステーション(7)における水素の利用可能性に適応された水素価格のオファがユーザに提示される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップf)に際して、価格オファには、セット料金の存在、および水素販売ステーション(7)の選択に関するユーザの選好性が考慮に入れられることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップf)に際して、ユーザには、1つの水素販売ステーション(7)から定義された距離内にユーザがいる場合に通知されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ステップf)の後、ユーザが、自らの選択を制御モジュール(5)に通知することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
ステップf)の後、ユーザが、選定した販売ステーションに通知し、予約することができることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両への水素供給管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両なる用語は、ここでは、陸上、鉄道、海上または航空のあらゆるタイプの車両をまとめている。
非限定的な一例として、乗用車、トラック、二輪車、農業機械、土木機械、バス、飛行機、列車、船舶、舟艇他を挙げることができる。
これらの車両においては、少なくとも車両の移動に必要な原動力、さらには車両に取付けられた少なくとも1つのツールを起動させるための原動力も、電動機によって提供される。
車両に設置された燃料電池または水素電池が、電気の生成を可能にする。
したがって、このタイプの車両は、再充電用固定端子での再充電から、少なくとも部分的に解放されている。
【0003】
水素は、多くの天然化合物中に、それも大量に存在しているものの、自然界では分子状態ではほとんど存在していない化学元素である。
したがって、水素は、メタンなどの炭化水素のリフォーミングまたはガス化、水の電気分解あるいは、水またはバイオマスの熱化学的解離などのさまざまな方法によって製造しなければならないものである。
方法の選択は、多くのパラメータ、すなわち、なかでも、必要な一次エネルギのタイプ、収率、不純物の存在、発生する副産物または廃棄物、に応じてなされる。
今日製造されている水素のほぼ全てが、主として天然ガスのリフォーミングに由来するものである。
水の電気分解は、小または中規模容量の製造用に、電気が安価である場合および/または製造される水素に高い純度が求められている場合にのみ使用される。
その製造様式の如何に関わらず、水素はつねに気体状態で得られる。
液体状態は、253℃未満の温度まで連続的に気体を膨張させることによって得られる。
この温度で水素の液体状態を維持するには、大規模な低温生成手段が必要である。
同様に、少なくとも車両内でのその使用のための水素の販売および保管は、その大半が、概して現在自動車メーカが採用している圧力である35MPaまたは70MPaの圧力で、気体の形で行なわれている。
液体の形での保管および利用は、大型の設備およびトラックやバスなどの大型車と呼ばれる車両に充てられている。
現在、車両用の水素販売ステーションには、現行のガソリン販売ステーションと類似の形で、単数または複数のタンクから水素を販売し、トラック、鉄道、海路またはガスパイプラインによって供給されるもの、および自律型水素製造ユニットを備えたもの、という2つのタイプが存在する。
あらゆる場合において、設備、製造プロトコル、販売および/または保管の観点と同様、実施時間の観点から見ても、水素の保管および/または製造の技術的制約条件は重要なものである。
したがって、水素販売ステーションへの再供給または水素の製造サイクルの実現は、炭化水素を販売するステーションへの再供給ほど簡単でも迅速でもない。
【0004】
その上、水素は、販売ステーションでは常に、35MPaまたは70MPaという車両内での使用圧力よりも高い圧力で存在し、こうして車両タンクの充填が本質的に圧力差によって行なわれるようになっているために、水素販売の際、ひいては車両の水素タンクの充填の際には、気体の膨張が発生する。
車両タンクに充填する際のステーションのタンク内に格納された水素の膨張は、気体の発熱を生み出し、気体が占有する容積はジュール・トムソンの法則にしたがって変動する。
この充填の際に、車両タンク内の水素の圧力は、十分急速に増大し、そのため車両タンク内のこの水素圧縮は、熱交換が発生する時間が無いことから、断熱圧縮とみなされることになる。
その結果、摂氏数十度に達し得る車両タンク内の水素の温度上昇がもたらされる。
この温度上昇は、特に、車両タンクの充填速度、ならびにステーションタンクおよび車両タンク間の圧力差という複数の要因によって決まる。
車両タンクの温度が下降しかつ周囲温度に戻った時点で、車両タンク内の水素圧力は、ゲイ・リュサックの法則にしたがって低下することになる。
こうして、車両タンク内の最終圧力は、当初予想されたものを下回る可能性がある。
所望される量の送出を保証し、車両タンク内の水素の最終圧力を可能なかぎり初期レベルに維持するために、多くの場合、販売ステーション内に保管される水素は-40℃前後まで冷却され、気候条件が極端でないかぎりにおいて車両タンクの充填中の発熱によってタンク内の水素が周囲温度前後になるようになっている。
【0005】
販売ステーションにおいては、電気が電気回路網を介してあるいは風力発電または太陽光発電などの代替的供給源を介して容易に利用可能である場合、水素は、圧縮、一時保管および販売の前に、例えば水の電気分解によって気体状態で現地製造が可能である。
水の電気分解に由来する酸素は、有利にも、大気中に廃棄されるのではなくむしろ有効利用される副産物である。
販売ステーションによる水素の製造は、小型車に供給を行なうための比較的小規模の設備に特に適している。
しかしながら、いつでも販売できる状態にある完全な水素の製造サイクルには、一定の時間が必要である。
【0006】
したがって、ステーションが外部の製造設備から供給を受けているか、または自ら水素を製造しているかに応じて、多少の差こそあれ長い時間にわたり、販売ステーションに販売すべき水素が不足している状態となるリスクが存在する。
このリスクは、水素販売ステーションの数が今なお限定的であり、したがって多少の差こそあれ遠くにあってユーザが十分な航続距離を有しておらず、そのために、十分な水素すなわちせめてユーザが自らの旅程を続行してユーザにとって受容できる期限内でこの水素を利用できる十分な量を有するステーションにたどり着けない可能性があることから、なお一層ユーザにとって不利である。
その上、製造および/または保管技術の複雑性と同様、製造および/または保管のピークの存在により、高い水素の製造および販売コストが結果としてもたらされる。
米国特許出願公開第2019/255952号明細書により、水素販売ステーションが車両と通信する1つの解決法が公知である。
ステーションに伝送された車両のパラメータに応じて、ステーションはその製造を適応させ、車両に対し、ドライバが補給できるようにその地理位置情報を提供する。
このようなデバイスの場合、ステーションは、近くにいる車両およびこれらの車両の推定必要量に応じて製造を適応させなければならないことから、つねに車両に補給できる状態にある、という原則に基づく。
反対に、ドライバは、販売条件についても、また自らがステーションに着いた時点でステーションがつねにそれを提供できる状態にあることについても、全ての情報を有しているわけではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/255952号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、一方では販売ステーションへの水素供給を最良の形で計画し、他方では販売ステーションからユーザへの水素補給を計画する必要性が存在する。
本発明は、ユーザが、所望の最適な条件で水素を得る確信をもって販売ステーションに赴くことができることから、ユーザのためにも販売ステーションのためにも、製造コストおよび購入コストを制御しながら、販売ステーションの水素製造または補充ならびに車両への水素供給を最適化する車両への水素供給の管理方法を提供することによって、この二重の必要性を満たそうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため、販売ステーションが販売する水素から移動中の車両への水素供給を管理する方法において、
-a)車両に搭載された少なくとも2つのセンサにより、車両の地理位置特定および車両の水素必要量を少なくとも含めた、移動の際の車両の作動および運転に関する少なくとも2つのパラメータを収集するステップと、
-b)少なくとも車両の水素必要量およびその地理位置特定に関するパラメータを制御モジュールに伝送するステップと、
-c)水素販売ステーション内で利用可能な水素に関する少なくとも1つのパラメータを、少なくとも1つの水素販売ステーション内に存在する少なくとも1つのセンサにより収集するステップと、
-d)水素販売ステーション内で利用可能な水素に関するこのパラメータを、制御モジュールに少なくとも伝送するステップと、を含む方法であって、
-e)制御モジュールによって、移動の際に車両に補給することのできる少なくとも1つの水素販売ステーションを識別するステップと、
-f)移動の際に車両に補給できる少なくとも1つの水素販売ステーション、および識別された水素販売ステーションにおける水素補給条件についての情報を、車両のユーザに提供するステップと、を少なくとも含むことを特徴とする方法を目的とする。
【0010】
こうして、本発明によって、販売ステーション内の水素の利用可能性、およびステーション内で補給する可能性のある車両の水素必要量を実時間で追跡する手段が得られる。
したがって本発明は、ユーザが自らの旅程、運転に応じてのみならず、近くのステーションの水素の利用可能性に応じて、自らの水素補給を最適化することを可能にする。
【0011】
本発明の有利な、ただし非強制的な態様によると、このような方法は、以下のステップのうちの単数または複数を含むことができる。
【0012】
車両重量、タイヤ空気圧、トレーラの存在、車両の加速に関するパラメータの収集用センサが、車両に搭載されている。
【0013】
制御モジュールは、水素販売ステーションから遠隔のサーバ内に収容されている。
【0014】
制御モジュールは、人工知能(AI)に基づくものである。
【0015】
ステップf)に際して、ユーザの必要量、および提案されたステーションにおける水素の利用可能性に適応された水素価格のオファが、ユーザに提示される。
【0016】
ステップf)に際して、価格オファには、セット料金の存在、および水素販売ステーションの選択に関するユーザの選好性が考慮に入れられる。
【0017】
ステップf)に際して、ユーザには、1つの水素販売ステーションから定義された距離にユーザがいる場合に通知される。
【0018】
ステップf)の後、ユーザは自らの選択を制御モジュールに通知する。
【0019】
ステップf)の後、ユーザは、補給のために選定した販売ステーションに通知し、予約することができる。
【0020】
本発明は、添付図面を参照して、非限定的な単なる例として記される以下の説明を読んだ時点で、より良く理解され、本発明の他の利点がより明確になるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態の簡略化された概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の一実施形態の簡略化された概略図である。
該方法の実施には、少なくとも1つの車両1が含まれる。
ここで、車両1は、乗用車タイプの自動車である。
変形形態では、これは、輸送車両、例えばバス、タクシー、トラック、農業機械、土木機械、鉄道車両、船舶、航空車両であり得る。
したがって、これは、移動すること、および/または、吊上げアーム、ハッチドア、スキップ他などの車両に取付けられた少なくとも1つのツールを起動させることを目的として、作動のために水素を用いる駆動手段を有するかぎり、あらゆるタイプの車両であり得る。
あらゆる場合において、移動している車両の水素必要量およびその地理位置特定に関する少なくとも1つのパラメータを含め、移動の際の車両1に関する少なくとも2つのパラメータを収集することを可能にする、2という参照番号で概略的に例示された少なくとも2つのセンサが、取外し可能な形または最終的な形で車両に備わっている。
例えば、これは、車両のタキメーターに接続された速度センサなどのセンサ、および、例えば水素タンク内の圧力の測定値によるかまたは車両内に残留する水素の量を表わす別のパラメータによる車両内で利用可能な水素量のセンサ、であり得る。
他のパラメータを収集する目的で、車両に他のセンサを搭載することが可能である。
これは、座席内に設置され、搭乗者の数を知ること、ひいては車両重量を推定することを可能にする圧力センサであり得る。
これは、車両の運転タイプ、ひいては事実上、水素消費量についての表示を提示する少なくとも1つの加速度計であり得る。
駆動手段の状態、タイヤ空気圧、トレーラまたはトレーラハウスの存在を表示するセンサあるいは、一般的には、車両の運転およびその水素消費量に影響を及ぼすパラメータを収集するように適応されたあらゆるタイプのセンサが具備され得る。
【0023】
したがって、単数または複数のセンサ2に加えて、車両1には、参照番号3で概略的に例示された地理位置特定手段が備わっている。
これは、車両1に装備されるGPSに接続された伝送手段、または車両1に搭載された取外し可能であるかまたはそうでない専用のGPSであり得る。
変形形態においては、他の地理位置特定手段が具備される。
これは、例えば、電話通信ネットワーク、4G/5Gネットワーク、ラジオ波他を用いるビーコンであってよい。
【0024】
車両1には同様に、本発明の目的である方法の実施要素を構成する少なくとも1つの制御モジュール5と情報を交換すること、したがってこれらの情報を発信し受信することを可能にする、4という参照番号が付された通信手段も備わっている。
モジュール5にも同様に、通信手段6が備わっている。
モジュール5は、有利には、遠隔地、例えば販売ステーション管理者、車両フリート管理者または専門のサービス提供者の場所に位置する。
【0025】
7という参照番号が付された、該方法の実施要素を構成する少なくとも1つの水素販売ステーションにも同様に、通信手段8が具備されている。
通信手段4、6および8は、それ自体公知の伝送技術、すなわちWi-Fi(登録商標)、電話通信ネットワーク、4G/5Gネットワーク、ラジオ波、衛星リンク他を使用する。
【0026】
水素販売ステーション7は、車両1への水素補給手段9を少なくとも1つ含む。
このような水素補給手段9は、有利には、少なくとも1本のフレキシブルパイプ10および車両1の図示されていないタンクへの連結手段11を含む。
このような連結手段11は、それ自体公知である。
ステーション7には、複数の水素補給手段9が備わっていてよい。
ステーション7は、同様に、ステーション7が送出し、補給手段9によって車両1に供給された水素の正確な量を知ることができるようにする、12という参照番号が付された定量化手段も含んでいる。
有利には、このような定量化手段12は、連結手段11および/またはフレキシブルパイプ10に設置されている、周囲温度、水素の初期温度および/または水素の初期圧力および/または補給圧力の如何に関わらず、送出された水素の量を測定できるようにする少なくとも1つのセンサを利用する。
変形形態では、ステーションは、水素に加えて別のエネルギ源、例えば単数または複数の再充電端子を介した電気エネルギおよび/またはガスおよび/またはLPGを販売することができる。
同様に、このようなステーション7が、エネルギ補給以外のサービス、例えば洗車サービス、自動車関連製品の販売サービスまたは外食産業などのドライバ向けサービスを提供することができるということも構想される。
【0027】
図1から明らかであるように、販売ステーション7は、ここではステーション7に統合されているか、またはガスパイプライン14によってステーションに直接連結されるようにせめて十分な近さにある水素製造設備13により、水素補給を受けている。
変形形態では、水素は、複数のステーション7に対する補給を可能にする遠隔の水素製造設備15において製造される。
水素製造設備15とステーション7の間の水素の輸送は、例えばタンクローリ16などの公知の手段によって行なわれる。
あらゆる場合において、水素製造設備13、15および輸送手段16にも同様に通信手段17、18および19が、それぞれ備わっている。
通信手段4、6、17、18および19は、例えば到達距離、および/または伝送および/または受信すべきデータのタイプに応じて、同一のまたは同一でない技術を利用することができるということが構想される。
【0028】
ここで前述の要素を参照しながら、該方法のさまざまなステップについて説明する。
図1と合致して、さらに明確さを期して、該方法を、1つの車両、販売ステーション、ステーションに統合された水素製造設備、遠隔の水素製造設備、および納入手段について説明するものとする。
制御モジュールは、数十、さらには数百の販売ステーション、設備、納入手段、および数百または数千台の車両と関係付けられ得るということが構想される。
その上、複数の制御モジュールが、共に協働しかつ/または、例えば国土規模での中央制御ユニットによって、水素製造者によって、または販売ステーション経営者によって管理され得る。
【0029】
1台の車両1が活動状態にあり、移動している場合、つまりそのさまざまな手段が活動構成にある場合、典型的にはモータが作動中であり手段が給電を受けている場合、その地理位置特定はセンサ3によって自動的に行なわれる。
同時にまたは付帯的に、センサ2は活動位置にあり、少なくとも、一方では車両タンク内の利用可能な水素の量に関するデータ、そして他方では車両の速度に関する情報を収集する。
これらの情報が単純計算によって、理論上の平均消費量に基づくかまたは車両の履歴に基づく航続距離を推定するのに十分なものである場合、他のセンサ2によりこの推定を高度化することが可能である。
そのためには、先に記した通り、運転条件、車両重量および必要とあらば他のパラメータ、例えば、道路の交通量、気象、道路の状態、タイヤの状態および空気圧他などの通行条件が考慮される。
あらゆる場合において、センサ2、3によって収集されたデータは、少なくとも、二重矢印Fにしたがって、通信手段8および6により制御モジュール5へと伝送される。
有利な一実施形態によると、これらのデータは、同様に、例えば車両のコンピュータを介してかまたは専用コンピュータを介して車両内でも表示される。
データは、車両1および/または制御モジュール5内、さらには例えばクラウドコンピュティングすなわちクラウド内にホスティングされた専用の遠隔サーバ内に記憶され得るということが構想されている。
あらゆる場合において、データは、有利にもAIによって活用される。
【0030】
少なくとも1つの販売ステーション7において利用可能な水素の量に関するデータも同様に、二重矢印F1にしたがって通信手段8により制御モジュール5に対し伝送される。
これらのデータには、水素の在庫の定量化のみならず、ステーション7の水素の補充予測も含まれる。
これは、製造設備13が進行中のまたは予定している水素製造量であり得る。
これらのデータも同様に、二重矢印F2にしたがって通信手段17により制御モジュール5に対して提供される。
水素製造がステーション7から遠隔で行なわれる場合には、製造に関するこれらのデータは、二重矢印F3にしたがって製造設備15の通信手段18によって制御モジュール5に対して伝送される。
納入手段16による水素の納入に関する情報も同様に、二重矢印F4にしたがって、通信手段19により制御モジュール5に対して伝送される。
変形形態では、水素を製造するステーション7が、必要とあらばタンクローリ16から補給を受けるかあるいは別のステーションに水素を供給することができ、輸送も同様にタンクローリ16によって行なわれる、ということが構想されている。
【0031】
図1から明らかであるように、納入手段16は、同様に、二重矢印F5およびF6にしたがってそれぞれ、この納入手段が水素を取り出す製造設備15と、この納入手段が水素を納入しなければならない販売ステーション7と通信する。
こうして、納期、行程および/または納入すべき水素の量の観点から見て納入を最適化することが可能である。
【0032】
あらゆる場合において、車両1、製造設備13および15、納入手段16および販売ステーション7が提供するこれらのさまざまなデータは、制御モジュール5によって考慮される。
この制御モジュール5は、AIによって、少なくとも1つの販売ステーション7を、距離、水素量および販売条件、特に充填期限の観点から見て車両に再供給するのに最も適切であるものとして識別する。
これらの情報は、車両1が補給を望む場合に、この車両1に伝送される。
有利には、制御モジュール5は、複数のステーション7を提案し、これらのステーション7に、例えばキロあたりの水素購入価格オファを結び付ける。
車両1のユーザが、制御モジュール5により提案された水素補給の提案に従うことを望まない場合には、価格の提案はその後ユーザが補給を望んだ時点で再評価されることになる。
有利にも、モジュール5が発した補給の提案の後、ユーザは、例えば触覚または声による専用コマンドにより、自らの選択をモジュール5および/または関係するステーション7に対して表示する。
本発明によると、車両ひいてはそのドライバとステーション7の間に常時情報交換が存在し、このことは水素の製造を最適化することを可能にするだけでなく、ドライバは、水素が利用可能でありその補給が良好な条件下で迅速にかつ抑制された価格で行なわれるという保証を得ながら容易に自らの補給の予約をとることができるため、車両1の移動を最適化することをも可能にする。
【0033】
図1に例示されている実施形態において、車両1は同様に、二重矢印F7にしたがって、ステーション7と直接通信する。
このような通信は、例えば水素供給の加入契約またはセット料金の場合または好みのおよび頻繁に利用する単数または複数のステーションについて、所与の1ヶ所または一群のステーション7と、あるいは移動中の車両1の周りの定められたゾーン内にある全てのステーション7と、つまり、これらのケースのうちの複数のものにおいて、車両1の位置に応じて連続して行なわれ得る。
あらゆる場合において、ステーション7と車両1の間のこのような直接的な通信により、車両1は、ステーションに自らの来訪を通知し、例えば予約をとるかまたは予定時間枠を表示することができる。
こうしてステーションは車両に、水素の利用可能性に関するあらゆる変更を通知することができ、同様に水素の製造および販売の計画を立案することもできる。
【0034】
一実施形態において、水素の利用可能性に関する情報は、定期的に更新され、周期的にまたは常時車両1に提供され、車両1はこうして水素補給に関する情報を絶えず有することになる。
変形形態では、これらの情報は、車両1の製造メーカまたは車両1のユーザによって選択された、あるいは所与の瞬間における水素の需給関係にしたがって制御モジュール5内に搭載されたAIによって定義される車両内の残留水素閾値に達した場合にのみ入手可能である。
変形形態では、情報は、車両がステーション7から所与の距離にいる場合に、車両に対して伝送される。
【0035】
一実施形態においては、ユーザは、単数または複数の水素供給業者のもとでの加入契約または一回限りのセット料金を有し、この場合制御モジュール5が提示する提案には、このパラメータが考慮され、関係する単数または複数の供給業者が価格オファにおいて優遇されることになる。
【0036】
制御モジュール5は、AIに基づいていることから、水素の製造および販売を最適化できるようにする車両、水素製造に関する学習が常に存在する。
【0037】
有利な一実施形態においては、車両1、その移動、その運転または販売ステーション7に関する他の情報が、自発的または自動的に制御モジュール5に伝送される。
これらの情報は、例えば、車両または車両ユーザの安全性、モータ、販売ステーションの作動状態に関するものである。
このとき、制御モジュールは、車両1および/またはステーション7に対する調整アクションを開始しおよび/または視覚的および/または音響的アラームを始動させ、および/または第三者に対する行動を開始し、典型的には救助サービス、ステーション7のメンテナンスサービスまたは車両1の修理サービスに連絡することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 車両
2 センサ
3 地理位置特定手段
4 通信手段
5 制御モジュール
6 通信手段
7 水素販売ステーション
8 通信手段
9 水素補給手段
10 フレキシブルパイプ
11 連結手段
12 定量化手段
13 水素製造設備
14 ガスパイプライン
15 水素製造設備
16 輸送手段
17 通信手段
18 通信手段
19 通信手段
【外国語明細書】