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特開2022-136445蓄電パック及び蓄電パックの配置構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136445
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】蓄電パック及び蓄電パックの配置構造
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6566 20140101AFI20220913BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20220913BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20220913BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20220913BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20220913BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20220913BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20220913BHJP
【FI】
H01M10/6566
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/6563
H01M10/647
H01M10/625
H01M50/593
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036058
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】松久 朋弘
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031KK08
5H040AA28
5H040AS06
5H040AS07
5H040AT02
5H040AY10
5H040NN03
5H043AA04
5H043AA13
5H043BA11
5H043BA17
5H043BA19
5H043CA04
5H043GA26
5H043JA01
5H043JA13
5H043LA21
(57)【要約】
【課題】十分な冷却機能を有すると共に、小型化及び高重量化を実現できる蓄電パック及び蓄電パックの配置構造を提供する。
【解決手段】蓄電パック1は、複数の蓄電セル3の配列体2を含んで構成された蓄電モジュールMをモジュールケースH内に収容してなり、モジュールケースH内には、配列体2における蓄電セル3,3間に冷却用気体Gを流通させる流路Kと、流路Kに対応する開口部32を有し、配列体2の側面2aに配置される仕切壁31と、冷却用気体Gの進行方向から見て流路Kを囲むように設けられ、配列体2の側面2aと仕切壁31との間を気密に封止する封止部材33とが設けられている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電セルの配列体を含んで構成された蓄電モジュールをケース内に収容してなる蓄電パックであって、
前記ケース内には、
前記配列体における前記蓄電セル間に冷却用気体を流通させる流路と、
前記流路に対応する開口部を有し、前記配列体の側面に配置される仕切壁と、
前記冷却用気体の進行方向から見て前記流路を囲むように設けられ、前記配列体の前記側面と前記仕切壁との間を気密に封止する封止部材と、が設けられている蓄電パック。
【請求項2】
前記仕切壁及び前記封止部材は、前記冷却用気体の吸気側となる側面及び排気側となる側面の双方に設けられている請求項1記載の蓄電パック。
【請求項3】
前記配列体には、前記蓄電セル間を電気的に絶縁する複数のセパレータが含まれ、
前記セパレータは、前記蓄電セル間に配置される主面部と、前記主面部に配列され、当該セパレータと隣り合う前記蓄電セルに当接することで、前記蓄電セル間に前記流路を形成するリブと、を有し、
前記主面部における前記冷却用気体の進行方向の縁部には、前記配列体の前記側面の面内方向に張り出す平坦な張出片が設けられている請求項1又は2記載の蓄電パック。
【請求項4】
産業車両に対する蓄電パックの配置構造であって、
前記冷却用気体の吸気側となる前記配列体の側面が前記産業車両の機台に配置される発熱部品側を向くように、請求項1~3のいずれか一項記載の蓄電パックを前記発熱部品に隣接して配置してなる蓄電パックの配置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電パック及び蓄電パックの配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境対応の促進といった観点から、リチウムイオン二次電池等の蓄電パックを搭載した自動車や産業車両の開発が進められている。例えばリチウムイオン二次電池では、従来の鉛蓄電池と比べて急速充電が可能である点が大きな利点となっている。一方、電池の充電には、発熱を伴うことが一般的であり、充電時の発熱量は、充電電流の二乗で増加する。電池の温度上昇は、電池の寿命を低下させる要因となり得るため、蓄電パックにおける冷却構造の検討が重要となっている。
【0003】
蓄電パックにおける冷却構造に関する技術としては、例えば特許文献1に記載の電池パックがある。この従来の電池パックでは、送風機から流出された空気が単電池と熱交換した後、送風機に流入する一連の空気の流通経路をなす循環通路が筐体内に設けられている。循環通路は、送風機から流出した空気が接触して放熱する側壁と、当該側壁と電池集合体との間の側壁側通路と、電池間通路と、底壁側通路とを含んで構成されている。この循環通路において、側壁側通路を流れる空気の全体が電池間通路を通過した後で底壁側通路に流入するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-37754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した蓄電パックは、例えばフォークリフト等の産業車両の電力源として搭載され得る。このような産業車両においては、配置スペースの関係上、蓄電パックの体格を従来の鉛電池による蓄電パックと同程度に収めることが要求されている。また、例えばフォークリフトでは、蓄電パックは、荷役を行うための反荷重バラストの役割も兼ねており、蓄電パックの重量を従来の鉛電池による蓄電パックと同程度に確保することも要求されている。
【0006】
上述した特許文献1の電池パックでは、ダクトを用いて空気の循環経路を形成しているが、筐体内にダクトが配置されることで電池パックの体格が大型化し易いという問題がある。また、ダクトの大部分は、空気等の冷却用気体を流通させる空間が占めるため、蓄電パックの重量の増加に寄与しにくいという問題もある。
【0007】
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、十分な冷却機能を有すると共に、小型化及び高重量化を実現できる蓄電パック及び蓄電パックの配置構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一側面に係る蓄電パックは、複数の蓄電セルの配列体を含んで構成された蓄電モジュールをケース内に収容してなる蓄電パックであって、ケース内には、配列体における蓄電セル間に冷却用気体を流通させる流路と、流路に対応する開口部を有し、配列体の側面に配置される仕切壁と、冷却用気体の進行方向から見て流路を囲むように設けられ、配列体の側面と仕切壁との間を気密に封止する封止部材と、が設けられている。
【0009】
この蓄電パックでは、ケース内において蓄電セル間に冷却用気体を流通させる流路が設けられている。これにより、蓄電セルの発熱に対する十分な冷却を行うことができる。また、この蓄電パックでは、流路に対応する開口部を有する仕切壁が配列体の側面に配置され、配列体の側面と仕切壁との間を気密に封止する封止部材が冷却用気体の流路を囲むように設けられている。かかる構成により、この蓄電パックでは、冷却系を繋ぐダクトの配置が不要となり、装置の小型化を実現できる。また、ダクトが占めていた体積を他の重量部材に割り当てることで装置の高重量化が可能となる。したがって、蓄電パックを産業車両に搭載するにあたって、荷役を行うための反荷重バラストとして当該蓄電パックを機能させることができる。
【0010】
仕切壁及び封止部材は、冷却用気体の吸気側となる側面及び排気側となる側面の双方に設けられていてもよい。吸気側及び排気側の双方でダクトの配置を省略することで、装置の一層の小型化を実現できる。また、重量部材の割り当てスペースを一層確保できるため、装置の一層の高重量化も図られる。
【0011】
配列体には、蓄電セル間を電気的に絶縁する複数のセパレータが含まれ、セパレータは、蓄電セル間に配置される主面部と、主面部に配列され、当該セパレータと隣り合う蓄電セルに当接することで、蓄電セル間に流路を形成するリブと、を有し、主面部における冷却用気体の進行方向の縁部には、配列体の側面の面内方向に張り出す平坦な張出片が設けられていてもよい。この場合、簡単な構成で蓄電セル間に冷却用気体の流路を形成できる。また、各セパレータに設けられた張出片によって封止部材による封止部分の平坦性を確保できる。したがって、封止部材による配列体の側面と仕切壁との間の封止性をより高めることができる。
【0012】
本開示の一側面に係る蓄電パックの配置構造は、産業車両に対する蓄電パックの配置構造であって、冷却用気体の吸気側となる配列体の側面が産業車両の機台に配置される発熱部品側を向くように、上記蓄電パックを発熱部品に隣接して配置してなる。
【0013】
この蓄電パックの配置構造では、小型化及び高重量化を実現した上述の蓄電パックにより、配置スペースの制限を受けずに蓄電パックを産業車両に配置できる。また、荷役を行うための反荷重バラストとして当該蓄電パックを機能させることができる。産業車両への適用にあたって、冷却用気体の吸気側となる配列体の側面を産業車両の機台に配置される発熱部品側に向けることで、冷却用気体を発熱部品と配列体との間の断熱材として機能させることができる。したがって、発熱部品から配列体への入熱が低減され、蓄電パックの長寿命化が図られる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、蓄電パックに十分な冷却機能を持たせることができ、また、小型化及び高重量化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の一実施形態に係る蓄電パックを適用した産業車両の一例を示す斜視図である。
図2】蓄電パックの全体構成を示す分解斜視図である。
図3】蓄電モジュールの全体構成を示す分解斜視図である。
図4】蓄電パックにおける冷却用気体の流路を模式的に示すxy断面図である。
図5】蓄電パックにおける冷却用気体の流路を模式的に示すyz断面図である。
図6】配列体に対する封止部材の配置構成を示す側面図である。
図7】蓄電セル間に位置するセパレータの斜視図である。
図8】蓄電セルとエンドプレートとの間に位置するセパレータの斜視図である。
図9】各セパレータの張出片によって形成される平坦な面を示す要部拡大側面図である。
図10】産業車両に対する蓄電パックの配置構造を示す模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係る蓄電パック及び蓄電パックの配置構造の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本開示の一実施形態に係る蓄電パックを適用した車両の一例を示す斜視図である。蓄電パック1は、例えば電気自動車やハイブリッド車などの車両や電動式の産業車両に電力源として搭載される装置である。図1では、蓄電パック1を適用した車両として、作業者が立った状態で操縦することが可能なリーチフォークリフト101を例示している。
【0018】
蓄電パック1は、リーチフォークリフト101における機台102の下部に設けられた略直方体形状の収容空間内に配置されている。機台102の背面側には、後述の操縦台107(図10参照)が設けられている。収容空間は、機台102のカバーパネル103によって画成されている。カバーパネル103の一方の側面103aには、蓄電パック1の充電口を露出させる開口部104と、蓄電パック1を冷却するための冷却用気体Gを吸気する吸気口(不図示)とが設けられている。カバーパネル103の正面103bの下部には、蓄電パック1のモジュールケース(ケース)H内を流通した冷却用気体Gを排気する排気口106が設けられている。ここでは、冷却用気体Gは、空気(外気)である。
【0019】
蓄電パック1は、図2に示す蓄電モジュールMをモジュールケースH内に収容することによって構成されている。本実施形態では、モジュールケースH内に上下2段に蓄電モジュールMが配置されている。モジュールケースHは、例えば金属によって形成され、リーチフォークリフト101の収容空間の大きさに応じた直方体形状をなしている。図2には、説明の便宜上、xyz軸を図示している。リーチフォークリフト101との関係では、x軸が車両幅方向、y軸が車両前後方向、z軸が車両高さ方向である。
【0020】
モジュールケースHは、x方向の一対の側面Ha,Hbと、y方向の一対の側面Hc,Hdと、z方向の一対の側面He,Hfとを有している。側面Haは、リーチフォークリフト101におけるカバーパネル103の一方の側面103a側を向く面である。側面Haにおける側面Hd側の縁部には、冷却用気体Gを外部から取り込む吸気口21が設けられている。吸気口21は、モジュールケースH内の各蓄電モジュールMに対応して上下2段に設けられている。側面Hcは、リーチフォークリフト101におけるカバーパネル103の正面103b側を向く面であり、側面Hdは、リーチフォークリフト101の背面側(運転席側)を向く面である。側面Hcの下部には、冷却用気体Gを外部に排出する排気口22が設けられている。
【0021】
側面Hcは、第1のカバー23、第2のカバー24、及び第3のカバー25をこの順に重ねることによって構成されている。第1のカバー23は、複数のファン26を保持する枠体である。複数のファン26は、各蓄電モジュールMに対応して上下2段に保持されている。第2のカバー24は、各蓄電モジュールMから排気口22に至る流路を形成する板状部材である。第2のカバー24と第3のカバー25との間において、冷却用気体Gの流路外となる部分には、制御機器等が配置されていてもよい。第3のカバー25は、側面Hcの外壁面を構成する板状部材である。第3のカバー25の下部には、カバーパネル103の排気口106と対面するように、上述した排気口22が設けられている。排気口22は、各蓄電モジュールMに対応して上下2段に設けられている。
【0022】
図3は、蓄電モジュールの全体構成を示す分解斜視図である。蓄電モジュールMは、図3に示すように、複数の蓄電セル3を含んで構成された配列体2と、配列体2を蓄電セル3の配列方向に挟む一対のエンドプレート4,4と、配列体2を配列方向に拘束する第1のバンド5A及び第2のバンド5Bと、配列体2における蓄電セル3,3間等に配置された複数のセパレータ6とを含んで構成されている。図3では、配列体2における蓄電セル3の配列方向がx方向、蓄電セル3の幅方向がy方向、蓄電セル3の高さ方向がz方向となっている。
【0023】
蓄電セル3は、例えばリチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電セル3は、非水系の電解液が注入されたセルケース11内に電極組立体を収容して構成されている。ここでは、セルケース11は、配列方向について扁平な直方体形状をなしている。電極組立体は、正極、負極、及びセパレータを所定の順序で積層したものである。本実施形態では、例えば袋状のセパレータ内にシート状の正極が収容されており、この正極が収容された状態の袋状のセパレータとシート状の負極とが交互に積層されることで、電極組立体が構成されている。
【0024】
蓄電セル3の高さ方向の一面側には、一対の電極端子12,12が設けられている。一方の電極端子12は、正極端子であり、他方の電極端子12は、負極端子である。配列体2においては、各蓄電セル3は、一対の電極端子12,12の向きを揃えた状態で配列されている。また、配列方向に隣り合う蓄電セル3,3では、電極端子12,12の正負が反転した状態となっている。配列体2では、一の蓄電セル3の正極端子をバスバー13によって隣り合う一方の蓄電セル3の負極端子に接続すると共に、一の蓄電セル3の負極端子をバスバー13によって隣り合う他方の蓄電セル3の正極端子に接続することにより、各蓄電セル3が電気的に直列に接続されている。
【0025】
一対のエンドプレート4,4は、配列体2における配列方向の両端部に配置されている。エンドプレート4は、例えば金属によって形成されている。エンドプレート4は、例えば蓄電セル3のセルケース11と比べて配列方向についてやや扁平な直方体形状をなしている。また、第1のバンド5A及び第2のバンド5Bは、いずれも金属によって板状に形成されている。本実施形態では、第1のバンド5Aは、蓄電セル3の高さ方向の他面側において配列方向に延在しており、第2のバンド5Bは、蓄電セル3の高さ方向の一面側において配列方向に延在している。
【0026】
第1のバンド5Aは、蓄電セル3のセルケース11の幅と同程度の幅で蓄電セル3の高さ方向の他面側に配置されている。第2のバンド5Bは、蓄電セル3の電極端子12,12間の間隔よりも小さい幅で蓄電セル3の高さ方向の他面側に配置されている。第1のバンド5A及び第2のバンド5Bの配列方向の両端部は、ボルト(不図示)などを用いて一対のエンドプレート4,4にそれぞれ固定されている。第1のバンド5A及び第2のバンド5Bが一対のエンドプレート4,4同士を締結することにより、配列体2には、配列方向に拘束荷重が付加されている。
【0027】
セパレータ6は、配列体2において、蓄電セル3,3間及び蓄電セル3とエンドプレート4との間に配置されている。セパレータ6は、例えば絶縁性を有する樹脂によって板状に形成されている。セパレータ6の主面部6aを配列方向から見た場合の形状は、蓄電セル3のセルケース11を配列方向から見た場合の形状と対応している。これにより、蓄電セル3,3同士、及び蓄電セル3とエンドプレート4との間が電気的に絶縁されている。
【0028】
セパレータ6は、配列方向に張り出す脚部6bを有している。蓄電セル3,3間に配置されたセパレータ6では、セパレータ6の主面部6aにおける第1のバンド5A側の縁部から配列体2における配列方向の両側に脚部6bがそれぞれ張り出している。蓄電セル3とエンドプレート4との間に配置されたセパレータ6では、セパレータ6の主面部6aにおける第1のバンド5A側の縁部から配列体2における配列方向の内側に脚部6bが張り出している。脚部6bが蓄電セル3と第1のバンド5Aとの間に位置することにより、蓄電セル3と第1のバンド5Aとの間が電気的に絶縁されている。
【0029】
セパレータ6は、冷却用気体Gの流路Kを形成するためのリブ6cを有している。本実施形態では、リブ6cは、主面部6aの両面においてセパレータ6の高さ方向に配列されている。各リブ6cは、例えば断面矩形状をなし、セパレータ6の幅方向に延在している。蓄電セル3,3間に配置されたセパレータ6では、リブ6cの先端がセパレータ6と隣り合う蓄電セル3,3に当接することにより、蓄電セル3,3間に冷却用気体Gの流路Kが形成されている。蓄電セル3とエンドプレート4との間に配置されたセパレータ6においても主面部6aにリブ6cを設け、蓄電セル3とエンドプレート4との間に冷却用気体Gの流路Kを形成してもよい。
【0030】
図4は、蓄電パックにおける冷却用気体の流路を模式的に示すxy断面図である。また、図5は、そのyz断面図である。図4及び図5に示すように、モジュールケースH内の冷却用気体Gの流れは、ファン26によって形成される。側面Haの吸気口21からモジュールケースHの内部に取り込まれた冷却用気体Gは、モジュールケースH内をx方向に進行し、蓄電セル3,3間の流路Kのそれぞれをy方向に進行する。流路Kを通った冷却用気体Gは、側面Hc側において排気口22に向かって-z方向に進行し、側面Hcの下部の排気口22からモジュールケースHの外部に排出される。
【0031】
上記冷却用気体Gの流れの形成にあたり、図2及び図4,5に示すように、モジュールケースHには、仕切壁31が配置されている。仕切壁31は、例えばモジュールケースHと同じ金属材料によって板状に形成され、流路Kに対応する開口部32を有している。本実施形態では、仕切壁31は、冷却用気体Gの進行方向(ここではy方向)における配列体2の一対の側面2a,2aの双方に対して配置されている。すなわち、仕切壁31は、配列体2における吸気口21側の側面2aに対して配置された仕切壁31Aと、配列体2における排気口22側の側面2aに対して配置された仕切壁31Bとによって構成されている。
【0032】
仕切壁31A,31Bの開口部32は、いずれも配列体2の側面2aの形状に対応した長方形状をなしている。このため、流路Kにおける冷却用気体Gの進行方向(ここではy方向)から見た場合、仕切壁31A,31Bの開口部32からは、蓄電セル3,3間の流路Kのそれぞれが露出した状態となっている。
【0033】
配列体2における吸気口21側の側面2aと仕切壁31Aとの間、及び配列体2における排気口22側の側面2aと仕切壁31Bとの間には、図4図6に示すように、封止部材33がそれぞれ配置されている。封止部材33は、例えば発泡スポンジのように圧縮代の比較的大きい材料によって形成されている。封止部材33は、図6に示すように、仕切壁31の開口部32よりも一回り大きい長方形の枠状をなし、流路Kにおける冷却用気体Gの進行方向から見た場合に、蓄電セル3,3間の流路Kが位置する領域の全体を囲むように配置されている。
【0034】
配列体2の側面2aと仕切壁31Aとの間の封止部材33は、例えば配列体2をブラケットBを介してモジュールケースHの側面Hdに固定するボルト34の軸力によって圧縮され、配列体2の側面2aと仕切壁31Aとの間を気密に封止している。配列体2の側面2aと仕切壁31Bとの間の封止部材33は、例えば側面Hc(第1のカバー23、第2のカバー24、第3のカバー25)を側面Ha,Hb,He,Hfに固定するボルト(不図示)の軸力によって圧縮され、配列体2の側面2aと仕切壁31Bとの間を気密に封止している。
【0035】
封止部材33の配置にあたり、上述したセパレータ6には、封止部材33による封止部分の平坦性を高めるための張出片が設けられている。より具体的には、蓄電セル3,3間のセパレータ6では、図7に示すように、脚部6bにおける幅方向の両縁部に、当該セパレータ6の高さ方向に張り出す平坦な張出片35が設けられている。図7の例では、脚部6bの反対側に位置する主面部6aの角部の一方に、バスバー13で接続されない電極端子12,12間を仕切る仕切片6dが設けられている。この仕切片6dにおける幅方向の縁部にも、主面部6aの法線方向(配列体2の配列方向)に張り出す平坦な張出片36が設けられている。張出片35,36は、いずれも配列体2の側面2aの面内方向に張り出している。張出片35,36は、セパレータ6の高さ方向に離間しているが、互いに面一となっている。
【0036】
蓄電セル3とエンドプレート4との間のセパレータ6では、図8に示すように、脚部6bにおける幅方向の両縁部に、当該セパレータ6の高さ方向に張り出す平坦な張出片37が設けられている。また、主面部6aにおける幅方向の両縁部にも、主面部6aの法線方向(配列体2の配列方向)に張り出す平坦な張出片38が設けられている。張出片37,38は、いずれも配列体2の側面2aの面内方向に張り出している。張出片37,38は、脚部6bの基端側で繋がっており、互いに面一となっている。
【0037】
このようなセパレータ6の構成により、セパレータ6を含めた配列体2の側面2aでは、図9に示すように、張出片35,36,37,38によって仕切壁31の開口部32の縁に沿う平坦面が画成される。この平坦面は、蓄電セル3の電極端子12及びバスバー13側では非連続であるが、当該非連続部分を除いて封止部材33が平坦面と仕切壁31との間で圧縮されることで、配列体2の側面2aと仕切壁31との間の封止性が十分に確保され得る。
【0038】
図10は、産業車両に対する蓄電パックの配置構造を示す模式的な図である。同図では、図1に示したリーチフォークリフト101に対する蓄電パック1の配置を例示している。図10に示すように、この蓄電パックの配置構造Rでは、操縦台107の下部の機台102の内部において、発熱部品110と、蓄電パック1とが配置されている。発熱部品110は、例えばモータや作動油タンクなどである。リーチフォークリフト101の平面視において、蓄電パック1は、発熱部品110よりも前方に配置され、蓄電パック1の前方に前輪部111が位置している。
【0039】
発熱部品110に隣接する蓄電パック1は、冷却用気体Gの吸気側となる配列体2の側面2aが発熱部品110側を向くようにして機台102内に配置されている。これにより、蓄電パック1において吸気口21からx方向に進行して配列体2に向かう冷却用気体Gが、発熱部品110と配列体2との間の空気層となり、冷却用気体Gを発熱部品110と配列体2との間の断熱材として機能させることができる。
【0040】
以上説明したように、蓄電パック1では、モジュールケースH内において蓄電セル3,3間に冷却用気体Gを流通させる流路Kが設けられている。これにより、蓄電セル3の発熱に対する十分な冷却を行うことができる。また、この蓄電パック1では、流路Kに対応する開口部32を有する仕切壁31が配列体2の側面2aに配置され、配列体2の側面2aと仕切壁31との間を気密に封止する封止部材33が冷却用気体Gの流路Kを囲むように設けられている。
【0041】
かかる構成により、この蓄電パック1では、冷却系を繋ぐダクトの配置が不要となり、装置の小型化を実現できる。また、ダクトが占めていた体積を他の重量部材に割り当てる(例えばモジュールケースHの厚肉化を行う)ことで、装置の高重量化が可能となる。これにより、蓄電パック1をリーチフォークリフト101に搭載するにあたって、荷役を行うための反荷重バラストとして当該蓄電パック1を機能させることができる。
【0042】
本実施形態では、仕切壁31及び封止部材33が冷却用気体Gの吸気側となる側面2a及び排気側となる側面2aの双方に設けられている。この場合、吸気側及び排気側の双方でダクトの配置を省略できるため、装置の一層の小型化を実現できる。また、重量部材の割り当てスペースを一層確保できるため、装置の一層の高重量化も図られる。
【0043】
本実施形態では、蓄電セル3,3間を電気的に絶縁する複数のセパレータ6が配列体2に含まれている。セパレータ6は、蓄電セル3l間に配置される主面部6aと、主面部6aに配列され、当該セパレータ6と隣り合う蓄電セル3に当接することで、蓄電セル3,3間に流路Kを形成するリブ6cとを有している。そして、主面部6aにおける冷却用気体Gの進行方向の縁部には、配列体2の側面2aの面内方向に張り出す平坦な張出片35~38が設けられている。このようなセパレータ6により、簡単な構成で蓄電セル3,3間に冷却用気体Gの流路Kを形成できる。また、各セパレータ6に設けられた張出片35~38によって封止部材33による封止部分の平坦性を確保できる。したがって、封止部材33による配列体2の側面2aと仕切壁31との間の封止性をより高めることができる。
【0044】
また、本実施形態に係る蓄電パックの配置構造Rでは、小型化及び高重量化を実現した上述の蓄電パック1により、配置スペースの制限を受けずに蓄電パック1をリーチフォークリフト101に配置できる。また、荷役を行うための反荷重バラストとして当該蓄電パック1を機能させることができる。リーチフォークリフト101への適用にあたって、冷却用気体Gの吸気側となる配列体2の側面2aをリーチフォークリフト101の機台102に配置される発熱部品110側に向けることで、冷却用気体Gを発熱部品110と配列体2との間の断熱材として機能させることができる。したがって、発熱部品110から配列体2への入熱が低減され、蓄電パック1の長寿命化が図られる。
【0045】
本開示は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上記実施形態では、仕切壁31及び封止部材33が冷却用気体Gの吸気側となる側面2a及び排気側となる側面2aの双方に設けられているが、仕切壁31及び封止部材33は、これらの側面2aの一方のみに設けられていてもよい。吸気側及び排気側の一方のみをダクトレスとする場合でも、蓄電パック1の小型化及び高重量化を十分に実現できる。封止部材33は、配列体2及び仕切壁31の少なくとも一方に接着等によって固定されていてもよい。これにより、蓄電パック1の製造時において、封止部材33の圧縮を簡便に実施できる。また、上記実施形態では、外気吸入型の冷却方式の蓄電パック1を例示したが、本開示は、内部循環型の冷却方式の蓄電パックに適用することもできる。
【符号の説明】
【0046】
1…蓄電パック、2…配列体、2a…側面、3…蓄電セル、6…セパレータ、6a…主面部、6c…リブ、31(31A,31B)…仕切壁、32…開口部、33…封止部材、35~38…張出片、101…リーチフォークリフト(産業車両)、102…機台、110…発熱部品、M…蓄電モジュール、H…モジュールケース(ケース)、G…冷却用気体、K…流路、R…蓄電パックの配置構造。
図1
図2
図3
図4
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図6
図7
図8
図9
図10