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特開2022-13770特に自動車のブレーキ制御システムのブレーキ回路内の圧力媒体流れにおける圧送流脈動および圧力パルスを減衰させるための液圧減衰装置、およびこの種の液圧減衰装置を有する自動車のための電子的にスリップ制御可能なブレーキ設備
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  • 特開-特に自動車のブレーキ制御システムのブレーキ回路内の圧力媒体流れにおける圧送流脈動および圧力パルスを減衰させるための液圧減衰装置、およびこの種の液圧減衰装置を有する自動車のための電子的にスリップ制御可能なブレーキ設備 図1
  • 特開-特に自動車のブレーキ制御システムのブレーキ回路内の圧力媒体流れにおける圧送流脈動および圧力パルスを減衰させるための液圧減衰装置、およびこの種の液圧減衰装置を有する自動車のための電子的にスリップ制御可能なブレーキ設備 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013770
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】特に自動車のブレーキ制御システムのブレーキ回路内の圧力媒体流れにおける圧送流脈動および圧力パルスを減衰させるための液圧減衰装置、およびこの種の液圧減衰装置を有する自動車のための電子的にスリップ制御可能なブレーキ設備
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/00 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
B60T8/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021102963
(22)【出願日】2021-06-22
(31)【優先権主張番号】10 2020 208 282.0
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】レヒラー,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルグ,イェンズ
(72)【発明者】
【氏名】シュルネガー,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】シュタール,ヴォルフ
【テーマコード(参考)】
3D246
【Fターム(参考)】
3D246BA02
3D246GA09
3D246LA48A
3D246LA48B
3D246LA50A
3D246LA50B
3D246LA59Z
(57)【要約】      (修正有)
【課題】特に自動車のブレーキ制御システムのブレーキ回路の圧力媒体流れ内の圧送流脈動および圧力パルスを減衰させる液圧減衰装置、ならびにこの種の液圧減衰装置を有する自動車のための電子的にスリップ制御可能なブレーキ設備を提供する。
【解決手段】減衰装置(14)は、第1減衰器(16)と少なくとも1つの第2減衰器(18)と、を備え、減衰器(16;18)は、それぞれ1つの液圧抵抗要素(20;22)と液圧容量(24;26)とを有する。さらに、減衰器(16;18)は互いに直列に接続され、液圧抵抗要素(20;22)と液圧容量(24;26)とが流れ方向Rでそれぞれ交互に連続して配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1減衰器(16)と少なくとも1つの第2減衰器(18)と、を有する、特に自動車のブレーキ制御システムのブレーキ回路(28)内の圧力媒体流れにおける圧送流脈動および圧力パルスを減衰させるための液圧減衰装置(14)であって、
前記減衰器(16;18)は、圧力媒体量を緩衝するためのそれぞれ1つの液圧容量(24;26)と、
前記ブレーキ回路(28)内の支障のない圧力媒体流れを妨害する液圧抵抗要素(20;22)と、を有し、
前記2つの減衰器(16;18)が互いに直列に接続され、
前記液圧容量(24;26)と前記液圧抵抗要素(20;22)とが前記圧力媒体の流れ方向Rでそれぞれ交互に連続して配置されている、液圧減衰装置。
【請求項2】
前記液圧抵抗要素(20;22)の少なくとも1つが圧力に依存してその大きさが可変の流れ断面を有することを特徴とする、請求項1に記載の液圧減衰装置(14)。
【請求項3】
圧力に依存してその大きさが可変の流れ断面を有する前記液圧抵抗要素(22)は、前記それぞれの減衰器(16;18)の前記液圧容量(24;26)間に配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の液圧減衰装置。
【請求項4】
前記少なくとも2つの減衰器(16;18)の前記液圧抵抗要素(20;22)の正確に1つが、圧力に依存してその大きさが不変の大きい流れ断面を有することを特徴とする、請求項2または3に記載の液圧減衰装置。
【請求項5】
圧力に依存してその大きさが不変の大きい流れ断面を有する前記液圧抵抗要素(20)は、前記ブレーキ回路(28)において前記圧力発生器(10)または前記ホイールブレーキ(12)に直接向けて配置されていることを特徴とする、請求項4に記載の液圧減衰装置。
【請求項6】
前記少なくとも2つの減衰器(16;18)の前記液圧抵抗要素(20;22)は、前記減衰装置(14)の全流れ抵抗に異なる大きさの個別寄与をなし、前記抵抗要素の前記それぞれの個別寄与は、前記一方の液圧抵抗要素(20)の個別寄与が前記全流れ抵抗に対して約5%~15%、それに応じて前記それぞれもう一方の液圧抵抗要素(22)の個別寄与が約85%~95%になるように相互に調整されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の液圧減衰装置。
【請求項7】
圧力に依存してその大きさが不変の流れ断面を有する前記液圧抵抗要素(20)の流れ抵抗は、前記減衰器(16;18)の前記全流れ抵抗に対して約5%~15%であることを特徴とする、請求項6に記載の液圧減衰装置。
【請求項8】
前記少なくとも2つの減衰器(16;18)の前記液圧容量(24;26)のうちの少なくとも1つが媒体セパレータ(30)を備え、前記媒体セパレータは、圧力媒体量を前記圧力媒体よりも圧縮率の高い媒体が入った減衰量に対して分離することを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の液圧減衰装置。
【請求項9】
前記圧縮率が高いほうの媒体はガスであることを特徴とする、請求項8に記載の液圧減衰装置。
【請求項10】
前記少なくとも2つの減衰器(16;18)の前記液圧容量(24;26)のうちの正確に1つが媒体セパレータ(30)を備えることと、
前記第1減衰器(16)の前記媒体セパレータ(30)を備えた容量(24)が、前記第2減衰器(18)の前記液圧容量(26)の上流に配置されていることと、を特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の液圧減衰装置。
【請求項11】
前記減衰器(16;18)の、前記圧力媒体を減衰させる液圧容量(24、26)のうちの正確に1つが、圧力に依存してその大きさが不変の量を有することを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の液圧減衰装置。
【請求項12】
前記少なくとも2つの減衰器(16;18)の前記液圧容量(24;26)のそれぞれの個別量は、前記液圧容量の一方(26)が前記減衰装置(14)の全量に対して約5%~15%であるのに対して、それに応じて前記それぞれもう一方の液圧容量(24)は前記全量に対して約85%~95%になるように相互に調整されていることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の液圧減衰装置。
【請求項13】
前記媒体セパレータ(30)を備えた前記液圧容量(24)は、前記全量に対して約85%~95%であることを特徴とする、請求項12に記載の液圧減衰装置。
【請求項14】
自動車のための電子的にスリップ制御可能なブレーキ設備であって、圧力媒体をブレーキ圧下でホイールブレーキ(12)に圧送するために電子的に制御可能に駆動可能な圧力発生器(10)が配置され、前記圧力発生器(10)が圧力媒体を周期的に流れ方向Rに圧送する、ブレーキ回路(28)と、
前記ブレーキ回路(28)における圧送流脈動および圧力パルスを減衰させるための請求項1~13のいずれか1項の特徴による液圧減衰装置(14)と、を備えるブレーキ設備において、
前記減衰装置(14)が前記ブレーキ回路(28)において前記圧力発生器(10)の下流、および前記ホイールブレーキ(12)の上流に配置されていることを特徴とする、ブレーキ設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に請求項1の特徴による自動車のブレーキ制御システムのブレーキ回路内の圧力媒体流れにおける圧送流脈動および圧力パルスを減衰させるための液圧減衰装置に関する。さらに、本発明は、請求項14の特徴によるこの種の液圧減衰装置を有する自動車のための電子的にスリップ制御可能なブレーキ設備に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車におけるブレーキ制御システムは十分に知られている。ブレーキ制御システムは、証明されているように道路交通における安全性を高めることに寄与し、そのためさしあたり多くの国々において法律で定められている。
【0003】
この種のブレーキ制御システムにより、車両の割り当てられたホイールに生じるホイールスリップがせいぜい短時間しか生じないように車両のホイールブレーキのブレーキ圧を電子的に制御することができる。このようにして、車両は制動過程中に操向可能な状態のままであり、走行運転中に不安定な走行状態に陥らず、それでも短い制動距離で停止できる。これに加えてブレーキ制御システムは、事故の危険のある交通状況、または危険な走行状態に応じて自主的に、すなわち運転者の関与なしに制動過程を開始することができ、さらに操縦もしくは自動化された走行運転を実行する基礎を形成する。
【0004】
ブレーキ制御システムは、ブレーキ圧を生成し、ホイール別に制御するためのポンプもしくは圧力発生器および弁が配置された液圧集合体からなる。ポンプの作動は、この液圧集合体に取り付けられたモータによって、およびモータと弁を必要に即して電気的に駆動せしめる電子制御装置によって行われる。
【0005】
ポンプもしくは圧力発生器としてピストンポンプが使用されることが多く、ピストンポンプは回転駆動される偏心体によって周期的に作動され、かつ液圧集合体に接続された配管を介して車両のホイールブレーキに流体圧力媒体を圧送する。それに応じて周期的に実行される圧力媒体圧送は、圧力媒体流れが圧送流脈動および圧力パルスを強いられるという欠点を伴う。圧送流脈動および圧力パルスは、互いに異なる周波数領域で起こり、車体に取り付けられた圧力媒体を導く配管の取付け部を介して車室内に伝達され、車室内の乗員によって不快な騒音として知覚され得る。
【0006】
したがって、公知のブレーキ制御システムは、この種の脈動およびパルスを減衰させるために減衰装置を使用する。公知の減衰装置は、圧力発生器および弁と一緒に液圧集合体に組み込まれている。減衰装置は、液圧容量(hydraulische Kapazitaet)と液圧抵抗要素とからなるいわゆる減衰器を備える。液圧抵抗要素が支障のない圧力媒体流れを妨害する間に、液圧容量において一定量の圧力媒体が緩衝される。
圧力媒体に対して支配的な圧力状況に依存せずに抵抗する抵抗要素、いわゆる静的スロットルと、圧力に依存して可変に抵抗する抵抗要素、いわゆる動的スロットルとが知られている。さらに、定量を有する容量と圧力に依存して量が変化する容量とが知られている。この種の可変容量は、通常、圧力媒体空間を、流体圧力媒体よりも圧縮率の高い媒体が充填された減衰空間に対して分離する媒体セパレータを備えている。この種の媒体セパレータは、例えば作動可能なピストンまたは弾性変形可能な膜として形成され得る。
【0007】
ブレーキ制御システムの減衰器、およびブレーキ制御システムのブレーキ回路内の減衰器の構成要素の配置は、特許文献1に開示されている。
【0008】
基本的に、減衰器は、液圧集合体の貴重なスペースを奪うこと、ならびに大きさ設定および/または弾性に関するその構造上の設計にもとづいて、狭い範囲に制限された周波数領域内で起きる脈動もしくは圧力パルスしか減衰させられないという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公開第102010040157号明細書
【発明の概要】
【0010】
これ対して、請求項1の特徴による液圧減衰装置は、周期的に動作する圧力発生器の圧送流脈動を平滑化するとともに、圧送される圧力媒体量内の圧力パルスを減衰させるという利点を有する。
【0011】
圧送流脈動が低域の(tief)周波または低周波の励起であるのに対して、圧力パルスは、励起の周波数がこれより格段に高い。これは、圧力パルスがポンプによって流れ方向を制御する手段によって引き起こされ、かつその手段が開くか、または閉じる場合にいわば「急激に」生じることに起因する。圧力パルスは、圧力媒体内で圧力媒体粒子の静止位置からの位置変化をもたらす。これとは異なり、圧送流脈動は、圧送中の圧力媒体量の変動による連続的な推移に従う。したがって、圧送流脈動は、モータシャフトが進んだ回転角度、もしくは圧力発生器を作動させるために用いられるこのモータシャフトに配置されたカム要素または偏心体要素の輪郭に依存する。
【0012】
本発明によれば、上記の利点は、提案される減衰装置において、それぞれ1つの液圧抵抗と少なくとも1つの液圧容量とを有する2つの減衰器が互いに直列に接続され、これらの液圧抵抗とこれらの液圧容量が圧力媒体の流れ方向にそれぞれ交互に連続して配置されていることによって達成される。個々の減衰器の抵抗素子と容量とが相違に形成されていることが好ましい。
【0013】
本発明の他の利点または有利な発展形態は、従属請求項および/または以下の記載から明らかになる。
【0014】
従属請求項2~7は、設けられた減衰器の液圧抵抗に関する。これらの従属請求項は、減衰器の液圧抵抗の構造の形態、流路におけるその配置、および液圧減衰装置の全抵抗におけるそれぞれの割合に向けられている。
【0015】
従属請求項8~13において、減衰器に使用される液圧容量に関する詳細が特許請求される。これらの従属請求項は、これらの容量の構造的形態、流路におけるその配置、液圧容量のそれぞれの量の大きさ設定、および減衰装置の全量におけるそれぞれの割合に関する。
【0016】
結果として、特許請求される措置によって、安価でコンパクトな構造の、かつ低周波の圧送流脈動とこれに対して高周波の圧力パルスとを、車両乗員が不快と知覚しなくなるように効果的に減衰する減衰装置が提供される。
【0017】
請求項14は、電子的にスリップ制御可能な車両ブレーキ設備のブレーキ回路内の請求項1~13に記載の減衰装置の局所的配置の保護を求める。
【0018】
本発明の実施例を図面に示し、以下の記載において詳しく説明する。図面は全部で2図を含み、これらの図において、簡単にするために同じ要素には同じ参照符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施例の図を示す。
図2】本発明の第2実施例の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
2つの実施例は、回路記号を用いて液圧回路の一部分における液圧部品について示されている。液圧回路のこの部分は、自動車のブレーキ制御システムのブレーキ回路の一部分に相当する。
【0021】
自動車のブレーキ制御システムのブレーキ回路28の図1に示された部分は、駆動可能な流体圧力発生器10と、この圧力発生器10によってブレーキ圧下にある圧力媒体が供給されるホイールブレーキ12との間に延在する。圧力発生器10が周期的に駆動される圧力発生器であり、それに対応してこの圧力発生器は圧力媒体を周期的に圧送し、それに伴い、時間的に観察した場合に、最小値と最大値との間で定期的に変動する圧送流を生成するということを出発点とする。生じる圧送流変動は、比較的低域の、もしくは低周波で起こる。
【0022】
この圧力発生器は、例えば回転駆動されるカムまたは偏心体によって作動されるピストンポンプであることが好ましい。この種のピストンポンプは、圧力発生器10を通る流れ方向を制御するためのポンプ制御弁を備えている。これはたいてい液圧が印加される弁であり、この弁は、制御器における圧力勾配の低下に依存して略急激に開くか、または閉じる。それに応じて、これらのポンプ制御弁は、ブレーキ回路28で圧送される圧力媒体流内に比較的高周波の圧力パルスを生ぜしめる。
【0023】
圧力発生器10とホイールブレーキ12との間には、例示的に2次の液圧的ローパス(hydraulischer Tiefpass)の形態で製作された減衰装置14が配置されている。基本的により高次の、すなわち3次、4次、またはそれより高次のローパスを設けることもできよう。
【0024】
ローパスの次数は、減衰装置14の存在する減衰器の数を示す。したがって2次のローパスは、それぞれ1つの液圧抵抗要素20、22と液圧容量24、26とからなる第1減衰器16と第2減衰器18とを備える。図1の実施例では、圧力発生器10の下流に、まず第1減衰器16の第1液圧抵抗要素20が配置されている。この第1液圧抵抗要素には、圧力媒体の流れ方向Rに第1減衰器16の第1液圧容量24が続く。この第1液圧容量には、第2液圧抵抗要素22が続き、最後に第2減衰器18の第2液圧容量26が続く。したがって減衰器16、18は互いに直列に接続され、割り当てられた抵抗要素20、22および容量24、26は交互に連続する。さらに、抵抗要素20、22と容量24、26はそれぞれ構造上相違に形成されている。
【0025】
第1減衰器16の第1液圧抵抗要素20は、一定の絞り断面を有する抵抗要素、もしくは静的スロットルである。このスロットルの絞り断面の大きさは、支配的な圧力状況に依存せず一定である。第1抵抗要素20は、必要に応じて、既存の圧力媒体管路内の縮径区分として形成されていてもよいし、または圧力媒体管路に設置されている予め定められた絞り断面のスロットルスリーブによってなってもよい。
【0026】
第1減衰器16の第1液圧抵抗要素20の後に配置された第1液圧容量24は、媒体セパレータ30を備え、それに伴い圧力状況に依存する圧力媒体収容量を有する。圧力媒体収容量は、圧力媒体の増圧とともに上昇する。媒体セパレータ30として、例えば圧力媒体室を圧縮性ガスが充填された減衰室に対して分離する弾性膜、あるいはばね弾性部品、例えばばね、および/またはエラストマ体によって加圧されてシリンダ内を摺動可能に収容されているピストンが適することがわかった。
【0027】
第1減衰器16の第1液圧容量24の下流には、液圧抵抗が可変の第2液圧抵抗要素22が流路に配置されている。この種の抵抗要素は、支配的な圧力状況に依存して大きさが可変の流れ断面を有し、したがって動的スロットルとも呼ばれる。この種の抵抗要素では、圧力差の増加とともに流れ断面が大きくなる。
【0028】
この動的スロットルとホイールブレーキ12との間には最後に第2減衰器18の第2液圧容量26が位置する。この第2液圧容量26は、一定の圧力媒体収容量を有し、特に簡単には、既存の圧力媒体管路の断面の拡張部として形成され得るか、またはこの圧力媒体管路と液圧的に接触する別個の中空体として形成することもできる。
【0029】
それぞれの減衰器16、18の液圧抵抗要素20、22および液圧容量24、26は、図示されるブレーキ回路または液圧回路28内での減衰作用に関して構造的に互いに調整されている。この調整は以下の規則性にもとづいている:
2つの抵抗要素20、22のブレーキ回路または液圧回路28内での全液圧流れ抵抗は100%である。この全流れ抵抗は、圧力発生器10の次にある第1抵抗要素20、すなわち静的スロットルによって約5%~15%、ホイールブレーキ12の方を向いた第2抵抗要素22、したがって動的スロットルによって約85%~95%生成される。これに対して、液圧回路28内の2つの減衰器16、18の液圧全容量に逆の関係になる。これは、全収容量のポンプ側に配置された第1減衰器16の第1液圧容量24の可変の圧力媒体収容量が減衰装置14の100%の約85%~95%、ホイールブレーキ側に配置された第2減衰器18の第2液圧容量26の圧力媒体収容量が約5%~10%を決めることを意味する。
【0030】
上記の設計規則は、同様に、図2に示された本発明の第2実施例にも当てはまる。
【0031】
この実施例は、圧力発生器10の直ぐ後にまず第1減衰器16の液圧容量24が配置され、これに続いて液圧抵抗要素22、および第2減衰器18の第2液圧容量26がこれに続き、これに続いて最終的に液圧抵抗要素20が続いてから、最後に、流れる圧力媒体がホイールブレーキ12に合流するという点で図1による第1実施例とは異なる。したがって、第2実施例では、減衰装置14が図1による第1実施例とは異なり、液圧容量24で始まり、液圧抵抗要素20で終わる。しかし2つの実施例に共通するのは、減衰器16、18の2つの液圧容量24、26間の液圧抵抗要素22が可変の流れ断面を有する抵抗要素、すなわち動的スロットルとして形成され、およびこの動的スロットルの上流に、圧力に依存して可変の圧力媒体収容量を有する第1液圧容量24が配置されているという点である。換言すると、第2実施例では、一定の流れ断面を有する液圧抵抗要素20が減衰装置14の入口から減衰装置の出口へ移された。
【0032】
当然のことながら、請求項によって規定される本発明の保護範囲から逸脱することなく上記の実施例で説明したこと以外の変更、または追加が考えられる。
【符号の説明】
【0033】
10 圧力発生器
12 ホイールブレーキ
14 減衰装置
16 減衰器
18 減衰器
20 液圧抵抗要素
22 液圧抵抗要素
24 液圧容量
26 液圧容量
28 液圧回路、ブレーキ回路
30 媒体セパレータ
図1
図2
【外国語明細書】