IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社メジャーサービスジャパンの特許一覧

<>
  • 特開-配達管理システム及び配達管理方法 図1
  • 特開-配達管理システム及び配達管理方法 図2
  • 特開-配達管理システム及び配達管理方法 図3
  • 特開-配達管理システム及び配達管理方法 図4
  • 特開-配達管理システム及び配達管理方法 図5
  • 特開-配達管理システム及び配達管理方法 図6
  • 特開-配達管理システム及び配達管理方法 図7
  • 特開-配達管理システム及び配達管理方法 図8
  • 特開-配達管理システム及び配達管理方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139364
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】配達管理システム及び配達管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20120101AFI20220915BHJP
【FI】
G06Q10/08 300
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039704
(22)【出願日】2021-03-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】508109427
【氏名又は名称】株式会社メジャーサービスジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】井上 俊彦
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】効率的な配達を実現すること。
【解決手段】
配達計画情報を作成し、及び、配達計画情報の遂行状況を管理するための配達管理システムを提供する。
前記配達管理システムは、管理サーバと、複数の運転手が使用する複数の情報処理端末とを備え、
前記情報処理端末は、第2の配達計画進捗管理モジュールを備え、
前記配達計画情報は、配達先を示す第1の位置情報を含み、
前記第2の配達計画進捗管理モジュールは、運転手からの操作に応答して、配達先又はその付近に到着したことを知らせる到着情報を送信するように構成され、ここで、前記到着情報は、車両の停車位置を示す第2の位置情報を含み、
前記第1の位置情報と、前記第2の位置情報との距離を計測し、予め設定された閾値よりも大きい場合には、警告情報が生成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配達計画情報を作成し、及び、配達計画情報の遂行状況を管理するための配達管理システムであって、
前記配達管理システムは、管理サーバと、複数の運転手が使用する複数の情報処理端末とを備え、
前記管理サーバは、配達計画情報作成モジュールと、第1の配達計画進捗管理モジュールとを備え、
前記情報処理端末は、第2の配達計画進捗管理モジュールを備え、
(A)前記配達計画情報作成モジュールは、前記配達計画情報を作成するように構成され、ここで、前記配達計画情報は、配達先を示す第1の位置情報を含み、
(B)前記第1の配達計画進捗管理モジュールは、前記第2の配達計画進捗管理モジュールに、運転手が担当する前記配達計画情報を送信するように構成され、
(C)前記第2の配達計画進捗管理モジュールは、運転手からの操作に応答して、配達先又はその付近に到着したことを知らせる到着情報を送信するように構成され、ここで、前記到着情報は、車両の停車位置を示す第2の位置情報を含み、
(D)前記第1の配達計画進捗管理モジュール又は前記第2の配達計画進捗管理モジュールは、前記第1の位置情報と、前記第2の位置情報との距離を計測し、予め設定された閾値よりも大きい場合には、警告情報を生成するように構成され、
(E)前記第2の配達計画進捗管理モジュールは、運転手からの操作に応答して、配達が完了したこと又は不在であったことを知らせる配達情報を、前記第1の配達計画進捗管理モジュールに送信するように構成される、
システム。
【請求項2】
請求項1のシステムであって、
(F)前記第1の配達計画進捗管理モジュールは、前記第1の位置情報と、前記第2の位置情報とを関連付けて地図データベースに記憶するように構成され、
(G)前記配達計画情報作成モジュールは、あらたな配達計画情報を作成する際に、前記地図データベースを参照し、配達先が前記第1の位置情報に対応する場合、配達計画情報に含まれる配達ルートを、当該第1の位置情報に関連付けた第2の位置情報に基づいて設定するように構成される、
システム。
【請求項3】
配達計画情報を作成し、及び、配達計画情報の遂行状況を管理するための配達管理システムを利用した配達管理方法であって、
前記配達管理システムは、管理サーバと、複数の運転手が使用する複数の情報処理端末とを備え、
前記管理サーバは、配達計画情報作成モジュールと、第1の配達計画進捗管理モジュールとを備え、
前記情報処理端末は、第2の配達計画進捗管理モジュールを備え、
前記方法は、
(A)前記配達計画情報作成モジュールが、前記配達計画情報を作成する工程であって、ここで、前記配達計画情報は、配達先を示す第1の位置情報を含む、工程と、
(B)前記第1の配達計画進捗管理モジュールが、前記第2の配達計画進捗管理モジュールに、運転手が担当する前記配達計画情報を送信する工程と、
(C)前記第2の配達計画進捗管理モジュールが、運転手からの操作に応答して、配達先又はその付近に到着したことを知らせる到着情報を送信する工程であって、ここで、前記到着情報は、車両の停車位置を示す第2の位置情報を含む、工程と、
(D)前記第1の配達計画進捗管理モジュール又は前記第2の配達計画進捗管理モジュールが、前記第1の位置情報と、前記第2の位置情報との距離を計測し、予め設定された閾値よりも大きい場合には、警告情報を生成する工程と、
(E)前記第2の配達計画進捗管理モジュールが、運転手からの操作に応答して、配達が完了したこと又は不在であったことを知らせる配達情報を、前記第1の配達計画進捗管理モジュールに送信する工程と、
を含む、方法。
【請求項4】
請求項3の方法であって、前記方法は、
(F)前記第1の配達計画進捗管理モジュールが、前記第1の位置情報と、前記第2の位置情報とを関連付けて地図データベースに記憶する工程と、
(G)前記配達計画情報作成モジュールが、あらたな配達計画情報を作成する際に、前記地図データベースを参照し、配達先が前記第1の位置情報に対応する場合、配達計画情報に含まれる配達ルートを、当該第1の位置情報に関連付けた第2の位置情報に基づいて設定する工程と、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配達管理システム及び配達管理方法に関する。より具体的には、配達計画情報を作成し、及び、配達計画情報の遂行状況を管理するための配達管理システム及び配達管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配達業者は、多種多様な荷物を多種多様な目的地へ配達することを担う。配達する際には、幾つかの集積地等から、荷物を積載したトラックをドライバーが運転して目的地へ配達する。
【0003】
従前は、どの荷物をどのトラックに割り当てるか、そして、どのルートで配達するかについては、担当者の経験又は直感などに依拠して決定されていた。しかし、近年は、コンピューターを活用して配達計画を自動的に作成する試みが進んでいた。特に、ここ数年は、人工知能の技術の進化に伴い、突発的な変化への対応が困難な硬直した配達計画から、より柔軟に対応可能な配達計画を作成することを目指すようになっていた。
【0004】
特許文献1は、既に配達計画が定められている場合に、さらに新たな輸送要求が発生したときでも、作業員などの運用の混乱を招くことなく効率的で運用がし易い輸送スケジュール作成を行えるようにすることを目的とした発明を開示している。
【0005】
特許文献2は、配達計画を立てる際に混載容量を利用しており、この混載容量は、当該車両の容積Vの上限値と重量Wの上限値とは異なる概念であることを開示している。
【0006】
特許文献3は、宅配先毎に、停車場所と、宅配先を含む所定エリアへの滞在時間と、履歴を収集する履歴収集部と、前記滞在時間に基づいて推奨停車場所を選択する停車場所選択部とを備える宅配車運行支援装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-119099号公報
【特許文献2】特開2019-028992号公報
【特許文献3】特開2021-012576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、配達計画を作成するシステムは様々な形で存在するが、目的の1つは、効率的な配達を実現することである。
【0009】
配達先に停車できるスペースがあるとは限らないことから、実情としては、配達先の住所と、配達のために車両を停める場所は必ずしも一致しない。システム上の配達計画ルートの場合には(特に、これまで配達の実績がない住所が配達先の場合)、配達計画ルートにおいて配達先の住所そのものを提示せざるを得ない場合がある。このような場合には、運転手が自力で適切な停車場所を探さなくてはならない。
【0010】
しかし、不適切な場所に停めてしまうと、トラックを降りてから配達先までの距離が長くなり、効率的な配達ができなくなる。運転手にとってなじみのない住所だったり、地名が似通った紛らわしい住所だったりすると、停車する場所を間違える可能性もある。
【0011】
こうした点に鑑み、本発明は、運転手が不適切な停車場所を選択することを防止し、効率的な配達を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者が検討した結果、運転手が車両を停車させた際に、端末を操作して、配達先又はその付近に到着したことを知らせる入力を行ってもらう方法を思いついた。これにより、配達先と停車した場所との距離を算出することが可能となり、これにより、距離が大きい場合には、運転手に警告を提示することができる。警告を見た運転手は、改めて配達先と停車した場所を確認することができ、不適切な場所に停車することを防止することができる。
【0013】
本発明は、上記知見に基づいて完成され、一側面において、以下の発明を包含する。
(発明1)
配達計画情報を作成し、及び、配達計画情報の遂行状況を管理するための配達管理システムであって、
前記配達管理システムは、管理サーバと、複数の運転手が使用する複数の情報処理端末とを備え、
前記管理サーバは、配達計画情報作成モジュールと、第1の配達計画進捗管理モジュールとを備え、
前記情報処理端末は、第2の配達計画進捗管理モジュールを備え、
(A)前記配達計画情報作成モジュールは、前記配達計画情報を作成するように構成され、ここで、前記配達計画情報は、配達先を示す第1の位置情報を含み、
(B)前記第1の配達計画進捗管理モジュールは、前記第2の配達計画進捗管理モジュールに、運転手が担当する前記配達計画情報を送信するように構成され、
(C)前記第2の配達計画進捗管理モジュールは、運転手からの操作に応答して、配達先又はその付近に到着したことを知らせる到着情報を送信するように構成され、ここで、前記到着情報は、車両の停車位置を示す第2の位置情報を含み、
(D)前記第1の配達計画進捗管理モジュール又は前記第2の配達計画進捗管理モジュールは、前記第1の位置情報と、前記第2の位置情報との距離を計測し、予め設定された閾値よりも大きい場合には、警告情報を生成するように構成され、
(E)前記第2の配達計画進捗管理モジュールは、運転手からの操作に応答して、配達が完了したこと又は不在であったことを知らせる配達情報を、前記第1の配達計画進捗管理モジュールに送信するように構成される、
システム。
(発明2)
発明1のシステムであって、
(F)前記第1の配達計画進捗管理モジュールは、前記第1の位置情報と、前記第2の位置情報とを関連付けて地図データベースに記憶するように構成され、
(G)前記配達計画情報作成モジュールは、あらたな配達計画情報を作成する際に、前記地図データベースを参照し、配達先が前記第1の位置情報に対応する場合、配達計画情報に含まれる配達ルートを、当該第1の位置情報に関連付けた第2の位置情報に基づいて設定するように構成される、
システム。
(発明3)
配達計画情報を作成し、及び、配達計画情報の遂行状況を管理するための配達管理システムを利用した配達管理方法であって、
前記配達管理システムは、管理サーバと、複数の運転手が使用する複数の情報処理端末とを備え、
前記管理サーバは、配達計画情報作成モジュールと、第1の配達計画進捗管理モジュールとを備え、
前記情報処理端末は、第2の配達計画進捗管理モジュールを備え、
前記方法は、
(A)前記配達計画情報作成モジュールが、前記配達計画情報を作成する工程であって、ここで、前記配達計画情報は、配達先を示す第1の位置情報を含む、工程と、
(B)前記第1の配達計画進捗管理モジュールが、前記第2の配達計画進捗管理モジュールに、運転手が担当する前記配達計画情報を送信する工程と、
(C)前記第2の配達計画進捗管理モジュールが、運転手からの操作に応答して、配達先又はその付近に到着したことを知らせる到着情報を送信する工程であって、ここで、前記到着情報は、車両の停車位置を示す第2の位置情報を含む、工程と、
(D)前記第1の配達計画進捗管理モジュール又は前記第2の配達計画進捗管理モジュールが、前記第1の位置情報と、前記第2の位置情報との距離を計測し、予め設定された閾値よりも大きい場合には、警告情報を生成する工程と、
(E)前記第2の配達計画進捗管理モジュールが、運転手からの操作に応答して、配達が完了したこと又は不在であったことを知らせる配達情報を、前記第1の配達計画進捗管理モジュールに送信する工程と、
を含む、方法。
(発明4)
発明3の方法であって、前記方法は、
(F)前記第1の配達計画進捗管理モジュールが、前記第1の位置情報と、前記第2の位置情報とを関連付けて地図データベースに記憶する工程と、
(G)前記配達計画情報作成モジュールが、あらたな配達計画情報を作成する際に、前記地図データベースを参照し、配達先が前記第1の位置情報に対応する場合、配達計画情報に含まれる配達ルートを、当該第1の位置情報に関連付けた第2の位置情報に基づいて設定する工程と、
を含む、方法。
【発明の効果】
【0014】
一側面において、第1の配達計画進捗管理モジュール又は第2の配達計画進捗管理モジュールは、第1の位置情報と、第2の位置情報との距離を計測し、予め設定された閾値よりも大きい場合には、警告情報を生成するように構成される。これにより、不適切な場所に停車することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態における本発明のシステムの構成図である。
図2】一実施形態における本発明の管理サーバが備えるモジュールを示す。
図3】一実施形態における本発明の情報処理端末が備えるモジュールを示す。
図4】一実施形態における配達ルートのデータの形式を示す。
図5】一実施形態における情報処理端末の画面に表示される配達ルートの情報を示す。
図6】一実施形態における情報処理端末の画面に表示される配達先の詳細部分の情報を示す。
図7】一実施形態における情報処理端末の画面に表示される警告情報を示す。
図8】一実施形態における情報処理端末の画面において、報告が完了したことを表示する。
図9】一実施形態における地図データベースの構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための具体的な実施形態について説明する。以下の説明は、本発明の理解を促進するためのものである。即ち、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0017】
1.システム
1-1.概要(図1
一実施形態において、本発明は、配達管理システムに関する。一実施形態に係る本発明のシステムを、図1に示すが、管理サーバと、複数の運転手が使用する複数の情報処理端末とを備える。管理サーバと情報処理端末は互いにネットワークで接続される。ネットワークの形態は、特に限定されず、有線ネットワークでも無線ネットワークでもよい。ただし、情報処理端末自体は、配達を行う運転手が操作するため、典型的には、無線ネットワークで直接接続される。ただし、管理サーバとの間においては、一部有線ネットワークが存在してもよい。両者のネットワークの切り替え地点として、中継アンテナを設けてもよい。
【0018】
情報処理端末は、当分野で公知の情報処理装置(典型的には、プロセッサ、メモリ、記憶媒体、通信モジュール(例えばネットワークアダプタ等)を備える物)であってもよい。典型的には、パソコン、タブレット端末、スマートフォン等が挙げられる。
【0019】
管理サーバは、特定の形態に限定されず、クラウド形態であってもよく、オンプレミス形態であってもよい。また、オンプレミスの管理サーバは、当分野で公知の情報処理装置(典型的には、プロセッサ、メモリ、記憶媒体、通信モジュール(例えばネットワークアダプタ等)を備える物)を用いて構成されてもよい。
【0020】
また、管理サーバ及び情報処理端末には、所望のプログラムがインストールされており、当該プログラムがプロセッサに命じることにより所定のモジュール、データベース等が実装され、所定の動作を実行することができる。これに関連して、一実施形態において、本発明は、管理サーバ及び情報処理端末にインストールされ、及び、実行されるプログラム、並びに、当該プログラムを記憶した媒体を含むことができる。
【0021】
1-2.管理サーバ(図2
プログラムをインストールすることによって実装される管理サーバのモジュールを図2に示す。管理サーバは、配達計画情報作成モジュールと、第1の配達計画進捗管理モジュールとを少なくとも備える。好ましくは、管理サーバは、地図データベースを更に備える。
【0022】
配達計画情報作成モジュールは、配達計画情報を作成するように構成される。配達計画情報は、配達先を示す第1の位置情報を含む。好ましくは、配達計画情報は、以下の情報を更に含むことができる:車両識別情報、担当運転手の識別情報、配達のルート情報、配達する荷物の識別情報、荷物の配達先の受け取り主を示す情報、荷物の配達先の送り主を示す情報、着払いの有無、配達の完了の有無など。
【0023】
第1の配達計画進捗管理モジュールは、配達計画の遂行状況を管理するように構成される。第1の配達計画進捗管理モジュールは、後述する情報処理端末の第2の配達計画進捗管理モジュールに、運転手が担当する配達計画情報を送信するように構成される。
【0024】
また、第1の配達計画進捗管理モジュールは、運転手からの情報処理端末の操作に応答して、配達先又はその付近に到着したことを知らせる到着情報を受信するように構成される。ここで、到着情報は、車両の停車位置を示す第2の位置情報を含む。
【0025】
更には、第1の配達計画進捗管理モジュールは、第1の位置情報と、第2の位置情報との距離を計測し、予め設定された閾値よりも大きい場合には、警告情報を生成するように構成されてもよい。
【0026】
そして、第1の配達計画進捗管理モジュールは、運転手からの情報処理端末の操作に応答して、配達が完了したこと又は不在であったことを知らせる配達情報を受信するように構成される。
【0027】
好ましくは、第1の配達計画進捗管理モジュールは、第1の位置情報と、第2の位置情報とを関連付けて地図データベースに記憶するように構成されてもよい。
【0028】
これに関連して、配達計画情報作成モジュールは、あらたな配達計画情報を作成する際に、地図データベースを参照し、配達先が第1の位置情報に対応する場合、配達計画情報に含まれる配達ルートを、第1の位置情報に関連付けた第2の位置情報に基づいて設定するように構成されてもよい。
【0029】
更に好ましくは、第1の配達計画進捗管理モジュールは、例えば、配達計画情報に含まれる配達する荷物の識別情報について、配達が完了したか、不在であったかなどの情報を記憶するように構成されてもよい。また、情報処理端末から送られる位置情報に基づいて、現在運転手がどの位置にいるかを記憶してもよい。
【0030】
1-3.情報処理端末(図3
プログラムをインストールすることによって実装される情報処理端末のモジュールを図3に示す。情報処理端末は、第2の配達計画進捗管理モジュールを備える。
【0031】
第2の配達計画進捗管理モジュールは、第1の配達計画進捗管理モジュールから、運転手が担当する配達計画情報を受信するように構成される。
【0032】
また、第2の配達計画進捗管理モジュールは、運転手からの操作に応答して、配達先又はその付近に到着したことを知らせる到着情報を、管理サーバに送信するように構成される。ここで、到着情報は、車両の停車位置を示す第2の位置情報を含む。
【0033】
更には、第2の配達計画進捗管理モジュールは、第1の位置情報と、第2の位置情報との距離を計測し、予め設定された閾値よりも大きい場合には、警告情報を生成するように構成されてもよい。
【0034】
そして、第2の配達計画進捗管理モジュールは、運転手からの操作に応答して、配達が完了したこと又は不在であったことを知らせる配達情報を、第1の配達計画進捗管理モジュールに送信するように構成される。
【0035】
これらのモジュールを利用した配達計画の作成及び配達計画の遂行状況の管理方法を、以降で説明する。
【0036】
2.配達計画の作成
まず、一実施形態において、本発明のシステム、より具体的には、管理サーバの配達計画情報作成モジュールは、配達計画情報の作成を行う。作成される配達計画のデータの一例を図4に示す。配達計画情報に含まれる情報として、運送順序、車両識別情報、運転手識別情報、荷物識別情報、依頼主識別情報、配達先宛名、配達先住所、配達ルートなどの情報を含むことができる。また、これ以外に、着払いの有無、配達の完了の有無なども別途含まれてもよい。配達先住所は、上述した第1の位置情報に該当する。なお、図4では、第1の位置情報は、住所形式で表現されているが、別の表現を採用してもよい。例えば、緯度と経度の組み合わせによる表現を採用してもよい。ただし、同一建物内での識別を考えると、第1の位置情報は、住所形式が好ましい。一方で、後述するように第2の位置情報との距離を算出する観点からは、第1の位置情報は、緯度・経度の形式が好ましい。或いは、第1の位置情報は、両者の形式を組み合わせた情報であってもよい。
【0037】
こうした配達計画を作成するための手段については、特に限定されない。例えば、特許第6811347号公報に示すような方法を採用してもよい。
【0038】
例えば、配達依頼の情報が含まれた所定のファイルを取り込み、別途地図データベースを参照して、配達ルートを作成するようにしてもよい。
【0039】
以降では、配達計画の遂行状況の管理方法を説明する。
【0040】
3.配達計画の遂行
3-1.配達計画の配布、送信
上記で、作成された配達計画情報は、第1の配達計画進捗管理モジュールから、第2の配達計画進捗管理モジュールへと送信される。この際には、配達計画情報の全てが各運転手に送信されるというよりは、運転手が担当する配達計画情報のみが送信される。従って、第1の配達計画進捗管理モジュールは、予め、情報処理端末の識別情報(例えば、第2の配達計画進捗管理モジュールについて、運転手ごと、又は、車両ごとに割り当てられた識別情報)に基づいて、送信すべき配達計画情報を選択してから、送信することが好ましい。
【0041】
運転手は、自身が使用する情報処理端末を起動し、専用のアプリケーションを起動することができる。そして、自身が担当する配達計画を参照することができる。例えば、図5に示すように当日の配達計画を参照することができる。これに基づいて、運転手は、車両を運転して、配達場所へと移動する。
【0042】
3-2.配達計画の遂行(停車)
配達場所の近くへ到着したら、運転手は所望の場所に車両を停車し、その後、情報処理端末のアプリケーションを起動する。例えば、図5に示す画面から、今から向かう配達先を示す欄をタップする。すると、アプリケーションは、図6に示す画面を表示し、詳細情報を表示することができる。こうした一連の画面の動作は、第2の配達計画進捗管理モジュールによって実装することができる。
【0043】
また、第2の配達計画進捗管理モジュールが、運転手からの操作に応答して、配達先又はその付近に到着したことを知らせる到着情報を送信することができる。例えば、図6に示すように、到着ボタンをタップすることによって、到着情報を送信することができる。ここで、到着情報は、車両の停車位置を示す第2の位置情報を含む。具体的には、情報処理端末にGPSを搭載することによって、情報処理端末の位置情報を取得することができ、そして、取得した位置情報を、到着情報に含める形で送信することができる。
【0044】
図6に示すように、「配達完了」や「不在報告」の送信は、必然的に「到着報告」よりも後に行われるため、「到着報告」の操作が行われるまでは、「配達完了」や「不在報告」を知らせるインターフェースのオブジェクトは非アクティブ状態にしてもよい。そして、「到着報告」の操作が行われた後、アクティブ状態に切り替えてもよい。こうした一連の画面の動作は、第2の配達計画進捗管理モジュールによって実装することができる。
【0045】
到着情報を送信した後は、第1の配達計画進捗管理モジュール及び第2の配達計画進捗管理モジュールのうちいずれか一方が、第1の位置情報と、第2の位置情報の比較を行い、両者間の距離を算出する。そして、予め設定された閾値よりも大きい場合には、警告情報を生成することができる。そして、作成された警告情報は、図7に示すように、情報処理端末に表示することができる。
【0046】
設定する閾値は特に限定されず、配達事情に応じて適宜設定すればよい。例えば、比較的停車する場所の確保に苦労しない地域であれば、閾値を低めに設定してもよい。逆に、停車する場所の確保が難しい地域の場合には、場合によっては、遠いところに停車して台車で荷物を移動させるため、距離が大きくならざる得ない場合もある。こうした場合には、閾値を高めに設定してもよい。
【0047】
いずれにしろ、上述した警告情報を作成することで、運転手が配達場所の間違いや、停車する場所の間違いに気が付くようにすることができる。これにより、効率的な配達を実現することができる。
【0048】
3-3.配達計画の遂行(配達完了又は不在)
到着情報を送信した後は、運転手は、荷物を車両から降ろし、所定の場所へ移動して、配達を行う。車両に戻ってきた後は、運転手は、再び、情報処理端末を操作して、配達が完了したこと又は不在であったことの記録を行う。
【0049】
第2の配達計画進捗管理モジュールが、運転手からの操作に応答して、配達が完了したこと又は不在であったことを知らせる配達情報を、第1の配達計画進捗管理モジュールに送信する(図8)。
【0050】
4.あらたな配達計画の作成
上述した方法で送信された到着情報は、以降であらたな配達計画を作成する際に有効活用することができる。
【0051】
第1の配達計画進捗管理モジュールは、第1の位置情報と、第2の位置情報とを、関連付けて地図データベースに記憶することができる。
【0052】
地図データベースの形式は特に限定されないが、例えば、図9に示すように、第1の位置情報と、第2の位置情報を、同じテーブルの同じ行に記録することができる。
【0053】
また、これまでに一度も配達された実績のない場所については、上述した到着情報が一度も送信されないことになる。従って、図9の2列目に示すように、第2の位置情報が存在しなくてもよい。
【0054】
また、関連付ける際には、今回の配達対象となった住所に関する行だけを更新してもよい。しかし、好ましい実施形態においては、今回の配達対象となった住所以外の行の第2の位置情報を更新してもよい。今回の配達対象となった住所以外に更新対象となる住所の例として、以下のパターンが挙げられる。
・実質的に同じ住所の表現の違い(図9の5行目及び6行目)
・今回配達対象となった住所と同じ建物内(図9の3行目と4行目、並びに、7行目と8行目)
【0055】
上述した範囲内の場合には、実質的に車両を停車する場所は同じになるため、関連付けて記憶しても問題はない。
【0056】
更に好ましい実施形態においては、今回の配達対象となった住所以外に更新対象となる住所の例として、今回の配達対象となった住所と、所定の距離の範囲内にある住所が挙げられる。例えば、隣同士の建物であれば、配達のために停車する場所は同じになる蓋然性が高い。所定の距離の範囲内の具体的な閾値は、実情に応じて適宜決定できる。例えば、停車する場所に不自由しないのであれば、閾値を低くしてもよい。一方で、大型車両が入れないような狭い路地のある住宅エリアの場合には、台車などに荷物を降ろして配送するので、当該エリア内であれば停車する場所は同じになる蓋然性が高い。従って、閾値を高くしてもよい。
【0057】
配達計画情報作成モジュールは、配達計画情報を作成する際に、地図データベースを参照し、配達先が第1の位置情報に対応する場合、配達計画情報に含まれる配達ルートを、当該第1の位置情報に関連付けた第2の位置情報に基づいて設定するようにしてもよい。無論、関連付けた第2の位置情報が存在しない場合(図9の2行目の場合)には、第1の位置情報に基づいて配達ルートを設定すればよい。
【0058】
これにより、純粋に配達先の住所に基づいた配達ルートの設定よりも、実用的な配達ルートを作成することができる。実際、配達先の住所と、車両を停車させる場所との間には、様々な事情によりずれが生じる(敷地が広いが入口が特定の場所にしかない、路地が狭い、一方通行が多い、次の配達先に向かう際にスムーズに発車できないなど)。しかし、上記の方法を採用することで、一度配達した場所については、適切な場所に車両を停車することが可能となり、効率的な配達を実現することができる。また、前任者が日々配達実績を積み上げることで、あるエリアの配達担当の運転手が変わった場合であっても、初めて担当するエリアでスムーズに適切な場所に停車することができ、効率的な配達を実現することができる。
【0059】
以上、本発明の具体的な実施形態について説明してきた。上記実施形態は、本発明の具体例に過ぎず、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上述の実施形態の1つに開示された技術的特徴は、他の実施形態に適用することができる。また、特記しない限り、特定の方法については、一部の工程を他の工程の順序と入れ替えることも可能であり、特定の2つの工程の間に更なる工程を追加してもよい。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9