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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139375
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】障害物検知装置及び障害物検知方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/70 20170101AFI20220915BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20220915BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
G06T7/70
G01B11/00 H
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039727
(22)【出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山川 健司
(72)【発明者】
【氏名】今村 隼
(72)【発明者】
【氏名】尾脇 義明
(72)【発明者】
【氏名】角谷 和重
(72)【発明者】
【氏名】岩田 洋一
【テーマコード(参考)】
2F065
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065FF01
2F065FF05
2F065JJ03
2F065JJ08
2F065JJ26
2F065QQ38
5H181AA01
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5L096AA09
5L096BA04
5L096CA04
5L096DA01
5L096DA03
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA69
(57)【要約】
【課題】単眼カメラを用いた移動ステレオ法における物体の誤検知を抑制すること。
【解決手段】本開示に係る障害物検知装置は、第1の検知部と、第2の検知部と、出力部とを備える。前記第1の検知部は、互いに異なる撮影位置で得られた一対の撮影画像に基づく移動ステレオ法により、前記一対の撮影画像にそれぞれ含まれる物体を検知する。前記第2の検知部は、前記第1の検知部による第1の検知範囲と少なくとも一部が重複する第2の検知範囲において物体を検知する。前記出力部は、前記第1の検知部及び前記第2の検知部が第1の物体に関して異なる検知結果を示したとき、前記第1の物体の検知結果を含まない前記第1の検知部の検知結果を出力する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる撮影位置で得られた一対の撮影画像に基づく移動ステレオ法により、前記一対の撮影画像にそれぞれ含まれる物体を検知する第1の検知部と、
前記第1の検知部による第1の検知範囲と少なくとも一部が重複する第2の検知範囲において物体を検知する第2の検知部と、
前記第1の検知部及び前記第2の検知部が第1の物体に関して異なる検知結果を示したとき、前記第1の物体の検知結果を含まない前記第1の検知部の検知結果を出力する出力部と
を具備する障害物検知装置。
【請求項2】
前記第1の検知部の検知結果のうちの前記第1の物体の検知結果を誤検知として棄却する誤検知判定部をさらに備える、請求項1に記載の障害物検知装置。
【請求項3】
前記第2の検知部は、レーダーにより前記第2の検知範囲を移動する物体を検知し、
前記誤検知判定部は、前記第2の検知部により検知された第2の物体が前記第1の物体より遠位側であるとき、前記第1の検知部の検知結果のうちの前記第1の物体の検知結果を誤検知として棄却する、
請求項2に記載の障害物検知装置。
【請求項4】
前記誤検知判定部は、前記第2の検知部により検知された第2の物体が前記第1の物体より遠位側であるときのうち、前記第1の検知部により検知された前記第1の物体が前記第2の検知範囲に含まれるとき、前記第1の検知部の検知結果のうちの前記第1の物体の検知結果を誤検知として棄却する、請求項3に記載の障害物検知装置。
【請求項5】
前記第2の検知部は、レーダーにより前記第2の検知範囲を移動する物体を検知し、
前記誤検知判定部は、前記第2の検知部により検知された第2の物体が前記第1の物体より近位側であるとき、前記第1の検知部の検知結果のうちの前記第1の物体の検知結果を採用する、
請求項2から請求項4のうちのいずれか一項に記載の障害物検知装置。
【請求項6】
前記第2の検知部は、レーダーにより前記第2の検知範囲を移動する物体を検知し、
前記誤検知判定部は、前記第1の検知部により検知された前記第1の物体が前記第2の検知範囲に含まれないとき、前記第1の検知部の検知結果のうちの前記第1の物体の検知結果を採用する、
請求項2から請求項5のうちのいずれか一項に記載の障害物検知装置。
【請求項7】
前記第2の検知部は、前記一対の撮影画像の一方の画像に対するパターン認識により当該画像上の前記第1の物体の下端位置を検知し、
前記誤検知判定部は、
前記第1の検知部による前記第1の物体の検知結果に基づいて、前記第1の物体上の複数の点の各々に対応する足元位置を示す複数の点を当該画像上に投影するとともに、
前記第2の検知部による前記第1の物体の下端位置を当該画像上に投影し、
前記下端位置及び前記足元位置の間の距離が予め定められた距離より大きいとき、前記第1の検知部の検知結果のうちの前記第1の物体の検知結果を誤検知として棄却する、
請求項2に記載の障害物検知装置。
【請求項8】
前記第2の検知部は、互いに異なる撮影位置で前記第1の検知部の第1の方向とは異なる第2の方向に関して得られた一対の撮影画像に基づく移動ステレオ法により、前記第2の方向の一対の撮影画像にそれぞれ含まれる物体を検知し、
前記誤検知判定部は、
前記第1の検知部による前記第1の物体の検知結果に基づいて、前記第1の物体上の第1の点を座標変換により前記第2の方向の一対の撮影画像の一方の画像に投影し、
前記第1の点に対応する当該画像上の第2の点と、投影された第3の点との間の当該画像上における距離が予め定められた距離より大きいとき、前記第1の検知部の検知結果のうちの前記第1の物体の検知結果を誤検知として棄却する、
請求項2に記載の障害物検知装置。
【請求項9】
前記誤検知判定部は、前記第1の点に対応する前記第2の点が存在しないとき、前記第2の検知部による第2の物体の検知結果の範囲内に前記第3の点が存在すれば前記第1の点を採用する、請求項8に記載の障害物検知装置。
【請求項10】
互いに異なる撮影位置で得られた一対の撮影画像に基づく移動ステレオ法により、前記一対の撮影画像にそれぞれ含まれる物体を第1の検知範囲で検知することと、
前記第1の検知範囲と少なくとも一部が重複する第2の検知範囲において物体を検知することと、
前記第1の検知範囲及び前記第2の検知範囲の間で第1の物体に関して異なる検知結果を示したとき、前記第1の物体の検知結果を含まない前記第1の検知範囲の検知結果を出力することと
を含む障害物検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、障害物検知装置及び障害物検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車両やロボット等の自走可能な移動体に単眼カメラを搭載し、移動ステレオ法に基づき移動体の外部に存在する物体を検知する技術が知られている。単眼カメラを用いた移動ステレオ法は、単眼カメラの移動に伴い互いに異なる撮影位置で得られた撮影画像間での物体上の特徴点の対応に基づいて、三角測量の原理により当該特徴点に対応する静止物体上の点の位置を得ることができる。したがって、移動体に搭載された単眼カメラを用いた移動ステレオ法によれば、移動体の外部の静止物体を検知することができる。
【0003】
このような中、撮影画像から抽出された特徴点が移動物体上の点である場合には、三角測量の原理を適用することができない。このため、移動ステレオ法による物体検知においては、当該特徴点が静止物体上の静止点であるか、移動物体上の移動点であるかを判別する必要があった。静止点及び移動点の判別には、例えばエピポーラ拘束条件を用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-204805号公報
【特許文献2】特開2014-240753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、単眼カメラの位置、速度及び移動方向によっては、エピポーラ拘束条件を満たす移動点が存在する場合がある。この場合、移動点が静止点であると判別されるため、誤った三角測量により、何も存在しない場所に静止物体が存在しているかのように、物体の誤検知が発生する場合があった。
【0006】
本開示は、単眼カメラを用いた移動ステレオ法における物体の誤検知を抑制することができる障害物検知装置及び障害物検知方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る障害物検知装置は、第1の検知部と、第2の検知部と、出力部とを備える。前記第1の検知部は、互いに異なる撮影位置で得られた一対の撮影画像に基づく移動ステレオ法により、前記一対の撮影画像にそれぞれ含まれる物体を検知する。前記第2の検知部は、前記第1の検知部による第1の検知範囲と少なくとも一部が重複する第2の検知範囲において物体を検知する。前記出力部は、前記第1の検知部及び前記第2の検知部が第1の物体に関して異なる検知結果を示したとき、前記第1の物体の検知結果を含まない前記第1の検知部の検知結果を出力する。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る障害物検知装置及び障害物検知方法によれば、移動体に搭載された単眼カメラを用いた移動ステレオ法における物体の誤検知を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態に係る障害物検知装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る障害物検知装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、単眼カメラを用いた移動ステレオ法による物体検知について説明するための図である。
図4図4は、移動ステレオ法における静止点及び移動点の判別について説明するための図である。
図5図5は、移動ステレオ法において移動点が静止点として判別される場合について説明するための図である。
図6図6は、移動ステレオ法による物体の誤検知について説明するための図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る障害物検知処理の概要を説明するための図である。
図8図8は、第1の実施形態に係る障害物検知処理の概要を説明するための図である。
図9図9は、第1の実施形態に係る障害物検知処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、第2の実施形態に係る障害物検知処理の概要を説明するための図である。
図11図11は、第3の実施形態に係る障害物検知処理の概要を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る障害物検知装置及び障害物検知方法の各実施形態について説明する。
【0011】
従来、例えば車両やロボット等の自走可能な移動体に単眼カメラを搭載し、移動ステレオ法に基づき移動体の外部に存在する物体を検知する技術が知られている。単眼カメラを用いた移動ステレオ法は、単眼カメラの移動に伴い互いに異なる撮影位置で得られた撮影画像間での物体上の特徴点の対応に基づいて、三角測量の原理により当該特徴点に対応する静止物体上の点の位置を得ることができる。当該技術は、しばしばSFM(Structure from Motion)とも呼称される。したがって、移動体に搭載された単眼カメラによるSFMによれば、移動体の外部の静止物体を検知することができる。
【0012】
このような中、撮影画像から抽出された特徴点が移動物体上の点である場合には、三角測量の原理を適用することができない。このため、SFMによる物体検知においては、当該特徴点が静止物体上の静止点であるか、移動物体上の移動点であるかを判別する必要があった。静止点及び移動点の判別には、例えばエピポーラ拘束条件を用いることができる。
【0013】
しかしながら、単眼カメラの位置、速度及び移動方向によっては、エピポーラ拘束条件を満たす移動点が存在する場合がある。この場合、移動点が静止点であると判別されるため、誤った三角測量により、何も存在しない場所に静止物体が存在しているかのように、物体の誤検知が発生する場合があった。
【0014】
そこで、本開示の各実施形態は、移動体に搭載された単眼カメラによるSFMにおける物体の誤検知を抑制することができる障害物検知装置及び障害物検知方法を例示する。
【0015】
なお、本開示に係る障害物検知装置は、各種の移動体に搭載することができる。移動体は、例えば自転車や自動二輪車、自動車、電車等の各種の車両であってもよいし、船舶や航空機等であっても構わない。また、移動体は、有人で移動する移動体であってもよいし、無人で移動する移動体であっても構わない。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る障害物検知装置1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。障害物検知装置1は、図1に示すように、プロセッサ11、メモリ13、カメラ151、センサ153、ディスプレイ171及びスピーカ173を有する。プロセッサ11、メモリ13、カメラ151、センサ153、ディスプレイ171及びスピーカ173は、通信可能に接続される。ここで、障害物検知装置1が移動体3としての車両に搭載される場合、プロセッサ11及びメモリ13は、例えばECU(Engine Control Unit)の一例である。
【0017】
プロセッサ11は、障害物検知装置1の全体の動作を制御する。プロセッサ11としては、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の各種のプロセッサが適宜利用可能である。
【0018】
メモリ13は、障害物検知装置1で使用される各種のデータやプログラムを記憶する。メモリ13としては、ROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、Flashメモリ等の各種の記憶媒体や記憶装置が適宜利用可能である。また、メモリ13には、一時的に作業中のデータを記憶するRAM(Random Access Memory)がさらに設けられる。なお、メモリ13としては、LAN(Local Area Network)やインターネット、LIN(Local Interconnect Network)、Frexlay、車載イーサネット(登録商標)等の電気通信回線を介して障害物検知装置1に接続された外部記憶装置が利用されても構わない。
【0019】
カメラ151は、単眼カメラである。カメラ151は、移動体の前方、後方、左方、右方、上方及び下方等の移動体の周囲を撮影可能に、移動体の複数の位置それぞれに配置される。なお、移動体に設けられるカメラ151の数は、1又は2以上の複数であってよい。本実施形態では、説明の簡単のために、移動体3としての車両の前方に配置されたカメラ151を例示する。カメラ151は、逐次撮影し、時系列の撮影画像を生成する。カメラ151は、生成された撮影画像を例えばメモリ13に出力する。
【0020】
センサ153は、ソナーやレーダー、LiDAR等のアクティブセンサである。センサ153は、移動体の前方、後方、左方、右方、上方及び下方等の移動体の周囲を探知可能に、移動体の複数の位置それぞれに配置される。なお、移動体に設けられるセンサ153の数は、1又は2以上の複数であってよい。本実施形態では、説明の簡単のために、移動体3としての車両の前方に配置されたレーダーとしてのセンサ153を例示する。センサ153は、連続又は間欠的にミリ波を発射し、物体等により反射されたミリ波を検知する。なお、センサ153は、ミリ波に限らず、赤外光等の他の波長の電磁波を利用してもよい。センサ153は、検知結果を例えばメモリ13に出力する。
【0021】
ディスプレイ171は、画像データに応じた画像を表示することにより、各種の情報を表示する。ディスプレイ171は、障害物の検知を報知するための画面や操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を表示する。ディスプレイ171としては、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(OLED)、プロジェクタ等が適宜利用可能である。
【0022】
スピーカ173は、音声データに応じた音声を出力することにより、各種の情報を出力する。スピーカ173は、障害物の検知を報知するための音声や操作者からの各種操作を受け付けるための音声ガイド等を出力する。
【0023】
なお、障害物検知装置1は、触れられた位置に応じた情報を出力するタッチパネルが表面に設けられた、操作者の入力を受け付けるタッチパネル等の入力装置を備えていても構わない。また、障害物検知装置1は、ユーザの音声入力を受け付ける入力装置としてのマイクロフォン等を備えていても構わない。
【0024】
図2は、第1の実施形態に係る障害物検知装置1の機能構成の一例を示すブロック図である。障害物検知装置1は、例えばメモリ13にロードされた障害物検知プログラムをプロセッサ11が実行することにより、SFM検知部111、レーダー検知部113、誤検知判定部115及び出力部117としての機能を実現する。
【0025】
SFM検知部111は、互いに異なる撮影位置で得られた一対の撮影画像に基づくSFMにより、一対の撮影画像にそれぞれ含まれる物体を検知する。SFM検知部111による物体検知については、後述する。SFM検知部111による物体の検知範囲は、一対の撮影画像に関して重複する撮影範囲である。ここで、SFM検知部111は、第1の検知部の一例である。また、SFM検知部111による物体の検知範囲は、第1の検知範囲の一例である。
【0026】
レーダー検知部113は、レーダーとしてのセンサ153を用いて物体を検知する。レーダー検知部113による物体検知については、後述する。レーダー検知部113による物体の検知範囲は、SFM検知部111による物体の検知範囲と少なくとも一部が重複する。ここで、レーダー検知部113は、第2の検知部の一例である。また、レーダー検知部113による物体の検知範囲は、第2の検知範囲の一例である。
【0027】
誤検知判定部115は、SFM検知部111によるSFM検知結果と、レーダー検知部113によるレーダー検知結果との位置関係に基づいて、SFM検知結果が正検知であるか誤検知であるか判定する。また、誤検知判定部115は、SFM検知結果及びレーダー検知結果が任意の物体に関して異なる検知結果を示したとき、SFM検知結果のうちの該当の物体のSFM検知結果を誤検知として棄却する。誤検知判定部115によるSFM検知結果に係る判定及びSFM検知結果の採用又は棄却については、後述する。ここで、任意の物体は、第1の物体の一例である。
【0028】
出力部117は、SFM検知部111のSFM検知結果を出力する。出力部117は、SFM検知結果及びレーダー検知結果が任意の物体に関して異なる検知結果を示したとき、該当の物体のSFM検知結果を含まないSFM検知部111のSFM検知結果を出力する。
【0029】
なお、出力部117は、ディスプレイ171において障害物の検知を報知するための画像データを出力してもよい。また、出力部117は、スピーカ173において障害物の検知を報知するための音声データを出力してもよい。また、障害物検知装置1が移動体3としての車両に搭載される場合、出力部117は、ブレーキやアクセル、ハンドル等の車両の動作を制御する車両制御部にSFM検知部111のSFM検知結果を出力してもよい。
【0030】
図3は、移動ステレオ法による物体検知について説明するための図である。図3は、移動体の移動に伴いカメラ151が移動体3の進行方向D1に移動している場合を例示する。ここで、t=0の時点におけるカメラ151の位置を位置c1とする。また、t=1の時点におけるカメラ151の位置を位置c2とする。また、撮影画像A0及び撮影画像A1は、それぞれ、位置c1及び位置c2においてカメラ151により生成された撮影画像であるとする。ここで、撮影画像A0及び撮影画像A1は、一対の撮影画像の一例である。
【0031】
SFM検知部111は、撮影画像A0及び撮影画像A1のそれぞれから特徴点を抽出する。SFM検知部111は、オプティカルフロー等の公知の方法により画像間で対応する同一な特徴点、すなわち2D対応点p0,p1を算出する。その後、SFM検知部111は、2D対応点p0,p1に対応する静止物体上の特徴点、すなわち3D点である点pを三角測量の原理で3D復元し、静止物体を検知する。一例として、SFM検知部111は、位置c1及び2D対応点p0を通る直線と、位置c2及び2D対応点p1を通る直線との交点を3D点の点pとして復元する。
【0032】
なお、位置c1及び2D対応点p0を通る直線と、位置c2及び2D対応点p1を通る直線とがねじれの関係にある場合もある。この場合、SFM検知部111は、2つの直線上の2点が最接近するときの当該2点の中点を3D点の点pとして復元してもよいし、点p0とp1との再投影誤差を最小化するように点pを復元してもよい。
【0033】
図3を参照して説明したように、SFMによる物体検知は、三角測量の原理を用いて3D点の点pを復元するため、移動物体に適用できない。したがって、対象となる点が静止点か移動点かを予め判別する必要がある。一例として、SFM検知部111は、エピポーラ拘束条件を満たす点を静止点であると判別する。ここで、エピポーラ拘束条件とは、エピポーラ幾何により規定される条件であり、図3の例のように、t=0の時点と、t=1の時点とのいずれの時点においても、位置c1、位置c2及び点pが同一平面Π上に存在することである。
【0034】
図4は、移動ステレオ法における静止点及び移動点の判別について説明するための図である。図4は、図3の点pが移動物体上の点、すなわち物体の移動に伴い位置が変化する移動点である場合を例示する。図4の例では、t=0の時点における点pが、t=1の時点では点p´に移動している。
【0035】
一方で、図4の例のように、点pが点p´に移動している場合には、点p´は、位置c1、位置c2及び点pにより張られる平面Π上に存在しない。このとき、SFM検知部111は、点pが移動点であると判別する。
【0036】
点pが移動点である場合に三角測量の原理により3D点を復元すると、例えば図4の点qのように、実在しない3D点が進行方向D1に応じた位置に算出される。このため、SFM検知部111は、エピポーラ拘束条件を満たさない点を除外して、静止物体の検知を行う。
【0037】
しかしながら、所定の条件を満たす動き方の移動物体については、原理上静止物体と見分けがつかないという問題、すなわちエピポーラ問題が知られている。図5は、移動ステレオ法において移動点が静止点として判別される場合について説明するための図である。
【0038】
例えば、位置c1、位置c2、点p及び点p´の位置関係によっては、点p´と、平面Πとの間の距離H1がほぼゼロになるため、点pを移動点と判別できない場合がある。具体的には、カメラ151の位置(位置c1及び位置c2)と、対象物上の点(点p及び点p´)との間において、水平方向の距離L2に対して高さ方向の距離L1が小さく、かつ、対象物上の点がカメラ151の進行方向D1上又はその近傍に位置する場合である。一例として、移動体3としての車両において、カメラ151が0.5mの高さの自車フロントカメラである場合、10m前を走り、右左折を開始した高さ1.5mの先行車両上の点は、移動点であるが、静止点として判別される可能性がある。このように、静止点及び移動点の判別にエピポーラ拘束条件が用いられる場合、カメラ151と対象の点pの位置や速度、進行方向D1の関係性によっては、移動点が静止点であると誤って判別されることがある。これにより、誤った三角測量が実施されると、何も存在しない場所に静止物体が存在しているような誤検知が発生する。
【0039】
図6は、移動ステレオ法による物体の誤検知について説明するための図である。図6は、t=0の時点のカメラ151の位置を破線で例示する。また、t=1の時点のカメラ151の位置を実線で例示する。図6は、カメラ151が進行方向D1に移動する際、対象の物体Oが移動物体であるにもかかわらず、エピポーラ拘束条件に基づいて静止物体であると判別された場合に発生する誤検知を例示する。誤検知は、図6に示すように、カメラ151の進行方向D1に対する、対象の物体Oの移動方向D2に応じた位置に発生する。図6の(a)~(g)において、丸枠で囲んだ領域に三角測量による虚像が発生している。
【0040】
例えば、図6の(a)~(d)のように、カメラ151の右前方に位置する対象の物体Oが右方や右後方、右前方、後方に向かって移動するとき、三角測量による虚像、すなわちSFM検知における誤検知は、カメラ151の近傍に発生する。この誤検知は、実際の物体Oの位置よりもカメラ151の近傍に静止物体があることを示す。このような誤検知は、不要な急ブレーキに繋がるおそれがある。
【0041】
例えば、図6の(e),(f)のように、カメラ151の右前方に位置する対象の物体Oが前方や左方に向かって移動するとき、三角測量による虚像は、物体Oより遠方に発生する。この誤検知は、実際の物体Oの位置よりも遠方に静止物体があることを示す。このような誤検知は、カメラ151を搭載する移動体3が進行方向D1へさらに移動したときの、不要なブレーキ操作に繋がるおそれがある。
【0042】
例えば、図6の(g)のように、カメラ151の右前方に位置する対象の物体Oが左方に向かって図6の(f)より大きく移動するとき、三角測量による虚像は、カメラ151の後方に発生する。このような誤検知は、カメラ151を搭載する移動体3の進行方向D1に基づいて誤検知であると識別することができる。しかしながら、上述の(a)~(f)の場合には、SFM検知だけでは、正検知と誤検知とを識別することができなかった。
【0043】
そこで、本実施形態に係る障害物検知装置1は、SFMの検知結果に対して、レーダーの検知結果が同対象物に対して異なる検知結果を示す場合に、エピポーラ幾何に基づく静止物体の誤検知であると判定し、SFMの検知結果を棄却するように構成されている。また、SFMの検知結果のすべてが誤検知とは限らないため、誤検知判定部115は、エピポーラ幾何に基づく静止点のうちの誤検知部分を判別して棄却するように構成されている。具体的には、誤検知判定部115は、SFM検知結果とレーダー検知結果との位置関係に基づいて、SFMの検知結果が正検知であるか誤検知であるかを判断するように構成されている。
【0044】
図7は、第1の実施形態に係る障害物検知処理の概要を説明するための図である。図7は、図6の(a)~(d)のように、SFM検知によりカメラ151の近傍に点群G2,G3が検知された場合を例示する。また、図7は、レーダー検知により物体O1上の点群G1が検知された場合を例示する。
【0045】
図7に示すように、SFM検知結果と同じ方向の奥側にレーダー検知結果が存在する場合、誤検知判定部115は、SFMの検知結果は、エピポーラ問題に起因する誤検知であるとして除外する。ここで、エピポーラ問題に起因する誤検知とは、図5等を参照して上述したように、エピポーラ幾何に基づく静止物体の誤検知である。誤検知判定部115は、静止物の正検知と、移動物の誤検知との混合を分離するため、レーダー検知結果の点群G1が存在するレーダーによる正検知の方位角範囲R1に含まれるSFM検知結果の点群G3のみ棄却する。つまり、誤検知判定部115は、方位角範囲R1に含まれないSFM検知結果、すなわち物体O2上の点群G2については正検知であるとして採用する。
【0046】
図8は、第1の実施形態に係る障害物検知処理の概要を説明するための図である。図8は、図6の(e),(f)のように、物体O1より遠方にSFM検知により点群G2が検知された場合を例示する。また、図8は、レーダー検知により物体O1上の点群G1が検知された場合を例示する。
【0047】
図8に示すように、SFM検知結果と同じ方向の手前側にレーダー検知結果が存在する場合、当該SFM検知結果が移動体を検知するレーダー検知結果に含まれていないことから、誤検知判定部115は、静止点に関する正検知であるとしてSFMの検知結果を採用する。つまり、誤検知判定部115は、レーダー検知結果より遠方にあるSFM検知結果、すなわち物体O3,O4上の点群G2については、例えば物体O1の奥にある壁等に関する正検知であるとして採用する。
【0048】
また、誤検知判定部115は、SFM検知結果と同じ方向にレーダー検知結果が存在しない場合、SFM検知結果を正検知として採用する。つまり、誤検知判定部115は、SFM検知結果と同じ方向にレーダー検知結果が存在しない場合、すなわち当該SFM検知結果が移動体を検知するレーダー検知結果に含まれていない場合、当該SFM検知結果を正検知であるとして採用する。
【0049】
以下、図面を参照して、実施形態に係る障害物検知装置1の動作について説明する。なお、以下に説明する処理の流れは一例であり、処理順序の変更や一部の処理の削除、他の処理の追加も可能である。図9は、第1の実施形態に係る障害物検知処理の一例を示すフローチャートである。
【0050】
SFM検知部111は、カメラ151からの一対の撮影画像に基づき、SFM検知結果を取得する(S101)。また、レーダー検知部113は、レーダーとしてのセンサ153の出力に基づき、レーダー検知結果を取得する(S102)。
【0051】
誤検知判定部115は、SFM検知結果と同じ方向にレーダー検知結果が存在するか否かを判定する(S103)。
【0052】
SFM検知結果と同じ方向にレーダー検知結果が存在するとき(S103:Yes)、誤検知判定部115は、SFM検知結果の奥側にレーダー検知結果が存在するか否かを判定する(S104)。
【0053】
SFM検知結果と同じ方向にレーダー検知結果が存在しないとき(S103:No)及びSFM検知結果の奥側にレーダー検知結果が存在しないとき(S104:No)、誤検知判定部115は、S101で取得されたSFM検知結果を採用する。
【0054】
つまり、誤検知判定部115は、SFM検知部111により検知された物体がレーダー正検知の方位角範囲に含まれないとき、当該SFM検知部111により検知された物体のSFM検知結果を採用する。なお、SFM検知結果の奥側にレーダー検知結果が存在しないときとは、SFM検知結果の手前側にレーダー検知結果が存在するときを含む。つまり、誤検知判定部115は、レーダー検知部113により検知された物体がSFM検知部111により検知された物体より近位側であるとき、当該SFM検知部111により検知された物体のSFM検知結果を採用する。出力部117によりSFM検知結果が出力された後、図9の流れは終了する。
【0055】
SFM検知結果の奥側にレーダー検知結果が存在するとき(S104:Yes)、誤検知判定部115は、レーダー正検知の方位角範囲のSFM検知結果を棄却する。
【0056】
つまり、誤検知判定部115は、レーダー検知部113により検知された物体がSFM検知部111により検知された物体より遠位側であるとき、SFM検知結果のうちの当該SFM検知部111により検知された物体のSFM検知結果を誤検知として棄却する。より詳細には、誤検知判定部115は、レーダー検知部113により検知された物体がSFM検知部111により検知された物体より遠位側であるときのうち、SFM検知部111により検知された物体がレーダー正検知の方位角範囲に含まれるとき、当該物体のSFM検知結果を誤検知として棄却する。ここで、SFM検知部111により検知された物体は、第1の物体の一例である。レーダー検知部113により検知された物体は、第2の物体の一例である。レーダー正検知の方位角範囲は、第2の検知範囲の一例である。出力部117により他の棄却されていないSFM検知結果が出力された後、図9の流れは終了する。
【0057】
なお、図6の(e),(f)のように、実際の移動物体の位置よりも遠位側に静止物体があることを示すSFM検知結果については、例えばカメラ151を搭載する移動体3が検知された静止物体に接近するまでの経過時間に基づいて、正検知か誤検知かを判定してもよい。
【0058】
このように、実施形態の障害物検知装置1において、誤検知判定部115は、SFM検知部111によるSFM検知結果と、レーダー検知部113によるレーダー検知結果との位置関係に基づいて、SFM検知結果が正検知であるか誤検知であるか判定する。また、誤検知判定部115は、SFM検知結果及びレーダー検知結果が任意の物体に関して異なる検知結果を示したとき、SFM検知結果のうちの該当の物体のSFM検知結果を誤検知として棄却する。したがって、実施形態の障害物検知装置1は、SFM検知結果及びレーダー検知結果が任意の物体に関して異なる検知結果を示したとき、該当の物体のSFM検知結果を含まないSFM検知結果を出力する。
【0059】
また、実施形態の障害物検知方法によれば、障害物検知装置1は、SFM検知結果と、レーダー検知結果との位置関係に基づいて、SFM検知結果が正検知であるか誤検知であるか判定し、SFM検知結果及びレーダー検知結果が任意の物体に関して異なる検知結果を示したとき、SFM検知結果のうちの該当の物体のSFM検知結果を誤検知として棄却する。したがって、実施形態の障害物検知方法は、SFM検知結果及びレーダー検知結果が任意の物体に関して異なる検知結果を示したとき、該当の物体のSFM検知結果を含まないSFM検知結果を出力する。
【0060】
この構成によれば、単眼カメラを用いた移動ステレオ方式(SFM)の静止物体検知において発生するエピポーラ拘束条件を満たす移動物体の誤検知が、レーダー検知とのフュージョン処理により棄却されたSFM検知結果を得ることができる。したがって、本開示に係る技術によれば、単眼カメラを用いた移動ステレオ法における物体の誤検知を抑制することができる。
【0061】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態に係る障害物検知装置1について説明する。以下、主として第1の実施形態との相違点について説明し、重複する部分については説明を適宜省略する。図10は、第2の実施形態に係る障害物検知処理の概要を説明するための図である。
【0062】
本実施形態に係る障害物検知装置1は、センサ153を有していなくてもよい。また、本実施形態に係るプロセッサ11は、レーダー検知部113としての機能を有していなくてもよい。
【0063】
一方で、本実施形態に係る誤検知判定部115は、カメラ151からの撮影画像に対する画像認識処理により、撮影画像から物体を検知する。本実施形態において、誤検知判定部115は、第2の検知部の一例である。画像認識処理による物体抽出は、公知の方法により実現されればよい。誤検知判定部115は、検知された物体を包含する検知枠を、撮影画像の画像上に投影する。
【0064】
ここで、画像認識処理により物体を検知する撮影画像は、SFM検知部111によるSFM検知結果に用いられる一対の撮影画像のいずれか一方である。したがって、SFM検知部111によるSFM検知の検知範囲と、誤検知判定部115による物体の検知範囲とは、少なくとも一部が重複している。SFM検知部111によるSFM検知の検知範囲は、第1の検知範囲の一例である。また、誤検知判定部115による物体の検知範囲は、第2の検知範囲の一例である。
【0065】
また、誤検知判定部115は、SFM検知結果に基づいて、SFM検知された対象物体上の複数の点それぞれについて、足元位置、すなわち当該点からの垂線の接地位置を示す点を算出する。誤検知判定部115は、算出された足元位置の複数の点を、検知枠が投影された撮影画像の画像上に投影し、投影された複数の点により規定される基準枠を作成する。基準枠は、例えば投影された複数の点に外接するように作成される。
【0066】
そして、誤検知判定部115は、撮影画像上に投影された検知枠の下端位置及び基準枠の下端位置に基づいて、対象の物体に関するSFM検知結果を棄却するか否かを判定する。一例として、図10の(a),(b)に例示するように、下端位置の間の距離L1,L2が予め定められた距離より大きいとき、誤検知判定部115は、SFM検知結果のうちの対象物体の検知結果を誤検知として棄却する。つまり、誤検知判定部115は、検知枠の外部のSFM検知結果については、棄却しない。一方で、図10の(c)に例示するように、下端位置の間の距離L3が予め定められた距離より小さいとき、誤検知判定部115は、その対象物体に関するSFM検知結果を正検知として採用する。
【0067】
この構成であっても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。また、この構成によれば、センサ153が設けられていなくてもよく、部品点数の削減やコスト削減の効果が得られる。
【0068】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態に係る障害物検知装置1について説明する。以下、主として第1の実施形態との相違点について説明し、重複する部分については説明を適宜省略する。図11は、第3の実施形態に係る障害物検知処理の概要を説明するための図である。
【0069】
第2の実施形態では、第1の実施形態に係るレーダー検知部113によるレーダー検知に代えて、誤検知判定部115による画像認識処理が行われる場合を例示した。一方で、本実施形態では、第1の実施形態に係るレーダー検知部113によるレーダー検知に代えて、SFM検知部111により複数のカメラ151を用いた複数のSFM検知が行われる場合を例示する。
【0070】
本実施形態に係る障害物検知装置1は、センサ153を有していなくてもよい。また、本実施形態に係るプロセッサ11は、レーダー検知部113としての機能を有していなくてもよい。
【0071】
一方で、本実施形態に係るカメラ151は、図11に示すように、移動体3の前方に配置されたフロントカメラ151aと、移動体3の側方に配置されたサイドカメラ151bとを有する。サイドカメラ151bは、例えば移動体3が車両である場合、車両のサイドミラー等に配置され得る。
【0072】
本実施形態において、フロントカメラ151aにより得られた撮影画像Iaに基づくSFM検知を実行するSFM検知部111は、第1の検知部の一例である。また、フロントカメラ151aの撮影方向は、第1の方向の一例である。また、撮影画像Iaに基づくSFM検知の検知範囲は、第1の検知範囲の一例である。
【0073】
同様に、サイドカメラ151bにより得られた撮影画像Ibに基づくSFM検知を実行するSFM検知部111は、第2の検知部の一例である。また、サイドカメラ151bの撮影方向は、第2の方向の一例である。また、撮影画像Ibに基づくSFM検知の検知範囲は、第2の検知範囲の一例である。
【0074】
ここで、フロントカメラ151aと、サイドカメラ151bとは、撮影範囲の一部が重複している。したがって、撮影画像Iaに基づくSFM検知の検知範囲と、撮影画像Ibに基づくSFM検知の検知範囲とは、少なくとも一部が重複している。
【0075】
図11は、図7に例示する場合と同様に、フロントカメラ151aにより得られた撮影画像Iaに基づくSFM検知によりフロントカメラ151aの近傍に点群G2,G3が検知された場合を例示する。ここで、点群G2は、撮影画像Iaにおける物体O6に基づいてSFM検知された点群である。また、点群G3は、撮影画像Iaにおける物体O5に基づいてSFM検知された点群である。
【0076】
本実施形態に係る誤検知判定部115は、フロントカメラ151aにより得られた撮影画像Iaに基づくSFM検知結果を、サイドカメラ151bにより得られた撮影画像Ibの座標に合わせて座標変換する。ここで、フロントカメラ151aにより得られた撮影画像Iaに基づくSFM検知結果は、図11の撮影画像Iaに、白抜きの丸、太線枠の白抜きの丸及び黒塗りの丸で示す物体O5又は物体O6上の点群である。ここで、図11において、白抜きの丸は、移動物体上の点を示す。また、太枠線の白抜きの丸は、白抜きの丸で示す点群のうちの説明のために特に注目している点を強調して示す。また、黒塗りの丸は、実際に静止物体上にある点を示す。また、誤検知判定部115は、座標変換された点群を撮影画像Ibの画像上に投影する。図11の撮影画像Ibには、撮影画像Ibの画像上に投影された撮影画像Iaに基づくSFM検知結果の投影点を星で示す。
【0077】
また、誤検知判定部115は、撮影画像Iaに基づくSFM検知において用いられた撮影画像Iaの画像上の特徴点に対応する撮影画像Ibの画像上の点を特定する。図11の撮影画像Iaには、撮影画像Iaに基づくSFM検知において用いられた撮影画像Iaの画像上の特徴点を、太線枠の白抜きの丸で示す。また、図11の撮影画像Ibには、当該特徴点に対応する撮影画像Ibの画像上の対応点を、太線枠の白抜きの丸で示す。
【0078】
そして、誤検知判定部115は、図11の撮影画像Ibに実線の両矢印で示すように、当該投影点と、当該対応点との間の撮影画像Ibの画像上における距離を算出する。誤検知判定部115は、算出された距離が予め定められてメモリ13等に記憶された閾値より大きいとき、撮影画像Iaの画像上において対応点が存在する範囲のSFM検知結果を棄却する。図11の撮影画像Iaでは、物体O5上の2つの太線枠の白抜きの丸の間の幅内の点群に関して棄却される。このように、本実施形態に係る誤検知判定部115は、撮影画像上の物体O5については、移動する物体O1を静止物体として検知した結果であるとして棄却することができる。
【0079】
一方で、誤検知判定部115は、撮影画像Ibの画像上において対応点が存在しない場合、SFM検知結果の撮影画像Ibへの投影点が他の棄却されていない検知結果の範囲、例えば物体O6のSFM検知結果の存在する範囲に含まれていれば、視点変更によりオクルージョンが発生したとして、すなわち実際に静止物体が存在するとして採用することができる。もし他の棄却されていない検知結果の範囲に含まれなければ、オクルージョンが発生していないことと対応点が存在しないこととの矛盾に基づき棄却する。ここで、視点変更とは、フロントカメラ151a及びサイドカメラ151bの間の撮影方向の変更を意味する。また、オクルージョンとは、手前にある物体が背後にある物体を隠して見えないようにする状態を言う。
【0080】
このように、SFM検知部111により複数のカメラ151を用いた複数のSFM検知を行う構成であっても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0081】
本実施形態の障害物検知装置1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、CD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等が適宜利用可能である。また、可搬型の外部記憶装置としては、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、Flashメモリ等が適宜利用可能である。
【0082】
また、本実施形態の障害物検知装置1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態の障害物検知装置1で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0083】
また、障害物検知装置1で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0085】
1 障害物検知装置
11 プロセッサ
111 SFM検知部(第1の検知部)
113 レーダー検知部(第2の検知部)
115 誤検知判定部
117 出力部
13 メモリ
151 カメラ
151a フロントカメラ
151b サイドカメラ
153 センサ
171 ディスプレイ
173 スピーカ
3 移動体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11