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特開2022-139822表示制御装置、表示制御プログラム、及び表示制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139822
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】表示制御装置、表示制御プログラム、及び表示制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20220915BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021040370
(22)【出願日】2021-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】301063496
【氏名又は名称】東芝デジタルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003362
【氏名又は名称】弁理士法人i.PARTNERS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 麻周
(72)【発明者】
【氏名】竹之内 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 潤
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】より容易にワークに関するコンテンツを選択することができる技術を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、ユーザがワークに所定の処理を行う作業現場においてコンテンツを表示する表示制御装置10であって、作業現場が撮像された撮像画像に基づいてワークを認識する画像認識部101と、ワークの種別と種別に属するワークに関するコンテンツとが対応付けられたコンテンツ情報を管理する情報管理部103と、コンテンツ情報に基づいて認識されたワークの種別と対応付けられたコンテンツを選択するコンテンツ選択部104と、選択されたコンテンツを作業現場において表示装置に表示させる表示制御部105とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザがワークに所定の処理を行う作業現場においてコンテンツを表示する表示制御装置であって、
前記作業現場が撮像された撮像画像に基づいてワークを認識する画像認識部と、
ワークの種別と該種別に属するワークに関するコンテンツとが対応付けられたコンテンツ情報を管理する情報管理部と、
前記コンテンツ情報に基づいて前記認識されたワークの種別と対応付けられたコンテンツを選択するコンテンツ選択部と、
前記選択されたコンテンツを前記作業現場において表示装置に表示させる表示制御部と
を備える表示制御装置。
【請求項2】
前記画像認識部は、前記撮像画像に基づいてユーザを更に認識し、
前記情報管理部は、ユーザと該ユーザの技能を段階的に示す技能レベルとを対応付けるユーザ情報を更に管理し、
前記コンテンツ情報は、ワークの種別と前記技能レベルとを対応付け、
前記コンテンツ選択部は、前記ユーザ情報と前記コンテンツ情報とに基づいて、前記認識されたワークの種別と、前記認識されたユーザの認識レベルとに対応付けられたコンテンツを選択することを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記ユーザ情報は、ユーザと該ユーザの技能レベルと該ユーザが読解可能な元とである使用言語とを対応付け、
前記コンテンツ情報は、ワークの種別と該種別に属するワークに関するコンテンツと前記技能レベルと前記使用言語とを対応付け、
前記コンテンツ選択部は、前記ユーザ情報と前記コンテンツ情報とに基づいて、前記認識されたワークの種別と、前記認識されたユーザの認識レベルと、前記認識されたユーザの使用言語とに対応付けられたコンテンツを選択することを特徴とする請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記表示装置は複数の投影装置であり、ワークは前記作業現場において搬送されており、
前記表示制御部は、前記複数の投影装置にそれぞれについて、該投影装置の投影範囲より小さく設定された設定範囲内にワークが存在するか否かを判定し、ワークが存在すると判定された投影装置に前記選択されたコンテンツを表示させることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の表示制御装置。
【請求項5】
ユーザがワークに所定の処理を行う作業現場においてコンテンツを表示する表示制御プログラムであって、
コンピュータを、
前記作業現場が撮像された撮像画像に基づいてワークを認識する画像認識部と、
ワークの種別と該種別に属するワークに関するコンテンツとが対応付けられたコンテンツ情報を管理する情報管理部と、
前記コンテンツ情報に基づいて前記認識されたワークの種別と対応付けられたコンテンツを選択するコンテンツ選択部と、
前記選択されたコンテンツを前記作業現場において表示装置に表示させる表示制御部として機能させる表示制御プログラム。
【請求項6】
ユーザがワークに所定の処理を行う作業現場においてコンテンツを表示する表示制御方法であって、
コンピュータが、
前記作業現場が撮像された撮像画像に基づいてワークを認識し、
ワークの種別と該種別に属するワークに関するコンテンツとが対応付けられたコンテンツ情報を管理し、
前記コンテンツ情報に基づいて前記認識されたワークの種別と対応付けられたコンテンツを選択し、
前記選択されたコンテンツを前記作業現場において表示装置に表示させる表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、コンテンツを表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業員が従事する施設、特にワークに対して所定の処理を施す作業現場において、タブレット型端末/ヘッドマウントディスプレイによって、作業員が作業内容などが含まれるコンテンツを視認することが行われている。
【0003】
また、関連する技術として、施工対象となる施工面の設計形状データを記憶した設計形状データ記憶手段と、施工過程において形成した施工面の現形状データを取得する現形状データ取得手段と、設計形状データ及び現形状データとの比較に基づいて、設計形状データと現形状データとの一致度からなる施工状態管理情報を作成する施工状態管理情報作成手段と、作業者が識別可能となるように、施工過程における施工面に対して施工管理情報を投影する施工状態管理情報投影手段とを備える施工管理装置、が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-117146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業現場によっては、作業員が同一種別のワークに対して同一種類の処理を施す期間は短く、作業員は新たな種類の作業に従事する際、その都度コンテンツを視認することにより作業内容を確認することとなる。この際、作業員は、自身に割り当てられているワークに関するコンテンツを複数のコンテンツの中から探さなければならず、コンテンツの選択操作に煩雑な手間が生じるという問題があった。
【0006】
本発明の実施形態は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、より容易にワークに関するコンテンツを選択することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明の実施形態は、ユーザがワークに所定の処理を行う作業現場においてコンテンツを表示する表示制御装置であって、前記作業現場が撮像された撮像画像に基づいてワークを認識する画像認識部と、ワークの種別と該種別に属するワークに関するコンテンツとが対応付けられたコンテンツ情報を管理する情報管理部と、前記コンテンツ情報に基づいて前記認識されたワークの種別と対応付けられたコンテンツを選択するコンテンツ選択部と、前記選択されたコンテンツを前記作業現場において表示装置に表示させる表示制御部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る表示制御システムの構成を示す概略図である。
図2】実施形態に係る表示制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る表示制御装置の機能構成を示すブロック図である。
図4】実施形態に係る表示制御装置の全体動作を示すフローチャートである。
図5】画像認識処理の動作を示すフローチャートである。
図6】コンテンツ選択処理の動作を示すフローチャートである。
図7】表示制御処理の動作を示すフローチャートである。
図8】設定範囲を示す概略図である。
図9】表示されるコンテンツを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0010】
(表示制御システム)
本実施形態に係る表示制御システムの構成、及びこの表示制御システムが運用される作業現場について説明する。図1は、本実施形態に係る表示制御システムの構成を示す概略図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る表示制御システムは、表示制御装置10と、投影装置20と、撮像装置30と、ヘッドマウントディスプレイ40と、端末装置50とを備える。なお、本実施形態において、表示制御システムは、説明上、2つの投影装置20、1つの撮像装置30を備えるものとする。表示制御装置10は、投影装置20、撮像装置30、ヘッドマウントディスプレイ40、端末装置50のそれぞれと通信可能に接続される。
【0012】
表示制御システムは、作業者としてのユーザUがワークWに対して所定の処理を施す作業現場において運用される。作業現場は、所定の製品が製造される工場である。ワークWはこの工場において製造される製造物、またはこの製造物に取り付けられる部品とする。ワークWは、作業現場において、ベルトコンベアCにより搬送方向Dに搬送される。
【0013】
本実施形態において、表示制御システムのユーザUには、ヘッドマウントディスプレイ40を装着する作業者、装着しない作業者の両方が含まれるものとするが、いずれか一方の作業者のみを表示制御システムのユーザUとしても良い。
【0014】
ヘッドマウントディスプレイ40は、ディスプレイ41とカメラ42とを備える。ディスプレイ41は、装着時において、ユーザUの視界を覆うように設けられた透過型または非透過型の表示装置である。カメラ42は、装着時において、ユーザUの視界の少なくとも一部を撮像するように設けられる。
【0015】
撮像装置30は、映像を撮像するカメラであり、ワークWとユーザUとが撮像範囲に含まれるように作業現場に設置される。ワークWには、正方形内に所定のパターンが描画された2次元画像がマーカーMとして付加される。このマーカーMは、付加対象であるワークWの位置及び姿勢を検知するために用いられる所謂矩形マーカーである。また、マーカーMは、付加対象であるワークWの種別を一意に示す種別IDをコード化する。本実施形態において、撮像装置30は、マーカーMとユーザUの顔とを撮像可能に設置されるものとする。マーカーMの代わりにワークWの特徴や生産計画から種別IDを識別してもよい。
【0016】
2つの投影装置20は、それぞれ、ベルトコンベアCにより搬送されるワークWに対して、搬送経路を含む一部領域において画像を投影可能に作業現場に設置される。また、2つの投影装置20は、それぞれ、その投影領域が搬送方向Dに異なっており、且つ、搬送方向Dにおいて一部重複するように作業現場に設置される。なお、本実施形態において、2つの投影装置20は位置が固定された状態でも設けられるものとするが、移動可能に取り付けられても良い。
【0017】
端末装置50は、表示制御装置10に対して、各種設定を行うための端末であり、本実施形態においてはラップトップまたはデスクトップ型のパーソナルコンピュータとする。
【0018】
(表示制御装置の構成)
表示制御装置のハードウェア構成及び機能構成について説明する。図2図3は、それぞれ、本実施形態に係る表示制御装置のハードウェア構成、機能構成を示すブロック図である。
【0019】
表示制御装置10は、図2に示すように、ハードウェアとして、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、記憶装置13、入出力I/F(Interface)14、ネットワークI/F15を備える。
【0020】
CPU11及びRAM12は協働して各種機能を実行し、記憶装置13は各種機能により実行される処理に用いられる各種データを記憶する。入出力I/F14は、2つの投影装置20、撮像装置30とのデータの入出力を行うためのインターフェイスである。ネットワークI/F15は、ヘッドマウントディスプレイ40、端末装置50などの他の装置との有線通信及び無線通信を行うためのインターフェイスである。
【0021】
表示制御装置10は、図3に示すように、機能として、画像認識部101、コンテンツ変換部102、情報管理部103、コンテンツ選択部104、表示制御部105を備える。
【0022】
画像認識部101は、撮像装置30により撮像された映像に含まれる画像に対して、マーカーM及びユーザUの検出を行う。コンテンツ変換部102は、CAD(Computer Aided Design)データなどのワークWの設計情報を、投影装置20またはヘッドマウントディスプレイ40により表示されるコンテンツに変換する。
【0023】
コンテンツは、既知の表示装置により表示可能なあらゆる情報を含み得るものであり、本実施形態においては、テキスト、2D(Dimension)/3D画像、2D/3D映像の少なくともいずれかを含むものとする。CADデータからコンテンツへの変換は、予め設定された抽出ルールに基づいてCADデータの一部をコンテンツとして抽出することによってなされるものとする。なお、抽出ルールは、CADデータからコンテンツへの人手による変換結果に基づく機械学習によって生成されても良い。また、表示制御装置10は、変換されたコンテンツのみでなく、変換されたコンテンツに追加/変更が加えられたコンテンツ、新たに作成されたコンテンツを扱うものとする。
【0024】
また、コンテンツは、ワークWの種別毎、後述するユーザUの技能レベル毎に用意されており、更にテキストを含むコンテンツについては、ユーザUが理解可能と想定される複数の言語毎に用意されているものとする。コンテンツの具体例としては、ワークWへの部品の取付位置などを示す立体画像/映像、ワークWに対する作業について説明するマニュアル、画像、映像、作業上の注意事項などが挙げられる。
【0025】
情報管理部103は、ユーザUの属性を示すユーザ情報、ワークWの属性を示すワーク情報、少なくとも1つ以上のコンテンツを含むコンテンツ情報を管理する。コンテンツ選択部104は、ユーザ情報及びワーク情報に基づいてコンテンツ情報に含まれるコンテンツを選択する。表示制御部105は、コンテンツ選択部104により選択されたコンテンツを投影装置20またはヘッドマウントディスプレイ40に表示させる。なお、コンテンツ選択部104によるコンテンツの選択は、後述するユーザ情報におけるHMDIDの値に基づいて、ユーザUがコンテンツの閲覧に用いる装置の種別に基づいてなされても良い。また、コンテンツの選択は、ユーザUによる表示制御システムの使用に先立って設定された初期値により選択されても良く、表示制御システムにおいてなされたユーザUの操作に応じてなされても良い。
【0026】
(各種情報)
ユーザ情報、ワーク情報、及びコンテンツ情報について説明する。
【0027】
ユーザ情報は、ユーザIDと、技能レベルと、配置位置と、第1言語と、使用可能言語と、HMDIDとが対応付けられた情報である。ユーザIDは、ユーザUを一意に示す識別子であり、例えばユーザUが勤務する会社において付与された社員番号である。技能レベルは、ワークWに対する作業に関するユーザUの技能水準を段階的に示す。配置位置は、作業現場においてユーザUが配置される位置を示す。第1言語は、ユーザUが使用可能な言語のうち、最も容易に理解することができる言語を示す。使用可能言語は、ユーザUが使用可能な言語のうち、第1言語以外の言語を示す。HMDIDは、ユーザUが装着しているヘッドマウントディスプレイ40を一意に示す識別子であり、ユーザUがヘッドマウントディスプレイ40を装着していない場合には空値に設定される。
【0028】
ワーク情報は、種別IDと、ワークIDとが対応付けられた情報である。種別IDは、ワークWが属する種別区分を一意に示す識別子であり、例えば、ワークWの品番や型番である。ワークIDは、ワークWを一意に示す識別子であり、例えばロット番号やシリアル番号である。
【0029】
コンテンツ情報は、コンテンツIDと、種別IDと、技能レベル、使用言語とが対応付けられた情報である。コンテンツIDは、コンテンツを一意に示す識別子である。種別IDは、コンテンツに対応付けられるワークWの種別を示す。技能レベルは、コンテンツを表示する対象であるユーザUの技能水準を示す。使用言語は、コンテンツにおいて使用されている言語を示し、コンテンツに言語が含まれない場合には空値に設定される。
【0030】
ユーザ情報、ワーク情報、及びコンテンツ情報は、いずれも表示制御システムの運用に先立って、マスタとして予め設定された情報であり、本実施形態においては、表示制御システムの管理者により端末装置50を用いて表示制御装置10に入力される。
【0031】
(全体動作)
表示制御装置の全体動作について説明する。図4は、本実施形態に係る表示制御装置の全体動作を示すフローチャートである。なお、この全体動作は、所定の周期毎に実行されるものとする。
【0032】
図4に示すように、まず、画像認識部101は、後に詳述する画像認識処理を実行する(S101)。この画像認識処理によれば、撮像装置30による撮像画像におけるワークWとユーザUが認識される。
【0033】
次に、コンテンツ選択部104は、画像認識処理において認識されたユーザUのうち、未選択のユーザUを選択し(S102)、後に詳述するコンテンツ選択処理を実行する(S103)。このコンテンツ選択処理によれば、選択したユーザUに対して表示されるコンテンツが選択される。
【0034】
次に、表示制御部105は、後に詳述する表示制御処理を実行する(S104)。この表示制御処理によれば、ワークWに関するコンテンツが投影装置20またはヘッドマウントディスプレイ40により表示される。
【0035】
次に、コンテンツ選択部104は、画像認識処理において認識されたユーザUの全てを選択したか否かを判定する(S105)。認識されたユーザUの全てが選択された場合(S105,YES)、現周期の全体動作が終了されて次周期の全体動作に移行する。一方、認識されたユーザUの全てが選択されない場合(S105,NO)、コンテンツ選択部104は、未選択のユーザUを選択する(S102)。
【0036】
(画像認識処理)
画像認識処理の動作について説明する。図5は、画像認識処理の動作を示すフローチャートである。
【0037】
図5に示すように、まず、画像認識部101は、撮像装置30により撮像された撮像画像に含まれるワークWとユーザUとを認識対象として認識する(S201)。ここで、画像認識部101は、予め登録されたワークWの特徴やマーカーMの検出によってワークWを認識するとともに、画像から人体を検出する既知の人体検出によってユーザUを認識する。
【0038】
次に、画像認識部101は、認識した認識対象のうち、未選択の認識対象を選択し(S202)、選択した認識対象がワークWであるか否かを判定する(S203)。
【0039】
認識対象がワークWである場合(S203,YES)、画像認識部101は、ワークWの種別を識別し(S204)、全ての認識対象を選択したか否かを判定する(S205)。本実施形態において、画像認識部101は、マーカーMにコード化された種別IDを検出することによってワークWの種別を識別するものとする。なお、ワークWの種別は、ワークWの外観に関する特徴量に基づいて識別されても良く、既知のいかなる手法によってなされても良い。
【0040】
全ての認識対象が選択された場合(S205,YES)、画像認識部101は、画像認識処理を終了する。一方、全ての認識対象が選択されない場合(S205,NO)、画像認識部101は、認識した認識対象のうち、未選択の認識対象を選択する(S202)。
【0041】
また、ステップS203において、認識対象がワークWではない場合(S203,NO)、画像認識部101は、ユーザUを個人識別し(S206)、全ての認識対象を選択したか否かを判定する(S205)。本実施形態において、画像認識部101は、顔認識、または例えば社員証などのユーザUが身に着ける装着物に付加された識別コードを検出することによってユーザUの個人認識を行うものとする。なお、ユーザUの個人識別は、作業現場にRFIDリーダを設け、ユーザIDが記録されたRFID(Radio Frequency IDentifier)タグをユーザUがICリーダに読み取らせることによってなされても良い。ユーザUの個人識別についても、ワークWの種別の識別と同様に、既知のいかなる手法によってなされても良い。
【0042】
(コンテンツ選択処理)
コンテンツ選択処理の動作について説明する。図6は、コンテンツ選択処理の動作を示すフローチャートである。
【0043】
図6に示すように、まず、コンテンツ選択部104は、情報管理部103により管理されるユーザ情報のうち、選択中のユーザUを示すユーザIDを含むユーザ情報を取得する(S301)。
【0044】
また、コンテンツ選択部104は、識別されたワークWのうち、少なくとも1つのワークWを対象ワークとして選択し(S302)、情報管理部103により管理されるワーク情報のうち、対象ワークの種別を示す種別IDを含むワーク情報を取得する(S303)。本実施形態において、コンテンツ選択部104は、撮像画像上において選択中のユーザUに最も近接するワークW、または、取得されたユーザ情報における配置位置から所定の範囲内に位置するワークWを対象ワークとして選択する。
【0045】
次に、コンテンツ選択部104は、情報管理部103により管理されるコンテンツ情報を参照し、取得したワーク情報における種別ID、取得したユーザ情報におけるユーザUの技能レベル、第1言語、使用可能言語に基づいて、コンテンツを選択する(S304)。
【0046】
具体的には、コンテンツ選択部104は、取得したワーク情報における種別IDと、取得したユーザ情報における技能レベルとを含むコンテンツ情報を選択する。更に、コンテンツ選択部104は、選択したコンテンツ情報における使用言語が空値ではない場合、即ち、コンテンツ情報に含まれるコンテンツIDにより示されるコンテンツがテキストを含む場合、取得したユーザ情報における第1言語を含むコンテンツ情報、または取得したユーザ情報における使用可能言語を含むコンテンツ情報を選択する。
【0047】
このようなコンテンツ選択処理によれば、ユーザUの技能レベルや、読解可能な言語に対応した、ワークWに関するコンテンツを表示させることができる。
【0048】
(表示制御処理)
表示制御処理の動作について説明する。図7は、表示制御処理の動作を示すフローチャートである。図8は、設定範囲を示す概略図である。
【0049】
図7に示すように、まず、表示制御部105は、選択中のユーザUがヘッドマウントディスプレイ40を装着しているか否かを判定する(S401)。ここで、表示制御部105は、選択中のユーザUに関するユーザ情報に含まれるHMDIDを参照し、HMDIDが存在する場合にユーザUがヘッドマウントディスプレイ40を装着していると判定し、HMDIDが空値である場合にユーザUがヘッドマウントディスプレイ40を装着していないと判定する。
【0050】
選択中のユーザUがヘッドマウントディスプレイ40を装着していない場合(S401,NO)、表示制御部105は、未選択の投影装置20を選択し(S402)、対象ワークが設定領域内に存在するか否かを判定する(S403)。
【0051】
設定領域は、投影装置20のそれぞれに設定される領域であり、投影装置20により投影可能な投影領域内に収まるように設定される領域である。搬送方向Dに投影領域が隣接する2つの投影装置20は、図8に示すように、搬送方向Dの投影範囲P1,P2が少なくとも一部が重複するように設けられる。更に、2つの投影装置20の設定領域S1,S2は、搬送方向Dに重複せずに隣り合うように予め設定される。
【0052】
表示制御部105は、本実施形態においては、対象ワークのマーカーMの全体が選択中の投影装置20の設定領域内にある場合に対象ワークが設定領域内に存在すると判定するものとする。なお、マーカーMの少なくとも一部が設定領域内にある場合、または対象ワークの少なくとも一部が設定領域内にある場合に対象ワークが設定領域内に存在すると判定しても良い。対象ワークが設定領域内にあるか否かの判定基準は、作業現場や投影装置20の設定位置、ワークWの認識方法など、様々な環境に応じて適宜設定される。
【0053】
対象ワークが設定領域内に存在する場合(S403,YES)、表示制御部105は、選択中のコンテンツを選択中の投影装置20に投影させる(S404)。ここで、表示制御部105は、選択中のコンテンツが3D画像/映像である場合、所謂プロジェクションマッピングのような既知の手法を用いて、対象ワークの立体形状に合わせて2次元画像または映像に変換したコンテンツを投影装置20に投影させる。
【0054】
一方、対象ワークが設定内に存在しない場合(S403,NO)、表示制御部105は、再度、未選択の投影装置20を選択する(S402)。
【0055】
また、ステップS401において、選択中のユーザUがヘッドマウントディスプレイ40を装着している場合(S401,YES)、表示制御部105は、選択中のユーザUに関するユーザ情報に含まれるHMDIDにより示されるヘッドマウントディスプレイ40を選択する(S405)。
【0056】
次に、表示制御部105は、選択中のヘッドマウントディスプレイ40に選択中のコンテンツを表示させる(S406)。ここで、表示制御部105は、ディスプレイ41が透過型である場合には実空間上の対象ワークに対応するようにヘッドマウントディスプレイ40にコンテンツを表示させる。また、表示制御部105は、ディスプレイ41が非透過型である場合にはカメラ42による撮像画像上の対象ワークに対応するようにヘッドマウントディスプレイ40にコンテンツを表示させる。また、表示制御部105は、選択中のコンテンツが3D画像/映像である場合、カメラ42により撮像された対象ワークの立体形状に合わせて2次元画像または映像に変換したコンテンツをディスプレイ41に表示させる。
【0057】
このような表示制御処理によれば、選択されたユーザUが使用可能な表示装置に合わせてコンテンツを表示させることができ、更に、複数の投影装置20による投影範囲をまたいで移動するワークWに対応する位置にコンテンツを表示させることができる。
【0058】
(表示コンテンツ)
表示コンテンツについて説明する。図9は、表示されるコンテンツを示す概略図である。
【0059】
上述した表示制御システムによれば、互いに同一のワークIDに対応付けられるとともに互いに同一の技能レベルに対応付けられた複数のコンテンツは、同一種別のワークWに関し、同一技能レベルのユーザUを対象としたコンテンツ集合を構成する。このコンテンツ集合は、上述した表示制御処理において、同時にユーザUに表示されることとなるため、ユーザUは、コンテンツ集合をこのコンテンツ集合に含まれる複数のコンテンツが重畳または複合された1つのコンテンツとして視認することができる。
【0060】
また、ユーザUが、コンテンツ集合に含まれる複数のコンテンツのそれぞれに対して、表示するか否かを決定することができる。これによって、コンテンツ集合においてユーザUが必要とするコンテンツのみが表示コンテンツとして表示されることとなり、延いては、コンテンツの視認性を向上させることができる。
【0061】
発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
10 表示制御装置
101 画像認識部
103 情報管理部
104 コンテンツ変換部
105 表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9