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特開2022-140637結晶性(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140637
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】結晶性(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/06 20060101AFI20220915BHJP
   A61K 31/5025 20060101ALI20220915BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220915BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
C07D471/06 CSP
A61K31/5025
A61P35/00
A61P35/02
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123448
(22)【出願日】2022-08-02
(62)【分割の表示】P 2020118281の分割
【原出願日】2011-10-20
(31)【優先権主張番号】61/405,476
(32)【優先日】2010-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517065817
【氏名又は名称】メディヴェイション テクノロジーズ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【弁理士】
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100147186
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 眞紀
(74)【代理人】
【識別番号】100174447
【弁理士】
【氏名又は名称】龍田 美幸
(74)【代理人】
【識別番号】100185960
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 理愛
(72)【発明者】
【氏名】ビング ワング
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル チュ
(72)【発明者】
【氏名】ヨングボ リウ
(72)【発明者】
【氏名】シチュン ペング
(57)【要約】
【課題】ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)タンパク質ファミリーの酵素 活性の阻害作用を有する癌治療剤の提供。
【解決手段】結晶性の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンのトシレート塩。この塩は、7.5、20.1、及び24.1の2θ角度±0.2のピークを含むX線粉末回折パターン、あるいは、7.5、15.1、18.1、20.1、20.5、22.6、及び24.1の2θ角度±0.2のピークを含むX線粉末回折パターン、あるいは、143.2、136.0、131.8、123.9、112.2、105.2、及び100.3ppm±0.2ppmのピークを有する固体13C NMRスペクトルを示す。
【選択図】なし



【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンのトシレート塩であって、
7.5、20.1、及び24.1の2θ角度±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンを有する、前記結晶性のトシレート塩。
【請求項2】
7.5、15.1、18.1、20.1、20.5、22.6、及び24.1の2θ角度±0.2のピークを含むX線粉末回折パターンを有する、請求項1記載の結晶性のトシレート塩。
【請求項3】
143.2、136.0、131.8、123.9、112.2、105.2、及び100.3ppm±0.2ppmにピークを有する固体13C NMRスペクトルを示す、結晶性の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンのトシレート塩。
【請求項4】
請求項1記載の結晶性のトシレート塩を含む、医薬組成物。
【請求項5】
請求項3記載の結晶性のトシレート塩を含む、医薬組成物。
【請求項6】
請求項1記載の結晶性のトシレート塩を含む、癌を治療するための医薬組成物。
【請求項7】
前記癌が、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、結腸直腸癌、バーキットリンパ腫、鼻咽腔癌、EBV+胃癌、子宮内膜癌、消化管間質腫瘍、膠芽腫、頭頸部癌、肝細胞癌、腎臓癌、白血病、肺癌、リンパ腫、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、腎癌、小細胞肺癌、甲状腺癌又は子宮癌である、請求項6記載の医薬組成物。
【請求項8】
請求項3記載の結晶性のトシレート塩を含む、癌を治療するための医薬組成物。
【請求項9】
前記癌が、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、結腸直腸癌、バーキットリンパ腫、鼻咽腔癌、EBV+胃癌、子宮内膜癌、消化管間質腫瘍、膠芽腫、頭頸部癌、肝細胞癌、腎臓癌、白血病、肺癌、リンパ腫、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、腎癌、小細胞肺癌、甲状腺癌又は子宮癌である、請求項8記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2010年10月21日に出願された米国仮出願第61/405,476号の優先権の恩典を主張し、この文献の内容は、その全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本出願は、結晶性形態を含む、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩形態;(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン及びそのトシレート塩形態を調製する方法;並びに結晶性(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩形態を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)タンパク質ファミリーの酵素は、DNA損傷の修復を助けることを含む、いくつかの細胞機能に関与する。PARP活性の阻害は、特定の癌の治療に対する前途有望な治療的手法である。いくつかのPARP阻害剤は、卵巣癌、乳癌、結腸直腸癌、前立腺癌、及びその他の癌の治療のための候補薬物として、臨床及び前臨床段階にある。米国公開第2010/0035883号に開示されているPARP阻害剤の1つのクラスは、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンを含む。前臨床研究により、この化合物が一部の癌患者のための有用な療法であり得ることが示されている。
【0004】
US 2010/0035883号は、5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの合成、及びその(8S,9R)エナンチオマーのキラル分割を提供している。例えば、あらゆる目的のためにその全体が引用により本明細書中に組み込まれている、U.S.2010/0035883号の実施例94及び155を参照されたい。該化合物を調製するさらなる方法は、WO 2011/097602号に記載されている。(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンなどの薬物候補を実現可能な医薬製品へと移行させるために、該薬物候補が多形形態を有するかどうかということ、並びに大規模生産、輸送、貯蔵、及び使用前調製のときに直面する可能性が高い条件下でのこれらの形態の相対的安定性及び相互変換を理解することが重要になることがある。頑健な製造方法を用いて安定な多形を制御及び生産する能力は、規制認可及びマーケティングの鍵となり得る。高純度の5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの大規模生産方法が探し求められているが、それは、この化合物の安定性に影響を及ぼすパラメータが不明であり、該化合物の多形形態が入手可能ではなかったという事実によって阻まれている。
【発明の概要】
【0005】
(概要)
一態様では、本明細書で提供されるのは、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンのトシレート塩である。いくつかの実施態様では、該トシレート塩は、結晶性形態にある。いくつかの実施態様では、本明細書で提供されるのは、結晶性形態、非晶質形態、又はそれらの混合物を含む、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンのトシレート塩の固体形態である。
【0006】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、遊離塩基形態(「遊離塩基」)の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンを合成する方法である。
【0007】
別の態様では、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンのトシレート塩を調製する方法が提供される。ある実施態様では、該トシレート塩は、テトラヒドロフラン(THF)懸濁液から調製される。
【0008】
別の態様では、本出願は、本明細書で記載されるような、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンのトシレート塩、又はその固体形態を含む医薬組成物を提供する。
【0009】
別の態様では、本出願は、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンのトシレート塩、別の例では、その結晶性形態、又はその組成物を用いて癌を治療する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
(図面の説明)
図1図1は、結晶性(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩の粉末X線粉末回折(XRPD)パターンの5つの実施例の重ね合わせを提供する。
【0011】
図2図2aは、アセトン-THF調製物からの結晶性(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩多形8の示差走査熱量測定(DSC)グラフを提供する。
【0012】
図2bは、アセトン-THF調製物からの結晶性(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩多形8の熱重量分析(TGA)グラフを提供する。
【0013】
図3図3aは、DCM-ACN調製物からの結晶性(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩多形5のDSCグラフを提供する。
【0014】
図3bは、DCM-ACN調製物からの結晶性(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩多形5のTGAグラフを提供する。
【0015】
図4図4aは、アセトン調製物からの結晶性(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩多形6のDSCグラフを提供する。
【0016】
図4bは、アセトン調製物からの結晶性(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩多形6のTGAグラフを提供する。
【0017】
図5図5aは、THF調製物からの結晶性(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩多形7のDSCグラフを提供する。
【0018】
図5bは、THF調製物からの結晶性(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩多形7のTGAグラフを提供する。
【0019】
図6図6は、結晶性(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩多形のX線粉末回折(XRPD)スペクトログラムを提供する。
【0020】
図7図7aは、結晶性(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩多形のDSCグラフを提供する。
【0021】
図7bは、結晶性(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩多形のTGAグラフを提供する。
【0022】
図8図8は、アセトン-THF調製物からの結晶性(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩多形8のX線粉末回折(XRPD)スペクトログラムを示す。
【0023】
図9図9は、アセトン-THF調製物からの結晶性(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩多形8の動的水蒸気吸着等温線プロットを提供する。
【0024】
図10図10aは、1000細胞/ウェルの3つのマントル細胞リンパ腫細胞株における遊離塩基の単剤細胞傷害性アッセイのデータを提供する。
【0025】
図10bは、5000細胞/ウェルの3つのマントル細胞リンパ腫細胞株における遊離塩基の単剤細胞傷害性アッセイのデータを提供する。
【0026】
図11図11aは、2つの頭頸部癌細胞株における遊離塩基の単剤細胞傷害性アッセイのデータを提供する。
【0027】
図11bは、PE/CA-PJ34頭頸部癌細胞株における遊離塩基の単剤細胞傷害性アッセイのデータを提供する。
【0028】
図12図12は、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩多形の固体13CNMRスペクトルを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(詳細な説明)
(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンは、例えば、白血病(急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病を含む)、骨髄異形成症候群、結腸癌、EBV関連腫瘍(バーキットリンパ腫、鼻咽腔癌、AIDS患者のリンパ腫、AIDS患者の平滑筋腫瘍、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、免疫抑制患者のリンパ増殖性疾患、免疫抑制患者の平滑筋肉腫、EBV+胃癌、EBV+乳癌、T細胞リンパ腫を含む)、子宮内膜癌(癌腫及び肉腫を含む)、消化管間質腫瘍、神経膠腫、膠芽腫、リンパ腫(マントル細胞リンパ腫を含む)、黒色腫、乳癌(転移性、BRCA陽性、及びBRCA陰性を含む)、卵巣癌(進行性、高悪性度漿液性、プラチナ感受性、プラチナ抵抗性、プラチナ不応性、及びBRCA陰性を含む)、子宮頸癌、膵癌(BRCA陰性を含む)、腹膜癌、前立腺癌(BRCA陰性、転移性、及び去勢抵抗性を含む)、遺伝性非腺腫性結腸癌(HNPCC)、肺癌(非小細胞肺癌、小細胞肺癌を含む)、結腸直腸癌、子宮癌肉腫、固形腫瘍(例えば、膀胱、腸、脳、乳房、子宮内膜、心臓、腎臓、肺の腫瘍、非膵臓内分泌器官(甲状腺)の癌、及び頭頸部の癌)、並びに血液系腫瘍を含む、癌の治療のための前途有望な候補薬物である。
【0030】
本明細書で提供されるのは、該化合物のトシレート塩形態を含む、該化合物を産生する方法である。本明細書で提供される方法は、例えば、以前に報告された、その遊離塩基形態の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの合成(例えば、US 2010/0035883号を参照)と比較して、該化合物の大規模生産に適した、生成物の改善された回収、及び/又はより少ない処理工程を提供する。一実施態様では、以下の実施例で示されるように、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンのトシレート塩は、該化合物の遊離塩基及び他の塩と関連する他の固体形態の安定性を上回る安定性を有するか、又は他の有益な特性を有する結晶性形態で調製されている。本明細書に提供される実施例は、特定の異なる溶媒を用いて、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンのトシレート塩多形を形成させることができることを示している。
【0031】
(専門用語)
本明細書に示される開示の理解を容易にするために、いくつかの用語を以下に定義する。一般に、本明細書で使用される命名法、並びに本明細書に記載される有機化学、医化学、及び薬理学における検査法は、当技術分野で周知であり、かつ一般に利用されるものである。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、通常、本開示が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【表1】
【0032】
本明細書で使用される場合、「(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン」、又はその式
【化1】
に対する言及は、別途記述されない限り、又はこの言及が使用される文脈において明確にされない限り、該化合物の遊離塩基形態に対する言及である。
【0033】
(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンのトシレート塩は、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン(例えば、一実施態様では、1つの原子位置でプロトン化されているか、又は他の実施態様では、2以上の原子位置でプロトン化されている)の陽イオン、及びp-トルエンスルホン酸の陰イオン(ここで、該陰イオンは、本明細書において、「トシレート」と呼ばれる)を含むことが理解されるであろう。ある実施態様では、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩の固体形態は、約1:1の陽イオン対陰イオンモル比を含む。ある実施態様では、固体塩における該陽イオン対陰イオンモル比は、約1:1.33、約1:1.5、又は約1:2である。
【0034】
本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、用語「約」及び「およそ」は、組成物又は剤形の成分の用量、量、又は重量パーセントに関連して用いられるとき、特定の用量、量、又は重量パーセントから得られるものと等価な薬理学的効果を提供することが当業者によって認識される用量、量、又は重量パーセントを意味する。具体的には、用語「約」及び「およそ」は、この文脈で用いられるとき、特定の用量、量、又は重量パーセントの15%以内、10%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1%以内、又は0.5%以内の用量、量、又は重量パーセントを企図する。
【0035】
本明細書で使用される場合、別途特定されない限り、用語「約」及び「およそ」は、特定の固体形態を記載するために提供される数値又は値の範囲、例えば、特定の温度もしくは温度範囲、例えば、融解、脱水、脱溶媒和、もしくはガラス転移を記述しているものなど;質量変化、例えば、温度もしくは湿度の関数としての質量変化など;溶媒もしくは水含有量、例えば、質量もしくは百分率を単位とするもの;又はピーク位置、例えば、13C
NMR、DSC、TGA、及びXRPDによる分析でのものなどに関連して用いられるとき;該値又は値の範囲が、当業者に妥当とみなされる程度に逸脱し得るが、それでも該特定の固体形態を記述していることを示す。具体的には、用語「約」及び「およそ」は、この文脈で用いられるとき、数値又は値の範囲が、列挙された値又は値の範囲の5%、4%、3%、2%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、又は0.1%だけ異なり得るが、それでも該特定の固体形態を記述することを示す。
【0036】
用語「非晶質の」又は「非晶質形態」は、例えば、XRPDによって決定したときに、問題とする物質、成分、もしくは生成物が実質的に結晶性ではないこと、又は例えば、顕微鏡で見たときに、該問題とする物質、成分、もしくは生成物が複屈折性ではない場合を意味することが意図される。ある実施態様では、物質の非晶質形態を含む試料は、他の非晶質形態及び/又は結晶性形態を実質的に含まないものであってもよい。
【0037】
用語「結晶性形態」又は「結晶形態」は、化学的化合物の結晶性固体形態を指し、これには、単一成分もしくは多成分結晶形態、例えば、化合物の多形;又は化合物の溶媒和物、水和物、包接化合物、共結晶、塩、もしくはそれらの多形が含まれるが、これらに限定されない。本明細書における用語「結晶形態」及び関連用語は、所与の物質の様々な結晶性修飾を指し、これには、多形、溶媒和物、水和物、共結晶、及び他の分子複合体、並びに塩、塩の溶媒和物、塩の水和物、塩の他の分子複合体、及びそれらの多形が含まれるが、これらに限定されない。物質の結晶形態は、当技術分野で公知であるような、いくつかの方法によって得ることができる。そのような方法としては、融解再結晶化、融解冷却、溶媒再結晶化、例えば、ナノ細孔又はキャピラリー内などの閉鎖空間内での再結晶化、例えば、ポリマー上などの表面又は鋳型上での再結晶化、例えば、共結晶対分子などの添加剤の存在下での再結晶化、脱溶媒和、脱水、急速蒸発、急速冷却、緩慢冷却、蒸気拡散、昇華、粉砕、及び溶媒滴粉砕が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
結晶形態及び非晶質形態を特徴付ける技術としては、TGA、DSC、XRPD、単結晶X線回折法、振動分光法、例えば、IR及びラマン分光法、固体NMR、光学顕微鏡法、ホットステージ光学顕微鏡法、SEM、電子線結晶学及び定量的解析、PSA、表面積解析、溶解度研究、並びに溶解研究が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
本明細書で使用される場合、別途示されない限り、用語「水和物」は、非共有結合的な分子間力によって結合される化学量論的又は非化学量論的量の水をさらに含む、化合物又はその塩を意味する。本明細書で使用される場合、別途示されない限り、用語「溶媒和物」は、1以上の溶媒分子と本明細書で提供される化合物又はその塩との会合から形成される溶媒和物を意味する。用語「溶媒和物」は、水和物(例えば、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物など)を含む。(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの溶媒和物(例えば、水和物)は、結晶性又は非結晶性であることができる。
【0040】
用語「医薬として許容し得る賦形剤」は、医薬として許容し得る材料、組成物、又はビヒクル、例えば、液体もしくは固体充填剤、希釈剤、溶媒、又は封入材料を指す。一実施態様では、各々の構成要素は、医薬製剤の他の成分と適合性があり、かつ過度の毒性、刺激、アレルギー応答、免疫原性、又は他の問題もしくは合併症を伴わずに、ヒト及び動物の組織又は器官と接触させて使用するのに好適であり、妥当な利益/リスク比に見合っているという意味において「医薬として許容し得る」。例えば、Remingtonの文献:薬学の科学及び実践(The
Science and Practice of Pharmacy), 第21版;Lippincott Williams & Wilkins:Philadelphia, PA,
2005;医薬賦形剤のハンドブック(Handbook of Pharmaceutical Excipients), 第6版;Roweら編;The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical
Association:2009;医薬添加物のハンドブック(Handbook of Pharmaceutical Additives), 第3版;Ash及びAsh編;Gower
Publishing Company: 2007;医薬の予備製剤及び製剤(Pharmaceutical Preformulation and
Formulation), 第2版;Gibson編;CRC Press LLC:Boca Raton, FL, 2009を参照されたい。
【0041】
用語「多形」又は「多形形態」は、同じ分子(molecule)、分子(molecules)、又はイオンを含む2以上の結晶形態のうちの1つを指す。異なる多形は、結晶格子中の分子又はイオンの配置又は立体構造の結果として、例えば、融解温度、融解熱、溶解度、溶解速度、及び/又は振動スペクトルなどの異なる物理的特性を有し得る。多形によって示される物理的特性の相違は、貯蔵安定性、圧縮率、密度(製剤化及び製品製造において重要)、並びに溶解速度(バイオアベイラビリティにおける重要な因子)などの医薬パラメーターに影響を及ぼし得る。安定性の相違は、化学反応性の変化(例えば、剤形が、ある多形から構成される場合に、別の多形から構成される場合よりも速やかに変色するような、示差酸化)、機械的変化(例えば、錠剤は、貯蔵時に、動力学的に有利な多形が熱力学的により安定な多形に変換されるにつれて崩壊する)、又は両方(例えば、ある多形の錠剤は、高湿度での分解に対してより感受性が高い)から生じることがある。溶解度/溶解の相違の結果として、極端な場合、何らかの多形転移によって効力の欠如が生じたり、又は他の極端な場合、毒性が生じることがある。さらに、結晶性形態の物理的特性は加工において重要となることがあり;例えば、ある多形は、溶媒和物を形成する可能性がより高い場合があるか、又は濾過及び洗浄して不純物を含まないようにすることが難しい場合がある(例えば、粒子の形状及びサイズ分布は多形間で異なる場合がある)。
【0042】
本明細書で使用される場合、別途示されない限り、用語「ステレオマー的に純粋な」は、化合物の1つの立体異性体を含み、かつその化合物の他の立体異性体を実質的に含まない組成物を意味する。ある実施態様では、例えば、(8R,9S)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンを含む他の立体異性体を実質的に含まないステレオマー的に純粋な(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンが本明細書で提供される。ある実施態様では、ステレオマー的に純粋な化合物は、約80重量パーセント超の該化合物の1つの立体異性体及び約20重量パーセント未満の該化合物の他の立体異性体、約90重量パーセント超の該化合物の1つの立体異性体及び約10重量パーセント未満の該化合物の他の立体異性体、約95重量パーセント超の該化合物の1つの立体異性体及び約5重量パーセント未満の該化合物の他の立体異性体、約97重量パーセント超の該化合物の1つの立体異性体及び約3重量パーセント未満の該化合物の他の立体異性体、又は約99重量パーセント超の該化合物の1つの立体異性体及び約1重量パーセント未満の該化合物の他の立体異性体を含む。ある実施態様では、用語「ステレオマー的に純粋な」(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンは、該化合物が、およそ100重量%のこの特定の立体異性体から構成されていることを意味する。上記のパーセンテージは、該化合物の組み合わせた立体異性体の総量に基づくものである。
【0043】
本明細書で使用される場合、「純粋」である、すなわち、他の結晶性形態又は非晶質形態を実質的に含まない結晶性又は非晶質形態は、約10重量パーセント未満の1以上の他の結晶性もしくは非晶質形態、約5重量パーセント未満の1以上の他の結晶性もしくは非晶質形態、約3重量パーセント未満の1以上の他の結晶性もしくは非晶質形態、約1重量パーセント未満の1以上の他の結晶性もしくは非晶質形態、又は約0.5重量パーセント未満の1以上の他の結晶性もしくは非晶質形態を含有する。本明細書で使用される、ある文脈では、「実質的に純粋な」(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン又はその塩もしくは溶媒和物は、他の化学的化合物、例えば、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンを調製する過程で存在し得る未反応の前駆体及び副生成物を含まないことを意味することができる。他の文脈では、本明細書で使用される、 (8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン又はその塩もしくは溶媒和物の「実質的に純粋な」固体形態(例えば、結晶性形態又は非晶質形態)は、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン又はその塩もしくは溶媒和物の他の固体形態を含まないことを意味することができる。したがって、「実質的に純粋な」(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンは、ある実施態様では、約10重量%、5重量%、3重量%、2重量%、1重量%、0.75重量%、0.5重量%、0.25重量%、もしくは0.1重量%未満の該化合物の1以上の他の結晶形態及び非晶質形態並びに/又は他の化学的化合物を含むことができる。ある実施態様では、実質的に純粋である固体形態は、1以上の他の特定の結晶形態、非晶質形態、及び/又は他の化学的化合物を実質的に含まない。
【0044】
用語「対象」は、限定されないが、霊長類(例えば、ヒト)、サル、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、又はマウスを含む、動物を指す。用語「対象」及び「患者」は、例えば、ヒトなどの哺乳動物対象に関して、本明細書で互換的に使用される。
【0045】
用語「治療する」、「治療すること」、及び「治療」は、障害、疾患、もしくは状態、又は該障害、疾患、もしくは状態と関連する症状の1つもしくは複数を緩和するか又は無効にすることを含むか;或いは疾患、障害、もしくは状態、又は1以上のその症状の進行、拡大、又は悪化を遅らせることを含むことが意図される。多くの場合、対象が治療剤から得る有益な効果は、該疾患、障害、又は状態の完全な治癒をもたらさない。
【0046】
用語「治療有効量」は、投与されたときに、治療されている障害、疾患、又は状態の症状の1つもしくは複数の発症を予防するか、又は該症状の1つもしくは複数をある程度緩和するのに十分である化合物の量を含むことが意図される。用語「治療有効量」はまた、研究者、獣医、医師、又は臨床医によって求められている生物学的又は医学的応答を誘発して、例えば、PARP活性をインビボで阻害し、癌細胞の成長及び/もしくは増殖を阻害し、かつ/又は癌細胞数を減少させるのに十分である化合物の量を指す。
【0047】
本明細書で使用される場合、用語「vol」又は「vols」は、固体反応物対液体溶媒の重量/体積比を意味する。例えば、10volの溶媒中の250gの固体物質は、該物質が、10×250mL、又は2.5Lの溶媒に溶解していることを意味する。
【0048】
(実施態様)
一態様では、本明細書で提供されるのは、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンのトシレート塩である。
【0049】
いくつかの実施態様では、本明細書で提供される(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩は、結晶性形態である。いくつかの実施態様では、該結晶性形態は、溶媒和されていない。他の実施態様では、該結晶性形態は、溶媒和物である。例えば、結晶性溶媒和物形態は、水和物であってもよい。他の実施態様では、本明細書で提供される(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩は、非晶質形態である。他の実施態様では、本明細書で提供されるのは、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン又はその塩もしくは溶媒和物(例えば、本明細書中の別所で提供される塩)の固体形態(例えば、結晶性形態、非晶質形態、もしくは形態の混合物)である。一実施態様では、本明細書で提供されるのは、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン又はその塩もしくは溶媒和物の結晶性形態である。一実施態様では、本明細書で提供されるのは、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン又はその塩もしくは溶媒和物の非晶質形態である。
【0050】
ある実施態様では、本明細書で提供される(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート結晶性塩形態は、実質的に純粋である。例えば、様々な実施態様では、結晶性トシレート塩純度は、単一の結晶性形態の少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、少なくとも約99.2重量%、少なくとも約99.5重量%、少なくとも約99.6重量%、少なくとも約99.7重量%、又は少なくとも約99.8重量%であり、その総重量の残りの部分は、他の結晶性もしくは非晶質形態及び/又は他の化合物であり得る。一実施態様では、該結晶性トシレート塩は、本質的に単一成分結晶性形態又は単一多形である。別の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、第一の結晶性形態と(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの少なくとも1つの他の結晶性及び/又は非晶質形態とを含む多成分結晶性形態である。いくつかの又は任意の実施態様では、該結晶性形態は、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの非晶質形態を実質的に含まない。
【0051】
別途特定されない限り、XRPDピークが2θ角度で表される場合、銅Kα1線が使用されていることが理解されるべきである。いくつかの実施態様では、本明細書で提供される2θ角度値は、約±0.2°θの程度まで変動し得るが、それでも同じXRPDピークを記述している。
【0052】
13C固体NMRでは、ピーク位置は、信号対雑音比、ピーク幅、温度、回転速度、デカップリング効率、マジック角の設定、データ処理手順及びパラメータ、並びにソフトウェアのピーク検出アルゴリズムなどの因子によって変動することがある。さらに、ピーク位置は、化学シフト参照手順に対して相対的なものである。いくつかの異なる化学シフト参照標準を用いることができるが、必ずしも同じ結果を生むとは限らない。このため、数ppm異なるピーク位置が生じる可能性がある。しかしながら、通常、これらのピークは全て、異なる参照標準が用いられても、又は分析者によって同じ標準の参照ピーク位置に対して異なる値が用いられても、同じ方向に系統的な位置変化を有する。いくつかの実施態様では、本明細書で提供される13C固体NMRにおけるppm値は、約±0.2ppmの程度まで変動し得るが、それでも同じピークを記載している。
【0053】
ある実施態様では、表9、11、13、15、17、及び25のいずれか1つによるd-値(Å)で表されたピークから選択される1以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、もしくは10より多く;又は少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、もしくは少なくとも7つ)の特徴的なピークを含むXRPDパターンを有する(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの結晶性塩が提供される。別の実施態様では、該結晶性塩は、表9、11、13、15、17、及び25のいずれか1つによる2θ角度を有するピークから選択される1以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、もしくは10より多く;又は少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、もしくは少なくとも7つ)のXRPDピークを有するトシレート塩である。ある実施態様では、該結晶性トシレート塩は、図1、6、又は8に実質的に提供されているようなXRPDパターンを有する。
【0054】
ある実施態様では、本明細書で提供される結晶性トシレート塩は、表15に提供されているような2θ角度又はd値(Å)を有するピークから選択される1以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、もしくは10より多く;又は少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、もしくは少なくとも7つ)のXRPDピークを含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.79、5.86、4.90、4.42、4.35、3.93、及び3.70のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.79;5.86;4.90;4.65;4.42;4.35;4.13;3.93;及び3.70のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。ある実施態様では、該結晶性トシレート塩のXRPDパターンは、約11.79;5.86;4.98;4.90;4.79;4.65;4.42;4.35;4.13;3.93;3.70;及び3.58のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含む。ある実施態様では、該結晶性トシレート塩のXRPDパターンは、11.79;7.07;6.13;5.86;5.10;4.98;4.90;4.79;4.65;4.42;4.35;4.13;4.08;3.93;3.85;3.70;3.58;3.31;及び2.99を含むd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含む。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.49、15.10、18.10、20.06、20.40、22.61、及び24.01の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.49、15.10、18.10、19.08、20.06、20.40、21.49、22.61、及び24.01の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.49、15.10、17.78、18.10、18.49、19.08、20.06、20.40、21.49、22.61、24.01、及び24.84の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.49、12.50、14.44、15.10、17.38、17.78、18.10、18.49、19.08、20.06、20.40、21.49、21.76、22.61、23.05、24.01、24.84、26.93、及び29.82の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。
【0055】
ある実施態様では、該結晶性トシレート塩は、表15に提供されているような2θ角度又はd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.8、5.9、4.9、4.42、4.35、3.9、及び3.7のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.8;5.9;4.9;4.7;4.42;4.35;4.1;3.9;及び3.7のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。ある実施態様では、該XRPDパターンは、約11.8;5.9;5.0;4.9;4.8;4.7;4.42;4.35;4.1;3.9;3.70;及び3.58を含むd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含む。ある実施態様では、該XRPDパターンは、約11.8;7.1;6.1;5.9;5.1;5.0;4.9;4.8;4.7;4.42;4.35;4.1;4.1;3.9;3.9;3.7;3.6;3.3;及び3.0を含むd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含む。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.5、15.1、18.1、20.1、20.4、22.6、及び24.0の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.5、15.1、18.1、19.1、20.1、20.4、21.5、22.6、及び24.0の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.5、15.1、17.8、18.1、18.5、19.1、20.1、20.4、21.5、22.6、24.0、及び24.8の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.5、12.5、14.4、15.1、17.4、17.8、18.1、18.5、19.1、20.1、20.4、21.5、21.8、22.6、23.1、24.0、24.8、26.9、及び29.8の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。
【0056】
ある実施態様では、該結晶性トシレート塩は、表9に提供されているような2θ角度又はd値(Å)のXRPDピークを含む。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.42、15.01、17.70、18.01、18.47、18.98、19.98、20.33、21.41、22.58、23.95、及び24.76の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.42、15.01、18.01、19.98、20.33、22.58、及び23.95の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.42、15.01、17.70、18.01、19.98、20.33、21.41、22.58、23.95、及び24.76の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.90、5.90、5.01、4.92、4.44、4.37、4.15、3.93、3.71、及び3.59のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.90、5.90、5.01、4.92、4.80、4.67、4.44、4.37、4.15、3.93、3.71、及び3.59のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.90、5.90、4.92、4.44、4.37、3.93、及び3.71のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。
【0057】
ある実施態様では、該結晶性トシレート塩は、表9に提供されているような2θ角度又はd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.4、15.0、17.7、18.0、18.5、19.0、20.0、20.3、21.4、22.6、24.0、及び24.8の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.4、15.0、18.0、20.0、20.3、22.6、及び24.0の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.4;15.0;17.7;18.0;20.0;20.3;21.4;22.6;24.0;及び24.8の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.9、5.9、5.0、4.9、4.44、4.37、4.1、3.9、3.7、及び3.6のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.9、5.9、5.0、4.9、4.8、4.7、4.44、4.37、4.1、3.9、3.7、及び3.6のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.9、5.9、4.9、4.44、4.37、3.9、及び3.7のd値(Å)のXRPDピークを含む。
【0058】
他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、表11に提供されているような2θ角度又はd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.42、15.02、17.38、17.74、18.03、18.54、19.02、20.08、20.39、21.44、22.63、24.00、及び24.83の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.42、15.02、18.03、20.08、20.39、22.63、及び24.00の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.91、5.89、5.10、5.00、4.92、4.78、4.66、4.42、4.35、4.14、3.93、3.71、及び3.58のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.91、5.89、4.92、4.42、4.35、3.93、及び3.71のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。
【0059】
他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、表11に提供されているような2θ角度又はd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.4、15.0、17.3、17.7、18.0、18.5、19.0、20.1、20.4、21.4、22.6、24.0、及び24.8の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.4、15.0、18.0、20.1、20.4、22.6、及び24.0の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.9、5.9、5.1、5.0、4.9、4.8、4.7、4.42、4.35、4.1、3.9、3.7、及び3.6のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.9、5.9、4.9、4.42、4.35、3.9、及び3.7のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。
【0060】
いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、表13に提供されているような2θ角度又はd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.46、12.47、14.45、15.09、17.40、17.74、18.11、18.53、19.05、20.09、20.43、21.46、22.63、23.10、24.03、24.85、及び26.96の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.46、14.45、15.09、17.74、18.11、18.53、19.05、20.09、20.43、21.46、22.63、24.03、24.85、及び26.96の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.46、15.09、18.11、20.09、20.43、22.63、及び24.03の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.84、7.09、6.13、5.87、5.09、5.00、4.89、4.78、4,66、4.42、4.34、4.13、4.08、3.93、3.85、3.70、3.58、3.30、2.99、及び2.86のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.84、6.13、5.87、5.09、5.00、4.89、4.78、4.42、4.34、4.13、3.93、3.70、3.58、及び3.30のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.84、5.87、4.89、4.42、4.34、3.93、及び3.70のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。
【0061】
いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、表13に提供されているような2θ角度又はd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.5、12.5、14.5、15.1、17.4、17.7、18.1、18.5、19.0、20.1、20.4、21.5、22.6、23.1、24.0、24.9、及び27.0の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.5、14.5、15.1、17.7、18.1、18.5、19.0、20.1、20.4、21.5、22.6、24.0、24.9、及び27.0の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.5、15.1、18.1、20.1、20.4、22.6、及び24.0の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.8、7.1、6.1、5.9、5.1、5.0、4.9、4.8、4,7、4.4、4.3、4.13、4.08、3.9、3.8、3.7、3.6、3.3、3.0、及び2.9のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.8、6.1、5.9、5.0、4.9、4.8、4.7、4.4、4.3、4.1、3.9、3.7、3.6、及び3.3のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.8、5.9、4.9、4.4、4.3、3.9、及び3.7のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。
【0062】
いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、表17に提供されているような2θ角度又はd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.50、12.51、14.48、15.12、17.38、17.78、18.17、18.58、19.11、20.09、20.54、21.54、21.86、22.65、23.19、24.08、24.86、26.98、29.97、30.44、30.84、32.07、32.49、及び37.56の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.50、15.12、17.38、17.78、18.17、18.58、19.11、20.09、20.54、21.54、21.86、22.65、23.19、24.08、24.86、及び26.98の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.50、15.12、18.17、20.09、20.54、22.65、及び24.08の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.78、7.07、6.11、5.85、5.10、4.98、4.88、4.77、4.64、4.42、4.32、4.12、4.06、3.92、3.83、3.69、3.57、3.30、2.98、2.93、2.78、2.75、2.39のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.78、5.85、5.10、4.98、4.88、4.77、4.64、4.42、4.32、4.12、4.06、3.92、3.83、3.69、3.57、及び3.30のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.78、5.85、4.88、4.42、4.32、3.92、及び3.69のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。
【0063】
いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、表17に提供されているような2θ角度又はd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.5、12.5、14.5、15.1、17.4、17.8、18.2、18.6、19.1、20.1、20.5、21.5、21.9、22.6、23.2、24.1、24.9、27.0、30.0、30.4、30.8、32.1、32.5、及び37.6の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.5、15.1、17.4、17.8、18.2、18.6、19.1、20.1、20.5、21.5、21.9、22.6、23.2、24.1、24.9、及び27.0の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.5、15.1、18.2、20.1、20.5、22.6、及び24.1の2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.8、7.1、6.1、5.9、5.1、5.0、4.9、4.8、4.6、4.4、4.3、4.12、4.06、3.9、3.8、3.7、3.6、3.3、3.0、2.9、2.78、2.75、2.4のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.8、5.9、5.1、5.0、4.9、4.8、4.6、4.4、4.3、4.12、4.06、3.9、3.8、3.7、3.6、及び3.3のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.8、5.9、4.9、4.4、4.3、3.9、及び3.7のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。
【0064】
いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、図6に実質的に提供されているようなXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、表25に提供されているような2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.51、14.47、15.14、17.41、18.12、18.53、19.07、20.09、20.46、21.48、21.81、24.05、24.83、及び29.81の±約0.2 2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.51、14.47、15.14、20.09、21.48、及び24.05の±約0.2 2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.51、15.14、18.12、20.09、20.46、22.65、及び24.05の±約0.2
2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.51、20.09、及び24.05の±約0.2
2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.5、14.5、15.1、17.4、18.1、18.5、19.1、20.1、20.46、21.48、21.8、24.1、24.8、及び29.8の±約0.2 2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.5、14.5、15.1、20.1、21.5、及び24.1の±約0.2 2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.5、15.1、18.1、20.1、20.5、22.6、及び24.1の±約0.2
2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約7.5、20.1、及び24.1の±約0.2
2θ角度を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、表25に提供されているようなd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.8、6.1、5.9、5.1、4.9、4.8、4.6、4.4、4.3、4.1、4.1、3.7、3.6、及び3.0のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.8、6.1、5.9、4.4、4.1、及び3.7のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.8、5.9、4.9、4.4、4.3、3.9、及び3.7のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。他の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約11.8、4.4、及び3.7のd値(Å)を有するピークから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を含むXRPDパターンを有する。
【0065】
いくつかの又は任意の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、図12中のスペクトルに実質的に対応する13C
NMRスペクトルを示すか、又は表28中のピークに実質的に対応するピークを有するスペクトルを示す。いくつかの又は任意の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約166.9、164.3、162.2、160.6、151.8、149.4、143.2、140.2、139.1、136.0、131.8、129.4、128.6、127.7、123.9、116.8、115.1、112.2、105.2、100.3、58.5、45.3、37.4、及び23.9の約±0.2ppmから選択される1以上のピーク(例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又は少なくとも7つのピーク)を有する13C NMRスペクトルを示す。いくつかの又は任意の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約151.8、149.4、143.2、136.0、131.8、123.9、116.8、115.1、112.2、105.2、100.3、58.5、45.3、37.4、及び23.9の約±0.2ppmを有する13C NMRスペクトルを示す。いくつかの又は任意の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約143.2、136.0、131.8、123.9、112.2、105.2、100.3、58.5、45.3、37.4、及び23.9の約±0.2ppmを有する13C NMRスペクトルを示す。いくつかの又は任意の実施態様では、該結晶性トシレート塩は、約143.2、136.0、131.8、123.9、112.2、105.2、及び100.3の約±0.2ppmを有する13C NMRスペクトルを示す。
【0066】
いくつかの又は任意の実施態様では、該結晶性塩は、約7.4、15.1、17.4、17.8、18.1、18.5、19.1、20.1、20.4、21.5、22.6、24.0、24.8、及び27.0の2θ角度にXRPDピークを有する。いくつかの又は任意の実施態様では、該結晶性塩は、約7.4、15.1、18.1、19.1、20.1、20.4、21.5、22.6、及び24.0の2θ角度にXRPDピークを有する。いくつかの又は任意の実施態様では、該結晶性塩は、約7.4、15.1、20.1、20.4、22.6、24.0、及び24.8の2θ角度にXRPDピークを有する。いくつかの又は任意の実施態様では、該結晶性塩は、約7.4、15.1、18.1、20.1、20.4、22.6、及び24.0の2θ角度にXRPDピークを有する。
【0067】
いくつかの又は任意の実施態様では、該結晶性塩は、約11.9、5.9、5.1、5.0、4.9、4.8、4.6、4.4、4.3、4.1、3.9、3.7、3.6、及び3.3のd値(Å)のピークを含むXRPDパターンを有する。いくつかの又は任意の実施態様では、該結晶性塩は、約11.9、5.9、4.9、4.6、4.4、4.3、4.1、3.9、及び3.7のd値(Å)のピークを含むXRPDパターンを有する。いくつかの又は任意の実施態様では、該結晶性塩は、約11.9、5.9、4.4、4.3、3.9、3.7、及び3.6のd値(Å)のピークを含むXRPDパターンを有する。いくつかの又は任意の実施態様では、該結晶性塩は、約11.9、5.9、4.9、4.4、4.3、3.9、及び3.7のd値(Å)のXRPDピークを有する。
【0068】
いくつかの又は任意の実施態様では、結晶性(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレートは、
143.2、136.0、131.8、123.9、112.2、105.2、及び100.3ppm±0.2ppmのピークを有する固体13C NMRスペクトル;
d-値(Å):11.9、5.9、4.9、4.4、4.3、3.9、及び3.7で表される特徴的なピークを含むX線回折パターン;並びに
7.4、15.1、18.1、20.1、20.4、22.6、及び24.0の2θ角度±0.2 2θ角度のピーク反射率を含むX線回折パターン
のうちの少なくとも1つを示す結晶性多形である。
【0069】
いくつかの実施態様では、該結晶性トシレート塩は、示差走査熱量測定において室温~約350℃で単一の吸熱ピークを示し、その場合、該単一の吸熱ピークの最大値は、約320℃~約335℃で生じる。ある実施態様では、該単一の吸熱ピークの最大値は、約330℃~約335℃で生じる。いくつかの実施態様では、該単一の吸熱ピークの最大値は、約333℃~約334℃で生じる。
【0070】
ある実施態様では、本明細書で提供される(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの結晶性トシレート塩は、DSCで決定したとき、約25℃~約250℃で観察可能な吸熱を有さない。ある実施態様では、本明細書で提供される(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの結晶性トシレート塩は、約320℃~約335℃、330℃~約335℃、又は約333℃~約334℃で最大値を有する吸熱を含むDSCサーモグラムを有する。ある実施態様では、本明細書で提供される(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの結晶性トシレート塩は、図2a、3a、4a、5a、又は7aのDSCサーモグラフに実質的に対応するDSCサーモグラムを有する。
【0071】
ある実施態様では、本明細書で提供される(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの結晶性トシレート塩は、図9のDVS等温線プロットに実質的に対応するDVS等温線プロットを有する。ある実施態様では、本明細書で提供される(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの結晶性トシレート塩は、約0%~約95%相対湿度で顕著な重量変化を示さない(例えば、約0.05wt%未満、約0.1wt%未満、約0.15wt%未満、又は約0.2wt%未満)。
【0072】
ある実施態様では、本明細書で提供される(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの結晶性トシレート塩は、図2b、3b、4b、5b、又は7bのTGAサーモグラフに実質的に対応するTGAサーモグラムを有する。ある実施態様では、本明細書で提供される(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの結晶性トシレート塩は、約室温から約200℃、約210℃、約220℃、約230℃、約240℃、約250℃、約260℃、約270℃、約280℃、約290℃、約300℃、約310℃、約320℃、又は約320℃超の温度に加熱したときに、顕著な重量損失を示さない(例えば、約0.05wt%未満、約0.1wt%未満、約0.5wt%未満、約1wt%未満、約5wt%未満、約10wt%未満、約15wt%未満、約20wt%未満、又は約25wt%未満)TGAサーモグラムを有する。様々な実施態様では、本明細書で提供される結晶性トシレート塩は、約25℃~約200℃の熱重量サーモグラムにおいて約1%を超えない、約0.5%を超えない、又は約0.1%を超えない重量損失を有する。
【0073】
ある実施態様では、本明細書で提供される(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの結晶性トシレート塩は、溶媒和されていない。ある実施態様では、本明細書で提供される(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの結晶性トシレート塩は、非晶質である。ある実施態様では、本明細書で提供される(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの結晶性トシレート塩は、熱的に安定である。ある実施態様では、本明細書で提供される(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの結晶性トシレート塩は、非吸湿性である。
【0074】
ある実施態様では、本明細書で提供される(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの結晶性トシレート塩は、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの結晶性トシレート塩を含む医薬組成物又は薬物製品の調製、加工、及び/又は貯蔵のための望ましい特徴を示す。
【0075】
別の態様では、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンを合成する方法が提供される。スキームAは、合成方法の例示的な概略を提供する。その様々な実施態様では、該方法は、3つの工程を含み、その第一は、メチル5-フルオロ-2-(2-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)アセチル)-3-ニトロベンゾエート、すなわち、
【化2】
を、4-フルオロベンズアルデヒドと、1以上の工程(a)の溶媒及び塩化チタン(III)を含む混合物中で接触させて、第一の中間体(スキームA中のb)を生成させることである。ある実施態様では、該1以上の工程(a)の溶媒は、例えば、6部のTHF対1部のMeOHという容積対容積比のTHF及びMeOHから選択される。塩化チタン(III)を、0℃~室温で第一の反応混合物に添加することができる。
【化3】
【0076】
いくつかの実施態様では、メチル5-フルオロ-2-(2-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)アセチル)-3-ニトロベンゾエート、1以上の工程(a)の溶媒、及び塩化チタン(III)を含む反応混合物を約30℃~約50℃の温度で撹拌する。
【0077】
提供される合成方法の第二の工程(工程(b))は、キラル分離によって、第一の中間体(b)のエナンチオマー(c)を単離することである。第一の中間体(b)のそのエナンチオマーへのキラル分割は、当業者に公知の任意の方法によって、例えば、高速液体クロマトグラフィー及び超臨界流体クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー法によって実施することができる。スキームAでcと示されているエナンチオマーは、該合成方法の第二の工程で単離することができる。
【0078】
該合成方法の第三の工程(工程(c))は、第一の中間体(b)の単離されたエナンチオマー(c)を1以上の工程(c)の溶媒及びヒドラジン一水和物と接触させて、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンを生成させることを含む。ある実施態様では、該1以上の工程(c)の溶媒は、メタノール、エタノール、及びアセトニトリルから独立に選択される。ある実施態様では、該工程(c)の溶媒は、メタノールである。ある実施態様では、該工程(c)の溶媒は、エタノールである。他の実施態様では、該工程(c)の溶媒は、アセトニトリルである。通常、該第三の工程を室温で実施して、反応を一晩進行させておくことができる。
【0079】
或いは、中間体bを、溶媒、例えば、メタノール、エタノール、又はアセトニトリル、及びヒドラジン一水和物で処理して、5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンを生成させ、その後、これを、キラル分割によって、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンに分割する。キラル分割は、当業者に公知の任意の方法によって、例えば、高速液体クロマトグラフィー、超臨界流体クロマトグラフィー、及び疑似移動床クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー法によって実施することができる。
【0080】
別の態様では、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩を調製する方法が提供される。本明細書で提供されるトシレート塩を調製する方法は、該トシレート塩の大規模生産に適しており、GMP要件を満たすことができる。
【0081】
ある実施態様では、該調製方法は、1以上の溶媒中の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの遊離塩基をp-トルエンスルホン酸と接触させ、該1以上の溶媒を除去して、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩を生成させることを含む。ある実施態様では、該遊離塩基は、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンを合成する本明細書に記載の方法によって得られる。
【0082】
該トシレート塩形態の調製方法のいくつかの又は任意の実施態様では、遊離塩基を、THF、アセトン、メタノール、アセトニトリル、及びDCMから独立に選択される1以上の溶媒に懸濁又は溶解させる。トシレート塩形態の調製方法のある実施態様では、遊離塩基を、メタノール及びアセトニトリルの混合物に懸濁又は溶解させる。トシレート塩形態の調製方法のある実施態様では、遊離塩基を、DCM及びアセトニトリルの混合物に懸濁又は溶解させる。トシレート塩形態の調製方法のある実施態様では、遊離塩基を、アセトン及びTHFの混合物に懸濁又は溶解させる。トシレート塩形態の調製方法のある実施態様では、遊離塩基をアセトンに懸濁又は溶解させる。トシレート塩形態の調製方法のある実施態様では、遊離塩基を、THFに懸濁又は溶解させる。トシレート塩形態の調製方法のある実施態様では、遊離塩基を、THF、アセトン、メタノール、アセトニトリル、及びDCMから独立に選択される1以上の溶媒に懸濁又は溶解させ、加熱した後に、TsOHを添加する。トシレート塩形態の調製方法のある実施態様では、遊離塩基を、アセトン及びTHFの混合物に懸濁又は溶解させ、加熱した後に、TsOHを添加する。いくつかの実施態様では、遊離塩基を、THFから本質的になる溶媒に懸濁させる。トシレート塩形態の調製方法のある実施態様では、遊離塩基をTHFに懸濁又は溶解させ、加熱した後に、TsOHを添加する。
【0083】
いくつかの又は任意の実施態様では、p-トルエンスルホン酸を1以上の溶媒に溶解又は懸濁させ、その後、第二の組の1以上の溶媒に懸濁又は溶解されている遊離塩基に添加する。いくつかの又は任意の実施態様では、遊離塩基を1以上の溶媒に溶解又は懸濁させ、その後、第二の組の1以上の溶媒に懸濁又は溶解されているp-トルエンスルホン酸に添加する。
【0084】
いくつかの又は任意の実施態様では、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンを高温でp-トルエンスルホン酸と接触させる。いくつかの又は任意の実施態様では、TsOH及び遊離塩基を、約0℃~約70℃の温度で接触させることができる。通常、遊離塩基は、TsOHと接触させたときに、約20℃~55℃の温度を有する。いくつかの又は任意の実施態様では、温度が、約30℃~約70℃、約25℃~約30℃、約30℃~約40℃、約40℃~約50℃、約50℃~約60℃、約60℃~約70℃、又は約48℃~約58℃であるときに、遊離塩基をTsOHと接触させる。当業者に公知の方法に従って溶媒を除去し、塩を乾燥させることができる。
【0085】
いくつかの又は任意の実施態様では、遊離塩基をTsOHと接触させた後、得られる溶液/懸濁液を、結晶性形態を沈殿させるのに十分な条件下で静置しておき、該結晶性形態を単離する。いくつかの又は任意の実施態様では、該結晶性形態を沈殿させるのに十分な条件は、冷却することを含む。いくつかの又は任意の実施態様では、該結晶性形態を沈殿させるのに十分な条件は、25℃以下に冷却することを含む。
【0086】
本明細書で提供される方法に加えて、本明細書で提供される(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの固体形態は、限定されないが、融解冷却、急速融解冷却、フリーズドライ、噴霧乾燥、ローラー乾燥、凍結乾燥、融解物の急速冷却、急速溶媒蒸発、緩慢溶媒蒸発、溶媒再結晶化、スラリー再結晶化、融解結晶化、脱溶媒和、昇華、閉鎖空間内(例えば、ナノ細孔又はキャピラリー内)での再結晶化、表面又は鋳型上(例えば、ポリマー上)での再結晶化、添加剤(例えば、共結晶対分子)の存在下での再結晶化、脱水、急速冷却、緩慢冷却、蒸気拡散、粉砕、凍結粉砕、溶媒滴粉砕、マイクロ波誘導沈殿、超音波処理誘導沈殿、レーザー誘導沈殿、及び超臨界流体からの沈殿を含む、当技術分野で公知の技術を用いて調製することもできる。
【0087】
別の態様は、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩を調製する方法であって、
工程(1):THF、アセトン、メタノール、アセトニトリル、及びDCMから独立に選択される1以上の工程1の溶媒の存在下、高温で、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンをp-トルエンスルホン酸と接触させること;
工程(2):該結晶性形態を沈殿させるのに十分な条件下で静置させておくこと;並びに
工程(3):該結晶性形態を単離すること
を含む、方法である。いくつかの又は任意の実施態様では、該高温は、約30℃~約70℃である。いくつかの又は任意の実施態様では、該1以上の工程1の溶媒は、メタノール及びアセトニトリルから独立に選択される。いくつかの又は任意の実施態様では、該1以上の工程1の溶媒は、DCM及びアセトニトリルから独立に選択される。いくつかの又は任意の実施態様では、該1以上の工程1の溶媒は、アセトン及びTHFから独立に選択される。いくつかの又は任意の実施態様では、該工程1の溶媒は、アセトンである。いくつかの又は任意の実施態様では、該工程1の溶媒は、THFである。いくつかの又は任意の実施態様では、該結晶性形態を沈殿させるのに十分な条件は、冷却することを含む。いくつかの又は任意の実施態様では、該結晶性形態を沈殿させるのに十分な条件は、25℃以下に冷却することを含む。いくつかの又は任意の実施態様では、該方法は、
工程(a): 下記化合物
【化4】
を、4フルオロベンズアルデヒドと、1以上の工程(a)の溶媒及び塩化チタン(III)を含む混合物中で接触させて、第一の中間体を生成させること;
工程(b):キラル分離によって、該第一の中間体のエナンチオマーを単離すること;並び

工程(c):該第一の中間体の単離されたエナンチオマーを、1以上の工程(c)の溶媒中でヒドラジン一水和物と接触させて、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンを生成させること
をさらに含む。
いくつかの又は任意の実施態様では、該第一の中間体の単離されたエナンチオマーを、メタノール、エタノール、及びアセトニトリルから独立に選択される1以上の工程(c)の溶媒中でヒドラジン一水和物と接触させる。いくつかの又は任意の実施態様では、該1以上の工程(a)の溶媒は、THF及びメタノールから独立に選択される。いくつかの又は任意の実施態様では、該方法は、
工程(x): 下記化合物
【化5】
を、ヒドラジン一水和物と、1以上の工程xの溶媒中で接触させて、5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンを生じさせること;及び
工程(y):(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンをキラル分離によって単離すること
をさらに含む。いくつかの又は任意の実施態様では、該1以上の工程(x)の溶媒は、メタノール、エタノール、及びアセトニトリルから独立に選択される。
【0088】
ある実施態様では、先行段落に記載の方法に従って、又は以下の実施例に実質的に記載されているように調製される(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩が提供される。例えば、いくつかの実施態様では、テトラヒドロフラン(THF)から本質的になる溶媒から結晶化される(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンのトシレート塩が提供される。
【0089】
いくつかの又は任意の実施態様では、該トシレート塩は、TGAによって、約280℃の温度又はそれより低い温度で2%未満の熱重量損失を示す。
【0090】
いくつかの又は任意の実施態様では、該トシレート塩は、RH 0%~RH
95%、約25℃でのDVSにおいて約1%未満のヒステリシス値を示す。
【0091】
(医薬組成物を含む組成物)
さらに別の態様では、実質的に純粋な(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩、別の実施態様では、本明細書で提供されるその結晶性形態のものを含むか、又はこれらから本質的になる組成物が提供される。
【0092】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載のその結晶性形態を含む、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンのトシレート塩、並びに医薬として許容し得る賦形剤及び/又は担体を含む医薬組成物が提供される。賦形剤の選択は、特定の投与様式、活性成分の溶解性及び安定性に対する賦形剤の効果、並びに剤形の性質などの因子に大きく左右される。
【0093】
本明細書で提供される医薬組成物は、単位剤形又は複数剤形で提供することができる。本明細書で使用される単位剤形は、ヒト及び動物対象への投与に好適であり、かつ当技術分野で公知のように個々に包装された物理的に個別の単位を指す。各々の単位用量は、必要とされる医薬担体又は賦形剤と関連して、所望の治療効果をもたらすのに十分な所定の分量の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩を含有する。単位剤形の例としては、アンプル、シリンジ、並びに個々に包装された錠剤及びカプセル剤が挙げられる。単位剤形は、その分数又は倍数で投与してもよい。複数剤形は、分離された単位剤形で投与されるように単一の容器に包装された複数の同一の単位剤形である。複数剤形の例としては、バイアル、錠剤もしくはカプセル剤の瓶、又はパイント瓶もしくはガロン瓶が挙げられる。
【0094】
単位剤形中の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩の量は、例えば、約5μg~約1500μg、約20μg~約1250μg、約25μg~約1000μg、又は約25μg~約250μgであることができる。いくつかの実施態様では、単位剤形中の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩の量(ここで、以下のものは、該塩のトシレート部分によって寄与される質量を含まない)は、約5μg~約30μg、約20μg~約60μg、約50μg~約100μg、約120μg~約250μg、約20μg~約112μg、又は約25μg~約250μgの(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンを含む。ある実施態様では、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの量は、約10μg、約20μg、約25μg、約30μg、約50μg、約75μg、約100μg、約150μg、約200μg、約250μg、又は約1000μgである。
【0095】
(経口剤形)
ある実施態様では、本明細書で提供される医薬組成物を、対象への経口投与用に製剤化する。経口投与に好適な医薬組成物は、限定されないが、錠剤、チュアブル錠、カプレット剤、カプセル剤、及び液体(例えば、フレーバーシロップ)などの、個別の剤形として提示することができる。そのような剤形は、所定量の活性成分を含有しており、当業者に周知の調剤学の方法によって調製することができる。一般に、Remingtonの医薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences), 第18版, Mack
Publishing, Easton PA(1990)を参照されたい。
【0096】
例えば、本明細書で提供される経口剤形は、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩、一実施態様では、本明細書で提供されるその結晶性形態のもの(以後、「活性成分」)を、少なくとも1つの賦形剤との密な混合物として、従来の医薬配合技術に従って組み合わせることによって調製することができる。賦形剤は、投与に望ましい調製物の形態に応じて、多種多様な形態を取ることができる。その投与の容易さのために、錠剤及びカプセル剤は、最も有利な経口投薬単位形態であり、その場合、固体賦形剤が利用される。所望の場合、錠剤は、標準的な水性又は非水性技術によってコーティングすることができる。そのような剤形は、調剤学の方法のいずれかによって調製することができる。一般に、医薬組成物及び剤形は、活性成分を、液体担体、微粉化固体担体、又はその両方と均一にかつ密に混合し、その後、必要であれば、生成物を所望の体裁に成形することによって調製される。崩壊剤又は潤滑剤を本発明の医薬組成物及び剤形中で用いることができる。本発明による医薬組成物又は剤形の生成は、治療薬成分の他に、限定されないが、希釈剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、着色料、香料、甘味剤など、及びこれらの混合物を含む、賦形剤又は添加剤を必要とする場合がある。これらの及びその他の添加剤の組み込みによって、種々の剤形(例えば、錠剤、カプセル剤、カプレット剤、トローチ剤など)を作製することができる。これらには、例えば、硬ゼラチンカプセル剤、カプレット剤、糖衣錠、腸溶性錠剤(例えば、作用を遅らせるため)、多重圧縮錠、持効性錠剤、溶液用の錠剤、発泡錠、バッカル錠及び舌下錠、トローチ剤などが含まれる。投与形態又は投薬製剤は、当技術分野で周知の方法によって形成させることができる。例えば、Remingtonの医薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences), 第16版及び第18版, Mack Publishing社,
Easton, Pa(1980及び1990)を参照されたい。米国薬局方XXI(U.S. Pharmacopeia XXI), U.S. Pharmacopeia
Convention社, Rockville, Md.(1985)も参照されたい。
【0097】
(その他の剤形)
ある実施態様では、本明細書で提供される医薬組成物は、非経口剤形で製剤化することができる。非経口剤形は、限定されないが、皮下、静脈内(ボーラス注射を含む)、筋肉内、及び動脈内を含む、様々な経路によって患者に投与することができる。それらの投与は、通常、汚染物質に対する患者の自然防御を回避するので、非経口剤形は、いくつかの実施態様では、滅菌性であるか、又は患者に投与する前に滅菌することができる。非経口剤形の例としては、すぐに注射可能な溶液、注射用の医薬として許容し得るビヒクルにすぐに溶解又は懸濁可能な乾燥製品、すぐに注射可能な懸濁液、及びエマルジョンが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で提供される非経口剤形を提供するために用いることができる好適なビヒクルは、当業者に周知である。
【0098】
さらに他の実施態様では、本明細書で提供される医薬組成物は、経皮、局所、又は粘膜剤形で製剤化することができる。本明細書で提供される経皮、局所、及び粘膜剤形としては、点眼液、スプレー、エアロゾル、クリーム、ローション、軟膏、ゲル、溶液、エマルジョン、懸濁液、又は当業者に公知の他の形態が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Remingtonの医薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences), 第16版及び第18版, Mack Publishing, Easton PA(1980及び1990);並びに医薬剤形入門(Introduction
to Pharmaceutical Dosage Forms), 第4版, Lea & Febiger, Philadelphia(1985)を参照されたい。好適な賦形剤(例えば、担体及び希釈剤)、並びに本開示によって包含される経皮、局所、及び粘膜剤形を提供するために用いることができる他の材料は、医薬分野の当業者に周知であり、所与の医薬組成物又は剤形が適用される特定の組織によって決まる。
【0099】
(治療方法)
本明細書で提供されるのは、以下に説明するような、疾患もしくは状態、又はその症状の治療方法である。
【0100】
いくつかの又は任意の実施態様では、本明細書で提供されるのは、対象における疾患もしくは状態、又はその症状の治療のための(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩の使用である。
【0101】
いくつかの又は任意の実施態様では、癌、又はその症状を治療する方法であって、癌を有する対象に、治療有効量の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩を投与することを含む、方法。
【0102】
いくつかの又は任意の実施態様は、そのような治療の必要性が認識されている対象における細胞傷害性癌療法の増強方法であって、該対象に、治療的に許容し得る量の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0103】
いくつかの又は任意の実施態様では、本明細書で提供されるのは、癌の治療方法であって、治療を必要とする対象に、治療有効量の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩を、電離放射線及び/又は1以上の化学療法剤と組み合わせて投与することを含む、方法である。いくつかの又は任意の実施態様では、本明細書に記載の化合物は、電離放射線及び/又は1以上の化学療法剤と同時に投与される。いくつかの又は任意の実施態様では、本明細書に記載の化合物は、電離放射線及び/又は1以上の化学療法剤と連続的に投与される。電離放射線及び化学療法剤は、当業者に公知である。
【0104】
いくつかの又は任意の実施態様では、治療剤(複数可)は、アルキル化剤、例えば、メタンスルホン酸メチル(MMS)、テモゾロミド、及びダカルバジン(DTIC);トポイソメラーゼ-1阻害剤、例えば、トポテカン、イリノテカン、ルビテカン、エキサテカン、ルートテカン、ギメテカン(Gimetecan)、ジフロモテカン(ホモカンプトテシン)、7-置換非シラテカン、7-シリルカンプトテシン(BNP 1350)、SN38、SN-38のNK012(ブロックコポリマーPEG-PGluへの共有結合的付着と、それに続く、水性媒体中での両親媒性ブロックコポリマーの自己集合によって構築されるSN-38放出ナノ装置)、及びXR 11576/MLN 576;アレムツズマブ;三酸化ヒ素;アスパラギナーゼ(ペグ化又は非-);ベバシズマブ;セツキシマブ;プラチナベースの化合物、例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、及び四硝酸トリプラチン;クラドリビン;ダウノルビシン;ドキソルビシン;イダルビシン;フルダラビン;5-フルオロウラシル;ゲムツズマブ;メトトレキサート;Paclitaxel(商標);タキソール;テモゾロミド;チオグアニン;ホルモン療法、例えば、抗エストロゲン剤、抗アンドロゲン剤、及びゴナドトロピン放出ホルモン類似体;インターフェロン、例えば、アルファインターフェロン;ナイトロジェンマスタード、例えば、ブスルファン、メルファラン、及びメクロレタミン;レチノイド、例えば、トレチノイン;チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、ゲフィニチニブ(gefinitinib)及びイマチニブ;プロテアソーム阻害剤、例えば、ボルテゾミブ;又はアロプリノール、フィルグラスチム、グラニセトロン/オンダンセトロン/パロノセトロン、及びドロナビノールを含む、そのような治療によって誘発される兆候もしくは症状を治療する薬剤である。
【0105】
いくつかの又は任意の実施態様では、提供されるのは、癌の治療方法であって、治療を必要とする対象に、治療有効量の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩を、トポイソメラーゼ阻害剤と組み合わせて投与することを含む、方法である。いくつかの又は任意の実施態様では、トポイソメラーゼ阻害剤は、SN38、イリノテカン、又はNK012である。いくつかの又は任意の実施態様では、トポイソメラーゼ阻害剤はイリノテカンである。いくつかの又は任意の実施態様では、癌は乳癌である。
【0106】
いくつかの又は任意の実施態様では、提供されるのは、癌の治療方法であって、治療を必要とする対象に、治療有効量の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩を、プラチンと組み合わせて投与することを含む、方法である。いくつかの又は任意の実施態様では、プラチンは、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、又は四硝酸トリプラチンである。いくつかの又は任意の実施態様では、トポイソメラーゼ阻害剤はシスプラチンである。いくつかの又は任意の実施態様では、癌は乳癌である。
【0107】
いくつかの又は任意の実施態様では、提供されるのは、癌の治療方法であって、治療を必要とする対象に、治療有効量の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩を、テモゾロミドと組み合わせて投与することを含む、方法である。いくつかの又は任意の実施態様では、癌は結腸直腸癌である。
【0108】
いくつかの実施態様では、本明細書で提供されるのは、相同組換え(HR)依存的DNA二本鎖切断(DSB)修復経路が欠損している癌の治療方法であって、治療を必要とする対象に、治療有効量の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩を投与することを含む、方法である。ある実施態様では、癌は、正常細胞と比べて、HRによるDNA
DSB修復能力が低下しているか又は無効になっている1以上の癌細胞を含む。いくつかの実施態様では、該癌細胞は、BRCA1又はBRCA2欠損表現型を有する。いくつかの実施態様では、該癌細胞は、BRCA1又はBRCA2が欠損している。いくつかの実施態様では、本明細書で提供される方法は、HR依存的DNA
DSB修復経路の構成要素をコードする遺伝子の突然変異についてヘテロ接合性である個体の治療を含む。ある実施態様では、該個体は、BRCA1及び/又はBRCA2の突然変異についてヘテロ接合性である。
【0109】
ある実施態様では、治療されるべき癌は、ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)欠損細胞(例えば、PTENが突然変異しているか、又はその発現が最小限であるかもしくは欠如している細胞)を含む。ある実施態様では、治療されるべき癌は、PTEN遺伝子突然変異を有する細胞を含む。PTEN欠損と関連する例示的な癌としては、例えば、膠芽腫、子宮内膜癌、前立腺癌、肺癌、及び乳癌を挙げることができる。
【0110】
ある実施態様では、治療されるべき癌は、Wntシグナル伝達経路の活性化突然変異に起因する癌(「Wnt媒介性癌」)である。「Wntシグナル伝達経路の活性化突然変異」によって、例えば、癌細胞におけるβ-カテニンの蓄積をもたらす遺伝子の癌遺伝子突然変異、CTNNB1遺伝子(これは、β-カテニンをコードする)の機能獲得型突然変異、APC腫瘍抑制遺伝子の突然変異、又はAXIN2遺伝子の突然変異を含むことを意図することが理解される。例えば、及び任意の理論又は機構に限定されることを意図するものではないが、Wnt媒介性癌の有用な治療は、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ活性を有する酵素であるタンキラーゼを阻害することによって得られると考えられる。本明細書で提供される方法に従って治療することができる例示的なWnt媒介性癌としては、例えば、膀胱癌、乳房線維腫症、子宮頸癌(cervical cancer)、結腸直腸癌、結腸癌、類腱腫、食道腺癌、家族性大腸腺腫症、胃底腺ポリープ、胃癌、胃腺腫、消化管カルチノイド腫瘍、肝芽腫、肝細胞癌、若年性鼻咽頭血管線維腫、非ホジキンリンパ腫、肺腺癌、髄芽腫、黒色腫、卵巣癌、膵癌(例えば、非膵管充実性偽乳頭腫瘍及び非膵管腺房細胞(acinal cell)癌を含む)、膵芽腫(pancreoblastoma)、石灰化上皮腫、前立腺癌、小腸腺癌、滑膜肉腫、甲状腺癌、子宮頸癌(uterine cervical cancer)、子宮内膜癌、並びにウィルムス腫瘍が挙げられる。
【0111】
本明細書で提供される癌、又はその症状の治療方法のいくつかの実施態様では、癌は、膀胱癌、乳癌(転移性、BRCA陽性、及びBRCA陰性を含む)、子宮頸癌、結腸癌、結腸直腸癌、EBV関連腫瘍(バーキットリンパ腫、鼻咽腔癌、AIDS患者のリンパ腫、AIDS患者の平滑筋腫瘍、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、免疫抑制患者のリンパ増殖性疾患、免疫抑制患者の平滑筋肉腫、EBV+胃癌、EBV+乳癌、T細胞リンパ腫を含む)、子宮内膜癌(癌腫及び肉腫を含む)、消化管間質腫瘍、神経膠腫、膠芽腫(例えば、多形性膠芽腫及び退形成性星細胞腫を含む)、頭頸部癌、肝細胞癌、遺伝性非腺腫性結腸癌(HNPCC)、腎臓癌、白血病(急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病を含む)、肺癌(非小細胞肺癌、小細胞肺癌を含む)、リンパ腫(マントル細胞リンパ腫を含む)、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、骨髄異形成症候群、卵巣癌(進行性、高悪性度漿液性、プラチナ感受性、プラチナ抵抗性、プラチナ不応性、及びBRCA陰性を含む)、膵癌(BRCA陰性を含む)、腹膜癌、前立腺癌(BRCA陰性、転移性、及び去勢抵抗性を含む)、腎癌、甲状腺癌、子宮癌肉腫、又は子宮癌である。
【0112】
ある実施態様では、本明細書で提供されるのは、PTEN欠損と関連する疾患もしくは状態、又はその症状を治療する方法であって、PTEN欠損と関連する疾患又は状態を有する対象に、治療有効量の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩を投与することを含む、方法である。PTEN欠損と関連する例示的な疾患及び状態としては、例えば、コーデン症候群、バナヤン-ライリー-ルバルカバ症候群、レルミット-デュクロス病、プロテウス症候群、プロテウス様症候群、又は過誤腫腫瘍症候群が挙げられる。
【0113】
ある実施態様は、そのような治療の必要性が認識されている対象における関節炎、痛風、炎症性腸疾患、CNS炎症、多発性硬化症、アレルギー脳炎、敗血症、敗血性ショック、出血性ショック、肺線維症、及びブドウ膜炎を含むが、これらに限定されない、炎症性疾患を治療する方法であって、該対象に、治療的に許容し得る量の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0114】
ある実施態様は、そのような治療の必要性が認識されている対象における関節リウマチ及び敗血性ショックなどの免疫学的疾患又は障害を治療する方法であって、該対象に、治療的に許容し得る量の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0115】
ある実施態様は、そのような治療の必要性が認識されている対象における、限定されないが、糖尿病及びパーキンソン病を含む、変性疾患を治療する方法であって、該対象に、治療的に許容し得る量の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0116】
この使用のある実施態様では、投与される(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩の正確な量は、患者の健康状態、重量などによって決まる。いくつかの実施態様では、介護者がそのような治療有効量をルーチンの実験(例えば、用量漸増臨床試験)によって決定することが適切であると考えられる。ある実施態様では、患者で使用される場合、この使用のための有効量は、疾患、障害、又は状態の重症度及び経過、過去の治療、患者の健康状態及び薬物に対する応答、並びに治療医の判断によって決まる。
【0117】
上で提供されているものを含む、本明細書で提供される治療方法のある実施態様では、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩を固体形態で投与することができる。いくつかの実施態様では、該塩を結晶性形態で投与することができる。
【0118】
本明細書で提供される治療方法のある実施態様では、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩を、約1週間、約2週間、約3週間、約1カ月、約2カ月、又は約6カ月のレジメンで対象に投与する。いくつかの実施態様では、該トシレート塩を、該レジメンで毎日投与する。他の実施態様では、該トシレート塩を、週に2日間、3日間、もしくは4日間投与し、その間に、該トシレート塩を投与しない週間レジメンの日を挟むか、又はその後に、該トシレート塩を投与しない週間レジメンの日を置く。
【0119】
場合によっては、患者の状態は、結晶性形態を含む、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩の投与後に好転しないか、又は顕著には好転せず、患者の疾患又は状態の症状を寛解させるか、又は別の形で制御もしくは制限するために、医師の裁量で、該化合物の投与が、任意に、持続的に、すなわち、患者の一生涯を含む、長い期間にわたって施される。
【0120】
患者の状態が好転しないか、又は実質的に好転しない場合には、医師の裁量で、活性成分の投与が、任意に、継続的に与えられるか;或いは、投与されている薬物の用量が、任意に、一時的に減らされるか、又はある特定の期間、一時的に延期される(すなわち、「休薬期間」)。ある実施態様では、休薬期間の長さは、2日~1年と様々であり、ほんの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、又は365日が挙げられる。
【0121】
ある実施態様では、有効量に相当する(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩の量は、特定の化合物、疾患又は状態及びその重症度、治療を必要とする対象又は宿主の個性(例えば、重量)などの因子によって異なる。いくつかの実施態様では、有効量は、それでも、例えば、投与される具体的な薬剤、投与の経路、治療されている状態、及び治療されている対象又は宿主を含む、その症例を取り巻く特定の状況によって決定される。しかしながら、ある実施態様では、成人の治療に利用される用量は、1日当たり約5~約8000μg、特定の実施態様では、1日当たり約10~約5000μgの範囲である。ある実施態様では、投与されるべき(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩の量は、約50μg~約5000μg、約50μg~約1500μg、約50μg~約1000μg、約50μg~約500μg、約50μg~約250μg、約50μg~約200μg、約50μg~約150μg、約50μg~約100μg、約25μg~約2500μg、約25μg~約1000μg、約25μg~約250μg、約25μg~約150μg、又は約25μg~約75μgである。様々な実施態様では、所望の用量は、単一用量で、或いは同時に(もしくは短時間かけて)又は適当な間隔で投与される分割用量として、例えば、1日当たり2回、3回、4回、又はそれより多くのサブ用量として、好都合に提示される。
【0122】
ある実施態様では、本明細書に記載の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩に適した1日投薬量は、約0.1~約200μg/kg体重である。ある実施態様では、該1日投薬量は、約0.3~約3.0μg/kg体重である。いくつかの実施態様では、限定されないが、ヒトを含むより大きい対象での適応とされる1日投薬量は、限定されないが、1日当たり最大4回を含む分割用量で、又は持続放出形態で好都合に投与される、約25~約8000μgの範囲である。ある実施態様では、経口投与用の好適な単位剤形は、上記のものを含む。個々の治療レジメンに関する変数の数が多く、これらの推奨値からの相当な逸脱が珍しくないので、前述の範囲は、単に示唆的なものである。ある実施態様では、該投薬量は、使用される化合物の活性、治療されるべき疾患又は状態、投与の様式、個々の対象の要件、治療されている疾患又は状態の重症度、及び医師の判断に限定されない、いくつかの変数に応じて変更される。
【実施例0123】
(実施例)
(方法及び手順)
以下で使用される試薬及び溶媒は、Aldrich Chemical社(Milwaukee, Wis., USA)などの市販供給源から入手することができる。ルーチンの化学分析は、NMR、MS、及びHPLCを用いて実施した。顕著なNMRピークは化学シフトによって示し、多重度(s、一重線;d、二重線;t、三重線;q、四重線;m、多重線;br s、幅の広い一重線)及びプロトンの数で表示した。質量分析データは、親イオンの質量、Mに関して提供する。HPLCデータは、純度パーセントとして提供する。
【0124】
別途記述されない限り、XRPDパターンは、Bruker D8 Advance回折計(Bruker AXS社, Madison, WI, USA)で取得した。試料を、ゼロバックグラウンドのシリコンの挿入試料ホルダー上に、穏やかに平坦化した。4°~40°の連続2θ走査範囲を、Cu Kα(λ
1.54056Å)線源並びに40kV及び40mAの発電機出力とともに用いた。1秒/ステップのステップ時間で0.05度/ステップの2θステップサイズを用いた。実験は、室温及び周囲湿度で実施した。標準誤差は、約0.2 2θ角度であった。XRPDパターン中に同定されたピークの全リスト、又はそのサブセットは、得られた多形(複数可)を特徴付けるのに十分であり得る。
【0125】
別途記述されない限り、DSCサーモグラムは、TA Instruments Q2000示差走査熱量計(New
Castle, DE, USA)を用いて取得した。試料を直接アルミニウムDSCパンに量り入れた。手で圧力をかけ、パンの各部を押し付けることによって、このパンを密封した(ルースリッド構造としても知られる)。以下に記述する場合を除いて、温度を、10.00℃/分で25.00℃から400.00℃に上昇させた。DSC図では、発熱事象が上向きにプロットされている。
【0126】
別途記述されない限り、TGAサーモグラムは、TA Instruments Q500熱重量分析器(New Castle,
DE, USA)を用いて取得した。試料をパンに量り入れた。以下に記述する場合を除いて、温度を、10.00℃/分で25.00℃から400.00℃に上昇させた。
【0127】
別途記述されない限り、DVSは、標準的な手順を用いて、Surface Measurement Systems社(Alperton, Middlesex, UK)製のDVS ADVANTAGE 1モデルで取得した。吸湿脱着等温線を以下に概説するように実施した。標準的な等温線実施は、5%間隔でRH
0%~RH 95%で始め、その後、5%のRH間隔でRH
0%まで乾燥させるサイクルである。
【0128】
((8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの例示的合成)
この実施例は、本開示の一態様による(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの調製の代表的プロセスを提供する。合成の概略をスキームAに示す。
【0129】
(bの調製)
溶媒THF(30mL)及びMeOH(5mL)の混合物中のa(5g、15.5mmol、1当量)及び4フルオロベンズアルデヒド2(3.6g、29mmol、1.87当量)の懸濁液に、室温で撹拌しながら、塩化チタン(III)(2N塩酸中の20%w/w溶液)(80mL、6当量)を滴加した。該反応混合物を30~50℃で2時間撹拌させておいた。その後、該混合物を水(160mL)で希釈し、得られた溶液をEtOAc(100mL×4)で抽出した。合わせた有機層を、飽和NaHCO3(50mL×3)及び水性NaHSO3(100mL×3)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮すると、黄色の固体が得られ、粗固体を石油エーテル (120mL)で洗浄した。真空中で乾燥させた後、それにより、表題化合物が黄色の固体(5.9g、収率:95%、純度:97%)として得られた。
【化6】
【0130】
化合物bを上記の手順の修正バージョンによっても調製し、その場合は、洗浄した合わせた有機層を1~2volにまで濃縮し、その後、6volのヘプタンを添加し、その後、洗浄、濃縮、及びヘプタンの添加を繰り返した。その後、溶液を1~2volにまで濃縮し、6volのMTBEを添加した。この混合物を1時間撹拌し、濾過すると、薄黄色の固体(92%収率、98%純度)が得られた。
【0131】
(cの調製)
cを得るためのbのキラル分離を、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)を用いて達成した。試料を、メタノールを溶媒(b:45mg/mL)として用いて調製し、40~50℃に加熱し、濾過した後、注入した。CHIRALPAK IC、250*30mm(I.D.)、カラム、及びCO2/メタノール(80/20)移動相を65g/分の流速で利用した。カラム温度は35℃に維持した。所望の画分は、2.3分の保持時間を有する最初のピーク及び4.3分の保持時間を有する別のエナンチオマーとして、カラムから出てきた。UV検出は254nmで行なわれた。cの回収は約92%で、eeは>98%であった。
【0132】
((8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン)
cのメタノール溶液に、ヒドラジン一水和物を添加し、混合物を25℃で10時間撹拌した。その後、該混合物を濾過し、乾燥させると、表題化合物が白色の固体として得られた。メタノールを用いるのではなく、アセトニトリル(10vol)を3当量のヒドラジン一水和物とともに用いたある例では、反応を、35℃で、5時間で終了させることができた。これらの手順の後、収率は、約77%~80%であった。
【0133】
((8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの塩及び遊離塩基形態の調製及び比較)
以下の実施例は、(8S,9R)-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの塩及び遊離塩基多形の調製及び特徴付けを提供する。トシレート塩の特性は、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの他の塩及び遊離塩基形態の特性よりも優れていることが示されている。これらの改善された特性としては、単一の結晶性形態の存在、溶媒和しないこと、高い融点、非吸湿性、及び/又は熱安定性が挙げられるが、これらに限定されない。
【0134】
(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの塩形態は、該化合物を、所与の条件下で、酸で処理することによって調製された。塩形態、番号1~18は、下記の表1に同定されており、この表において、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンを処理するのに使用された酸は、「酸」の下の欄に提供され、処理中に使用された条件は、「条件」の下の欄に提供されている。
【0135】
遊離塩基(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの多形は、様々な溶媒を用いて調製された溶液から調製された。遊離塩基形態、番号19~24の特徴付けは、表2及び表2に言及している段落にまとめられている。
【0136】
顕微鏡観察及び他の標準的な実験室測定を用いて、該塩形態及び遊離塩基多形の固体形態、融解温度、溶媒和及び/又は水和、並びに他の物理化学的特性(溶解度、PKa、及びLog Pを含むが、これらに限定されない)を特徴付けた。
【表2】
【表3】
【0137】
(HCl塩、1):顕微鏡観察:主に、結晶性。顕微鏡観察、XRPD(表3)、DSC(表4)、及びTGA(表5)に基づく結果は、このHCl塩が、結晶と非晶質の混合形態にあり、おそらくは、溶媒和されていることを示唆している。
【表4】

【表5】
【表6】
【0138】
(メシレート塩、3):顕微鏡観察:結晶及び非晶質の混合。融点:融点測定器により179~184℃。顕微鏡観察、XRPD(表6)、DSC(表7)、及びTGA(表8)に基づく結果は、このメシレート塩が混合形態にあり、おそらくは、溶媒和されていることを示唆している。
【表7】
【表8】

【表9】
【0139】
(メタノール-アセトニトリルからのトシレート塩、4):(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン(190mg、0.5mmol)を50℃でMeOH(2mL)及びCH3CN(2mL)に溶解させた。その後、MeOH(2mL)及びCH3CN(2mL)の混合物に溶解させたTsOH(190mg、1mmol)を添加した。30秒後、白色の固体が溶液から沈殿し、該溶液を25℃にまで冷却させておいた。25℃でおよそ2時間撹拌し続けた。該白色の固体を濾過により回収し、CH3CN(2mL)で洗浄し、真空下で45℃で3日間乾燥させた。3つの調製物が、47%、56%、及び56%の収率で生成され、顕微鏡観察、XRPD、DSC、及びTGA(10.00℃/分で300.00℃に昇温)で測定したとき、同様の結果であった。本明細書で提供される結果は、これらの調製物のうちの1つによるものである。顕微鏡観察:結晶性。顕微鏡観察、XRPD(表9)、及びDSC(表10)に基づく結果は、このトシレート塩が実質的に単一の結晶性形態であることを示唆している。
【表10】
【表11】
【0140】
(ジクロロメタン-アセトニトリルからのトシレート塩、5):(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン(120mg、0.316mmol)を40℃でCH2Cl2(5mL)及びCH3CN(5mL)に懸濁させ、その後、TsOH(66mg、0.348mmol)を添加し、添加後、溶液は透明であった。5秒後、該溶液から白色の固体を沈殿させ、25℃で1時間撹拌し続け、濾過すると、白色の結晶固体が得られ、該固体をCH3CN(2mL)で洗浄し、真空下で45℃で3日間乾燥させた。顕微鏡観察:複屈折性、結晶性。顕微鏡観察、XRPD(表11)、DSC(表12a及び図3a)、並びにTGA(表12b及び図3b)に基づく結果は、このトシレート塩が、実質的に単一の結晶性形態であることを示唆している。
【表12】
【表13】

【表14】
【0141】
(アセトンからのトシレート塩、6):(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン(120mg、0.316mmol)を25℃でアセトン(15mL)に懸濁させた。60℃に加熱した後、混合物が透明になり、温度を45℃に低下させた。その後、TsOH(70mg、0.35mmol)を添加し、30秒後、該溶液から白色の固体を沈殿させ、これを25℃にまで冷却させておいた。25℃で1時間撹拌し続けた。白色の結晶固体を濾過により回収し、アセトン(8mL)で洗浄し、真空下で45℃で3日間乾燥させた。顕微鏡観察:複屈折性、結晶性。顕微鏡観察、XRPD(表13)、DSC(表14a及び図4a)、並びにTGA(表14b及び図4b)に基づく結果は、このトシレート塩が、実質的に単一の結晶性形態であることを示唆している。
【表15】
【表16】
【表17】
【0142】
(THFからのトシレート塩、7):(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン(120mg、0.316mmol)を25℃でTHF(6mL)に懸濁させた。加熱還流させた後、混合物が透明になり、温度を45℃に低下させた。その後、TsOH(66mg、0.35mmol)を添加し、1.5分後、該溶液から白色の固体を沈殿させ、これを25℃にまで冷却させておいた。25℃で30分間撹拌し続けた。白色の結晶固体を濾過により回収し、CH2Cl2 (10mL)で洗浄し、真空下で45℃で3日間乾燥させた。顕微鏡観察:複屈折性、結晶性。顕微鏡観察、XRPD(表15)、DSC(表16a及び図5a)、並びにTGA(表16b及び図5b)に基づく結果は、このトシレート塩が、実質的に単一の結晶性形態であることを示唆している。

【表18】

【表19】
【表20】
【0143】
(アセトン-THFからのトシレート塩、8):(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン(400mg、1.05mmol)を25℃でアセトン(27mL)とTHF(13mL)の混合物に懸濁させ、加熱還流させた後、反応混合物が透明になった。その後、TsOH(220mg、1.16mmol)を添加し、30秒後、該溶液から白色の固体を沈殿させ、25℃で30分間撹拌し続け、濾過すると、白色の結晶固体が得られ、これを、アセトン(10mL)と1,4-ジオキサン(4mL)の混合物で洗浄し、真空下で45℃で3日間乾燥させた。顕微鏡観察:複屈折性、結晶性。顕微鏡観察、XRPD(表17及び図8)、DSC(表18a及び図2a)、並びにTGA(表18b及び図2b)に基づく結果は、このトシレート塩が、実質的に単一の結晶性形態であることを示唆している。DVAがこの多形に対して実施され、0%~95%RHで0.1574%の重量増加を示した(図8)。
【表21】
【表22】
【表23】
【0144】
結晶性トシレート塩形態4、5、6、7、及び8の調製物からのXRPDピークは類似している。5、6、7、及び8のXRPDグラフの重ね合わせを図1に示す。各々のトシレート塩形態4、5、6、7、及び8が、DSCで測定したときに、300℃を超える単一の吸熱ピークを有していたのに対し、他の塩及び遊離塩基形態は全て、300℃をはるかに下回る吸熱ピークを有していた。これらの結果は、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンのトシレート塩について、単一の比較的安定な多形が存在することを示している。
【0145】
(THFからのイセチオン酸塩、11、12、及び13):顕微鏡観察:結晶性。DSCの結果は、11と12と13の間で一致しなかったが、3つの調製物は全て、150℃未満での幅広い吸熱ピーク及び272℃~282℃付近での鋭い吸熱を含む、少なくとも2つ、時には3つの吸熱ピークを有していた。TGAによって200℃未満での重量変化を全く示さなかった上記のトシレート塩とは異なり、イセチオン酸塩11は、134.8℃で5.72%の重量損失を有し、イセチオン酸塩12は、139.06℃で7.034%の重量損失を示した。イセチオン酸塩で得られた結果は、この塩形態が2以上の形態で存在することを示唆している。
【0146】
(ホスフェート塩、16、17、及び18):顕微鏡観察、XRPD、及びDSCの結果は、3つのホスフェート塩調製物の各々に存在している結晶と非晶質の混合形態と一致した。
【0147】
(アセトンからの遊離塩基、19):顕微鏡観察、XRPD、及びDSCの結果は、形態の混合物と一致した。
【表24】
【表25】
【表26】
【0148】
(MeOH/EtOAcからの遊離塩基、20):顕微鏡観察は、複屈折性の結晶性形態を示し;XRPD及びDSCの結果は、形態の混合物と一致した。
【表27】

【表28】

【表29】
【0149】
(アセトニトリルからの遊離塩基形態、21):結晶性形態と非晶質形態の混合物が観察された。DSC:133.05℃付近で最大値を有する幅広い吸熱、209.21℃付近での発熱最大値、及び253.85℃で最大値を有する鋭い吸熱。TGA:142.46℃での重量損失は3.7%であり、256.48℃での重量損失は4.259%であった。XRPDによって解明された、19%相対強度を上回るピークのd値(単位はオングストローム(Å))は、以下の通りであった:16.58486;11.49904;6.33021;及び6.01178。
【0150】
(メタノールからの遊離塩基形態、22):遊離塩基形態20の特性と同様の特性を有する結晶性形態と非晶質形態の混合物が観察された。
【0151】
(イソプロパノールからの遊離塩基形態、23):生成された材料は非晶質であった。
【0152】
(DMS/エタノールからの遊離塩基形態、24):結晶性形態と非晶質形態の混合物が観察された。DSC:吸熱ピーク:52.20℃max(12.54J/g);202.63℃max(120.9J/g);249.34℃max(40.65J/g)。TGA:周囲温度~120℃で、0.9388%の重量損失;223.8℃で、17.47%の重量損失。
【0153】
これらの結果は、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン遊離塩基の結晶性形態を特定の溶媒から調製することができることを示しているが、これらの調製物は、本明細書で提供される結晶性トシレート塩形態の安定性に匹敵する安定性を有する単一の結晶性形態ではないことが分かった。
【0154】
((8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩の例示的調製物)
以下は、単一の結晶性形態としての(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンモノトシレート塩のGMP大規模生産に好適なプロセスを例示している。
【0155】
(バリエーション1):(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン(12.4g)のTHF(40vol)溶液に、50℃~54℃のTsOH(1.05当量)のTHF(5vol)溶液をゆっくりと添加した。混合物をこの温度でさらに30分間撹拌した。その後、該混合物を、減圧下(真空:-0.07MPa~-0.08MPa)、30℃~40℃での蒸留によって、3~5volにまで濃縮した。アセトン(20vol)を添加し、その後、減圧下で3~5volにまで蒸留し、これを3回繰り返すことによって、THF溶媒のさらなる除去を達成した。混合物を5℃にまで冷却し、窒素保護下で濾過した。固体を60℃で17時間乾燥させた。それにより、表題化合物が白色の結晶固体(16.0g、89%収率)として得られた。
【化7】
【0156】
(バリエーション2):(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オン(0.24kg)のTHF(40vol)溶液に、50℃~54℃のTsOH(1.05当量)のTHF(5vol)溶液をゆっくりと添加した。混合物をこの温度でさらに30分間撹拌した。その後、該混合物を、減圧下(真空:-0.07MPa~-0.08MPa)、30℃~40℃での蒸留によって、3~5volにまで濃縮した。アセトン(20vol)を添加し、その後、減圧下で3~5volにまで蒸留し、これを3回繰り返すことによって、THF溶媒のさらなる除去を達成した。THF溶媒の除去、及び蒸留後、混合物を、12volのアセトンを用いて、50℃~54℃で14~15時間、再スラリー化させた。その後、該混合物を5℃にまで冷却し、窒素保護下で濾過した。固体を60℃で17時間乾燥させた。それにより、表題化合物が白色の結晶固体(0.31kg、91.7%収率、99.65%純度)として得られた。
【0157】
1H-NMRに供した場合、遊離塩基由来の3.67ppmのN-メチルとトルエンスルホン酸由来の2.29ppmのメチルの1対1の組み込み比率は、モノトシレート塩形成を示唆している。
【0158】
25℃でDVSに供した場合、バリエーション2に記載の工程を用いることによって生成されたトシレート塩は、湿度を0%から95%に増加させたときに、トシレート塩のごくわずかな重量増加(1%未満)しか示さず、これにより、それが吸湿性ではないことが示唆される(表29参照)。
【0159】
図6のXRPDパターンは、Optix社製の長い高精度焦点源を用いて生成されるCu線の入射ビームを用いて、PANalytical社製のX'Pert PRO MPD PW3040回折計で収集された。楕円状に傾斜した(elliptically graded)多層膜鏡を用いて、Cu Kα
X線(1.54059Å)の焦点を、標本を通して検出器に合わせた。分析の前に、シリコン標本(NIST SRM 640d)を分析し、観察されたSi 111ピークの位置が、NISTによって認定されている位置と一致することを確認した。試料の標本を厚さ3μmのフィルムの間に挟み、透過配置で分析した。ビームストップ、短い散乱防止伸張部、散乱防止ナイフエッジを用いて、空気によって生成されるバックグラウンドを最小限に抑えた。入射ビーム及び回折ビーム用のソーラースリット(0.02×0.02ラジアン)を用いて、軸発散からの広がりを最小限に抑えた。標本から240mmの位置にある走査型位置敏感検出器(X'Celerator)とData
Collectorソフトウェアv. 2.2bとを用いて、回折パターンを収集した。XRPDデータ取得パラメータは以下の通りである:透過モード、45kV及び40mAのX線管設定、1.00~39.99°の2θ走査範囲、0.017°の2θステップサイズ、1939秒の収集時間、1.2°/分の走査速度、1/2 °の発散スリット、並びに1.0秒の試料回転時間。XRPDパターン中に同定されたピークの全リスト、又はそのサブセットは、得られた多形(複数可)を特徴付けるのに十分であり得る。XRPD(表25)について提供された結果は、バリエーション2に記載の工程を用いて調製されたトシレート塩についてのものである。表25のデータは、図6に提供されたXRPDスペクトログラムからのものである。
【0160】
上記のバリエーション1及びバリエーション2を用いて調製されたトシレート塩に対してDSC分析を実施し、同様の結果が観察された。
【0161】
バリエーション2に記載の工程を用いて調製されたトシレート塩のDSCサーモグラムを、Mettler
Toledo社製の示差走査熱量計1を用いて取得した。温度を10℃/分で25℃から400℃に上昇させた。DSC図では、発熱事象が上向きにプロットされている。表26のデータは、図7aに提供されたDSCグラフからのものである。このサーモグラムは、非常に急な融解の開始を示し、融解の終了後の発熱は、融解が分解とともに起こることを示している。融解開始に達する前の平坦なベースラインは、融解前に温度転移がないことを示し、これは、溶媒和物形成がなく、ある結晶性形態から別の結晶性形態への変換がないことを示唆している。
【0162】
バリエーション2に記載の工程を用いて調製されたトシレート塩のTGAサーモグラムを、Mettler
Toledo社製の熱重量分析器/示差走査熱量計1を用いて取得した。温度を10℃/分で25℃から400℃に上昇させた。TGAグラフは、図7bに提供されている。出力波形は、融解及び分解の開始までの安定なベースラインを示している。これは、結晶性生成物中に存在する残存溶媒又は吸収された水が、あるとしても、わずかであるということ、及び該生成物が、融点での分解の開始前は、熱に安定であるということを示している。
【0163】
バリエーション2に記載の工程を用いて調製されたトシレート塩の固体13C交差分極マジック角回転(CP/MAS)NMRスペクトルを、Varian社製のUNITYINOVA-400分光計(Larmor周波数:
13C=100.543MHz、1H=399.787MHz)で25℃で取得した。試料を4mmのPENCIL型ジルコニアローターに装填し、マジック角で12kHzで回転させた。スペクトルを、取得時間中に位相変調SPINAL-64高出力1Hデカップリングで、2.6μs(90°)の1Hパルス幅、5msのランプ振幅交差分極接触時間、30msの取得時間、20秒の走査間の遅延、2799データポイントを有する~45kHzのスペクトル幅を用いて、及び400回の共付加走査で取得した。自由誘導減衰(FID)を、Varian/Agilent社製のVNMR 6.1Cソフトウェアを用いて、65536ポイント及び10Hzの指数関数的線幅拡大係数で処理し、信号対雑音比を改善した。FIDの最初の3つのデータポイントを、VNMR線形予想アルゴリズムを用いて後方予測し、平坦なベースラインを生じさせた。スペクトルピークの化学シフトは、176.5ppmのグリシンのカルボニル炭素共鳴を外部参照した。13C NMRスペクトル中に同定されたピークの全リスト、又はそのサブセットは、得られる多形(複数可)を特徴付けるのに十分であり得る。表28のデータは、図12に提供されたスペクトルからのものである。
【表30】

【表31】
【表32】
【表33】
【0164】
(生物学的実施例)
(実施例1:マントル細胞リンパ腫細胞株における単剤細胞傷害性アッセイ)
マントル細胞リンパ腫細胞株Granta-519を、10%FBS、2mM
L-グルタミン、100U/mLペニシリン、及び100μg/mLストレプトマイシンを含むダルベッコのMEM(4.5g/Lグルコース)中で培養した。マントル細胞リンパ腫細胞株Jeko-1を、10%FBS、100U/mLペニシリン、及び100μg/mLストレプトマイシンを含むRPMI1640中で培養した。マントル細胞リンパ腫細胞株Z138を、10%ウマ血清、100U/mLペニシリン、及び100μg/mLストレプトマイシンを含むIMDM中で培養した。アッセイができる状態になるまで、全ての細胞株を、5%CO2を含む37℃インキュベーター内で維持した。Granta-519細胞、Jeko-1細胞、及びZ138細胞を、1000細胞/ウェル又は5000細胞/ウェルのどちらかで96ウェルプレートに播種した。細胞を37℃で一晩インキュベートした後、0.1%DMSO中に1000nM~0.32nMの範囲の様々な濃度で遊離塩基を含むその対応する成長培地で処理した。0.1%DMSOを模擬処理又は対照として用いた。4日間のインキュベーションの後、細胞生存をCellTiter Glo(Promega)によって測定し、細胞生存率を対照と比べて算出した。GraphPad Prism5ソフトウェアを用いてデータをプロットし、IC50値を算出した。図10a及び10bを参照されたい。
【表34】
【0165】
(実施例2:頭頸部腫瘍細胞株における単剤細胞傷害性アッセイ)
口腔扁平上皮癌HSC-3及びHSC-4細胞をMEM+10%FBS中で培養した。口腔扁平上皮癌CAL
27をDMEM+10%FBS中で培養した。類基底扁平上皮細胞株PE/CA-PJ34(クローン12)をIMDM+10%FBS中で培養した。アッセイができる状態になるまで、全ての細胞株を、5%CO2を含む37℃インキュベーター内で、100U/mLペニシリン及び100μg/mLストレプトマイシンを含むその対応する成長培地中で維持した。個々の細胞株の成長速度に応じて、細胞を、アッセイ時に、96ウェルプレートに、各グラフに示したような異なる密度で播種した。細胞を37℃で一晩インキュベートした後、0.1%DMSO中に5000nM~0.064nMの範囲の様々な濃度で遊離塩基を含むその対応する成長培地で処理した。0.1%DMSOを模擬処理又は対照として用いた。培地及び化合物を5日毎に補充した。(各グラフに示したように)7、10、11、又は13日間のインキュベーションの後、細胞生存をCellTiter Glo(Promega)によって測定し、細胞生存率を対照と比べて算出した。GraphPad Prism5ソフトウェアを用いてデータをプロットし、IC50値を算出した。図11a及び11bを参照されたい。
【表35】
【0166】
上記の例示的実施例に示された主題の修正及び変化が当業者に思い当たると考えられる。添付の特許請求の範囲に見られるような限定のみが、任意の特許請求された発明に課されるべきである。
【0167】
本明細書に引用された特許、特許出願、及び公開特許出願を含む刊行物は全て、あらゆる目的のために引用により本明細書に組み込まれる。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩。
(構成2)
実質的に純粋な結晶性形態である、構成1記載の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩。
(構成3)
143.2、136.0、131.8、123.9、112.2、105.2、及び100.3ppm±0.2ppmのピークを有する固体13C NMRスペクトル;
約320℃~約335℃で最大値を有する吸熱を有する示差走査熱量測定サーモグラム;
溶媒和されていない材料を示す熱重量分析サーモグラム;
0~95%相対湿度で顕著な重量変化を示さない動的水蒸気吸着等温線プロット;
約11.9、5.9、4.9、4.4、4.3、3.9、及び3.7のd-値(Å)で表される特徴的なピークを含むX線粉末回折パターン;並びに
7.4、15.1、18.1、20.1、20.4、22.6、及び24.0の2θ角度±0.2 2θ角度のピークを含むX線粉末回折パターン
のうちの少なくとも1つを示す結晶性形態である、構成1又は2記載の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩。
(構成4)
143.2、136.0、131.8、123.9、112.2、105.2、及び100.3ppm±0.2ppmのピークを有する固体13C NMRスペクトル;
約11.9、5.9、4.9、4.4、4.3、3.9、及び3.7のd-値(Å)で表される特徴的なピークを含
むX線粉末回折パターン;並びに
7.4、15.1、18.1、20.1、20.4、22.6、及び24.0の2θ角度±0.2 2θ角度のピークを含むX線粉末回折パターン
のうちの少なくとも1つを示す結晶性形態である、構成1又は2記載の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩。
(構成5)
約11.9、5.9、4.9、4.4、4.3、3.9、及び3.7のd-値(Å)で表される特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンを示す結晶性形態である、構成1又は2記載の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩。
(構成6)
7.4、15.1、18.1、20.1、20.4、22.6、及び24.0の2θ角度±0.2 2θ角度で表される特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンを示す結晶性形態である、構成1又は2記載の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩。
(構成7)
143.2、136.0、131.8、123.9、112.2、105.2、及び100.3ppm±0.2ppmのピークを有する固体13C NMRスペクトルを示す結晶性形態である、構成1又は2記載の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩。
(構成8)
前記結晶性形態が、少なくとも約99.5%の純度を有する、構成1~7のいずれか1記載の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩。
(構成9)
前記結晶性形態が、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンの非晶質形態又はその塩もしくは溶媒和物を実質的に含まない、構成1~8のいずれか1記載のトシレート塩。
(構成10)
(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩の結晶性形態を調製する方法であって、
工程(1):THF、アセトン、メタノール、アセトニトリル、及びDCMから独立に選択される1以上の工程1の溶媒の存在下、高温で、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンをp-トルエンスルホン酸と接触させること;
工程(2):該結晶性形態を沈殿させるのに十分な条件下で静置させておくこと;並びに
工程(3):該結晶性形態を単離すること
を含む、前記方法。
(構成11)
前記高温が約30℃~約70℃である、構成10記載の方法。
(構成12)
前記1以上の工程1の溶媒が、メタノール及びアセトニトリルから独立に選択される、構成10又は11記載の方法。
(構成13)
前記1以上の工程1の溶媒が、DCM及びアセトニトリルから独立に選択される、構成10又は11記載の方法。
(構成14)
前記1以上の工程1の溶媒が、アセトン及びTHFから独立に選択される、構成10又は11記載の方法。
(構成15)
前記工程1の溶媒がアセトンである、構成10、11、又は14記載の方法。
(構成16)
前記工程1の溶媒がTHFである、構成10、11、又は14記載の方法。
(構成17)
前記結晶性形態を沈殿させるのに十分な条件が冷却することを含む、構成10~15のいずれか1記載の方法。
(構成18)
前記結晶性形態を沈殿させるのに十分な条件が、25℃以下に冷却することを含む、構成17記載の方法。
(構成19)
工程(a): 下記化合物
【化8】
を、4-フルオロベンズアルデヒドと、1以上の工程(a)の溶媒及び塩化チタン(III)を含む混合物中で接触させて、第一の中間体を生成させること;
工程(b):キラル分離によって、該第一の中間体のエナンチオマーを単離すること;並びに
工程(c):該第一の中間体の単離されたエナンチオマーを、1以上の工程(c)の溶媒中で、ヒドラジン一水和物と接触させて、(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンを生成させること
をさらに含む、構成10~18のいずれか1記載の方法。
(構成20)
前記第一の中間体の単離されたエナンチオマーを、メタノール、エタノール、及びアセトニトリルから独立に選択される1以上の工程(c)の溶媒中で、ヒドラジン一水和物と接触させる、構成19記載の方法。
(構成21)
前記1以上の工程(a)の溶媒が、THF及びメタノールから独立に選択される、構成19又は20記載の方法。
(構成22)
工程(x): 下記化合物
【化9】
を、ヒドラジン一水和物と、1以上の工程xの溶媒中で接触させて、5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンを生じさせること;及び
工程(y):(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オンをキラル分離によって単離すること
をさらに含む、構成10~18のいずれか1記載の方法。
(構成23)
前記1以上の工程(x)の溶媒が、メタノール、エタノール、及びアセトニトリルから独立に選択される、構成22記載の方法。
(構成24)
構成10~23のいずれか1記載の方法によって調製される(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩。
(構成25)
約7.4、15.1、18.1、20.1、20.4、22.6、及び24.0のd-値(Å)で表される特徴的なピークを含むX線粉末回折パターンを示す結晶性形態である、構成24記載のトシレート塩。
(構成26)
示差走査熱量測定において、室温~約350℃で単一の吸熱ピークを示し、ここで、該単一の吸熱ピークの最大値が約320℃~約335℃で生じる、構成24又は25記載のトシレート塩。
(構成27)
熱重量分析により、約280℃の温度又はそれより低い温度で2%未満の熱重量損失を示す、構成24~26のいずれか1記載のトシレート塩。
(構成28)
RH 0%~RH 95%、約25℃での動的水蒸気吸着において約1%未満のヒステリシス値を示す、構成24~27のいずれか1記載のトシレート塩。
(構成29)
構成1~8及び24~28のいずれか1記載のトシレート塩及び医薬として許容し得る賦形剤を含む医薬組成物。
(構成30)
対象への経口投与用に製剤化されている、構成29記載の医薬組成物。
(構成31)
癌、又はその症状を治療する方法であって、治療的に許容し得る量の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩を、癌を有する対象に投与することを含む、前記方法。
(構成32)
前記癌が、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、結腸直腸癌、バーキットリンパ腫、鼻咽腔癌、EBV+胃癌、子宮内膜癌、消化管間質腫瘍、膠芽腫、頭頸部癌、肝細胞癌、腎臓癌、白血病、肺癌、リンパ腫、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、腎癌、小細胞肺癌、甲状腺癌、又は子宮癌である、構成31記載の方法。
(構成33)
1日当たり約0.3μg/kg体重~約3.0μg/kg体重の(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩が前記対象に投与される、構成31又は32記載の方法。
(構成34)
前記(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩が、
構成3~9のいずれか1記載の結晶性形態である、構成31~33のいずれか1記載の方法。
(構成35)
対象における疾患又は状態の治療のための結晶性(8S,9R)-5-フルオロ-8-(4-フルオロフェニル)-9-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-8,9-ジヒドロ-2H-ピリド[4,3,2-de]フタラジン-3(7H)-オントシレート塩の使用。
(構成36)
前記疾患又は状態が癌である、構成35記載の使用。

図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7a
図7b
図8
図9
図10a-b】
図11a-b】
図12