(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141357
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】立体映像表示装置、立体映像表示方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20220921BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20220921BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20220921BHJP
G09G 5/377 20060101ALI20220921BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
G06T19/00 600
G09G5/00 550C
G09G5/36 520K
G09G5/36 520M
G09G5/36 510V
G09G5/00 550B
G09F9/00 350Z
G09F9/00 366G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041610
(22)【出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相羽 英樹
【テーマコード(参考)】
5B050
5C182
5G435
【Fターム(参考)】
5B050DA01
5B050EA07
5B050EA19
5B050EA27
5B050FA06
5C182AA12
5C182AA26
5C182AB01
5C182AC03
5C182AC46
5C182BA14
5C182BA46
5C182BA55
5C182BB15
5C182CB32
5C182CB42
5C182CB44
5C182CB54
5C182DA65
5C182DA66
5G435EE16
5G435EE49
(57)【要約】
【課題】観察者に違和感を与えることがない立体映像を表示する。
【解決手段】画像を表示する画像表示部と、周囲にいる観察者の位置を検出する観察者位置検出部と、観察者位置検出部が検出した観察者の位置に応じた仮想オブジェクトの画像を形成するレンダリング部と、観察者位置検出部が検出した観察者に対向する位置に画像表示部を回転させる回転部と、画像表示部の後方の背景画像を取得する背景画像取得部と、背景画像取得部が取得した背景画像の手前にレンダリング部が形成した仮想オブジェクトの画像を重畳した合成画像を生成して前記画像表示部に表示する画像合成処理部と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する画像表示部と、
周囲にいる観察者の位置を検出する観察者位置検出部と、
前記観察者位置検出部が検出した観察者の位置に応じた仮想オブジェクトの画像を形成するレンダリング部と、
前記観察者位置検出部が検出した観察者に対向する位置に前記画像表示部を回転させる回転部と、
前記画像表示部の後方の背景画像を取得する背景画像取得部と、
前記背景画像取得部が取得した背景画像の手前に前記レンダリング部が形成した仮想オブジェクトの画像を重畳した合成画像を生成して前記画像表示部に表示する画像合成処理部と、
を備える立体映像表示装置。
【請求項2】
前記画像表示部の回転位置を検出する回転位置検出部を設け、
前記レンダリング部は、前記回転位置検出部が検出した回転位置に応じた仮想オブジェクトの画像を形成し、前記背景画像取得部は、前記回転位置検出部が検出した回転位置に応じた背景画像を取得する、
請求項1に記載の立体映像表示装置。
【請求項3】
前記回転部は、前記観察者位置検出部が検出した観察者の位置が予め設定された所定時間内に所定角度を超えて移動したときに、観察者に対向する位置に前記画像表示部を回転させる、
請求項1または請求項2に記載の立体映像表示装置。
【請求項4】
周囲にいる観察者の位置を検出するステップと、
観察者の位置に応じた仮想オブジェクトの画像を形成するステップと、
観察者に対向する位置に画像を表示する画像表示部を回転させるステップと、
前記画像表示部の後方の背景画像を取得するステップと、
前記背景画像の手前に前記仮想オブジェクトの画像を重畳した合成画像を生成して前記画像表示部に表示するステップと、
を含む立体映像表示方法。
【請求項5】
周囲にいる観察者の位置を検出するステップと、
観察者の位置に応じた仮想オブジェクトの画像を形成するステップと、
観察者に対向する位置に画像を表示する画像表示部を回転させるステップと、
前記画像表示部の後方の背景画像を取得するステップと、
前記背景画像の手前に前記仮想オブジェクトの画像を重畳した合成画像を生成して前記画像表示部に表示するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体映像表示装置、立体映像表示方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速なCPUなどの進化により立体画像を空中に浮かんでいるように表示し、立体映像を周囲から観察することができる立体映像表示装置が提案されている。例えば、円筒形状をなす透明なケースの内部に平面形状をなすスクリーンを配置し、スクリーンに映像を表示する。そして、周囲にいる観察者を追跡し、観察者の位置に対向するようにスクリーンを回転すると共に、スクリーンの映像を観察者に位置に応じて見える映像に切り替えていく。このような立体映像表示装置としては、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の立体映像表示装置は、観察者の位置に応じてスクリーンが回転し、スクリーンに観察者の位置応じた映像を表示しており、観察者は、360度にわたって立体映像を見ることができる。ところが、観察者が立体表示装置の周囲を移動するとき、スクリーンに映る表示物体の映像は切り替わっていくものの、表示物体の背景の画像は変わらない。そのため、背景上に映し出される表示物体の映像が観察者に対して違和感を与えてしまうという課題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、観察者に違和感を与えることがない立体映像を表示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る立体映像表示装置は、画像を表示する画像表示部と、周囲にいる観察者の位置を検出する観察者位置検出部と、前記観察者位置検出部が検出した観察者の位置に応じた仮想オブジェクトの画像を形成するレンダリング部と、前記観察者位置検出部が検出した観察者に対向する位置に前記画像表示部を回転させる回転部と、前記画像表示部の後方の背景画像を取得する背景画像取得部と、前記背景画像取得部が取得した背景画像の手前に前記レンダリング部が形成した仮想オブジェクトの画像を重畳した合成画像を生成して前記画像表示部に表示する画像合成処理部と、を備える。
【0007】
本発明に係る立体映像表示方法は、周囲にいる観察者の位置を検出するステップと、観察者の位置に応じた仮想オブジェクトの画像を形成するステップと、観察者に対向する位置に画像を表示する画像表示部を回転させるステップと、前記画像表示部の後方の背景画像を取得するステップと、前記背景画像の手前に前記仮想オブジェクトの画像を重畳した合成画像を生成して前記画像表示部に表示するステップと、を含む。
【0008】
本発明に係るプログラムは、周囲にいる観察者の位置を検出するステップと、観察者の位置に応じた仮想オブジェクトの画像を形成するステップと、観察者に対向する位置に画像を表示する画像表示部を回転させるステップと、前記画像表示部の後方の背景画像を取得するステップと、前記背景画像の手前に前記仮想オブジェクトの画像を重畳した合成画像を生成して前記画像表示部に表示するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、観察者に違和感を与えることがない立体映像を表示することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る立体映像表示装置を表す斜視図である。
【
図2】
図2は、立体映像表示装置を表す縦断面図である。
【
図4】
図4は、立体映像表示装置の制御系統を表すブロック図である。
【
図5】
図5は、立体映像表示装置の作動を表す説明図である。
【
図6】
図6は、観察者の位置に応じた立体映像表示範囲を表す概略図である。
【
図7】
図7は、観察者の位置に応じた立体映像表示内容を表す概略図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る立体映像表示装置の制御系統を表すブロック図である。
【
図9】
図9は、観察者の位置に応じた立体映像表示内容を表す説明図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る立体映像表示装置における観察者の位置に応じた立体映像表示内容の変形例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る立体映像表示装置、立体映像表示方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
<第1実施形態>
[立体映像表示装置]
図1は、第1実施形態に係る立体映像表示装置を表す斜視図、
図2は、立体映像表示装置を表す縦断面図、
図3は、立体映像表示を表す平面図である。
【0013】
第1実施形態において、
図1から
図3に示すように、立体映像表示装置(立体映像表示部)10は、ケース11と、ディスプレイ(画像表示装置(画像表示部))12と、ターンテーブル(テーブル回転装置(テーブル部))13と、ターンテーブル駆動装置(回転装置(回転部))14と、カメラ(背景画像取得装置(背景画像取得部))15とを備える。
【0014】
ケース11は、中空の円筒形状をなす。ケース11は、天井部21と、円筒部22と、底部23とを有する。天井部21および底部23は、円板形状をなし、円筒形状をなす円筒部22の上部と下部に固定される。天井部21は、透過性である。円筒部22は、上部の透過部22aと、下部の非透過部22bを有する。底部23は、非透過性である。
【0015】
ターンテーブル13は、円板形状をなす。ターンテーブル13は、ケース11の内部で、円筒部22における透過部22aと非透過部22bとの間に配置される。ターンテーブル13は、水平方向に沿って配置され、ケース11に対して中心Oを支点に水平方向に回転自在に支持される。
【0016】
ディスプレイ12は、平面形状をなす液晶ディスプレイである。ディスプレイ12は、画像を表示可能である。ディスプレイ12は、矩形状をなし、ターンテーブル13の上部に直交する方向に沿って配置される。ディスプレイ12は、ターンテーブル13の中心Oを通るように径方向に沿って配置される。ディスプレイ12は、ケース11の内部で、円筒部22における透過部22aに配置される。そのため、観察者は、ケース11の外部から透過部22aを通してディスプレイ12に表示された画像を視認することができる。
【0017】
ターンテーブル駆動装置14は、ケース11の内部であって、底部23の上面部に固定される。ターンテーブル駆動装置14は、例えば、モータおよび減速機を有し、ケース11の中心Oに沿う出力軸24を有する。ターンテーブル駆動装置14は、出力軸24がターンテーブル13に連結される。そのため、ターンテーブル駆動装置14を駆動すると、ターンテーブル13を正転方向および逆回転方向に回転することができる。そして、ターンテーブル13が回転することで、ターンテーブル13上のディスプレイ12を回転することができる。
【0018】
カメラ15は、ケース11の外周部の上部に固定される。カメラ15は、複数(本実施形態では、4個)配置される。但し、カメラ15の個数は、4個に限定されない。カメラ15は、ケース11に周方向に所定間隔(好ましくは、等間隔)を空けて配置される。カメラ15は、ケース11の外方を撮影可能である。本実施形態では、ケース11に4個のカメラ15を配置することで、ケース11の外側の周囲の全範囲(360度)にわたって撮影可能である。カメラ15は、ケース11(ディスプレイ12)の周囲にいる観察者や背景画像を撮影して取得することができる。
【0019】
[立体映像表示装置の制御系統]
図4は、立体映像表示装置の制御系統を表すブロック図である。
【0020】
図4に示すように、立体映像表示装置10は、ケース11(
図1参照)、ディスプレイ12、ターンテーブル13、ターンテーブル駆動装置14、カメラ15に加えて、画像処理装置(画像処理部)31と、顔位置検出装置(観察者位置検出装置(観察者位置検出部))32と、レンダリング装置(レンダリング部)33と、背景画像処理装置(背景画像処理部)34と、画像合成処理装置(画像合成処理部)35と、ターンテーブル制御装置(回転制御装置(回転制御部))36とを備える。複数のカメラ15は、撮影した画像を画像処理装置31に送信する。
【0021】
画像処理装置31は、複数のカメラ15が撮影した画像を合成処理することで、立体映像表示装置10の外側の周囲の全範囲(360度)の連続した全周画像を生成する。画像処理装置31は、全周画像を顔位置検出装置32および背景画像処理装置34に送信する。顔位置検出装置32は、立体映像表示装置10の周囲にいる観察者の位置を検出する。この場合、顔位置検出装置32は、画像処理装置31が生成した全周画像に基づいて、観察者の顔や目を機械学習などの手法により検出し、観察者の位置を特定する。顔位置検出装置32は、例えば、観察者の位置を基準角度に対する角度として特定する。顔位置検出装置32は、検出した観察者の位置をレンダリング装置33、背景画像処理装置34、ターンテーブル制御装置36へ送信する。
【0022】
レンダリング装置33は、顔位置検出装置32が検出した観察者の位置に応じた仮想オブジェクトの画像を形成する。レンダリング装置33は、仮想オブジェクトの画像を立体画像(3DCG)として生成し、ディスプレイ12に表示する。このとき、レンダリング装置33は、ディスプレイ12に表示される仮想オブジェクトの画像を観察者の視点に応じた画像になるようにレンダリングを行う。例えば、観察者が基準位置にいるとき、レンダリング装置33は、仮想オブジェクトの正面画像を生成し、ディスプレイ12に表示する。そして、観察者が基準位置から周方向に90度ずれた位置にいるとき、レンダリング装置33は、仮想オブジェクトの側面画像を生成し、ディスプレイ12に表示する。レンダリング装置33は、仮想オブジェクトの画像を画像合成処理装置35へ送信する。
【0023】
背景画像処理装置34は、ディスプレイ12の後方の背景画像を取得する。背景画像処理装置34は、画像処理装置31が生成した全周画像からディスプレイ12の後方の背景画像を切り出して取得する。背景画像処理装置34は、ディスプレイ12の後方の背景画像を画像合成処理装置35へ送信する。
【0024】
画像合成処理装置35は、背景画像処理装置34が取得した背景画像の手前に、レンダリング装置33が形成した仮想オブジェクトの画像を重畳した合成画像を生成し、生成した仮想オブジェクトの画像および背景画像をディスプレイ12に送信する。ディスプレイ12は、仮想オブジェクトおよび背景画像を表示する。
【0025】
ターンテーブル制御装置36は、顔位置検出装置32が検出した観察者の位置にディスプレイ12が対向するように制御信号を生成し、ターンテーブル13に送信する。ターンテーブル13は、取得した制御信号に基づいて回転する。
【0026】
なお、画像処理装置31と、顔位置検出装置32と、レンダリング装置33と、背景画像処理装置34と、画像合成処理装置35と、ターンテーブル制御装置36は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などの全て又は少なくとも一つによって構成される。また、画像処理装置31と、顔位置検出装置32と、レンダリング装置33と、背景画像処理装置34と、画像合成処理装置35と、ターンテーブル制御装置36は一体であってもよく、またはそれぞれ別体であってもよい。画像処理装置31と、顔位置検出装置32と、レンダリング装置33と、背景画像処理装置34と、画像合成処理装置35は、例えば、ターンテーブル駆動装置14に含まれて備えつけられているが、それぞれ、ケース11、ディスプレイ12、ターンテーブル13、ターンテーブル駆動装置14、カメラ15のいずれかに含まれて備えつけられていればよい。
【0027】
[立体映像表示方法]
ここで、立体映像表示装置10による立体映像表示方法について説明する。
図5は、立体映像表示装置の作動を表す説明図、
図6は、観察者の位置に応じた立体映像表示範囲を表す概略図、
図7は、観察者の位置に応じた立体映像表示内容を表す概略図である。
【0028】
第1実施形態の立体映像表示方法は、ディスプレイ12の周囲にいる観察者の位置を検出するステップと、観察者の位置に応じた仮想オブジェクトの画像を形成するステップと、観察者の位置に対向するようにディスプレイ12を回転するステップと、ディスプレイ12の後方の背景画像を取得するステップと、背景画像の手前に仮想オブジェクトの画像を重畳した合成画像を生成してディスプレイ12に表示するステップとを含む。
【0029】
図4および
図5に示すように、複数のカメラ15は、立体映像表示装置10の外方の全範囲を撮影する。画像処理装置31は、複数のカメラ15が撮影した画像を合成処理することで、立体映像表示装置10の外方離の全範囲の連続した全周画像を生成する。顔位置検出装置32は、画像処理装置31が合成処理した全周画像に基づいて観察者の位置を検出する。観察者Aが位置Aaにいるとき、顔位置検出装置32は、位置Aaを基準位置に対する角度として特定する。例えば、位置Aaを基準位置としたとき、観察者Aの位置Aaを角度θ0として特定する。
【0030】
ターンテーブル制御装置36は、顔位置検出装置32が検出した観察者の位置Aaにディスプレイ12が対向するようにターンテーブル13を回転してディスプレイ12aを移動させる。レンダリング装置33は、顔位置検出装置32が検出した観察者の位置Aaに応じた仮想オブジェクトの画像を形成する。例えば、レンダリング装置33は、仮想オブジェクトの正面画像を形成する。また、背景画像処理装置34は、画像処理装置31が合成処理した全周囲の連続した画像からディスプレイ12aの後方の背景画像を切り出して取得する。そして、画像合成処理装置35は、背景画像処理装置34が取得した背景画像の手前に、レンダリング装置33が形成した仮想オブジェクトの画像を重畳した合成画像を生成し、生成した仮想オブジェクトの画像と背景画像の合成画像をディスプレイ12aに表示させる。
【0031】
観察者Aが位置Aaから位置Abに移動すると、顔位置検出装置32は、例えば、位置Aaを基準位置としたときの観察者Aの位置Abを角度θbとして特定する。ターンテーブル制御装置36は、顔位置検出装置32が検出した観察者の位置Abにディスプレイ12が対向するようにターンテーブル13を角度θbだけ回転させ、ディスプレイ12bを移動させる。レンダリング装置33は、顔位置検出装置32が検出した観察者の位置Abに応じた仮想オブジェクトの画像を形成する。例えば、レンダリング装置33は、仮想オブジェクトの右斜め画像を形成する。また、背景画像処理装置34は、画像処理装置31が合成処理した全周囲の連続した画像からディスプレイ12bの後方の背景画像を切り出して取得する。そして、画像合成処理装置35は、背景画像処理装置34が取得した背景画像の手前に、レンダリング装置33が形成した仮想オブジェクトの画像を重畳した合成画像を生成し、生成した仮想オブジェクトの画像と背景画像の合成画像をディスプレイ12bに表示させる。
【0032】
一方、観察者Aが位置Aaから位置Acに移動すると、顔位置検出装置32は、例えば、位置Aaを基準位置としたときの観察者Aの位置Acを角度θcとして特定する。ターンテーブル制御装置36は、顔位置検出装置32が検出した観察者の位置Acにディスプレイ12が対向するようにターンテーブル13を角度θcだけ回転させ、ディスプレイ12cを移動させる。レンダリング装置33は、顔位置検出装置32が検出した観察者の位置Acに応じた仮想オブジェクトの画像を形成する。例えば、レンダリング装置33は、仮想オブジェクトの左斜め画像を形成する。また、背景画像処理装置34は、画像処理装置31が合成処理した全周囲の連続した画像からディスプレイ12cの後方の背景画像を切り出して取得する。そして、画像合成処理装置35は、背景画像処理装置34が取得した背景画像の手前に、レンダリング装置33が形成した仮想オブジェクトの画像を重畳した合成画像を生成し、生成した仮想オブジェクトの画像と背景画像の合成画像をディスプレイ12cに表示させる。
【0033】
図6(a)に示すように、観察者Aが位置Aaにいるとき、ディスプレイ12を観察者Aの位置Aaに対向するようにディスプレイ12aに移動させる。レンダリング装置33は、観察者の位置Aaに応じた仮想オブジェクト101の正面画像を形成する。背景画像処理装置34は、ディスプレイ12aの後方の背景画像(例えば、テレビ102など)を切り出して取得する。
図7(a)に示すように、画像合成処理装置35は、仮想オブジェクト101の正面画像の後方にテレビ102の中部の画像を重畳した合成画像を生成し、ディスプレイ12aに表示させる。
【0034】
図6(b)に示すように、観察者Aが位置Abにいるとき、ディスプレイ12を観察者Aの位置Abに対向するようにディスプレイ12bに移動させる。レンダリング装置33は、観察者の位置Abに応じた仮想オブジェクト101の左斜め画像を形成する。背景画像処理装置34は、ディスプレイ12bの後方の背景画像(例えば、テレビ102など)を切り出して取得する。
図7(b)に示すように、画像合成処理装置35は、仮想オブジェクト101の左斜め画像の後方にテレビ102の左側の画像を重畳した合成画像を生成し、ディスプレイ12bに表示させる。
【0035】
また、
図6(c)に示すように、観察者Aが位置Acにいるとき、ディスプレイ12を観察者Aの位置Acに対向するようにディスプレイ12cに移動させる。レンダリング装置33は、観察者の位置Acに応じた仮想オブジェクト101の右斜め画像を形成する。背景画像処理装置34は、ディスプレイ12cの後方の背景画像(例えば、テレビ102など)を切り出して取得する。
図7(c)に示すように、画像合成処理装置35は、仮想オブジェクト101の右斜め画像の後方にテレビ102の右側の画像を重畳した合成画像を生成し、ディスプレイ12cに表示させる。
【0036】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態に係る立体映像表示装置の制御系統を表すブロック図、
図9は、観察者の位置に応じた立体映像表示内容を表す説明図である。なお、上述した第1実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0037】
第2実施形態において、
図8に示すように、立体映像表示装置10Aは、ケース11(
図1参照)と、ディスプレイ12と、ターンテーブル13と、ターンテーブル駆動装置14と、カメラ15と、画像処理装置31と、顔位置検出装置32と、レンダリング装置33と、背景画像処理装置34と、画像合成処理装置35と、ターンテーブル制御装置36と、ターンテーブル位置検出装置(回転位置検出装置)37とを備える。なお、ターンテーブル制御装置36は、制御信号をターンテーブル位置検出装置37へ送信する。
【0038】
ケース11、ディスプレイ12、ターンテーブル13、ターンテーブル駆動装置14、カメラ15、画像処理装置31、顔位置検出装置32、ターンテーブル制御装置36は、第1実施形態と同様であることから、説明は省略する。
【0039】
ターンテーブル位置検出装置37は、ターンテーブル制御装置36の制御信号に基づいてターンテーブル13の位置、つまり、ターンテーブル13と一体のディスプレイ12の回転位置を検出する。なお、ターンテーブル位置検出装置37は、ターンテーブル駆動装置14におけるモータ回転数からターンテーブル13の位置を算出したり、ターンテーブル13の回転位置を直接検出したりしてもよい。
【0040】
ターンテーブル位置検出装置37は、ターンテーブル13の実際の回転位置を検出する。すなわち、
図8および
図9に示すように、観察者Aが位置Aaから位置Aeに移動するとき、ターンテーブル制御装置36は、ターンテーブル駆動装置14を駆動制御し、ディスプレイ12が観察者Aの位置Aeに対向するように、ターンテーブル13を所定の位置まで回転し、ディスプレイ12eの位置とする。このとき、観察者Aが位置Aaから位置Aeに素早く移動すると、ターンテーブル制御装置36による制御遅れやターンテーブル駆動装置14を駆動時間によりディスプレイ12が遅れてディスプレイ12eに移動する。すなわち、観察者Aが位置Aeに到達したとき、ディスプレイ12は、まだ、観察者Aの位置Adに対向するディスプレイ12dの位置にある。ターンテーブル位置検出装置37は、ターンテーブル13の実際の回転位置をレンダリング装置33へ送信する。
【0041】
そのため、第2実施形態にて、観察者Aが位置Aeに到達したにもかかわらずディスプレイ12dの位置にあるとき、レンダリング装置33は、ターンテーブル位置検出装置37が検出したターンテーブル13の実際の回転位置、つまり、実際のディスプレイ12dの位置に応じた仮想オブジェクトの画像を形成する。また、背景画像処理装置34も、ターンテーブル13の実際の回転位置、つまり、実際のディスプレイ12dの位置に応じて、ディスプレイ12dの後方の背景画像を切り出して取得する。画像合成処理装置35は、仮想オブジェクト101の画像の後方に背景画像を重畳した合成画像を生成し、ディスプレイ12dに表示させる。
【0042】
その後、ターンテーブル13が回転し、ディスプレイ12が観察者Aの位置Aeに対向するディスプレイ12eの位置に到達すると、レンダリング装置33は、ディスプレイ12eの位置に応じた仮想オブジェクトの画像を形成し、背景画像処理装置34は、ディスプレイ12eの後方の背景画像を切り出して取得する。画像合成処理装置35は、仮想オブジェクト101の画像の後方に背景画像を重畳した合成画像を生成し、ディスプレイ12eに表示させる。
【0043】
なお、ターンテーブル位置検出装置37は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などの全て又は少なくとも一つによって構成される。また、ターンテーブル位置検出装置37は、画像処理装置31と、顔位置検出装置32、レンダリング装置33、背景画像処理装置34、画像合成処理装置35、ターンテーブル制御装置36と一体であってもよく、またはそれぞれ別体であってもよい。ターンテーブル位置検出装置37は、例えば、ターンテーブル駆動装置14に含まれて備えつけられているが、それぞれ、ケース11、ディスプレイ12、ターンテーブル13、ターンテーブル駆動装置14、カメラ15のいずれかに含まれて備えつけられていればよい。
【0044】
<第2実施形態の変形例>
図10は、第2実施形態に係る立体映像表示装置における観察者の位置に応じた立体映像表示内容の変形例を表す説明図である。
【0045】
図8および
図10に示すように、ターンテーブル制御装置36は、顔位置検出装置32が検出した観察者の位置にディスプレイ12が対向するようにターンテーブル13を回転させる。このとき、ターンテーブル制御装置36は、顔位置検出装置32が検出した観察者Aの位置が予め設定された所定時間内に角度θb,θcを超えて移動したときに、観察者Aの位置に対向するようにターンテーブル13およびディスプレイ12を回転させる。
【0046】
観察者Aが微小量だけ移動するごとにディスプレイ12を回転させると、ターンテーブル駆動装置14は、頻繁にターンテーブル13を回転させることとなり、常時、モータの駆動音が発生し、観察者Aがモータの駆動音を騒音として感じやすい。そのため、ターンテーブル制御装置36は、観察者Aの位置が角度θb,θc内での移動するとき、ターンテーブル13を回転させない。但し、レンダリング装置33は、観察者Aが微小移動した位置に応じた仮想オブジェクトの画像を形成し、背景画像処理装置34は、観察者Aが微小移動した位置に対応したディスプレイ12eの後方の背景画像を切り出して取得する。画像合成処理装置35は、仮想オブジェクト101の画像の後方に背景画像を重畳した合成画像を生成し、ディスプレイ12eに表示させる。
【0047】
なお、ターンテーブル制御装置36は、顔位置検出装置32が検出した観察者Aの位置が予め設定された所定時間を超えて角度θb,θc内で移動しているときは、ターンテーブル13を回転させてもよい。つまり、ターンテーブル13が停止した状態にあり、観察者Aが角度θb,θc内で移動しているとき、ターンテーブル13が停止してから所定時間が経過したら、ディスプレイ12が観察者Aに対向するようにターンテーブル13を回転させてもよい。
【0048】
また、ターンテーブル制御装置36によるターンテーブル13の回転速度に上限値を設定することが好ましい。ターンテーブル13を低速で回転することで、モータの大きな駆動音の発生を抑制したり、ターンテーブル13の回転振動を抑制したり、消費駆動電力量を低減したりすることができる。
【0049】
[実施形態の作用効果]
本実施形態では、画像を表示するディスプレイ(画像表示部)12と、周囲にいる観察者の位置を検出する顔位置検出装置(観察者位置検出部)32と、顔位置検出装置32が検出した観察者の位置に応じた仮想オブジェクトの画像を形成するレンダリング装置33と、顔位置検出装置32が検出した観察者に対向する位置にディスプレイ12を回転させるターンテーブル駆動装置14(回転部)と、ディスプレイ12の後方の背景画像を取得するカメラ(背景画像取得部)15と、背景画像の手前に仮想オブジェクトの画像を重畳した合成画像を生成してディスプレイ12に表示する画像合成処理部装置35とを備える。
【0050】
そのため、観察者の位置に応じて適切な仮想オブジェクト101の画像および背景画像をディスプレイ12dに表示することができる。その結果、観察者に違和感を与えることがない立体映像を表示することができる。
【0051】
本実施形態では、ディスプレイ12の回転位置を検出するターンテーブル位置検出装置(回転位置検出部)37を設け、レンダリング装置33は、ターンテーブル位置検出装置37が検出した回転位置に応じた仮想オブジェクトの画像を形成し、背景画像処理装置34は、回転位置検出装置37が検出した回転位置に応じた背景画像を形成する。そのため、ディスプレイ12の移動遅れがあっても、ディスプレイ12dに適切な画像を表示することができる。
【0052】
本実施形態では、ターンテーブル制御装置36は、顔位置検出装置32が検出した観察者の位置が予め設定された所定時間内に所定角度を超えて移動したときに、観察者に対向する位置にディスプレイ12を回転させる。そのため、必要以上のディスプレイ12の回転をやめ、頻繁なターンテーブル駆動装置14におけるモータの駆動音の発生を抑制することで、観察者に不快感を与えることを抑制することができる。
【0053】
これまで本発明に係る立体映像表示装置10について説明したが、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。
【0054】
図示した立体映像表示装置10の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
【0055】
立体映像表示装置10の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0056】
上記した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【0057】
また、立体映像表示装置10の基本的な構成は、上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、ケース11に対するディスプレイ12、ターンテーブル13、ターンテーブル駆動装置14の位置は、適宜設定すればよいものである。また、ターンテーブル駆動装置14は、ターンテーブル13を回転することで、ターンテーブル13と一体のディスプレイ12を回転可能としたが、直接ディスプレイ12を回転可能としてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10 立体映像表示装置
11 ケース
12 ディスプレイ(画像表示装置)
13 ターンテーブル(テーブル装置)
14 ターンテーブル駆動装置(回転装置)
15 、カメラ(背景画像取得装置)
21 天井部
22 円筒部
23 底部
24 出力軸
31 画像処理装置
32 顔位置検出装置(観察者位置検出装置)
33 レンダリング装置
34 背景画像処理装置
35 画像合成処理装置
36 ターンテーブル制御装置(回転制御装置)
37 ターンテーブル位置検出装置(回転位置検出装置)