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  • 特開-コードの清掃装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141477
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】コードの清掃装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 9/023 20060101AFI20220921BHJP
   B08B 11/00 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
B08B9/023
B08B11/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041806
(22)【出願日】2021-03-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】521109626
【氏名又は名称】北 嘉徳郎
(74)【代理人】
【識別番号】100081592
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 義則
(72)【発明者】
【氏名】北 嘉徳郎
【テーマコード(参考)】
3B116
【Fターム(参考)】
3B116AA07
3B116AB32
3B116BA15
3B116CD42
(57)【要約】      (修正有)
【課題】柔軟性のある電源用コードであっても容易に適用可能とし、その表面を確実に清掃するコードの清掃装置を提供する。
【解決手段】コード6を前後方向に送る送り手段1と、送り手段1によって送られるコード6の表面に回転体を接触させて、その回転体との接触によりコード表面の付着物を除去する清掃手段とを備えたコードの清掃装置であって、送られるコード6の一面側と、その反対面側に清掃ローラ8,9を配置し、コード6の両面から付着物を除去する構成とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コード(6)を前後方向に送る送り手段(1)と、
送り手段(1)によって送られるコード(6)の表面に回転体を接触させて、その回転体との接触によりコード表面の付着物を除去する清掃手段とを備えたことを特徴とするコードの清掃装置。
【請求項2】
送られるコード(6)の一面側と、その反対面側に清掃ローラ(8),(9)を配置し、コード(6)の両面から付着物を除去する構成とした請求項1記載のコードの清掃装置。
【請求項3】
回転ローラ(8),(9)のコード(6)との接触部は、コード径に合わせたU状の溝(12)が形成されていることを特徴とする請求項2記載のコードの清掃装置。
【請求項4】
2個の清掃ローラ(8),(9)の回転軸は、ギア(8b),(9b)によって互いに連結され、同期して逆回転する構成とした請求項2または3記載のコードの清掃装置。
【請求項5】
2個の清掃ローラ(8),(9)はチェーン(21)とスプロケット(22)によって連結され、同期して逆回転する構成とした請求項2または3記載のコードの清掃装置。
【請求項6】
清掃ローラ(8),(9)はコード(6)の送り方向に対して抗する方向に回転する構成とした請求項2、3、4または5記載のコードの清掃装置。
【請求項7】
送られるコード(6)が最終端に達した場合に、最終端のコード(6)の動きを検知して、作動を停止するリミットスイッチ(19)が備えられていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載のコードの清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコードの清掃装置に関し、特に、柔軟性のある電源用コードであっても容易に適用可能とし、その表面を確実に清掃するコードの清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、土木建設現場や屋外の作業・業務等で使用される電源用コードリールはレンタル利用されるものがあり、貸出時にきれいな状態でも、返却時にはほこりや付着物等によって汚れた状態で返却されることがある。
土木建設現場等では、コンクリートやモルタルがそのアクと共に付着したもの、塗料やシール剤、目止め剤や鉄粉等が乾燥した状態で付着している場合も多くあり、再び貸し出す業者にとっては、その清掃作業に多大な手間を要するという問題があった。
この清掃作業においては、コードに付着したコンクリートやモルタル、塗料等を研磨シートや布等で何回も拭き取り、汚れが激しいものについては、剥離剤をふりかけ、スクレーパなどで削る作業が必要となる。また、コードを傷付けないよう慎重な作業が求められる。
【0003】
剥離剤によっては危険物第4類に属する有害なものもあり、人体への影響、引火性などの危険も伴う。
また、電源用コードリール一台を清掃するのに30分~40分の時間を要し、汚損が激しいものでは1時間以上費やすこともある。
さらに、中腰での作業となり人体への負担も大きい。
かかる状況下、ワイヤーロープの清掃装置に関する技術として特許文献1の技術が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-230233
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、ワイヤーロープ上を装置が移動しながら、スクレーパを使用して、付着物を除去する技術が記載されている。
この特許文献1の技術は、ワイヤーロープ上を清掃装置が移動する構成であるため、コードを一定方向に送る機構についての記載はない。
また、スクレーパを使用して強靭なワイヤーを清掃する技術であるため、柔軟性のある電源コードには適用できないという問題があった。
本発明は、かかる従来の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、柔軟性のある電源用コードであっても容易に適用可能とし、その表面を確実に清掃するコードの清掃装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための手段として請求項1記載のコードの清掃装置では、コード(6)を前後方向に送る送り手段(1)と、送り手段(1)によって送られるコード(6)の表面に回転体を接触させて、その回転体との接触によりコード表面の付着物を除去する清掃手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載のコードの清掃装置では、請求項1記載のコードの清掃装置において、送られるコード(6)の一面側と、その反対面側に清掃ローラ(8),(9)を配置し、コード(6)の両面から付着物を除去する構成とした。
【0008】
請求項3記載のコードの清掃装置では、請求項2記載のコードの清掃装置において、回転ローラ(8),(9)のコード(6)との接触部は、コード径に合わせたU状の溝(12)が形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載のコードの清掃装置では、請求項2または3記載のコードの清掃装置において、2個の清掃ローラ(8),(9)の回転軸は、ギア(8b),(9b)によって互いに連結され、同期して逆回転する構成とした。
【0010】
請求項5記載のコードの清掃装置では、請求項2または3記載のコードの清掃装置において、2個の清掃ローラ(8),(9)はチェーン(21)とスプロケット(22)によって連結され、同期して逆回転する構成とした。
【0011】
請求項6記載のコードの清掃装置では、請求項2、3または4記載のコードの清掃装置において、清掃ローラ(8),(9)はコード(6)の送り方向に対して抗する方向に回転する構成とした。
【0012】
請求項7記載のコードの清掃装置では、請求項1、2、3、4または5記載のコードの清掃装置において、送られるコード(6)が最終端に達した場合に、最終端のコード(6)の動きを検知して、作動を停止するリミットスイッチ(19)が備えられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載のコードの清掃装置においては、コードを前後方向に送る送り手段と、送り手段によって送られるコードの表面に回転体を接触させて、その回転体との接触によりコード表面の付着物を除去する清掃手段とを備えているので、コード表面の汚れの除去を自動的に行うことができる。
【0014】
請求項2記載のコードの清掃装置においては、送られるコードの一面側と、その反対面側に清掃ローラを配置し、コードの両面から付着物を除去する構成としたので、コード全体の汚れの除去を確実に行うことができる。
【0015】
請求項3記載のコードの清掃装置においては、回転ローラのコードとの接触部は、コード径に合わせたU状の溝が形成されているので、U状の陥没部分にコードが嵌り込み、コードの外周が清掃ローラと接触して、表面全体の汚れが除去される。
【0016】
請求項4記載のコードの清掃装置においては、2個の清掃ローラの回転軸はギアによって互いに連結され、同期して逆回転する構成としたので、一定方向に送られるコードに対し、その両面からローラが同一の方向に向かって回転してコードの汚れを除去する。
【0017】
請求項5記載のコードの清掃装置においては、2個の清掃ローラはチェーンとスプロケットによって連結され、同期して逆回転する構成としたので、一定方向に送られるコードに対し、その両面からローラが同一の方向に向かって回転してコードの汚れを除去する。
【0018】
請求項6記載のコードの清掃装置においては、清掃ローラはコードの送り方向に対して抗する方向に回転する構成としたので、コードに対する清掃ローラの摩擦抵抗が増大し、効率的に汚れを除去する。
【0019】
請求項7記載のコードの清掃装置においては、送られるコードが最終端に達した場合に、最終端のコードの動きを検知して、作動を停止するリミットスイッチが備えられているので、清掃作業停止が自動的に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】コードの清掃装置の概略斜視図である。
図2】清掃ローラの説明図である。
図3】コードの清掃装置の概略正面図である。
図4】コードの清掃装置の概略平面図である。
図5】コードの清掃装置の概略側面図である。
図6】チェーンとスプロケットを利用した駆動機構の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のコードの清掃装置Aは、図1~5に示すように、コードを一定方向(前後方向)に送る送り手段1と、送り手段1によって送られるコードの表面に回転体(清掃ローラ)を接触させて、その回転体との接触によりコード表面の付着物を除去する清掃手段2とを備え、装置本体は架台3によって支持され、本体の外側はフレーム4によって囲われ、本体上方には各種操作ボタンを有する操作盤5が設けられている。
本発明に適用されるコード6は、一般にコードリールに巻回して使用される電源コードが適用されるが、ワイヤー、ロープその他の紐状体に適用することも可能である。
【0022】
前記清掃手段2は、コード6の導入部に配置されるガイドローラ7と、そのガイドローラ7を介して導入されたコードの下側を清掃する前部清掃ローラ8と、その清掃ローラ8にコードを押圧させるテンションローラ10と、前部清掃ローラ8の後方に設けられてコードの上側を清掃する後部清掃ローラ9と、それら清掃ローラ8,9を駆動するモータ11を備えている。
前部清掃ローラ8と後部清掃ローラ9との回転軸8a,9aは装置内を水平方向へ平行に伸び、二本の回転軸は互いにギア8b、9bによって歯合されている(図4参照)。
モータ11の駆動力はベルトを介して清掃ローラ8の回転軸8aに伝達され、回転軸8aが駆動されることによってギア8b、9bを介して平行する回転軸9aも駆動され、2個の清掃ローラ8,9は互いに同期して逆回転する構成とされている。
前記2個の清掃ローラ8,9は互いに同期して逆回転するので、移送されるコード6を上と下から押圧して挟んだ状態で、両方の清掃ローラ8,9がコード6の送り方向に対して抗する方向に回転する。
【0023】
前記清掃ローラ8,9は不織布研磨材をロール状に加工した所定の厚さを有する円盤状体であり、円盤の外周面にはU状の溝12が形成されている(図2参照)。
このU状の溝12は、円盤の外周面の両縁を残して中央部分をコード径に合わせて陥没させたものであり、このU状の陥没部分にコード6が嵌り込み、コード6の外周が清掃ローラと接触して、表面全体の汚れが除去される。
本実施例ではコードの上側と下側に清掃ローラ8,9が配置されているので、それらが上側と下側からコード全体を清掃する。また、本実施例では、コード径より約2mm程度小さい径の直径で、上端より1.5~2mm深い位置(h)からU状の溝を形成している。
清掃ローラの材質、溝の形状については適用するコードに応じて適宜設定がなされる。
【0024】
前記送り手段1は、コード6を一定方向に引っ張る装置である。
送り手段1は、清掃手段を通過したコードをガイドするガイドローラ13と、ガイドローラ13からのコード6を受ける引っ張り用ホイール14と、引っ張り用ホイール14との間にコード6を押圧させるアイドラプーリ15と、そのアイドラプーリ15をベルトを介して駆動する駆動プーリ16と、その駆動プーリ16を回転させるギアモータ17と、前記アイドラプーリ15を引っ張り用ホイール14へ押し付けるエアシリンダ18を備えている。
ガイドローラ13にガイドされたコード6は、引っ張り用ホイール14上へ導入され、アイドラプーリ15によって引っ張り用ホイール14上へ押し付けられる。
アイドラプーリ15はエアシリンダ18のピストン伸長によって引っ張り用ホイール14上へ押圧される。そして、アイドラプーリ15はモータ17によって駆動される駆動プーリ16の回転をベルト伝達されて回転する。そのため、引っ張り用ホイール14とアイドラプーリ15に挟まれたコード6はそれらの回転に従って後方へ送られる。
【0025】
コードの清掃装置Aのコードの導入側にはリミットスイッチ19が設けられている。
このリミットスイッチ19は、電源コードの最終端のコンセントプラグ20の係止部を有し、この係止部にコードの最終端のプラグ20を係止することにより、送り手段1によって順次送られるコードが最終端に達した場合に、その最終端のコード6の動きを検知して、それ以上の送り手段によるコードの送り、及び装置の作動を停止する。
【0026】
次に、本発明のコードの清掃装置Aの使用方法を説明する。
汚れの付着した処理対象の電源コード6を、ガイドローラ7から清掃ローラ8,9の間に掛け渡し、さらにその先方をガイドローラ13から引っ張り用ホイール14とアイドラプーリ15の間に掛け渡してコード6を装着する。
操作盤5の操作ボタンを押すことにより、エアシリンダ18のピストンが伸長してアイドラプーリ15を引っ張り用ホイール14に押圧する。アイドラプーリ15はモータ17の駆動力を駆動プーリ16からの駆動力をベルトを介して伝導され回転するので、コード6を引っ張り、コード6が前後方向(一定方向)へ送られる。
同時に、清掃手段2のモータ11が駆動し清掃ローラ8,9を回転させてコード6の上側と下側を摩擦により清掃する。
2個の清掃ローラ8,9は互いに同期して逆回転するので、移送されるコード6を上と下から挟んだ状態で、コード全体を清掃する。
また、両方の清掃ローラ8,9はコード6の送り方向に対して抗する方向に回転し、清掃ローラ8,9にはコード径に合わせたU状の溝12が形成されているので、コード6の表面全体の付着物(汚れ)を効率的に除去する。
【0027】
コードの清掃装置Aによるコードの清掃が進行し、引き込まれるコードが最終部分に達すると、コードの最終端のコンセントプラグ20が引き込まれる方向に動いて、リミットスイッチを作動させ、装置の作動を停止する。
装置の作動停止後は、コード6を取り外してコードリールに収容する。
前記コードの清掃に際しては、汚れたコードを水に浸漬して付着物をふやけた状態にして、水からあげて清掃ローラ8,9に通す。また、必要に応じ、コードの汚れの種類、状況等に応じ、石鹸水、薬剤等に浸漬、あるいはそれらを塗布し、コード表面の汚れの除去が容易となるよう予め処理を行うことも可能である。
【0028】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明の具体的な構成は本実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では清掃手段と送り手段のそれぞれにモータ11,17を設定したが、1個のモータで清掃手段と送り手段の両方を駆動する構成とすることも可能である。
また、清掃ローラ8,9を回転させる方法については図6に示すように、チェーン21とスプロケット22を利用したギアモータ23による駆動機構を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0029】
A コードの清掃装置
1 送り手段
2 清掃手段
3 架台
4 フレーム
5 操作盤
6 コード
7 ガイドローラ
8 清掃ローラ(前部清掃ローラ)
9 清掃ローラ(後部清掃ローラ)
10 テンションローラ
11 モータ
12 溝
13 ガイドローラ
14 引っ張り用ホイール
15 アイドラプーリ
16 駆動プーリ
17 ギアモータ
18 エアシリンダ
19 リミットスイッチ
20 プラグ
21 チェーン
22 スプロケット
23 ギアモータ


図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-08-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コード表面の汚れの除去が容易となるように、あらかじめ水や石鹸水や薬剤に浸漬、又はこれらを塗布したコード(6)を、導入側から排出側へ送る送り手段(1)と、
不織布研磨材でロール状に形成され、その外周面にコード(6)の下面側又は上面側がくい込むU字状の溝(12)が形成された一対の清掃ローラ(8),(9)を前記送り手段(1)により送られるコード(6)の上下に設けた清掃手段(2)とを備え、
前記一対の清掃ローラ(8),(9)は、コード(6)の送り方向に対して抗する方向に回転するように構成されると共に、コードの下面側又は上面側が前記溝(12)にくい込むようにコードの送り方向に間隔をあけて配置されていることを特徴とするコードの清掃装置。
【請求項2】
前記一対の清掃ローラ(8),(9)の回転軸は、ギア(8b),(9b)によって互いに連結され、同期して逆回転する構成としたことを特徴とする請求項1記載のコードの清掃装置。
【請求項3】
前記一対の清掃ローラ(8),(9)はチェーン(21)とスプロケット(22)によって連結され、同期して逆回転する構成としたことを特徴とする請求項1記載のコードの清掃装置。
【請求項4】
前記送り手段(1)により送られるコード(6)が最終端に達した場合に、最終端のコード(6)の動きを検知して、作動を停止するリミットスイッチ(19)が備えられていることを特徴とする請求項1、2又は3記載のコードの清掃装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコードの清掃装置に関し、特に、柔軟性のある電源用コードであっても容易に適用可能とし、その表面を確実に清掃するコードの清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、土木建設現場や屋外の作業・業務等で使用される電源用コードリールはレンタル利用されるものがあり、貸出時にきれいな状態でも、返却時にはほこりや付着物等によって汚れた状態で返却されることがある。
土木建設現場等では、コンクリートやモルタルがそのアクと共に付着したもの、塗料やシール剤、目止め剤や鉄粉等が乾燥した状態で付着している場合も多くあり、再び貸し出す業者にとっては、その清掃作業に多大な手間を要するという問題があった。
この清掃作業においては、コードに付着したコンクリートやモルタル、塗料等を研磨シートや布等で何回も拭き取り、汚れが激しいものについては、剥離剤をふりかけ、スクレーパなどで削る作業が必要となる。また、コードを傷付けないよう慎重な作業が求められる。
【0003】
剥離剤によっては危険物第4類に属する有害なものもあり、人体への影響、引火性などの危険も伴う。
また、電源用コードリール一台を清掃するのに30分~40分の時間を要し、汚損が激しいものでは1時間以上費やすこともある。
さらに、中腰での作業となり人体への負担も大きい。
かかる状況下、ワイヤーロープの清掃装置に関する技術として特許文献1の技術が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-230233
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、ワイヤーロープ上を装置が移動しながら、スクレーパを使用して、付着物を除去する技術が記載されている。
この特許文献1の技術は、ワイヤーロープ上を清掃装置が移動する構成であるため、コードを一定方向に送る機構についての記載はない。
また、スクレーパを使用して強靭なワイヤーを清掃する技術であるため、柔軟性のある電源コードには適用できないという問題があった。
本発明は、かかる従来の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、柔軟性のある電源用コードであっても容易に適用可能とし、その表面を確実に清掃するコードの清掃装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための手段として請求項1記載のコードの清掃装置では、コード表面の汚れの除去が容易となるように、あらかじめ水や石鹸水や薬剤に浸漬、又はこれらを塗布したコード(6)を、導入側から排出側へ送る送り手段(1)と、不織布研磨材でロール状に形成され、その外周面にコード(6)の下面側又は上面側がくい込むU字状の溝(12)が形成された一対の清掃ローラ(8),(9)を前記送り手段(1)により送られるコード(6)の上下に設けた清掃手段(2)とを備え、前記一対の清掃ローラ(8),(9)は、コード(6)の送り方向に対して抗する方向に回転するように構成されると共に、コードの下面側又は上面側が前記溝(12)にくい込むようにコードの送り方向に間隔をあけて配置されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載のコードの清掃装置では、請求項1記載のコードの清掃装置において、一対の清掃ローラ(8),(9)の回転軸は、ギア(8b),(9b)によって互いに連結され、同期して逆回転する構成とした。
【0008】
請求項3記載のコードの清掃装置では、請求項1記載のコードの清掃装置において、一対の清掃ローラ(8),(9)はチェーン(21)とスプロケット(22)によって連結され、同期して逆回転する構成とした。
【0009】
請求項4記載のコードの清掃装置では、請求項1、2又は3記載のコードの清掃装置において、送り手段(1)により送られるコード(6)が最終端に達した場合に、最終端のコード(6)の動きを検知して、作動を停止するリミットスイッチ(19)が備えられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載のコードの清掃装置においては、コード表面の汚れの除去が容易となるように、あらかじめ水や石鹸水や薬剤に浸漬、又はこれらを塗布したコード(6)を、導入側から排出側へ送る送り手段(1)と、不織布研磨材でロール状に形成され、その外周面にコード(6)の下面側又は上面側がくい込むU字状の溝(12)が形成された一対の清掃ローラ(8),(9)を前記送り手段(1)により送られるコード(6)の上下に設けた清掃手段(2)とを備え、前記一対の清掃ローラ(8),(9)は、コード(6)の送り方向に対して抗する方向に回転するように構成されると共に、コードの下面側又は上面側が前記溝(12)にくい込むようにコードの送り方向に間隔をあけて配置されているので、あらかじめコード表面の汚れの除去が容易になるように前処理されたコードを、外周面にコードの下面側又は上面側がくい込むU字状の溝を形成した一対の清掃ローラの間を通すことにより、コード表面の付着物を自動的、かつ、確実にかき落とすことができ、しかも、電源用コードのように柔軟性を有するコードであっても傷付けることなく清掃することができる。
【0011】
請求項2記載のコードの清掃装置においては、一対の清掃ローラの回転軸はギアによって互いに連結され、同期して逆回転する構成としたので、一定方向に送られるコードに対し、その両面からローラが同一の方向に向かって回転してコードの汚れを除去する。
【0012】
請求項3記載のコードの清掃装置においては、一対の清掃ローラはチェーンとスプロケットによって連結され、同期して逆回転する構成としたので、一定方向に送られるコードに対し、その両面からローラが同一の方向に向かって回転してコードの汚れを除去する。
【0013】
請求項4記載のコードの清掃装置においては、送り装置により送られるコードが最終端に達した場合に、最終端のコードの動きを検知して、作動を停止するリミットスイッチが備えられているので、清掃作業停止が自動的に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】コードの清掃装置の概略斜視図である。
図2】清掃ローラの説明図である。
図3】コードの清掃装置の概略正面図である。
図4】コードの清掃装置の概略平面図である。
図5】コードの清掃装置の概略側面図である。
図6】チェーンとスプロケットを利用した駆動機構の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のコードの清掃装置Aは、図1~5に示すように、コードを一定方向(導入側から排出側)に送る送り手段1と、送り手段1によって送られるコードの表面に前部の清掃ローラ8と後部の清掃ローラ9を接触させて、その清掃ローラ8,9との接触によりコード表面の付着物を除去する清掃手段2とを備え、装置本体は架台3によって支持され、本体の外側はフレーム4によって囲われ、本体上方には各種操作ボタンを有する操作盤5が設けられている。
本発明に適用されるコード6は、一般にコードリールに巻回して使用される電源コードが適用されるが、ワイヤー、ロープその他の紐状体に適用することも可能である。
【0016】
前記清掃手段2は、コード6の導入部に配置されるガイドローラ7と、そのガイドローラ7を介して導入されたコードの下面側を清掃する前部の清掃ローラ8と、その清掃ローラ8にコードを押圧させるテンションローラ10と、前部の清掃ローラ8の後方に設けられてコードの上面側を清掃する後部の清掃ローラ9と、それら清掃ローラ8,9を駆動するモータ11を備えている。
前部の清掃ローラ8と後部の清掃ローラ9との回転軸8a,9aは装置内を水平方向へ平行に伸び、二本の回転軸は互いにギア8b、9bによって歯合されている(図4参照)。
モータ11の駆動力はベルトを介して前部の清掃ローラ8の回転軸8aに伝達され、回転軸8aが駆動されることによってギア8b、9bを介して平行する回転軸9aも駆動され、2個の清掃ローラ8,9は互いに同期して逆回転する構成とされている。
前記2個の清掃ローラ8,9は互いに同期して逆回転するので、移送されるコード6を上と下から押圧して挟んだ状態で、両方の清掃ローラ8,9がコード6の送り方向に対して抗する方向に回転する。
【0017】
前記清掃ローラ8,9は不織布研磨材をロール状に加工した所定の厚さを有する円盤状体であり、円盤の外周面にはU字状の溝12が形成されている(図2参照)。
このU字状の溝12は、円盤の外周面の両縁を残して中央部分をコード径に合わせて陥没させたものであり、このU字状の陥没部分にコード6が嵌り込み、コード6の外周が清掃ローラと接触して、表面全体の汚れが除去される。
本実施例ではコードの上面側と下面側に清掃ローラ8,9が配置されているので、それらが上面側と下面側からコード全体を清掃する。また、本実施例では、コード径より約2mm程度小さい径の直径で、上端より1.5~2mm深い位置(h)からU字状の溝を形成している。
清掃ローラの材質、溝の形状については適用するコードに応じて適宜設定がなされる。
【0018】
前記送り手段1は、コード6を一定方向(導入側から排出側)に引っ張る装置である。
送り手段1は、清掃手段を通過したコードをガイドするガイドローラ13と、ガイドローラ13からのコード6を受ける引っ張り用ホイール14と、引っ張り用ホイール14との間にコード6を押圧させるアイドラプーリ15と、そのアイドラプーリ15をベルトを介して駆動する駆動プーリ16と、その駆動プーリ16を回転させるギアモータ17と、前記アイドラプーリ15を引っ張り用ホイール14へ押し付けるエアシリンダ18を備えている。
ガイドローラ13にガイドされたコード6は、引っ張り用ホイール14上へ導入され、アイドラプーリ15によって引っ張り用ホイール14上へ押し付けられる。
アイドラプーリ15はエアシリンダ18のピストン伸長によって引っ張り用ホイール14上へ押圧される。そして、アイドラプーリ15はモータ17によって駆動される駆動プーリ16の回転をベルト伝達されて回転する。そのため、引っ張り用ホイール14とアイドラプーリ15に挟まれたコード6はそれらの回転に従って後方へ送られる。
【0019】
コードの清掃装置Aのコードの導入側にはリミットスイッチ19が設けられている。
このリミットスイッチ19は、電源コードの最終端のコンセントプラグ20の係止部を有し、この係止部にコードの最終端のプラグ20を係止することにより、送り手段1によって順次送られるコードが最終端に達した場合に、その最終端のコード6の動きを検知して、それ以上の送り手段によるコードの送り、及び装置の作動を停止する。
【0020】
次に、本発明のコードの清掃装置Aの使用方法を説明する。
汚れの付着した処理対象の電源コード6を、ガイドローラ7から清掃ローラ8,9の間に掛け渡し、さらにその先方をガイドローラ13から引っ張り用ホイール14とアイドラプーリ15の間に掛け渡してコード6を装着する。
操作盤5の操作ボタンを押すことにより、エアシリンダ18のピストンが伸長してアイドラプーリ15を引っ張り用ホイール14に押圧する。アイドラプーリ15はモータ17によって駆動される駆動プーリ16からの駆動力をベルトを介して伝導され回転するので、コード6を引っ張り、コード6が前後方向(排出側)へ送られる。
同時に、清掃手段2のモータ11が駆動し清掃ローラ8,9を回転させてコード6の上面側と下面側を摩擦により清掃する。
2個の清掃ローラ8,9は互いに同期して逆回転するので、移送されるコード6を上と下から挟んだ状態で、コード全体を清掃する。
また、両方の清掃ローラ8,9はコード6の送り方向に対して抗する方向に回転し、清掃ローラ8,9にはコード径に合わせたU字状の溝12が形成されているので、コード6の表面全体の付着物(汚れ)を効率的に除去する。
【0021】
コードの清掃装置Aによるコードの清掃が進行し、引き込まれるコードが最終部分に達すると、コードの最終端のコンセントプラグ20が引き込まれる方向に動いて、リミットスイッチを作動させ、装置の作動を停止する。
装置の作動停止後は、コード6を取り外してコードリールに収容する。
前記コードの清掃に際しては、汚れたコードを水に浸漬して付着物をふやけた状態にして、水からあげて清掃ローラ8,9に通す。また、必要に応じ、コードの汚れの種類、状況等に応じ、石鹸水、薬剤等に浸漬、あるいはそれらを塗布し、コード表面の汚れの除去が容易となるようあらかじめ処理を行う。
【0022】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明の具体的な構成は本実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では清掃手段と送り手段のそれぞれにモータ11,17を設定したが、1個のモータで清掃手段と送り手段の両方を駆動する構成とすることも可能である。
また、清掃ローラ8,9を回転させる方法については図6に示すように、チェーン21とスプロケット22を利用したギアモータ23による駆動機構を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0023】
A コードの清掃装置
1 送り手段
2 清掃手段
3 架台
4 フレーム
5 操作盤
6 コード
7 ガイドローラ
8 清掃ローラ
9 清掃ローラ
10 テンションローラ
11 モータ
12 溝
13 ガイドローラ
14 引っ張り用ホイール
15 アイドラプーリ
16 駆動プーリ
17 ギアモータ
18 エアシリンダ
19 リミットスイッチ
20 プラグ
21 チェーン
22 スプロケット
23 ギアモータ