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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014157
(43)【公開日】2022-01-19
(54)【発明の名称】センサ装着具
(51)【国際特許分類】
   A01K 11/00 20060101AFI20220112BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
A01K11/00 B
G09F3/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020116350
(22)【出願日】2020-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】大木 恒雄
(72)【発明者】
【氏名】小森 敦
(72)【発明者】
【氏名】中井 利匡
(57)【要約】      (修正有)
【課題】センサモジュールを被着体に非侵襲的に装着でき、かつ締め付け過ぎずにセンサモジュールの脱落を抑制できるセンサ装着具を提供する。
【解決手段】帯状のシート状基材10と、シート状基材10の被着体に向けられる第1面10aに設けられた複数の突起部22とを備えるセンサ装着具1であって、シート状基材10の長さ方向から見た側面視で、複数の突起部22はそれぞれ、シート状基材10の第1面10aから一方に揃って反り返っている傾斜面22aを有している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサモジュールを被着体に装着するための帯状又はリング状のセンサ装着具であって、
シート状基材と、前記シート状基材の前記被着体に向けられる表面に設けられた複数の突起部と、を備え、
前記シート状基材の長さ方向から見た側面視で、前記の複数の突起部はそれぞれ、前記シート状基材の前記表面から一方に揃って反り返っている傾斜面を有する、センサ装着具。
【請求項2】
前記シート状基材の長さ方向から見た側面視で、前記シート状基材の前記表面に対して垂直な面と前記傾斜面とがなす角度が10°以上60°以下である、請求項1に記載のセンサ装着具。
【請求項3】
前記シート状基材がエラストマーを含有する、請求項1又は2に記載のセンサ装着具。
【請求項4】
前記突起部がエラストマーを含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のセンサ装着具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
牛、豚等の家畜を扱う畜産現場において、日和見感染症、呼吸器病、消化器病等の疾病による経済的損失は大きな問題であり、特に日和見感染症は家畜の傷病頭数、死廃頭数の中でも大きな割合を占めている。省力化や大規模化が進んだ日本の畜産現場では、人が個々の家畜を常時監視することは難しく、これらの疾病の防除は容易ではない。
【0003】
そこで、家畜に体表温センサ、音声センサ、活動量センサ等のセンサモジュールを装着し、家畜の生体情報を収集して健康状態を常時監視し、疾病を防除して経済的損失を低減することが試みられている(特許文献1)。センサモジュールは家畜に非侵襲的に装着することが重要であり、例えば、ベルト等の装着具を用いて家畜に装着される。特許文献2には、動物の尾部に嵌挿する環状の嵌挿部と、嵌挿部に支持されたセンサ保持部と、動物の身体に装着され、嵌挿部が尾部から離脱しないように頭部側に引っ張るベルト式の装着部とを備えたセンサ装着具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6704164号公報
【特許文献2】特開2019-165695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
センサモジュールを装着する際、装着具を締め付けすぎると血流が鬱滞し、痛みなどの違和感の発生や皮膚への傷害が発生することがある。一方、装着具の締め付けが不十分であると、家畜の動き等で緩みや滑りが生じてセンサモジュールが脱落するおそれがある。従来のベルト式のセンサ装着具ではセンサモジュールの装着時の締め付け力の微調整が難しく、家畜に与える違和感を軽減しつつセンサモジュールを安定して装着することは難しい。
【0006】
本発明は、センサモジュールを被着体に非侵襲的に装着でき、かつ締め付け過ぎずにセンサモジュールの脱落を抑制できるセンサ装着具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]センサモジュールを被着体に装着するための帯状又はリング状のセンサ装着具であって、シート状基材と、前記シート状基材の前記被着体に向けられる表面に設けられた複数の突起部と、を備え、前記シート状基材の長さ方向から見た側面視で、前記の複数の突起部はそれぞれ、前記シート状基材の前記表面から一方に揃って反り返っている傾斜面を有する、センサ装着具。
[2]前記シート状基材の長さ方向から見た側面視で、前記シート状基材の前記表面に対して垂直な面と前記傾斜面とがなす角度が10°以上60°以下である、[1]に記載のセンサ装着具。
[3]前記シート状基材がエラストマーを含有する、[1]又は[2]に記載のセンサ装着具。
[4]前記突起部がエラストマーを含有する、[1]~[3]のいずれかに記載のセンサ装着具。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、センサモジュールを被着体に非侵襲的に装着でき、かつ締め付け過ぎずにセンサモジュールの脱落を抑制できるセンサ装着具を提供することができる。
【0009】
本発明はSDGs目標9(産業と技術革新の基盤をつくろう)に資すると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態のセンサ装着具を示した斜視図である。
図2図1のセンサ装着具を幅方向から見た正面図である。
図3図1のセンサ装着具のA-A断面図である。
図4図1のセンサ装着具によってセンサモジュールを牛の尾根部に装着した様子を示した正面図である。
図5図4のセンサ装着具によるセンサ装着部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のセンサ装着具は、センサモジュールを被着体に装着するための帯状又はリング状のセンサ装着具である。以下、本発明のセンサ装着具の一例を示し、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0012】
図1及び図2に示すように、本実施形態のセンサ装着具1は、帯状のシート状基材10を備えている。シート状基材10の長さ方向の両側の第1端部12と第2端部14には、互いに締結する締結部16,18がそれぞれ設けられている。シート状基材10の第2面10bの第1端部12に締結部16が設けられ、第1面10aの第2端部14に締結部18が設けられている。センサ装着具1は、シート状基材10の第1面10aを被着体に向けて被着体に巻き付け、締結部16と締結部18とを重ね合わせて締結することができる。締結部16,18については後述する。
【0013】
シート状基材10を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、エラストマー、エラストマー以外の樹脂、金属を例示できる。エラストマーとしては、例えば、シリコーンエラストマー、ウレタンエラストマー、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)を例示できる。エラストマー以外の樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂を例示できる。金属としては、例えば、アルミニウム、ステンレススチール、銅を例示できる。
【0014】
なかでも、シート状基材10を構成する材料としては、伸縮性に優れ、締め付け力の調整が容易になる点から、エラストマーを含有することが好ましい。また、低硬度領域での伸縮性に優れる点から、シリコーンエラストマーがより好ましい。シート状基材10を構成する材料は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0015】
シート状基材10は、任意成分を含んでいてもよい。任意成分としては、例えば、無機成分としてシリカ、カーボンブラック、グラファイト、アルミナ、酸化鉄、ジルコニア等の無機微粒子、有機成分として、フッ素樹脂微粒子、ウレタンビーズ、アクリルビーズ、吸水性高分子微粒子、ポリビニルアルコール微粒子、変性ポリビニルアルコール樹脂微粒子等の有機微粒子、ポリジメチルシロキサンオイル、鉱油類などの液状成分を例示できる。シート状基材10に含まれるこれらの任意成分は、1種でもよく、2種以上でもよい。シート状基材10中の任意成分の含有量は、シート状基材10の総質量に対して、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
【0016】
シート状基材10の長さは、特に限定されず、例えば、120~300mmとすることができる。
シート状基材10の幅は、特に限定されず、例えば、10~100mmとすることができる。
シート状基材10の厚さは、特に限定されず、例えば、0.5~3mmとすることができる。
【0017】
シート状基材10の引張強さ(単位:N)は、30N以上が好ましく、50N以上がより好ましい。
シート状基材10の引張伸び率は、500%以上が好ましく、600%以上がより好ましい。
なお、前記の引張強さ及び引張伸び率は、シート状基材10を幅20mm×長さ150mm×厚さ2mmのテープ状とし、引張試験機を用い、その長手方向に沿って23℃、引張速度500mm/分の条件で測定した値である。
【0018】
図1図3に示すように、シート状基材10の第1面10aにおける長さ方向の締結部16と締結部18との間の中央領域20には、複数の突起部22が設けられている。すなわち、シート状基材10において、装着時に被着体に向けられる表面である第1面10aの中央領域20に複数の突起部22が設けられている。
【0019】
図3に示すように、シート状基材10の長さ方向から見た側面視で、各々の突起部22は、シート状基材10の第1面10aから幅方向の第1端10cに向かって反り返っている傾斜面22aを有する。このように、複数の突起部22のそれぞれの傾斜面22aは、シート状基材10の長さ方向から見た側面視で一方に揃って反り返っている。シート状基材10の第1面10aにこのような複数の突起部22が設けられていることで、センサ装着具1を被着体に装着したとき、幅方向の第1端10cから第2端10dに向かう方向の力に対する抵抗力が高くなり、滑り止め効果が発現する。
【0020】
より具体的に説明すると、例えば、図4及び図5に示すように、牛100の尾根部(被着体)110の腹側にセンサモジュール200を配置し、センサモジュール200を覆うように、センサ装着具1のシート状基材10を尾根部110に巻き付ける。このとき、シート状基材10の第1面10aを尾根部110側に向け、締結部16と締結部18とを重ね合わせて締結する。これにより、センサ装着具1によってセンサモジュール200を尾根部110に装着した状態で保持できる。
【0021】
また、センサ装着具1の装着時には、シート状基材10の幅方向の第1端10cを尾の先端112側に向け、第2端10dを尾根114側に向ける。牛100の尾根部110に装着した場合に牛100が尾を振ると、センサ装着具1及びセンサモジュール200には尾の先端112に向かう方向に力が加わる。しかし、シート状基材10の第1面10aには第1端10cに向かって揃って反り返っている複数の突起部22が設けられているため、尾の先端112側への滑りが抑制される。これにより、過度に締め付けなくてもセンサ装着具1のズレを抑制できるため、センサモジュール200を安定に保持して脱落を抑制することができる。
【0022】
突起部22の形状は、傾斜面22aを有している範囲であれば特に限定されず、円錐状、三角柱状、四角柱状を例示できる。
シート状基材10の長さ方向から見た側面視において、シート状基材10の第1面10aに対して垂直な面kと突起部22の傾斜面22aとがなす角度θ(図3)は、10°以上60°以下が好ましく、20°以上50°以下がより好ましく、25°以上45°以下がさらに好ましい。角度θが前記範囲の下限値以上であれば、被着体の表面にセンサ装着具を当接することにより、被着体と突起部の傾斜面とのなす角は20°よりも大きくなり、装着具全体が尾の先端方向に向う力を受けると、突起部は、被着体表面から前記先端方向に向かう力に対する反力を効率良く発生し、先端方向への移動を抑制することができる。角度θが前記範囲の上限値以下であれば、被着体の表面にセンサ装着具を当接することにより、被着体と突起部の傾斜面とのなす角が60°よりも大きくなっても、その角度は70°以下に収まりやすく、装着具全体が尾の先端方向に向う力を受けると、突起部は、被着体表面から前記先端方向に向かう力に対する反力を効率良く発生し、先端方向への移動を抑制することができる。
【0023】
突起部22の平均高さ、すなわちシート状基材10の厚さ方向におけるシート状基材10の第1面10aと突起部22の先端との平均距離は、0.5mm以上5.0mm以下が好ましく、1.0mm以上3.0mm以下がより好ましく、1.5mm以上2.5mm以下がさらに好ましい。突起部22の平均高さが前記範囲の下限値以上であれば、滑り止め効果が向上し、センサ装着具1を締め付け過ぎなくてもセンサモジュールの脱落を抑制することが容易になる。突起部22の平均高さが前記範囲の上限値以下であれば、装着具全体に、尾の先端方向に動こうとする力を加えられた際に、突起部の座屈が発生することなく、また、回転方向に加えられた力に対しても、突起部が大きな変形を生じることなく固定力を維持することができる。
【0024】
突起部22の数は、単位面積当たり、1~9個/cmが好ましく、2~6個/cmがより好ましく、3~5個/cmがさらに好ましい。突起部22の数が前記範囲の下限値以上であれば、滑り止め効果が向上し、センサ装着具1を締め付け過ぎなくてもセンサモジュールの脱落を抑制することが容易になる。突起部22の数が前記範囲の上限値以下であれば、センサ装着具における非突起部の面積を十分に確保することができるため、装着具の伸縮性を阻害することなく、安定的な固定力を維持することができる。
【0025】
シート状基材10の第1面10aにおける複数の突起部22の配置パターンは、特に限定されず、例えば、縦横にマトリックス状に整列させるパターン、千鳥状に配置するパターンを例示できる。
【0026】
突起部22を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、例えば、シート状基材10を構成する材料として例示したエラストマー、エラストマー以外の樹脂を例示できる。なかでも、突起部22を構成する材料としては、被着体表面への非侵襲性の点から、エラストマーを含有することが好ましく、シリコーンエラストマーがより好ましい。突起部22を構成する材料は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0027】
突起部22は、シート状基材10で例示した任意成分を含んでいてもよい。突起部22に含まれるこれらの任意成分は、1種でもよく、2種以上でもよい。突起部22中の任意成分の含有量は、突起部22の総質量に対して、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
【0028】
締結部16,18としては、シート状基材10を被着体に巻き付けた状態で重ね合わせて互いに締結できるものであれば特に限定されない。締結部16,18の具体例としては、例えば、面ファスナー、自己融着性エラストマーを含む自己融着シートを例示できる。ここで、「自己融着性エラストマー」とは、エラストマー同士を接触させたときに互いが自然に融着するエラストマーである。
【0029】
自己融着性エラストマーとしては、例えば、エラストマー同士が接触した状態で物理架橋によって互いが融着するエラストマーを例示でき、自己融着性シリコーンゴムが好ましい。自己融着性シリコーンゴムは、使用時の硬化処理を必要とせず、予め硬化された状態で使用される。自己融着性シリコーンゴムとしては、例えば、特開2016-114180号公報に開示されている、下記の平均組成式(I)で示されるジオルガノポリシロキサンとホウ酸化合物とを含有するシリコーン組成物を硬化させた硬化物を例示できる。
【0030】
SiO(4-n) ・・・(I)
[式(I)中、Rは炭素数1~10の炭化水素基を表し、nは1.98~2.02の範囲の任意の数を表す。]
【0031】
の炭化水素基の炭素数は、1~10であり、1~8が好ましい。
の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基を例示できる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を例示できる。シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基を例示できる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基を例示できる。アリール基としては、フェニル基、トリル基を例示できる。
【0032】
は、炭化水素基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、シアノ基等で置換された基でもよい。
前記シリコーン組成物を硬化させる際には、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等の有機過酸化物で硬化を促進させてもよい。この場合、Rとしては、アルケニル基又はアルケニル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、シアノ基で置換された基が好ましい。
式(I)におけるnは、自己融着性を充分に得る点から、1.98~2.02が好ましい。
【0033】
ジオルガノポリシロキサンの25℃における動粘度は、100~100,000,000cStが好ましく、100,000~10,000,000cStがより好ましい。ジオルガノポリシロキサンの25℃における動粘度が前記範囲内であれば、硬化後の機械的物性に優れる。
【0034】
ホウ酸化合物としては、例えば、無水ホウ酸、ピロホウ酸、オルトホウ酸等のホウ酸類;ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、トリメトキシボロキシン等の無水ホウ酸の誘導体等が挙げられる。また、ホウ酸化合物として、例えば、ジメチルジメトキシシラン又はジメチルジエトキシシラン等のオルガノアルコキシシランと無水ホウ酸とを縮合させて得たポリオルガノボロシロキサンを用いることもできる。ホウ酸化合物は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
自己融着性シリコーンゴム中のホウ酸化合物の含有割合は、ジオルガノポリシロキサン100質量部に対して、0.1~50質量部が好ましく、0.5~30質量部がより好ましく、1~5質量部がさらに好ましい。ホウ酸化合物の含有割合が前記下限値以上であれば、充分な自己融着性を確保しやすい。ホウ酸化合物の含有割合が前記上限値以下であれば、機械的物性の低下を抑制しやすい。
【0036】
締結部16,18を形成する自己融着シートは、自己融着性エラストマー以外の任意成分を含んでいてもよい。任意成分としては、例えば、シート状基材10で例示したものと同じものを例示できる。自己融着シートに含まれる任意成分は、1種でもよく、2種以上でもよい。自己融着シート中の自己融着性エラストマー以外の任意成分の含有量は、自己融着シートの総質量に対して、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
【0037】
締結部16,18の面積は、適宜設定でき、例えば、5~50cmとすることができる。
【0038】
センサ装着具1の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を利用できる。例えば、圧縮成形、液体シリコーンゴム射出成形(LIMS成形)、反応射出成形(RIM成形)、トランスファー成形等の成形方法を利用して、複数の突起部22が設けられたシート状基材10を成形することができる。また、これらの成形方法や、押出成形等によってシート状基材10を成形した後、突起部22を接着剤等で接着してもよい。締結部16,18は、例えば、接着剤等を用いて接着することができる。
【0039】
以上説明したように、センサ装着具1は、センサモジュール200を覆うようにシート状基材10を被着体に巻き付けて締結部16と締結部18とを締結することにより、センサモジュール200を被着体に装着された状態で保持することができる。このように、センサ装着具1を用いることで、センサモジュールを生体である被着体に非侵襲的に装着できる。そのため、例えばセンサ装着具1によって家畜にセンサモジュール200を装着した場合には、センサから得られる生体情報から家畜を常時監視し、疾病の防除等の対策を容易に実施することができる。
【0040】
また、センサ装着具1においては、シート状基材10の被着体に向けられる第1面10aに、一方に揃って反り返っている傾斜面22aを有する複数の突起部22が設けられているため、装着時の滑りによるズレが抑制される。これにより、家畜の尾根部等、装着時に生体の動きによって力が加わる場合でも、締め付け過ぎずに違和感を低減しつつ、センサモジュールの脱落を十分に抑制することができる。
【0041】
センサモジュール200が備えるセンサとしては、特に限定されず、例えば、体表温センサ、音声センサ、活動量センサを例示できる。例えば、体表温センサを備えるセンサモジュール200をセンサ装着具1によって牛100の尾根部110の腹側に装着することで、体表温データを得ることができる。さらに、体表温データを直腸温相当値へ補正(補正体表温)とする発熱検知アルゴリズムと組み合わせれば、体表温センサから得られるデータを基に直腸温を監視して発熱を検知することができる。
【0042】
センサは無線通信可能なものが好ましい。例えばセンサから得られるデータをインターネットのクラウド上にアップデートし、スマートフォンやタブレット等で確認できるようにすることで、データに基づく家畜等の生体の常時監視がさらに容易になる。
【0043】
本発明のセンサ装着具は、牛、豚等の家畜の他、犬、猫などの伴侶動物、クジラ、イルカ等の海獣類、猿、鹿、熊、猪等の野生動物類、人への装着具としても好適に用いることができる。
【0044】
なお、本発明のセンサ装着具は、前記したセンサ装着具1には限定されない。例えば、本発明のセンサ装着具は、帯状のシート状基材の第1端部の第2面側と第2端部の第1面側に締結部をそれぞれ設ける態様には限定されない。本発明のセンサ装着具は、締結部に自己融着性エラストマーを用いる場合、シート状基材の長さ方向の両側の端部において、シート状基材の厚さ方向の第1面から第2面まで到達する貫通型の締結部を設けてもよい。
【0045】
本発明のセンサ装着具は、リング状のシート状基材を備えるものであってもよい。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…センサ装着具、10…シート状基材、16,18…締結部、22…突起部、22a…傾斜面、100…牛、110…尾根部、200…センサモジュール。
図1
図2
図3
図4
図5