IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラザー工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-画像形成装置 図1
  • 特開-画像形成装置 図2
  • 特開-画像形成装置 図3
  • 特開-画像形成装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146732
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20220928BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20220928BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
G03G15/08 235
G03G15/00 303
G03G21/00 384
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047852
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓太
(72)【発明者】
【氏名】入山 翔太
【テーマコード(参考)】
2H077
2H270
【Fターム(参考)】
2H077DA03
2H077DA18
2H077DA22
2H077DA24
2H077DB08
2H077GA02
2H270KA04
2H270LA05
2H270LA14
2H270LA28
2H270LA76
2H270LA80
2H270MA15
2H270MB01
2H270MB11
2H270MB43
2H270PA26
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】印刷濃度の低下を抑制しつつ、転写残ゴーストの発生を抑制できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】
画像形成装置1は、感光ドラム4Yと、現像ローラ72Yと、湿度センサ11と、制御部12とを備える。制御部12は、片面印刷処理(S3)において、現像ローラ72Yに第1現像バイアスを印加する。制御部12は、両面印刷処理(S6)において、湿度センサ11が検出した湿度が閾値より高い場合(S4:NO)、シートSの第2面S2に印刷するときに、現像ローラに第1現像バイアスを印加する。一方、湿度センサ11が検出した湿度が閾値以下である場合(S4:YES)、シートSの第2面S2に印刷するときに、現像ローラ72Yに第1現像バイアスより小さい第2現像バイアスを印加する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光ドラムと、
現像ローラと、
湿度を検出する湿度センサと、
シートの第1面のみに画像を形成する片面印刷処理と、前記シートの前記第1面と前記シートの第2面とに画像を形成する両面印刷処理とを実行可能な制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記片面印刷処理において、前記現像ローラに第1現像バイアスを印加し、
前記両面印刷処理において、
前記湿度センサが検出した湿度が閾値より高い場合、前記シートの前記第2面に印刷するときに、前記現像ローラに前記第1現像バイアスを印加し、
前記湿度センサが検出した湿度が前記閾値以下である場合、前記シートの前記第2面に印刷するときに、前記現像ローラに前記第1現像バイアスより小さい第2現像バイアスを印加する、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記湿度センサによって検出された湿度が高いほど、前記第1現像バイアスと前記第2現像バイアスとの差を小さくする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1現像バイアスと前記第2現像バイアスとの差は、下記第1式によって計算される、請求項1に記載の画像形成装置。
第1式:ΔVb=D×b’
(第1式中、ΔVbは、前記第1現像バイアスと前記第2現像バイアスとの差であり、Dは、印刷濃度の目標値であり、b’は、実測されたトナーパッチの濃度に基づいて計算される傾きである。)
【請求項4】
前記制御部は、前記両面印刷処理において、前記湿度センサが検出した湿度が前記閾値以下である場合、前記シートの前記第1面に印刷するときに、前記現像ローラに前記第1現像バイアスより小さい第3現像バイアスを印加する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、片面モードと両面モードとに切り替え可能な画像形成装置であって、片面モードの場合、現像ローラに第1現像バイアスを印加し、両面モードにおいて、用紙の第2面に印刷する場合、現像ローラに、第1現像バイアスよりも低い第2現像バイアスを印加する画像形成装置が知られている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-288550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の画像形成装置によれば、相対湿度に応じた係数により、第1現像バイアスに対する第2現像バイアスの低下率(現像バイアス低下率)を設定している。詳しくは、相対湿度に対する現像バイアス低下率の一次関数で現像バイアス低下率を設定している。
【0005】
そのため、現像バイアスを低下させる必要が無い湿度環境でも、現像バイアスを低下させてしまい、印刷濃度を低下させてしまう可能性がある。
【0006】
そこで、本開示の目的は、印刷濃度の低下を抑制しつつ、転写残ゴーストの発生を抑制できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示の画像形成装置は、感光ドラムと、現像ローラと、湿度センサと、制御部とを備える。湿度センサは、湿度を検出する。制御部は、片面印刷処理と両面印刷処理とを実行可能である。制御部が片面印刷処理を実行した場合、画像形成装置は、シートの第1面のみに画像を形成する。制御部が両面印刷処理を実行した場合、画像形成装置は、シートの第1面とシートの第2面とに画像を形成する。
【0008】
制御部は、片面印刷処理において、現像ローラに第1現像バイアスを印加する。
【0009】
制御部は、両面印刷処理において、湿度センサが検出した湿度が閾値より高い場合、シートの第2面に印刷するときに、現像ローラに第1現像バイアスを印加し、湿度センサが検出した湿度が閾値以下である場合、シートの第2面に印刷するときに、現像ローラに第1現像バイアスより小さい第2現像バイアスを印加する。
【0010】
このような構成によれば、両面印刷処理において、湿度が閾値より高い場合には、シートの第2面に印刷するときでも、現像バイアスを下げず、湿度が閾値以下である場合に、シートの第2面に印刷するときに、現像バイアスを下げる。
【0011】
これにより、湿度が閾値より高く、転写残ゴーストが発生しにくい環境で、現像バイアスを下げずに、第2面の印刷濃度を確保できる。
【0012】
一方、湿度が閾値以下であり、転写残ゴーストが発生しやすい環境では、現像バイアスを下げて、第2面の印刷において転写残ゴーストの発生を抑制できる。
【0013】
その結果、印刷濃度の低下を抑制しつつ、転写残ゴーストの発生を抑制できる
(2)制御部は、湿度センサによって検出された湿度が高いほど、第1現像バイアスと第2現像バイアスとの差を小さくしてもよい。
【0014】
このような構成によれば、湿度が高くなり、転写残ゴーストが発生しにくくなるにつれて、第2現像バイアスを高く設定できる。
【0015】
その結果、印刷濃度の低下を、より抑制できる。
【0016】
(3)第1現像バイアスと第2現像バイアスとの差は、下記第1式によって計算されてもよい。
【0017】
第1式:ΔVb=D×b’
(第1式中、ΔVbは、第1現像バイアスと第2現像バイアスとの差であり、Dは、印刷濃度の目標値であり、b’は、実測されたトナーパッチの濃度に基づいて計算される傾きである。)
このような構成によれば、実測されたトナーパッチの濃度と印刷濃度の目標値とから計算されるΔVbにより、第2現像バイアスを設定できる。
【0018】
そのため、実測されたトナーパッチの濃度に合わせて、ΔVbを補正できる。
【0019】
その結果、印刷濃度の低下を、より抑制できる。
【0020】
(4)制御部は、両面印刷処理において、湿度センサが検出した湿度が閾値以下である場合、シートの第1面に印刷するときに、現像ローラに第1現像バイアスより小さい第3現像バイアスを印加してもよい。
【0021】
このような構成によれば、第1面の印刷濃度を、第2面の印刷濃度に合わせて低下させることができる。
【0022】
その結果、第1面と第2面とで印刷濃度の差が過度に大きくなることを抑制できる。
【発明の効果】
【0023】
本開示の画像形成装置によれば、印刷濃度の低下を抑制しつつ、転写残ゴーストの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、画像形成装置の概略構成図である。
図2図2は、湿度センサと、制御部と、複数の現像ローラとの電気的な接続を示す説明図である。
図3図3は、画像形成装置の制御を説明するためのフローチャートである。
図4図4は、第1式のb’について説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
1.画像形成装置1の概略
図1を参照して、画像形成装置1の概略について説明する。
【0026】
画像形成装置1は、本体筐体2と、シート収容部3と、複数の感光ドラム4Y,4M,4C,4Kと、複数の帯電装置5Y,5M,5C,5Kと、露光装置6と、複数の現像カートリッジ7Y,7M,7C,7Kと、転写装置8と、定着装置9とを備える。
【0027】
1.1 本体筐体2
本体筐体2は、シート収容部3と、感光ドラム4Y,4M,4C,4Kと、帯電装置5Y,5M,5C,5Kと、露光装置6と、現像カートリッジ7Y,7M,7C,7Kと、転写装置8と、定着装置9とを収容する。
【0028】
1.2 シート収容部3
シート収容部3は、シートSを収容する。シート収容部3内のシートSは、シート収容部3から感光ドラム4Yに向けて搬送される。シートSは、例えば、印刷用紙である。シート収容部3は、シートカセットであってもよい。
【0029】
1.3 感光ドラム4Y,4M,4C,4K
感光ドラム4Y,4M,4C,4Kは、ベルト81によるシートSの搬送方向に並ぶ。ベルト81については、後で説明する。
【0030】
感光ドラム4Yは、軸方向に延びる。感光ドラム4Yは、ドラム軸A1について回転可能である。ドラム軸A1は、軸方向に延びる。
【0031】
感光ドラム4M,4C,4Kのそれぞれについての説明は、感光ドラム4Yについての説明と同様である。そのため、感光ドラム4M,4C,4Kについての説明は、省略される
1.4 帯電装置5Y,5M,5C,5K
帯電装置5Yは、感光ドラム4Yを帯電させる。帯電装置5Mは、感光ドラム4Mを帯電させる。帯電装置5Cは、感光ドラム4Cを帯電させる。帯電装置5Kは、感光ドラム4Kを帯電させる。本実施形態では、帯電装置5Y,5M,5C,5Kのそれぞれは、スコロトロン型の帯電装置である。帯電装置5Y,5M,5C,5Kのそれぞれは、帯電ローラであってもよい。
【0032】
1.5 露光装置6
露光装置6は、帯電装置5Yによって帯電された感光ドラム4Yを露光する。本実施形態では、露光装置6は、レーザースキャンユニットである。露光装置6は、感光ドラム4Yだけでなく、感光ドラム4M,4C,4Kも露光可能である。露光装置6は、LEDアレイを有する露光ヘッドであってもよい。
【0033】
1.6 現像カートリッジ7Y,7M,7C,7K
現像カートリッジ7Y,7M,7C,7Kのそれぞれは、本体筐体2に対して装着可能である。
【0034】
現像カートリッジ7Yは、現像筐体71Yと、現像ローラ72Yとを有する。言い換えると、画像形成装置1は、現像ローラ72Yを備える。
【0035】
現像筐体71Yは、トナーを収容する。トナーは、摩擦により帯電可能な非磁性一成分系トナーである。本実施形態では、トナーは、摩擦により正帯電する。
【0036】
現像ローラ72Yは、現像筐体71Yに支持される。現像カートリッジ7Yが本体筐体2内に装着された状態で、現像ローラ72Yは、現像筐体71Y内のトナーを感光ドラム4Yに供給可能である。現像ローラ72Yは、軸方向に延びる。現像ローラ72Yは、現像軸A2について回転可能である。現像軸A2は、軸方向に延びる。
【0037】
現像カートリッジ7M,7C,7Kのそれぞれについての説明は、現像カートリッジ7Yについての説明と同様である。そのため、現像カートリッジ7M,7C,7Kについての説明は、省略される。
【0038】
1.7 転写装置8
転写装置8は、ベルト81と、複数の転写ローラ82K,82Y,82M,82Cとを有する。
【0039】
ベルト81は、感光ドラム4Y,4M,4C,4Kと接触する。ベルト81は、シート収容部3からのシートSを、定着装置9に向けて搬送する。ベルト81は、感光ドラム4Yから感光ドラム4Kに向けて、シートSを搬送する。
【0040】
転写ローラ82Yは、感光ドラム4Y上のトナーを、ベルト81によって搬送されているシートSに転写する。転写ローラ82Mは、感光ドラム4M上のトナーを、ベルト81によって搬送されているシートSに転写する。転写ローラ82Cは、感光ドラム4C上のトナーを、ベルト81によって搬送されているシートSに転写する。転写ローラ82Kは、感光ドラム4K上のトナーを、ベルト81によって搬送されているシートSに転写する。
【0041】
1.8 定着装置9
定着装置9は、トナーが転写されたシートSを加熱および加圧して、シートSにトナーを定着させる。定着装置9を通過したシートSは、本体筐体2の上面に排紙される。
【0042】
2.画像形成装置1の詳細
次に、図2を参照して、画像形成装置1の詳細について説明する。
【0043】
図2に示すように、画像形成装置1は、湿度センサ11と、制御部12とを備える。
【0044】
2.1 湿度センサ11
湿度センサ11は、湿度を検出する。本実施形態では、湿度センサ11は、本体筐体2外の湿度を検出する。「本体筐体2外の湿度」とは、例えば、画像形成装置1が設置されている部屋の湿度である。なお、湿度センサ11は、本体筐体2内の湿度を検出してもよい。
【0045】
2.2 制御部12
制御部12は、湿度センサ11と電気的に接続される。これにより、制御部12は、湿度センサ11が検出した湿度を取得可能である。また、制御部12は、現像ローラ72Y,72M,72C,72Kのそれぞれと電気的に接続される。制御部12は、現像ローラ72Yに印加される現像バイアスVb(Y)、現像ローラ72Mに印加される現像バイアスVb(M)、現像ローラ72Cに印加される現像バイアスVb(C)、および、現像ローラ72Kに印加される現像バイアスVb(K)のそれぞれを制御する。
【0046】
3.画像形成装置1の制御
次に、図1図3および図4を参照して、制御部12による画像形成装置1の制御について説明する。
【0047】
制御部12が印刷ジョブを取得すると、制御部12は、印刷処理を実行する。制御部12は、印刷処理として、片面印刷処理(S3)と両面印刷処理(S6)とを実行可能である。
【0048】
3.1 片面印刷処理(S3)
図3に示すように、印刷ジョブが両面印刷設定されていない場合(S1:NO)、制御部12は、現像バイアスVb(Y)の目標値を、第1現像バイアスVb(Y1)に設定し、現像バイアスVb(M)の目標値を、第1現像バイアスVb(M1)に設定し、現像バイアスVb(C)の目標値を、第1現像バイアスVb(C1)に設定し、現像バイアスVb(K)の目標値を、第1現像バイアスVb(K1)に設定する(S2)。
【0049】
次に、制御部12は、片面印刷処理(S3)を実行する。
【0050】
制御部12が片面印刷処理(S3)を実行した場合、画像形成装置1は、図1に実線で示すように、シートSの第1面S1のみに画像を形成する。このとき、制御部12は、現像バイアスVb(Y)を第1現像バイアスVb(Y1)に調節し、現像バイアスVb(M)を第1現像バイアスVb(M1)に調節し、現像バイアスVb(C)を第1現像バイアスVb(C1)に調節し、現像バイアスVb(K)を第1現像バイアスVb(K1)に調節する。つまり、制御部12は、片面印刷処理(S3)において、現像ローラ72Yに第1現像バイアスVb(Y1)を印加する。
【0051】
3.2 両面印刷処理(S6)
図3に示すように、印刷ジョブが両面印刷設定されている場合(S1:YES)、制御部12は、両面印刷処理(S6)を実行する。制御部12が両面印刷処理(S6)を実行した場合、画像形成装置1は、シートSの第1面S1とシートSの第2面S2とに画像を形成する。
【0052】
詳しくは、画像形成装置1は、まず、図1に実線で示すように、シートSの第1面S1に画像を形成する。
【0053】
次に、画像形成装置1は、定着装置9を通ったシートSを、図1に破線で示すように、シートSの後端から感光ドラム4Yに搬送し、シートSの第2面S2に画像を形成する。
【0054】
ここで、感光ドラム4Yと転写ローラ82Yとを例に説明すると、定着装置9を通ったシートSが感光ドラム4Yと転写ローラ82Yとのニップを通過するときに、シートSと感光ドラム4Yとの間で、放電が発生する場合がある。
【0055】
詳しくは、相対湿度が40%以下である低湿度環境では、シートSが帯電しやすくなる。そのため、シートSと感光ドラム4Yとの間で放電が発生する場合がある。特に、相対湿度が40%以下である低湿度環境において、定着装置9を通ったシートSの第2面S2に画像を形成する場合、放電が発生しやすい。放電が発生すると、感光ドラム4Y上のトナーの帯電状態が変わり、シートSに転写されずに感光ドラム4Y上に残存する転写残トナーが発生する。発生した転写残トナーがクリーニングされずにシートSに付着すると、画質が低下する可能性がある。発生した転写残トナーがクリーニングされずにシートSに付着し、画質が低下することを、転写残ゴーストと定義する。
【0056】
なお、転写ローラ82Mと感光ドラム4Mとの間、転写ローラ82Cと感光ドラム4Cとの間、転写ローラ82Kと感光ドラム4Kとの間においても、転写ローラ82Yと感光ドラム4Yとの間と同様に、放電が発生する場合がある。
【0057】
そこで、図3に示すように、制御部12は、低湿度環境(S4:YES)において両面印刷処理(S6)を実行するときに、シートSの第2面S2に印刷するときの現像バイアスVb(Y),Vb(M),Vb(C),Vb(K)を下げる(S7)。以下、詳しく説明する。
【0058】
3.2.1 高湿度環境(S4:NO)における両面印刷処理
印刷ジョブが両面印刷設定されている場合(S1:YES)、制御部12は、シートSの第1面S1に印刷するための現像バイアスVb(Y),Vb(M),Vb(C),Vb(K)の目標値と、シートSの第2面S2に印刷するための現像バイアスVb(Y),Vb(M),Vb(C),Vb(K)の目標値とを設定する。
【0059】
印刷ジョブが両面印刷設定されている場合(S1:YES)、制御部12は、湿度センサ11から湿度を取得する(S4)。
【0060】
次に、湿度センサ11が検出した湿度が閾値より高い場合(S4:NO)、制御部12は、第1面S1に印刷するための現像バイアスVb(Y),Vb(M),Vb(C),Vb(K)の目標値と、第2面S2に印刷するための現像バイアスVb(Y),Vb(M),Vb(C),Vb(K)の目標値とを、片面印刷処理(S3)を実行する場合と同じにする(S5)。
【0061】
具体的には、制御部12は、第1面S1に印刷するための現像バイアスVb(Y)の目標値を、第1現像バイアスVb(Y1)に設定し、第1面S1に印刷するための現像バイアスVb(M)の目標値を、第1現像バイアスVb(M1)に設定し、第1面S1に印刷するための現像バイアスVb(C)の目標値を、第1現像バイアスVb(C1)に設定し、第1面S1に印刷するための現像バイアスVb(K)の目標値を、第1現像バイアスVb(K1)に設定する。
【0062】
また、制御部12は、第2面S2に印刷するための現像バイアスVb(Y)の目標値を、第1現像バイアスVb(Y1)に設定し、第2面S2に印刷するための現像バイアスVb(M)の目標値を、第1現像バイアスVb(M1)に設定し、第2面S2に印刷するための現像バイアスVb(C)の目標値を、第1現像バイアスVb(C1)に設定し、第2面S2に印刷するための現像バイアスVb(K)の目標値を、第1現像バイアスVb(K1)に設定する。
【0063】
本実施形態では、閾値は、40%である。
【0064】
次に、制御部12は、上記したように、両面印刷処理(S6)を実行する。
【0065】
画像形成装置1がシートSの第1面S1に画像を形成するとき、制御部12は、現像バイアスVb(Y)を第1現像バイアスVb(Y1)に調節し、現像バイアスVb(M)を第1現像バイアスVb(M1)に調節し、現像バイアスVb(C)を第1現像バイアスVb(C1)に調節し、現像バイアスVb(K)を第1現像バイアスVb(K1)に調節する。
【0066】
画像形成装置1がシートSの第2面S2に画像を形成するとき、制御部12は、現像バイアスVb(Y)を第1現像バイアスVb(Y1)に調節し、現像バイアスVb(M)を第1現像バイアスVb(M1)に調節し、現像バイアスVb(C)を第1現像バイアスVb(C1)に調節し、現像バイアスVb(K)を第1現像バイアスVb(K1)に調節する。つまり、湿度センサ11が検出した湿度が閾値より高い場合(S4:NO)、制御部12は、両面印刷処理(S6)において、シートSの第2面S2に印刷するときに、現像ローラ72Yに第1現像バイアスVb(Y1)を印加する。
【0067】
3.2.2 低湿度環境(S4:YES)における両面印刷処理
湿度センサ11が検出した湿度が閾値以下である場合(S4:YES)、制御部12は、第2面S2に印刷するための現像バイアスVb(Y)の目標値を、第2現像バイアスVb(Y2)に設定し、第2面S2に印刷するための現像バイアスVb(M)の目標値を、第2現像バイアスVb(M2)に設定し、第2面S2に印刷するための現像バイアスVb(C)の目標値を、第2現像バイアスVb(C2)に設定し、第2面S2に印刷するための現像バイアスVb(K)の目標値を、第2現像バイアスVb(K2)に設定する(S7)。
【0068】
第2現像バイアスVb(Y2)は、第1現像バイアスVb(Y1)より小さい。第2現像バイアスVb(Y2)が第1現像バイアスVb(Y1)より小さいことにより、感光ドラム4Yに供給されるトナーの量を低減できる。これにより、転写残トナーの量を低減でき、画質の低下を抑制できる。
【0069】
ここで、第1現像バイアスVb(Y1)と第2現像バイアスVb(Y2)との差ΔVbは、下記第1式によって計算される。
【0070】
第1式:ΔVb=D×b’
(第1式中、Dは、印刷濃度の目標値であり、b’は、実測されたトナーパッチの濃度に基づいて計算される傾きである。)
印刷濃度の目標値Dは、制御部12のメモリに、印刷環境を考慮したデータテーブルとして記憶されている。印刷環境としては、例えば、温度、湿度、シートSの種類などが挙げられる。制御部12は、印刷環境に応じて、特定の目標値Dを読み出す。
【0071】
次に、図4を参照して、b’について説明する。図4に示すように、画像形成装置1は、濃度補正処理において、ベルト81(図1参照)上に複数のトナーパッチT1,T2,T3を形成し、複数のトナーパッチT1,T2,T3のそれぞれの濃度d1,d2,d3を検出する。濃度補正処理は、例えば、累計印刷枚数が所定の枚数に達するごとに、画像形成装置1が画像を形成していない状態で、実行される。累計印刷ページ数とは、現像カートリッジ7Yの交換作業が実施された後に印刷されたページ数の累計である。トナーパッチT1は、現像ローラ72Yに現像バイアスVb1を印加した場合のトナーパッチであり、トナーパッチT2は、現像ローラ72Yに現像バイアスVb2を印加した場合のトナーパッチであり、トナーパッチT3は、現像ローラ72Yに現像バイアスVb3を印加した場合のトナーパッチである。
【0072】
制御部12は、トナーパッチT1の濃度d1、トナーパッチT2の濃度d2、および、トナーパッチT3の濃度d3から、現像バイアスとトナーパッチの濃度との関数f(d)を導き出す。
【0073】
次に、制御部12は、関数f(d)を目標値Dで微分して、b’を計算する。つまり、b’は、目標値Dにおける関数f(d)の接線t(d)の傾きである。
【0074】
次に、制御部12は、上記第1式から、第1現像バイアスVb(Y1)と第2現像バイアスVb(Y2)との差ΔVbを計算する。
【0075】
次に、制御部12は、第1現像バイアスVb(Y1)からΔVbを引くことにより、第2現像バイアスVb(Y2)を計算する。
【0076】
なお、第2現像バイアスVb(M2),Vb(C2),Vb(K2)のそれぞれは、第2現像バイアスVb(Y2)と同様に計算される。つまり、第2現像バイアスVb(M2)は、第1現像バイアスVb(M1)より小さく、第2現像バイアスVb(C2)は、第1現像バイアスVb(C1)より小さく、第2現像バイアスVb(K2)は、第1現像バイアスVb(K1)より小さい。
【0077】
また、図3に示すように、湿度センサ11が検出した湿度が閾値以下である場合(S4:YES)、制御部12は、第1面S1に印刷するための現像バイアスVb(Y)の目標値を、第3現像バイアスVb(Y3)に設定し、第1面S1に印刷するための現像バイアスVb(M)の目標値を、第3現像バイアスVb(M3)に設定し、第1面S1に印刷するための現像バイアスVb(C)の目標値を、第3現像バイアスVb(C3)に設定し、第1面S1に印刷するための現像バイアスVb(K)の目標値を、第3現像バイアスVb(K3)に設定する(S7)。
【0078】
第3現像バイアスVb(Y3)は、第1現像バイアスVb(Y1)より小さい。好ましくは、第3現像バイアスVb(Y3)は、第2現像バイアスVb(Y2)と同じである。第3現像バイアスVb(Y3)が第1現像バイアスVb(Y1)より小さいことにより、感光ドラム4Yに供給されるトナーの量を低減できる。これにより、第1面S1の印刷濃度を第2面S2の印刷濃度に合わせることができる。
【0079】
なお、第3現像バイアスVb(M3)は、第1現像バイアスVb(M1)より小さく、第3現像バイアスVb(C3)は、第1現像バイアスVb(C1)より小さく、第3現像バイアスVb(K3)は、第1現像バイアスVb(K1)より小さい。
【0080】
次に、制御部12は、両面印刷処理(S6)を実行する。
【0081】
画像形成装置1がシートSの第1面S1に画像を形成するとき、制御部12は、現像バイアスVb(Y)を第3現像バイアスVb(Y3)に調節し、現像バイアスVb(M)を第3現像バイアスVb(M3)に調節し、現像バイアスVb(C)を第3現像バイアスVb(C3)に調節し、現像バイアスVb(K)を第3現像バイアスVb(K3)に調節する。つまり、湿度センサ11が検出した湿度が閾値以下である場合(S4:YES)、制御部12は、両面印刷処理(S6)において、シートSの第1面S1に印刷するときに、現像ローラ72Yに第3現像バイアスVb(Y3)を印加する。
【0082】
画像形成装置1がシートSの第2面S2に画像を形成するとき、制御部12は、現像バイアスVb(Y)を第2現像バイアスVb(Y2)に調節し、現像バイアスVb(M)を第2現像バイアスVb(M2)に調節し、現像バイアスVb(C)を第2現像バイアスVb(C2)に調節し、現像バイアスVb(K)を第2現像バイアスVb(K2)に調節する。つまり、湿度センサ11が検出した湿度が閾値以下である場合(S4:YES)、制御部12は、両面印刷処理(S6)において、シートSの第2面S2に印刷するときに、現像ローラ72Yに第2現像バイアスVb(Y2)を印加する。
【0083】
なお、制御部12は、印刷ジョブが無くなると、印刷処理を終了する。
【0084】
4.作用効果
(1)画像形成装置1によれば、図3に示すように、両面印刷処理(S6)において、湿度が閾値より高い場合(S4:NO)には、シートSの第2面S2に印刷するときでも、現像バイアスを下げず、湿度が閾値以下である場合(S4:YES)に、シートSの第2面S2に印刷するときに、現像バイアスを下げる。
【0085】
具体的には、両面印刷処理(S6)において、湿度が閾値より高い場合(S4:NO)には、シートSの第2面S2に印刷するときでも、第1現像バイアスを印加し、湿度が閾値以下である場合(S4:YES)に、シートSの第2面S2に印刷するときに、第1現像バイアスよりも低い第2現像バイアスを印加する。
【0086】
これにより、湿度が閾値より高く(S4:NO)、転写残ゴーストが発生しにくい環境で、現像バイアスを下げずに、第2面S2の印刷濃度を確保できる。
【0087】
一方、湿度が閾値以下であり(S4:YES)、転写残ゴーストが発生しやすい環境では、現像バイアスを下げて、第2面の印刷において転写残ゴーストの発生を抑制できる。
【0088】
その結果、印刷濃度の低下を抑制しつつ、転写残ゴーストの発生を抑制できる
(2)画像形成装置1によれば、第1現像バイアスと第2現像バイアスとの差ΔVbは、下記第1式によって計算される。
【0089】
第1式:ΔVb=D×b’
図4に示すように、第1式中、Dは、印刷濃度の目標値である。b’は、実測されたトナーパッチの濃度から導き出される二次関数f(d)の、印刷濃度の目標値Dを通る接線t(d)の傾きである。
【0090】
そのため、実測されたトナーパッチの濃度と印刷濃度の目標値Dとから計算されるΔVbにより、第2現像バイアスを設定できる。つまり、実測されたトナーパッチの濃度に合わせて、ΔVbを補正できる。
【0091】
その結果、印刷濃度の低下を、より抑制できる。
【0092】
(3)画像形成装置1によれば、図3に示すように、両面印刷処理(S6)において、湿度が閾値以下である場合(S4:YES)に、シートSの第1面S1に印刷するときに、現像バイアスを下げる。
【0093】
具体的には、両面印刷処理(S6)において、湿度が閾値以下である場合(S4:YES)に、シートSの第1面S1に印刷するときに、第1現像バイアスよりも低い第3現像バイアスを印加する。
【0094】
これにより、第1面S1の印刷濃度を、第2面S2の印刷濃度に合わせて低下させることができる。
【0095】
その結果、第1面S1と第2面S2とで印刷濃度の差が過度に大きくなることを抑制できる。
【0096】
5.変形例
次に、変形例について説明する。変形例において、上記した実施形態と同様の部材および処理には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0097】
(1)制御部12は、湿度センサ11によって検出された湿度が高いほど、第1現像バイアスと第2現像バイアスとの差ΔVbを小さくしてもよい。
【0098】
この変形例によれば、湿度が高くなり、転写残ゴーストが発生しにくくなるにつれて、第2現像バイアスを高く設定できる。
【0099】
その結果、印刷濃度の低下を、より抑制できる。
【0100】
(2)制御部12は、b’が所定の上限値を超えた場合、b’を上限値に設定してもよい。
【0101】
この変形例によれば、ΔVbが過度に大きくなることを防止できる。
【0102】
その結果、第2面S2の印刷濃度が過度に低下することを抑制できる。
【0103】
(3)画像形成装置1は、感光ドラム4Y,4M,4Cを有さない単色印刷専用の画像形成装置であってもよい。
【0104】
(4)画像形成装置1は、感光ドラム4Y,4M,4C,4Kを有するドラムユニットを有してもよい。
【0105】
画像形成装置1は、感光ドラム4Yを有するドラムカートリッジと、感光ドラム4Mを有するドラムカートリッジと、感光ドラム4Cを有するドラムカートリッジと、感光ドラム4Kを有するドラムカートリッジとを有してもよい。
【0106】
画像形成装置1は、感光ドラム4Yと現像ローラ72Yとを有するプロセスカートリッジと、感光ドラム4Mと現像ローラ72Mとを有するプロセスカートリッジと、感光ドラム4Cと現像ローラ72Cとを有するプロセスカートリッジと、感光ドラム4Kと現像ローラ72Kとを有するプロセスカートリッジとを有してもよい。
【符号の説明】
【0107】
1 画像形成装置
4Y 感光ドラム
11 湿度センサ
12 制御部
72Y 現像ローラ
S シート
S1 第1面
S2 第2面
図1
図2
図3
図4