(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022146826
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】鉄炭素複合材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 32/05 20170101AFI20220928BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20220928BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20220928BHJP
C02F 1/28 20060101ALI20220928BHJP
C02F 1/72 20060101ALI20220928BHJP
B01J 20/02 20060101ALI20220928BHJP
B01J 33/00 20060101ALI20220928BHJP
B01J 37/10 20060101ALI20220928BHJP
B01J 37/02 20060101ALI20220928BHJP
B01J 37/16 20060101ALI20220928BHJP
B01J 27/22 20060101ALI20220928BHJP
C01B 32/914 20170101ALI20220928BHJP
B09C 1/08 20060101ALI20220928BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
C01B32/05
B01J20/28 Z ZAB
B01J20/30
C02F1/28 A
C02F1/28 B
C02F1/72 Z
B01J20/02 A
B01J33/00 A
B01J37/10
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B01J37/16
B01J27/22 M
C01B32/914
B09C1/08
B32B9/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021078320
(22)【出願日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】202110301245.8
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521193245
【氏名又は名称】広東省科学院生態環境与土壤研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】李 芳柏
(72)【発明者】
【氏名】方 利平
(72)【発明者】
【氏名】劉 凱
【テーマコード(参考)】
4D004
4D050
4D624
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4G066
4G146
4G169
【Fターム(参考)】
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4G169FC08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】重金属、特に、As(III)を効率的に除去及び酸化することができる鉄炭素複合材料を提供する。
【解決手段】外側から内側へ順番に、多孔質グラファイトカーボン外層、炭化鉄中間層及びナノゼロ価鉄コアを含む、3層のコアシェル構造を備えている鉄炭素複合材料である。
【効果】ナノゼロ価鉄を多孔質グラファイトカーボンと炭化鉄でコーティングし、ナノゼロ価鉄の酸化を防ぐことができ、そして炭化鉄の存在はヒ素の固定能力を効果的に改善し、ナノゼロ価鉄の効率的かつ長期的な利用を実現する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側から内側に順番に、多孔質グラファイトカーボン外層、炭化鉄中間層及びナノゼロ価鉄コアを含む、3層のコアシェル構造を備える、
ことを特徴とする、鉄炭素複合材料。
【請求項2】
前記多孔質グラファイトカーボンの粒子サイズは10~100μmである、
ことを特徴とする、請求項1に記載の鉄炭素複合材料。
【請求項3】
前記ナノゼロ価鉄の粒子サイズは30~80nmである、
ことを特徴とする、請求項1に記載の鉄炭素複合材料。
【請求項4】
鉄炭素複合材料中の前記炭化鉄とナノゼロ価鉄との総含有量は、5%~55%、好ましくは20%~51%、より好ましくは24%~25%である、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の鉄炭素複合材料。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の鉄炭素複合材料の製造方法であって、
バイオマスをアルカリと亜硫酸塩との混合溶液に浸漬し、1度目の水熱反応を行い、1度目の水熱反応で得られた生成物をH2O2溶液と混合し、2度目の水熱反応を実行して活性化されたバイオマスを得るステップ(1)と、
前記活性化されたバイオマスを鉄塩溶液に浸漬し、鉄イオンを吸着するバイオマスを得るステップ(2)と、
前記鉄イオンを吸着するバイオマスに対し復元を行い、鉄炭素複合材料を得るステップ(3)と、を備える、
ことを特徴とする、鉄炭素複合材料の製造方法。
【請求項6】
前記アルカリと亜硫酸塩との混合溶液中、アルカリの濃度は、1~3M、好ましくは、亜硫酸塩の濃度は0.05~1Mである、
ことを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
ステップ(2)において、前記鉄塩溶液の濃度は、0.02~0.5M、好ましくは0.1~0.5Mである、
ことを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
【請求項8】
ステップ(3)において、前記還元方法は熱分解還元であり、好ましくは、前記熱分解還元は具体的には、保護雰囲気では、前記鉄イオンを吸着するバイオマスを加熱し、好ましくは、前記加熱温度は、≧800℃、好ましくは800~1000℃である、
ことを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
【請求項9】
重金属の酸化及び/又は不動態化における請求項1から4のいずれか1項に記載の鉄炭素複合材料の使用であって、
好ましくは、土壌及び水域の酸化及び/又は不動態化における重金属の使用で、好ましくは、前記重金属は、ヒ素、カドミウム、及び鉛の任意の1つ又は複数を含み、好ましくは、前記重金属はヒ素である、
ことを特徴とする、鉄炭素複合材料の使用。
【請求項10】
請求項1から4のいずれか1項に記載の鉄炭素複合材料を、処理するAs(III)汚染溶液又はAs(III)汚染土壌懸濁液に添加し、一定時間反応させるステップを備える、
ことを特徴とする、As(III)を固定及び酸化するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境修復の技術分野、特に鉄炭素複合材料並びにその製造方法及び応用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒ素(As)は毒性の高い発がん性金属である。鉱業、非鉄金属製錬、農薬の使用などがヒ素汚染の主な原因であり、且つ社会の発展に伴い、環境の水や土壌の重金属汚染はますます深刻になっている。研究によると、米の消費が、発がん性物質の最初のカテゴリーを構成する無機ヒ素摂取の主な経路である。米は無機ヒ素の総食事摂取量の約60%を占めると推定される。水と土壌中の無機ヒ素は主にAs(III)とAs(V)として存在し、As(III)は毒性と移動性が高く、さらに土壌から水域に容易に進入し、及び水稲に吸収され、且つ米に蓄積され、環境と人間の健康を脅かす。そのため、水や土壌中のヒ素、特に三価ヒ素汚染をどのように修復するかは、すでに現在早急に解決が待たれる環境問題となっている。
【0003】
現在、例えば、土壌の浸出、安定化、ファイトレメディエーションなど、土壌中のヒ素汚染を修復に対し多くの方法の応用がある。鉄とヒ素との間の独特の親和性により、鉄ベースなどの不動態化剤材料の適用を通じて、農地土壌へのヒ素の固定を部分的に達成することができ、その活性を低下させることができ、したがって、作物(水稲)内への移動が抑制され、国内外の学者の注目を集めている。近年、環境にやさしい不動態化材料としてのゼロ価鉄材料は、酸素と反応して活性酸素種を生成し、三価ヒ素の酸化を実現し、ヒ素の固定を強化することができ、地下水や土壌中のヒ素などその他の重金属汚染の修復方面で広く注目されている。しかし、ゼロ価鉄自体は、貯蔵や使用が困難であり、長期的な有効性が低く、製造コストが高いなどの問題があり、実際の農地土壌中のヒ素などの重金属の修復への大規模な応用が制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術に存在する技術的問題の少なくとも1つを解決することを目的としている。このため、本発明は、重金属を効率的に除去する能力を備え、特に、As(III)を効率的に除去及び酸化することができる鉄炭素複合材料を提案する。
【0005】
同時に、本発明はまた、前記鉄炭素複合材料の製造方法及び応用を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
具体的には、本発明で採用した技術解決策は以下のとおりである。
【0007】
本発明の第1の態様は、鉄炭素複合材料を提供する。前記鉄炭素複合材料は、外側から内側へ順番に、多孔質グラファイトカーボン外層、炭化鉄中間層、及びナノゼロ価鉄コアを含む、3層のコアシェル構造を備えている。
【0008】
本発明の第1の態様による鉄炭素複合材料は、少なくとも以下の有益な効果を含む。
ナノゼロ価鉄は、ヒ素を吸着固定する能力を備える。好気性条件下では、ナノゼロ価鉄の腐食プロセス中に生成された二価鉄は、酸素を活性化して活性酸素を生成することができ、As(III)からAs(V)への酸化は、土壌中のヒ素の毒性と移動性を低下させ、したがって作物のヒ素の吸収と輸送を低下させる。しかし、発明者は、ナノゼロ価鉄には応用プロセスにおいて以下の欠点もあることを発見し、第一に、空気中で酸化及び凝集しやすいため、その反応活性が大幅に低下し、長期間の貯蔵や使用に不利であり、第二に、土壌に添加すると土壌粒子などの不純物によって容易に妨害され、ヒ素の固定効率が大幅に低下し、且つ、ナノゼロ価鉄は迅速に反応し、短時間で腐食するため、結果として、As(III)の酸化的固定の長期効果は不十分である。本発明は、直接バイオマス前処理と熱分解還元の方法を組み合わせることにより、ナノゼロ価鉄を多孔質グラファイトカーボンと炭化鉄でコーティングし、関連技術と比較して、水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤の水溶液を用いた化学還元により、ナノゼロ価鉄をバイオ炭の表面に分散させ、ナノゼロ価の鉄の酸化を防ぐことができ、炭化鉄の存在はヒ素の固定能力を効果的に改善し、ナノゼロ価鉄の効率的かつ長期的な利用を実現し、ヒ素などの重金属に対する強力な吸着能力を備え、特に、As(III)を比較的低毒性のAs(V)に効率的に酸化することができる。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態では、前記多孔質グラファイトカーボンの粒子サイズは10~100μmである。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態では、前記ナノゼロ価鉄の粒子サイズは30~80nmである。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態では、鉄炭素複合材料中の前記炭化鉄とナノゼロ価鉄の総含有量は、5%~55%、好ましくは20%~51%、より好ましくは24%~25%である。
【0012】
本発明の第2の態様は、上記鉄炭素複合材料の製造方法を提供する。前記鉄炭素複合材料の製造方法は、
バイオマスをアルカリと亜硫酸塩との混合溶液に浸漬し、1度目の水熱反応を行い、1度目の水熱反応で得られた生成物をH2O2溶液と混合し、2度目の水熱反応を行い活性化されたバイオマスを得るステップ(1)と、
前記活性化されたバイオマスを鉄塩溶液に浸漬し、鉄イオンを吸着するバイオマスを得るステップ(2)と、
前記鉄イオンを吸着するバイオマスに対し還元を行い、鉄炭素複合材料を得るステップ(3)と、を備える。
【0013】
本発明の製造方法では、最初にアルカリと亜硫酸塩との混合溶液及びH2O2溶液を使用し、バイオマスに活性化処理を行い、次に、鉄イオンを充分に吸着し、さらに、熱分解バイオマスがその場で熱還元した後、多孔質グラファイトカーボンと炭化鉄でコーティングされたナノゼロ価鉄の鉄炭素複合材料が得られる。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態では、ステップ(1)では、前記バイオマスの粒子サイズは2mm未満である。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、前記バイオマスは、木本植物の根、茎、葉のうちの任意の1つ又は複数であり、又は草本植物、好ましくは木質バイオマスを使用することができる。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態では、前記アルカリと亜硫酸塩との混合溶液中、前記アルカリには、水酸化ナトリウムと、水酸化カリウムと、アンモニアと、のうちの任意の1つ又は複数が含まれ、前記亜硫酸塩には、Na2SO3と、NaHSO3と、K2SO3と、KHSO3と、のうちの任意の1つ又は複数が含まれる。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態では、前記アルカリと亜硫酸塩との混合溶液中、アルカリの濃度は、1~3M、好ましくは2~2.5M、より好ましくは約2.5Mである。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態では、前記アルカリと亜硫酸塩の混合溶液中、亜硫酸塩の濃度は、0.05~1M、好ましくは0.1~0.5M、より好ましくは約0.4Mである。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態では、前記アルカリと亜硫酸塩との混合溶液の体積は、実際の条件に基づいて調整でき、前記バイオマスを完全に浸漬することを推奨する。例として、前記バイオマスと前記混合溶液との比率は、1g:30~50mL、好ましくは1g:40~50mL、より好ましくは約1g:42mLに設定することができる。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態では、前記1度目の水熱反応の温度は、80~120℃、好ましくは90~100℃、より好ましくは約100℃である。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態では、前記1度目の水熱反応の時間は8~12時間である。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態では、前記1度目の水熱反応が完了した後、さらに固体生成物を取り出し、洗浄するステップが含まれる。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態では、前記H2O2溶液の濃度は、0.5~3M、好ましくは2~2.5M、より好ましくは約2.5Mである。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態では、前記H2O2溶液の体積は、実際の条件に基づいて調整でき、前記バイオマスを完全に浸漬することを推奨する。例として、前記バイオマスと前記H2O2溶液との比率は、1g:30~50mL、好ましくは1g:40~50mL、より好ましくは約1g:42mLに設定することができる。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態では、前記2度目の水熱反応の温度は、80~120℃、好ましくは90~100℃、より好ましくは約100℃である。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態では、前記2度目の水熱反応の時間は6~10時間である。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態では、前記2度目の水熱反応が完了した後、さらに固体生成物を取り出し、洗浄し、乾燥するステップが含まれる。前記乾燥方法は凍結乾燥することができる。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態では、ステップ(2)において、前記鉄塩溶液の濃度は、0.02~0.5M、好ましくは0.1~0.5M、さらに好ましくは0.2~0.3M、より好ましくは約0.2Mである。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態では、前記鉄塩は三価鉄塩であり、硝酸鉄及びその水和物、塩化鉄及びその水和物、硫酸鉄及びその水和物の任意の1つ又は複数、好ましくは硝酸鉄又はその水和物を含む。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態では、ステップ(2)において、浸漬時間は8~15時間である。浸漬プロセスは、超音波及び、又は振とうの助けを借りて行い、鉄イオンを繊維表面に充分に吸着させることができる。超音波時間は0.5~1時間、好ましくは1時間である。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態では、前記鉄塩溶液の体積は、実際の条件に基づいて調整でき、前記バイオマスを完全に浸漬することを推奨する。例として、前記バイオマスと前記鉄塩溶液との比率は、1g:30~50mL、好ましくは1g:40~50mL、より好ましくは約1g:42mLに設定することができる。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態では、ステップ(3)において、前記還元方法は熱分解還元である。具体的には、保護雰囲気では、前記鉄イオンを吸着するバイオマスを加熱する。保護雰囲気下では、原材料の熱分解によって生成されたCO又はH2を使用して、第三価鉄をゼロ価鉄に還元し、化学還元剤NaBH4を添加してゼロ価鉄を合成する場合と比較され、この方法は、材料の重金属を除去と酸化の能力を向上させるだけでなく、合成方法が簡単で、経済的で環境に優しい。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態では、前記加熱温度は、≧800℃、好ましくは800~1000℃、より好ましくは約800℃である。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態では、前記加熱プロセスにおいて、設定温度に達した後、0.5~2時間保温する。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態では、前記加熱プロセスにおいて、加熱速度は5~20℃/minの間でコントロールされる。
【0036】
本発明の第3の態様は、上記鉄炭素複合材料の重金属中の酸化及び、又は不動態化における応用を提供し、特に水域と土壌中の重金属である。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態では、前記重金属は、ヒ素、カドミウム、鉛のうちの任意の1つ又は複数を含み、最も好ましくはヒ素である。
【0038】
本発明はまた、As(III)を固定と酸化するための方法を提供し、以下のステップを含む。
前記鉄炭素複合材料は、処理されるAs(III)汚染溶液又はAs(III)汚染土壌懸濁液に投下され、一定時間反応させる。
【0039】
処理されるAs(III)汚染溶液又はAs(III)汚染土壌懸濁液中の鉄炭素複合材料の投下量は0.2~1g/Lである。
【0040】
前記反応時間は4~24時間、温度は20~40℃で、処理されるAs(III)汚染溶液又はAs(III)汚染土壌懸濁液のpHは3~7、好ましくは3~5で、より好ましくは約3.5である。
【0041】
従来技術と比較して、本発明は以下の有益な効果を備える。
(1)本発明は、ナノゼロ価鉄をグラファイトカーボンと炭化鉄でコーティングし、ナノゼロ価鉄が酸化されるのを効果的に防止し、重金属を除去する材料の能力を向上させることができ、特に、As(III)への材料の吸着、酸化能力が明らかに改善される。
(2)本発明の製造方法では、特定のステップで活性化後、鉄塩を吸着することにより、廃棄バイオマスは原料として使用でき、そして嫌気性高温熱分解を行い、多孔質グラファイトカーボンと炭化鉄でコーティングされたナノゼロ価鉄の製造に成功し、ナノゼロ価鉄の効率的かつ長期的な利用を実現する。且つ、材料合成方法が簡単で、得られた鉄炭素複合材料は環境にやさしい材料であり、二次汚染がなく、廃棄木質バイオマスの含有量が豊富で、製造コストが低い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】異なる熱分解温度で得られた鉄炭素複合材料及びFe/C800(FeCl
3)のXRD図である。
【
図2】Fe/C800のSEM(a、b)とTEM画像(c、d、e)である。
【
図3】異なる熱分解温度で得られた鉄炭素複合材料へのAs(III)に対する吸着速度図である。
【
図4】異なる鉄負荷量の鉄炭素複合材料のXRD図である。
【
図5】異なる鉄負荷量の鉄炭素複合材料のAs(III)に対する吸着量対比図である。
【
図6】Fe/C800、Fe/C800(FeCl
3)及びFe/C800-未処理-1時間のAs(III)に対する吸着量対比図である。
【
図7】バイオマス前処理があるかないかのFe/C800XRD図である。
【
図8】Fe/C800、BC/nZVIとnZVIのAs(III)の除去に対する安定性と長期効果の対比図である。
【
図9】Fe/C600、Fe/C800、BC/nZVI及びAC/nZVIのAs(III)に対する酸化効率の対比図である。
【
図10】土壌中のヒ素に対するFe/C800、バイオ炭、BC/nZVIとnZVIの固定効率の対比図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下で具体的実施形態と併せて、本発明のテクニカルソリューションをさらに説明する。
【0044】
実施形態1
本実施形態は、多孔質グラファイトカーボンと炭化鉄でコーティングされたナノゼロ価鉄の鉄炭素複合材料を提供し、その製造方法は、以下のステップを含む。
【0045】
(1)バイオマス前処理。
(1-1)1.2gの粉砕した(粒子サイズ2mm未満)乾燥木質バイオマス(バルサ/Ochroma pyramidale)を2.5MのNaOHと0.4MのNa2SO3との混合溶液50mLに浸漬し、且つ均一に攪拌し、反応釜に移し、100℃で10時間保持し、反応後は常温まで下げ、脱イオン水で洗浄する。
(1-2)上記反応後のバイオマスを50mLの2.5MH2O2溶液に入れ、反応釜に移し、100℃に加熱し、6時間保持する。
(1-3)ステップ(1-2)反応後の木質バイオマスを取り出し凍結乾燥し、活性化された木質バイオマスを得る。
【0046】
(2)鉄炭素複合材料の製造。
(2-1)活性化された木質バイオマスを50mLの一定の濃度(0.02、0.05、0.2、又は0.3M)のFe(NO3)3・9H2O溶液に入れ、1時間超音波処理し、次に、10時間振とうし、活性化された木質バイオマスがFe(III)を充分に吸着することができる。
(2-2)Fe(III)を充分に吸着した木質バイオマスを取り出した後、真空凍結乾燥し、乾燥した固形物を回収する。
(2-3)Fe(III)を充分に吸着した木質バイオマスを真空管状炉に入れ、窒素雰囲気で温度を一定の温度(400、600、800、又は1000℃)に上げ、温度を10℃/minの速度に上げ、1時間保持し、加熱を停止し、常温に下げ、取り出して使用に具える。
【0047】
異なる製造条件に基づき、一連の鉄炭素複合材料を得、表1のシリアル番号1~7に示す。
【0048】
【0049】
(一)鉄炭素複合材料の構造と三価ヒ素の吸着に対する異なる熱分解温度の影響。
【0050】
(1)構造の特性評価。
異なる熱分解温度で製造されたFe/C400、Fe/C600、Fe/C800、Fe/C1000のXRDを
図1に示す。
図1から分かるように、熱分解温度が600℃の場合、ゼロ価鉄だけがあり、そして熱分解温度が800℃、1000℃の場合、材料中に炭化鉄(Fe
3C)、グラファイトカーボン、ゼロ価鉄が同時に存在する。
Fe/C800のSEMとTEM図を
図2に示す。
図2に示す分析から分かるように、鉄ナノ粒子(粒度サイズ分布は30~80nmの間)は、カーボン(粒度サイズは10~100μm)の表面に均一に分散し、且つ高分解能TEM図では、グラファイトカーボンと炭化鉄でコーティングされたナノゼロ価鉄の3層のコアシェル構造がある。ここで、ナノゼロ価鉄が最内層、グラファイトカーボンが最外層であり、内部のナノゼロ価鉄の酸化を防ぐことができる。したがって、分析によれば、熱分解温度が800℃に達すると、多孔質グラファイトカーボンと炭化鉄でコーティングされたナノゼロ価鉄の鉄炭素複合材料を製造することができる。
【0051】
(2)三価ヒ素の吸着性能。
ステップ1)5、10mg/Lの濃度の三価ヒ素溶液を配合し、溶媒は脱イオン水である。
ステップ2)Fe/C400、Fe/C600、Fe/C800、Fe/C1000を使用して、三価ヒ素吸着速度実験を行い、材料の投下量は0.5g/L、反応システムは20mL、三価ヒ素の初期濃度は5mg/L、0.1M HClを使用して、三価ヒ素溶液の初期pH値を3.5に調整し実験を行い、50mlの遠心分離管で反応させる。
ステップ3)投入後、計測を開始し、指定した時点でサンプリングし、サンプリング時間はそれぞれ0、5、10、30、60、120、240、360、480minとする。
ステップ4)反応後、反応混合液を0.22μmの水膜に通し、フィルター溶液中の三価ヒ素濃度を測定し、除去率を算出し、結果を
図3に示す。
図3から分かるように、Fe/C800のAs(III)の除去率は100%に達することができる。
【0052】
(二)鉄炭素複合材料の構造及び三価ヒ素の吸着に対する異なる鉄負荷の影響。
【0053】
(1)構造の特性評価。
異なる鉄塩濃度で製造されたFe/C800(0.02)、Fe/C800(0.05)、Fe/C800(0.2)及びFe/C800(0.3)のXRDを
図4に示す。分析から分かるように、浸漬して鉄塩濃度が0.2Mと0.3Mの時だけ、多孔質グラファイトカーボン、炭化鉄及びナノゼロ価鉄が出現する。
【0054】
テスト後、Fe/C800(0.02)、Fe/C800(0.05)、Fe/C800(0.2)及びFe/C800(0.3)の鉄負荷量は、それぞれ8.4wt%、17.8wt%、24.9wt%及び50.1wt%である。
【0055】
(2)三価ヒ素の吸着性能。
ステップ1)5mg/Lの濃度の三価ヒ素溶液を配合し、溶媒は脱イオン水である。
ステップ2)異なる鉄負荷量で製造されたFe/C800(0.02)、Fe/C800(0.05)、Fe/C800(0.2)及びFe/C800(0.3)を使用して、三価ヒ素吸着速度実験を行い、材料の投下量は0.5g/L、反応システムは20mL、0.1M HClを使用して、三価ヒ素溶液の初期pH値を3.5に調整し実験を行い、50mlの遠心分離管で反応させる。
ステップ3)反応480分後、反応混合液を0.22μmの水膜に通し、フィルター溶液中の三価ヒ素濃度を測定し、除去率を算出する。
【0056】
As(III)吸着量を鉄含有量に対して正規化し、異なる鉄負荷の鉄炭素複合材料はAs(III)に対する吸着量で、
図5と表2に示す。
【0057】
【0058】
結果は、鉄負荷量の増加に伴い、鉄炭素複合材料はAs(III)吸着量に対し大きく変化し、鉄含有量が24.9%の時にAs(III)吸着量に対し最大になることを示す。
【0059】
比較例1
この比較例は、鉄炭素複合材料[Fe/C800(FeCl3)]を提供し、その製造方法と実施形態1のFe/C800との主な違いは、次のとおりであり、実施形態1の0.2MのFe(NO3)3・9H2O溶液は、同じ濃度のFeCl3・6H2Oで置き換えられ、その他の操作とFe/C800の製造と同じである。具体的には表1を参照する。
【0060】
Fe/C800(FeCl
3)のXRDは
図1を参照する。
図1は、Fe(NO
3)
3・9H
2Oの代わりにFeCl
3・6H
2Oを使用した場合、同じ濃度と同じ熱分解温度で製造された材料は、炭化鉄とゼロ価鉄を生成せず、また、得られる炭素はアモルファスカーボンであり、グラファイトカーボンは得られないことを反映している。
【0061】
実施形態1の方法によると、Fe/C800(FeCl
3)とFe/C800をそれぞれ10mg/LのAs(III)溶液に入れ、そのうち、Fe/C800(FeCl
3)はAs(III)に対する吸着量は2.2mg/gであり、Fe(NO
3)
3・9H
2Oから作られたFe/C800よりも大幅に低く、
図6に示すように、鉄塩の種類が鉄炭素複合材料のAs(III)吸着性能に対し大きな影響を与えることを示し、Fe(NO
3)
3を鉄源とする場合、鉄炭素複合材料のAs(III)の吸着能力を大幅に増加させることができる。
【0062】
比較例2
この比較例は、鉄炭素複合材料を提供し、その製造方法と実施形態1のFe/C800の主な違いは、次のとおりであり、バイオマス前処理を行わない。
【0063】
具体的には、この比較例の鉄炭素複合材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)1.2gの粉砕された乾燥木質バイオマス(バルサ)を50mLの0.2MのFe(NO3)3・9H2O溶液に入れ、1時間超音波処理し、次に、10時間振とうさせる。
(2)Fe(III)を充分に吸着した木質バイオマスを取り出した後、真空凍結乾燥し、乾燥した固形物を回収する。
(3)Fe(III)を充分に吸着した木質バイオマスを真空管状炉に入れ、窒素雰囲気でそれぞれ800℃に上げ、温度を10℃/minの速度に上げ、1時間保持し、加熱を停止し、常温に下げ、取り出して使用に備え、Fe/C800-未処理-1時間としてマークする。
【0064】
Fe/C800-未処理-1時間XRDを
図7に示す(
図7のFe/C800は実施形態1のバイオマス前処理)。前処理したFe/C800と比較すると、Fe/C800-未処理-1時間のゼロ価鉄回折ピークが強くなり、対応する炭化鉄(Fe
3C)回折ピークが弱くなることがわかる。
【0065】
実施形態1の方法によると、Fe/C800-未処理-1時間とFe/C800をそれぞれ10mg/LのAs(III)溶液に入れ、そのうち、As(III)に対するFe/C800-未処理-1時間の吸着容量は6.74mg/gであり、前処理を経てから作られたFe/C800よりも大幅に低く、
図6に示すように、バイオマスの前処理が鉄炭素複合材料のAs(III)吸着能力を効果的に改善できることを示している。
【0066】
比較例3
この比較例は、バイオ炭(C)、ナノゼロ価鉄をロードしたバイオ炭の複合材料(BC/nZVI)、及びナノゼロ価鉄をロードした活性炭(AC/nZVI)を提供する。
【0067】
ここで、バイオ炭(C)は、実施形態1と同じ木質バイオマスを使用して、N2を真空管状炉に通し、800℃で熱分解と焼成することにより製造され、BC/nZVIは、NaBH4がゼロ価鉄を合成することにより、バイオ炭の表面にロードされる。具体的な製造方法は以下の通りである。
(1)バイオ炭(C)の製造。
粉砕及び乾燥した木質バイオマス(バルサ)1.2gを真空管状炉に入れ、N2を通し、800℃で1時間焼成し、温度上昇速度は10℃/minである。
(2)ナノゼロ価鉄をロードしたバイオ炭の複合材料(BC/nZVI)の製造。
(1)で製造したバイオ炭0.45gとFeSO4・7H2O(0.75g)を100mLの無酸素水に加え、超音波で30分間攪拌し、次に、0.2gのNaBH4を脱イオン水で作られた20mLの溶液に加え、Fe(II)をFe0に還元し、全プロセスは窒素雰囲気下で行い、30分間連続撹拌した後、無水エタノールで3回洗浄し、乾燥させて使用に具える。
製造したBC/nZVIの鉄含有量は、約25%で、FeC/800と一致する。
(3)ナノゼロ価鉄をロードした活性炭(AC/nZVI)の製造。
AC/nZVIの製造方法とBC/nZVIは同じで、異なるのはバイオ炭を同等品質の活性炭に置き換えている点で、活性炭は市販の活性炭(AC、広州化学試薬工場から購入)を購入する。
【0068】
この比較例で製造したバイオ炭、BC/nZVI及びAC/nZVIをAs(III)除去に応用する。比較として、実施形態1のFe/C800と市販のナノゼロ価鉄(nZVI、粒子サイズは50nm)を使用して同様の実験を行い、具体的に以下に述べる。
【0069】
(1)As(III)除去に対する異なる材料の安定性と長期効果。
ステップ1)5mg/Lの濃度の三価ヒ素溶液を配合し、溶媒は脱イオン水である。
ステップ2)材料の安定性と長期効果を検証するために、まずFe/C800、BC/nZVI、及びnZVIをそれぞれ30mLの脱イオン水に入れ、24時間撹拌する。
ステップ3)攪拌後、材料を取り出し、三価ヒ素溶液に入れ、0.1M HClを使用して、三価ヒ素溶液の初期pH値を3.5に調整し実験を行い、材料の投下量は0.5g/Lで、反応システムは20mLで、50mlの遠心分離管で反応させる。
ステップ4)反応0、5、10、30、60、120、240、360分後、反応混合液を0.22μmの水膜に通し、フィルター溶液中の三価ヒ素濃度を測定し、除去率を算出し、結果を
図8に示す。
【0070】
図8から分かるように、水域処理後、BC/nZVIとnZVIによるAs(III)の除去率は、Fe/C800(100%)より明らかに低く、Fe/C800がBC/nZVIとnZVIに相対していることを示し、多孔質グラファイトカーボンと炭化鉄でコーティングされたナノゼロ価鉄構造により、水域中での安定性がさらに高く、As(III)の除去能力を長期間維持できる。
【0071】
(2)As(III)に対する異なる材料の酸化能力。
ステップ1)5mg/Lの濃度の三価ヒ素溶液を配合し、溶媒は脱イオン水である。
ステップ2)Fe/C600、Fe/C800、Fe/C1000、BC/nZVIとAC/nZVIを使用して、三価ヒ素吸着速度実験を行い、そのうち複合材料の投下量は0.5g/L、反応システムは20mLである。0.1M HClを使用して、三価ヒ素溶液の初期pH値を3.5に調整し実験を行い、50mlの遠心分離管で反応させる。
ステップ3)反応480分後、遠心分離により上澄みを除去し、反応後の材料を取り出し凍結乾燥し、次に、凍結した材料のXPS測定をし、材料の表面のAs(III)とAs(V)の相対的な含有量を分析し、結果は
図9に示す。
【0072】
結果は、Fe/C800のAs(III)への酸化能力がFe/C600(67%)、BC/nZVI(50%)、AC/nZVI(42%)よりもはるかに高く、最も強い酸化能力を示し、Fe/C800材料表面のAs(V)含有量は94%に達することを表す。
【0073】
(3)異なる材料による土壌中のヒ素固定。
ステップ1)ヒ素で汚染された水田土壌を乾燥させ、その後2mmのふるいで粉砕して使用に具える。脱イオン水を使用して、0.5M NaHCO
3溶液を調製する。
ステップ2)土壌中のヒ素固定実験には、Fe/C800、バイオ炭、BC/nZVIとnZVIを使用する。水と土壌との比率は10:1で、反応システムは20mLで、材料投下量は1g/Lで、50mLのバイアルで培養される。まず嫌気性条件下で7日間培養を行い、次に好気性条件下で20日間培養を行い、水田土壌の嫌気性及び好気性条件をシミュレートする。
ステップ3)培養後、遠心分離により上澄みを取り除き、次に1gの土壌を取り出して50mLの遠心分離管に入れ、30mLの0.5M NaHCO
3溶液を加える。25℃の条件下で16時間振とうさせる。
ステップ4)振とう後遠心分離し、上澄みを0.22μmの水膜に通し、フィルター溶液中のヒ素濃度を測定し、異なる処理後の土壌中の有効なヒ素濃度を計算し、結果は
図10に示す。
【0074】
異なる材料で処理された土壌の有効なヒ素含有量はそれぞれ、Fe/C800(5.98mg/kg)<BC/nZVI(10.72mg/kg)<nZVI(10.96mg/kg)<バイオ炭(11.19mg/kg)<ブランクコントロール(12.16mg/kg)で、結果は、Fe/C800を添加した後、土壌中のヒ素の固定能力が最も強いことを示し、明らかな利点を示している。
【0075】
上記の実施形態は、本発明の好ましい実施方式であるが、本発明の実施形態は、上記の実施形態によって限定されず、その他の本発明の精神及び原理から逸脱しない他の変更、修正、置換、組み合わせ、及び簡略化は、同等の置換方式であり、すべて本発明の保護範囲に含まれる。
【0076】
(付記)
(付記1)
外側から内側に順番に、多孔質グラファイトカーボン外層、炭化鉄中間層及びナノゼロ価鉄コアを含む、3層のコアシェル構造を備える、
ことを特徴とする、鉄炭素複合材料。
【0077】
(付記2)
前記多孔質グラファイトカーボンの粒子サイズは10~100μmである、
ことを特徴とする、付記1に記載の鉄炭素複合材料。
【0078】
(付記3)
前記ナノゼロ価鉄の粒子サイズは30~80nmである、
ことを特徴とする、付記1に記載の鉄炭素複合材料。
【0079】
(付記4)
鉄炭素複合材料中の前記炭化鉄とナノゼロ価鉄との総含有量は、5%~55%、好ましくは20%~51%、より好ましくは24%~25%である、
ことを特徴とする、付記1から3のいずれか1つに記載の鉄炭素複合材料。
【0080】
(付記5)
付記1から4のいずれか1つに記載の鉄炭素複合材料の製造方法であって、
バイオマスをアルカリと亜硫酸塩との混合溶液に浸漬し、1度目の水熱反応を行い、1度目の水熱反応で得られた生成物をH2O2溶液と混合し、2度目の水熱反応を実行して活性化されたバイオマスを得るステップ(1)と、
前記活性化されたバイオマスを鉄塩溶液に浸漬し、鉄イオンを吸着するバイオマスを得るステップ(2)と、
前記鉄イオンを吸着するバイオマスに対し復元を行い、鉄炭素複合材料を得るステップ(3)と、を備える、
ことを特徴とする、鉄炭素複合材料の製造方法。
【0081】
(付記6)
前記アルカリと亜硫酸塩との混合溶液中、アルカリの濃度は、1~3M、好ましくは、亜硫酸塩の濃度は0.05~1Mである、
ことを特徴とする、付記5に記載の製造方法。
【0082】
(付記7)
ステップ(2)において、前記鉄塩溶液の濃度は、0.02~0.5M、好ましくは0.1~0.5Mである、
ことを特徴とする、付記5に記載の製造方法。
【0083】
(付記8)
ステップ(3)において、前記還元方法は熱分解還元であり、好ましくは、前記熱分解還元は具体的には、保護雰囲気では、前記鉄イオンを吸着するバイオマスを加熱し、好ましくは、前記加熱温度は、≧800℃、好ましくは800~1000℃である、
ことを特徴とする、付記5に記載の製造方法。
【0084】
(付記9)
重金属の酸化及び/又は不動態化における付記1から4のいずれか1つに記載の鉄炭素複合材料の使用であって、
好ましくは、土壌及び水域の酸化及び/又は不動態化における重金属の使用で、好ましくは、前記重金属は、ヒ素、カドミウム、及び鉛の任意の1つ又は複数を含み、好ましくは、前記重金属はヒ素である、
ことを特徴とする、鉄炭素複合材料の使用。
【0085】
(付記10)
付記1から4のいずれか1つに記載の鉄炭素複合材料を、処理するAs(III)汚染溶液又はAs(III)汚染土壌懸濁液に添加し、一定時間反応させるステップを備える、
ことを特徴とする、As(III)を固定及び酸化するための方法。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-14
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側から内側に順番に、多孔質グラファイトカーボン外層、炭化鉄中間層及びナノゼロ価鉄コアを含む、3層のコアシェル構造を備える鉄炭素複合材料の製造方法であって、
バイオマスをアルカリと亜硫酸塩との混合溶液に浸漬し、1度目の水熱反応を行い、1度目の水熱反応で得られた生成物をH2O2溶液と混合し、2度目の水熱反応を実行して活性化されたバイオマスを得るステップ(1)と、
前記活性化されたバイオマスを鉄塩溶液に浸漬し、鉄イオンを吸着したバイオマスを得、前記鉄塩溶液の濃度は、化合物の濃度で0.1~0.5Mであり、前記鉄塩は硝酸鉄またはその水和物であり、前記バイオマスと前記鉄塩溶液との比率は、1g:30~50mLである、ステップ(2)と、
不活性ガス雰囲気で前記鉄イオンを吸着したバイオマスを800℃以上1000℃以下の加熱温度で加熱し、鉄炭素複合材料を得るステップ(3)と、を備え、
前記鉄炭素複合材料中の前記炭化鉄とナノゼロ価鉄との総含有量は、20%~51%である、
ことを特徴とする、鉄炭素複合材料の製造方法。
【請求項2】
前記アルカリと亜硫酸塩との混合溶液中、アルカリの濃度は化合物の濃度で1~3Mであり、亜硫酸塩の濃度は化合物の濃度で0.05~1Mである、
ことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【外国語明細書】