(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148580
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】サポートプログラムおよび印刷システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20220929BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
G06F3/12 328
G06F3/12 303
G06F3/12 367
G06F3/12 353
G06F3/12 359
B41J29/38 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050318
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】成田 建樹
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP03
2C061AP04
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AR03
2C061AS02
2C061HJ08
2C061HL01
2C061HN02
2C061HN15
2C061HN17
2C061HN18
2C061HN19
2C061HP00
(57)【要約】
【課題】他の情報処理装置と統一した蓄積印刷の運用を行い易くすること。
【解決手段】OS標準の汎用印刷プログラム41と、汎用印刷プログラム41をサポートする補助プログラム42とが組み込まれたPC1は、蓄積印刷を実行するか否かを示す設定情報をプリンタ2から取得し、取得した設定情報が蓄積印刷を実行することを示す場合、印刷指示に基づく印刷ジョブについて蓄積印刷を行う設定にし、その印刷ジョブの識別情報に対応付けて印刷ジョブをプリンタ2に送信する。これにより、プリンタ2は、PC1から印刷ジョブを受信すると、印刷を行わずに当該印刷ジョブを保存しておき、その後、印刷条件を満たした場合に、印刷を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置のコンピュータによって実行可能であり、前記情報処理装置と接続するプリンタに対応し、前記情報処理装置のオペレーティングシステムにあらかじめ組み込まれた汎用印刷プログラムをサポートするサポートプログラムであって、
前記コンピュータに、
外部デバイスから蓄積印刷を実行するか否かを示す設定情報を取得する取得処理を実行させ、前記蓄積印刷は、前記プリンタによって実行される印刷手順であって、画像データを受信した際に印刷を直ぐには行わず、受信した前記画像データもしくは前記画像データを変換したデータを保存し、その後に印刷条件を満たした場合に印刷を行う前記印刷手順であり、
さらに前記コンピュータに、
前記情報処理装置に組み込まれている編集アプリケーションプログラムから出力された印刷指示であって、前記汎用印刷プログラムに対して画像の印刷を前記プリンタに行わせる前記印刷指示があった場合に、前記取得処理にて取得した前記設定情報が前記蓄積印刷を実行することを示していれば、前記印刷指示に基づく印刷ジョブについて、前記蓄積印刷を行う設定にする設定処理を実行させ、
さらに前記コンピュータに、
前記印刷指示に基づく印刷ジョブを、前記印刷ジョブの識別情報と対応付けて前記プリンタに送信するための処理を行う送信処理を実行させる、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載するサポートプログラムにおいて、
前記外部デバイスは、前記プリンタであり、
前記取得処理では、
前記プリンタに取得要求を送信し、前記プリンタから前記設定情報を受信することで前記設定情報を取得し、前記プリンタは、前記蓄積印刷を実行するか否かを示す前記設定情報を記憶し、前記情報処理装置から前記取得要求を受信したことに応じて、前記設定情報を前記情報処理装置に送信する、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項3】
請求項2に記載するサポートプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記情報処理装置に組み込まれている前記編集アプリケーションプログラムから出力された表示指示であって、前記汎用印刷プログラムに対して前記プリンタでの印刷に用いる印刷設定を受け付ける設定画面を表示する前記表示指示があった場合に、前記設定画面を前記情報処理装置のユーザインタフェースを用いて表示する表示処理を実行させ、前記設定画面には、前記プリンタが備える埋め込みウェブサーバへのアクセスを指示する操作子が含まれ、前記埋め込みウェブサーバによって提供されるウェブページでは、前記プリンタに記憶される前記設定情報の変更を受け付け、
さらに前記コンピュータに、
前記設定画面に含まれる前記操作子が操作された場合、前記埋め込みウェブサーバによって提供される前記ウェブページを、前記情報処理装置のユーザインタフェースに表示するウェブページ表示処理を実行させる、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載するサポートプログラムにおいて、
前記プリンタは、認証情報の入力を受け付け、入力された前記認証情報に基づく認証に成功したことを前記印刷条件とする前記蓄積印刷が可能であり、
前記送信処理では、
前記印刷指示に基づく前記印刷ジョブの印刷設定に、前記蓄積印刷を行う設定がなされている場合に、前記認証に必要な認証情報を、前記印刷指示に基づく前記印刷ジョブに含める、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項5】
請求項4に記載するサポートプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記設定処理にて前記蓄積印刷を行わない設定から前記蓄積印刷を行う設定に変更した場合に、前記認証情報の設定を受け付け、受け付けた前記認証情報を、前記印刷指示に基づく印刷ジョブに含める認証設定処理を実行させる、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載するサポートプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記プリンタから前記プリンタに蓄積されている前記印刷ジョブを示す蓄積情報を取得する蓄積情報取得処理と、
前記蓄積情報取得処理にて取得した前記蓄積情報に基づく報知情報を、前記情報処理装置のユーザインタフェースを用いて報知する報知処理と、
を実行させる、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載するサポートプログラムにおいて、
前記報知処理では、
前記蓄積情報取得処理にて取得した前記蓄積情報に基づいて、前記プリンタに蓄積されている前記印刷ジョブから抽出されたログインユーザの印刷ジョブに基づく前記報知情報を、前記情報処理装置のユーザインタフェースを用いて報知する、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項8】
請求項6に記載するサポートプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記印刷指示に基づく前記印刷ジョブの印刷量が、前記蓄積情報取得処理にて取得した前記蓄積情報に基づく印刷可能量を超える印刷量であった場合に、前記印刷指示に基づく前記印刷ジョブの送信を制限する制限処理を実行させる、
ことを特徴とするサポートプログラム。
【請求項9】
情報処理装置と、プリンタと、を備える印刷システムであって、
前記プリンタは、蓄積印刷を実行可能であり、前記蓄積印刷は、画像データを受信した際に印刷を直ぐには行わず、受信した前記画像データもしくは前記画像データを変換したデータを保存し、その後に印刷条件を満たした場合に印刷を行う印刷手順であり、
前記情報処理装置は、
外部デバイスから前記蓄積印刷を実行するか否かを示す設定情報を取得し、
さらに前記情報処理装置は、
前記情報処理装置に組み込まれている編集アプリケーションプログラムから出力された印刷指示であって、前記情報処理装置のオペレーティングシステムにあらかじめ組み込まれた汎用印刷プログラムに対して画像の印刷を前記プリンタに行わせる前記印刷指示があった場合に、取得した前記設定情報が前記蓄積印刷を実行することを示していれば、前記印刷指示に基づく印刷ジョブついて、前記蓄積印刷を行う設定にし、
さらに前記情報処理装置は、
前記印刷指示に基づく印刷ジョブを、前記印刷ジョブの識別情報と対応付けて前記プリンタに送信する、
ことを特徴とする印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術分野は、プリンタの制御をサポートするサポートプログラムおよび印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタドライバを利用せず、オペレーティングシステム(OS)に標準に組み込まれている印刷プログラムによってプリンタを制御する技術が実用化されている。この技術では、OSがプリンタとOS標準の印刷プログラムとの関連付けを行い、以後、そのプリンタに対する印刷指示を受け付けた場合に、プリンタドライバを用いずに、OS標準の印刷プログラムによる印刷が可能になる。
【0003】
また、例えば特許文献1に開示されているように、外部デバイスから画像データを受信して印刷を行うプリンタであって、画像データを受信した際に印刷を直ぐには行わず、画像データもしくは画像データを変換したデータを保存し、認証等の印刷条件を満たした場合に印刷を行う蓄積印刷が可能なプリンタが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した蓄積印刷は、高い安全性が要求されるシステムで用いられる傾向にあり、システム全体で統一した運用が望まれる。一方で、情報処理装置にて印刷ジョブの個々に蓄積印刷の設定を受け付ける場合、情報処理装置に組み込まれたプリンタドライバで蓄積印刷の設定を受け付けるため、システムを構成する情報処理装置の全てで、蓄積印刷について統一した運用を行うことが難しい。また、OS標準の汎用印刷プログラムでは、そもそもプリンタ固有の機能である蓄積印刷の設定ができない。
【0006】
本明細書は、OS標準の汎用印刷プログラムが組み込まれた情報処理装置において、他の情報処理装置と統一した蓄積印刷の運用を行い易い技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題の解決を目的としてなされたサポートプログラムは、情報処理装置のコンピュータによって実行可能であり、前記情報処理装置と接続するプリンタに対応し、前記情報処理装置のオペレーティングシステムにあらかじめ組み込まれた汎用印刷プログラムをサポートするサポートプログラムであって、前記コンピュータに、外部デバイスから蓄積印刷を実行するか否かを示す設定情報を取得する取得処理を実行させ、前記蓄積印刷は、前記プリンタによって実行される印刷手順であって、画像データを受信した際に印刷を直ぐには行わず、受信した前記画像データもしくは前記画像データを変換したデータを保存し、その後に印刷条件を満たした場合に印刷を行う前記印刷手順であり、さらに前記コンピュータに、前記情報処理装置に組み込まれている編集アプリケーションプログラムから出力された印刷指示であって、前記汎用印刷プログラムに対して画像の印刷を前記プリンタに行わせる前記印刷指示があった場合に、前記取得処理にて取得した前記設定情報が前記蓄積印刷を実行することを示していれば、前記印刷指示に基づく印刷ジョブについて、前記蓄積印刷を行う設定にする設定処理を実行させ、さらに前記コンピュータに、前記印刷指示に基づく印刷ジョブを、前記印刷ジョブの識別情報と対応付けて前記プリンタに送信するための処理を行う送信処理を実行させる、ことを特徴とする。
【0008】
上記構成のサポートプログラムを組み込まれた情報処理装置は、蓄積印刷を実行するか否かを示す設定情報を外部デバイスから取得し、その取得した設定情報が蓄積印刷を実行することを示す場合、印刷ジョブについて蓄積印刷を行う設定に自動的にする。これにより、情報処理装置において蓄積印刷を行う設定にする操作を行わなくても、サポートプログラムが印刷ジョブについて強制的に蓄積印刷を行う設定にする。よって、プリンタに接続する情報処理装置にサポートプログラムを組み込むことで、蓄積印刷を行うか否かの設定を情報処理装置間で共通化し、システム全体で統一した蓄積印刷の運用が可能になる。
【0009】
上記装置の機能を実現するための印刷システム、制御方法、コンピュータプログラム、および当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体も、新規で有用である。
【発明の効果】
【0010】
本明細書に開示される技術によれば、OS標準の汎用印刷プログラムが組み込まれた情報処理装置において、他の情報処理装置と統一した蓄積印刷の運用を行い易い技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】PCの電気的構成の概略を示すブロック図である。
【
図2】各プログラムによる印刷動作の手順の例を示すシーケンス図である。
【
図3】各プログラムによる印刷動作の手順の例を示すシーケンス図である。
【
図6】画面操作受付処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図7】システム管理処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図8】設定情報変更受付画面の一例を示す図である。
【
図9】設定情報変更処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図10】印刷データ生成処理の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本形態のサポートプログラムを利用するパーソナルコンピュータ(以下、「PC」とする)について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本明細書は、印刷機能を有するプリンタと、プリンタに接続されるPCにて実行されるサポートプログラムと、を含む印刷システムを開示する。
【0013】
本形態の印刷システム100は、例えばオフィスで使用され、
図1に示すように、複数のPC(本形態ではPC1、PC3))とプリンタ2とを含み、それらがネットワーク4に接続されている。PC1およびPC3はそれぞれ「情報処理装置」の一例である。プリンタ2は、印刷機能を有する装置である。プリンタ2には、複数の情報処理装置(本形態ではPC1とPC3)が通信可能に接続されている。プリンタ2に接続する情報処理装置の数はこれに限定されない。また、情報処理装置は、PCに限らず、スマートフォン、タブレットなどの携帯端末であってもよい。PC1とPC3は同様に構成されているので、以下ではPC1を中心に構成を説明する。
【0014】
本形態のPC1は、
図1に示すように、CPU11と、メモリ12と、を含むコントローラ10を備えている。CPU11は「コンピュータ」の一例である。また、PC1は、ユーザインタフェース(以下、「ユーザIF」とする)13と、通信インタフェース(以下、「通信IF」とする)14と、を備え、これらがコントローラ10に電気的に接続されている。なお、
図1中のコントローラ10は、PC1の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際にPC1に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0015】
CPU11は、メモリ12から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作に基づいて、各種の処理を実行する。メモリ12には、各種のアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」とする)を含む、各種のプログラムや各種のデータが記憶されている。メモリ12は、各種の処理が実行される際の作業領域としても利用される。CPU11が備えるバッファも、メモリの一例である。なお、メモリ12の一例は、PC1に内蔵されるROM、RAM、HDD等に限らず、CPU11が読み取り可能かつ書き込み可能なストレージ媒体、例えば、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体であっても良い。
【0016】
ユーザIF13は、ユーザに情報を報知するための画面を表示するハードウェアと、ユーザによる操作を受け付けるハードウェアと、を含む。なお、ユーザIF13は、情報を表示可能なディスプレイと、入力受付機能を有するマウスやキーボード等と、の組であっても良いし、表示機能と入力受付機能とを備えるタッチパネルであっても良い。
【0017】
通信IF14は、プリンタ2等の外部装置と通信を行うためのハードウェアを含む。通信IF14の通信規格は、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、USBなどである。PC1は、複数の通信規格に対応する複数の通信IF14を備えていてもよい。
【0018】
PC1のメモリ12には、
図1に示すように、汎用印刷プログラム41を含むオペレーティングシステム(以下、「OS」とする)21と、補助プログラム42と、編集アプリ43と、が記憶されている。補助プログラム42は「サポートプログラム」の一例である。編集アプリ43は「編集アプリケーションプログラム」の一例である。OS21は、例えば、Windows(登録商標)、macOS(登録商標)、Linux(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)である。
【0019】
汎用印刷プログラム41は、ユーザの指示に基づいて、プリンタ2等の各種のプリンタに印刷を実行させるためのOS標準のプログラムである。本形態の汎用印刷プログラム41は、印刷対象の画像データに基づいて、中間画像データを生成する機能を含むプログラムである。
【0020】
汎用印刷プログラム41は、各種のプリンタのベンダによって提供される複数種類のモデルのプリンタが共通に利用できる機能をサポートしている。汎用印刷プログラム41は、各種のプリンタが固有に備える機能の全てに対応するものではなく、サポートする機能は汎用的なものに限られる。
【0021】
補助プログラム42は、汎用印刷プログラム41の処理に付随してOS21からの指示に基づいて処理を実行するプログラムまたはプログラム群であり、対象のハードウェアの制御をサポートするアプリである。本形態の補助プログラム42は、PC1に接続されているプリンタ2のモデルに対応するものであり、例えば、汎用印刷プログラム41を使用してプリンタ2に印刷を実行させる指示を受け付けた場合に、汎用印刷プログラム41から起動される。補助プログラム42は、例えば、ハードウェアサポートアプリ(略称、HSA)と呼ばれる。
【0022】
補助プログラム42は、汎用印刷プログラム41から複数種の命令を受け付け可能であり、受け付けた命令に基づいて、各種の処理を実行する。なお、補助プログラム42は、それぞれが実行命令を受け付ける複数のプログラムの組み合わせであっても良いし、1つのプログラムであって命令に応じてそれぞれ異なる処理を実行できるプログラムであっても良い。
【0023】
補助プログラムは、プリンタのベンダによってプリンタのタイプごとに用意されるプログラムであっても良い。例えば、インクジェットプリンタ用の補助プログラムやレーザプリンタ用の補助プログラムが、それぞれ用意されても良い。PC1のOS21は、例えば、新たなプリンタがPC1に接続された場合、接続されたプリンタのタイプに応じて、適切な補助プログラムをサーバ等からダウンロードして自装置に組み込む。そして、OS21は、組み込んだ補助プログラムの識別情報を新たに接続されたプリンタのプリンタ情報に対応付けて、メモリ12に記憶させる。なお、プリンタのタイプごとに限らず、プリンタのモデルごとやプリンタのモデルのシリーズごとに用意される補助プログラムが有っても良い。
【0024】
編集アプリ43は、例えば、画像データや文書データの作成や編集を行うためのアプリである。編集アプリ43は、例えば、マイクロソフト(登録商標)製のワードやパワーポイントなどであっても良いし、プリンタ2のベンダから提供されるアプリであっても良い。編集アプリ43は、プリンタ2に所定の動作を行わせる指示を含むユーザ操作を受け付ける。具体的には、編集アプリ43は、ユーザIF13を介して、例えば、プリンタ2に印刷を実行させる印刷実行指示を受け付ける。
【0025】
プリンタ2は、例えば、PC1等から印刷ジョブを受信して、受信した印刷ジョブに基づく印刷を実行する。印刷ジョブは、例えば、画像データ、印刷設定、印刷ジョブを識別するためのジョブ識別情報、印刷ジョブを送信したログインユーザを識別するためのユーザ情報などを含む。ジョブ識別情報は「印刷ジョブの識別情報」の一例である。
【0026】
プリンタ2は、操作パネルや、プリンタ2を管理する管理端末を介して、印刷設定の設定あるいは変更を受け付け、記憶している。印刷設定には、蓄積印刷に関する設定が含まれる。蓄積印刷は、プリンタ2によって実行される印刷手順であって、画像データを受信した際に印刷を直ぐには行わず、受信した画像データもしくは画像データを変換したデータを保存し、その後に印刷条件を満たした場合に印刷を行う印刷手順である。印刷条件には、例えば、印刷指示の入力、適切なパスワードの入力、ユーザのログインが該当する。このような蓄積印刷は、高い安全性が要求されるシステムで用いられる傾向があり、システム全体で統一した運用が望まれる。プリンタ2は、埋め込みウェブサーバ(EWS:embodiment Web Serverの略)21を備えており、そのEWS21によって蓄積印刷を行うか否かの設定情報を管理している。
【0027】
蓄積印刷の設定は、汎用印刷プログラム41では対応できない印刷設定であり、プリンタ2固有の印刷設定である。PC1は、補助プログラム42によって、蓄積印刷の設定を印刷ジョブごとに受け付けることができる。そのため、PC1は、プリンタ2に記憶されている蓄積印刷の設定と異なる蓄積印刷の設定を受け付けることがある。
【0028】
次に、本形態の補助プログラム42の動作を含む印刷の手順について、
図2および
図3のシーケンス図を参照して説明する。
図2および
図3は、編集アプリ43等の印刷指示を受け付けるアプリにて、汎用印刷プログラム41を使用してプリンタ2に印刷させる印刷実行指示を受け付けた場合であって、プリンタ2に対応する補助プログラム42がPC1に組み込まれている場合の動作について示している。
【0029】
なお、本形態における処理およびフローチャートの各処理ステップは、基本的に、補助プログラム42などのプログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を示す。CPU11による処理は、OS21のAPIを用いたハードウェア制御も含む。本明細書では、OS21の詳細な記載を省略して各プログラムの動作を説明する。また、「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。
【0030】
編集アプリ43は、ユーザの指示に基づいて、文章や図表等の作成や編集を受け付ける。編集アプリ43は、選択中の文章等の印刷に関する指示を受け付けると(A01)、ユーザによる指示を受け付けるための印刷画面をユーザIF13に表示する(A02)。編集アプリ43は、印刷画面にて、例えば、印刷実行指示、基本的な印刷設定の指示、詳細な印刷設定の受け付け開始の指示を受け付ける。
【0031】
編集アプリ43は、表示中の印刷画面にてプリンタ2が選択された状態で、詳細な印刷設定の受け付け開始の指示を受け付けた場合(A03)、受け付けた詳細設定指示の情報をOS21に渡す。OS21は、汎用印刷プログラム41を使用する印刷に関する詳細設定の指示を受け付けた場合、汎用印刷プログラム41を実行させ、汎用印刷プログラム41に詳細な印刷設定の受け付け開始指示を渡す(A04)。詳細な印刷設定の受け付け開始指示は「表示指示」の一例である。汎用印刷プログラム41は、詳細な印刷設定の受け付け開始指示を受け付けると、選択中のプリンタであるプリンタ2に対応する補助プログラム42に詳細な印刷設定の受け付け実行指示を渡す(A05)。
【0032】
補助プログラム42は、実行指示に応じて、蓄積情報の送信をプリンタ2に要求する(A11)。プリンタ2は、自装置に蓄積されている印刷ジョブを取得し(A12)、プリンタ2に蓄積されている印刷ジョブに関する蓄積情報を応答する。補助プログラム42は、通信IF14を介して蓄積情報を受信することで、蓄積情報をプリンタ2から取得する(A13)。補助プログラム42は、取得した蓄積情報に基づく報知を、ユーザIF13を用いて行う(A14)。なお、A11~A13の処理は「蓄積情報取得処理」の一例である。A14の処理は「報知処理」の一例である。
【0033】
蓄積情報は、印刷ジョブの数でも量(印刷枚数)でもよいし、蓄積されている印刷ジョブのサイズに基づくメモリの空き容量であってもよい。A14にて報知される報知情報は、プリンタ2に現在蓄積されている印刷ジョブに関する情報であってもよいし、残りの蓄積可能な印刷ジョブに関する情報であってもよい。例えば、補助プログラム42は、
図4(A)に示すように、「現在、プリンタには500枚分の画像データが蓄積されており、空きメモリが僅かです。印刷枚数が20枚を超える場合、しばらくしてから印刷を行って下さい。」とのメッセージ300AをユーザIF13に表示させる。メッセージ300Aは「報知情報」の一例である。これにより、ユーザは、プリンタ2の蓄積状態やメモリの空き容量をPC1にて確認できる。また、今印刷を行っても画像データがプリンタ2に適切に保存されず、ユーザが期待する印刷結果を得られないことを把握できる。
【0034】
補助プログラム42は、プリンタ2に蓄積されている印刷ジョブの全てを示す蓄積情報を取得せずに、プリンタ2に蓄積されている印刷ジョブの一部を示す蓄積情報を取得してもよい。
【0035】
例えば、補助プログラム42は、A11にて、蓄積情報の送信をプリンタ2に要求する場合に、A12にて印刷ジョブに付されるログインユーザのユーザ情報を要求に付してもよい。この場合、プリンタ2は、自装置に蓄積されている印刷ジョブを取得すると、その中から要求に付されたユーザ情報に対応する印刷ジョブ抽出し、抽出した印刷ジョブに基づく蓄積情報を補助プログラム42に送信する。補助プログラム42は、A23において、その蓄積情報を通信IF14を介して蓄積情報を受信することで、ログインユーザ自身の蓄積情報をプリンタ2から取得する。
【0036】
なお、補助プログラム42は、プリンタ2に蓄積されている印刷ジョブ全てを含む蓄積情報をプリンタ2から受信し、ログインユーザのユーザ情報に対応する印刷ジョブを受信した蓄積情報から抽出することで、ログインユーザ自身の蓄積情報を取得するようにしてもよい。
【0037】
そして、補助プログラム42は、A24において、ログインユーザ自身の印刷ジョブに基づく報知情報を、報知してもよい。例えば、補助プログラム42は、ログインユーザの印刷ジョブがプリンタ2に残っていることを、プリンタ2から取得した蓄積情報から判明したとする。この場合、補助プログラム42は、例えば
図4(B)に示すように、「あなたの印刷ジョブがプリンタに残っていますので、早めに印刷して下さい。」とのメッセージ300Bを、ユーザIF13に表示させる。メッセージ300Bは「報知情報」の一例である。
【0038】
このように、補助プログラム42がログインユーザ以外の印刷ジョブに基づく報知情報を報知しないようにすれば、ログインユーザが自身の印刷ジョブ存在を把握しやすくなる。また、本システムは、複数のPC(本形態ではPC1、PC3)からプリンタ2が印刷ジョブを受け付けて蓄積する構成である。そのため、印刷ジョブがプリンタ2に多くたまりやすい。これに対して、本形態では、ユーザが、補助プログラム42によってユーザIF13に表示されるメッセージ300Bを確認することで、プリンタ2に残っている自分の印刷ジョブに気付いて印刷する可能性が高くなる。よって、プリンタ2に蓄積された印刷ジョブが放置されることが減り、プリンタ2に印刷ジョブが多くたまりにくくなる。
【0039】
なお、例えば、プリンタ2は、ログインユーザごとに蓄積できる印刷ジョブの数を制限する蓄積条件(例えば、ログインユーザ一人につき、印刷ジョブを1つ蓄積できる条件)を設けてもよい。この場合、例えば、補助プログラム42は、ログインユーザがプリンタ2を用いて印刷を行う際に、蓄積情報に基づいて、プリンタ2に蓄積されているログインユーザの印刷ジョブの数が蓄積条件の数に達していれば、
図4(C)に示すように、「あなたの印刷ジョブがプリンタに残っているため、印刷できません。プリンタに残っている印刷ジョブを印刷してから、印刷をやり直して下さい。」とのメッセージ300DをユーザIF13に表示させてもよい。メッセージ300Dは「報知情報」の一例である。これによれば、ログインユーザが、現在行おうとしている印刷を実行するために、プリンタ2に残っている自分の印刷ジョブを早く印刷するようになるので、プリンタ2に蓄積された印刷ジョブの印刷が促進され、プリンタ2に印刷ジョブが多くたまりにくくなる。
【0040】
補助プログラム42は、プリンタ2での印刷に用いる印刷設定を受け付けるための詳細設定画面をユーザIF13に表示させる(A21)。詳細設定画面は「設定画面」の一例である。A21の処理は「表示処理」の一例である。詳細設定画面の一例を
図5に示す。
【0041】
例えば
図5に示すように、詳細設定画面230には、印刷設定の項目が表示される。その印刷設定の項目には、汎用印刷プログラム41が対応できないプリンタ2特有の印刷設定の項目が、含まれる。そのため、詳細設定画面230では、汎用印刷プログラム41では対応できない印刷設定を設定できる。なお、詳細設定画面230に表示される印刷設定の項目には、さらに、汎用印刷プログラム41が対応できる印刷設定の項目が、含まれていてもよい。
【0042】
各項目には、補助プログラム42に現在設定されている設定値(以下「PC側現在値」とする)が表示されている。各項目は、複数の設定値を選択可能に表示したり、任意に入力したりできるようにして、設定値を変更できるようになっている。各項目には、汎用印刷プログラム41では設定できない設定値でも、プリンタ2が対応可能な設定値であれば、設定できる。
【0043】
例えば、詳細設定画面230には、蓄積印刷の一つであるセキュア印刷について、セキュア印刷を行わないことを示す「オフ」、または、セキュア印刷を行うことを示す「オン」、を選択できる。セキュア印刷とは、印刷ジョブにパスワードを付与し、プリンタ2にてそのパスワードが入力されたことを印刷条件として印刷を行う蓄積印刷である。詳細設定画面230には、セキュア印刷について「オン」が選択された場合、パスワードを入力するためのパスワード入力欄が表示される。これにより、補助プログラム42は、セキュア印刷を行う印刷設定を受け付ける場合にパスワードを受け付けることができる。なお、パスワードは「認証情報」の一例である。認証情報は、パスワードに限らず、PINなどでもよい。また、パスワード入力欄を詳細設定画面230に常時表示し、セキュア印刷に「オン」が設定された場合のみ、パスワード入力欄に入力されたパスワードを受け付けるようにしてもよい。
【0044】
詳細設定画面230には、設定ボタン232と、戻るボタン233と、システム管理ボタン234が表示されている。設定ボタン232は、印刷設定を確定する指示を受け付けるための操作子である。戻るボタン233は、印刷設定を確定せずに前の画面に戻る指示を受け付けるための操作子である。システム管理ボタン234は、プリンタ2のEWS21へのアクセスを指示するための操作子である。システム管理ボタン234は「操作子」の一例である。
【0045】
図2に戻り、詳細設定画面230を表示した補助プログラム42は、画面操作受付処理を行う(A22)。画面操作受付処理では、詳細設定画面230の操作をユーザIF13を介して受け付ける。画面操作受付処理について、
図6のフローチャートを参照して説明する。画像操作受付処理は、PC1のCPU11によって実行される。
【0046】
CPU11は、詳細設定画面230が操作されたか否かを判断する(S1)。CPU11は、詳細設定画面230に表示される操作子が操作されない場合、待機する(S1:NO)。
【0047】
CPU11は、例えば、
図5に示す詳細設定画面230に表示される何れかの項目について変更する操作を受け付けると(S3:YES)、その項目について設定値を変更し(S11)、S1に戻る。例えば、CPU11は、ユーザIF13を介して、詳細設定画面230のセキュア印刷の設定が「オン」から「オフ」に変更された場合、メモリ12に記憶されているセキュア印刷の設定を「オン」から「オフ」に変更する。この場合、パスワード入力欄が表示されなくなり、パスワードを受け付けなくなる。一方、CPU11は、ユーザIF13を介して、詳細設定画面230のセキュア印刷の設定が「オフ」から「オン」に変更された場合、メモリ12に記憶されているセキュア印刷の設定を「オフ」から「オン」に変更する。この場合、パスワード入力欄を表示する。
【0048】
CPU11は、
図5の詳細設定画面230に表示されるシステム管理ボタン234がユーザIF13を介して操作されると(S1:YES、S3:NO、S5:YES)、システム管理処理を実行する(S13)。システム管理処理は、プリンタ2の設定を管理する処理である。つまり、プリンタ2の設定を管理する処理である。システム管理処理について
図7のフローチャートを参照して説明する。システム管理処理は、PC1のCPU11によって実行される。
【0049】
CPU11は、印刷設定において印刷実行対象として選択されているプリンタ2に対応するURLを取得する(S21)。URLは、例えば、補助プログラム42をプリンタ2にインストールする際に、プリンタ2から自動入力してメモリ12の不揮発性領域に記憶することで取得してもよいし、ユーザIF13を介してユーザが手動入力してメモリ12の不揮発性メモリに記憶させることで取得してもよい。なお、URLが記憶されていなければ、S21においてURLの入力を要求してもよい。URLは、例えば、プリンタ2のIPアドレスである。
【0050】
CPU11は、ブラウザを起動し、S21にて取得したURLに基づいて、プリンタ2のEWS21のアドレスにアクセスする(S23)。EWS21は、システム管理に関するウェブページをPC1に提供する。CPU11は、EWS21によって提供されたウェブページを、ブラウザを開いて、ユーザIF13に表示させる(S25)。S25の処理は「ウェブページ表示処理」の一例である。CPU11は、ウェブページを閉じる指示を受け付けると(S27:YES)、ブラウザを終了させるとともに、EWS21との接続を切断し(S29)、システム管理処理を終了する。
【0051】
EWS21は、PC1のユーザIF13に表示されるウェブページを介して、PC1から、蓄積印刷の一つであるセキュア印刷を行うか否かを示す設定情報の変更を受け付ける。すなわち、EWS21は、ウェブページにて、セキュア印刷について設定もしくは変更する機能が選択されると、管理者用のパスワード入力を要求し、管理者の認証に成功すると、例えば
図8に示す設定情報変更受付画面240をユーザIF13に表示させる。
【0052】
設定情報変更受付画面240は、セキュア印刷を行うことを示す「オン」と、セキュア印刷を行わないことを示す「オフ」を排他的に選択するためのラジオボタンが設けられ、設定情報の変更を受け付ける。EWS21は、設定情報変更受付画面240に表示されるOKボタン242が操作されると、設定情報変更受付画面240の入力内容に基づいて、セキュア印刷を行うか否かの設定情報の変更を受け付ける。一方、EWS21は、設定情報変更受付画面240に表示されるキャンセルボタン243が操作されると、設定情報の変更を受け付けない。
【0053】
図6に戻り、CPU11は、システム管理処理が終了すると、S1の処理に戻る。CPU11は、
図5の詳細設定画面230に表示される設定ボタン232がユーザIF13を介して操作されると(S1:YES、S3:NO、S5:NO、S7:YES)、詳細設定画面230に表示される印刷設定を確定し(S15)、画面操作受付処理を終了する。確定した印刷設定は、例えば、補助プログラム42が使用できるメモリ12内の不揮発性領域に記憶されている既存の印刷設定に上書きされる。これにより、確定された印刷設定の各値を、次回の詳細な印刷設定を行う場合にPC側現在値として表示できる。なお、確定した印刷設定はメモリ12の揮発性領域に記憶されてもよい。
【0054】
なお、CPU11は、
図5の詳細設定画面230に表示される戻るボタン233がユーザIF13を介して操作されると(S1:YES、S3:NO、S5:NO、S7:NO、S9:YES)、画面操作受付処理を終了する。また、CPU11は、各項目の変更操作及びボタン232~234の操作と異なる操作があった場合(S1:YES、S3:NO、S5:NO、S7:NO、S9:NO)、その他処理を実行し(S17)、画面操作受付処理を終了する。
【0055】
補助プログラム42は、画面操作受付処理を終了すると、詳細設定画面230を閉じ、汎用印刷プログラム41に終了通知を渡す。このとき、補助プログラム42は詳細設定画面230を介して受け付けた印刷設定を、汎用印刷プログラム41に渡す。汎用印刷プログラム41は、編集アプリ43に終了通知と、補助プログラム42から受け取った印刷設定と、を渡す。
【0056】
図2に示すように、編集アプリ43は、印刷画面にてユーザによる印刷実行指示を受け付けると(A61)、印刷指示を汎用印刷プログラム41に渡す(A62)。汎用印刷プログラム41は、印刷指示にて、印刷対象となる画像データを示す情報と、印刷設定を示す情報と、を取得する。印刷設定には、詳細設定画面230を介して受け付けた印刷設定が含まれる。
【0057】
汎用印刷プログラム41は、受け取った印刷指示に含まれる画像データの形式を中間画像データの形式に変換することで中間画像データを生成し(A63)、中間画像データを含む印刷ジョブを生成する。編集アプリ43に含まれる画像データは種々のタイプのものであり、汎用印刷プログラム41は、受け取った画像データを、印刷データの生成に適した中間画像データに変換する。なお、印刷指示に含まれる画像データが印刷データの生成に適したデータであれば、中間画像データの生成を省略し、そのまま中間画像データとしても良い。中間画像データは、例えば、XPSデータである。
【0058】
汎用印刷プログラム41は、さらに、補助プログラム42に実行指示を出力し(A64)、補助プログラム42を動作させる。実行指示では、生成された中間画像データと印刷設定の情報とが補助プログラム42に渡される。印刷設定には、詳細設定画面230を介して受け付けた印刷設定が含まれる。
【0059】
補助プログラム42は、汎用印刷プログラム41から受け取った実行指示に基づいて、設定情報の送信を通信IF14を介してプリンタ2に要求する(A71)。プリンタ2は、EWS21にて管理されている設定情報を取得し(A72)、取得した設定情報をPC1に対して応答する。補助プログラム42は、通信IF14を介して設定情報を受信することで、設定情報をプリンタ2から取得する(A73)。A71~A73の処理は「取得処理」の一例である。プリンタ2は「外部デバイス」の一例である。
【0060】
補助プログラム42は、送信制限判定処理を行う(A81)。送信制限判定処理は、印刷ジョブの送信を制限するか否かを判定する処理である。送信制限判定処理について
図9のフローチャートを参照して説明する。送信制限判定処理は、PC1のCPU11により実行される。
【0061】
CPU11は、汎用印刷プログラムから受け取った中間画像データに基づいて印刷ジョブの印刷量を特定し、特定した印刷ジョブの印刷量が、
図2のA23にてプリンタ2から取得した印刷可能量を超えているか否かを判断する(S411)。CPU11は、印刷ジョブの印刷量が印刷可能量を超えない場合(S41:NO)、「制限しない」と判定し(S43)、送信制限判定処理を終了する。これに対して、CPU11は、印刷ジョブの印刷量が印刷可能量を超える場合(S41:YES)、「制限する」と判定し(S45)、送信制限判定処理を終了する。
【0062】
図3に示すA81の後、補助プログラム42は、A81の送信制限判定処理にて「制限する」と判定した場合、制限報知を行う(A91)。例えば、補助プログラム42は、
図4(D)に示すように、「印刷枚数が印刷可能枚数を超えるため、画像を全て印刷できません。」とのメッセージ300Dを、ユーザIF13に表示させる。A91の処理は「報知処理」の一例である。メッセージ300Dは「報知情報」の一例である。補助プログラム42は、メッセージ300Aに表示されているOKボタンの操作をユーザIF13を介して受け付けると、印刷をキャンセルする(A92)。これにより、印刷を指示された画像データを全て印刷できない状態で印刷ジョブをプリンタ2に送信することを回避する。A92の処理は「制限処理」の一例である。
【0063】
なお、例えば、メッセージ300Dに、印刷ジョブの印刷量(印刷枚数)の変更を受け付けるボタンを設けてもよい。この場合、A91の処理では、印刷を中断し、印刷枚数あるいは印刷範囲を変更するなどして、印刷ジョブの印刷量の変更を受け付けることで、印刷ジョブの送信を制限してもよい。
【0064】
補助プログラム42は、A81の送信制限判定処理にて「制限しない」と判定した場合、印刷データ生成処理を実行する(A101)。印刷データ生成処理について
図10のフローチャートを参照して説明する。印刷データ生成処理はPC1のCPU11により実行される。
【0065】
CPU11は、
図2のA73にて取得した設定情報が、セキュア印刷を行うことを示す「オン」であるか否かを判断する(S71)。CPU11は、設定情報が「オン」である場合(S71:YES)、印刷ジョブの印刷設定に含まれるセキュア印刷について「オン」を設定する(S73)。これにより、印刷ジョブで指示されるセキュア印刷の設定が、プリンタ2の設定情報と整合する。S73の処理は「設定処理」の一例である。
【0066】
CPU11は、S73の処理にて、セキュア印刷の設定を「オフ」から「オン」に変更したか否かを判断する(S75)。セキュア印刷では、印刷条件となるパスワードが必要である。しかし、詳細設定画面230を介して受け付けたセキュア印刷の設定が「オフ」である場合、印刷ジョブの印刷設定にパスワードが含まれていない。そこで、CPU11は、セキュア印刷の設定を「オフ」から「オン」に変更した場合(S75:YES)、パスワードの入力を受け付けるパスワード入力画面をユーザIF13に表示させる(S77)。CPU11は、パスワード入力画面を介してパスワードを受け付けるまで待機する(S79:NO)。
【0067】
CPU11は、パスワード入力画面に入力されたパスワードを受け付けると(S79:YES)、そのパスワードを印刷ジョブに付加し(S81)、S83の処理に進む。S77~S81の処理は「認証設定処理」の一例である。
【0068】
一方、CPU11は、S73の処理にて、セキュア印刷の設定を「オフ」から「オン」に変更しなかった場合(S75:NO)、S77~S81の処理をスキップし、S83の処理に進む。詳細設定画面230にてパスワードを受け付けており、印刷ジョブに含まれる印刷設定にパスワードが含まれているためである。
【0069】
一方、CPU11は、設定情報がセキュア印刷を行わないことを示す「オフ」である場合(S71:NO)、印刷ジョブの印刷設定に含まれるセキュア印刷について「オフ」を設定し(S87)、S83に進む。なお、S87の処理では、詳細設定画面230に設定されたセキュア印刷の設定に従うようにしてもよい。つまり、S87の処理はなくてもよい。例えば、設定情報が「オフ」であるのに対して、ユーザが詳細設定画面230のセキュア印刷に「オン」を設定した場合、ユーザが詳細設定画面230に入力したユーザ設定(「オン」)を設定情報(「オフ」)より優先させてもよい。
【0070】
S83に進んだCPU11は、ジョブ識別情報およびユーザ情報を印刷ジョブに付加し、S85の処理に進む。これにより、プリンタ2に複数の印刷ジョブが蓄積されている場合でも、ジョブ識別情報に基づいて特定の印刷ジョブを選択して印刷できるようになる。また、PC1やPC3などの複数の情報処理装置から送信された印刷ジョブがプリンタ2に蓄積されている場合でも、ユーザ情報に基づいて特定のログインユーザについて印刷ジョブを抽出し、印刷したり、蓄積情報を提供したりすることができるようになる。
【0071】
S85に進んだCPU11は、汎用印刷プログラム41から受け取った中間画像データに基づいてラスタライズを実行し、印刷データを生成する。その後、CPU11は、印刷データ生成処理を終了する。印刷データは、プリンタ2にて印刷に使用できる形式のデータであり、例えば、プリンタ2のモデルに専用のPDLデータである。補助プログラム42は、中間画像データから印刷データを生成する際に、画像に加工が施される項目の設定に従って印刷画像を加工してもよい。
【0072】
このように、プリンタ2に対応する補助プログラム42にてラスタライズすることで、汎用印刷プログラム41にてラスタライズする場合に比較して自由度が大きく、プリンタ2での印刷に適した印刷データが生成される可能性が高い。なお、補助プログラム42によって生成される印刷データは、プリンタ2のモデル以外のプリンタでの印刷にも使用できる形式のデータであっても良い。
【0073】
補助プログラム42が印刷データを生成する代わりに、汎用印刷プログラム41が印刷データの生成を行っても良い。つまり、補助プログラム42は、印刷を実行すると判定した場合、汎用印刷プログラム41に印刷実行の情報を渡しても良い。その場合、汎用印刷プログラム41は、A63にて生成した中間画像データをラスタライズして印刷データを生成する。そして、汎用印刷プログラム41は、生成した印刷データを補助プログラム42に渡す。
【0074】
汎用印刷プログラム41によって生成される印刷データは、各種のプリンタにて印刷に使用できる形式の印刷データであり、例えば、PWGRasterデータ、または、PDFデータである。汎用印刷プログラム41によってラスタライズするとすれば、補助プログラム42の処理が少なく、処理時間増大の回避が見込まれ、また、補助プログラム42のプログラムサイズが抑えられる。
【0075】
図3に戻り、補助プログラム42は、A101の印刷データ生成処理にて生成した印刷データを、印刷の実行を指示する印刷コマンドとともにプリンタ2に送信する(A102)。また、補助プログラム42は、汎用印刷プログラム41から印刷データを受け取った場合、汎用印刷プログラム41から受け取った印刷データに、パスワードやジョブ識別情報やユーザ情報を対応付け、印刷の実行を指示する印刷コマンドとともにプリンタ2に送信する。A102の処理は「送信処理」の一例である。印刷データと印刷コマンドとを受信したプリンタ2は、印刷ジョブに含まれるセキュア印刷に「オン」が設定されているので、印刷ジョブに含まれる画像データを自装置の不揮発性メモリに記憶し、印刷ジョブを蓄積する(A103)。プリンタ2は、印刷ジョブの蓄積が完了すると、蓄積完了通知をPC1に送信する。
【0076】
補助プログラム42は、通信IF14を介して蓄積完了通知を受信すると(A104)、例えば「蓄積が完了しました。印刷して下さい。」など、プリンタ2に蓄積した印刷ジョブの印刷を促すメッセージをユーザIF13に表示させることで、蓄積完了報知を行う(A105)。これにより、ユーザが印刷物を取り忘れる可能性が低くなる。なお、その蓄積完了を報知するメッセージは、補助プログラム42がプリンタ2から印刷完了通知を受信した場合に消去してもよいし、一定時間表示したら消去してもよいし、ユーザ操作により消去してもよい。なお、A104の処理は「蓄積情報取得処理」の一例であり、A105の処理は「報知処理」の一例である。
【0077】
プリンタ2は、ユーザが操作パネルに入力した印刷ジョブの選択およびパスワードを受け付けると(A111)、印刷条件を満たすか否かを判断する(A112)。プリンタ2は、選択された印刷ジョブからパスワードを取得し、受け付けたパスワードがその取得したパスワードと一致する場合、印刷条件を満たすと判断する。この場合、プリンタ2は、印刷を実行する(A121)。一方、プリンタ2は、例えば、受け付けたパスワードが選択された印刷ジョブから取得したパスワードと一致しない場合、印刷条件を満たさないと判断する。この場合、プリンタ2は、印刷を実行しない(A131)。
【0078】
なお、プリンタ2への印刷データ等の送信は、汎用印刷プログラム41が行っても良い。つまり、補助プログラム42は、生成した印刷データを、プリンタ2を送信先としてPC1から送信されるように、汎用印刷プログラム41に渡しても良い。汎用印刷プログラム41は、補助プログラム42から受け取った印刷データをプリンタ2に送信する。
【0079】
以上、詳細に説明したように、本形態の補助プログラム42によれば、セキュア印刷を実行するか否かを示す設定情報をプリンタ2から取得し、その取得した設定情報がセキュア印刷を実行することを示す場合、つまり、設定情報が「オン」である場合、印刷ジョブについてセキュア印刷を行う設定に自動的にする。これにより、これにより、PC1においてセキュア印刷を行う設定にする操作を行わなくても、補助プログラム42が印刷ジョブについて強制的にセキュア印刷を行う設定にする。よって、プリンタ2に接続するPC1、PC3に補助プログラムを組み込むことで、セキュア印刷を行うか否かの設定をPC1,PC2間で共通化し、システム全体で統一したセキュア印刷の運用が可能になる。
【0080】
また、本形態では、プリンタ2において、プリンタ2でのセキュア印刷を行うことを管理できるので、印刷システム100におけるセキュア印刷の運用管理が容易になる。また、PC1においてセキュア印刷を行う設定にする操作を行わなくても、設定情報がセキュア印刷を行うことを示す「オン」であれば、補助プログラム42が強制的に印刷ジョブに含まれるセキュア印刷を行う設定にするため、ユーザがプリンタ2の設定情報に従ってセキュア印刷の設定を行う手間が少なくなる。
【0081】
また、本形態では、プリンタ2がセキュア印刷に対応しており、印刷ジョブの印刷設定にセキュア印刷の印刷条件となるパスワードを含める。よって、本形態では、PC1やPC3などのシステム内の情報処理装置にセキュア印刷を統一して行わせることができる。特に、本形態では、設定情報に基づいて、印刷設定のセキュア印刷を「オフ」から「オン」に変更した場合に、パスワードを受け付け、印刷ジョブに付加するので、セキュア印刷を適切に実行することができる。
【0082】
なお、本明細書に開示される実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本明細書に開示される技術は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、PC1に接続される装置は、プリンタに限らず、複合機、複写機、FAX装置、等印刷機能を有する装置であればよい。また、PC1に接続されるプリンタの数は、図示の例に限らず、2台以上でも良い。
【0083】
例えば、
図2のA61~A64、A71~73に示すように、印刷指示の度に設定情報をプリンタ2から取得したが、設定情報は、プリンタ2の起動時や、詳細な印刷設定を行う時に、取得してもよい。また、設定情報の取得は、ユーザの指示に応じて実行してもよい。また、補助プログラム42は、取得した設定情報をメモリ12の不揮発性領域に記憶することでキャッシュし、次回からはそのキャッシュを読み出すことで、プリンタ2との通信回数を減らしてもよい。
【0084】
例えば、
図4に示すメッセージ300A~300Dを含む報知画面や、
図5に示す詳細設定画230や、
図8に示す設定情報変更受付画面240はいずれも一例であり、これに限らない。
【0085】
例えば、設定情報は、プリンタ2のEWS21で管理せず、プリンタ2を管理する管理サーバで管理してもよい。この場合、補助プログラム42は、プリンタ2を特定するプリンタ特定情報を受け付け、そのプリンタ特定情報を付して管理サーバに設定情報の送信を要求する。管理サーバは、プリンタ特定情報に対応する設定情報を抽出し、応答する。補助プログラム42は、管理サーバから送信された設定情報を受信することで、設定情報を取得する。この場合、管理サーバは「外部デバイス」の一例である。ただし、プリンタ2が設定情報を管理しており、補助プログラム42が設定情報をプリンタ2から取得することで、プリンタ2ごとにそのプリンタ2に印刷を行わせる印刷ジョブについて蓄積印刷を行う設定に自動的にすることで、管理情報の取得にかかる手間を軽減できる。また、設定情報を管理するための管理サーバ等を設ける必要が無い。さらに、プリンタ2に記憶されている設定情報をEWS21で管理し、PC1にてEWS21のウェブページから設定情報を変更できることで、蓄積印刷を行うか否かの設定情報の管理が容易になる。
【0086】
例えば、補助プログラム42は、プリンタ2が算出した印刷可能枚数を、プリンタ2から蓄積情報として取得した。これに対して、補助プログラム42は、プリンタ2から最大可能枚数を取得し、取得した最大可能枚数と、プリンタ2から取得した蓄積情報とに基づいて、印刷可能枚数を算出してもよい。
【0087】
例えば、
図2のA11~A13、A71~A73に示すように、蓄積情報と設定情報を取得するタイミングが異なるが、設定情報と蓄積情報をプリンタ2から同じタイミングで取得してもよい。例えば、
図2のA11~A14の処理は省略してもよい。
【0088】
例えば、
図2のA81に示す送信制限判定処理を省略し、印刷ジョブの印刷量が蓄積情報に基づく印刷可能量を超えても、印刷ジョブをプリンタ2に送信してもよい。ただし、補助プログラム42が、印刷ジョブの印刷量が蓄積情報に基づく印刷可能量を超える場合に、印刷ジョブの送信を制限することで、無駄な通信を回避できる。
【0089】
例えば、蓄積印刷には複数種類があり、セキュア印刷の他、パスワードの入力が必要ない蓄積印刷もある。パスワードの入力が必要ない蓄積印刷としては、印刷指示の入力のみを印刷条件とする基本的な蓄積印刷がある。また、パスワードの入力が必要ない蓄積印刷としては、例えば、セキュア機能ロックがある。セキュア機能ロックとは、ユーザがプリンタにユーザ情報を入力してログインしたことを印刷条件として印刷を行う蓄積印刷である。上記実施形態では、プリンタ2が対応する蓄積印刷をセキュア印刷に限定して説明したが、プリンタ2は、セキュア機能ロックに対応していてもよい。この場合、補助プログラム42は、
図5に示す詳細設定画面230にてパスワード入力欄を表示せず、蓄積印刷の設定が「オン」に設定された場合にパスワードを受け付けなくてもよいし、
図10のSS75~S81の処理を省略してもよい。また、
図8の設定情報変更受付画面240では、セキュア機能ロックの設定を受け付けるようにしてもよい。さらに、プリンタ2および補助プログラム42は、基本的な蓄積印刷と、セキュア印刷と、セキュア機能ロックとを1種類もしくは複数選択して使用できるようにしてもよい。この場合、蓄積印刷の種類に関する情報を設定情報に含め、補助プログラム42がその設定情報をプリンタ2から取得し、取得した蓄積種類に応じてパスワードの要求や送信等を行ってもよい。
【0090】
上記実施形態では、補助プログラム42の動作として、印刷動作のみを詳細に記載しているが、補助プログラム42は、さらに他の役割を有していても良い。また、本形態の処理を実行するプログラムは、補助プログラム42に限らず、汎用印刷プログラム41を用いた印刷を行う際に、OS21または汎用印刷プログラム41から指示を受け付けるプログラムであればよい。例えば、マイクロソフト社が仕様公開した印刷ワークフロー アプリ(Print workflow)でも良い。
【0091】
また、補助プログラム42の実行タイミングは、実施の形態の例に限らない。例えば、OS21から直接実行指示されて実行されても良く、または、常駐される補助プログラム42であっても良い。常駐される場合には、補助プログラム42は、実行命令を受けて前述した動作を行うとすれば良い。
【0092】
また、実施の形態に開示されている任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。
【0093】
また、実施の形態に開示されている処理は、単一のCPU、複数のCPU、ASICなどのハードウェア、またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 PC
2 プリンタ
11 CPU
13 ユーザIF
100 印刷システム