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特開2022-149126サプライチェーンリスク情報生成装置及びサプライチェーンリスク情報生成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149126
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】サプライチェーンリスク情報生成装置及びサプライチェーンリスク情報生成システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20220929BHJP
【FI】
G06Q10/06 326
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051124
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】301063496
【氏名又は名称】東芝デジタルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】彭 飛
(72)【発明者】
【氏名】浅野 豊
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸口 達也
(72)【発明者】
【氏名】山田 敏喜
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA20
(57)【要約】
【課題】サプライチェーンにおける供給リスクを容易に把握することができるサプライチェーンリスク情報生成装置を提供する。
【解決手段】
サプライチェーンリスク情報生成装置としてのサーバ2は、サプライチェーンに含まれる複数のサプライヤーについてのサプライヤー毎の重複度を算出し、算出された重複度を、サプライチェーンリスク情報として生成する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サプライチェーンに含まれる複数のサプライヤーについてのサプライヤー毎の重複度を算出する重複度算出部と、
算出された前記重複度を、サプライチェーンリスク情報として生成する情報生成部と、
を有する、サプライチェーンリスク情報生成装置。
【請求項2】
前記重複度は、納入品に関わる前記サプライチェーンの複数の階層に含まれる各サプライヤーのサプライヤー情報を含むサプライチェーン情報から算出される、請求項1に記載のサプライチェーンリスク情報生成装置。
【請求項3】
前記重複度は、前記サプライチェーン情報中の、前記階層毎に含まれる各サプライヤー情報のカウント値又は前記カウント値に基づいて算出された値である、請求項2に記載のサプライチェーンリスク情報生成装置。
【請求項4】
前記情報生成部は、前記重複度と、各サプライヤーの取引先リスク度とを含む前記サプライチェーンリスク情報を生成する、請求項1に記載のサプライチェーンリスク情報生成装置。
【請求項5】
前記サプライチェーンリスク情報を出力する情報出力部をさらに有する、請求項1に記載のサプライチェーンリスク情報生成装置。
【請求項6】
前記情報生成部は、前記サプライチェーンリスク情報として、前記サプライヤー毎の前記重複度と前記取引先リスク度とを含む表形式データを生成する、請求項5に記載のサプライチェーンリスク情報生成装置。
【請求項7】
前記情報生成部は、前記サプライチェーンリスク情報として、第1軸が前記重複度であり、第2軸が前記取引先リスク度である2次元散布図データを生成する、請求項5に記載のサプライチェーンリスク情報生成装置。
【請求項8】
前記情報生成部は、前記サプライチェーンリスク情報として、前記重複度と前記取引先リスク度の両方を加味した一次元散布図データを生成する、請求項5に記載のサプライチェーンリスク情報生成装置。
【請求項9】
前記情報生成部は、前記サプライチェーンリスク情報として、前記サプライチェーンにおける前記サプライヤー間の繋がりを示すグラフデータを生成する、請求項5に記載のサプライチェーンリスク情報生成装置。
【請求項10】
前記サプライチェーン情報は、各サプライヤーの位置情報を含み、
前記情報生成部は、前記サプライチェーンリスク情報として、前記重複度、前記リスク度、又は前記重複度と前記リスク度の両方、に関わるマークを、前記位置情報に基づいて地図上に前記サプライヤー毎に示した地図データを生成する、請求項5に記載のサプライチェーンリスク情報生成装置。
【請求項11】
前記情報生成部は、過去の災害の発生情報に基づく前記過去の災害の発生場所が含まれた前記地図データを生成して出力する、請求項10に記載のサプライチェーンリスク情報生成装置。
【請求項12】
前記重複度、各サプライヤーの取引先リスク度、又は前記重複度と前記取引先リスク度の両方に基づいて、保険評価あるいは金融評価のための係数又評価値を補正する補正部を有する、請求項1に記載のサプライチェーンリスク情報生成装置。
【請求項13】
端末と、
前記端末とネットワークを介して接続されたサプライチェーンリスク情報生成装置と、
を含み、
前記サプライチェーンリスク情報生成装置は、
サプライチェーンに含まれる複数のサプライヤーについてのサプライヤー毎の重複度を、算出する重複度算出部と、
算出された前記重複度を、サプライチェーンリスク情報として生成する情報生成部と、
を有し、
前記サプライチェーンリスク情報生成装置は、前記ネットワークを介する前記端末からの要求に応じて、前記ネットワークを介して前記サプライチェーンリスク情報を前記端末へ送信する、
サプライチェーンリスク情報生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、サプライチェーンリスク情報生成装置及びサプライチェーンリスク情報生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
サプライチェーン管理(SCM)システムが広く利用されている。サプライチェーンは、部品の調達などの流れを1つの供給のチェーンとして捉えたものである。サプライチェーンでは、購買者(バイヤー)と販売者(サプライヤー)の関係が規定される。SCMシステムは、サプライチェーンにおける部品などの製品の供給を管理する。
【0003】
サプライチェーンは、地震、火災、悪天候、人災などにより途絶されるリスクを含むため、そのリスクに対するサプライチェーンの安定性の評価についての各種提案がされている。
【0004】
しかし、災害が発生すると、複数のサプライヤーが影響を受け、バイヤーは、複数の納入品の供給に影響を受ける場合がある。災害発生時にあるいは災害の発生の事前準備において、バイヤーは、SCMシステムにより納入品毎のサプライチェーンの状態を把握することができても、複数の納入品に亘る納入品の供給リスクの把握は容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-115016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本実施形態は、サプライチェーンにおける供給リスクを容易に把握することができるサプライチェーンリスク情報生成装置及びサプライチェーンリスク情報生成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のサプライチェーンリスク情報生成装置は、サプライチェーンに含まれる複数のサプライヤーについてのサプライヤー毎の重複度を算出する重複度算出部と、算出された前記重複度を、サプライチェーンリスク情報として生成する情報生成部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態のサプライチェーン管理システムの構成図である。
図2】実施形態に係わるサプライチェーンを説明するための模式図である。
図3】実施形態に係わる、サーバにおいて実行されるプログラム及びデータの構成を示すブロック図である。
図4】実施形態に係わる、あるバイヤーについてのサプライチェーン情報の例である。
図5】実施形態に係わる、サプライチェーンリスク情報を生成し出力するサプライチェーンリスク情報処理部のブロック図である。
図6】実施形態のリスクデータ生成部の処理のフローチャートである。
図7】実施形態のサプライチェーンリスク情報の表示例である。
図8】実施形態の変形例1に係わる、サプライチェーンリスク情報の表示例を示す図である。
図9】実施形態の変形例2に係わる、サプライチェーンリスク情報の表示例を示す図である。
図10】実施形態の変形例4に係わる、サプライチェーンリスク情報の表示例を示す図である。
図11】実施形態の変形例4に係わる、サプライチェーンリスク情報の他の表示例を示す図である。
図12】実施形態の変形例6に係わる、サプライチェーンリスク情報の表示例を示す図である。
図13】実施形態の変形例7に係わる、サプライチェーンリスク情報の表示例を示す図である。
図14】実施形態に係わる、保険契約の種別毎に各種変数に対する係数の例を示す図である。
図15】実施形態に係わる、保険評価のための係数又評価値を補正する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
(システム構成)
【0010】
図1は、本実施形態に係わるサプライチェーン管理システムの構成図である。サプライチェーン管理システム1は、サプライチェーンリスク管理装置としてのサーバ2と、複数のバイヤー用の複数の端末3と、複数のサプライヤー用の複数の端末4と、通信用のネットワーク5を含む。
【0011】
サーバ2と複数の端末3,4は、ネットワーク5を介して互いに通信可能に接続されている。ネットワーク5は、ここではインターネットである。各端末3,4は、入力装置と、表示装置3aとを有する。入力装置は、キーボード、マウスなどであり、表示装置3aは、モニタである。なお、図1では、1つの端末3にのみ表示装置3aを示している。
【0012】
サーバ2は、プロセッサ11と記憶装置12を有する。記憶装置12は、後述するサプライチェーン管理システムのための各種ソフトウエアプログラムを記憶すると共に、各種情報を記憶する。
【0013】
プロセッサ11が、記憶装置12から必要なプログラムを読み出し実行することにより、サプライチェーン管理システムの各種機能、及び後述する供給リスク把握のための機能が実現される。
【0014】
サプライチェーン管理システム1は、複数のバイヤーと複数のサプライヤーが、各々の購入あるいは供給する部品などの製品のサプライチェーンを管理するためのシステムである。そして、後述するように、サーバ2は、ネットワーク5を介する端末3,4からの要求に応じて、ネットワーク5を介してサプライチェーンリスク情報を端末3,4へ送信することができる。
【0015】
各バイヤーは、サプライチェーン管理システム1を利用して、自己のサプライチェーンの管理を行うことができる。そのため、各バイヤーは、自己の端末3から、サーバ2にアクセスして、自己のサプライチェーン情報(図4)を登録することができる。各バイヤーは、自己のサプライチェーン情報を全て登録してもよいし、各サプライヤーが自己のサプライチェーン情報を登録してもよいし、一次サプライヤーが、二次以降のサプライヤー情報を登録してもよい。
【0016】
また、各バイヤーは、自己の端末3から、サーバ2にアクセスして、各サプライヤーについての情報(取引先基本情報(取引先リスク情報RIを含む)を登録することができる。
【0017】
各バイヤー及び各サプライヤーは、自己の端末3,4を利用して、ネットワーク5経由でサーバ2へアクセスすると、ブラウザを利用した画面により、データの入力、表示、出力をすることができる。なお、各端末3,4からサーバ2へのアクセスは、各種認証を経て可能となる。
【0018】
図2は、サプライチェーンを説明するための模式図である。図2は、部品X,Yについてのサプライチェーンの例を示す。図2は、あるバイヤーが、部品Xを、サプライヤーAから購入し、部品Yを、サプライヤーDから購入して、自社の製品を製造販売としている場合を示している。この場合、サプライヤーA、Dは、それぞれ部品X、Yの一次サプライヤーである。
【0019】
しかし、サプライヤーA、Dは、それぞれ、部品X,Yを製造し販売するために、サプライヤーB,Eから部品x1,y1を購入している。さらに、サプライヤーB,Eは、それぞれ、部品x1,y1を製造し販売するために、サプライヤーC,Fから部品x2,y2を購入している。さらに、サプライヤーC,Fは、それぞれ、部品x2,y2を製造し販売するために、他のサプライヤーから部品x3,y3を購入している。すなわち、サプライチェーンは、複数の階層を含む。よって、各サプライヤーは、バイヤーでもあり得る。
【0020】
なお、図2において点線で示すように、サプライチェーンは、複数のサプライヤーに分岐する場合もある。例えば、バイヤーは、部品Xに関し、2つのサプライヤーから部品の供給を受けている場合もあり得るし、サプライヤーDも、2つのサプライヤーから部品の供給を受けている場合もあり得る。
【0021】
図3は、サーバ2において実行されるプログラム及びデータの構成を示すブロック図である。サーバ2は、SRM(Supplier Relationship Management)によるバイヤーとサプライヤー間の業務を管理するソフトウエアプログラムを有する。サプライチェーン管理システム1は、SRMのためのソフトウエアプログラムを記憶装置12に格納している。
【0022】
図3では、サプライチェーン管理におけるSRMのための、調達分析部、BCP(ビジネス継続プランニング)管理部、汎用文書交換部、電子見積部、ワークフロー管理部、ドキュメント管理部、取引先基本情報部、リスクデータ生成部、データ変換部が示されているが、他にも各種処理部を有する。さらに、サプライチェーン管理システム1へのアクセス管理のためのポータルプログラムも有している。図3において、バイヤー用ポータルは、バイヤーがサーバ2にアクセスするための処理部であり、各種認証処理を行う。適切に認証されると、バイヤーは、サーバ2を使用することができる。サプライヤー用ポータルは、サプライヤーがサーバ2にアクセスするための処理部であり、各種認証処理を行う。適切に認証されると、サプライヤーは、サーバ2を使用することができる。
【0023】
調達分析部、BCP管理部等は、ソフトウエアプログラムとして記憶装置12に記憶され、必要なときに読み出されて、プロセッサ11により実行可能となっている。
【0024】
調達分析部は、各バイヤーについての、サプライヤーへの調達に関する分析を行う。調達分析部は、例えば、見積履歴情報ERIに基づき、自己に関わる各サプライヤーに関する見積件数、見積結果、各種評価などの分析レポートを生成することができる。
【0025】
BCP管理部は、サプライチェーンを構成する各サプライヤーの拠点の緯度/経度の情報を収集し、災害などの有事の際に影響範囲内に存在する拠点の特定などを行う。
【0026】
汎用文書交換部は、バイヤーとサプライヤー間で文書交換を行う。
【0027】
電子見積部は、サプライヤーへの見積依頼とサプライヤーからの見積回答の管理を行う。バイヤーは、電子見積部を用いて、1以上のサプライヤーへ製品/部品の見積依頼をすることができる。見積依頼は、その1以上のサプライヤーへ送信され、サプライヤーは、バイヤーへ見積を送信できる。
【0028】
ワークフロー管理部は、バイヤーとサプライヤー間での各種処理のワークフロー管理を行う。
【0029】
ドキュメント管理部は、バイヤーが作成したドキュメント、サプライヤーから受信したドキュメントなどの管理を行う。
【0030】
取引先基本情報部は、一次サプライヤーなどについての基本的な情報(資本金、社長、取引先リスク情報RI、等々)を、取引先情報BAIとして、記憶装置12に登録し管理する。バイヤーが全てのサプライヤーについての情報を登録できない場合、一次サプライヤーが、二次以下のサプライヤーについての基本的な情報を登録できるようにしてもよい。
【0031】
取引先情報に含まれる取引先リスク情報RIは、サプライヤーにおける災害対策などについての数値化されたリスク度rを含む。リスク度rは、所定の評価基準に基づいて数値化された値である。例えば、リスク度rは、4段階のレベルを有する。レベル1は、最もリスク度rが低く、例えば、災害対策が十分にとられている、製品在庫が十分に確保されている場合である。レベル4は、最もリスク度rが高く、例えば、災害対策が不十分な場合である。例えば、バイヤーが、各サプライヤーにヒアリングして、所定の評価基準に基づいてレベルを決定する。例えば、二次以下のサプライヤーのリスク度rは、一次サプライヤーが決定する。
【0032】
リスクデータ生成部RIGは、後述するサプライチェーンリスク情報SCR(例えば図7)を生成する。サプライチェーンリスク情報SCRは、サプライチェーンにおける納入品の供給リスクを把握するための情報である。なお、リスクデータ生成部は、BCP(ビジネス継続プランニング)管理部に含まれていてもよい。
【0033】
データ変換部DTは、後述する保険等の関連のデータの変換を行う。
【0034】
サーバ2の記憶装置12には、ソフトウエアプログラム以外に、各種情報も記憶されている。図3では、取引先情報BAI、サプライチェーン情報SCI、見積履歴情報ERI、保険関連情報ISIのみが示されている。
【0035】
取引先情報BAIは、上述したように一次サプライヤーなどについての基本的な情報(資本金、社長、取引先リスク情報RI、等々である。
【0036】
サプライチェーン情報SCIは、サプライチェーンにおける納入品(部品、製品など)毎の、一次サプライヤー、二次サプライヤー、三次サプライヤーなどの拠点情報である。一次サプライヤー、二次サプライヤー、三次サプライヤーなどの拠点情報が、登録されている。各拠点情報は、拠点名と位置情報を含む。各拠点は、下請け会社などの工場のある場所である。位置情報は、緯度/経度の情報を含む。二次サプライヤー、三次サプライヤーなどについての拠点情報は、一次サプライヤーにより登録される。
【0037】
見積履歴情報ERIは、見積依頼、見積結果などの情報である。保険関連情報ISIは、後述する保険関連のデータの補正を行う場合に用いられる情報である。
【0038】
図4は、あるバイヤーについてのサプライチェーン情報SCIの例である。図4のサプライチェーン情報SCIは、テーブル形式のデータ(TBL1)である。
【0039】
サプライチェーン情報SCIは、納入品毎の、一次サプライヤー、二次サプライヤー、三次サプライヤーなどの拠点情報を含むテーブル形式のデータである。上述したように、拠点情報は、拠点名と位置情報(緯度/経度の情報)が含まれる。例えば、サプライチェーン情報SCIは、一次から五次サプライヤーまで登録可能である。
【0040】
例えば、テーブルTBL1の1行目には、納入品「X」を納入する「取引先名」として、「AAA」が登録されている。すなわち、「AAA」は、納入品「X」の一次サプライヤーである。納入品「X」の一次サプライヤー情報として、拠点名「AAA-1」(例えばAAAの一工場名)と、その「AAA-1」の場所の「位置情報」(緯度/経度の情報)とが、テーブルTBL1に登録されている。
【0041】
その一次サプライヤーの拠点「AAA-1」の二次サプライヤー情報として、拠点名「AAA-2」(例えばAAAの他の一工場)と、拠点名「AAA-2」の場所の「位置情報」(緯度/経度の情報)が、テーブルTBL1に登録されている。
【0042】
その二次サプライヤー「AAA-2」の三次サプライヤー情報として、拠点名「BBB-3」(例えば会社AAAとは異なる他の会社BBBの一工場)と、拠点名「BBB-3」の場所の「位置情報」(緯度/経度の情報)が、テーブルTBL1に登録されている。
【0043】
このように、1つの納入品「X」について、サプライチェーンを構成する複数のサプライヤー情報が、サプライチェーン情報として、テーブルTBL1に登録される。
【0044】
四次サプライヤー及び五次サプライヤーがあれば、同様に、サプライヤー情報がテーブルTBL1に登録される。
【0045】
他の納入品「Y」、「Z」などについてのサプライチェーン情報も、同様に、テーブルTBL1に登録される。
【0046】
図4に示された納入品「X」から「V」についてだけ見ると、バイヤーのサプライチェーンにおいて、拠点「BBB-3」が最も多くの納入品に関わっている。拠点「AAA-1」と拠点「CCC-1」が、拠点「BBB-3」の次に多くの納入品に関わっている。
【0047】
各バイヤーは、自己のサプライチェーンについて、上述したサプライチェーン情報を、テーブルTBL1に登録する。よって、記憶装置12には、バイヤー毎のサプライチェーン情報が記憶される。
【0048】
バイヤーは、自己のサプライチェーン情報SCIを、自己の端末3から登録可能であり、自分で登録したサプライチェーン情報SCIを、自己の端末3の表示装置3aの画面上に表示可能である。
【0049】
また、サプライチェーン情報SCIに含まれる「位置情報」(緯度/経度の情報)は、災害の発生時に、災害の発生地点から所定の距離内の拠点を抽出する場合などにも利用可能である。
【0050】
なお、図4のテーブルTLB1は、バイヤー毎に作成されてもよいし、バイヤーが販売する製品毎に作成されてもよい。
【0051】
図5は、サプライチェーンリスク情報SCRを生成し出力するサプライチェーンリスク情報処理部SRのブロック図である。サプライチェーンリスク情報処理部SRは、ソフトウエアプログラムである。
【0052】
サプライチェーンリスク情報処理部SRは、データ入出力部21、リスクデータ生成部RIG、及びデータ変換部DTを含む。
【0053】
データ入出力部21は、バイヤーの端末3からのコマンドを受信し、そのコマンドに応じて、記憶装置12の取引先情報BAI及びサプライチェーン情報SCIなどのデータの登録及び読み出しを行う。さらに、データ入出力部21は、バイヤーの端末3からのコマンドを送信した端末3へ、読み出したデータを送信する。
【0054】
リスクデータ生成部RIGは、バイヤーからのリスク情報生成コマンドを受信すると、所定の情報を用いて所定の演算を行い、サプライチェーンリスク情報SCRの画像データを生成し、バイヤーの端末3へ送信する。リスクデータ生成部RIGの処理は、図6に示す。
【0055】
図6は、リスクデータ生成部RIGの処理のフローチャートである。プロセッサ11は、バイヤーの端末3からリスク情報生成コマンドを受信すると、図6の処理を実行する。
【0056】
プロセッサ11は、サプライチェーン情報SCI(図4)を取得する(ステップ(以下、Sと略す)1)。すなわち、プロセッサ11は、リスク情報生成要求をしたバイヤーに関するサプライチェーン情報SCIを取得する。
【0057】
プロセッサ11は、サプライチェーン情報SCIから、各拠点の重複度mを算出する(S2)。各拠点の重複度mは、テーブルTBL1中の「拠点名」の欄に含まれる「拠点名」毎の出現数(カウント値)である。例えば、図4の場合、納入品X,Y,Z,W,Vに関しては、出現数(カウント値)は、テーブルTBL1中の拠点「AAA-1」の数(カウント値)は、「3」であり、拠点「AAA-2」の数(カウント値)は、「1」である。ステップS2では、テーブルTBL1中の全ての納入品に関して、全てのサプライヤーについての「拠点名」毎の出現数(カウント値)が算出される。
【0058】
すなわち、S2の処理は、サプライチェーンに含まれる複数のサプライヤーについてのサプライヤー毎の重複度mを算出する重複度算出部を構成する。そして、重複度mは、複数の納入品X,Y,Z等に関わるサプライチェーンの複数の階層に含まれる各サプライヤーのサプライヤー情報(拠点名)を含むサプライチェーン情報SCIから、算出される。さらに、重複度mは、サプライチェーン情報SCI中の、階層毎に含まれる各サプライヤー情報(拠点名)のカウント値である。
【0059】
次に、プロセッサ11は、各拠点の所定のサプライチェーンリスク情報SCRを生成する(S3)。後述する図7は、生成されたサプライチェーンリスク情報SCRの例である。図7のサプライチェーンリスク情報SCRはテーブル形式のデータである。すなわち、S3の処理は、S2において算出された重複度mを、サプライチェーンリスク情報SCRとして生成する情報生成部を構成する。後述する図7では、サプライチェーンリスク情報SCRは、重複度mに加えて、各サプライヤーの取引先リスク度rも含む。
【0060】
サプライチェーンリスク情報SCRは、拠点毎の、重複度m、拠点名、リスク度r、一次拠点数、二次拠点数、三次拠点数、四次拠点数、五次拠点数、緯度及び経度の情報を含む。例えば、一次拠点数は、サプライチェーン情報SCIにおいて、その拠点が一次拠点として登録されている数である。二次拠点数は、サプライチェーン情報SCIにおいて、その拠点が二次拠点として登録されている数である。プロセッサ11は、テーブルTBL1中のサプライヤーの階層(一次、二次などの階層)毎に、各拠点の出現数をカウントすることによって、一次拠点数等を算出する。
【0061】
プロセッサ11は、表示画像を生成する(S4)。具体的には、算出された重複度mの高い順に、サプライチェーンリスク情報SCRがソートされ、プロセッサ11は、表示装置3aに表示するための画像データとして、図7に示すテーブルTBL2を生成する。
【0062】
プロセッサ11は、リスク情報の生成要求をしたバイヤーの端末3へ、生成した画像データを送信する(S5)。すなわち、S5の処理は、サプライチェーンリスク情報SCRを出力する情報出力部を構成する。
【0063】
図7は、サプライチェーンリスク情報SCRの表示例である。図7のサプライチェーンリスク情報SCRは、バイヤーの端末3の表示装置3aに表示される。
【0064】
図7は、図4のテーブルTBL1にサプライヤーとして登録されている拠点の重複度m(カウント数)の高い順にリスト形式で、拠点名を示している。図7のリスク度rは、取引先リスク情報RIに含まれる。リスク度rは、上述したように、サプライヤーにおける災害対策などについての数値化された値である。
【0065】
図7では、拠点名「BBB-3」の重複度mは、「7」である。これは、拠点名「BBB-3」が、図4のテーブルTBL1中に7回、サプライヤーとして登録されていることを示している。拠点名「AAA-1」の重複度mは、「4」である。これは、拠点名「AAA-1」が、図4のテーブル中に4回、サプライヤーとして登録されていることを示している。拠点名「BBB-3」の重複度mは、他の拠点の重複度mと比べて最も高い。
【0066】
また、図7のテーブルTBL2が、バイヤーの端末3の表示装置3a上に表示されるので、バイヤーは、拠点名「BBB-3」のリスク度も高いことを知ることができる。
【0067】
重複度mが高い拠点は、その拠点が例えば災害にあってその拠点からの部品の供給が滞ったときは、バイヤーが受ける影響が大きいことを意味する。さらに、そのような拠点のリスク度も高い場合は、災害が発生したときに、復旧に時間が掛かるなどの問題があることを示している。
【0068】
以上のように、S3の処理において、サプライチェーンリスク情報SCRとして、サプライヤー毎の重複度mとリスク度rとを含む表形式データが生成される。その生成されたサプライチェーンリスク情報SCRは、端末3の表示装置3aに表示される。
【0069】
よって、バイヤーは、図7のサプライチェーンリスク情報SCRを見て、サプライチェーンにおけるリスク対策(供給元への助言、供給元の複数化、等々)の必要性を容易に把握することができる。
【0070】
次に、生成されるサプライチェーンリスク情報SCRの変形例を説明する。
(変形例1)
【0071】
図7に示すサプライチェーンリスク情報SCRは、重複度mとリスク度rを表形式で示しているが、サプライチェーンリスク情報SCRの変形例1として、散布図形式で重複度mとリスク度rを二次元のマップで示すようにしてもよい。
【0072】
図8は、変形例1に係わる、サプライチェーンリスク情報SCRの表示例を示す図である。図8は、サプライチェーンリスク情報SCRを、リスク対策の必要度を直感的にわかるように二次元散布図形式で表示する。図8のX軸(横軸)は、重複度mで、Y軸(縦軸)は、リスク度rである。
【0073】
重複度mもリスク度rも高い拠点は、XY平面上、右上の隅に位置する。重複度mもリスク度rも低い拠点は、XY平面上、左下の隅に位置する。また、円の大きさは、ここでは、(重複度*リスク度)の値に対応する。重複度mもリスク度rも高い拠点の円は大きい。重複度mもリスク度rも低い拠点の円は小さい。重複度mが大きくても、リスク度rが低ければ、拠点の円は大きくならない。同様に、重複度mが低くても、リスク度rが高ければ、拠点の円は小さくならない。
【0074】
以上のように、S3の処理において、サプライチェーンリスク情報SCRとして、第1軸が重複度mであり、第2軸がリスク度rである2次元散布図データが生成されてもよい。
【0075】
すなわち、各拠点についてのリスク対策の必要度が、XY平面上の位置と、円の大きさで示されている。よって、バイヤーは、図8の散布図を見ると、各拠点についてのリスク対策の必要度を直感的に把握することができる。
(変形例2)
【0076】
図8は、重複度mとリスク度rの二次元のマップでリスク対策の必要性を示しているが、サプライチェーンリスク情報SCRの変形例2として、一次元のマップでリスク対策の必要度を示すようにしてもよい。
【0077】
図9は、変形例2に係わる、サプライチェーンリスク情報SCRの表示例を示す図である。図9も、サプライチェーンリスク情報SCRを、リスク対策の必要度を直感的にわかるように一次元散布図形式で表示する。横軸は、(重複度*リスク度)の値に対応する。
【0078】
以上のように、S3の処理において、サプライチェーンリスク情報SCRとして、重複度mとリスク度rの両方を加味した一次元散布図データが生成されてもよい。
【0079】
よって、バイヤーは、図9の散布図を見ると、各拠点についてのリスク対策の必要度を直感的に把握することができる。
(変形例3)
【0080】
さらになお、図7では、サプライチェーンリスク情報SCRは、重複度mは、テーブルTBL1中の拠点名の出現数で、テーブルTBL2に表示されるが、サプライチェーンリスク情報SCRの変形例3として、重複度mとして、単なるカウント値ではなく、カウント値に重み係数αを乗算した値をテーブルTBL2に表示するようにしてもよい。すなわち、重複度mは、サプライチェーン情報SCI中の、階層毎に含まれる各サプライヤー情報(拠点名)のカウント値に基づいて算出された値でもよい。
【0081】
例えば、重み係数αは、一次サプライヤーほど高くし、二次、三次など次数が高くなるほど、低くするように、設定される。そのように設定された重み係数αとカウント値とを乗算して、重複度mを得る。このようにして得られた重複度mの値の大きい順に、テーブルTBL2の表示データが作成される。
【0082】
よって、このようにして、重み係数αを加味して生成された重複度mを用いて、図7図8あるいは図9のような表示データを表示装置3aに表示するようにしてもよい。
(変形例4)
【0083】
さらに、図7では、サプライチェーンリスク情報SCRは、表形式で重複度mとリスク度rを示し、図8及び図9は、散布図形式で重複度mとリスク度rを示しているが、変形例4として、拠点間の繋がりを示すグラフにより、重複度mを表示するようにしてもよい。
【0084】
例えば、バイヤーが図7のサプライチェーンリスク情報SCRを見てから、重複度表示グラフを表示する表示コマンドをサーバに送ると、サーバ2は、図7のサプライチェーンリスク情報SCRから図10あるいは図11の表示画像を生成して、バイヤーの端末3に送信し、生成された表示画像は表示装置3aに表示される。
【0085】
図10は、変形例4に係わる、サプライチェーンリスク情報SCRの表示例を示す図である。図10は、ダイヤモンド型サプライチェーンの重複度表示グラフの例を示す。図10は、バイヤーの端末3の表示装置3aに表示されるダイヤモンド型サプライチェーンの重複度表示グラフの画面GAの例を示す。
【0086】
図10の表示は、テーブルTBL1のデータから拠点間の繋がりを規定する情報に抽出し、抽出された繋がり情報に基づいて、生成される。図10の表示は、各拠点をノードにより示し、ノード間を辺により示して、拠点間の繋がりの情報をグラフ化してものであり、バイヤーのサプライチェーンの一部の構造を示している。
【0087】
図10に示すように、三次サプライヤーとしての1つの拠点「BBB-3」が、4つの二次サプライヤーに部品を供給していることを示している。一次サプライヤーは、リスク分散のために複数の二次サプライヤーから部品の供給を受けている。しかし、二次サプライヤーの利用する三次サプライヤーは、1つのサプライヤーである。すなわち、図10において二点鎖線で示すように、二次サプライヤー以降のサプライヤーの構造が所謂「ダイヤモンド」型となっていることにより、バイヤーは、自己のサプライチェーンが1つのサプライヤーに依存している部分を含んでいることを、容易に認識することができる。その1つの三次サプライヤーが例えば被災すると、そのバイヤーにとって影響が大きいことが容易にわかる。
【0088】
以上のように、S3の処理において、サプライチェーンリスク情報SCRとして、サプライチェーンにおけるサプライヤー間の繋がりを示すグラフデータが生成されてもよい。
【0089】
図11は、変形例4に係わる、サプライチェーンリスク情報SCRの他の表示例を示す図である。図11は、ピラミッド型サプライチェーンの重複度表示グラフの例を示す図である。図11は、バイヤーの端末3の表示装置3aに表示されるピラミッド型サプライチェーンの重複度表示グラフの画面GBの例を示す。図11の表示も、図10と同様に、テーブルTBL1のデータから拠点間の繋がり情報に基づいて、生成される。
【0090】
図11は、三次サプライヤーとしての複数の拠点が、4つの二次サプライヤーに各々の製品を供給していることを示している。図11において二点鎖線で示すように、二次サプライヤー以降のサプライヤーの構造が「ピラミッド」型となっていることにより、バイヤーは、自己のサプライチェーンが1つのサプライヤーに依存している部分を含んでいないことを、容易に認識することができる。
【0091】
なお、図10及び図11の重複度表示グラフ中に、リスク度を合わせて表示するようにしてもよい。図10及び図11に表示されるリスク度の数値を各拠点名の近傍に表示したり、あるいは図10及び図11に表示される各拠点のノードの色をリスク度に応じて変えたり、するようにしてもよい。たとえば、リスク度が最も高いノードは、赤色で示し、リスク度が次に高いノードは、橙色で示す、等である。
(変形例5)
【0092】
さらに、地域情報を指定すると、その指定された地域に関わる拠点を、他の地域の拠点とは識別可能に表示するようにしてもよい。例えば、「北海道」という地域情報あるいは「北海道」の緯度/経度情報を指定すると、図10あるいは図11に表示された拠点名において「北海道」の拠点を、他の拠点とは区別される例えば「赤色」のノードで表示するようにする。
【0093】
このようにすれば、災害の発生地域と関連付けて、サプライチェーンの重複度表示が可能となる。例えば、災害発生時に、災害の発生したエリアの地域情報を指定して、図10(あるいは図11)のグラフを表示させることもできる。また、災害が発生していないときでも、地域情報を指定して、他の地域とは識別可能に表示させることにより、指定した地域の供給リスクの状況を把握することができる。
(変形例6)
【0094】
さらに、サプライチェーンリスク情報SCRを、地図上に表示するようにしてもよい。
【0095】
図12は、変形例6に係わる、サプライチェーンリスク情報SCRの表示例を示す図である。図12は、地図上の拠点の位置に、図8の(重複度*リスク度)の値に応じた大きさのマーク(ここでは円形マーク)を表示する。
【0096】
サプライチェーン情報SCIは、各拠点の位置情報(緯度/経度の情報)を含む。よって、その位置情報を用いて、図12に示すように、地図上に各拠点の位置に、(重複度*リスク度)の値に応じた大きさの円で、リスク対策の必要度が表示される。バイヤーは、端末3上でマウスなどの入力装置を用いて、所望の円を選択すると、その円に関わる拠点名がポップアップ表示される。図12では、「拠点名:BBB-3」がポップアップ表示されている。
【0097】
なお、円形マークの大きさは、重複度mの値のみに応じた大きさでも、あるいは、リスク度rの値のみに応じた大きさでもよい。
【0098】
すなわち、ステップS3において、サプライチェーンリスク情報SCRとして、重複度m、リスク度r、又は重複度mとリスク度rの両方、に関わるマークを、各拠点の位置情報に基づいて地図上にサプライヤー毎に示した地図データが生成されるようにしてもよい。
【0099】
ユーザは、図12を見ると、リスク対策の必要度に応じた各拠点の場所を地図上で容易に把握できる。
(変形例7)
【0100】
さらに、変形例7として、図12の表示に、過去の災害情報も併せて表示するようにしてもよい。図13は、変形例7に係わる、サプライチェーンリスク情報SCRの表示例を示す図である。図13は、地図上の拠点の位置に、図8の(重複度*リスク度)に応じた大きさの円を表示すると共に、過去の災害情報も表示する、重複度表示の例を示す。図13は、災害として、地震を指定した場合の例である。過去の災害情報(位置情報と日付情報を含む)は、点線で示すように、記憶装置12に災害情報DIとして記憶されていてもよいし、外部の情報源から取得するようにしてもよい。
【0101】
図13は、図12の表示に加えて、過去の地震発生情報が、地図上に表示される。図13では、地震の発生があったことを示すマークEQが、地図上に表示される。よって、ユーザは、災害発生(すなわち地震発生)の期間情報を、期間情報入力欄31で指定することができる。
【0102】
すなわち、ステップS3において、サプライチェーンリスク情報SCRとして、過去の災害の発生情報に基づく過去の災害の発生場所が含まれた地図データを生成して出力するようにしてもよい。
【0103】
以上のように、バイヤーは、災害の発生時に、リスク表示コマンドをサーバ2に指示することにより、サプライチェーンリスク情報SCRが生成され、図7等の画面が表示装置3aに表示されるので、供給リスクを容易に把握することができると共に、災害が発生していないときにも、サプライチェーンにおける部品などの供給リスクを容易に把握することができる。
【0104】
図5に戻り、データ変換部DTについて説明する。データ変換部DTは、サプライチェーンの供給リスク情報を用いて各種評価を行う装置あるいはシステムとの連携のための処理を行う。
【0105】
たとえば、保険契約、融資契約などにおいて、契約者となる顧客のサプライチェーンにおける供給リスクが考慮される場合がある。
【0106】
図14は、実施形態に係わる、保険契約の種別毎に各種変数に対する係数の例を示す図である。保険契約には、事業停止保証保険、損害賠償責任保険、等々がある。保険の引受け時、保険金の支払い査定時などの場面で各種指標が用いられる。各指標には、保険の種別毎に、所定の係数k1などが設定され、資本金、売上高などの指標に対して設けられる各種係数が予め設定される。この係数k1を用いて、顧客についての所定の評価が評価値として算出される。
【0107】
顧客のサプライチェーンにおいて、上述したような重複度mが高いと、災害(地震、豪雨など)が発生した場合に、その顧客(バイヤーあるいはサプライヤー)の損害が大きくなると推測される。そこで、データ変換部DTは、保険契約中の、所定の指標に対して設けられた係数の値を、重複度mに基づいて補正して出力する。
【0108】
サーバ2は、保険会社がバイヤーあるいはサプライヤーとの何らかの保険契約を締結する引受けのとき、あるいは保険金の支払いの査定のとき、サプライチェーンリスク管理装置であるサーバ2に格納された重複度mを参照して、上記の係数の値の補正を行うことができるようになっている。保険契約に関連する情報は、記憶装置12の保険関連情報ISIに登録されている。
【0109】
すなわち、保険会社の担当者は、上記のサプライチェーン管理システム1を利用して、保険契約における評価を、サプライチェーンの供給リスクを加味して行うことができる。
【0110】
ユーザ(保険会社の担当者)は、自己の端末6(図1において点線で示す)から、サプライチェーン管理装置(サーバ)にアクセスすることができる。
【0111】
ユーザ(保険会社の担当者)は、予め、保険種別毎に、評価のための評価式と、その評価式に用いる変数(指標)に対する演算式(補正式)を記憶装置12の保険関連情報ISIに登録しておく。さらに、演算式(補正式)において、重複度mを用いて補正される変数(指標)も、ユーザにより予め指定される。
【0112】
ユーザから重複度mを用いた評価の実行のコマンドを受信すると、サーバ2は、データ変換部DTを用いた保険契約評価処理を実行する。保険契約評価処理により、所定の指標に対して設けられた少なくとも1つの係数が、サプライチェーンにおける重複度mにより補正される。
【0113】
具体的には、ユーザ(保険会社の担当者)が契約者(バイヤーあるいはサプライヤー)と保険の種別情報を、指定して入力すると、図15の処理が実行される。図15は、保険評価のための係数又評価値を補正する処理のフローチャートである。
【0114】
サーバ2は、入力された情報から、契約者の重複度mを取得する(S11)。
【0115】
サーバ2は、入力された情報から、演算式を特定し、その演算式に用いる指標に対して設けられた少なくとも1つの係数を、重複度mを用いて補正する(S12)。
【0116】
サーバ2は、補正された少なくとも1つの係数と他の所定の係数に基づいて、評価式を用いて、評価値を算出する(S13)。
【0117】
サーバ2は、算出された評価値を、保険会社の端末6へ送信する(S14)。なお、上述した例では、少なくとも1つの係数は、重複度mを用いて補正されているが、重複度mに代えてリスク度rを用いて補正してもよいし、重複度mとリスク度rの両方を加味して補正してもよい。
【0118】
よって、サーバ2は、サプライチェーンリスク情報を用いた保険業務の評価処理を行うことができる。
【0119】
上述したデータ変換処理は、保険関連業務の評価に用いているが、金融関連業務の評価にも用いることができる。例えば、融資における評価指標の係数の補正も同様に適用可能である。
【0120】
従って、データ変換部DTは、重複度m、各サプライヤーのリスク度r、又は重複度mとリスク度rの両方に基づいて、保険評価あるいは金融評価のための係数又評価値を補正する補正部を構成する。
【0121】
以上のように、上述した実施形態によれば、サプライチェーンにおける供給リスク状態を容易に把握することができるサプライチェーンリスク情報生成装置及びサプライチェーンリスク情報生成システムを提供することができる。
【0122】
なお、以上説明した動作を実行するプログラムは、コンピュータプログラム製品として、USBメモリ、CD-ROM等の可搬媒体や、ハードディスク等の記憶媒体に、その全体あるいは一部が記録され、あるいは記憶されている。そのプログラムがコンピュータにより読み取られて、動作の全部あるいは一部が実行される。あるいは、通信ネットワークを介してそのプログラムの全体あるいは一部を流通または提供することができる。利用者は、通信ネットワークを介してそのプログラムをダウンロードしてコンピュータにインストールしたり、あるいは記録媒体からコンピュータにインストールしたりすることで、容易に本発明のサプライチェーンリスク情報生成装置及びサプライチェーンリスク情報生成システムを実現することができる。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として例示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0124】
1 サプライチェーン管理システム、
2 サーバ、
3,4 端末、
3a 表示装置、
5 ネットワーク、
6 端末、
11 プロセッサ、
12 記憶装置、
21 データ入出力部、
31 期間情報入力欄
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15