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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022150116
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】絞りユニットおよびレンズ鏡筒
(51)【国際特許分類】
   G03B 9/02 20210101AFI20220929BHJP
【FI】
G03B9/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021052568
(22)【出願日】2021-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100136261
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 俊成
(72)【発明者】
【氏名】高橋 伸明
(72)【発明者】
【氏名】今榮 一郎
【テーマコード(参考)】
2H080
【Fターム(参考)】
2H080AA21
2H080AA69
(57)【要約】
【課題】 絞り精度を向上する。
【解決手段】 絞りユニットは、それぞれが第1突部及び第2突部を有する複数の絞り羽根と、前記第1突部のそれぞれと係合する複数の溝を有する第1開口部材と、前記第2突部のそれぞれと係合する複数の孔部を有する第2開口部材と、前記第1突部を、前記第1突部と係合する前記溝に対して付勢する付勢部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが第1突部及び第2突部を有する複数の絞り羽根と、
前記第1突部のそれぞれと係合する複数の溝を有する第1開口部材と、
前記第2突部のそれぞれと係合する複数の孔部を有する第2開口部材と、
前記第1突部を、前記第1突部と係合する前記溝に対して付勢する付勢部と、
を備える、絞りユニット。
【請求項2】
前記溝は、前記第1突部を案内する壁を有し、
前記付勢部は、前記第1突部を前記溝の前記壁に対して付勢する、
請求項1に記載の絞りユニット。
【請求項3】
前記溝は、前記第1突部を案内する壁に対向する壁を有し、
前記第1突部を案内する壁は、前記対向する壁よりも光軸に近い側にある、
請求項2に記載の絞りユニット。
【請求項4】
前記付勢部は、前記溝の前記壁と略直交する方向に前記第1突部を付勢する、
請求項2または請求項3に記載の絞りユニット。
【請求項5】
前記第1突部が移動する範囲の一端から他端までにおいて、前記付勢部は前記第1突部を付勢する、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の絞りユニット。
【請求項6】
前記一端における前記付勢部の付勢力は、前記他端における前記付勢部の付勢力よりも大きい、
請求項5に記載の絞りユニット。
【請求項7】
前記一端には、前記複数の絞り羽根が形成する絞り開口が最も小さくなる小絞り状態において前記第1突部が位置する、
請求項5または請求項6に記載の絞りユニット。
【請求項8】
前記付勢部の少なくとも一部は、前記溝と略平行である、
請求項1から請求項7のいずれか1項記載の絞りユニット。
【請求項9】
前記付勢部は、ねじりコイルばねであり、
前記第1突部と接触する前記ねじりコイルばねのアーム部は、前記溝と略平行である、
請求項1から請求項8のいずれか1項記載の絞りユニット。
【請求項10】
前記溝は直線状である、
請求項1から請求項9のいずれか1項記載の絞りユニット。
【請求項11】
前記付勢部の一部は、前記絞り羽根と前記第1開口部材との間に配置され、
前記付勢部の他の一部は、前記第1開口部材の前記絞り羽根と反対側に配置される、
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の絞りユニット。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の絞りユニットを備えるレンズ鏡筒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
絞りユニットおよびレンズ鏡筒に関する。
【背景技術】
【0002】
レンズ鏡筒には絞りユニットが設けられている(例えば、特許文献1参照)。絞りユニットの絞り精度の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4-128727号公報
【発明の概要】
【0004】
第1の態様によれば、それぞれが第1突部及び第2突部を有する複数の絞り羽根と、前記第1突部のそれぞれと係合する複数の溝を有する第1開口部材と、前記第2突部のそれぞれと係合する複数の孔部を有する第2開口部材と、前記第1突部を、前記第1突部と係合する前記溝に対して付勢する付勢部と、を備える。
【0005】
第2の態様によれば、レンズ鏡筒は、上記絞りユニットを備える。
【0006】
なお、後述の実施形態の構成を適宜改良しても良く、また、少なくとも一部を他の構成物に代替させても良い。更に、その配置について特に限定のない構成要件は、実施形態で開示した配置に限らず、その機能を達成できる位置に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係るレンズ鏡筒と、カメラ本体と、を備えるカメラを示す図である。
図2図2は、一実施形態に係る絞りユニットをカメラ本体側から見た分解斜視図である。
図3図3は、一実施形態に係る絞りユニットを被写体側から見た分解斜視図である。
図4図4(A)は、カメラ本体側から見たカム板の平面図であり、図4(B)は、被写体側から見たカム板の平面図である。
図5図5(A)は、付勢部の斜視図であり、図5(B)は、付勢部のカム板への取り付けについて説明するための斜視図である、図5(C)は、付勢部をカム板に取り付けた状態を示す平面図である。
図6図6(A)は、小絞り状態におけるカム溝と、付勢部と、絞り羽根のカムフォロアとの関係について説明するための図であり、図6(B)は、開放状態におけるカム溝と、付勢部と、絞り羽根のカムフォロアとの関係について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、一実施形態に係るレンズ鏡筒について説明する。なお、以下に示す図面には、説明と理解を容易にするために、適宜にXYZの直交座標系を設けた。この座標系では、撮影者が光軸OAを水平として横長の画像を撮影する場合のカメラ位置(以下、正位置という)において被写体からカメラ本体10側に向かう方向を+X方向とする。また、正位置においてカメラ本体10側から見て右側に向かう方向を+Y方向とする。また、正位置において上側に向かう方向を+Z方向とする。なお、実施形態に示す各部の形状や、長さ、厚みなどの縮尺は必ずしも実物と一致するものではなく、また説明に必要のない部分については適宜に省略又は簡略化して描いている。
【0009】
図1は、本実施形態に係るレンズ鏡筒20と、カメラ本体10と、を備えるカメラ1の概略図である。カメラ1は、カメラ本体10と、カメラ本体10に着脱可能なレンズ鏡筒20と、を備える。なお、レンズ鏡筒20とカメラ本体10とは一体であってもよい。
【0010】
レンズ鏡筒20は、入射した被写体光を屈折させて出射側に被写体像を形成する光学部材としてのレンズ21および22と、絞りを調節する絞りユニット30とを備える。図1ではレンズ21および22を1枚のレンズとして描いているが、レンズ21および22は、複数のレンズを含むレンズ群であってもよい。また、レンズ鏡筒20は、レンズ21および22のいずれか一方のみを有していてもよい。
【0011】
カメラ本体10は、レンズ21により形成された被写体像を撮像して電気信号に変換する撮像素子12を備える。
【0012】
次に、本実施形態における絞りユニット30の構成について説明する。図2は、一実施形態に係る絞りユニット30をカメラ本体側から見た分解斜視図であり、図3は、絞りユニット30を被写体側から見た分解斜視図である。
【0013】
絞りユニット30は、光彩絞り装置であり、図2および図3に示すように、開口部材31、回転部材32、複数の絞り羽根33(図2においては1枚のみ図示)、カム板34、複数の付勢部35(図2においては1つのみ図示)、およびステッピングモータ36を備える。
【0014】
開口部材31は、円環状部材であり、中央に嵌合開口部311を有している。また、開口部材31の+X側にはステッピングモータ36が取り付けられている。
【0015】
回転部材32は、中央部に開口を有する円環状部材であり、開口部材31の嵌合開口部311に嵌合される環状突部321を中央に有する。回転部材32の外縁には、セグメントギア322が形成されており、ステッピングモータ36の回転軸に取り付けられたピニオンギア361と噛み合っている。また、回転部材32には、絞り羽根33の枚数と同じ数の孔323が形成されている。各孔323には、後述する絞り羽根33の支持部331が挿入される。
【0016】
複数の絞り羽根33の+X側には支持部331が設けられ、-X側にはカムフォロア332が設けられている。支持部331は、回転部材32に設けられた孔323に挿入され、カムフォロア332は、カム板34に設けられたカム溝341に挿入される。
【0017】
カム板34は、中央部に開口を有する円環状部材であり、絞り羽根33の枚数と同じ数のカム溝341が形成されている。上述したように、カム溝341には、絞り羽根33のカムフォロア332が挿入される。なお、カム溝341は、カム板34を貫通する貫通溝であってもよいし、カム板34を貫通しない溝であってもよい。
【0018】
カメラ本体10からF値を変更する指示がされると、ステッピングモータ36が回転駆動され、ステッピングモータ36の回転軸に取り付けられたピニオンギア361と噛合するセグメントギア322を有する回転部材32が回転する。絞り羽根33の支持部331が、回転部材32に形成された孔323に挿入されているため、回転部材32が光軸OA回りに回転すると、絞り羽根33も光軸OA回りに回転する。絞り羽根33のカムフォロア332は、カム板34のカム溝341に挿入されているので、絞り羽根33のカムフォロア332は、支持部331を支点としてカム溝341に沿って回転する。これにより、複数の絞り羽根33によって、光彩絞りの開口(絞り開口)37(図1参照)の大きさが調整できる。
【0019】
次に、カム板34の構成についてより詳細に説明する。図4(A)は、カメラ本体10側から見たカム板34の平面図であり、図4(B)は、被写体側から見たカム板34の平面図である。
【0020】
図4(A)に示すように、カム板34の+X側には、絞り羽根33の枚数と同じ数のカム溝341が形成されている。本実施形態において、カム溝341は、直線状であるが、曲線状であってもよい。
【0021】
カム溝341は、対向する一対の壁341aおよび341bを有する。本実施形態において、カム溝341に挿入された絞り羽根33のカムフォロア332は、壁341aに案内されて移動する。壁341aは、壁341bよりも、光軸OAに近い側にある。ここで、カム溝341と絞り羽根33のカムフォロア332との間には、温度や湿度の変化などに対応させるためにクリアランス(隙間)が設けられている。当該クリアランスによって、カム溝341と絞り羽根33との間にはガタが生じる。そこで、本実施形態に係る絞りユニット30は、当該ガタを抑制するために、カムフォロア332をカム溝341の壁341aに付勢する付勢部35を備えている。
【0022】
図5(A)は、付勢部35の一例を示す斜視図である。本実施形態において、付勢部35は、コイル部351と、第1アーム352と、第2アーム353とを有するねじりコイルばねである。
【0023】
本実施形態において、付勢部35は、カム板34に取り付けられる。図5(B)は、付勢部35のカム板34への取り付けについて説明するための斜視図である。図5(B)に示すように、付勢部35のコイル部351は、カム板34の-X側に形成されたコイル係止部343に係止され、第1アーム352は、カム板34を貫通する貫通孔342を通され、その一部が+X側に配置される。第2アーム353は、カム板34の-X側に形成されたアーム係止部344に係止される。すなわち、付勢部35の一部(第1アーム352の一部)は、カム板34と絞り羽根33との間に配置され、付勢部35の他の一部(第2アーム353)は、カム板34の絞り羽根33と反対側(-X側)に配置されている。
【0024】
図5(C)は、付勢部35をカム板34に取り付けた状態を示す平面図である。図5(C)に示すように、カム板34に取り付けられた付勢部35の第1アーム352は、直線状のカム溝341と略平行になっている。このように付勢部35が取り付けられたカム板34のカム溝341に、組み立てた絞り羽根33のカムフォロア332を挿入する。カム溝341にカムフォロア332を挿入するときには、治具等を用いて、矢印A11で示すように第1アーム352を跳ね上げる。これにより、壁341aと跳ね上げられた第1アーム352との間にスペースが生じるため、当該スペースに、絞り羽根33のカムフォロア332を容易に挿入することができる。そして、カムフォロア332を挿入後、跳ね上げた第1アーム352を元の位置に戻すことで、付勢部35の第1アーム352がカムフォロア332を付勢するようにすることができる。このようにすることで、本実施形態では、付勢部35を取り付けたカム板34の複数のカム溝341に、組み立てた絞り羽根33のカムフォロア332を一度に挿入することができるため、絞りユニット30の組み立てが容易である。
【0025】
また、付勢部35の全てをカム板34と絞り羽根33との間に設ける場合、絞り羽根33に直接負荷をかけることになるため、絞り羽根33がねじれてしまう可能性がある。一方、本実施形態のように付勢部35を配置すると、付勢部35が、カムフォロア332を押すことになるため、絞り羽根33がねじれてしまう可能性を低減できる。カムフォロア332は、絞り羽根33よりも高い剛性を有しているので、カムフォロア332が変形することはほとんどない。
【0026】
また、付勢部35の全てをカム板34と絞り羽根33との間に設ける場合、第1アーム352をカムフォロア332に接触させ、かつ、第2アーム353を係止するためには、本実施形態の場合よりもカム板34を厚くする必要がある。したがって、第1アーム352の一部を、カム板34と絞り羽根33との間に配置し、第2アーム353を、カム板34の絞り羽根33の反対側(-X側)に配置することで、付勢部35の全てをカム板34と絞り羽根33との間に設ける場合よりもカム板34を薄くすることができ、カム板34ひいては絞りユニット30を軽量化することができる。
【0027】
次に、組立後の絞りユニット30における、カム板34のカム溝341と、付勢部35と、絞り羽根33のカムフォロア332との関係について説明する。
【0028】
図6(A)および図6(B)は、カム溝341と、付勢部35と、カムフォロア332との関係を説明するための図である。図6(A)は、複数の絞り羽根33が形成する絞り開口37が最も小さい小絞り状態を示し、図6(B)は、複数の絞り羽根33が形成する絞り開口37が最も大きい開放状態を示す。
【0029】
図6(A)および図6(B)に示すように、第1アーム352(付勢部35)は、絞り羽根33のカムフォロア332を、係合しているカム溝341に対して付勢する。具体的には、第1アーム352は、カムフォロア332をカム溝341の壁341aに対して付勢する(矢印A1及びA2参照)。より詳細には、第1アーム352は、カム溝341の壁341aと略直交する方向に、絞り羽根33のカムフォロア332を壁341aに対して付勢する。
【0030】
これにより、カム溝341とカムフォロア332との間のガタを抑制することができる。また、第1アーム352は、カムフォロア332をカム溝341の壁341aに押し付けるため、絞り羽根33が停止位置から移動することが抑制できる。したがって、絞り精度を向上することができる。さらに、第1アーム352が、カム溝341の壁341aと略直交する方向に、絞り羽根33のカムフォロア332を付勢するので、絞り羽根33が壁341aから受ける反力が絞り羽根33を回転させる方向に働くことが抑制され、ステッピングモータ36に余分な負荷が生じることを抑制することができる。
【0031】
付勢部35の第1アーム352は、カムフォロア332が移動する範囲R1の一端と他端との間において、カムフォロア332を付勢する。より詳細には、小絞り状態におけるカムフォロア332の位置(小絞り位置)と開放状態におけるカムフォロア332の位置(開放位置)との間においてカムフォロア332を付勢する。これにより、カムフォロア332がカム溝341の壁341aに沿って移動している間、カム溝341とカムフォロア332との間のガタを抑制することができる。
【0032】
第1アーム352の付勢力は、コイル部351に近い位置ほど強く、コイル部351から遠くなるにつれて減少する。本実施形態では、カムフォロア332の小絞り位置が、カムフォロア332の開放位置よりもコイル部351に近くなるようにしている。したがって、小絞り位置において付勢部35がカムフォロア332を付勢する付勢力は、開放位置において付勢部35がカムフォロア332を付勢する付勢力よりも大きくなっている。
【0033】
絞り開口37が小さくなると、複数の絞り羽根33の先端が重なりあい、せりあがる(例えば、図3参照)。これにより、各絞り羽根33が、自身に重なる他の絞り羽根33を絞り開口37が大きくなる方向に向けて付勢する。このため、ステッピングモータ36は、絞り開口37が小さくなるほど、絞り開口37を小さくする方向と反対方向の力(反力)を絞り羽根33から受けることになり、ステッピングモータ36の負荷が増加する。カムフォロア332の小絞り位置を、カムフォロア332の開放位置よりもコイル部351の近くにすることで、小絞り位置に近いほど、付勢部35の付勢力が大きくなるため、絞り開口37を小さくするときにステッピングモータ36に伝わる反力を小さくし、ステッピングモータ36にかかる負荷を低減することができる。
【0034】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によれば、絞りユニット30は、それぞれがカムフォロア332と、支持部331と、を有する複数の絞り羽根33と、カムフォロア332のそれぞれと係合する複数のカム溝341を有するカム板34と、支持部331のそれぞれと係合する複数の孔323を有する回転部材32と、カムフォロア332を、カムフォロア332と係合するカム溝341に対して付勢する付勢部35と、を備える。これにより、カムフォロア332とカム溝341との間のガタが抑制される。
【0035】
また、本実施形態において、カム溝341は、カムフォロア332を案内する壁341aを有し、付勢部35は、カムフォロア332をカム溝341の壁341aに対して付勢する。また、付勢部35は、カム溝341の壁341aと略直交する方向(図6(A)および図6(B)の矢印A1,A2参照)にカムフォロア332を付勢する。これにより、付勢部35がカムフォロア332を付勢することによって絞り羽根33が壁341aから受ける反力が、ステッピングモータ36の負荷を増加させることを抑制することができる。
【0036】
また、本実施形態において、カム溝341は、カムフォロア332を案内する壁341aと対向する壁341bを有し、壁341aは、壁341bよりも光軸OAに近い側にある。付勢部35がない場合、又は、付勢部35がカムフォロア332を壁341bに向けて付勢する場合、小絞り状態において、絞り羽根33同士が反力を受けあって反りあがり、開口径の精度が悪化する。一方、本実施形態では、付勢部35によってカムフォロア332が光軸OAに近い壁341aに向かって付勢されるので、反りあがりが抑制され、小絞り状態における開口径の精度を向上できる。
【0037】
また、本実施形態において、付勢部35は、カムフォロア332が移動する範囲の一端から他端までにおいて、付勢部35はカムフォロア332を付勢する。これにより、カムフォロア332がカム溝341に沿って移動している間、カム溝341とカムフォロア332との間のガタを抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態において、カムフォロア332が移動する範囲の一端における付勢部35の付勢力は、他端における付勢部35の付勢力よりも大きい。また、カムフォロア332が移動する範囲の一端には、複数の絞り羽根33が形成する絞り開口37が最も小さくなる小絞り状態においてカムフォロア332が位置する。上述したように、絞り開口37が小さくなるほど、各絞り羽根33が他の絞り羽根33から受ける、絞り開口37を大きくする方向への力が大きくなり、ステッピングモータ36の負荷が大きくなる。小絞り状態においてカムフォロア332が位置する小絞り位置(カムフォロア332が移動する範囲の一端)における付勢部35の付勢力を大きくすることで、カムフォロア332が小絞り位置にある絞り羽根33からステッピングモータ36に伝わる反力を小さくし、ステッピングモータ36にかかる負荷を低減することができる。
【0039】
また、本実施形態において、付勢部35はねじりコイルばねであり、カムフォロア332と接触する第1アーム352は、カム溝341と略平行である。これにより、カム溝341の壁341aと略直交する方向(図6(A)および図6(B)の矢印A1,A2参照)にカムフォロア332を付勢することができる。
【0040】
また、本実施形態において、付勢部35の第1アーム352は、絞り羽根33とカム板34との間に配置され、付勢部35の第2アーム353は、カム板34の絞り羽根33と反対側に配置される。これにより、付勢部35の全てをカム板34と絞り羽根33との間に設ける場合よりもカム板34を薄くすることができ、カム板34ひいては絞りユニット30を軽量化することができる。
【0041】
なお、上記実施形態では、付勢部35としてねじりコイルばねを用いていたが、これに限られるものではなく、例えば、壁341aに向かってカムフォロア332を付勢することが可能なばねであれば、板ばね又は圧縮ばね等を用いてもよい。
【0042】
また、上記実施形態において、付勢部35は壁341aに向かってカムフォロア332を付勢していたが、壁341bに向かってカムフォロア332を付勢してもよい。この場合、壁341bがカムフォロア332を案内する壁となる。
【0043】
また、上記実施形態において、付勢部35は、カム板34に取り付けられていたが、カムフォロア332をカム溝341の壁341aまたは341bに向かって付勢できれば、付勢部35は、回転部材32に取り付けられていてもよい。
【0044】
上述した実施形態は好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能であり、任意の構成要件を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 カメラ
20 レンズ鏡筒
30 絞りユニット
32 回転部材
33 絞り羽根
34 カム板
35 付勢部
37 絞り開口
331 支持部
332 カムフォロア
341 カム溝
341a,341b 壁
352 第1アーム

図1
図2
図3
図4
図5
図6