(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022151993
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】三次元計測装置、レーザ加工装置、及び三次元計測方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/25 20060101AFI20221004BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20221004BHJP
【FI】
G01B11/25 H
B23K26/00 B
B23K26/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021054580
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】西川 恭生
【テーマコード(参考)】
2F065
4E168
【Fターム(参考)】
2F065AA01
2F065AA17
2F065AA22
2F065AA26
2F065AA53
2F065AA58
2F065BB05
2F065DD03
2F065DD04
2F065FF04
2F065HH04
2F065JJ19
2F065JJ26
2F065MM11
2F065NN01
2F065QQ24
2F065QQ31
2F065TT08
4E168AA00
4E168CA06
4E168CA07
4E168CA13
4E168CA15
4E168CB04
4E168CB12
4E168CB22
4E168CB23
4E168DA02
4E168DA23
4E168DA24
4E168EA15
(57)【要約】
【課題】被測定物体の表面で走査中の測定光が映し出される画像を取得する際に、正反射時の明るさを抑制した態様で測定光を走査することによって、三次元形状の計測精度を向上させる三次元計測装置を提供する。
【解決手段】レーザ加工装置は、第1パラメータを用いて描画されるガイド光の測定パターンが映し出された第1画像を取得し(S10,S12)、第1画像に基づいて、加工対象物の加工面でガイド光が正反射する特異領域を特定し(S14)、特異領域以外では第1パラメータを用い、特異領域以内では第1パラメータとは異なる第2パラメータを用いて描画される、ガイド光の測定パターンが映し出された第2画像を取得し(S18,S20)、第2画像に基づいて、加工対象物の三次元形状を計測する(S22)。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定光を出射する測定光出射部と、
前記測定光を被測定物体の表面で走査する走査部と、
前記被測定物体の表面で反射する前記測定光を撮影する撮影部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記測定光の光量及び走査速度を含む第1パラメータを用いて前記測定光出射部及び前記走査部を制御することによって、前記被測定物体の表面に前記測定光で測定パターンを描画する第1描画処理と、
前記撮影部による撮影を行うことによって、前記第1描画処理によって描画中の前記測定パターンが映し出される第1画像を取得する第1取得処理と、
前記第1画像に基づいて、前記被測定物体の表面で前記測定光が正反射する特異領域の特定を行う画像処理と、
前記特異領域以外の前記被測定物体の表面では前記第1パラメータを用い、前記特異領域以内の前記被測定物体の表面では前記第1パラメータとは異なる前記測定光の光量及び走査速度を含む第2パラメータを用いて、前記測定光出射部及び前記走査部を制御することによって、前記被測定物体の表面に前記測定光で前記測定パターンを描画する第2描画処理と、
前記撮影部による撮影を行うことによって、前記第2描画処理によって描画中の前記測定パターンが映し出される第2画像を取得する第2取得処理と、
前記第2画像に基づいて、前記被測定物体の三次元形状を計測する形状計測処理と、を実行することを特徴とする三次元計測装置。
【請求項2】
前記第2パラメータの光量は、前記第1パラメータの光量よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の三次元計測装置。
【請求項3】
前記第2パラメータの走査速度は、前記第1パラメータの走査速度よりも速いことを特徴とする請求項1に記載の三次元計測装置。
【請求項4】
前記第2パラメータは、前記測定パターンに含まれる交点のうち前記特異領域以内の交点を除去する制御パラメータを含むことを特徴とする請求項1に記載の三次元計測装置。
【請求項5】
前記測定パターンは、複数の直線が直交する格子状であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の三次元計測装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の三次元計測装置と、
加工レーザ光を出射する加工レーザ光出射部と、
加工データと、前記形状計測処理によって計測される前記被測定物体の三次元形状とに基づいて、前記被測定物体の表面に前記加工レーザ光によるレーザ加工を行うレーザ加工制御部と、を備えることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項7】
前記測定光出射部は、前記測定光として可視レーザ光を出射することを特徴とする請求項6に記載のレーザ加工装置。
【請求項8】
測定光を出射する測定光出射部と、前記測定光を被測定物体の表面で走査する走査部と、前記被測定物体の表面で反射する前記測定光を撮影する撮影部と、を備える三次元計測装置において、前記被測定物体の三次元形状を前記測定光で計測する三次元計測方法であって、
前記測定光の光量及び走査速度を含む第1パラメータを用いて前記測定光出射部及び前記走査部を駆動させることによって、前記被測定物体の表面に前記測定光で測定パターンを描画する第1描画工程と、
前記撮影部による撮影を行うことによって、前記第1描画工程によって描画中の前記測定パターンが映し出される第1画像を取得する第1取得工程と、
前記第1画像に基づいて、前記被測定物体の表面で前記測定光が正反射する特異領域の特定を行う画像工程と、
前記特異領域以外の前記被測定物体の表面では前記第1パラメータを用い、前記特異領域以内の前記被測定物体の表面では前記第1パラメータとは異なる前記測定光の光量及び走査速度を含む第2パラメータを用いて、前記測定光出射部及び前記走査部を駆動させることによって、前記被測定物体の表面に前記測定光で前記測定パターンを描画する第2描画工程と、
前記撮影部による撮影を行うことによって、前記第2描画工程によって描画中の前記測定パターンが映し出される第2画像を取得する第2取得工程と、
前記第2画像に基づいて、前記被測定物体の三次元形状を計測する形状計測工程と、を備えることを特徴とする三次元計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被測定物体の三次元形状を測定光で計測する三次元計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記三次元計測装置に関し、種々の技術が提案されている。例えば、下記特許文献1に記載の技術は、コイル位置検出装置であって、コイルの運搬を行う天井クレーンに取り付けられ、レーザスポット光を直線状に走査して複数本のスリット光を形成してコイルに照射すると共に、そのときのレーザ光の投光角度を出力するレーザ光投光手段と、前記天井クレーンに取り付けられ、前記レーザ光が照射されているコイルを撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された画像と前記レーザ光投光手段の投光角度とから、レーザ光の輝度画像とそれに対応したレーザ光の投光角度とをそれぞれ合成する画像合成手段と、前記レーザ光の輝度画像と前記レーザ光の投光角度とからコイルのレーザ光照射部の3次元形状データを求める形状演算手段と、前記形状演算手段による3次元形状データの内、レーザ光の各投光角度によるレーザスリット光の面積を求めて、それが所定値以上の面積であるとき、そのときの投光角度によるデータを除去する正反射光ノイズ除去手段と、前記正反射光ノイズ除去手段からの3次元形状データをコイルの幅方向に投影し、コイルの径方向中心位置及びコイル径を求めると共に、前記コイルのレーザ光照射部の3次元形状データを基準面と平行なコイルの径方向に投影し、コイルの幅方向中心位置及びコイル幅を求めるコイル演算手段とを備えたことを特徴とする。
【0003】
下記特許文献1の記載によれば、上記コイル位置検出装置は、コイル形状・位置を計測するにあたって、ノイズとなる測定対象コイルからの強い正反射光があったとしても、強い正反射光があることを検出し、ノイズとなる強い正反射光データを除去するようにしたので、測定対象であるコイルの表面性状の制限をなくし、正確なコイルの径方向中心位置とコイル径及びコイルの幅方向中心位置とコイル幅を求めることが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようにして、コイル幅及び中心位置を高精度に求めるためには、ノイズとなる強い正反射光データを3次元形状データから除去する必要がある。データを除去して対処するため、三次元形状認識に必要なデータも除去する虞があった。
【0006】
そこで、本開示は、上述した点に鑑みてなされたものであり、被測定物体の表面で走査中の測定光が映し出される画像を取得する際に、正反射時の明るさを抑制した態様で測定光を走査することによって、三次元形状の計測精度を向上させる三次元計測装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書は、測定光を出射する測定光出射部と、測定光を被測定物体の表面で走査する走査部と、被測定物体の表面で反射する測定光を撮影する撮影部と、制御部と、を備え、制御部は、測定光の光量及び走査速度を含む第1パラメータを用いて測定光出射部及び走査部を制御することによって、被測定物体の表面に測定光で測定パターンを描画する第1描画処理と、撮影部による撮影を行うことによって、第1描画処理によって描画中の測定パターンが映し出される第1画像を取得する第1取得処理と、第1画像に基づいて、被測定物体の表面で測定光が正反射する特異領域の特定を行う画像処理と、特異領域以外の被測定物体の表面では第1パラメータを用い、特異領域以内の被測定物体の表面では第1パラメータとは異なる測定光の光量及び走査速度を含む第2パラメータを用いて、測定光出射部及び走査部を制御することによって、被測定物体の表面に測定光で測定パターンを描画する第2描画処理と、撮影部による撮影を行うことによって、第2描画処理によって描画中の測定パターンが映し出される第2画像を取得する第2取得処理と、第2画像に基づいて、被測定物体の三次元形状を計測する形状計測処理と、を実行することを特徴とする三次元計測装置を開示する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、三次元計測装置は、被測定物体の表面で走査中の測定光が映し出される画像を取得する際に、正反射時の明るさを抑制した態様で測定光を走査することによって、三次元形状の計測精度を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態のレーザ加工装置の概略構成が表された図である。
【
図2】同レーザ加工装置の電気的構成が表されたブロック図である。
【
図5】同レーザ加工装置が実行する各処理が表されたフローチャートである。
【
図10】第2変更例の第2画像が表された図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示のレーザ加工装置について、具体化した実施形態に基づき、図面を参照しつつ説明する。以下の説明に用いる
図1及び
図2では、基本的構成の一部が省略されて描かれており、描かれた各部の寸法比等は必ずしも正確ではない。尚、以下の説明において、上下方向は、
図1に示された通りである。
【0011】
[1.レーザ加工装置の概略構成]
先ず、
図1及び
図2に基づいて、本実施形態のレーザ加工装置1の概略構成について説明する。レーザ加工装置1は、印字情報作成部2及びレーザ加工部3で構成されている。印字情報作成部2は、パーソナルコンピュータ等で構成されている。
【0012】
レーザ加工部3は、加工レーザ光Pを加工対象物7の加工面8上で2次元走査してマーキング(印字)加工を行うものである。レーザ加工部3は、レーザコントローラ6を備えている。
【0013】
レーザコントローラ6は、コンピュータで構成され、印字情報作成部2と双方向通信可能に接続されている。レーザコントローラ6は、印字情報作成部2から送信された印字情報、パラメータ、各種指示情報等に基づいてレーザ加工部3を駆動制御する。
【0014】
レーザ加工部3の概略構成について説明する。レーザ加工部3は、レーザ発振ユニット12、ガイド光部15、ダイクロイックミラー101、光学系70、カメラ103、ガルバノスキャナ18、及びfθレンズ19等を備えており、不図示の略直方体形状の筐体カバーで覆われている。
【0015】
レーザ発振ユニット12は、レーザ発振器21等で構成されている。レーザ発振器21は、CO2レーザ、YAGレーザ等で構成されており、加工レーザ光Pを出射する。尚、加工レーザ光Pの光径は、不図示のビームエキスパンダで調整(例えば、拡大)される。
【0016】
ガイド光部15は、可視半導体レーザ28等で構成されている。可視半導体レーザ28は、可視可干渉光であるガイド光Q、例えば、赤色レーザ光を出射する。ガイド光Qは、不図示のレンズ群で平行光にされ、更に、2次元走査されることによって、例えば、加工レーザ光Pでマーキング(印字)加工すべき印字パターンの像、その像を取り囲んだ矩形の像、又は測定パターンの像等を、加工対象物7の加工面8上に軌跡(時間残像)で描画するものである。つまり、ガイド光Qには、マーキング(印字)加工能力がない。尚、本実施形態において、測定パターンは格子状であるが、それに関する詳細な説明については、後述する。
【0017】
ガイド光Qの波長は、加工レーザ光Pの波長とは異なる。本実施形態では、例えば、加工レーザ光Pの波長は1064nmであり、ガイド光Qの波長は、650nmである。
【0018】
ダイクロイックミラー101では、入射された加工レーザ光Pのほぼ全部が透過する。また、ダイクロイックミラー101では、加工レーザ光Pが透過する略中央位置にて、ガイド光Qが45度の入射角で入射され、45度の反射角で加工レーザ光Pの光路上に反射される。ダイクロイックミラー101の反射率は、波長依存性を持っている。具体的には、ダイクロイックミラー101は、誘電体層と金属層との多層膜構造の表面処理がなされており、ガイド光Qの波長に対して高い反射率を有し、それ以外の波長の光をほとんど(99%)透過するように構成されている。
【0019】
尚、
図1の一点鎖線は、加工レーザ光Pとガイド光Qの光軸10を示している。また、光軸10の方向は、加工レーザ光Pとガイド光Qの経路方向を示している。
【0020】
光学系70は、第1レンズ72、第2レンズ74、及び移動機構76を備えている。光学系70では、ダイクロイックミラー101を経た加工レーザ光Pとガイド光Qが、第1レンズ72に入射し通過する。その際、第1レンズ72によって、加工レーザ光Pとガイド光Qの各光径が縮小される。また、第1レンズ72を通過した加工レーザ光Pとガイド光Qは、第2レンズ74に入射し通過する。その際、第2レンズ74によって、加工レーザ光Pとガイド光Qが平行光にされる。移動機構76は、光学系モータ80と、光学系モータ80の回転運動を直線運動に変換するラック・アンド・ピニオン(不図示)等を備えており、光学系モータ80の回転制御によって、第2レンズ74を加工レーザ光Pとガイド光Qの経路方向に移動させる。
【0021】
尚、移動機構76は、第2レンズ74に代えて第1レンズ72を移動させる構成であってもよいし、第1レンズ72と第2レンズ74との間の距離が変わるように第1レンズ72と第2レンズ74の双方を移動させる構成であってもよい。
【0022】
ガルバノスキャナ18は、光学系70を経た加工レーザ光Pとガイド光Qとを2次元走査するものである。ガルバノスキャナ18では、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32とが、それぞれのモータ軸が互いに直交するように取り付けられ、各モータ軸の先端部に取り付けられた走査ミラー18X、18Yが内側で互いに対向している。そして、各モータ31、32の回転制御で、各走査ミラー18X、18Yを回転させることによって、加工レーザ光Pとガイド光Qとを2次元走査する。この2次元走査方向は、X方向とY方向である。
【0023】
fθレンズ19は、ガルバノスキャナ18によって2次元走査された加工レーザ光Pとガイド光Qとを加工対象物7の加工面8上に集光するものである。従って、加工レーザ光Pとガイド光Qは、各モータ31、32の回転制御によって、加工対象物7の加工面8上でX方向とY方向に2次元走査される。
【0024】
加工レーザ光Pとガイド光Qとでは、波長が異なる。そのため、光学系70における第1レンズ72と第2レンズ74との間の距離が一定の場合、加工レーザ光Pとガイド光Qが集光する位置(以下、「焦点位置F」という。)は、上下方向で異なってしまう。そこで、加工レーザ光Pとガイド光Qの焦点位置Fは、光学系70における第1レンズ72と第2レンズ74との間の距離が調整されることによって、加工対象物7の加工面8上に合わせられる。
【0025】
また、加工対象物7の加工面8の位置が上下方向で異なる場合も、同様にして、加工レーザ光Pとガイド光Qの焦点位置Fは、光学系70における第1レンズ72と第2レンズ74との間の距離が調整されることによって、加工対象物7の加工面8上に合わせられる。
【0026】
カメラ103は、加工対象物7の加工面8に向けられた状態で、fθレンズ19付近に設けられている。これにより、カメラ103は、例えば、加工対象物7の加工面8上において、ガルバノスキャナ18の2次元走査が繰り返されることによって描画されている測定パターンのガイド光Qの軌跡を撮像する。これにより、加工対象物7の加工面8が映し出された画像であって、測定パターンのガイド光Qの軌跡を含む画像が撮影される。
【0027】
次に、レーザ加工装置1を構成する印字情報作成部2とレーザ加工部3の回路構成について
図2に基づいて説明する。先ず、レーザ加工部3の回路構成について説明する。
【0028】
図2に表されるように、レーザ加工部3は、レーザコントローラ6、ガルバノコントローラ35、ガルバノドライバ36、レーザドライバ37、半導体レーザドライバ38、光学系ドライバ78、及びカメラ103等から構成されている。レーザコントローラ6は、レーザ加工部3の全体を制御する。レーザコントローラ6には、ガルバノコントローラ35、レーザドライバ37、半導体レーザドライバ38、及び光学系ドライバ78等が電気的に接続されている。また、レーザコントローラ6及びカメラ103には、外部の印字情報作成部2が双方向通信可能に接続されている。レーザコントローラ6は、印字情報作成部2から送信された各情報(例えば、印字情報、レーザ加工部3に対するパラメータ、ユーザからの各種指示情報等)を受信可能に構成されている。カメラ103は、印字情報作成部2から送信された各情報(例えば、撮像指示情報等)を受信可能に構成され、また、撮像した画像を印字情報作成部2に送信可能に構成されている。
【0029】
レーザコントローラ6は、CPU41、RAM42、及びROM43等を備えている。CPU41は、レーザ加工部3の全体の制御を行う演算装置及び制御装置である。CPU41、RAM42、及びROM43は、不図示のバス線により相互に接続されて、相互にデータのやり取りが行われる。
【0030】
RAM42は、CPU41により演算された各種の演算結果や印字パターンの(XY座標)データ等を一時的に記憶させておくためのものである。
【0031】
ROM43は、各種のプログラムを記憶させておくものであり、例えば、印字情報作成部2から送信された印字情報に基づいて印字パターンのXY座標データを算出して、加工データ44としてRAM42に記憶するプログラムや、ガイド光Qの軌跡で描く像の測定パターンのXY座標データを算出してRAM42に記憶するプログラム等が記憶されている。尚、各種プログラムには、上述したプログラムに加えて、例えば、各種のディレイ値、印字情報作成部2から入力された印字情報等に対応する印字パターンの太さ、深さ及び本数、レーザ発振器21のレーザ出力、加工レーザ光Pのレーザパルス幅、可視半導体レーザ28のレーザ出力、ガルバノスキャナ18による加工レーザ光Pを走査する速度、及びガルバノスキャナ18によるガイド光Qを走査する速度等を示す各種パラメータをRAM42に記憶するプログラム等がある。更に、ROM43には、歪補正のためのパラメータや、ガルバノスキャナ18、レーザ加工装置1のステータス情報(エラー情報、加工回数、加工時間等)が記憶されている。
【0032】
CPU41は、ROM43に記憶されている各種のプログラムに基づいて各種の演算及び制御を行う。
【0033】
CPU41は、加工データ44、ガイド光Qの軌跡で描く像の測定パターンのXY座標データ、ガルバノスキャナ18によるガイド光Qを走査する速度、及びガルバノスキャナ18による加工レーザ光Pを走査する速度等を示すガルバノ走査速度情報等を、ガルバノコントローラ35に出力する。また、CPU41は、加工データ44に基づいて設定したレーザ発振器21のレーザ出力、及び加工レーザ光Pのレーザパルス幅等を示すレーザ駆動情報を、レーザドライバ37に出力する。
【0034】
CPU41は、可視半導体レーザ28のレーザ出力、及び可視半導体レーザ28の点灯開始を指示するオン信号又は消灯を指示するオフ信号を半導体レーザドライバ38に出力する。
【0035】
ガルバノコントローラ35は、レーザコントローラ6から入力された各情報(例えば、加工データ44、ガイド光Qの軌跡で描く像の測定パターンのXY座標データ、ガルバノ走査速度情報等)に基づいて、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32の駆動角度、回転速度等を算出して、駆動角度及び回転速度を示すモータ駆動情報をガルバノドライバ36に出力する。ガルバノドライバ36は、ガルバノコントローラ35から入力されたモータ駆動情報に基づいて、ガルバノX軸モータ31とガルバノY軸モータ32を駆動制御して、加工レーザ光Pとガイド光Qを2次元走査する。
【0036】
レーザドライバ37は、レーザコントローラ6から入力されたレーザ発振器21のレーザ出力、及び加工レーザ光Pのレーザパルス幅等を示すレーザ駆動情報等に基づいて、レーザ発振器21を駆動させる。半導体レーザドライバ38は、レーザコントローラ6から入力された可視半導体レーザ28のレーザ出力、及びオン信号又はオフ信号に基づいて、可視半導体レーザ28を駆動させる。
【0037】
光学系ドライバ78は、レーザコントローラ6から入力された情報に基づいて、光学系モータ80を駆動制御して、第2レンズ74を移動させる。
【0038】
次に、印字情報作成部2の回路構成について説明する。印字情報作成部2は、制御部51、入力操作部55、液晶ディスプレイ(LCD)56、及びCD-ROMドライブ58等を備えている。制御部51には、不図示の入出力インターフェースを介して、入力操作部55、液晶ディスプレイ56、及びCD-ROMドライブ58等が接続されている。
【0039】
入力操作部55は、不図示のマウス及びキーボード等から構成されており、例えば、各種指示情報をユーザが入力する際に使用される。
【0040】
CD-ROMドライブ58は、各種データ、及び各種アプリケーションソフトウェア等をCD-ROM57から読み込むものである。
【0041】
制御部51は、印字情報作成部2の全体を制御すると共に、後述する画像処理を公知技術で実行することが可能なものであって、CPU61、RAM62、ROM63、及びハードディスクドライブ(以下、「HDD」という。)66等を備えている。CPU61は、印字情報作成部2の全体の制御を行う演算装置及び制御装置である。CPU61、RAM62、及びROM63は、不図示のバス線により相互に接続されており、相互にデータのやり取りが行われる。更に、CPU61とHDD66とは、不図示の入出力インターフェースを介して接続されており、相互にデータのやり取りが行われる。
【0042】
RAM62は、CPU61により演算された各種の演算結果等を一時的に記憶させておくためのものである。ROM63は、各種のプログラム等を記憶させておくものである。更に、ROM63には、フォントの種類別に、直線と楕円弧とで構成された各文字のフォントの始点、終点、焦点、曲率等のデータが記憶されている。また、RAM62には、三次元形状データ64が記憶されている。三次元形状データ64は、加工対象物7の加工面8の三次元形状を示すデータであるが、それに関する詳細な説明については、後述する。
【0043】
HDD66には、各種アプリケーションソフトウェアのプログラム、及び各種データファイル等が記憶される。
【0044】
[2.三次元形状の計測]
レーザ加工装置1は、加工レーザ光Pで加工対象物7の加工面8にマーキング(印字)加工を行うために、その前において、加工対象物7の加工面8の三次元形状を計測する。その際、加工対象物7の加工面8上には、2次元走査されるガイド光Qの軌跡によって、測定パターンが描画される。更に、比較的長時間露光させたカメラ103で、加工対象物7の加工面8が撮影されることによって、例えば、
図3に表される第1画像110が取得される。
【0045】
第1画像110では、ステージ112上及びステージ112に載置されている加工対象物7の加工面8上において、測定パターン114が映し出されている。測定パターン114は、複数の直線116が直交することによって複数の交点が形成される格子状のパターンであって、ガイド光Qの軌跡でステージ112上及び加工対象物7の加工面8上に描かれる。尚、ステージ112では、その平面上において、加工対象物7が載置されている。加工対象物7の加工面8は、半円柱の側面であって、上方へ張り出す面である(
図1参照)。
【0046】
レーザ加工装置1は、公知の画像処理技術を用いて、測定パターン114が映し出されている画像から、加工対象物7の加工面8上に描かれている測定パターン114の各交点の位置を検出し、その検出した測定パターン114の各交点の位置に基づいて、加工対象物7の加工面8の三次元形状を計測する。
【0047】
但し、第1画像110には、複数の正反射像118が映し出されている。正反射像118は、ガイド光Qが加工対象物7の加工面8上で正反射することによって、格子状の測定パターン114の一部が、円状に拡大してひときわ明るく第1画像110に映し出される領域である。そのような場合、測定パターン114の各交点のうち、正反射像118の近傍の交点も比較的に大きくなり、測定パターン114の各交点の位置を検出する精度が低下するので、加工対象物7の加工面8の三次元形状を計測する精度も低下する。
【0048】
そこで、レーザ加工装置1は、ガイド光Qが加工対象物7の加工面8上で正反射する際の明るさを抑制する態様で、ガイド光Qを加工対象物7の加工面8上に2次元走査して、測定パターン114を描画する。尚、この点に関する詳細な説明については、後述する。更に、レーザ加工装置1は、比較的長時間露光させたカメラ103で、加工対象物7の加工面8を撮影することによって、例えば、
図4に表される第2画像120を取得する。第2画像120では、第1画像110とは異なり、上記正反射像118が映し出されていない。そして、レーザ加工装置1は、この第2画像120から、加工対象物7の加工面8上に映し出されている測定パターン114の各交点の位置を検出し、その検出された測定パターン114の各交点の位置に基づいて、加工対象物7の加工面8の三次元形状を計測する。
【0049】
[3.制御フロー]
図5のフローチャートで表されたレーザ加工方法200のプログラムは、制御部51のROM63に記憶されており、加工レーザ光Pで加工対象物7の加工面8にマーキング(印字)加工を行う際に、制御部51のCPU61により実行される。従って、後述する処理において、制御対象がレーザ加工部3の構成要素である場合、カメラ103を除き、レーザコントローラ6を介した制御が行われる。尚、本プログラムは、CD-ROM57に保存されており、CD-ROMドライブ58によって読み込まれ、CPU61により実行されてもよい。
【0050】
レーザ加工方法200には、三次元計測方法210が含まれている。三次元計測方法210は、上述したようにして、加工対象物7の加工面8の三次元形状を計測する方法である。
【0051】
以下、本プログラムを説明する。先ず、ステップ(以下、単に「S」と表記する。)10の第1描画処理が行われる。この処理では、加工対象物7の加工面8が載置されたステージ112上において、少なくとも加工対象物7の加工面8を含む範囲に、測定パターン114がガイド光Qで描画される。そのために、CPU61は、測定パターン114に関する印字情報等に加えて、
図6に表される第1パラメータ122を、レーザコントローラ6に送信する。第1パラメータ122には、第1光量のパラメータ124(以下、「第1光量124」と略記する。)及び第1速度のパラメータ126(以下、「第1速度126」と略記する。)が含まれている。第1光量124は、ガイド光Qの光量、つまり可視半導体レーザ28のレーザ出力を示している。第1速度126は、ガルバノスキャナ18によるガイド光Qを走査する速度(以下、「ガイド光Qの走査速度」と略記する。)を示している。
【0052】
そして、第1描画処理S10では、第1光量124のガイド光Qがガイド光部15から出射されると共に、ガルバノスキャナ18の振角が所定角度となるように、ガルバノスキャナ18の各走査ミラー18X、18Yが第1速度126で回転させられる。そのような回転(走査)が繰り返されると、ステージ112上及び加工対象物7の加工面8上では、2次元走査中のガイド光Qによって、格子状の軌跡(つまり、測定パターン114)が描画される。
【0053】
第1取得処理S12では、カメラ103が加工対象物7の加工面8を撮影することによって、第1描画処理S10で描画中の測定パターン114を映し出した画像(具体的には、第1画像110)が取得される。その際、測定パターン114は、ROM63に記憶された露光時間の数値をもって、カメラ103によって撮影される。以下、具体例は、第1画像110を用いて説明する。
【0054】
画像処理S14では、第1取得処理で取得された画像に基づいて、特異領域の位置が特定される。特異領域とは、加工対象物7の加工面8上において、測定パターン114を描画中のガイド光Qが正反射する領域である。具体的には、CPU61は、例えば、
図8に表されるように、第1画像110から各正反射像118を画素の輝度等に基づいて抽出して取り除き、これによって測定パターン114が途切れた各領域に基づいて、加工対象物7の加工面8上における各特異領域128の位置を特定する。
尚、各特異領域128は、ガイド光Qの正反射によって出現するため、理論的にはガイド光Qと加工面8の形状とカメラ103との相対的位置関係によって、入射角=反射角の関係から一意に決まるものである。しかしながら,正反射光は、加工面8の表面状態(仕上げや材質等)によっても影響を受け、三次元形状の計測に影響を与える範囲が異なる。そのため、本実施形態のように、上記第1描画処理S10が実施されることが実際的である。
【0055】
判定処理S16では、加工対象物7の加工面8上に特異領域128があるかが判定される。上述したように、第1取得処理S12で第1画像110が取得された場合には、加工対象物7の加工面8上に特異領域128があることから(S16:YES)、第2描画処理S18が引き続き行われる。尚、第1取得処理S12で取得された画像から特異領域の位置が特定されない場合(S16:NO)、後述する形状計測処理S22が行われる。
【0056】
第2描画処理S18では、加工対象物7の加工面8が載置されたステージ112上において、少なくとも加工対象物7の加工面8を含む範囲に、第1描画処理S10とは異なる態様で、測定パターン114がガイド光Qで描画される。そのために、CPU61は、画像処理S14で特定した各特異領域128の位置データを、レーザコントローラ6に送信する。更に、CPU61は、
図7に表される第2パラメータ130を、レーザコントローラ6に送信する。第2パラメータ130には、第2光量のパラメータ132(以下、「第2光量132」と略記する。)及び第2速度のパラメータ134(以下、「第2速度134」と略記する。)が含まれている。第2光量132は、ガイド光Qの光量、つまり可視半導体レーザ28のレーザ出力を示している。第2速度134は、ガイド光Qの走査速度を示している。
【0057】
第2パラメータ130の第2光量132は、第1パラメータ122の第1光量124よりも低く設定されている。これに対して、第2パラメータ130の第2速度134は、第1パラメータ122の第1速度126と同じに設定されている。
【0058】
これにより、第2描画処理S18では、加工対象物7の加工面8の特異領域128と、特異領域128以外の加工対象物7の加工面8及びステージ112とでは、第1パラメータ122と第2パラメータ130とが使い分けられることによって、測定パターン114を描画するガイド光Qの光量が変更される。
【0059】
特異領域128以外の加工対象物7の加工面8及びステージ112において、ガイド光Qが走査される際は、CPU61は、測定パターン114に関する印字情報等に加えて、
図6に表される第1パラメータ122を、レーザコントローラ6に送信する。これにより、第1パラメータ122でガイド光部15及びガルバノスキャナ18が制御される。つまり、第1光量124のガイド光Qがガイド光部15から出射されると共に、ガルバノスキャナ18の振角が所定角度となるように、ガルバノスキャナ18の各走査ミラー18X、18Yが第1速度126で回転させられる。
【0060】
これに対して、加工対象物7の加工面8の特異領域128において、ガイド光Qが走査される際は、第2パラメータ130でガイド光部15及びガルバノスキャナ18が制御される。つまり、第2光量132のガイド光Qがガイド光部15から出射されると共に、ガルバノスキャナ18の振角が所定角度となるように、ガルバノスキャナ18の各走査ミラー18X、18Yが第2速度134で回転させられる。
【0061】
それらのような回転(走査)が繰り返されると、ステージ112上及び加工対象物7の加工面8上では、2次元走査中のガイド光Qによって、格子状の軌跡(つまり、測定パターン114)が描画される。
【0062】
以上より、特異領域128で走査されるガイド光Qの走査速度(第2速度134)は、特異領域128以外で走査されるガイド光Qの走査速度(第1速度126)と同じである。しかしながら、特異領域128で走査されるガイド光Qの光量(第2光量132)は、特異領域128以外で走査されるガイド光Qの光量(第1光量124)よりも低い。そのため、加工対象物7の加工面8上では、ガイド光Qが正反射する特異領域128において、ガイド光Qが正反射する際の明るさが抑制される。
【0063】
第2取得処理S20では、カメラ103が加工対象物7の加工面8を撮影することによって、第2描画処理S18で描画中の測定パターン114を映し出した画像(具体的には、第2画像120)が取得される。その際、第1取得処理S12と同様にして、測定パターン114は、ROM63に記憶された露光時間の数値をもって、カメラ103によって撮影される。
【0064】
形状計測処理S22では、第2取得処理S20で取得された画像に基づいて、加工対象物7の加工面8の三次元計測が行われる。具体的には、第2取得処理S20で第2画像120が取得された場合、上述したように、第2画像120から、加工対象物7の加工面8上に映し出されている測定パターン114の各交点の位置を検出し、その検出された測定パターン114の各交点の位置に基づいて、加工対象物7の加工面8の三次元形状を計測する。このようにして、計測された三次元形状を示すデータは、三次元形状データ64として、RAM62に記憶される。
【0065】
尚、第1取得処理S12で取得された画像に特異領域がない場合は(S16:NO)、その画像に基づいて、加工対象物7の加工面8の三次元計測が行われる。
【0066】
続いて、レーザ加工処理S24が行われる。この処理では、CPU61は、印字パターンに関する印字情報等に加えて、三次元形状データ64を、レーザコントローラ6に送信する。そして、レーザ加工部3では、光学系70の第2レンズ74が三次元形状データ64に基づいて移動させられることによって、加工レーザ光Pの焦点位置Fが加工対象物7の加工面8上に合わせられると共に、加工レーザ光Pが印字パターン(つまり、加工データ44)に基づいてガルバノスキャナ18で2次元走査される。これにより、加工レーザ光Pで加工対象物7の加工面8にマーキング(印字)加工が行われる。その後、レーザ加工方法200は、終了する。
【0067】
尚、レーザ加工方法200においては、S10乃至S22の各処理(第1取得処理S12で取得された画像に特異領域がない場合(S16:NO)を除く。)によって、三次元計測方法210が構成されている。
【0068】
[4.まとめ]
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、加工対象物7の加工面8上において、特異領域128で走査されるガイド光Qの光量(第2光量132)が、特異領域128以外で走査されるガイド光Qの光量(第1光量124)よりも低い(第2描画処理S18)。これにより、本実施の形態のレーザ加工装置1及び三次元計測方法210は、加工対象物7の加工面8の三次元計測(形状計測処理S22)で使用される画像であって、加工対象物7の加工面8で走査中のガイド光Qが映し出される第2画像120をカメラ103で取得する際に(第2取得処理S20)、正反射時の明るさを抑制した態様でガイド光Qを走査するので(第2描画処理S18)、三次元形状の計測精度を向上させることが可能である。
【0069】
ちなみに、レーザ加工装置1は、「三次元計測装置」の一例である。加工対象物7は、「被測定物体」の一例である。加工対象物7の加工面8は、「被測定物体の表面」の一例である。レーザ発振ユニット12は、「加工レーザ光出射部」の一例である。ガイド光部15は、「測定光出射部」の一例である。ガルバノスキャナ18及び光学系70は、「走査部」の一例である。CPU41は、「レーザ加工制御部」の一例である。カメラ103は、「撮影部」の一例である。第1光量124が示す光量は、「測定光の光量」の一例である。第1速度126が示す速度は、「走査速度」の一例である。第2光量132が示す光量は、「測定光の光量」の一例である。第2速度134が示す速度は、「走査速度」の一例である。ガイド光Qは、「測定光」及び「可視レーザ光」の一例である。第1描画処理S10は、「第1描画工程」の一例である。第1取得処理S12は、「第1取得工程」の一例である。画像処理S14は、「画像工程」の一例である。第2描画処理S18は、「第2描画工程」の一例である。第2取得処理S20は、「第2取得工程」の一例である。形状計測処理S22は、「形状計測工程」の一例である。
【0070】
[5.その他]
尚、本開示は、本実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0071】
例えば、上記実施形態とは異なり、第2パラメータ130の第2光量132は、第1パラメータ122の第1光量124と同じに設定され、第2パラメータ130の第2速度134は、第1パラメータ122の第1速度126よりも速く設定されてもよい。
【0072】
そのような第1変更例の場合、特異領域128で走査されるガイド光Qの光量(第2光量132)は、特異領域128以外で走査されるガイド光Qの光量(第1光量124)と同じである。しかしながら、特異領域128で走査されるガイド光Qの走査速度(第2速度134)は、特異領域128以外で走査されるガイド光Qの走査速度(第1速度126)よりも速い。そのため、加工対象物7の加工面8上では、ガイド光Qが正反射する特異領域128において、単位面積当たりのレーザ照射量が少なくなり、その結果、正反射時の明るさを抑制した態様でガイド光Qが走査されるので、三次元形状の計測精度が向上する。
尚、第2パラメータ130として、第1パラメータ122から変更される設定は、ガイド光Qの光量や、ガイド光Qの走査速度に限られない。例えば、ガイド光Qの波長(色)や、ガイド光Qのレーザ光径を変更するものであってもよい。
【0073】
また、第1取得処理S12で取得された画像の中には、例えば、
図9に表された第1画像110のように、測定パターン114の全交点のうち、加工対象物7の加工面8上の一部の交点上に正反射像118が映し出されている場合がある。交点部分では、2方向のガイド光Qが、重畳されて特に強い反射光となるので、大きなノイズ要因となる。そのような場合、以下の第2変更例が行われてもよい。
【0074】
第2変更例では、第2描画処理S18において、加工対象物7の加工面8上にガイド光Qで描画される測定パターン114が、画像処理S14で位置が特定される特異領域128内(つまり、第1画像110で正反射像118が映し出されている領域内)にある交点を除去した態様(以下、「交点除去態様」という。)で描画される。そのために、CPU61は、レーザコントローラ6に送信する第2パラメータ130に、測定パターン114を交点除去態様で描画する旨の制御パラメータを含ませる。これにより、加工対象物7の加工面8上では、ガイド光Qが正反射する特異領域128において、ガイド光Qが照射されない態様でガイド光Qが走査されるので、三次元形状の計測精度が向上する。
【0075】
但し、そのような場合、第2取得処理S20では、
図10に表された第2画像120が取得される。第2画像120では、加工対象物7の加工面8上において、その各特異領域128で途切れた測定パターン114が映し出されている。そのため、形状計測処理S22では、第2画像120で測定パターン114が途切れた領域に対して、測定パターン114の各直線116を延長させることによって、第2描画処理S18で除去された測定パターン114の各交点の位置を推定する。尚、
図10に表された交点除去態様では、交点の位置において、縦線を構成する直線116と横線を構成する直線116の双方が途切れた測定パターン114になるように描画されているが、これに限られない。例えば、縦線を構成する直線116と横線を構成する直線116のいずれか一方のみが途切れるように、又は交点ごとに縦線を構成する直線116と横線を構成する直線116とが交互に途切れるようにする等して、交点を持たないようにする測定パターン114が描画されてもよい。
【0076】
また、
図3に表される第1画像110のように、正反射像118が測定パターン114の交点の近傍にある場合、その近傍にある交点について、上記第2変更例が適用されてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1:レーザ加工装置、7:加工対象物、8:加工対象物の加工面、12:レーザ発振ユニット、15:ガイド光部、18:ガルバノスキャナ、41:CPU、44:加工データ、51:制御部、64:三次元形状データ、70:光学系、103:カメラ、110:第1画像、114:測定パターン、116:直線、120:第2画像、122:第1パラメータ、124:第1光量、126:第1速度、128:特異領域、130:第2パラメータ、132:第2光量、134:第2速度、210:三次元計測方法、P:加工レーザ光、Q:ガイド光、S10:第1描画処理、S12:第1取得処理、S14:画像処理、S18:第2描画処理、S20:第2取得処理、S22:形状計測処理。