(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022152654
(43)【公開日】2022-10-12
(54)【発明の名称】流体パッケージ及び流体パッケージユニット
(51)【国際特許分類】
B65D 77/30 20060101AFI20221004BHJP
B41J 2/175 20060101ALN20221004BHJP
【FI】
B65D77/30 C
B41J2/175 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055503
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】温井 康介
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 健太
(72)【発明者】
【氏名】坂口 愛
(72)【発明者】
【氏名】藤原 栄一
【テーマコード(参考)】
2C056
3E067
【Fターム(参考)】
2C056KC14
3E067AA03
3E067AB26
3E067AB96
3E067BA12A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067CA04
3E067CA11
3E067CA13
3E067EA32
3E067EB27
3E067EE02
3E067FA01
3E067FC01
3E067GD10
(57)【要約】
【課題】印刷層による層間の接着不良及び流体の紫外線硬化を低減できる流体パッケージを提供する。
【解決手段】流体パッケージ10は、フィルム20により画定された収容室11に流体を収容する袋形状のパウチ12と、収容室と連通するスパウト13と、を備え、フィルムは、外側層25と、外側層との積層方向において外側層よりも収容室側に配置された内側層23と、積層方向において外側層及び内側層の間に設けられ、積層方向と直交する直交方向において外側層の外周縁及び内側層の外周縁よりも内側の位置であって収容室の外周縁と同じ位置又は収容室の外周縁よりも外側の位置に設けられた外周縁を有し、収容室の全体を覆い、紫外線を遮断する遮光層21と、記遮光層を挟んで外側層及び内側層を接着し、遮光層を取り囲む位置にて外側層及び内側層を直接接着する直接接着領域28を含む接着層24と、を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムにより画定された収容室に流体を収容する袋形状のパウチと、
前記収容室と連通するスパウトと、を備え、
前記フィルムは、
外側層と、
前記外側層との積層方向において前記外側層よりも前記収容室側に配置された内側層と、
前記積層方向において前記外側層及び前記内側層の間に設けられ、前記積層方向と直交する直交方向において前記外側層の外周縁及び前記内側層の外周縁よりも内側の位置であって前記収容室の外周縁と同じ位置又は前記収容室の外周縁よりも外側の位置に設けられた外周縁を有し、前記収容室の全体を覆い、紫外線を遮断する遮光層と、
前記遮光層を挟んで前記外側層及び前記内側層を接着し、前記遮光層を取り囲む位置にて前記外側層及び前記内側層を直接接着する直接接着領域を含む接着層と、を有している、流体パッケージ。
【請求項2】
前記フィルムは、第1壁、及び、前記積層方向において前記第1壁と前記収容室を挟んで配置された第2壁を有し、
前記遮光層は、前記直交方向においてその面積が前記収容室の面積よりも大きく、前記第1壁に配置された第1遮光層及び前記第2壁に配置された第2遮光層を有している、請求項1に記載の流体パッケージ。
【請求項3】
前記フィルムは、
前記第1壁に設けられ、前記積層方向において前記第1遮光層よりも前記収容室から遠くに前記第1遮光層を覆うように配置され、第1指標を含み、情報を表示するための第1表示用印刷層と、
前記第2壁に設けられ、前記積層方向において前記第2遮光層よりも前記収容室から遠くに前記第2遮光層を覆うように配置され、前記第1指標に対して位置合わせするための第2指標を含み、情報を表示するための第2表示用印刷層と、を有している、請求項2に記載の流体パッケージ。
【請求項4】
前記第1指標は、前記直交方向と平行な第1方向の位置合わせ用の第1縦指標、及び、前記直交方向と平行で且つ前記第1方向に直交する第2方向の位置合わせ用の第1横指標を有し、
前記第2指標は、前記第1方向において前記第1縦指標に並ぶように配置された第2縦指標、及び、前記第2方向において前記第1横指標に並ぶように配置された第2横指標を有している、請求項3に記載の流体パッケージ。
【請求項5】
前記パウチは、
前記積層方向において前記収容室を挟んで前記第1遮光層と前記第2遮光層とが積層されるように前記直交方向と平行な第1方向に並んだ前記第1遮光層と前記第2遮光層との間が折り曲げられた折り曲げ縁と、
前記第1方向において前記収容室を挟んで前記折り曲げ縁から遠い開口縁と、を有し、
前記第2指標は、前記第1方向において前記折り曲げ縁よりも前記開口縁に近くに配置されている、請求項3に記載の流体パッケージ。
【請求項6】
前記パウチは、前記収容室の周囲を取り囲む範囲において、前記スパウトと前記フィルムが溶着されたスパウト溶着部と、前記積層方向において前記収容室を挟んで対向する前記フィルム同士が溶着されたフィルム溶着部とを有し、
前記フィルムは、前記スパウト溶着部及び前記フィルム溶着部の少なくともいずれか一方の溶着部において、前記直接接着領域が部分的に設けられた透明な窓部を有している、請求項1~5のいずれか一項に記載の流体パッケージ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の流体パッケージと、
前記流体パッケージを着脱可能な装着部と、
前記装着部により装着された前記流体パッケージの前記パウチを巻き取る巻取機構と、を備え、
前記パウチは、前記収容室の周囲を取り囲む範囲において、前記スパウトと前記フィルムが溶着されたスパウト溶着部と、前記積層方向において前記収容室を挟んで対向する前記フィルム同士が溶着されたフィルム溶着部とを有し、
前記フィルム溶着部は、前記直交方向と平行な第1方向において前記収容室よりも前記スパウトから離れて配置され、前記直接接着領域を有する三角形状の底辺溶着部を有し、
前記パウチは、前記底辺溶着部から前記スパウトに向かう方向に前記巻取機構により巻き取られる、流体パッケージユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体パッケージ及び流体パッケージユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体パッケージとして、例えば、特許文献1の包装袋が知られている。この包装袋の一部には、隠蔽領域が設けられている。この隠蔽領域は、基材層、基材層の内側に積層された絵柄印刷層、及び、基材層との間に絵柄印刷層を挟んで接着剤層により基材層と接着された中間層とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の包装袋では、絵柄印刷層が基材層及び中間層よりも小さい。このため、絵柄印刷層よりも外側において基材層及び中間層が直接、接着されており、絵柄印刷層に起因する基材層と中間層との接着力低下が低減されている。
【0005】
しかしながら、例えば、紫外線硬化性インク等の内容物を包装袋の内部空間に収容する場合、内容物の硬化を防止するために、包装袋は遮光性を要する。これに対して特許文献1の包装袋は、仮に絵柄印刷層が遮光性を有していたとしても、絵柄印刷層は包装袋の内部空間よりも小さいため、内容物に対して十分に遮光することができない。
【0006】
本発明はこのような事態に鑑み、印刷層による層間の接着不良及び流体の紫外線硬化を低減することができる流体パッケージ及び流体パッケージユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る流体パッケージは、フィルムにより画定された収容室に流体を収容する袋形状のパウチと、前記収容室と連通するスパウトと、を備え、前記フィルムは、外側層と、前記外側層との積層方向において前記外側層よりも前記収容室側に配置された内側層と、前記積層方向において前記外側層及び前記内側層の間に設けられ、前記積層方向と直交する直交方向において前記外側層の外周縁及び前記内側層の外周縁よりも内側の位置であって前記収容室の外周縁と同じ位置又は前記収容室の外周縁よりも外側の位置に設けられた外周縁を有し、前記収容室の全体を覆い、紫外線を遮断する遮光層と、前記遮光層を挟んで前記外側層及び前記内側層を接着し、前記遮光層を取り囲む位置にて前記外側層及び前記内側層を直接接着する直接接着領域を含む接着層と、を有している。
【0008】
本発明に係る流体パッケージユニットは、流体パッケージと、前記パウチを巻き取る巻取機構と、前記巻取機構を搭載し、前記流体パッケージを着脱可能な装着部と、を備え、前記パウチは、前記収容室の周囲を取り囲む範囲において、前記スパウトが挿入される挿入口と、前記積層方向において前記収容室を挟んで対向する前記フィルム同士が溶着されたフィルム溶着部とを有し、前記フィルム溶着部は、前記直交方向と平行な第1方向において前記挿入口との間に前記収容室及び前記遮光層を挟んで配置された三角形状の底辺溶着部を有し、前記パウチは、前記底辺溶着部から前記挿入口に向かう方向に前記巻取機構により巻き取られる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、印刷層による層間の接着不良及び流体の紫外線硬化を低減することができる流体パッケージ及び流体パッケージユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】流体パッケージを前方から視た概略図である。
【
図2】上下方向に直交した面により切断されたパウチの断面図である。
【
図3】
図3(a)は第1壁の断面図である。
図3(b)は第2壁の断面図である。
【
図4】流体パッケージを前方から視た概略図である。
【
図5】流体パッケージユニットを右側から視た概略図である。
【
図6】
図6(a)は、第1指標及び第2指標を有するフィルムを前方から視た概略図である。
図6(b)は、
図6(a)のフィルムを用いた流体パッケージを前方から視た概略図である。
【
図7】
図7(a)は、第1縦指標、第1横指標、第2縦指標及び第2横指標を有するフィルムを前方から視た概略図である。
図7(b)は、
図7(a)のフィルムを用いた流体パッケージを前方から視た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付している。
【0012】
(実施の形態)
<流体パッケージの構成>
流体パッケージ10は、
図1に示すように、例えば、インク、飲料水、液体洗剤及び食用油等の流体を収容する容器である。
図1及び
図2に示すように、流体パッケージ10は、フィルム20により画定された収容室11に流体を収容する袋形状のパウチ12と、収容室11と連通するスパウト13と、を備えている。このフィルム20は、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、外側層25、及び、外側層25との積層方向において外側層25よりも収容室11側に配置された内側層23を有している。
【0013】
なお、外側層25と内側層23とが積層された積層方向を前後方向と称する。前後方向に対して交差(例えば、直交)する第1方向を上下方向と称する。前後方向及び左右方向に対して交差(例えば、直交)する第2方向を左右方向と称する。但し、流体パッケージ10の配置がこれらの方向に限定されない。
【0014】
パウチ12は、例えば、上下方向の長さL1であり、左右方向の長さWの五角形状である。パウチ12は、前後方向において、収容室11を互いの間に挟む第1壁20f及び第2壁20sを備えている。パウチ12は、上下方向に直交する方向において、収容室11の周囲を取り囲む範囲に、スパウト13が挿入される挿入口15、第1壁20f及び第2壁20sを溶着するフィルム溶着部30、及び、第1壁20f及び第2壁20sとスパウト13とを溶着するスパウト溶着部36を有している。
【0015】
挿入口15は、左右方向において、パウチ12の中央に配置され、フィルム溶着部30に挟まれている。挿入口15は、前後方向において第1壁20fと第2壁20sとの間に挟まれている。挿入口15は、上下方向において、その下端が収容室11の上側開口に接続され、収容室11から上方に延びて、その上端が開口している。
【0016】
スパウト13は、円筒及び角筒等の筒形状であって、その内部に連通路14を有しており、例えば、樹脂等により形成されている。連通路14が上下方向に延びるように、スパウト13の下部がパウチ12の挿入口15に挿入され、パウチ12の上端から上方に突出している。スパウト13の下部は、スパウト溶着部36によりパウチ12に密着され、パウチ12との間が密閉されている。連通路14を介してパウチ12内の収容室11内と収容室11外とを連通し、収容室11から流体を出すときに、流体は挿入口15を通過する。
【0017】
フィルム20は、可撓性を有し、第1壁20f、及び、第1壁20fよりも後側に配置された第2壁20sを備えている。第1壁20f及び第2壁20sは、互いに同一形状、同一面積を有しており、互いに重なるように配置されている。
【0018】
第1壁20fは、
図3(a)に示すように、内側層23である第1内側層23f、接着層24である第1接着層24fを介して第1内側層23f上に積層された遮光層21である第1遮光層21f、第1遮光層21f上に積層された表示用印刷層22である第1表示用印刷層22f、第1表示用印刷層22f上に積層された外側層25である第1外側層25fを有している。
【0019】
第1内側層23fは、前後方向において、第1外側層25fよりも後方であって、パウチ12において第1外側層25fよりも収容室11側である内側に配置され、パウチ12の内面及び第1壁20fの内面を構成している。第1外側層25fは、パウチ12の外面及び第1壁20fの外面を構成する。
【0020】
第1内側層23fは、透明であって、例えば、矩形状を有し、複数の層を有していている。
図3(a)の例では、第1内側層23fは、第1層23a、接着層23bを介して第1層23a上に積層された第2層23c、及び、接着層23dを介して第2層23c上に積層された第3層23eを有している。第1層23aは、第1内側層23fにおいて第3層23eよりも内側に配置され、パウチ12の内面及び第1壁20fの内面を構成している。なお、第1内側層23fにおいて層が積層される順番はこの順に限定されない。
【0021】
第1層23aは、第1壁20fと第2壁20sとが溶着可能なように、例えば、ポリエチレン樹脂から成る。第2層23cは、フィルム20が柔軟性を有するように、例えば、ナイロン樹脂から成る。第3層23eは、気体の通過を遮断するように、例えば、PET樹脂から成る。なお、第1内側層23fは単層により構成されていてもよい。
【0022】
接着層23b、接着層23d及び第1接着層24fは、例えば、接着性を有する樹脂から成り、例えばアクリル系樹脂及びエポキシ系樹脂等を用いることができる。
【0023】
第1接着層24fは、例えば、透明であって、その面積が第1遮光層21fの面積及び第1表示用印刷層22fの面積よりも大きく、第1内側層23f及び第1外側層25fと同一形状及び同一面積を有している。前後方向に直交する方向において、第1接着層24fの外周縁24fpは、第1遮光層21fの外周縁21fp及び第1表示用印刷層22fの外周縁22fpの周囲を取り囲み、第1内側層23fの外周縁23fp及び第1外側層25fの外周縁25fpと一致し、パウチ12の外周縁12pを構成する。なお、以下では、第1遮光層21fの外周縁21fp及び第1表示用印刷層22fの外周縁22fpが互いに一致する場合について説明する。但し、第1表示用印刷層22fの外周縁22fpが第1遮光層21fの外周縁21fpの周囲を取り囲んでいてもよい。
【0024】
このため、第1接着層24fは、第1遮光層21fの外周縁21fp及び外周縁21fpよりも前後方向に直交する方向における内側では、第1内側層23fと第1遮光層21fとを接着する。また、第1接着層24fは、第1遮光層21fの外周縁21fpよりも外側では、第1内側層23fと第1外側層25fとを接着し、直接接着領域28が形成される。
【0025】
このように、直接接着領域28は、フィルム20において内側層23と外側層25とが接着層24により直接、接着された領域である。この内側層23、外側層25及び接着層24のいずれも透明である。また、直接接着領域28は、遮光層21及び表示用印刷層22を含まない。このため、直接接着領域28は、透明である。なお、透明は、光透過性を有し、半透明、及び、有色な透明も含まれる。
【0026】
第1遮光層21fは、紫外線を遮断する層であって、他の層よりも紫外線の遮断率が高い。この遮断率は、流体の要求性能に応じて予め定められている。例えば、第1遮光層21fは、印刷層であって、黒色等の紫外線の遮断率が高い色のインクが第1接着層24fに付着して形成されている。なお、第1遮光層21fは、例えば、アルミニウムなどの金属箔、及び、樹脂等の薄膜にアルミニウム等の金属を蒸着した金属蒸着膜の金属層であってもよい。
【0027】
第1遮光層21fの外周縁21fpは、
図1に示すように、前後方向に対して直交する方向において、パウチ12の外周縁12pよりも内側の位置であって、収容室11の外周縁11pと同じ位置又は収容室11の外周縁11pよりも外側の位置に設けられている。これにより、第1遮光層21fは、その面積が収容室11の前側面の面積と同じ面積又はそれよりも大きく、収容室11の前側全体を覆う。
【0028】
第1表示用印刷層22fは、
図3(a)に示すように、情報を表示するための層であって、情報は、例えば、収容室11に収容された流体の内容を表す情報を含んでいる。第1表示用印刷層22fは、前後方向において第1遮光層21fよりも収容室11から離れた位置に配置され、第1遮光層21f上に積層されて、第1遮光層21fの少なくとも一部を覆う。例えば、第1表示用印刷層22fは、印刷層であって、第1遮光層21fと異なる色のインクが第1遮光層21fに付着して形成されている。
【0029】
第1外側層25fは、第1表示用印刷層22fの外周縁22fp及びこの外周縁22fpよりも前後方向に直交する方向における内側では第1表示用印刷層22fを覆い、第1表示用印刷層22fを外部から保護する。また、第1外側層25fは、パウチ12の外側から第1表示用印刷層22fを視認可能なように透明な樹脂から成る。第1外側層25fは、前後方向に直交する方向における第1表示用印刷層22fよりも外側では第1接着層24fを覆い、第1接着層24fを外部から保護する。
【0030】
第2壁20sは、
図3(b)に示すように、内側層23である第2内側層23s、接着層24である第2接着層24sを介して第2内側層23s上に積層された遮光層21である第2遮光層21s、第2遮光層21s上に積層された表示用印刷層22である第2表示用印刷層22s、及び、第2表示用印刷層22s上に積層された外側層25である第2外側層25sを有している。
【0031】
なお、第2内側層23sは第1内側層23fと同様の構成を有し、第2接着層24sは第1接着層24fと同様の構成を有し、第2遮光層21sは第1遮光層21fと同様の構成を有し、第2表示用印刷層22sは第1表示用印刷層22fと同様の構成を有し、第2外側層25sは第1外側層25fと同様の構成を有している。また、第1内側層23f及び第2内側層23sを内側層23と称し、第1接着層24f及び第2接着層24sを接着層24と称し、第1遮光層21f及び第2遮光層21sを遮光層21と称し、第1表示用印刷層22f及び第2表示用印刷層22sと表示用印刷層22と称し、第1外側層25f及び第2外側層25sを外側層25と称することがある。
【0032】
図1に示すように、第1遮光層21f及び第2遮光層21sは、互いに同一形状及び同一面積を有している。パウチ12において、第1遮光層21fの外周縁21fp及び第2遮光層21sの外周縁21spは、互いに重なり合い、収容室11の外周縁11pの周囲を取り囲んでいる。これにより、第1遮光層21f及び第2遮光層21sは、収容室11の全体を覆う。
【0033】
<直接接着領域、スパウト溶着部及びフィルム溶着部>
図4に示すように、スパウト溶着部36及びフィルム溶着部30は、収容室11の周囲を取り囲むようにパウチ12に設けられており、収容室11を密閉している。スパウト溶着部36は、挿入口15に挿入されたスパウト13の下部の外周面と、パウチ12の第1壁20fの内面及び第2壁20sの内面とが溶着されて形成された部分である。
【0034】
フィルム溶着部30は、第1壁20fと第2壁20sとが溶着されて形成されており、例えば、U字形状である。フィルム溶着部30は、右側辺溶着部31、左側辺溶着部32、底辺溶着部33、右天辺溶着部34、左天辺溶着部35を有している。右側辺溶着部31は、パウチ12において収容室11よりも右側設けられ、左側辺溶着部32は、パウチ12において収容室11よりも左側に設けられている。右側辺溶着部31及び左側辺溶着部32は、左右方向において互いの間に収容室11を挟んで配置され、互いに平行であって上下方向に延びている。
【0035】
底辺溶着部33は、パウチ12において収容室11よりも下方に設けられている。底辺溶着部33は、その上端が右側辺溶着部31の下端及び左側辺溶着部32の下端に接続されている。底辺溶着部33は、例えば、三角形状であって、収容室11から下方ほど左右方向の長さが短くなるように、下方に尖った形状を有している。上下方向における底辺溶着部33の長さD1が、左右方向における右側辺溶着部31の長さW及び左側辺溶着部32の長さWよりも長い。
【0036】
右天辺溶着部34は、収容室11よりも上側において挿入口15よりも右側に設けられ、左天辺溶着部35は、収容室11よりも上側において挿入口15よりも左側に設けられている。右天辺溶着部34は、挿入口15の右端から右側へ延び、その下端が右側辺溶着部31の上端に接続されている。左天辺溶着部35は、挿入口15の左端から左側へ延び、その下端が左側辺溶着部32の上端に接続されている。
【0037】
直接接着領域28は、前後方向に直交する方向において、遮光層21の外周縁21pよりも外側であって、パウチ12の外周縁12pよりも内側に設けられている。この遮光層21の外周縁21pは、収容室11の外周縁11pであるスパウト溶着部36の下側縁36p及びフィルム溶着部30の内周縁30pとパウチ12の外周縁12pとの間に設けられている。このため、直接接着領域28は、スパウト溶着部36及びフィルム溶着部30のうち、遮光層21の外周縁21pよりも外側に設けられている。
【0038】
このフィルム溶着部30の底辺溶着部33は、遮光層21よりも下方に配置されており、直接接着領域28により形成されている。なお、底辺溶着部33の上端と下端との間に遮光層21の下端が配置されており、底辺溶着部33は部分的に遮光層21を含んでいてもよい。
【0039】
また、スパウト溶着部36、及び、フィルム溶着部30の右天辺溶着部34及び左天辺溶着部35には、窓部37が設けられている。窓部37は、例えば、矩形状であって、左右方向においてスパウト溶着部36及びフィルム溶着部30に亘るように設けられている。なお、窓部37は、スパウト溶着部36、及び、フィルム溶着部30の少なくともいずれか一方に設けられていてもよい。
【0040】
窓部37は、上下方向において、収容室11よりも上方に配置され、パウチ12の上端から下方に延びている。窓部37の上部37aは、透明な直接接着領域28により構成されている。このため、上下方向において、直接接着領域28の上端と窓部37の上端とは共にパウチ12の上端に一致し、直接接着領域28の下端は窓部37の上端と下端との間に位置している。窓部37の下部37bは、内側層23及び外側層25から成り、遮光層21、表示用印刷層22及び接着層24を含まない。このため、窓部37の下部37bは窓部37の上部37aよりも透明度が高い。
【0041】
このような流体パッケージ10において、フィルム20は、透明な外側層25と、外側層25との積層方向(例えば、前後方向)において外側層25よりも収容室11側に配置された透明な内側層23と、前後方向において外側層25及び内側層23の間に設けられ、前後方向と直交する直交方向において外側層25の外周縁及び内側層23の外周縁よりも内側の位置であって収容室11の外周縁と同じ位置又は収容室11の外周縁よりも外側の位置に設けられた外周縁を有し、収容室11の全体を覆い、紫外線を遮断する遮光層21と、遮光層21を挟んで外側層25及び内側層23を接着し、遮光層21を取り囲む位置にて外側層25及び内側層23を直接接着する直接接着領域28を含む接着層24と、を有している。
【0042】
これによれば、遮光層21の周囲において、内側層23と外側層25とを接着層24で接着した直接接着領域28が設けられている。これにより、遮光層21を内側層23と外側層25との間に挟むことに起因するフィルム20における層間の接着不良を低減することができる。また、遮光層21が収容室11の全体を覆うことにより、収容室11内の流体を遮光し、紫外線に起因する流体の劣化を低減することができる。
【0043】
さらに、透明な直接接着領域28を通して、収容室11からの流体のリークの有無を目視で容易に確認することができる。また、遮光層21の面積を減少させ、遮光層21に起因するパウチ12の剛性増加を低減する。このため、パウチ12を巻き取る場合、パウチ12を巻き取り易くすることができる。また、仮に遮光層21が印刷層により形成されている場合、金属製の遮光層21よりもパウチ12の剛性増加を低減し、パウチ12を巻き取り易くすることができる。
【0044】
また、流体パッケージ10では、フィルム20は、第1壁20f、及び、前後方向において第1壁20fと収容室11を挟んで配置された第2壁20sを有し、遮光層21は、前後方向に直交する方向においてその面積が収容室11の面積よりも大きく、第1壁20fに配置された第1遮光層21f及び第2壁20sに配置された第2遮光層21sを有している。
【0045】
これによれば、第1遮光層21fの面積及び第2遮光層21sの面積が収容室11の面積よりも大きい。このため、第1壁20fと第2壁20sとを重ねた際に、第1遮光層21fと第2遮光層21sとがずれても、第1遮光層21f及び第2遮光層21sが収容室11を覆えない状況を低減することができる。
【0046】
また、流体パッケージ10では、収容室11と連通するスパウト13を備え、パウチ12は、収容室11の周囲を取り囲む範囲において、スパウト13とフィルム20が溶着されたスパウト溶着部36と、前後方向において収容室11を挟んで対向するフィルム20同士が溶着されたフィルム溶着部30とを有している。フィルム20は、スパウト溶着部36及びフィルム溶着部30の少なくともいずれか一方の溶着部において、直接接着領域28が部分的に設けられた透明な窓部37を有している。
【0047】
これによれば、透明な窓部37を通してスパウト溶着部36及びフィルム溶着部30における収容室11からの流体のリークを容易に確認することができる。さらに、窓部37のうち直接接着領域28が設けられていない部分は直接接着領域28よりも透明度が高いため、その部分を通してさらに容易に流体のリークを確認することができる。
【0048】
<流体パッケージユニット>
流体パッケージユニット40は、
図5に示すように、例えば、プリンタ等に流体パッケージ10を使用する装置に備えられる。流体パッケージ10は、装置に脱着可能であってもよいし、装置に固定されていてもよい。流体パッケージユニット40は、流体パッケージ10及びケース41を有している。
【0049】
ケース41は、例えば、前面が開口した直方体形状を有しており、開口部41a、後面部41b及び4枚の側面部41cを有している。開口部41aはケース41の前部に配置されており、その周囲が4枚の側面部41cにより取り囲まれている。後面部41bは、ケース41の後部に配置されており、前後方向において開口部41aとは反対側に設けられている。ケース41の内部には、装着部42及び巻取機構43が備えられている。
【0050】
装着部42は、流体パッケージ10のスパウト13が脱着可能に取り付けられる。巻取機構43は、例えば、装着部42よりも下方に配置されており、板バネ43a、ローラ43b及び移動機構43cを有している。板バネ43aはパウチ12をローラ43b側に付勢する。ローラ43bは、左右方向に軸が延び、上下方向に移動可能に移動機構43cに支持されている。移動機構43cは、ケース41の側面部41cにおいて上下方向に延びて、ローラ43bが回転可能にローラ43bを支持する。
【0051】
このような流体パッケージユニット40を用いる場合、まず、ユーザは、流体パッケージ10を開口部41aからケース41内に挿入する。この際、ユーザは、流体パッケージ10の前面を手前にして、流体パッケージ10の後面がケース41の後面部41bに対向するように、流体パッケージ10を配置する。これにより、ユーザは、開口部41aを介して流体パッケージ10の前面にある表示用印刷層22を視認できる。このため、例えば、複数種類のケース41がある場合に、ユーザは表示用印刷層22の内容を確認しながら、流体パッケージ10を適切なケース41に取り付けることができる。
【0052】
続いて、ユーザは、流体パッケージ10のスパウト13を装着部42に取り付ける。これにより、流体パッケージ10は、スパウト13を上側にして、パウチ12がスパウト13から下方に延びている。そして、ユーザは、パウチ12の底辺溶着部33をローラ43bと板バネ43aとの間に挟む。これにより、底辺溶着部33が板バネ43aによりローラ43b側に押し付けられる。収容室11の流体が外部に排出されるに伴い、パウチ12の厚みが薄くなる。これに応じて、板バネ43aの付勢力によりローラ43bが回転し、パウチ12が底辺溶着部33からローラ43bにより巻き取られ、ローラ43bは移動機構43cに沿ってスパウト13側に移動する。なお、ローラ43bを回転するモータが設けられていてもよい。
【0053】
このような流体パッケージユニット40は、
図4及び
図5に示すように、流体パッケージ10と、流体パッケージ10を着脱可能な装着部42と、装着部42により装着された流体パッケージ10のパウチ12を巻き取る巻取機構43と、を備えている。流体パッケージ10は、収容室11と連通するスパウト13を有している。パウチ12は、収容室11の周囲を取り囲む範囲において、スパウト13とフィルム20が溶着されたスパウト溶着部36と、前後方向において収容室11を挟んで対向するフィルム20同士が溶着されたフィルム溶着部30とを有している。フィルム溶着部30は、上下方向において収容室11よりもスパウト13から離れて配置され、直接接着領域28を有する三角形状の底辺溶着部33を有している。パウチ12は、底辺溶着部33からスパウト13に向かう方向に巻取機構43により巻き取られる。
【0054】
これによれば、底辺溶着部33の直接接着領域28は、遮光層21を含まないため、剛性の増加が抑制され、底辺溶着部33を巻き取り易い。また、底辺溶着部33は三角形状であるため、剛性を低減でき、底辺溶着部33を巻き取り易い。
【0055】
<変形例1>
変形例1に係る流体パッケージ10では、上記実施の形態において、
図3(a)、
図3(b)及び
図6(a)に示すように、フィルム20は、第1壁20fに設けられ、前後方向において第1遮光層21fよりも収容室11から遠くに第1遮光層21fを覆うように配置され、第1指標26を含み、情報を表示するための第1表示用印刷層22fと、第2壁20sに設けられ、前後方向において第2遮光層21sよりも収容室11から遠くに第2遮光層21sを覆うように配置され、第1指標26に対して位置合わせするための第2指標27を含み、情報を表示するための第2表示用印刷層22sと、を有している。
【0056】
例えば、
図6(a)に示すように、第1壁20fの第1表示用印刷層22fは、第1表示部分22fa、及び、第1指標26を有している。第1表示部分22faは、五角形状であって、第1遮光層21f上に積層されている。第1指標26は、円環形状であって、第1表示部分22faの左端から左側に突出しており、第1遮光層21fよりも左側に配置されている。
【0057】
第2壁20sの第2表示用印刷層22sは、第2表示部分22sa、及び、第2指標27を有している。第2表示部分22saは、五角形状であって、第2遮光層21s上に積層されている。第2指標27は、円形状であって、第2表示部分22saの左端から左側に突出しており、第2遮光層21sよりも左側に配置されている。第2指標27は、第1壁20fと第2壁20sとが互いに重なるように配置されたときに、その周囲が第1指標26に取り囲まれる。
【0058】
このように、第1指標26及び第2指標27は、透明な直接接着領域28に配置されている。このため、
図6(b)のパウチ12を製造する際に、上下方向における中央でフィルム20を折り曲げて、この折り曲げ縁20cよりも前側の第1壁20fと折り曲げ縁20cよりも後側の第2壁20sとを重ねると、第1壁20fの直接接着領域28を通して第2壁20sの第2指標27を視認することができる。よって、第1指標26及び第2指標27に基づいて第1壁20fと第2壁20sとの位置合わせを容易に行うことができる。
【0059】
<変形例2>
変形例2に係る流体パッケージ10では、変形例1において、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、第1指標26は、上下方向の位置合わせ用の第1縦指標26a、及び、左右方向の位置合わせ用の第1横指標26bを有している。第2指標27は、上下方向において第1縦指標26aに並ぶように配置された第2縦指標27a、及び、左右方向において第1横指標26bに並ぶように配置された第2横指標27bを有している。
【0060】
例えば、
図7(a)に示すように、第1壁20fの第1表示用印刷層22fは、第1表示部分22fa、一対の第1縦指標26a、及び、一対の第1横指標26bを有している。第1縦指標26aは、矩形状であって、第1表示部分22faの左端から左側に突出しており、第1遮光層21fよりも左側に配置され、上下方向において間隔を空けて配置されている。第1横指標26bは、矩形状であって、第1表示部分22faの上端から上側に突出しており、第1遮光層21fよりも上側に配置され、左右方向において間隔を空けて配置されている。
【0061】
第2壁20sの第2表示用印刷層22sは、第2表示部分22sa、第2縦指標27a、及び、第2横指標27bを有している。第2縦指標27aは、矩形状であって、第2表示部分22saの左端から左側に突出しており、第2遮光層21sよりも左側に配置されている。第2横指標27bは、矩形状であって、第2表示部分22saの上端から上側に突出しており、第2遮光層21sよりも上側に配置されている。第1壁20fと第2壁20sとが互いに重なるように配置されたときに、第2縦指標27aは一対の第1縦指標26aの間に位置し、第2横指標27bは一対の第1横指標26bの間に位置する。
【0062】
このように、パウチ12を製造する際に、上下方向における中央でフィルム20を折り曲げて、この折り曲げ縁20cよりも前側の第1壁20fと折り曲げ縁20cよりも後側の第2壁20sとを重ねる。この際、
図7(b)に示すように、上下方向に並ぶ第1縦指標26a及び第2縦指標27a、並びに、左右方向に並ぶ第1横指標26b及び第2横指標27bに基づいて、2つの方向の位置合わせを行うる。これにより、第1壁20fと第2壁20sとの位置合わせの精度を向上することができる。
【0063】
<変形例3>
変形例3に係る流体パッケージ10では、変形例1において、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、パウチ12は、前後方向において収容室11を挟んで第1遮光層21fと第2遮光層21sとが積層されるように上下方向に並んだ第1遮光層21fと第2遮光層21sとの間が折り曲げられた折り曲げ縁20cと、上下方向において収容室11を挟んで折り曲げ縁20cから遠い開口縁20dと、を有している。第2指標27は、上下方向において折り曲げ縁20cよりも開口縁20dに近くに配置されている。
【0064】
例えば、
図7(a)に示すように、パウチ12を製造する際に、上下方向における中央でフィルム20を折り曲げて、この折り曲げ縁20cよりも前側の第1壁20fと折り曲げ縁20cよりも後側の第2壁20sとを重ねる。これにより、上下方向における第1壁20fの折り曲げ縁20cとは反対側の縁と、上下方向における第2壁20sの折り曲げ縁20cとは反対側の縁とが互いに重なり合って、開口縁20dが形成される。
【0065】
折り曲げ縁20cで折り曲げた際の第1壁20fと第2壁20sとの左右方向のずれは、折り曲げ縁20cから離れるほど大きくなる。このため、
図7(b)に示すように、上下方向において折り曲げ縁20cよりも開口縁20dに近い。第1壁20fの第1横指標26b及び第2壁20sの第2横指標27bに基づいてフィルム20を折り曲げると、左右方向における第1壁20fと第2壁20sとの位置合わせの精度を向上することができる。
【0066】
なお、上記全実施の形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい。また、上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明に係る流体パッケージ及び流体パッケージユニットは、印刷層による層間の接着不良及び流体の紫外線硬化を低減することができる流体パッケージ及び流体パッケージユニット等として有用である。
【符号の説明】
【0068】
10 :流体パッケージ
11 :収容室
12 :パウチ
13 :スパウト
15 :挿入口
20 :フィルム
20c :折り曲げ縁
20d :開口縁
20f :第1壁
20s :第2壁
21 :遮光層
21f :第1遮光層
21s :第2遮光層
22 :表示用印刷層
22f :第1表示用印刷層
22s :第2表示用印刷層
23 :内側層
23b :接着層
23d :接着層
24 :接着層
25 :外側層
26 :第1指標
26a :第1縦指標
26b :第1横指標
27 :第2指標
27a :第2縦指標
27b :第2横指標
28 :直接接着領域
30 :フィルム溶着部
33 :底辺溶着部
36 :スパウト溶着部
37 :窓部
40 :流体パッケージユニット
42 :装着部
43 :巻取機構