(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155574
(43)【公開日】2022-10-13
(54)【発明の名称】パウチ型二次電池およびこれを含む電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20221005BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20221005BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20221005BHJP
H01M 50/121 20210101ALI20221005BHJP
H01M 50/129 20210101ALI20221005BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20221005BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20221005BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20221005BHJP
H01M 50/133 20210101ALI20221005BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20221005BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M50/105
H01M50/119
H01M50/121
H01M50/129
H01M50/211
H01M10/613
H01M10/647
H01M50/133
H01M10/6556
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056173
(22)【出願日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】10-2021-0041419
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】呉 世永
(72)【発明者】
【氏名】河 廷▲ミン▼
(72)【発明者】
【氏名】金 信雄
(72)【発明者】
【氏名】金 根熙
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲ヒョン▼▲ボム▼
(72)【発明者】
【氏名】權 亨浩
【テーマコード(参考)】
5H011
5H028
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011AA14
5H011BB04
5H011BB05
5H011CC02
5H011CC06
5H011CC10
5H011DD06
5H011DD13
5H011KK01
5H011KK02
5H028AA01
5H028AA07
5H028BB04
5H028BB05
5H028CC02
5H028EE04
5H028EE06
5H028HH01
5H028HH05
5H031AA03
5H031AA09
5H031EE01
5H031HH03
5H031HH08
5H040AA02
5H040AA28
5H040AS01
5H040AS07
5H040AS13
5H040AS14
5H040AS15
5H040AS19
5H040AS26
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY05
5H040LL01
5H040LL06
5H040NN01
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】本発明は、パウチ型二次電池およびこれを含む電池モジュールに関する。
【解決手段】本発明の実施形態によるパウチ型二次電池は、複数個の正極および前記複数個の負極がセパレータを挟んで交互に積層された電極組立体と、フォールディング部によって一体に連結された一対のケースが互いにシールされて形成され、前記電極組立体が収容される収納部を有するパウチとを含むことができる。前記収納部の周縁を成す複数個の外壁は、前記フォールディング部を含むフォールディング部側外壁と、前記一対のケースを互いに融着させたシーリング部が連結されたシーリング部側外壁とを含み、前記複数個の負極の端部と前記フォールディング部側外壁との平均距離は0.6mm以下であることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の正極および複数個の負極がセパレータを挟んで交互に積層された電極組立体と、
フォールディング部によって一体に連結された一対のケースが互いにシールされて形成され、前記電極組立体が収容される収納部を有するパウチとを含み、
前記収納部の周縁を成す複数個の外壁は、
前記フォールディング部を含むフォールディング部側外壁と、
前記一対のケースを互いに融着させたシーリング部が連結されたシーリング部側外壁とを含み、
前記複数個の負極の端部と前記フォールディング部側外壁との平均距離は、0.6mm以下である、パウチ型二次電池。
【請求項2】
前記フォールディング部側外壁の長さ方向に互いに離隔した複数個の地点で、前記複数個の負極の端部と前記フォールディング部側外壁との平均距離はそれぞれ0.6mm以下であり、全体平均距離は0.5mm以下である、請求項1に記載のパウチ型二次電池。
【請求項3】
前記複数個の負極の端部と前記フォールディング部側外壁との最大距離は0.8mm以下である、請求項1または2に記載のパウチ型二次電池。
【請求項4】
前記複数個の負極の端部は、前記複数個の正極の端部よりも前記フォールディング部側外壁に向かってさらに突出し、
前記負極の端部と前記フォールディング部側外壁との平均距離は、前記負極の端部と前記正極の端部との平均距離未満である、請求項1に記載のパウチ型二次電池。
【請求項5】
前記負極の端部と前記フォールディング部側外壁との距離は、前記負極の端部と前記正極の端部との距離の半分未満である、請求項4に記載のパウチ型二次電池。
【請求項6】
前記フォールディング部は、前記フォールディング部側外壁の一端部から他の端部まで延びた溝形状を有する、請求項1に記載のパウチ型二次電池。
【請求項7】
前記収納部は、
前記収納部の上面または底面を前記フォールディング部側外壁と連結し、ラウンド状に形成された第1エッジと、
前記収納部の上面または底面を前記シーリング部側外壁と連結し、ラウンド状に形成された第2エッジと、
前記フォールディング部側外壁と前記シーリング部側外壁を連結し、ラウンド状に形成された第3エッジと、
前記第1エッジ、前記第2エッジおよび前記第3エッジが連結されたコーナとを含む、請求項1に記載のパウチ型二次電池。
【請求項8】
前記フォールディング部の最内側に接し、前記電極組立体の積層方向と平行な仮想線は、前記収納部の上面と底面と第1エッジとのうち少なくとも一つを通過する、請求項7に記載のパウチ型二次電池。
【請求項9】
前記第3エッジの曲率半径は、前記第1エッジの曲率半径および第2エッジの曲率半径より大きい、請求項7に記載のパウチ型二次電池。
【請求項10】
前記コーナの曲率半径は、周辺部から中心部に行くほど大きくなる、請求項7に記載のパウチ型二次電池。
【請求項11】
前記パウチは、
前記シーリング部の角と前記フォールディング部を連結し、前記収納部の幅方向に前記シーリング部の角より突出した突出部を含み、
前記突出部と前記フォールディング部の境界は、
前記フォールディング部の長さ方向に対して、前記第1エッジと前記コーナの境界より外側に位置する、請求項7に記載のパウチ型二次電池。
【請求項12】
前記パウチは、パウチフィルムをフォーミングして製造され、
前記パウチフィルムは、
第1ポリマーで製造され、最内層に形成されるシーラント層と、
第2ポリマーで製造され、最外層に形成される表面保護層と、
合金番号AA80XX系のアルミニウム合金を含む金属で製造され、前記表面保護層と前記シーラント層との間に積層される水分バリアー層とを含み、
前記水分バリアー層の厚さは50~80μmであり、
前記シーラント層の厚さは60~100μmである、請求項1に記載のパウチ型二次電池。
【請求項13】
前記アルミニウム合金の合金番号はAA8021である、請求項12に記載のパウチ型二次電池。
【請求項14】
前記アルミニウム合金は、
鉄を1.3wt%~1.7wt%含み、シリコンを0.2wt%以下含み、結晶粒度が10~13μmである、請求項12に記載のパウチ型二次電池。
【請求項15】
前記水分バリアー層の厚さは55~65μmであり、
前記シーラント層の厚さは75~85μmである、請求項12に記載のパウチ型二次電池。
【請求項16】
前記パウチフィルムは、
第3ポリマーで製造され、前記表面保護層と前記水分バリアー層との間に積層される延伸補助層をさらに含む、請求項12に記載のパウチ型二次電池。
【請求項17】
前記延伸補助層の厚さは20~50μmである、請求項16に記載のパウチ型二次電池。
【請求項18】
複数個の正極および複数個の負極がセパレータを挟んで交互に積層された電極組立体と、
フォールディング部によって一体に連結された一対のケースが互いにシールされて形成され、前記電極組立体が収容される収納部を有するパウチとを含み、
前記収納部の周縁を形成する複数個の外壁は、
前記フォールディング部を含むフォールディング部側外壁と、
前記一対のケースを互いに融着させたシーリング部が連結されたシーリング部側外壁とを含み、
前記複数個の負極の端部は、前記複数個の正極の端部よりも前記フォールディング部側外壁に向かってさらに突出し、
前記負極の端部と前記フォールディング部側外壁との距離は、前記負極の端部と前記正極の端部との距離の半分未満である、パウチ型二次電池。
【請求項19】
ハウジングと、
前記ハウジング内に垂直に立てられて積層された複数個の二次電池と、
前記ハウジングの内側底面に備えられ、前記複数個の二次電池を冷却するクーリング部とを含み、
前記二次電池は、
複数個の正極および複数個の負極がセパレータを挟んで交互に積層された電極組立体と、
フォールディング部によって一体に連結された一対のケースが互いにシールされて形成され、前記電極組立体が収容される収納部を有するパウチとを含み、
前記収納部の周縁を形成する複数個の外壁は、
前記フォールディング部を含み、前記クーリング部に隣接したフォールディング部側外壁と、
前記一対のケースを互いに融着させたシーリング部が連結されたシーリング部側外壁とを含み、
前記複数個の負極の端部と前記フォールディング部側外壁との平均距離は0.6mm以下である、電池モジュール。
【請求項20】
ハウジングと、
前記ハウジング内に垂直に立てられて積層された複数個の二次電池と、
前記ハウジングの内側底面に備えられ、前記複数個の二次電池を冷却するクーリング部とを含み、
前記二次電池は、
複数個の正極および複数個の負極がセパレータを挟んで交互に積層された電極組立体と、
フォールディング部によって一体に連結された一対のケースが互いにシールされて形成され、前記電極組立体が収容される収納部を有するパウチとを含み、
前記収納部の周縁を形成する複数個の外壁は、
前記フォールディング部を含み、前記クーリング部に隣接したフォールディング部側外壁と、
前記一対のケースを互いに融着させたシーリング部が連結されたシーリング部側外壁とを含み、
前記複数個の負極の端部は、前記複数個の正極の端部よりも前記フォールディング部側外壁に向かってさらに突出し、
前記負極の端部と前記フォールディング部側外壁との距離は、前記負極の端部と前記正極の端部との距離の半分未満である、電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチ型二次電池およびこれを含む電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、二次電池の種類としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池およびリチウムイオンポリマー電池などがある。このような二次電池は、デジタルカメラ、ポータブルDVDプレイヤー(P-DVD)、MP3プレイヤー(MP3P)、携帯電話、PDA、携帯型ゲーム機(Portable Game Device)、電動工具(Power Tool)および電動自転車(E-bike)などの小型製品だけでなく、電気自動車やハイブリッド自動車のような高出力を要する大型製品と余剰発電電力や新再生可能エネルギーを貯蔵する電力貯蔵装置とバックアップ用電力貯蔵装置にも適用され使用されている。
【0003】
このような二次電池を製造するために、先ず、電極活物質スラリーを正極集電体および負極集電体に塗布して正極と負極を製造し、これをセパレータ(Separator)の両側に積層することで、所定形状の電極組立体(Electrode Assembly)を形成する。また、電池ケースに電極組立体を収納し、電解質を注入した後、シールする。
【0004】
二次電池は、電極組立体を収容するケースの材質に応じて、パウチ型(Pouch Type)および缶型(Can Type)などに分けられる。パウチ型(Pouch Type)は、柔軟なポリマー材質で製造されたパウチに電極組立体を収容する。また、缶型(Can Type)は、金属またはプラスチックなどの材質で製造されたケースに電極組立体を収容する。
【0005】
パウチ型二次電池のケースであるパウチは、柔軟性を有するパウチフィルムにプレス加工を施し、カップ部を形成することで製造される。また、カップ部が形成されると、前記カップ部の収容空間に電極組立体を収納し、サイドをシールして二次電池を製造する。
【0006】
このようなプレス加工のうち、絞り(Drawing)成形は、プレス装備のような成形装置にパウチフィルムを挿入し、パンチでパウチフィルムに圧力を印加し、パウチフィルムを延伸させることで行われる。パウチフィルムは、複数の層で形成され、そのうち内部に位置した水分バリアー層は、金属で製造される。しかし、従来、このような水分バリアー層の金属が、アルミニウム合金のうち結晶粒度が大きく、水分バリアー層の厚さが薄くて成形性が低下する問題があった。したがって、パウチフィルムにカップ部を成形する時に、カップ部の深さを深く成形しながらブリッジの厚さおよびフォールディング部の幅を改善するのに限界があった。また、バットイヤーの大きさを減少させることにも限界があって、二次電池の体積に対するエネルギー密度も低下した。さらに、全体的にシャプな形状に製造するのに限界があり、そのため、二次電池の外観も美麗ではなく、商品性も低下する問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする一課題は、電極組立体の電極とパウチとの距離を最小化し、外観が美麗で、エネルギー密度が高いパウチ型二次電池を提供することである。
【0008】
本発明が解決しようとする他の課題は、電極組立体の電極とパウチとの距離を最小化し、二次電池の冷却効率が向上した電池モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態によるパウチ型二次電池は、複数個の正極および複数個の負極がセパレータを挟んで交互に積層された電極組立体と、フォールディング部によって一体に連結された一対のケースが互いにシールされて形成され、前記電極組立体が収容される収納部を有するパウチとを含むことができる。前記収納部の周縁を成す複数個の外壁は、前記フォールディング部を含むフォールディング部側外壁と、前記一対のケースを互いに融着させたシーリング部が連結されたシーリング部側外壁とを含むことができる。前記複数個の負極の端部と前記フォールディング部側外壁との平均距離は、0.6mm以下であることができる。
【0010】
前記フォールディング部側外壁の長さ方向に互いに離隔した複数個の地点で、前記複数個の負極の端部と前記フォールディング部側外壁との平均距離はそれぞれ0.6mm以下であり、全体平均距離は0.5mm以下であることができる。
【0011】
前記複数個の負極の端部と前記フォールディング部側外壁との最大距離は0.8mm以下であることができる。
【0012】
前記複数個の負極の端部は、前記複数個の正極の端部よりも前記フォールディング部側外壁に向かってさらに突出し、前記負極の端部と前記フォールディング部側外壁との平均距離は、前記負極の端部と前記正極の端部との平均距離未満であることができる。
【0013】
前記負極の端部と前記フォールディング部側外壁との距離は、前記負極の端部と前記正極の端部との距離の半分未満であることができる。
【0014】
前記フォールディング部は、前記フォールディング部側外壁の一端部から他の端部まで延びた溝形状を有することができる。
【0015】
前記収納部は、前記収納部の上面または底面を前記フォールディング部側外壁と連結し、ラウンド状に形成された第1エッジと、前記収納部の上面または底面を前記シーリング部側外壁と連結し、ラウンド状に形成された第2エッジと、前記フォールディング部側外壁と前記シーリング部側外壁を連結し、ラウンド状に形成された第3エッジと、前記第1エッジ、第2エッジおよび第3エッジが連結されたコーナとを含むことができる。
【0016】
前記フォールディング部の最内側に接し、前記電極組立体の積層方向と平行な仮想線は、前記収納部の上面と底面と第1エッジとのうち少なくとも一つを通過することができる。
【0017】
前記第3エッジの曲率半径は、前記第1エッジの曲率半径および第2エッジの曲率半径より大きいことができる。
【0018】
前記コーナの曲率半径は、周辺部から中心部に行くほど大きくなることができる。
【0019】
前記パウチは、前記シーリング部の角と前記フォールディング部を連結し、前記収納部の幅方向に前記シーリング部の角より突出した突出部を含み、前記突出部と前記フォールディング部の境界は、前記フォールディング部の長さ方向に対して、前記第1エッジと前記コーナの境界より外側に位置することができる。
【0020】
前記パウチは、パウチフィルムをフォーミングして製造されることができる。前記パウチフィルムは、第1ポリマーで製造され、最内層に形成されるシーラント層と、第2ポリマーで製造され、最外層に形成される表面保護層と、合金番号AA80XX系のアルミニウム合金を含む金属で製造され、前記表面保護層と前記シーラント層との間に積層される水分バリアー層とを含むことができる。前記水分バリアー層の厚さは50~80μmであり、前記シーラント層の厚さは60~100μmであることができる。
【0021】
前記アルミニウム合金の合金番号はAA8021であることができる。
【0022】
前記アルミニウム合金は、鉄を1.3wt%~1.7wt%含み、シリコンを0.2wt%以下含み、結晶粒度が10~13μmであることができる。
【0023】
前記水分バリアー層の厚さは55~65μmであり、前記シーラント層の厚さは75~85μmであることができる。
【0024】
前記パウチフィルムは、第3ポリマーで製造され、前記表面保護層と前記水分バリアー層との間に積層される延伸補助層をさらに含むことができる。
【0025】
前記延伸補助層の厚さは20~50μmであることができる。
【0026】
本発明の実施形態によるパウチ型二次電池は、複数個の正極および複数個の負極がセパレータを挟んで交互に積層された電極組立体と、フォールディング部によって一体に連結された一対のケースが互いにシールされて形成され、前記電極組立体が収容される収納部を有するパウチとを含むことができる。前記収納部の周縁を形成する複数個の外壁は、前記フォールディング部を含むフォールディング部側外壁と、前記一対のケースを互いに融着させたシーリング部が連結されたシーリング部側外壁とを含むことができる。前記複数個の負極の端部は、前記複数個の正極の端部よりも前記フォールディング部側外壁に向かってさらに突出し、前記負極の端部と前記フォールディング部側外壁との距離は、前記負極の端部と前記正極の端部との距離の半分未満であることができる。
【0027】
本発明の実施形態による電池モジュールは、ハウジングと、前記ハウジング内に垂直に立てられて積層された複数個の二次電池と、前記ハウジングの内側底面に備えられ、前記複数個の二次電池を冷却するクーリング部とを含むことができる。前記二次電池は、複数個の正極および複数個の負極がセパレータを挟んで交互に積層された電極組立体と、フォールディング部によって一体に連結された一対のケースが互いにシールされて形成され、前記電極組立体が収容される収納部を有するパウチとを含むことができる。前記収納部の周縁を形成する複数個の外壁は、前記フォールディング部を含み、前記クーリング部に隣接したフォールディング部側外壁と、前記一対のケースを互いに融着させたシーリング部が連結されたシーリング部側外壁とを含むことができる。前記複数個の負極の端部と前記フォールディング部側外壁との平均距離は0.6mm以下であることができる。
【0028】
本発明の実施形態による電池モジュールは、ハウジングと、前記ハウジング内に垂直に立てられて積層された複数個の二次電池と、前記ハウジングの内側底面に備えられ、前記複数個の二次電池を冷却するクーリング部とを含むことができる。前記二次電池は、複数個の正極および複数個の負極がセパレータを挟んで交互に積層された電極組立体と、フォールディング部によって一体に連結された一対のケースが互いにシールされて形成され、前記電極組立体が収容される収納部を有するパウチとを含むことができる。前記収納部の周縁を形成する複数個の外壁は、前記フォールディング部を含み、前記クーリング部に隣接したフォールディング部側外壁と、前記一対のケースを互いに融着させたシーリング部が連結されたシーリング部側外壁とを含むことができる。前記複数個の負極の端部は、前記複数個の正極の端部よりも前記フォールディング部側外壁に向かってさらに突出し、前記負極の端部と前記フォールディング部側外壁との距離は、前記負極の端部と前記正極の端部との距離の半分未満であることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の好ましい実施形態によると、パウチの成形性が改善し、複数個の電極とパウチとの距離が従来に比べて短くなることができる。これにより、二次電池の外観がシャプに形成されることができる。
【0030】
また、パウチ内の空所が減少し、二次電池のエネルギー密度が向上することができる。
【0031】
また、電池モジュールでクーリング部による電極組立体の冷却効率が向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施形態によるパウチ型二次電池の組立図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるパウチをフォールディングする様子を示す概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるパウチがフォールディングされた様子を示す概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるパウチ型二次電池の平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるパウチ型二次電池の内部でフォールディング部側外壁の周辺を拡大した概略図である。
【
図6】本発明の他の実施形態によるパウチをフォールディングする様子を示す概略図である。
【
図7】本発明の他の実施形態によるパウチがフォールディングされた様子を示す概略図である。
【
図8】本発明の一実施形態によるパウチフィルムの断面図である。
【
図9】合金番号AA8079のアルミニウム合金と合金番号AA8021のアルミニウム合金の鉄およびシリコン含量を示すグラフである。
【
図10】合金番号AA8079のアルミニウム合金と合金番号AA8021のアルミニウム合金の鉄含量による引張強度、延伸率および結晶粒度の変化を示すグラフである。
【
図11】合金番号AA8079のアルミニウム合金と合金番号AA8021のアルミニウム合金の結晶粒を拡大したSEM写真である。
【
図12】本発明の一実施形態によるパウチ型二次電池の一部の外観が図示されている斜視図である。
【
図13】
図12に図示されているパウチ型二次電池を他の方向から見た図である。
【
図14】従来のパウチ型二次電池の一部の外観が図示されている斜視図である。
【
図15】
図14に図示されているパウチ型二次電池を他の方向から見た図である。
【
図16】本発明の一実施形態によるフォールディング部側外壁と負極との距離を測定したCT写真である。
【
図17】本発明の一実施形態によるフォールディング部側外壁と負極との距離を測定したCT写真である。
【
図18】従来のフォールディング部側外壁と負極との距離を測定したCT写真である。
【
図19】従来のフォールディング部側外壁と負極との距離を測定したCT写真である。
【
図20】本発明の一実施形態による電池モジュールの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下では、添付の図面を参照して、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施することができるように、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な相違する形態に実現されることができ、以下の実施形態によって制限または限定されるものではない。
【0034】
本発明を明確に説明するために、説明とは関係のない部分または本発明の要旨を不明瞭にし得る関連の公知技術に関する詳細な説明は省略しており、本明細書において各図面の構成要素に参照符号を付けるに際し、明細書の全体にわたり同一または類似する構成要素に対しては、同一または類似する参照符号を付ける。
【0035】
また、本明細書および特許請求の範囲に使用された用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って本発明の技術的思想に合致する意味と概念に解釈すべきである。
【0036】
図1は本発明の一実施形態によるパウチ型二次電池の組立図であり、
図2は本発明の一実施形態によるパウチをフォールディングする様子を示す概略図である。
【0037】
本発明によるパウチ型二次電池1(以下、「二次電池」)は、電極組立体10と、前記電極組立体10を収容するパウチ20とを含むことができる。
【0038】
電極組立体10は、セパレータ11と電極12が交互に積層されて形成されることができる。より詳細には、電極12は、正極13(
図5参照)および負極14を含むことができ、正極13および負極14は、セパレータ11を挟んで交互に積層されることができる。
【0039】
電極12は、金属箔または金属メッシュ形態の電極集電体に活物質スラリーが塗布されて形成されることができる。正極13の場合、前記電極集電体は、アルミニウム材質を含むことができる。負極14の場合、前記電極集電体は、銅材質を含むことができる。
【0040】
電極組立体10には、電極タブ15が備えられることができる。電極タブ15は、電極組立体10の正極13および負極14とそれぞれ連結され、電極組立体10から外部に突出し、電極組立体10の内部と外部との間に電子が移動することができる経路になる。
【0041】
正極13に連結された複数個の電極タブ15と負極14に連結された複数個の電極タブ15は、電極組立体10に対して互いに異なる方向に突出することができる。ただし、これに限定されるものではなく、正極13に連結された複数個の電極タブ15と負極14に連結された複数個の電極タブ15が電極組立体10に対して同じ方向に平行に突出することも可能である。
【0042】
複数個の電極タブ15には、二次電池1の外部に電気を供給する電極リード16がスポット(Spot)溶接などで連結されることができる。電極リード16は、一端が複数個の電極タブ15と連結され、他端が前記パウチ20の外部に突出することができる。
【0043】
電極リード16の一部は、絶縁部17で周りが囲まれることができる。例えば、絶縁部17は、絶縁テープを含むことができる。前記絶縁部17は、パウチ20の後述する一対のテラス26の間に位置することができ、このような状態で、一対のテラス26は、互いに熱融着されることができる。このような状態で、一対のテラス26の一部は、絶縁部17と熱融着されることができる。したがって、絶縁部17は、電極組立体10から生成される電気が電極リード16を介してパウチ20に流れることを防止し、パウチ20のシーリングを維持させることができる。
【0044】
一方、パウチ20は、フォールディング部29で連結された一対のケース21が互いにシールされて形成されることができる。以下で説明する各ケース21の構成は、パウチ20を展開した状態を基準に説明する。前記「パウチ20を展開した状態」は、パウチ20に存在していた所定の接着やシーリングを解除することで、パウチ20を展開した状態を意味する。
【0045】
本実施形態の場合、各ケース21は、湾入した形状を有するカップ部22と、カップ部22の周縁に位置したテラス26とを含むことができる。
【0046】
カップ部22は、テラス26から所定の深さだけ湾入して湾入空間S1を形成することができる。
【0047】
一対のケース21のカップ部22は、フォールディング部29で互いに連結されることができる。すなわち、フォールディング部29は、一対のカップ部22の間に位置することができ、パウチ20が展開された状態で、フォールディング部29は、ブリッジと称することができる。フォールディング部29は、パウチ20の長さ方向と平行に延びることができる。
【0048】
いずれか一つのカップ部22の湾入空間S1に電極組立体10を収納した後、一対のカップ部22が互いに対向するようにフォールディング部29をフォールディングすることができる。これにより、他の一つのカップ部22が電極組立体10を上方からカバーすることができる。すなわち、各カップ部22の湾入空間S1は、互いに連通することができ、電極組立体10は、前記湾入空間S1に収容されることができる。
【0049】
一対のカップ部22が湾入した深さは、互いに同一であることができる。この場合、一対のカップ部22は、対称形状を有することができる。ただし、これに限定されるものではなく、一対のカップ部22の湾入した深さが互いに異なるように形成されることも可能である。この場合、一対のカップ部22は、非対称形状を有することができる。
【0050】
より詳細には、各カップ部22は、底部23および周縁部24、25を含むことができる。
【0051】
前記底部23は、テラス26と平行に形成されることができる。
【0052】
前記周縁部24、25は、底部23とともに湾入空間S1を囲むことができる。より詳細には、周縁部24、25は、フォールディング部29と連結された第1面24と、テラス26と連結された複数個の第2面25とを含むことができる。前記第2面25は、互いに連結された3個が備えられて「コ」の字形状を成すことができる。
【0053】
テラス26は、カップ部22の周縁に位置することができる。より詳細には、テラス26は、カップ部22の複数個の第2面25の上端に連結されることができる。したがって、テラス26は、略「コ」の字形状を有することができる。
【0054】
より詳細には、テラス26は、カップ部22に対してフォールディング部29の反対側に位置した拡張部28と、前記フォールディング部29と前記拡張部28を連結する一対のサイド27とを含むことができる。
【0055】
拡張部28は、パウチ20の長さ方向と平行に延びることができる。一対のサイド27は、パウチ20の幅方向と平行に延び、カップ部22に対して互いに反対側に位置することができる。
【0056】
図3は本発明の一実施形態によるパウチがフォールディングされた様子を示す概略図であり、
図4は本発明の一実施形態によるパウチ型二次電池の平面図である。
【0057】
パウチ20の一対のカップ部22の間に電極組立体10を配置した状態でフォールディング部29をフォールディングし、一対のテラス26を互いに融着させることで、一対のケース21が互いにシールされた二次電池1を形成することができる。
【0058】
前記二次電池1は、電極組立体10を収容する収納部と、前記一対のケース21を互いに融着させたシーリング部とを含むことができる。
【0059】
前記収納部は、一対のケース21のカップ部22が連通して形成され、以下では、便宜上、カップ部22と同じ図面符号である「22」と表示する。また、前記シーリング部は、一対のケース21のテラス26が互いに融着されて形成され、以下では、便宜上、テラスと同一符号である「26」と表示する。
【0060】
収納部22は、電極組立体10の積層方向に対して電極組立体10を両側でカバーする底面および上面と、収納部22の周縁を成して電極組立体10の周縁を取り囲む複数個の外壁を含むことができる。前記複数個の外壁は、フォールディング部29を含むフォールディング部側外壁と、シーリング部26と連結されたシーリング部側外壁とを含むことができる。
【0061】
より詳細には、収納部22の底面は、いずれか一つのカップ部22の底部23からなり、収納部22の上面は、他の一つのカップ部22の底部23からなることができる。以下では、収納部22の底面および上面を、カップ部22の底部23と同じ図面符号である「23」と表示する。
【0062】
また、収納部22のフォールディング部側外壁は、一対のカップ部22の第1面24およびフォールディング部29からなることができる。以下では、収納部22のフォールディング部側外壁を、カップ部22の第1面24と同じ図面符号である「24」と表示する。
【0063】
一対のケース21のカップ部22が同一または類似する深さで形成された場合、フォールディング部29は、電極組立体10の積層方向に対して、フォールディング部側外壁24の中央部に位置することができる。
【0064】
また、収納部22のシーリング部側外壁は、一対のカップ部22の第2面25からなることができる。以下では、収納部22のシーリング部側外壁を、カップ部22の第2面25と同じ図面符号である「25」と表示する。
【0065】
したがって、フォールディング部側外壁24は、収納部22の周縁のいずれか一部を成し、シーリング部側外壁25は、収納部22の周縁のうち他の一部を成すことができる。フォールディング部側外壁24は、フォールディング部29を含むことができ、シーリング部側外壁25は、シーリング部26に連結されることができる。
【0066】
シーリング部26は、一対のケース21のサイド27が互いに融着された第1シーリング部と、一対のケース21の拡張部28が互いに融着された第2シーリング部とを含むことができる。以下では、第1シーリング部をサイド27と同じ図面符号である「27」と表示し、第2シーリング部を拡張部28と同じ図面符号である「28」と表示する。
【0067】
第1シーリング部27は、二次電池1の幅方向に延び、収納部22を挟んで互いに反対側に位置した一対が備えられることができる。電極リード16は、第1シーリング部27を介してパウチ20の外部に突出することができる。
【0068】
第2シーリング部28は、二次電池1の長さ方向に延び、フォールディング部側外壁24の反対側に突出することができる。第2シーリング部28は、収納部22の方に少なくとも1度フォールディングされることができ、二次電池1の幅が減少することができる。例えば、第2シーリング部28は、ダブルサイドフォールディング(Double Side Folding、DSF)方式で2度フォールディングされることができる。
【0069】
図5は本発明の一実施形態によるパウチ型二次電池の内部でフォールディング部側外壁の周辺を拡大した概略図である。
【0070】
電極組立体10において、負極14は、正極13よりも大きく形成されることができ、セパレータ11は、負極14よりも大きく形成されることができる。
【0071】
したがって、複数個の負極14の端部14aは、複数個の正極13の端部13aよりもフォールディング部側外壁24に向かってさらに突出し、複数個のセパレータ11の端部11aは、複数個の負極14の端部14aよりもフォールディング部側外壁24に向かってさらに突出することができる。セパレータ11の端部11aがフォールディング部側外壁24に接することも可能であることは言うまでもない。
【0072】
一方、複数個の負極14の端部14aおよび複数個の正極13の端部13aは、フォールディング部側外壁24と離隔することができる。ただし、従来、複数個の負極14の端部14aとフォールディング部側外壁24との間隔が相対的に大きく、二次電池の外観をシャプな形状に製造するには限界があった。
【0073】
したがって、複数個の負極14の端部14aとフォールディング部側外壁24を離隔させ、この際、相互間隔を最大限に小さくすることが好ましい。
【0074】
このためには、パウチ20の母材であるパウチフィルムの成形性を改善することが望まれる。パウチフィルムは、ダイとパンチによるフォーミング工程によりパウチ20として成形されることができる。前記フォーミング工程は、周知の技術であるため、詳細な説明は省略する。
【0075】
パウチフィルムの成形性を改善することで、前記フォーミング工程の公差が小さくなり、精密な製造が可能になるため、複数個の負極14の端部14aとフォールディング部側外壁24との間隔を最大限に小さくすることができる。成形性の改善のためのパウチフィルムの構成については、以降詳細に説明する。
【0076】
図6は本発明の他の実施形態によるパウチをフォールディングする様子を示す概略図であり、
図7は本発明の他の実施形態によるパウチがフォールディングされた様子を示す概略図である。
【0077】
以下、上述の内容と重複する内容は援用し、相違点を中心に説明する。
【0078】
本実施形態によるパウチ20は、フォールディング部29で形成された第1ケース21aと第2ケース21bが互いにシールされて形成されることができる。第1ケース21aにはカップ部22が形成され、第2ケース21bにはカップ部22が形成されていないことができる。
【0079】
第2ケース21bは、略平板形状であることができる。第2ケース21bの一部は、第1ケース21aのカップ部22をカバーし、第2ケース21bの他の一部は、第1ケース21aのテラス26に融着することができる。
【0080】
より詳細には、第1ケース21aのカップ部22の湾入空間S1に電極組立体10を収納した後、第2ケース21bが湾入空間S1を上側からカバーするように、フォールディング部29をフォールディングすることができる。
【0081】
したがって、本実施形態による二次電池1の収納部22の底面は、第1ケース21aのカップ部22の底部23によって形成され、収納部22の上面は、第2ケース21bの一部によって形成されることができる。
【0082】
また、二次電池1のシーリング部26は、第1ケース21aのテラス26と第2ケース21bの他の一部が融着されて形成されることができる。
【0083】
また、収納部22のフォールディング部側外壁は、第1ケース21aのカップ部22の第1面24およびフォールディング部29からなることができる。したがって、フォールディング部29は、電極組立体10の積層方向に対して、フォールディング部側外壁24の上部に位置することができる。
【0084】
また、収納部22のシーリング部側外壁は、第1ケース21aのカップ部22の第2面25からなることができる。
【0085】
図8は本発明の一実施形態によるパウチフィルムの断面図である。
【0086】
本実施形態によるパウチフィルムは、パウチ20の母材であることができる。パウチ20は、パウチフィルムを絞り(Drawing)成形して製造されることができる。以下では、便宜上、パウチフィルムをパウチ20と同じ図面符号である「20」と表示する。
【0087】
パウチフィルム20は、シーラント層(Sealant Layer)20aと、水分バリアー層(Moisture Barrier Layer)20bと、表面保護層(Surface Protection Layer)20cと、延伸補助層(Drawing Assistance Layer)20dとを含む。
【0088】
シーラント層20aは、パウチ20の最内層を形成することができる。より詳細には、二次電池1において、シーラント層20aは、収納部22の内面であるか、一対のシーリング部26で互いに融着された層であることができる。
【0089】
シーラント層20aは、電極組立体10と接触するため、絶縁性を有する必要があり、二次電池1の製造工程の途中に収納部22内に注入される電解液とも接触するため、耐食性を有する必要がある。また、収納部22の内部を完全に密閉して内部と外部との間の物質移動を遮断しなければならないため、高いシーリング性を有する必要がある。すなわち、シーラント層20a同士が接着されたシーリング部26は、優れた熱接着強度を有する必要がある。
【0090】
シーラント層20aは、第1ポリマー材質を有することができ、前記第1ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、アクリル系高分子、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、アラミド、ナイロン、ポリエステル、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリアリレート、テフロン(登録商標)、およびガラス繊維からなる群から選択される一つ以上の物質からなることができる。特に、主に、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)などのポリオレフィン系樹脂が使用される。ポリプロピレン(PP)は、引張強度、剛性、表面硬度、耐磨耗性、耐熱性などの機械的物性と耐食性などの化学的物性に優れ、シーラント層20aを製造するために主に使用される。さらに、無延伸ポリプロピレン(Casted Polypropylene)または酸処理されたポリプロピレン(Acid Modified Polypropylene)またはポリプロピレン-ブチレン-エチレン三元共重合体で構成されることもできる。ここで、酸処理されたポリプロピレンは、MAH PP(マレイックアンハイドライドポリプロピレン)であることができる。また、シーラント層20aは、いずれか一つの物質からなる単一膜構造を有するか、2個以上の物質がそれぞれ層を成して形成された複合膜構造を有することができる。
【0091】
また、シーラント層20aの厚さは、60~100μmであることができ、特に、75~85μmであることができる。仮に、シーラント層20aの厚さが60μmより薄いと、シーリング時に内部が破壊するなど、シーリング耐久性が低下する問題があり得る。また、仮にシーラント層20aの厚さが100μmより厚いと、パウチ全体の厚さが過剰に厚くなるため、かえって二次電池1の体積に対するエネルギー密度が低下し得る。
【0092】
水分バリアー層20bは、表面保護層20cとシーラント層20aとの間に積層されてパウチの機械的強度を確保し、二次電池1の外部のガスまたは水分などの出入りを遮断し、電解質の漏れを防止することができる。水分バリアー層20bは、金属、より詳細には、アルミニウムで製造されることができる。アルミニウムは、所定水準以上の機械的強度を確保することができ、且つ重量が軽く、電極組立体10と電解質による電気化学的性質に対する補完および放熱性などを確保することができる。
【0093】
従来、合金番号がAA30XX系であるアルミニウム合金がよく使用されていたが、鉄の含量が0.7wt%以下であるため、機械的強度が低いという問題があった。このような問題を解決するために、本実施形態による水分バリアー層20bは、合金番号AA80XX系のアルミニウム合金を含む金属で製造されることができる。
【0094】
このようなアルミニウム合金には、様々な素材が含まれることができる。例えば、鉄(Fe)、銅(Cu)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)および亜鉛(Zn)からなる群から選択される1種または2種以上が含まれることができる。本発明の一実施形態による水分バリアー層20bを製造するアルミニウム合金に関する詳細な説明は後述する。
【0095】
従来、水分バリアー層が略30~50μm、特に40μmの厚さを有し、成形性が低下した。したがって、パウチフィルムを絞り成形しても、カップ部22の深さが深くなって、カップ部22の周縁部24、25を垂直に近く成形するのに限界があり、カップ部22の底部23と周縁部24、25をラウンド状に連結するエッジの曲率半径を減少するにも限界があった。
【0096】
これを解決するために、水分バリアー層20bの厚さを略80μmより厚く増加させると、製造コストが増加するだけでなく、パウチ全体の厚さが過剰に厚くなって二次電池1の体積に対するエネルギー密度が低下する問題がある。仮にパウチ全体の厚さを減少させるために、シーラント層20aの厚さを60μmより薄く減少させた場合には、上述のようにシーリング耐久性が低下する問題がある。
【0097】
本実施形態によると、これを改善して、水分バリアー層20bは、厚さが50μm~80μmであることができ、特に、55μm~65μmであることができる。したがって、水分バリアー層20bの成形性が向上し、パウチフィルム20を絞り成形する時に、カップ部22の深さが深く形成されることができ、カップ部22の周縁部24、25が垂直に近くなり、カップ部22の底部23と周縁部24、25を連結するエッジの曲率半径も減少することができる。これにより、湾入空間S1の体積が増加するため、より大きい電極組立体10を収容することができ、二次電池1の体積に対するエネルギー効率も増加することができる。また、製造コストがそれほど増加しないとともに、シーラント層20aの厚さを減少させなくてもパウチ全体の厚さもそれほど増加せず、シーリング耐久性も低下しないことができる。
【0098】
表面保護層20cは、パウチ20の最外層に形成されて外部との摩擦および衝突から二次電池1を保護し、且つ電極組立体10を外部から電気的に絶縁させることができる。より詳細には、二次電池1において、表面保護層20cは、パウチ20の外観を形成する層であることができる。
【0099】
表面保護層20cは、第2ポリマー材質を有することができ、前記第2ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、アクリル系高分子、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、アラミド、ナイロン、ポリエステル、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリアリレート、テフロン(登録商標)およびガラス繊維からなる群から選択される一つ以上の物質であることができる。特に、主に、耐磨耗性および耐熱性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリマーが使用されることが好ましい。また、表面保護層20cは、いずれか一つの物質からなる単一膜構造を有するか、2個以上の物質がそれぞれ層を成して形成された複合膜構造を有することもできる。
【0100】
本実施形態によると、このような表面保護層20cの厚さは、5μm~25μmであることができ、特に、7μm~12μmであることができる。仮に、表面保護層20cの厚さが5μmより薄いと、外部絶縁性が低下する問題があり得る。逆に、仮に表面保護層20cの厚さが25μmより厚いと、パウチ全体の厚さが厚くなるため、かえって二次電池1の体積に対するエネルギー密度が低下し得る。
【0101】
一方、PETは、安価で耐久性に優れ、電気絶縁性に優れるが、前記水分バリアー層20bとしてよく使用されるアルミニウムとの接着性も弱く、応力を印加して延伸される時の挙動も互いに相違することがある。したがって、表面保護層20cと水分バリアー層20bを直接接着すると、絞り成形の途中に表面保護層20cと水分バリアー層20bと剥離されることもある。そのため、水分バリアー層20bが均一に延伸されず、成形性が低下する問題が発生し得る。
【0102】
このような問題の解決のために、パウチフィルム20は、表面保護層20cと水分バリアー層20bとの間に積層される延伸補助層20dをさらに含むことができる。
【0103】
延伸補助層20dは、表面保護層20cと水分バリアー層20bとの間に積層され、表面保護層20cと水分バリアー層20bが延伸される時に剥離されることを防止することができる。
【0104】
延伸補助層20dは、第3ポリマーで製造され、前記第3ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、アクリル系高分子、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、アラミド、ナイロン、ポリエステル、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリアリレート、テフロン(登録商標)およびガラス繊維からなる群から選択される一つ以上の物質であることができる。特に、ナイロン(Nylon)樹脂は、表面保護層20cのポリエチレンテレフタレート(PET)とは接着が容易であり、水分バリアー層20bのアルミニウム合金とは延伸される時の挙動が類似するため、第3ポリマーとしては、主に、ナイロン(Nylon)樹脂が使用されることができる。また、延伸補助層20dは、いずれか一つの物質からなる単一膜構造を有するか、2個以上の物質がそれぞれ層を成して形成された複合膜構造を有することもできる。
【0105】
従来、水分バリアー層が略40μmの厚さを有しており、これにより、延伸補助層は、略15μmの相当薄い厚さを有する。すなわち、延伸補助層と水分バリアー層の厚さの割合が1:2.67であり、水分バリアー層の厚さの割合が相当高かった。しかし、上述のように、本実施形態によると、水分バリアー層20bが略50~80μm、特に、55μm~65μmの厚さを有するため、水分バリアー層20bの成形性が向上する。この際、延伸補助層20dも成形性を向上させるために、延伸補助層20dは、20μm~50μmの厚さを有することができ、特に、25μm~38μmの厚さを有することが好ましい。仮に20μmより薄いと、延伸補助層20dが水分バリアー層20bの向上した成形性に対応することができず、延伸される途中に破損することがある。逆に、仮に50μmより厚い場合、パウチ全体の厚さが厚くなるため、二次電池1の体積が増加し、エネルギー密度が低下し得る。特に、本実施形態によると、延伸補助層20dと水分バリアー層20bの厚さの割合が1:2.5より小さいことができる。すなわち、従来よりも延伸補助層20dの厚さの割合がより増加することができる。ただし、延伸補助層20dの厚さが過剰に厚くなると、パウチ全体の厚さが厚くなるため、過剰な厚さにならないために、前記厚さの割合は1:1.5より大きいことができる。すなわち、前記厚さの割合は1:1.5~1:2.5であることができる。
【0106】
図9は合金番号AA8079のアルミニウム合金と合金番号AA8021のアルミニウム合金の鉄およびシリコン含量を示すグラフである。
【0107】
アルミニウム合金に鉄が多く含有される場合には機械的強度が向上し、鉄が少なく含有される場合には柔軟性が向上する。アルミニウム合金のうち、合金番号AA8079は、鉄を0.6wt%~1.2wt%含んでおり、シリコンは、0.3wt%以下含む。すなわち、このような合金番号AA8079のアルミニウム合金で水分バリアー層20bを製造する場合には、鉄が相対的に少なく含まれるため、柔軟性が向上することはできるが、強度が低下し、成形性に限界が存在し得る。
【0108】
一方、アルミニウム合金のうち、合金番号AA8021は、鉄を1.2wt%~1.7wt%、特に、1.3wt%~1.7wt%含むことができ、シリコンは、0.2wt%以下含むことができる。このような合金番号AA8021のアルミニウム合金で水分バリアー層20bを製造する場合、鉄が相対的に多く含まれるため、引張強度(Tensile Strength)および延伸率(Elongation Rate)が改善することができる。
【0109】
一方、ある材料に引張力を印加した時に、引張強度と延伸率との関係をグラフで示すことができる。この際、グラフの縦軸を引張強度、横軸を延伸率とすると、グラフの下の面積が当該材料の靭性(Toughness)である。靭性とは、材料の破壊に対する強い程度を示し、靭性が高いほど、材料が破壊しないまでより多く延伸されることができる。
【0110】
したがって、合金番号AA8021のアルミニウム合金で水分バリアー層20bを製造する場合、引張強度と延伸率が改善するため、靭性(Toughness)が増加し、成形性が向上することができる。
【0111】
図10は合金番号AA8079のアルミニウム合金と合金番号AA8021のアルミニウム合金の鉄含量による引張強度、延伸率および結晶粒度の変化を示すグラフであり、
図11は合金番号AA8079のアルミニウム合金と合金番号AA8021のアルミニウム合金の結晶粒を拡大したSEM写真である。
【0112】
図10に図示されているように、アルミニウム合金の鉄含量に応じて、引張強度、延伸率および結晶粒度が変化する。具体的には、引張強度と延伸率は、鉄含量に比例するため、鉄含量が増加するほど引張強度と延伸率も増加する。一方、結晶粒度は鉄含量に半比例するため、鉄含量が増加するほど結晶粒度は減少する。
【0113】
上述のように、アルミニウム合金のうち、合金番号AA8079は、鉄を0.6wt%~1.2wt%含むため、
図11に図示されているように、結晶粒度が13μm~21μmと相対的に大きい。したがって、延伸される時に内部応力が十分に分散されず、ピンホール(Pinhole)が多くなるため、パウチフィルム20の成形性が低下する問題がある。
【0114】
一方、アルミニウム合金のうち、合金番号AA8021は、鉄を1.2wt%~1.7wt%含むため、
図11に図示されているように、結晶粒度が10μm~13μmと相対的に小さい。したがって、延伸される時に内部応力がより多く分散することができるため、ピンホール(Pinhole)が減少し、パウチフィルム20の成形性が向上することができる。
【0115】
したがって、本実施形態による水分バリアー層20bを成すアルミニウム合金は、鉄を1.2wt%~1.7wt%含むことができ、特に、1.3wt%~1.7wt%含むことができる。また、前記アルミニウム合金は、シリコンを0.2wt%以下含むことができる。また、結晶粒度が10μm~13μmであることができる。すなわち、本実施形態において、水分バリアー層20bを製造するアルミニウム合金は、合金番号AA8021であることができる。
【0116】
このようなパウチフィルム20は、成形性が向上して、パウチ20のカップ部22の深さをより深く形成することができ、カップ部22の周縁部24、25も垂直に近くなり、カップ部22の底部23と周縁部24、25を連結するエッジの曲率半径も減少することができ、より大きく厚い電極組立体10も収容することができる。したがって、このようなパウチ20を含む二次電池1は、体積に対するエネルギー効率が増加することができる。
【0117】
図12は本発明の一実施形態によるパウチ型二次電池の一部外観が図示されている斜視図であり、
図13は
図12に図示されているパウチ型二次電池を他の方向から見た図である。
【0118】
二次電池1において、収納部22は、収納部22の上面または底面23をフォールディング部側外壁24と連結する第1エッジ41と、収納部22の上面または底面23をシーリング部側外壁25と連結する第2エッジ42と、フォールディング部側外壁24とシーリング部側外壁25を連結する第3エッジ43と、第1エッジ41、第2エッジ42および第3エッジ43を連結するコーナ44とを含むことができる。
【0119】
第1エッジ41、第2エッジ42および第3エッジ43は、ラウンド状に形成されることができる。より詳細には、各エッジ41、42、43は、所定の曲率半径を有する曲面形状であることができ、前記曲率半径は、ラウンド方向に沿って一定であるか可変することができる。
【0120】
第1エッジ41は、収納部22の上面または底面23とフォールディング部側外壁24をラウンド状に連結することができる。第1エッジ41は、収納部22の長さ方向に延びることができ、延長方向に沿って比較的一定の曲率半径を有することができる。
【0121】
第2エッジ42は、収納部22の上面または底面23とシーリング部側外壁25をラウンド状に連結することができる。第1エッジ41と隣り合う第2エッジ42は、収納部22の幅方向に延びることができ、延長方向に沿って比較的一定の曲率半径を有することができる。
【0122】
第3エッジ43は、フォールディング部側外壁24とシーリング部側外壁25をラウンド状に連結することができる。第3エッジ43は、電極組立体10の積層方向、すなわち、収納部22の高さ方向に延びることができ、延長方向に沿って比較的一定の曲率半径を有することができる。
【0123】
第3エッジ43の曲率半径は、第1エッジ41の曲率半径および第2エッジ42の曲率半径より大きいことができる。
【0124】
コーナ44は、互いに隣接した第1エッジ41、第2エッジ42および第3エッジ43が連結されて形成されることができる。パウチ20のフォーミング工程時に、コーナ44に過剰な応力が集中することを防止するために、コーナ44は、第1エッジ41、第2エッジ42および第3エッジ43それぞれのラウンド方向にラウンド状の曲面形状を有することができる。
【0125】
コーナ44の曲率半径は、周辺部から中心部に行くほど大きくなることができる。したがって、コーナ44と各エッジ41、42、43との境界は、各エッジ41、42、43とコーナ44との間で曲率半径が急激に増加し始める位置と定義することができる。前記境界は、特定の一地点だけでなく、各エッジ41、42、43の延長方向に対する所定の範囲と定義されることも可能である。
【0126】
より詳細には、第1エッジ41とコーナ44の境界B1からコーナ44の中心部に行くほど、第1エッジ41のラウンド方向に対する曲率半径が大きくなることができる。
【0127】
また、第2エッジ42とコーナ44の境界からコーナ44の中心部に行くほど、第2エッジ42のラウンド方向に対する曲率半径が大きくなることができる。
【0128】
また、第3エッジ43とコーナ44の境界からコーナ44の中心部に行くほど、第3エッジ43のラウンド方向に対する曲率半径が大きくなることができる。
【0129】
一方、パウチ20は、シーリング部26の角とフォールディング部側外壁24を連結し、収納部22の幅方向にシーリング部26の角より突出した突出部30をさらに含むことができる。
【0130】
より詳細には、突出部30は、第1シーリング部27の角27aとフォールディング部29を連結し、収納部22の幅方向に対して外側に凸状に突出することができる。これと同時に、突出部30は、上方または下方に湾曲して曲がる形状を有することができる。
【0131】
パウチ20がフォーミングされる過程で、カップ部22のみが限定して延伸されるものではなく、テラス26でカップ部22と隣接した部分も全体的に微細に延伸される。したがって、二次電池1を製造する過程でフォールディング部29をフォールディングすると、前記微細に延伸された部分が累積し、突出部30が形成されることができる。
【0132】
突出部30は、フォールディング部側外壁24でフォールディング部29に連結されることができる。フォールディング部29は、フォールディング部側外壁24の一端部から他の端部までつながる溝形状を有することができる。
【0133】
突出部30とフォールディング部29の境界B2は、フォールディング部29の長さ方向に対して、第1エッジ41とコーナ44の境界B1より外側に位置することができる。すなわち、突出部30とフォールディング部29の境界B2は、収納部22の高さ方向に、第1エッジ41ではなく、コーナ44と重なる地点に位置することができる。
【0134】
これは、従来と比較して、パウチフィルム20の成形性を改善することで、実現可能な特徴である。突出部30の長さまたは大きさを最小化することで、二次電池1の外観がシャプに形成され、二次電池1のエネルギー密度が向上することができる。また、後述する電池モジュール100(
図20参照)でクーリング部3による冷却効率が向上することができる。
【0135】
図14は従来のパウチ型二次電池の一部外観が図示されている斜視図であり、
図15は
図14に図示されているパウチ型二次電池を他の方向から見た図である。
【0136】
比較例として、
図13および
図14を参照して、従来の二次電池について説明する。理解を容易にするために、本発明の二次電池1の各構成と同じ図面符号を使用して説明する。
【0137】
従来の二次電池は、パウチ20の成形性が低くて、第1エッジ41、第2エッジ42および第3エッジ43の曲率半径が相対的に大きく形成される。したがって、外観をシャプに形成するのに限界があり、しわやクリーズなどが発生する問題がある。
【0138】
また、フォールディング部側外壁24およびシーリング部側外壁25の端部にしわが発生することがあり、これによって、第1エッジ41、第2エッジ42および第3エッジ43の少なくとも一つは、延長方向に沿って過剰に可変する曲率半径を有し得る。
【0139】
例えば、フォールディング部側外壁24の端部にしわが発生することがあり、これによって、第1エッジ41は、コーナ44と隣接した部分で曲率半径が急激に大きくなるか小さくなることがある。したがって、コーナ44の形状が不規則に変形する問題があった。
【0140】
また、フォールディング部29が成す溝形状が、フォールディング部側外壁24の端部までつながらず、途中で消えるか、突出部30がフォールディング部側外壁24でフォールディング部29に連結されないこともある。
【0141】
また、突出部30がフォールディング部29に連結されても、突出部30とフォールディング部29の境界B2は、フォールディング部29の長さ方向に対して、第1エッジ41とコーナ44の境界B1より外側に位置することができる。すなわち、突出部30とフォールディング部29の境界B2は、収納部22の高さ方向に、第1エッジ41と重なる地点に位置することができる。これは、本発明とは逆の構成であり、従来の二次電池の突出部30は、長さが長くなり、大きさも大きく形成されることを意味する。
【0142】
図16および
図17は本発明の一実施形態によるフォールディング部側外壁と負極との距離を測定したCT写真である。
【0143】
より詳細には、
図16は
図4の第1地点P1で測定したCT(Computerized Tomography)写真であり、
図17は
図4の第2地点P2で測定したCT写真である。ただし、フォールディング部側外壁24と負極14との距離を測定する方式がこれに制限されるものではなく、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、X線(X-Ray)などによる方法で測定することも可能である。
【0144】
本発明は、パウチ20の成形性を改善することで、複数個の負極14の端部14a(
図5参照)とフォールディング部側外壁24が離隔した状態を維持し、且つ相互間の距離が最大限に近くなるように製造することができる。この場合、前記距離は、二次電池1が床などの水平面に配置された状態で、複数個の負極14の端部14a(
図5参照)とフォールディング部側外壁24との間の水平方向距離を意味し得る。
【0145】
負極14の端部14aとフォールディング部側外壁24との距離は、負極14の端部14aと正極13の端部13aとの距離未満であることができる。
【0146】
好ましくは、負極14の端部14aとフォールディング部側外壁24との距離は、負極14の端部14aと正極13の端部13aとの距離の半分未満であることができる
【0147】
すなわち、負極14が正極13に対してフォールディング部側外壁24の方に突出した距離の半分よりも、負極14の端部14aとフォールディング部側外壁24との距離がより短いことができる。これは、
図16および
図17にて肉眼ですぐ確認することができる。
【0148】
これにより、パウチ20内に空所(void space)が最小化し、後述するクーリング部3(
図20参照)による冷却効率が上昇し、二次電池1のエネルギー密度が高くなることができる。
【0149】
より詳細には、複数個の負極14の端部14aとフォールディング部側外壁24との平均距離は0.6mm以下に実現されることができる。前記平均距離は、フォールディング部側外壁24の延長方向に対する任意の一地点で測定したものを意味し得る。前記平均距離は、フォールディング部側外壁24の延長方向に沿って可変することができる。
【0150】
また、複数個の負極14の端部14aとフォールディング部側外壁24との最大距離は、0.8mm以下であることができる。仮に前記最大距離が0.8mm超の場合、平均距離が0.6mm以下の場合には、複数個の負極14の端部14aとフォールディング部側外壁24との距離の偏差が過剰に大きくなり、二次電池1の品質が均一でない問題がある。
【0151】
また、フォールディング部側外壁24の延長方向に離隔した複数個の地点で測定された複数個の平均距離のそれぞれは、いずれも0.6mm以下であり、前記複数個の平均距離の平均である全体平均距離は、0.5mm以下であることができる。
【0152】
例えば、フォールディング部側外壁24の両端部のうち一端部により隣接した第1地点P1(
図4参照)で、複数個の負極14の端部14aとフォールディング部側外壁24との平均距離は、第1距離と称する。また、フォールディング部側外壁24の両端部のうち他の端部により隣接した第2地点P2(
図4参照)で、複数個の負極14の端部14aとフォールディング部側外壁24との平均距離は、第2距離と称する。この場合、前記第1距離および前記第2距離は、それぞれ、0.6mm以下であることができ、第1距離と第2距離の平均、すなわち、全体平均距離は、0.5mm以下であることができる。
【0153】
これにより、フォールディング部側外壁24の延長方向に沿って、複数個の負極14の端部14aとフォールディング部側外壁24との間隔が全体的に近く維持されることができる。
【0154】
仮に、前記全体平均距離が0.5mm超の場合、パウチ20内に空所(void space)が大きくなるため、後述するクーリング部3(
図20参照)による冷却効率が低下し、また、二次電池1のエネルギー密度が低くなる問題が発生する。
【0155】
また、フォールディング部側外壁24のある一部分でも前記平均距離が0.6mm超の場合、当該部分が周辺に比べて突出し、二次電池1の外観が美麗になるのに限界があり、後述するクーリング部3(
図20参照)による当該部分の冷却がまともに行われず、局所的な温度上昇が発生する恐れがある。
【0156】
実験例として、
図16および
図17を参照すると、前記第1地点P1で、電極組立体10の積層方向に互いに離隔した5個の負極14とフォールディング部側外壁24との距離は、それぞれ、0.60mm、0.74mm、0.53mm、0.30mm、0.39mmと測定され、最大距離は0.74mm、平均距離は0.51mmであることを確認した。
【0157】
また、前記第2地点P2で、電極組立体10の積層方向に互いに離隔した5個の負極14とフォールディング部側外壁24との距離は、それぞれ、0.22mm、0.54mm、0.41mm、0.57mm、0.39mmと測定され、最大距離は0.57mm、平均距離は0.43mmであることを確認した。
【0158】
したがって、前記第1地点P1および第2地点P2で、全体平均距離は0.47mmであることを確認することができる。
【0159】
すなわち、本発明は、各地点P1、P2で前記最大距離が0.8mm以下であり、各地点P1、P2で前記平均距離が0.6mm以下であり、前記全体平均距離が0.5mm以下であることを確認することができる。
【0160】
一方、フォールディング部29の最内側に接し、電極組立体10の積層方向と平行な仮想線VPは、収納部22の上面23、底面23、または第1エッジ41の少なくとも一つを通過することができる。
【0161】
図16を参照すると、第1地点P1で前記仮想線VPがいずれか一つの第1エッジ41を通過することを確認することができ、
図17を参照すると、第2地点P2で前記仮想線VPが収納部22の上面および底面23を通過することを確認することができる。
【0162】
このような構成は、本発明のパウチ20の成形性が改善することで実現可能なものであり、これにより、パウチ20内に空所(void space)が最小化し、後述するクーリング部3(
図20参照)による冷却効率が上昇し、二次電池1のエネルギー密度が高くなることができる。
【0163】
図18および
図19は従来のパウチと負極との距離を測定したCT写真である。
【0164】
より詳細には、
図18は、従来の二次電池において、前記第1地点P1に対応する部分を測定したCT写真であり、
図19は、従来の二次電池において、前記第2地点P2に対応する部分を測定したCT写真である。
【0165】
比較例として
図18および
図19を参照すると、負極14の端部14aとフォールディング部側外壁24との距離は、負極14の端部14aと正極13の端部13aとの距離の半分より離れていることを確認することができる。さらには、一部負極14の端部14aとフォールディング部側外壁24との距離は、負極14の端部14aと正極13の端部13aとの距離より離れていることを確認することができる。
【0166】
したがって、従来の二次電池は、パウチ20内に空所(void space)が大きく形成されるため、二次電池の冷却効率およびエネルギー密度が低くなる問題がある。
【0167】
また、前記第1地点P1と対応する部分で、電極組立体10の積層方向に互いに離隔した5個の負極14とフォールディング部側外壁24との距離は、それぞれ、0.89mm、1.19mm、0.84mm、0.94mm、1.23mmと測定され、最大距離は1.23mm、平均距離は1.01mmであることを確認した。
【0168】
また、前記第2地点P2と対応する部分で、電極組立体10の積層方向に互いに離隔した5個の負極14とフォールディング部側外壁24との距離は、それぞれ、0.90mm、0.89mm、0.89mm、1.22mm、0.75mmと測定され、最大距離は1.22mm、平均距離は0.93mmであることを確認した。
【0169】
したがって、前記第1地点P1および第2地点P2のそれぞれに対応する部分の全体平均距離は0.97mmであることを確認することができる。
【0170】
すなわち、比較例の場合、本発明とは異なり、各地点で最大距離が0.8mm超であり、各地点で平均距離が0.6mm超であり、全体平均距離が0.5mm超であることを確認することができる。
【0171】
また、
図18を参照すると、前記第1地点P1に対応する部分で、フォールディング部側外壁24のしわによってフォールディング部29の溝形状が消えることを確認することができる。したがって、前記仮想線を定義することが不可能である。
【0172】
図19を参照すると、前記第2地点P2に対応する部分では、前記仮想線VPが定義されることができるが、前記仮想線VPが収納部22の上面23、底面23または、第1エッジ41を通過せず、代わりにフォールディング部側外壁24を通過することを確認することができる。これは、従来の二次電池の場合、パウチ20の成形性が良好でなく、フォールディング部側外壁24が垂直に近く形成されず、第1エッジ41の曲率半径が大きく形成されるためである。
【0173】
図20は本発明の一実施形態による電池モジュールの概略図である。
【0174】
自動車などの中大型電子機器は、出力が大きい必要があるため、多数の二次電池1が必要である。このような二次電池1を容易に移動し、設置するために、多数の二次電池1を含む電池モジュール100を製造することができる。
【0175】
より詳細には、電池モジュール100は、複数個の二次電池1と、前記複数個の二次電池1を収容するハウジング2と、前記ハウジング2の内側底面に備えられて前記複数個の二次電池1を冷却するクーリング部3とを含むことができる。
【0176】
ハウジング2は、略ボックス形状を有することができるが、これに限定されるものではない。ハウジング2は、電池モジュール100の外観を形成することができる。
【0177】
複数個の二次電池1は、ハウジング2内に垂直に立てられて積層されることができる。より詳細には、複数個の二次電池1は、フォールディング部側外壁24が下方に向かい、第2シーリング部28が上方を向かうように立てられることができる。したがって、フォールディング部側外壁24は、クーリング部3に接することができる。フォールディング部側外壁24は、第2シーリング部28より長く形成されるため、クーリング部3による各二次電池1の冷却効率が向上することができる。
【0178】
また、各二次電池1の電極リード16は、バスバー(bus bar、図示せず)に連結されて外部に電力を伝達することができる。
【0179】
クーリング部3は、複数個の二次電池1のフォールディング部側外壁24に隣接し、複数個の二次電池1を冷却することができる。クーリング部3は、二次電池1の電極組立体10で電気が発生する過程で化学反応によって発生する熱を冷却することができる。
【0180】
各二次電池1のフォールディング部側外壁24は、クーリング部3に直接接することができる。ただし、これに限定されるものではなく、フォールディング部側外壁24とクーリング部3との間にサーマルグリース(Thermal grease)などの媒介体が備えられることも可能であることは言うまでもない。
【0181】
前記クーリング部3は、略プレート形状を有することができ、ハウジング2とは別に製作されてハウジングの内側底面に配置されることができる。もしくは、クーリング部3がハウジング2の底面を成すことも可能である。
【0182】
クーリング部3は、空冷式または水冷式に動作することができ、その構成および方式は制限されない。一例として、プレート形状を有するクーリング部3の内部には、冷却水が流動する流路が形成されることができる。
【0183】
一方、上述のように、各二次電池1のフォールディング部側外壁24と複数個の負極14との距離は、非常に近く形成されることができる。したがって、電極組立体10の熱がクーリング部3によって効果的に冷却されることができる。
【0184】
これにより、高熱によって二次電池1が設置された電気機器の回路に誤作動が発生するか、電気機器の寿命が短縮する恐れを解消することができる。
【0185】
また、上述のように、各二次電池1の突出部30は、非常に小さく形成されることができる。したがって、突出部30によってフォールディング部側外壁24とクーリング部3との間に隙間が発生した場合、前記隙間は非常に小さく形成され、前記隙間に注入されるサーマルグリースなどの媒介体の注入量が減少することができる。
【0186】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したもの過ぎず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正および変形が可能である。
【0187】
したがって、本発明に開示されている実施形態は、本発明の技術思想を限定するものではなく、説明するためのものであって、このような実施形態によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。
【0188】
本発明の保護範囲は、下記の請求の範囲によって解釈されなければならず、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈すべきである。
【符号の説明】
【0189】
1 二次電池
10 電極組立体
11 セパレータ
12 電極
13 正極
14 負極
15 電極タブ
16 電極リード
17 絶縁部
20 パウチ
20a シーラント層
20b 水分バリアー層
20c 表面保護層
20d 延伸補助層
21 ケース
22 カップ部、収納部
23 (カップ部の)底部、(収納部の)上面または底面
24 (カップ部の)第1面、(収納部の)フォールディング部側外壁
25 (カップ部の)第2面、(収納部の)シーリング部側外壁
26 テラス、シーリング部
27 サイド、第1シーリング部
28 拡張部、第2シーリング部
30 突出部
41 第1エッジ
42 第2エッジ
43 第3エッジ
44 コーナ
2 ハウジング
3 クーリング部
100 電池モジュール