(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155749
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】再生位置指示装置、楽曲再生装置及び再生位置指示プログラム
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059134
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】396004833
【氏名又は名称】株式会社エクシング
(74)【代理人】
【識別番号】100157118
【弁理士】
【氏名又は名称】南 義明
(72)【発明者】
【氏名】牛山 建太郎
【テーマコード(参考)】
5D208
【Fターム(参考)】
5D208CA06
5D208CA08
5D208CC15
5D208CE00
5D208CE02
(57)【要約】
【課題】楽曲を再生する楽曲再生装置に対し、歌詞に基づく適正な再生位置を指示可能とする。
【解決手段】本発明に係る再生位置指示装置は、楽曲の再生位置を指定可能なシークバーを表示するシークバー表示処理と、ユーザからの操作位置の入力、及び、操作位置の指定指示を入力可能とする位置入力処理と、入力された操作位置に対応する再生位置及び区間歌詞情報を決定する決定処理と、決定処理で決定した区間歌詞情報をシークバーに対応付けて表示する歌詞表示処理と、操作位置の指定指示が入力された場合、決定処理で決定した楽曲再生装置に再生位置を指示する指示処理を実行可能とする。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シークバー表示処理、位置入力処理、決定処理、歌詞表示処理、指示処理と、を実行可能であって、歌詞情報に基づいて再生位置を指示する再生位置指示装置であって、
歌詞情報は、区間で区切られた区間歌詞情報を有して構成され、
シークバー表示処理は、楽曲の再生位置を指定可能なシークバーを表示し、
位置入力処理は、ユーザからの操作位置の入力、及び、操作位置の指定指示を入力可能とし、
決定処理は、入力された操作位置に対応する再生位置及び区間歌詞情報を決定し、
歌詞表示処理は、決定処理で決定した区間歌詞情報をシークバーに対応付けて表示し、
指示処理は、操作位置の指定指示が入力された場合、決定処理で決定した再生位置を指示する
再生位置指示装置。
【請求項2】
歌詞情報は、区間歌詞情報に対応付けられたタイムスタンプを有し、
歌詞表示処理は、決定処理で決定した区間歌詞情報に対応付けられたタイムスタンプに基づくシークバー上の位置に、当該区間歌詞情報を表示する
請求項1に記載の再生位置指示装置。
【請求項3】
区間歌詞情報の区間は、複数の階層構造を有し、
決定処理は、何れかの階層に属する区間を使用して、区間歌詞情報を決定する
請求項1または請求項2に記載の再生位置指示装置。
【請求項4】
決定処理は、ユーザが指定する何れかの階層に属する区間を使用して、区間歌詞情報を決定する
請求項3に記載の再生位置指示装置。
【請求項5】
歌詞情報は、区間歌詞情報に対応付けられたタイムスタンプを有し、
指示処理は、操作位置の指定指示が入力された場合、決定処理で決定した区間歌詞情報に対応付けられたタイムスタンプの前後、何れかの再生位置を指示する
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の再生位置指示装置。
【請求項6】
決定処理は、入力された操作位置に加え、ユーザの操作方向に基づいて区間歌詞情報を決定する
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の再生位置指示装置。
【請求項7】
シークバー表示処理、位置入力処理、決定処理、歌詞表示処理、指示処理と、楽曲再生処理とを実行可能であって、歌詞情報に基づいて再生位置を指示可能な楽曲再生装置であって、
歌詞情報は、区間で区切られた区間歌詞情報を有して構成され、
シークバー表示処理は、楽曲の再生位置を指定可能なシークバーを表示し、
位置入力処理は、ユーザからの操作位置の入力、及び、操作位置の指定指示を入力可能とし、
決定処理は、入力された操作位置に対応する再生位置及び区間歌詞情報を決定し、
歌詞表示処理は、シークバー上に、決定処理で決定した区間歌詞情報を表示し、
指示処理は、操作位置の指定指示が入力された場合、決定処理で決定した再生位置を指示し、
楽曲再生処理は、指示処理で指示された再生位置に基づき、楽曲の再生を行う
楽曲再生装置。
【請求項8】
楽曲再生処理は、歌詞情報に基づいて歌詞を表示する
請求項7に記載の楽曲再生装置。
【請求項9】
シークバー表示処理、位置入力処理、決定処理、歌詞表示処理、指示処理と、を情報処理装置に実行させることが可能であって、歌詞情報に基づいて再生位置を指示する再生位置指示プログラムであって、
歌詞情報は、区間で区切られた区間歌詞情報を有して構成され、
シークバー表示処理は、楽曲の再生位置を指定可能なシークバーを表示し、
位置入力処理は、ユーザからの操作位置の入力、及び、操作位置の指定指示を入力可能とし、
決定処理は、入力された操作位置に対応する再生位置及び区間歌詞情報を決定し、
歌詞表示処理は、決定処理で決定した区間歌詞情報をシークバーに対応付けて表示し、
指示処理は、操作位置の指定指示が入力された場合、決定処理で決定した楽曲再生装置に再生位置を指示する
再生位置指示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽曲を再生する際、その再生位置を指示することのできる再生位置指示装置、楽曲再生装置及び再生位置指示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、伴奏に合わせて歌唱を楽しむカラオケが社交の場等で行われている。カラオケの利用方法としては、歌唱の能力向上を図るため等を目的として、不得意箇所を繰り返し練習する場合がある。従来、このような練習には、楽曲の早送り機能、巻き戻し機能が使用されている。
【0003】
特許文献1には、マイクロホンから入力される歌唱音声信号に基づいて歌唱評価を行い、歌唱評価が所定条件を満たしていない要練習区間を特定すること、及び、特定した要練習区間に対し歌唱評価処理を実行し、要練習区間の歌唱評価が所定条件を満たした場合には、楽曲情報の再生を継続し、要練習区間の歌唱評価が所定条件を満たしていない場合には、要練習区間を含んだ繰り返し区間の先頭に戻って再生する反復練習処理と、を実行するカラオケ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のカラオケ装置によれば、カラオケ装置が実行する歌唱評価に基づき、歌唱評価の低い箇所を反復練習することが可能である。歌唱の練習には、このような練習形態のみならず、自分の主観に基づき、不得意な箇所を練習したい場合がある。このような場合、従来のような楽曲の早送り機能、巻き戻し機能では、歌唱したい適切な箇所を迅速に指示することは困難であった。
【0006】
そのため、本発明は、歌唱したい箇所を適切に指示することを1つの目的とする。あるいは、カラオケ装置のみならず、音楽を聴くための楽曲再生装置においても、聴取したい箇所を適切に指示できることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため、本発明に係る再生位置指示装置は、シークバー表示処理、位置入力処理、決定処理、歌詞表示処理、指示処理と、を実行可能であって、歌詞情報に基づいて再生位置を指示する再生位置指示装置であって、歌詞情報は、区間で区切られた区間歌詞情報を有して構成され、シークバー表示処理は、楽曲の再生位置を指定可能なシークバーを表示し、位置入力処理は、ユーザからの操作位置の入力、及び、操作位置の指定指示を入力可能とし、決定処理は、入力された操作位置に対応する再生位置及び区間歌詞情報を決定し、歌詞表示処理は、決定処理で決定した区間歌詞情報をシークバーに対応付けて表示し、指示処理は、操作位置の指定指示が入力された場合、決定処理で決定した再生位置を指示する。
【0008】
さらに、本発明に係る再生位置指示装置において、歌詞情報は、区間歌詞情報に対応付けられたタイムスタンプを有し、
歌詞表示処理は、決定処理で決定した区間歌詞情報に対応付けられたタイムスタンプに基づくシークバー上の位置に、当該区間歌詞情報を表示する。
【0009】
さらに、本発明に係る再生位置指示装置において、区間歌詞情報の区間は、複数の階層構造を有し、決定処理は、何れかの階層に属する区間を使用して、区間歌詞情報を決定する。
【0010】
さらに、本発明に係る再生位置指示装置において、決定処理は、ユーザが指定する何れかの階層に属する区間を使用して、区間歌詞情報を決定する。
【0011】
さらに、本発明に係る再生位置指示装置において、 歌詞情報は、区間歌詞情報に対応付けられたタイムスタンプを有し、
指示処理は、操作位置の指定指示が入力された場合、決定処理で決定した区間歌詞情報に対応付けられたタイムスタンプの前後、何れかの再生位置を指示する。
【0012】
さらに、本発明に係る再生位置指示装置において、決定処理は、入力された操作位置に加え、ユーザの操作方向に基づいて区間歌詞情報を決定する。
【0013】
また、本発明に係る楽曲再生装置は、シークバー表示処理、位置入力処理、決定処理、歌詞表示処理、指示処理と、楽曲再生処理とを実行可能であって、歌詞情報に基づいて再生位置を指示可能な楽曲再生装置であって、歌詞情報は、区間で区切られた区間歌詞情報を有して構成され、シークバー表示処理は、楽曲の再生位置を指定可能なシークバーを表示し、位置入力処理は、ユーザからの操作位置の入力、及び、操作位置の指定指示を入力可能とし、決定処理は、入力された操作位置に対応する再生位置及び区間歌詞情報を決定し、歌詞表示処理は、シークバー上に、決定処理で決定した区間歌詞情報を表示し、指示処理は、操作位置の指定指示が入力された場合、決定処理で決定した再生位置を指示し、楽曲再生処理は、指示処理で指示された再生位置に基づき、楽曲の再生を行う。
【0014】
さらに、本発明に係る楽曲再生装置において、楽曲再生処理は、歌詞情報に基づいて歌詞を表示する。
【0015】
また、本発明に係る再生位置指示プログラムは、シークバー表示処理、位置入力処理、決定処理、歌詞表示処理、指示処理と、を情報処理装置に実行させることが可能であって、歌詞情報に基づいて再生位置を指示する再生位置指示プログラムであって、歌詞情報は、区間で区切られた区間歌詞情報とを有して構成され、シークバー表示処理は、楽曲の再生位置を指定可能なシークバーを表示し、位置入力処理は、ユーザからの操作位置の入力、及び、操作位置の指定指示を入力可能とし、決定処理は、入力された操作位置に対応する再生位置及び区間歌詞情報を決定し、歌詞表示処理は、決定処理で決定した区間歌詞情報をシークバーに対応付けて表示し、指示処理は、操作位置の指定指示が入力された場合、決定処理で決定した楽曲再生装置に再生位置を指示する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る再生位置指示装置、楽曲再生装置及び再生位置指示プログラムによれば、操作に基づいて表示される区間歌詞情報に基づき、適切な再生位置を指示することができ、歌唱した箇所、あるいは、聴取したい箇所を迅速に再生させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態のカラオケシステムの構成を示す図
【
図2】本実施形態のカラオケシステムで使用する楽曲情報のデータ構成を示す図
【
図9】本実施形態のシークバー操作を説明するための図
【
図10】他の実施形態のシークバー操作を説明するための図
【
図12】他の実施形態のシークバー操作を説明するための図
【
図14】他の実施形態のシークバー操作を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本実施形態のカラオケシステムの構成を示す図である。本実施形態におけるカラオケシステムは、カラオケ装置2(コマンダ)と、リモコン装置1を含んで構成されている。カラオケ装置2とリモコン装置1は、LAN100及びアクセスポイント130を利用してネットワークを形成するように接続されている。
【0019】
カラオケボックスなどの店舗に設置されるカラオケ装置2は、楽曲を演奏するための演奏部として音響制御部25を備えている。また、カラオケ装置2は、ユーザらの各種入力を受け付ける操作部21を備える。カラオケ装置2は、操作部21からの入力を解釈してCPU30に伝達する操作処理部22を備える。また、カラオケ装置2は、各種情報を記憶する記憶部としてのハードディスク32を備える。カラオケ装置2は、LAN100に接続してネットワークに加入する通信手段としてのLAN通信部24を備えている。
【0020】
また、カラオケ装置2は、モニタ41に対して歌詞映像、背景映像を表示させる映像再生手段を備える。この映像再生手段は、映像情報に基づいて映像を再生する映像再生部29、再生する映像を一時的に蓄積するビデオRAM28、再生された映像に対する歌詞テロップの重畳、映像効果の付与等を行う映像制御部31を備えて構成される。
【0021】
さらに、このカラオケ装置2では、外部に接続されるモニタ41以外に、タッチパネルモニタ33に対して各種情報を表示することを可能としている。タッチパネルモニタ33は、カラオケ装置2のフロントパネルに設けられており、カラオケ装置2と対面するユーザによって操作することが可能である。タッチパネルモニタ33は映像制御部31から入力された映像情報を表示する表示部35と、タッチ入力された位置を操作処理部22に出力するタッチパネル34が重畳されて構成されている。このタッチパネルモニタ33は、カラオケ装置2の操作部21、あるいは、リモコン装置1のタッチパネルモニタ11などと同様、入力部として機能する。ユーザは、タッチパネルモニタ33にて楽曲を選択することで、直接、カラオケ装置2に予約させる等、カラオケ装置2に対する各種操作を行うことが可能である。
【0022】
さらに、カラオケ装置2は、各構成を統括して制御するためのCPU30、各種プログラムを実行するにあたって必要となる情報を一時記憶するためのメモリ27を含んだ制御部を備えて構成されている。
【0023】
このような構成にてカラオケ装置2は、各種処理を実行することとなるが、カラオケ装置2の主な機能として、楽曲予約処理、楽曲再生処理などを実行可能としている。楽曲予約処理は、ユーザからの指定に基づいて楽曲を指定、予約するための処理であってリモコン装置1と連携して実行される。リモコン装置1の選曲処理で形成された予約情報は、カラオケ装置2に送信される。カラオケ装置2は、受信した予約情報をメモリ27中の予約テーブルに登録する。楽曲再生処理は、予約された楽曲を再生させる処理であって、楽曲演奏処理と歌詞表示処理とが同期して実行される処理である。
【0024】
楽曲演奏処理は、楽曲情報に含まれる演奏情報に基づき、音響制御部25に演奏を実行させる処理である。音響制御部25にて演奏された楽曲は、マイクロホン43a、43bから入力される歌唱音声と一緒にスピーカー42から放音される。歌詞表示処理は、楽曲情報に含まれる歌詞情報をモニタ41に表示させることで歌唱補助を行う処理である。
【0025】
一方、リモコン装置1は、ユーザからの指示に基づいて楽曲を検索し、再生指示のあった楽曲について予約情報をカラオケ装置2に送信する選曲処理を実行可能としている。また、リモコン装置1は、カラオケ装置2あるいはインターネット上に接続されたサーバー装置5から各種情報を受信し、各種処理を実行することが可能である。本実施形態では、ユーザから各種指示を受け付けるユーザインターフェイスとして、操作部17と、タッチパネルモニタ11を備えている。タッチパネルモニタ11は、表示部11aとタッチパネル11bを有して構成され、表示部11aに各種インターフェイスを表示するとともに、ユーザからのタッチ入力を受付可能としている。
【0026】
さらにリモコン装置1は、選曲処理に必要とされるデータベース、各種プログラム、並びに、プログラム実行に伴って発生する各種情報を記憶する記憶部として、メモリ14、そして、これら構成を統括して制御するためのリモコン側制御部を備えて構成される。リモコン側制御部には、CPU15、タッチパネルモニタ11に対して表示する映像を形成する映像制御部13、表示する映像情報を一時的に蓄えるビデオRAM12、タッチパネルモニタ11あるいは操作部17からの入力を解釈してCPU15に伝える操作処理部18が含まれている。
【0027】
リモコン装置1は、無線LAN通信部16によって、アクセスポイント130と無線接続されることで、LAN100によって構成されるネットワークに接続される。なお、各リモコン装置1は、特定のカラオケ装置2に対して事前に対応付けされている。リモコン装置1から出力される各種命令は、対応付けされたカラオケ装置2にて受信されることと
【0028】
このようなリモコン装置1の構成により、ユーザからの各種入力をタッチパネルモニタ11、あるいは、操作部17から受付けるとともに、映像情報をタッチパネルモニタ11の表示により各種情報を提供することで、カラオケ装置2に対して出力する予約情報を送信する選曲処理など、各種処理を行うことが可能となっている。
【0029】
図2は本実施形態の楽曲情報のデータ構成を示す図である。本実施形態の楽曲情報はメタ情報と、実情報で構成されている。メタ情報は、楽曲に関連する情報であって、本実施形態では楽曲ID、楽曲名、ジャンル名、楽曲のサムネイル情報等を有して構成される。これらメタ情報は、楽曲の検索、あるいは、楽曲識別のために表示する情報として使用される。
【0030】
実情報は演奏情報、歌詞情報、歌唱評価情報(主旋律情報)を有して構成されている。演奏情報は、音響制御部25で演奏を行うための情報である。演奏情報としてはMIDI情報、音声圧縮情報等、各種形態の情報を使用することが可能である。歌詞情報は、歌唱補助のため、モニタ41に歌詞を表示するための情報である。この歌詞情報については
図3で詳しく説明を行う。歌唱評価情報(主旋律情報)は、ユーザの歌唱を評価するための情報である。歌唱評価情報(主旋律情報)は、楽曲再生時、歌唱評価情報とマイクロホン43a、43bから入力される歌唱音声を比較することで採点等の評価処理に使用される。
【0031】
図3は、本実施形態の歌詞情報のデータ構成を示す図である。本実施形態の歌詞情報は、フレーズP(本実施形態の「区間歌詞情報」に相当)毎に分割して構成されている。フレーズPにはフレーズPの開始を示すタイムスタンプPS、フレーズPの終了を示すタイムスタンプPEが付与されている。例えば、フレーズP1(「春のうららの」)については、フレーズ開始のタイムスタンプPS1、フレーズ終了のタイムスタンプPE1が付与されている。
【0032】
また、フレーズには各ワード毎に開始位置と、終了位置が定義されている。例えば、フレーズP1「春のうららの」中の先頭ワードW1「春」については、その開始を示すタイムスタンプWS1、終了を示すタイムスタンプWE1が付与されている。このように本実施形態では、フレーズPにタイムスタンプが付与されているため、フレーズPの表示開始、表示終了を制御することができる。また、ワードについても開始と終了を示すタイムスタンプが付与されている、このタイムスタンプに基づく色変え制御を行うことができる。
【0033】
さらに本実施形態ではフレーズPのまとまりを歌詞番Lとして構成している。歌詞番L開始位置は、最初のフレーズの開始位置に相当し、歌詞番Lの終了位置は、最後のフレーズの終了位置で規定ことができる。例えば歌詞番L1については、タイムスタンプPS1が歌詞番L1の開始位置に相当し、タイムスタンプPE8が歌詞番L1の終了位置に相当する。この歌詞番Lを使用することで、歌詞情報中、歌詞番の区切りを判断することが可能となっている。
【0034】
このように本実施形態の歌詞情報は、ワードW、フレーズP、歌詞番Lといった階層構造を有して構成され、階層構造に基づき、表示、色変えを行うことが可能となっている。なお、後述する変形例においても、この階層構造を使用し、ワードW、フレーズP、歌詞番Lに基づくシーク処理を行うことが可能となっている。なお、以降、説明する実施例では、この
図3に記載された歌詞情報を例にとって説明を行うこととする。
【0035】
図4は、本実施形態の選曲処理を示すフロー図である。ここでは、リモコン装置1で実行される選曲処理について説明する。ユーザは、楽曲名、もしくは、歌手名等を使用して歌唱したい楽曲を選択することが可能である。ユーザにより1の楽曲が選択される(S101:Yes)と、楽曲の詳細を表示してユーザに確認させる楽曲確認画面がタッチパネルモニタ11に表示される(S102)。
【0036】
図5には、本実施形態の楽曲確認画面が示されている。本実施形態では、事前にユーザ登録しているユーザは、カラオケシステムを使用する際、リモコン装置1を使用してカラオケシステムにログインし、自己のユーザ情報を使用したサービスを受けることが可能である。ログインユーザ欄103には、カラオケシステムにログインしているユーザの分身像103a~103e(本実施形態では顔部分)が表示される。
【0037】
またログインユーザ欄103中、右端に背景がハイライト(白色)で示されるユーザは、アクティブユーザ(この例ではAさん)であって、アクティブユーザに対するサービス、すなわち、アクティブユーザのユーザ情報を利用したサービスが実行されている状態となっている。アクティブユーザの切り替えは、ユーザ切り替えボタン101を操作することで行うことが可能である。また、ユーザ登録していないユーザは、ゲストボタン102を操作することで、ゲストユーザとしてカラオケシステムを使用することが可能である。
【0038】
楽曲確認画面には、楽曲名、歌手名、歌い出しといった楽曲に関連する情報が表示されている。ユーザはこの楽曲確認画面で、自分が歌唱したい楽曲か否かを確認し、予約ボタン106を操作することで、楽曲の予約を行うことが可能である。予約ボタン106が操作された場合(S103:Yes)、当該楽曲の楽曲IDを含む予約情報が、カラオケ装置2に送信される(S104)。
【0039】
また、楽曲確認画面には、TOPボタン104、戻るボタン105が表示されている。ユーザはTOPボタン104を操作することで、トップメニューに戻ることが可能である。また、戻るボタン105が操作された場合、1画面前の状態に戻ることになる。
【0040】
図6は、本実施形態の楽曲再生処理を示すフロー図である。楽曲再生処理が開始されると、まず、予約テーブルのチェックが行われる(S201)。予約テーブル中、次の楽曲がある場合(S202:Yes)には、当該楽曲の楽曲IDが参照され、楽曲再生が開始される(S203)。楽曲再生が終了した場合(S204:Yes)は、予約テーブルのチェックに戻る。本実施形態では、楽曲再生中、再生位置を変更することが可能である。再生位置の変更はリモコン装置1から再生位置を受信することで行われる。再生位置を受信した場合(S205:Yes)、再生位置の変更(S206)が行われる。
【0041】
では、この再生位置の変更について、リモコン装置1で実行されるシーク処理について説明する。
図7は、本実施形態のシーク処理を示すフロー図である。シーク処理は、楽曲再生中、リモコン装置1のトップ画面等において所定の操作を行うことで開始される。シーク処理が開始されると、まず再生中の楽曲の歌詞情報が取得される(S301)。歌詞情報の取得は、現在再生中の楽曲について、カラオケ装置2から受信してもよいし、サーバー装置5から受信することとしてもよい。あるいは、リモコン装置1のメモリ14に予め記憶しているものであってもよい。
【0042】
歌詞情報が取得されると、当該歌詞情報に基づく操作画面が表示される(S302)。この操作画面の表示は、「シークバー表示処理」に相当している。
図8は、リモコン装置1のタッチパネルモニタ11に表示された操作画面を示す図である。操作画面には、現在、再生中の楽曲について、その楽曲関連情報107が表示されている。本実施形態の楽曲関連情報107としては、楽曲名107a、アーティスト名107b、サムネイル画像107cが表示されている。また、本実施形態の操作画面には、楽曲関連情報107の下方に現在シーク中の歌詞フレーズ112が表示されている。
【0043】
操作画面には、シークバー110が表示されている。シークバー110は左端Sを楽曲の先頭位置、右端Eを楽曲の終了位置とし、ユーザの操作により楽曲の再生位置を変更することが可能である。現在位置については、その上方に歌詞フレーズ111が表示されている。なお、シーク中の歌詞フレーズ112は、このシークバー110上に表示されている歌詞フレーズ111とおなじものが表示されている。
【0044】
本実施形態では、タッチパネルモニタ11上を指で操作する形態となっている。図中、参考としてタッチ位置を明確するため、カーソルCを記載している。このカーソルCは実際にはタッチパネルモニタ11に表示されるものではない。
【0045】
操作画面には、楽曲操作ボタン113が表示されている。楽曲操作ボタン113は、一時停止ボタン113a、早送りボタン113b、次曲ボタン113c、巻き戻しボタン113e、前曲ボタン113dを含んで構成されている。ユーザは、これらの楽曲操作ボタン113を操作することで、各種楽曲の再生状態を変更することも可能である。
【0046】
では、
図7のシーク処理に戻って説明を行う。リモコン装置1は、随時、カラオケ装置2側の再生状況を取得することが可能となっている。楽曲の再生が終了した、もしくは、操作画面の終了動作が行われた場合(S303:Yes)、操作画面を閉じてシーク処理を終了する(S313)。
【0047】
一方、ユーザがシークバー110に対する操作であるシーク操作を開始した、もしくは、操作中の場合(S304:Yes)、まず、ユーザが指定する操作位置を取得する(S305)。この操作位置の取得は、「位置入力処理」に相当している。そして、取得した操作位置に対応する歌詞フレーズを決定(S306)する。この歌詞フレーズの決定は、「決定処理」の一部に相当する。そして、取得した歌詞フレーズ111に対応するタイムスタンプを取得する(S307)。そして、S306で取得した歌詞フレーズ111を、S307で取得したタイムスタンプに対応する位置に表示する(S308)。この歌詞フレーズ111の表示は、「歌詞表示処理」に相当している。このように本実施形態では、表示する単位としての区間歌詞情報として、歌詞フレーズを使用している。
【0048】
図9は、本実施形態のシークバー操作を説明するための図である。
図9(A)は、ユーザがタッチ操作を行っていない場合のシークバー110を示す図である。この場合、シークバー110には、現在再生中の歌詞フレーズ111が表示される。
図9(B)、
図9(C)は、ユーザが操作している場合の図である。シークバー110の近傍には各フレーズ毎に領域R1、R2が設定されている。各領域R1、R2は、互いに重複しないように設定されている。ユーザのタッチ位置であるカーソルCがこの領域R1、R2内に位置した場合、それに対応する歌詞フレーズ111が表示される。
【0049】
図9(B)の場合、カーソルCは領域R1内に入っているため、この領域R1内に対応する歌詞フレーズ(見ずや夕ぐれ)が取得される(S306)。そして、この歌詞フレーズ(見ずや夕ぐれ)に対応するタイムスタンプPS13が取得される(S307)。本実施形態では、歌詞フレーズ111を使用して、再生開始位置を指定するため、歌詞フレーズの再生開始を規定するタイムスタンプが、歌詞フレーズに対応するタイムスタンプとして取得されることになる。次に、シークバー110上、タイムスタンプPS13に対応する位置に、歌詞フレーズ111として(見ずや夕ぐれ)が表示される(S308)。
【0050】
一方、
図9(C)の場合、カーソルCは領域R2内に入っている。そのため、この領域R2に対応する歌詞フレーズ(手をのべて)が取得される(S306)。そして、この歌詞フレーズ(手をのべて)に対応するタイムスタンプPS14が取得される(S307)。そして、シークバー110上、タイムスタンプPS14に対応する位置に、歌詞フレーズ111として(手をのべて)が表示される(S308)。
【0051】
このように本実施形態では、シークバー110に対するタッチ操作により、再生位置となる歌詞フレーズを指定することが可能である。また歌詞フレーズ111は、それに対応するタイムスタンプの位置に表示されるため、ユーザはその位置を視覚的に把握することが可能である。シーク操作中、歌詞フレーズ111は、それに対応するタイムスタンプの位置でのみ表示されることになる。
【0052】
このような歌詞フレーズ111の表示において、ユーザがシーク操作を終了した場合(S309:Yes)、操作を終えた際の歌詞フレーズ111に対応するタイムスタンプが再生位置として決定され、その再生位置が送信される(S310)。なお、再生位置の決定は、「決定処理」の一部に相当し、再生位置の送信は、「指示処理」に相当するものである。本実施形態では、操作位置の指定指示として、シーク操作の終了、すなわち、ユーザがタッチ操作を終え、タッチパネルモニタ11から手を離したときとしているが、操作位置の指定指示としては、このような形態のみならず、各種形態を採用することが可能である。また、再生位置の決定としては、タイムスタンプを使用することに代え、シークバー110に対するタッチ操作の位置(図におけるカーソルCの位置)で決定することとしてもよい。タッチパネルモニタ11上、シークバー110の近傍領域を、再生位置毎に分割した分割領域を設けておき、どの分割領域をタッチ操作しているか判断することで、再生位置を決定することが可能である。
【0053】
本実施形態ではリモコン装置1を使用した形態であるため、リモコン装置1からカラオケ装置2に対し再生位置が送信される。楽曲再生処理において、再生位置を受信(S205)したカラオケ装置2は、その再生位置の変更を行う(S206)。
【0054】
また、ユーザがシーク操作を終了していない場合(S309:No)、すなわち、何も操作を行っていない場合、再生中の楽曲から現在の再生位置を取得(S311)し、再生位置をシークバー110に反映させる(S312)。本実施形態では、シーク操作中のみ歌詞フレーズ111を表示することとしており、何も操作していない場合には、操作位置を示す丸印のみがシークバー110上に表示されることになる。
【0055】
以上、本実施形態のカラオケシステムによれば、シークバー110に対応付けて歌詞フレーズ111を表示させることで、再生位置を適切に指定することが可能である。なお、本実施形態では、再生位置指示装置として、カラオケシステム中のリモコン装置1を使用することとしているが、再生位置指示装置としては、リモコン装置1のみならず、カラオケ装置2のタッチパネルモニタ33で行うこととしてもよい。あるいは、ユーザが所持するスマートフォン等の携帯端末で行うこととしてもよい。また、カラオケのみならず、音楽を聴取するための楽曲再生装置に適用することも可能である。
【0056】
(第1変型例)
次に本実施形態の各種変形例について説明を行う。
図10は、他の実施形態のシークバー操作を説明するための図である。前述の実施形態(
図9参照)では、カーソルCの位置する領域R1、R2に基づいて歌詞フレーズ111を決定していた。本変形例では同じ領域R3内であっても、カーソルCの移動方向、すなわち、タッチ操作の移動方向に応じて、歌詞フレーズ111を選択することとしている。
【0057】
図10において、領域R3考える。例えば、
図10(A)に示されるように、カーソルCが左向きに移動している場合、前方に位置する歌詞フレーズ111(見ずや夕ぐれ)が選択される。一方、
図10(B)に示されるように、同じ領域R3において、右向きにカーソルCが移動している場合、後に位置する歌詞フレーズ111(手をのべて)が選択される。このように、第1変形例ではカーソルC、すなわち、ユーザの操作方向に応じて、歌詞フレーズ111を選択することとしており、歌詞フレーズ111の選択時における操作性の向上が図られている。
【0058】
(第2変形例)
図11は、他の実施形態の操作画面を示す図である。
図12は、他の実施形態のシークバー操作を説明するための図である。前述の実施形態では再生開始位置のみ指定可能としていた。本変形例では、歌詞フレーズの再生開始位置のみならず、終点指定、あるいは、区間指定を行うことも可能としている。
図11に示される操作画面の右上には、モード選択ボタン114が設けられている。このモード選択ボタン114を操作することで、ユーザは開始指定、終点指定、区間指定のいずれかを選択することが可能である。
【0059】
図12(A)は、開始指定を選択した場合である。ユーザが歌詞フレーズ111(櫂のしずくも)を選択した場合、前述の実施形態と同様、当該歌詞フレーズ111の開始位置であるタイムスタンプPS5が、再生位置として決定される。
図12(B)は、終点位置を指定した場合である。この場合、
図12(A)と同様、ユーザが歌詞フレーズ111(櫂のしずくも)を選択した場合、当該歌詞フレーズ111の終点位置であるタイムスタンプPE5が、再生位置として決定される。
【0060】
図12(C)は、区間指定を選択した場合である。この場合、ユーザは、2つの歌詞フレーズ111a、111bを決定する。まず、最初に、開始位置である歌詞フレーズ111a(櫂のしずくも)を決定する。そして、次に、終点となる歌詞フレーズ111b(暮るればのぼる)を決定する。2つの歌詞フレーズ111a、111bを決定後、歌詞フレーズ111a(櫂のしずくも)の開始位置であるタイムスタンプPS5が開始位置として、歌詞フレーズ111b(暮るればのぼる)の終了位置であるタイムスタンプPE19が、再生区間としてカラオケ装置2に送信される。受信したカラオケ装置2では、タイムスタンプPS5からPE19までの区間を再生する。
【0061】
(第3変形例)
図13は、他の実施形態の操作画面を示す図である。
図14は、他の実施形態のシークバー操作を説明するための図である。前述の実施形態では、歌詞フレーズを単位として、再生位置の変更を行うこととしていた。本変形例では、歌詞フレーズのみならず、ワード単位、あるいは、曲番単位で、再生位置を変更することが可能となっている。
【0062】
図13に示される操作画面の右上には、モード選択ボタン115が設けられている。このモード選択ボタン115を操作することで、ユーザは、再生位置の変更単位として、ワード、フレーズ、曲番のいずれかを選択することが可能である。本実施形態では、
図3で説明した歌詞情報の階層構造を使用し、ワード、フレーズ、曲番のいずれかを使用した再生位置の指定を行うことが可能となっている。
【0063】
フレーズを選択した場合は、前述の実施形態と同様である。
図14には、曲番を指定した場合におけるシークバー操作が示されている。モード選択ボタン115を使用して、曲番が指定された場合、
図3に示される歌詞番L1、L2、L3の何れかでのみ、選択することが可能となる。
図14(A)は、シークバー110上、左端位置付近を選択している場合である。この場合、歌詞番L1について、その先頭に位置する歌詞フレーズ111(春のううららの)が表示される。この状態で、決定した場合、歌詞番L1の先頭である「春のうららの」に対応するタイムスタンプPS1から再生が開始される。
【0064】
図14(B)は、シークバー110の中程付近を選択している場合であって、この場合、歌詞番L2について、その先頭に位置する歌詞フレーズ111(見ずやあけぼの)が表示される。この状態で、決定した場合、歌詞番L2の先頭である「見ずやあけぼの」に対応するタイムスタンプPS9から再生が開始される。
【0065】
図14(C)は、シークバー110の右側付近を選択している場合であって、この場合、歌詞番L3について、その先頭に位置する歌詞フレーズ111(錦おりなす)が表示される。この状態で、決定した場合、歌詞番L3の先頭である「錦おりなす」に対応するタイムスタンプPS17から再生が開始される。
【0066】
このように、本変形例では、歌詞フレーズのみならず、ワード単位、あるいは、曲番単位で、再生位置を変更することが可能となっている。なお、ワード単位の指定の場合、
図3で説明したワード単位のタイムスタンプWS1等が使用される。なお、ワード単位の指定においては、シークバー110に対応付けて、ワードを1文字表示するのではなく、ワードが属する歌詞フレーズを表示し、カーソルCの操作位置に応じて、歌詞フレーズ内に属するワードを指定することで、分かり易いワード指定を行うことが可能である。
【0067】
以上、本発明の実施形態について、カラオケシステム内のリモコン装置1を例にとった再生位置指示装置を説明したが、再生位置指示装置としては、リモコン装置1のみならず、カラオケ装置2、あるいは、携帯端末装置等、各種楽曲再生装置で行うとも可能である。また、リモコン装置1、カラオケ装置2、携帯端末装置等、各種情報処理装置において実行寛厚な再生位置指示プログラムについても本発明の範疇に属する。
【符号の説明】
【0068】
1:リモコン装置 24:LAN通信部
2:カラオケ装置 25:音響制御部
5:サーバー装置 27:メモリ
11:タッチパネルモニタ 28:ビデオRAM
11a:表示部 29:映像再生部
11b:タッチパネル 30:CPU
12:ビデオRAM 31:映像制御部
13:映像制御部 32:ハードディスク
14:メモリ 33:タッチパネルモニタ
15:CPU 34:タッチパネル
16:無線LAN通信部 35:表示部
17:操作部 41:モニタ
18:操作処理部 42:スピーカー
21:操作部 43a、43b:マイクロホン
22:操作処理部