(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022155851
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】撮像装置および記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04N 5/232 20060101AFI20221006BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20221006BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20221006BHJP
【FI】
H04N5/232
G03B17/02
G03B15/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021059278
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉野 薫
(72)【発明者】
【氏名】中井 康滋
(72)【発明者】
【氏名】目黒 明彦
(72)【発明者】
【氏名】篠原 隆之
(72)【発明者】
【氏名】井手 佑亮
(72)【発明者】
【氏名】金岡 浩史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 直也
【テーマコード(参考)】
2H100
5C122
【Fターム(参考)】
2H100CC07
2H100FF01
5C122EA68
5C122FH11
5C122FH18
5C122FL03
5C122FL06
5C122HA60
5C122HB01
5C122HB02
(57)【要約】
【課題】レリーズ操作から実際の撮影開始までの遅延を低減させる。
【解決手段】被写体を撮像して画像信号に変換する撮像素子と、撮影指示操作を受け付けて、撮影信号を出力する操作部と、前記操作部からの撮影信号を受け付けて、前記撮像素子からの画像信号により画像データを生成する第1の制御部と、通信部を介して前記第1の制御部に接続されて、前記第1の制御部から前記画像データを受け付けて、記憶部に格納する第2の制御部と、を有し、前記第1の制御部は、前記操作部から前記撮影信号を受け付けると、前記撮像素子による撮像を指示するとともに、前記第2の制御部へ撮影の通知を送信する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像して画像信号に変換する撮像素子と、
撮影指示操作を受け付けて、撮影信号を出力する操作部と、
前記操作部からの撮影信号を受け付けて、前記撮像素子からの画像信号により画像データを生成する第1の制御部と、
通信部を介して前記第1の制御部に接続されて、前記第1の制御部から前記画像データを受け付けて、記憶部に格納する第2の制御部と、を有し、
前記第1の制御部は、
前記操作部から前記撮影信号を受け付けると、前記撮像素子による撮像を指示するとともに、前記第2の制御部へ撮影の通知を送信する撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記第2の制御部は、
前記第1の制御部から前記撮影の通知を受け付けると、前記第1の制御部に対して前記画像データを要求し、
前記第1の制御部は、
前記第2の制御部からの要求を受け付けると、前記画像データを前記第2の制御部へ送信する撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置であって、
前記第2の制御部は、
前記受け付けた撮影の通知の数と、前記画像データのフレームの数とに基づいて、エラーが発生したか否かを判定する撮像装置。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像装置であって、
前記第2の制御部は、
前記受け付けた撮影の通知の数と、前記フレームの数を比較して、前記撮影の通知の数と前記画像データの数が一致しない場合には、エラーが発生したと判定する撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像装置であって、
前記第2の制御部は、
前記エラーが発生した場合に、前記フレームを複数受け付けていれば、当該複数のフレームの差分から画像データを生成して、前記エラーの対象となった画像データとして前記記憶部に格納する撮像装置。
【請求項6】
請求項4に記載の撮像装置であって、
前記第2の制御部は、
前記エラーが発生した場合に、前記第1の制御部に対して再度撮影を指示する撮像装置。
【請求項7】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記第2の制御部に接続されて前記画像データを表示可能なタッチパネルをさらに有し、
前記タッチパネルは、
タッチ入力を受け付けて撮影信号を出力するシャッター領域を有し、
前記第2の制御部は、
前記撮影信号を受け付けると、前記第1の制御部に対して撮影を要求する撮像装置。
【請求項8】
請求項7に記載の撮像装置であって、
前記第2の制御部は、
前記撮影信号を受け付けた場合に、前記撮影の通知に対応する前記画像データの取得が完了していない場合には、前記撮影信号を拒否する撮像装置。
【請求項9】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記操作部は、前記第2の制御部に接続され、
前記第2の制御部は、
前記操作部からの撮影信号を、前記撮影の通知として受け付ける撮像装置。
【請求項10】
被写体を撮像して画像信号に変換する撮像素子と、
撮影指示操作を受け付けて、撮影信号を出力する操作部と、
前記操作部からの撮影信号を受け付けて、前記撮像素子からの画像信号により画像データを生成する第1の制御部と、を有し、
前記第1の制御部は、
前記操作部から前記撮影信号を受け付けると、前記撮像素子による撮像を指示するとともに、撮影の通知を送信する撮像装置。
【請求項11】
撮像素子に接続された第1の制御部を有し、被写体を撮像する撮像装置を制御させるためのプログラムを格納した記憶媒体であって、
撮影指示操作を受け付ける操作部からの撮影信号を受け付けるステップと、
前記撮像素子による撮像を開始するステップと、
前記第1の制御部に接続された第2の制御部へ撮影の通知を送信するステップと、
前記撮像素子から画像信号を取得し、当該画像信号から画像データを生成するステップと、
前記第2の制御部から画像データの要求を受け付けると、前記画像データを前記第2の制御部へ送信するステップと、
を前記撮像装置に実行させるためのプログラムを格納した非一時的な計算機読み取り可能な記憶媒体。
【請求項12】
記憶部に接続された第2の制御部を有して、被写体を撮像する撮像装置を制御させるためのプログラムを格納した記憶媒体であって、
撮影指示に対応する撮影の通知を第1の制御部から受け付けるステップと、
前記第1の制御部に対して、画像データを要求するステップと、
前記第1の制御部から前記画像データを受信して、前記記憶部に格納するステップと、
を前記撮像装置に実行させるためのプログラムを格納した非一時的な計算機読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置および記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラモジュールとアプリケーションプロセッサを組み合わせた撮像装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、従来の撮像装置では撮影信号をカメラモジュールのCPU(Central Processing Unit)に送信するだけであり、アプリケーションプロセッサは撮影に関して連携していなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本願において開示される技術の一側面となる撮像装置は、被写体を撮像して画像信号に変換する撮像素子と、撮影指示操作を受け付けて、撮影信号を出力する操作部と、前記操作部からの撮影信号を受け付けて、前記撮像素子からの画像信号により画像データを生成する第1の制御部と、通信部を介して前記第1の制御部に接続されて、前記第1の制御部から前記画像データを受け付けて、記憶部に格納する第2の制御部と、を有し、前記第1の制御部は、前記操作部から前記撮影信号を受け付けると、前記撮像素子による撮像を指示するとともに、前記第2の制御部へ撮影の通知を送信する。
【0005】
本願において開示される技術の一側面となる記憶媒体は、撮影指示操作を受け付ける操作部からの撮影信号を受け付けるステップと、撮像素子による撮像を開始するステップと、第1の制御部に接続された第2の制御部へ撮影の通知を送信するステップと、前記撮像素子から画像信号を取得し、当該画像信号から画像データを生成するステップと、前記第2の制御部から画像データの要求を受け付けると、前記画像データを前記第2の制御部へ送信するステップと、を撮像装置に実行させるためのプログラムを格納する。
【0006】
本願において開示される技術の一側面となる記憶媒体は、撮影指示に対応する撮影の通知を第1の制御部から受け付けるステップと、前記第1の制御部に対して、画像データを要求するステップと、前記第1の制御部から前記画像データを受信して、記憶部に格納するステップと、を撮像装置に実行させるためのプログラムを格納する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施例1にかかる撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施例1にかかる撮像装置で行われる処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図3】
図3は、実施例1にかかるカメラ制御回路で行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施例1にかかるアプリケーションプロセッサで行われるソフトウェア処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、従来例の処理の概要を示すシーケンス図である。
【
図6】
図6は、実施例1と従来例のタイミングの差異を示す図である。
【
図7】
図7は、実施例2にかかる撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、実施例3にかかる撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、実施例4にかかる撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【実施例0009】
図1は、実施例1を示し、撮像装置の構成例を示すブロック図である。撮像装置は、結像レンズ2を含む光学系及び操作部7を制御するカメラ制御回路1と、タッチパネル12と、記憶媒体13に接続されたアプリケーションプロセッサ10と、アプリケーションプロセッサ10とカメラ制御回路1を接続する通信部8を含む。
【0010】
光学系は、結像レンズ2と、撮像素子3と、フォーカシングや絞り(図示省略)を制御する駆動回路4を含み、撮像素子3と駆動回路4はカメラ制御回路1に接続される。カメラ制御回路1には、バッファメモリ5と、検出部6と、操作部7と、通信部8が接続される。
【0011】
バッファメモリ5は、撮像素子3が撮像した画像信号からカメラ制御回路1が生成した画像データを一時的に保持する。検出部6は、撮像素子3から取得した画像信号から被写体の検出等を行う。操作部7は、レリーズ操作(シャッターボタン操作)を受け付けて撮影指示信号を発行する。
【0012】
カメラ制御回路1では画像処理部9が稼働して、撮像素子3が撮像した画像信号から画像データを生成し1枚のフレームとしてバッファメモリ5に格納する。また、カメラ制御回路1は、画像データの読み出しや書き込みを実行し、また、検出部6から検出情報を取得し、操作部7からの撮影指示信号に基づく処理を実行する。
【0013】
画像処理部9は、操作部7から撮影指示信号を受け付けると、駆動回路4を制御してフォーカシングや絞りを調整し、撮像素子3から画像信号を取得し、この画像信号から1枚のフレームを構成する画像データを生成してバッファメモリ5へ格納する。なお、バッファメモリ5には、取得された画像データがフレーム単位で格納される。また、フレームは、撮像素子3の予め設定された領域の画像を示す。
【0014】
バッファメモリ5に格納された画像データは、通信部8を介してアプリケーションプロセッサ10側へ転送されて、記憶媒体13に書き込まれる。
【0015】
アプリケーションプロセッサ10には、メモリ11と、タッチパネル12と、記憶媒体13が接続される。メモリ11には、システムOS(Operating System)20と、カメラアプリケーション21がロードされてアプリケーションプロセッサ10によって実行される。
【0016】
タッチパネル12は、画像を表示する表示部31と、表示部31上でタッチ入力を受け付けるタッチ入力部32を含む。記憶媒体13は、カメラ制御回路1で撮影された画像データ(フレーム)を格納する。記憶媒体13は、不揮発性メモリで構成され、カメラ制御回路1から取得した画像データをフレーム単位で格納する。
【0017】
アプリケーションプロセッサ10は、例えば、プロセッサコアと、キャッシュメモリと、メモリーコントローラと、I/Oインタフェースと、グラフィックプロセッサと、ベースバンドプロセッサを含むことができる。
【0018】
なお、アプリケーションプロセッサ10の構成は、撮像装置の用途に応じて適宜変更すればよく、例えば、GPS(Global Positioning System)プロセッサやオーディオプロセッサなどを追加することができる。
【0019】
カメラ制御回路1は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成される。
【0020】
図2は、撮像装置で行われる処理の一例を示すシーケンス図である。
図2は、撮像装置のユーザが操作部7でレリーズ操作(図中ON:シャッターボタンの押し下げ)を実施した場合の処理の一例を示す。
【0021】
操作部7は、レリーズ操作が行われると撮影指示信号を出力する(S1)。なお、操作部7は、ハーフレリーズ(シャッターボタンの半押し)の場合には、シャッターの押し下げ待ちとなり、カメラ制御回路1にフォーカスロックなどを指令することができる。
【0022】
カメラ制御回路1は、撮影指示信号を受け付けると駆動回路4へ撮影指示を指令する(S2)。また、カメラ制御回路1は、撮影指示信号を受け付けると、撮影の順序を示す値(以下、撮影番号)を生成してから、通信部8を介してアプリケーションプロセッサ10で稼働するシステムOS20に撮影番号を付加した撮影開始通知を送信する(S3)。なお、撮影番号は、ユニークな値で生成される。
【0023】
なお、図示の例では、カメラ制御回路1が駆動回路4へ撮影指示を指令するタイミングが、カメラ制御回路1がアプリケーションプロセッサ10に撮影開始通知を送信するタイミングよりも先の例を示すが、これに限定されるものではない。例えば、カメラ制御回路1がアプリケーションプロセッサ10に撮影開始通知を送信した後に、駆動回路4へ撮影指示を指令してもよい。
【0024】
カメラ制御回路1は撮影を実施して、撮像素子3から画像信号を取得し、画像信号から画像データを生成してバッファメモリ5に書き込む(S4)。なお、カメラ制御回路1は、1フレーム分の画像データの書き込みが完了すると、バッファメモリ5の画像データに撮影番号を付加する。
【0025】
通信部8を介して撮影開始通知を受け付けたシステムOS20は、システムOS20上で稼働するカメラアプリケーション21に撮影開始を通知する(S5)。カメラアプリケーション21は、撮影開始の通知を受け付けると、カメラ制御回路1に対してデータ取得要求を送信する(S6)。
【0026】
カメラ制御回路1は、カメラアプリケーション21からデータ取得要求を受け付けると、バッファメモリ5から画像データと撮影番号を読み出して(S7)、アプリケーションプロセッサ10に接続された記憶媒体13に書き込む(S8)。
【0027】
操作部7は、シャッターボタンの解放状態(図中OFF:レリーズ操作の解除)になるとカメラ制御回路1に撮影完了を通知する(S9)。一方、カメラ制御回路1は、操作部7でシャッターボタンの押し下げ状態が所定の時間を超えて継続した場合には、所定の周期で撮影指示信号を出力する連写モードに移行する。連写モードでは、上記ステップS2~S8の処理が繰り返して実行される。
【0028】
カメラ制御回路1は、アプリケーションプロセッサ10で稼働するシステムOS20に対して、撮影完了の通知を送信する(S10)。システムOS20は、撮影完了の通知をカメラアプリケーション21へ転送する(S11)。
【0029】
撮影完了の通知を受信したカメラアプリケーション21は、記憶媒体13へ書き込まれたフレームの画像データに付加された撮影番号を取得して検証を実施する(S12)。
【0030】
カメラアプリケーション21は、上記ステップS5でシステムOS20へ通知された撮影番号と、記憶媒体13に格納されたフレームの撮影番号が一致するか否かを判定する(S13)。通知された撮影番号のフレームが記憶媒体13に存在しない場合、カメラアプリケーション21はエラーの発生を判定して、エラー処理を実施する(S14)。
【0031】
エラー処理としては、例えば、カメラアプリケーション21がタッチパネル12の表示部31にエラーの発生を表示したり、欠落したフレームの補間を行うことができる。例えば、エラーが発生した場合、記憶媒体13に複数のフレームが格納されていれば、カメラアプリケーション21が複数のフレームの差分から画像データを生成して、エラーの対象となった画像データとして記憶媒体13に格納する。また、エラーが発生した場合、カメラアプリケーション21は、カメラ制御回路1に対して再度撮影を指示するようにしても良い。
【0032】
なお、上記検証は、カメラアプリケーション21が、ステップS5で受け付けた撮影開始の通知の数と、記憶媒体13に書き込まれたフレームの数を比較してもよい。この場合、通知の数とフレームの数が一致しない場合、カメラアプリケーション21はエラーが発生したと判定して、エラー処理を実施する。
【0033】
上記の処理により、カメラ制御回路1は、アプリケーションプロセッサ10で稼働するシステムOS20に撮影開始の通知を送信する以前に、駆動回路4へ撮影指示を指令しているので、撮像装置のユーザが操作部7でレリーズ操作を行ったタイミングで撮影を開始することができる。
【0034】
また、上記では、カメラアプリケーション21がカメラ制御回路1へデータ取得要求を送信して、カメラ制御回路1がバッファメモリ5の画像データを記憶媒体13に書き込む例を示したが、これに限定されるものではない。カメラアプリケーション21がバッファメモリ5の画像データを取得して、記憶媒体13へ書き込むようにしても良い。
【0035】
図3は、カメラ制御回路1で行われる処理の一例を示すフローチャートである。
図3の処理は、操作部7でレリーズ操作が行われた場合に実行される。
【0036】
カメラ制御回路1は、操作部7から撮影指示信号を受け付けると駆動回路4へ撮影指示を指令する(S21)。次に、カメラ制御回路1は、撮影の順序を示す撮影番号を生成してから(S22)、通信部8を介してアプリケーションプロセッサ10で稼働するシステムOS20に撮影番号を付加した撮影開始通知を送信する(S23)。
【0037】
カメラ制御回路1は、撮像素子3から画像信号を取得し、画像信号から画像データを生成してバッファメモリ5に書き込む(S24)。なお、カメラ制御回路1は、1フレーム分の画像データの書き込みが完了すると、上述のようにバッファメモリ5の画像データに撮影番号を付加する。
【0038】
カメラ制御回路1は、アプリケーションプロセッサ10で稼働するカメラアプリケーション21からデータ取得要求を受け付けると(S25)、バッファメモリ5から画像データと撮影番号を読み出して、アプリケーションプロセッサ10に接続された記憶媒体13に書き込む(S26)。
【0039】
カメラ制御回路1は、操作部7から撮影完了が通知されたか否かを判定する(S27)。カメラ制御回路1は、撮影完了が通知された場合にはステップS28へ進み、撮影完了が通知されていない場合(シャッターボタンの押し下げ状態)には、ステップS21へ戻って、所定の周期で撮影指示信号を出力する連写モードに移行する。
【0040】
ステップS28では、カメラ制御回路1が、アプリケーションプロセッサ10で稼働するシステムOS20に対して、撮影完了の通知を送信して処理を終了する。
【0041】
以上の処理によって、カメラ制御回路1は、操作部7から撮影指示信を受け付けると、駆動回路4へ撮影指示を出力し、また、アプリケーションプロセッサ10への撮影開始の通知を迅速に実施することが可能となって、撮像装置のユーザがレリーズ操作を行ったタイミングで撮影を開始することが可能となる。
【0042】
図4は、アプリケーションプロセッサ10で行われる処理の一例を示すフローチャートである。
図4の処理は、カメラ制御回路1から撮影開始通知を受信した場合に実行される。
【0043】
ステップS31では、アプリケーションプロセッサ10で稼働するシステムOS20が、撮影開始通知と撮影番号を受け付ける。ステップS32では、システムOS20が、撮影開始通知と撮影番号をカメラアプリケーション21へ出力する。
【0044】
ステップS33では、カメラアプリケーション21がカメラ制御回路1に対してデータ取得要求を送信する。ステップS34では、カメラアプリケーション21が撮影番号を変数Kに追加する。
【0045】
ステップS35では、カメラ制御回路1が1フレーム分の画像データと撮影番号を記憶媒体13に書き込む。
【0046】
ステップS36では、カメラアプリケーション21が、システムOS20から撮影完了の通知を受信したか否かを判定する。カメラアプリケーション21は、撮影完了の通知を受信済みであればステップS37へ進み、そうでない場合には連写モードと判定してステップS31に戻って上記処理を繰り返す。
【0047】
ステップS37では、カメラアプリケーション21は、変数Kに該当する撮影番号を記憶媒体13から読み込む。そして、ステップS38では、変数Kに格納された撮影番号が、記憶媒体13に格納された撮影番号と一致していなければエラーが発生したと判定してステップS39に進んでエラー処理を実施する。なお、エラー処理の内容については、上述のステップS14と同様である。一方、カメラアプリケーション21は、変数Kの撮影番号と、記憶媒体13の撮影番号が一致していれば、正常に撮影が完了したので、処理を終了する。
【0048】
以上の処理によって、カメラアプリケーション21は、カメラ制御回路1から撮影開始通知を受信すると、撮影番号を変数Kに順次追加し、撮影完了の通知を受け付けると、記憶媒体13に格納された撮影番号と変数Kの撮影番号を検証し、撮影の完了を保証することができる。
【0049】
図5は、従来例の処理の概要を示すシーケンス図である。従来例によるカメラ制御回路1とアプリケーションプロセッサ10による撮影の処理では、カメラアプリケーション21から撮影指示信号が送信される点が、本実施例1の撮像装置と相違する。
【0050】
操作部7は、レリーズ操作が行われると撮影指示信号を出力する(S101)。カメラ制御回路1は、撮影指示信号を受け付けると、通信部8を介してシステムOS20に撮影開始通知を送信する(S102)。システムOS20は、撮影開始通知を受信するとカメラアプリケーション21に撮影開始を通知する(S103)。
【0051】
カメラアプリケーション21は、操作部7のレリーズ操作による撮影開始が通知されたので、カメラ制御回路1に対して撮影指示を指令する(S104)。カメラ制御回路1は、カメラアプリケーション21からの撮影指示を受け付けて、駆動回路4へ撮影指示を指令する(S105)。
【0052】
カメラ制御回路1は撮影を実施して、撮像素子3から画像信号を取得し、画像信号から画像データを生成してバッファメモリ5に格納する(S106)。そして、カメラ制御回路1は、データ転送を開始して(S107)、バッファメモリ5の画像データをアプリケーションプロセッサ10に接続された記憶媒体13に書き込む(S108)。
【0053】
以上のように、前記従来例では、操作部7でレリーズ操作が行われても、カメラ制御回路1からシステムOS20、及びカメラアプリケーション21を経由してから撮影指示が駆動回路4に伝達されていた。したがって、前記従来例では、カメラ制御回路1からシステムOS20と、システムOS20からカメラアプリケーション21と、カメラアプリケーション21からカメラ制御回路1への通信が全て完了するまでは、撮影が開始されなかった。
【0054】
このため、前記従来例では、撮像装置のユーザが操作部7でレリーズ操作を行ったタイミングに対して、実際に撮影が開始されるタイミングが遅れてしまい、ユーザの意図するタイミングで撮影ができない場合があった。
【0055】
図6は、実施例1と従来例の撮影のタイミングの差異を示す図である。
図6において、上段が本実施例1のタイミングを示し、図中下段が従来例を示す。
図6は、10枚のフレームを連写する例を示す。
【0056】
本実施例1では、時刻T0でレリーズ操作が行われると、カメラ制御回路1が駆動回路4へ撮影指示を指令し、ほぼ同時にカメラアプリケーション21へ撮影開始の通知を送信する。そして時刻T1から時刻T2の期間で、カメラ制御回路1で撮影が完了し、カメラアプリケーション21からのデータ取得要求に応じて、記憶媒体13への書き込みが完了する。
【0057】
一方、従来例では、時刻T0でレリーズ操作が行われると、カメラ制御回路1からカメラアプリケーション21への撮影開始通知(図中通知1)が送信される。実際には、カメラ制御回路1からシステムOS20に撮影開始通知が送信され、システムOS20は、撮影開始通知を受信してからカメラアプリケーション21に撮影開始を通知する。このため、カメラアプリケーション21は、図中時刻T2で撮影開始を受け付ける。
【0058】
次に、カメラアプリケーション21は、時刻T2以降に撮影指示(図中通知2)をカメラ制御回路1へ送信し、カメラ制御回路1は撮影指示を受信した後に、時刻T3以降で撮像素子3からの画像信号の取得を開始することになる。
【0059】
以上のように、本実施例1では、撮像装置が撮影指示をシステムOS20を経由させずにカメラ制御回路1から直接駆動回路4へ指令することで、レリーズ操作から実際の撮影開始までの遅延を低減することができる。
したがって、カメラ制御回路1の処理が削減され、システムOS20からカメラアプリケーション21への撮影開始の通知のタイミングも改善される。このように、本実施例2では、カメラ制御回路1とアプリケーションプロセッサ10は、同時にレリーズ操作を受け付けることができ、カメラアプリケーション21における撮影開始のタイミングを早めることができる。