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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157503
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】画像形成装置および画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
G03G15/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061764
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】何 慧敏
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033AA35
2H033BE07
2H033CA20
2H033CA26
(57)【要約】
【課題】定着液の噴霧を停止した場合のノズルの先端に付着する定着液を少なくする。
【解決手段】レーザプリンタは、トナーを用紙(P)に定着させるための定着液(L)を噴霧する噴霧ユニット(71)と、定着液(L)を供給する供給ユニット(72)であって、供給ユニット(72)の内部の圧力を低減する圧力低減部(720B)を有する供給ユニット(72)と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光ドラムと、
前記感光ドラム上のトナー像をシートに転写する転写部材と、
前記シートに転写された前記トナー像を前記シートに定着させるための定着液を噴霧する噴霧ユニットであって、前記定着液を収容可能な筐体と、前記筐体内の前記定着液を前記トナー像が転写された前記シートに噴霧するノズルと、を有する噴霧ユニットと、
前記定着液を前記噴霧ユニットに向けて供給する供給ユニットであって、前記供給ユニットの内部の圧力を低減する圧力低減部を有する供給ユニットと、
を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置は、更に、制御部を備え、
前記制御部は、
前記ノズルが前記定着液を噴霧する動作から前記ノズルが前記定着液を噴霧する動作の停止に移行する際、前記圧力低減部によって前記供給ユニットの内部の圧力を低減する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置は、更に、制御部を備え、
前記供給ユニットは、更に、
前記定着液を収容可能なタンクと、前記タンクと接続され、前記タンクに収容された前記定着液の通過を許容する供給管と、
を備え、
前記圧力低減部は、前記供給管を押圧可能である可動部であって、
前記制御部は、
前記ノズルが定着液を噴霧する動作中において、前記可動部による前記供給管の押圧を開始させ、前記ノズルが前記定着液を噴霧する動作から前記ノズルが前記定着液を噴霧する動作の停止に移行する際、前記可動部による前記供給管の押圧を終了させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置は、更に、制御部を備え、
前記供給ユニットは、更に、
前記定着液を収容可能なタンクと、前記タンクと接続され、前記タンクに収容された前記定着液の通過を許容する供給管と、
を備え、
前記圧力低減部は、前記タンク内の前記定着液を前記供給管を通過させて前記筐体に向けて正回転にて供給するポンプであって、
前記制御部は、
前記ノズルが定着液を噴霧する動作中において、前記ポンプを正回転させ、前記ノズルが前記定着液を噴霧する動作から前記ノズルが前記定着液を噴霧する動作の停止に移行する際、前記ポンプを逆回転させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置は、更に、制御部を備え、
前記供給ユニットは、更に、
前記定着液を収容可能なタンクと、前記タンクと接続され、前記タンクに収容された前記定着液の通過を許容する供給管と、前記タンク内の前記定着液を前記供給管を通過させて前記筐体に向けて供給するポンプと、
を備え、
前記圧力低減部は、前記供給管を押圧可能である可動部であって、
前記可動部は、前記供給管を押圧するソレノイドを有し、
前記制御部は、
前記ポンプの回転を停止させてから前記ソレノイドによる前記供給管の押圧を停止させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
感光ドラムと、
前記感光ドラム上のトナー像をシートに転写する転写部材と、
前記シートに転写された前記トナー像を前記シートに定着させるための定着液を噴霧する噴霧ユニットであって、前記定着液を収容可能な筐体と、前記筐体内の前記定着液を前記トナー像が転写された前記シートに噴霧するノズルと、を有する噴霧ユニットと、
前記定着液を前記噴霧ユニットに向けて供給する供給ユニットであって、前記供給ユニットの内部の圧力を低減する圧力低減部と、を有する供給ユニットと、
を備える画像形成装置において、
感光ドラム上のトナー像をシートに転写する転写工程と、
前記シートに転写された前記トナー像を前記シートに定着させるための定着液を噴霧する噴霧工程と、
前記供給ユニットの内部の圧力を低減する圧力低減工程と、
を含む、
ことを特徴とする画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トナーを溶解または膨潤させる定着液を用紙上のトナーに塗布して、トナーを用紙上に定着する定着装置を備える画像形成装置が開示されている。特許文献1では、定着液をトナーに塗布する方法として、静電噴霧によって定着液をトナーに塗布する方法が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-167255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、静電噴霧による定着方式において、定着液を噴霧するノズルからの定着液の噴霧を停止したときに、定着液がノズルの先端に付着して残留すると、次回の噴霧開始時に正常な噴霧を行うことができない場合がある。そこで、本発明の一態様は、定着液の噴霧を停止した場合のノズルの先端に付着する定着液を少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の態様1に係る画像形成装置は、感光ドラムと、前記感光ドラム上のトナー像をシートに転写する転写部材と、前記シートに転写された前記トナー像を前記シートに定着させるための定着液を噴霧する噴霧ユニットであって、前記定着液を収容可能な筐体と、前記筐体内の前記定着液を前記トナー像が転写された前記シートに噴霧するノズルと、を有する噴霧ユニットと、前記定着液を前記噴霧ユニットに向けて供給する供給ユニットであって、前記供給ユニットの内部の圧力を低減する圧力低減部を有する供給ユニットと、を備える、構成である。
【0006】
上記の構成によれば、供給ユニットの内部の圧力を低減する。供給ユニットの内部の圧力を低減することでノズルの先端に付着して残留する定着液をノズルの内側に引き揚げることができる。
【0007】
本発明の態様2に係る画像形成装置は、上記の態様1において、前記画像形成装置は、更に、制御部を備え、前記制御部は、前記ノズルが前記定着液を噴霧する動作から前記ノズルが前記定着液を噴霧する動作の停止に移行する際、前記圧力低減部によって前記供給ユニットの内部の圧力を低減する、構成としてもよい。
【0008】
上記の構成によれば、定着液の噴霧動作が停止する際に供給ユニットの内部の圧力を低減する。これによりノズルの先端に付着して残留する定着液を適時にノズルの内側に引き揚げることができる。
【0009】
本発明の態様3に係る画像形成装置は、上記の態様1において、前記画像形成装置は、更に、制御部を備え、前記供給ユニットは、更に、前記定着液を収容可能なタンクと、前記タンクと接続され、前記タンクに収容された前記定着液の通過を許容する供給管と、を備え、前記圧力低減部は、前記供給管を押圧可能である可動部であって、前記制御部は、前記ノズルが定着液を噴霧する動作中において、前記可動部による前記供給管の押圧を開始させ、前記ノズルが前記定着液を噴霧する動作から前記ノズルが前記定着液を噴霧する動作の停止に移行する際、前記可動部による前記供給管の押圧を終了させる、構成としてもよい。
【0010】
上記の構成によれば、定着液の噴霧動作中に可動部にて供給管を押圧し、定着液の噴霧動作が停止する際に、可動部による供給管の押圧を終了させることで、供給ユニットの内部の圧力を低減する。これによりノズルの先端に付着して残留する定着液を適時にノズルの内側に引き揚げることができる。
【0011】
本発明の態様4に係る画像形成装置は、上記の態様1において、前記画像形成装置は、更に、制御部を備え、前記供給ユニットは、更に、前記定着液を収容可能なタンクと、前記タンクと接続され、前記タンクに収容された前記定着液の通過を許容する供給管と、を備え、前記圧力低減部は、前記タンク内の前記定着液を前記供給管を通過させて前記筐体に向けて正回転にて供給するポンプであって、前記制御部は、前記ノズルが定着液を噴霧する動作中において、前記ポンプを正回転させ、前記ノズルが前記定着液を噴霧する動作から前記ノズルが前記定着液を噴霧する動作の停止に移行する際、前記ポンプを逆回転させる、構成としてもよい。
【0012】
上記の構成によれば、定着液の噴霧動作が停止する際に、ポンプを逆回転させて定着液を供給管内において逆流させ、供給ユニットの内部の圧力を低減する。これによりノズルの先端に付着して残留する定着液を適時にノズルの内側に引き揚げることができる。
【0013】
本発明の態様5に係る請求項1に画像形成装置は、前記画像形成装置は、更に、制御部を備え、前記供給ユニットは、更に、前記定着液を収容可能なタンクと、前記タンクと接続され、前記タンクに収容された前記定着液の通過を許容する供給管と、前記タンク内の前記定着液を前記供給管を通過させて前記筐体に向けて供給するポンプと、を備え、前記圧力低減部は、前記供給管を押圧可能である可動部であって、前記可動部は、前記供給管を押圧するソレノイドを有し、前記制御部は、前記ポンプの回転を停止させてから前記ソレノイドによる前記供給管の押圧を停止させる、構成である。
【0014】
上記の構成によれば、ポンプの回転を停止させてからソレノイドによる供給管の押圧を停止させ、供給ユニットの内部の圧力を急激に低減させる。これによりノズルの先端に付着して残留する定着液をノズルの内側に引き揚げることができる。
【0015】
本発明の態様6に係る画像形成方法は、感光ドラムと、前記感光ドラム上のトナー像をシートに転写する転写部材と、前記シートに転写された前記トナー像を前記シートに定着させるための定着液を噴霧する噴霧ユニットであって、前記定着液を収容可能な筐体と、前記筐体内の前記定着液を前記トナー像が転写された前記シートに噴霧するノズルと、を有する噴霧ユニットと、前記定着液を前記噴霧ユニットに向けて供給する供給ユニットであって、前記供給ユニットの内部の圧力を低減する圧力低減部と、を有する供給ユニットと、を備える画像形成装置において、感光ドラム上のトナー像をシートに転写する転写工程と、前記シートに転写された前記トナー像を前記シートに定着させるための定着液を噴霧する噴霧工程と、前記供給ユニットの内部の圧力を低減する圧力低減工程と、を含む、方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、定着液の噴霧を停止した場合のノズルの先端に付着する定着液を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態1に係るレーザプリンタの構成を示す図である。
図2図1に示すレーザプリンタが備える定着装置の構成を示す模式図である。
図3】供給ユニットが備える可動部が負圧調整タンクを押圧している様子を示す模式図である。
図4】(A)が可動部が負圧調整タンクへの押圧を停止している様子を示す模式図、(B)が定着液の噴霧を終了した後のノズルの先端付近を示す図、(C)が定着液の噴霧を終了する際、可動部が負圧調整タンクへの押圧を停止した状態におけるノズルの先端付近を示す図である。
図5図1に示すレーザプリンタによる噴霧及び噴霧を停止する際の処理を示すフローチャートである。
図6図1に示すレーザプリンタが備える定着装置の構成を示す模式図である。
図7】ポンプにより筐体の内部の圧力を低減する供給ユニットを示す模式図である。
図8図6に示す定着装置を備えたレーザプリンタによる噴霧及び噴霧を停止する際の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔実施形態1〕
<レーザプリンタ1の構成>
図1は、本発明の実施形態1に係るレーザプリンタ1の構成を示す図である。図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2と、フィーダ部3と、画像形成部4と、搬送ローラRDと、排紙ローラRと、を備える。レーザプリンタ1は画像形成装置の一例である。
【0019】
フィーダ部3は、シートの一例としての用紙Pを給紙するものであり、給紙トレイ31及び給紙機構32を有する。給紙トレイ31は、本体筐体2の下部に着脱可能に装着される。給紙機構32は、給紙トレイ31内の用紙Pを画像形成部4に向けて給紙する。給紙機構32は、給紙ローラ32A及びレジストローラ32Bを有する。給紙ローラ32Aは、給紙トレイ31から用紙Pを給紙する。レジストローラ32Bは、用紙Pの先端位置を揃えるローラであり、後述する制御部8によって適宜停止及び回転が切り替えられるようになっている。
【0020】
画像形成部4は、本体筐体2内に収容されており、主に、スキャナユニット5と、プロセスカートリッジ6と、転写ローラTRと、定着装置7と、を有する。画像形成部4は、用紙Pに画像を形成する。スキャナユニット5は、本体筐体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズ及び反射鏡等を有する。スキャナユニット5は、感光ドラム61の表面上にレーザビームを高速走査にて照射する。
【0021】
プロセスカートリッジ6は、本体筐体2に着脱可能となっている。プロセスカートリッジ6は、感光ドラム61と、トナー収容部62と、供給ローラ63と、現像ローラ64と、図示しない帯電器と、を有する。図示しない帯電器は、回転する感光ドラム61の表面を一様に帯電する。スキャナユニット5は、感光ドラム61の表面にレーザビームを出射して感光ドラム61の表面を露光することで、感光ドラム61の表面に画像データに基づく静電潜像を形成する。
【0022】
供給ローラ63は、トナー収容部62に収容されているトナーを現像ローラ64に供給する。回転駆動される現像ローラ64は、感光ドラム61の表面に形成された静電潜像にトナーを供給することで、感光ドラム61の表面にトナー像を形成する。その後、感光ドラム61の表面に形成されたトナー像は、用紙Pが感光ドラム61と転写ローラTRとの間で搬送される際に、転写ローラTRに引き寄せられて用紙Pに転写される。転写ローラTRは、感光ドラム61上のトナー像を用紙Pに転写する転写部材の一例である。
【0023】
定着装置7は、トナー像が転写された用紙Pに定着液Lを噴霧する。具体的には、定着装置7は、帯電された定着液Lを静電噴霧により用紙Pに転写されたトナー像に供給することで、用紙Pにトナー像を定着させる装置である。定着装置7の詳細な構成については後述する。
【0024】
定着装置7における用紙Pの搬送方向の下流側には、用紙Pを挟持して搬送する一対の搬送ローラRDが設けられている。搬送ローラRDは、用紙Pを排紙ローラRまで搬送する。排紙ローラRは、本体筐体2が有する排紙トレイ21上に用紙Pを排紙する。
【0025】
<定着装置7の構成>
図2は、図1に示すレーザプリンタ1が備える定着装置7の構成を示す模式図である。図2に示すように、定着装置7は、噴霧ユニット71と、供給ユニット72と、電圧印加回路73と、を有する。また、レーザプリンタ1は、図2に示す制御部8を備える。
【0026】
噴霧ユニット71は、転写ローラTRによって用紙Pに転写されたトナーを用紙Pに定着させるための定着液Lを噴霧する。噴霧ユニット71は、筐体71Aと、ノズル電極71Bと、対向電極71Cと、ノズル71Dと、回収トレイ71Eと、を有する。噴霧ユニット71のうち、筐体71A、ノズル電極71B及びノズル71Dは、回収トレイ71Eの上方に配置される。特に、ノズル71Dは、下方に向けて定着液Lを噴霧するように配置される。
【0027】
筐体71Aは、定着液Lを収容可能なものである。ノズル電極71Bは、筐体71A内の定着液Lを帯電させる。対向電極71Cは、ノズル電極71Bと間隔を隔てて位置する。対向電極71Cは、回収トレイ71E内に配置される。対向電極71Cは、ノズル71Dに向かって伸びる複数の突起を有する。
【0028】
ノズル71Dは、ノズル電極71Bと対向電極71Cとの間である電極間の電位差が所定値以上である場合において、筐体71A内の定着液Lをトナー像が転写された用紙Pに噴霧する。回収トレイ71Eは、ノズル71Dから噴霧された定着液Lを回収するためのものである。
【0029】
定着液Lは、良好に静電噴霧を行い、かつ、定着を行うために、トナーを溶解させる溶質を誘電率の高い溶媒に分散させたものを使用することができる。誘電率の高い溶媒として、安全な水を用いることができる。実施形態1では、トナーを溶解させる溶質を水に分散するタイプ、いわゆる、水中油滴型のエマルジョンでトナーの溶解を行っている。つまり、溶媒としての水に対して不溶または難溶な溶質を水に分散した定着液Lを用いている。また、エマルジョンを良好に形成するために界面活性剤を定着液Lに加えてもよい。
【0030】
供給ユニット72は、定着液Lを噴霧ユニット71に向けて供給する。供給ユニット72は、供給管72A~72Dと、タンク72Eと、カートリッジ72Fと、バルブ72G,72Hと、ポンプ72I,72Jと、負圧調整タンク720Aと、可動部720Bと、を有する。なお、可動部720Bは、圧力低減部の一例である。
【0031】
供給管72A~72Dは、定着液Lの通過を許容する。供給管72Aは、ポンプ72Iと筐体71Aとを接続する。供給管72A~72Dは、弾性力を有する材質で構成される。例えば、供給管72A~72Dは、シリコン樹脂から構成される。
【0032】
負圧調整タンク720Aは、供給管72Aの内部の圧力を調整するためのものである。負圧調整タンク720Aは、供給管72Aよりも定着液Lの流路の内径が大きく、供給管72Aと一体に成形される。つまり、負圧調整タンク72Aは供給管72Aの一部を構成している。負圧調整タンク720Aは、ポンプ72Iと筐体71Aとの間に設けられる。負圧調整タンク720Aは、供給管72Aの軸線方向における断面が略長方形形状にて成形される。
【0033】
なお、負圧調整タンク720Aは、供給管72Aと一体に成形されるとしているが、別体として設けられてもよい。つまり、供給管72Aとは別に成形された後、供給管72Aと負圧調整タンク720Aとが接合されて定着液Lの流路として成形されてもよい。また、供給管72Aの軸線方向における断面が略長方形形状にて成形されるとしているが、断面が略長方形形状に限られるものではなく、例えば、楕円形、方形形状などであってもよい。また、負圧調整タンク720Aのうち、後述する押圧部材720Eと当接する面は、押圧部材720Eが設けられる方向へ突出する曲面にて成形されていてもよい。これにより、負圧調整タンク720Aの容積が増加し、負圧調整タンク720Aの内部の圧力を効率よく調整できる。
【0034】
供給管72Bは、タンク72Eとポンプ72Iとを接続し、供給管72Cは、ポンプ72Jとタンク72Eとを接続し、供給管72Dは、カートリッジ72Fとポンプ72Jとを接続する。
【0035】
タンク72Eは、定着液Lを収容可能なものである。カートリッジ72Fは、定着液Lを収容するタンクであり、本体筐体2に着脱可能に取り付けられている。バルブ72Gは、供給管72Aに設けられ、ポンプ72Iから筐体71Aへ供給される定着液Lの流量を調整する電磁バルブである。バルブ72Hは、供給管72Dに設けられ、カートリッジ72Fからタンク72Eへ供給される定着液Lの流量を調整する電磁バルブである。
【0036】
ポンプ72Iは、タンク72Eから筐体71Aへ定着液Lを送り込むことにより、定着液Lを加圧する機能を有し、図示しないモータにより制御される。ポンプ72Iは、定着液Lを筐体71Aに向けて供給する。ポンプ72Jは、カートリッジ72Fからタンク72Eへ定着液Lを送り込むことにより、定着液Lを加圧する機能を有し、図示しないモータにより制御される。ポンプ72Jは、定着液Lをタンク72Eに向けて供給する。
【0037】
電圧印加回路73は、第1電圧印加回路73A及び第2電圧印加回路73Bを有する。第1電圧印加回路73Aは、ノズル電極71Bに接続され、ノズル電極71Bに電圧を印加する。第1電圧印加回路73Aは、ノズル電極71Bに一定の電流を出力することで電圧を印加する定電流源である。また、第1電圧印加回路73Aは、一定の電圧を出力することも可能である。
【0038】
第2電圧印加回路73Bは、対向電極71Cに接続され、対向電極71Cに電圧を印加する。このとき、対向電極71Cから第2電圧印加回路73Bに電流が流れる。第2電圧印加回路73Bは、対向電極71Cに一定の電圧を印加する定電圧源である。なお、第1電圧印加回路73A及び第2電圧印加回路73Bは、単一の回路基板上に構成されている。これにより、レーザプリンタ1の部品点数を削減できる。
【0039】
制御部8は、レーザプリンタ1の各部を制御し、特に、バルブ72G,72Hと、ポンプ72I,72Jと、第1電圧印加回路73Aと、第2電圧印加回路73Bと、可動部720Bと、を制御する。また、制御部8は、第1電圧印加回路73A及び第2電圧印加回路73Bに対してPWM(Pulse Width Modulation)制御を行う。ただし、制御部8は、PWM制御以外の制御方法で第1電圧印加回路73A及び第2電圧印加回路73Bを制御してもよい。
【0040】
<可動部720B>
次に、可動部720Bについて、図3を用いて説明する。図3は、供給ユニット72が備える可動部720Bが負圧調整タンク720Aを押圧している様子を示す模式図である。
【0041】
図3に示すように、可動部720Bは、供給管72Aを押圧するソレノイド720Cと、押圧部材720Eと、から構成される可動機構である。可動部720Bは、本体筐体2(図1参照)の内部において、負圧調整タンク720Aを押圧可能な位置に設けられる。
【0042】
詳細には、可動部720Bは、供給管72Aが備える負圧調整タンク720Aの外周面の一部に、押圧部材720Eを介して押圧可能な位置に設けられる。可動部720Bは、ソレノイド720Cを動作させて負圧調整タンク720Aの内部の圧力を調整する。
【0043】
ソレノイド720Cは、プランジャ720Dを備えている。プランジャ720Dの一端は、押圧部材720Eと接続されている。詳細には、プランジャ720Dにおける負圧調整タンク720Aに向かう方向側の端部は、押圧部材720Eと接続されている。
【0044】
ソレノイド720Cは、制御部8にてソレノイド720Cへの通電がONにされると、励磁されて駆動する。ソレノイド720Cが駆動すると、プランジャ720Dを押圧方向へ移動させる。また、ソレノイド720Cは、制御部8にてソレノイド720Cへの通電がOFFにされると、励磁が解除されて停止する。ソレノイド720Cが停止すると、プランジャ720Dを減圧方向へ移動させる。
【0045】
押圧方向とは、図3に示す矢印Nの方向である。詳細には、負圧調整タンク720Aと可動部720Bとが設置された状態において、可動部720Bから負圧調整タンク720Aへと向かう方向である(以下、押圧方向Nという)。減圧方向とは、図3に示す矢印Sの方向である。詳細には、負圧調整タンク720Aと可動部720Bとが設置された状態において、負圧調整タンク720Aから可動部720Bへと向かう方向である(以下、減圧方向Sという)。
【0046】
押圧部材720Eは、プランジャ720Dの一端に接続されている。押圧部材720Eは、プランジャ720Dの押圧方向Nへの移動、又は、減圧方向Sへの移動に従って移動する。
【0047】
押圧部材720Eは、負圧調整タンク720Aの表面を押圧できる面を有する。詳細には、押圧部材720Eのうち、負圧調整タンク720Aの外周面に対向する面は、押圧方向Nの側に向かって突出する曲面を形成している。押圧方向Nの側に向かって突出する曲面を形成することで、負圧調整タンク720Aと押圧部材720Eとが当接する面積を増やし、負圧調整タンク720Aの内部の空気の体積を効率的に変化させることができる。
【0048】
また、負圧調整タンク720Aにおいて、押圧部材720Eと当接する負圧調整タンク720Aの外周面の一部の材料は、例えば、金属フィルムなどを使用してもよい。金属フィルムなどを使用することで、押圧部材720Eと当接する負圧調整タンク720Aの外周面の一部は、押圧部材720Eによる押圧により容易に形状を変化させることができる。よって、より効率的に負圧調整タンク720Aの内部の空気の体積を変化させることができる。
【0049】
なお、押圧部材720Eは、負圧調整タンク720Aの外周面の一部と接続されていてもよい。また、押圧部材720Eのうち、負圧調整タンク720Aの外周面に対向する面は、押圧方向Nの側に向かって突出する曲面としているが、押圧部材720Eの形状はこれに限定されるものではない。例えば、押圧方向Nと直交する方向における断面が方形形状であってもよい。すなわち、プランジャ720Dの押圧方向Nへの移動により、負圧調整タンク720Aの一部を押圧できればよい。
【0050】
<可動部720Bの役割>
次に可動部720Bの役割について、図3図4とを適宜参照しつつ説明する。図4は、(A)が可動部720Bが負圧調整タンク720Aへの押圧を停止している様子を示す模式図、(B)が定着液Lの噴霧を終了した後のノズル71Dの先端付近を示す図、(C)が定着液Lの噴霧を終了する際、可動部720Bが負圧調整タンク720Aへの押圧を停止した状態におけるノズル71Dの先端付近を示す図である。
【0051】
可動部720Bは、ソレノイド720Cを押圧方向N、又は、減圧方向Sへ可動させることにより、押圧部材720Eを介して負圧調整タンク720Aの内部の圧力を変化させる。つまり、ソレノイド720Cを減圧方向Sへ可動させると、負圧調整タンク720Aの内部の圧力は低減する。
【0052】
詳細には、可動部720Bは、ノズル71Dからの定着液Lの噴霧を開始する際、ソレノイド720Cを可動させることにより、押圧部材720Eを介して負圧調整タンク720Aの表面の一部を押圧する。
【0053】
すなわち、図3では、ソレノイド720Cへの通電がONされている状態であり、プランジャ720Dと押圧部材720Eとは、押圧方向Nへ移動している。そして、可動部720Bは、プランジャ720Dと押圧部材720Eとを介して負圧調整タンク720Aの表面の一部を押圧している。
【0054】
また、可動部720Bは、ノズル71Dからの定着液Lの噴霧を開始してから、ノズル71Dからの定着液Lの噴霧を停止する際に、ソレノイド720Cを停止させることにより、負圧調整タンク720Aの内部の圧力を低減する。
【0055】
すなわち、図4では、ソレノイド720Cへの通電がOFFされている状態であり、プランジャ720Dと押圧部材720Eは、減圧方向Sへ移動している。そして、可動部720Bは、プランジャ720Dと押圧部材720Eとを減圧方向Sへ移動させることにより、負圧調整タンク720Aの表面の一部の押圧を停止する。これにより、負圧調整タンク720Aの内部の空気の体積は増え、負圧調整タンク720Aの内部の圧力は低減する。
【0056】
つまり、本発明では、レーザプリンタ1による定着液Lの噴霧時は、可動部720Bにて負圧調整タンク720Aの表面の一部を押圧している状態であり、その状態から、定着液Lの噴霧を停止する際に、負圧調整タンク720Aの表面の一部を押圧していない状態にする。負圧調整タンク720Aの表面の一部を押圧していない状態にすると、負圧調整タンク720Aと繋がる供給管72A、そして、供給管72Aと接続された筐体71Aの内部の圧力は低減する。よって、定着液Lがノズル71Dの外から内側へ引き揚げられる方向へ力が加わる。
【0057】
これにより、図4の(B)に示すように、定着液Lの噴霧を停止した時に定着液Lの残留によりノズル71Dの先端に形成されるテイラーコーン状の液滴を、図4の(C)に示すように、ノズル71Dの内部に引き揚げることができる。定着液Lの具体的な噴霧処理については、以下、詳述する。
【0058】
<レーザプリンタ1による噴霧処理>
図5は、図1に示すレーザプリンタ1による噴霧及び噴霧を停止する際の処理を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートは、レーザプリンタ1による用紙Pへの画像形成処理が開始され、転写ローラTRによる感光ドラム61上のトナー像を用紙Pに転写する処理が行われた後の用紙Pへの定着液Lの噴霧処理を示す。
【0059】
図5に示すように、ステップS1において、制御部8は、ノズル71Dが定着液Lを噴霧する動作中において、可動部720Bによる供給管72Aの押圧を開始する。詳細には、制御部8は、ソレノイド720Cを駆動する。つまり、ソレノイド720Cへの通電をONにする。制御部8がソレノイド720Cへの通電をONにすると、プランジャ720Dは、押圧方向Nへ移動する。プランジャ720Dが押圧方向Nへ移動すると、プランジャ720Dは、その一端に接続された押圧部材720Eを介して、負圧調整タンク720Aの外周面の一部を押圧方向Nへ押し込む。これにより、可動部720Bにて負圧調整タンク720Aの表面の一部を押圧している状態となる。
【0060】
ステップS2において、制御部8は、ポンプ72I,72Jを起動させるとともに、バルブ72G,72Hを開放する。これにより、定着液Lがポンプ72Jによってカートリッジ72Fからタンク72Eに供給される。また、定着液Lがポンプ72Iによってタンク72Eから筐体71Aに供給される。
【0061】
ステップS3において、制御部8は、電圧印加回路73を用いて、ノズル電極71B及び対向電極71Cのそれぞれに電圧を印加する。詳細には、制御部8は、第1電圧印加回路73Aを用いて、ノズル電極71Bにノズル電圧V1を印加するとともに、第2電圧印加回路73Bを用いて、対向電極71Cにノズル電圧V1よりも絶対値が大きい対向電圧V2を印加する。これにより、ノズル電極71Bと対向電極71Cとの間である電極間の電位差が所定値以上となり、ノズル71Dは、筐体71A内の定着液Lを、転写ローラTRによってトナー像が転写された用紙Pに噴霧することができる。なお、V1及びV2は電圧値である。
【0062】
ステップS4において、制御部8は、第1電圧印加回路73Aを用いて、ノズル電極71Bにノズル電圧V1を印加する場合、定電流制御を行う。このとき、制御部8は、ノズル電極71Bに流れる電流が一定となるように、第1電圧印加回路73A及び第2電圧印加回路73Bに対してPWM(Pulse Width Modulation)制御を行う。
【0063】
ステップS5において、制御部8は、用紙Pへ画像を形成する画像形成処理が終了したか否かを判定する。つまり、制御部8は、用紙Pが定着装置7を通過したか否かを判定する。ステップS5にてNOの場合、つまり、制御部8が、画像形成処理が終了していないと判定した場合、ステップS4に戻る。
【0064】
一方、ステップS4にてYESの場合、つまり、制御部8が、画像形成処理が終了したと判定した場合、ステップS6において、制御部8は、ポンプ72I,72Jの回転を停止させるとともに、バルブ72G,72Hを閉じる。
【0065】
制御部8は、ポンプ72Jの回転を停止させるとともに、バルブ72Hを閉じることにより、ポンプ72Jに対してカートリッジ72Fからタンク72Eへの定着液Lの供給を停止させる。また、制御部8は、ポンプ72Iの回転を停止させるとともに、バルブ72Gを閉じることにより、ポンプ72Iに対してタンク72Eから筐体71Aへの定着液Lの供給を停止させる。
【0066】
ステップS7において、制御部8は、ノズル71Dが定着液Lを噴霧する動作からノズル71Dが定着液Lを噴霧する動作の停止に移行する際、可動部720Bによる供給管72Aの押圧を停止させる。つまり、制御部8は、ステップS6においてポンプ72I,72Jの回転を停止させ、バルブ72G,72Hを閉じてからソレノイド720Cによる負圧調整タンク720Aの表面の一部の押圧を停止させる。
【0067】
詳細には、制御部8は、ソレノイド720Cの駆動を停止する。つまり、ソレノイド720Cへの通電をOFFにする。ソレノイド720Cへの通電をOFFにすると、プランジャ720Dは、減圧方向Sへ移動する。プランジャ720Dが減圧方向Sへ移動すると、負圧調整タンク720Aの外周面の一部が凹んでいる状態から、凹んでいない状態へ戻る。つまり、負圧調整タンク720Aの弾性力により凹んでいる状態から凹んでいない状態へと戻る。
【0068】
これにより、負圧調整タンク720Aの内部の空気の体積が増え、負圧調整タンク720Aの内部の圧力が小さくなる。負圧調整タンク720Aの内部の圧力が小さくなると、負圧調整タンク720Aと繋がる供給管72A、そして、供給管72Aと接続された筐体71Aの内部の圧力も同様に小さくなる。すなわち、バルブ72Gから筐体71Aの間における定着Lの流路全体の圧力が低減する。よって、定着液Lがノズル71Dの外から内側へ引き揚げられる。
【0069】
つまり、制御部8にてポンプ72I,72Jの回転を維持し、バルブ72G,72Hを閉じずにソレノイド720Cを停止させたとしても、ポンプ72I,72Jの回転により、定着液Lの筐体71Aに向けての供給は維持されるため、負圧調整タンク720Aの内部の圧力を低減することは困難である。
【0070】
すなわち、ポンプ72I,72Jの回転を停止させ、バルブ72G,72Hを閉じてからソレノイド720Cによる負圧調整タンク720Aの表面の一部の押圧を停止させる方が、ポンプ72I,72Jの回転を維持し、バルブ72G,72Hを閉じていない場合に比べて、筐体71Aの内部の圧力を急激に低減させることができる。よって、ノズル71Dの先端に付着して残留する定着液Lをノズル71Dの内側に引き揚げることができる。
【0071】
ステップS8において、制御部8は、ノズル電圧V1及び対向電圧V2の印加を停止する。具体的には、制御部8は、第1電圧印加回路73Aを用いて、ノズル電極71Bへのノズル電圧の印加を停止するとともに、第2電圧印加回路73Bを用いて、対向電極71Cへの対向電圧の印加を停止する。これにより、ノズル71Dからの定着液Lの噴霧が停止する。
【0072】
なお、本発明では定着液Lを噴霧する動作中において、可動部720Bによる供給管72Aの押圧を開始すると説明しているが、少なくとも、定着液Lを噴霧する動作の停止に移行する際、可動部720Bによって、供給管72Aの内部の圧力を低減する構成を備えていればよい。
【0073】
すなわち、負圧調整タンク720Aの表面の一部の押圧をすることなく、定着液Lを噴霧する動作の停止に移行する際、負圧調整タンク720Aの内部の圧力を低減できればよい。負圧調整タンク720Aの内部の表面の一部の押圧をすることなく、定着液Lを噴霧する動作の停止に移行する際、負圧調整タンク720Aの内部の圧力を低減する場合は、負圧調整タンク720Aに対して引張力を働かせる構造を備えていればよい。引張力を働かせる構造としては、公知の技術を使用することができる。
【0074】
<実施形態1の効果>
上記の構成によれば、定着液Lの噴霧動作中に可動部720Bにて負圧調整タンク720Aを押圧し、定着液Lの噴霧動作が停止する際に、ポンプ72I,72Jの回転を停止させるとともに、バルブ72G,72Hを閉じてからソレノイド720Cによる負圧調整タンク720Aの押圧を停止する。これにより、負圧調整タンク720Aの内部の圧力を急激に低減させることができる。負圧調整タンク720Aの内部の圧力を急激に低減させると、負圧調整タンク720Aと繋がる供給管72A、そして、供給管72Aと接続された筐体71Aの内部の圧力も同様に低減する。すなわち、バルブ72Gから筐体71Aの間における定着液Lの流路全体の圧力が低減する。よって、定着液Lがノズル71Dの外から内側へ引き揚げられる。
【0075】
また、定着液Lの噴霧動作が停止する際とは、通常時の定着液Lの噴霧動作だけではなく、エラー発生時における噴霧動作を含む。よって、上記の構成によれば、エラー発生時において噴霧動作が停止する際に、可動部720Bによる負圧調整タンク720Aの押圧を終了させることで、負圧調整タンク720Aの内部の圧力を低減する。これによりノズル71Dの先端に付着して残留する定着液Lをノズル71Dの内側に引き揚げることができる。よって、エラー発生時において、定着液Lが意図せず用紙Pへ落ちることを防ぐことができる。
【0076】
また、上記の構成によれば、定着液Lがノズル71Dの先端に付着して残留することを防ぐことができる。つまり、メンテナンス動作によりノズル71Dを掃除する頻度を減らすことができる。よって、メンテナンス動作のための定着液Lの噴霧回数を減らすことができるので定着液Lの使用量を抑えることができる。
【0077】
〔実施形態2〕
次に、図6図8を用いて、実施形態2の定着装置100について説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0078】
図6は、図1に示すレーザプリンタ1が備える定着装置100の構成を示す模式図である。図7は、ポンプにより筐体71Aの内部の圧力を低減する供給ユニット110を示す模式図である。図8は、図6に示す定着装置100を備えたレーザプリンタ1による噴霧及び噴霧を停止する際の処理を示すフローチャートである。
【0079】
図6に示すように、定着装置100が備える供給ユニット110は、図2に示す負圧調整タンク720Aと可動部720Bとを備えていない点で実施形態1の定着装置7が備える供給ユニット72と異なる。また、本実施形態において、ポンプ72I1は、正回転及び逆回転が可能なポンプである。
【0080】
供給ユニット110は、負圧調整タンク720Aと可動部720Bとを備えていない構造であるため、制御部8にてポンプ72I1を制御することにより、筐体71Aおよび供給管72Aの内部の圧力を低減する。
【0081】
詳細には、供給ユニット110は、ノズル71Dが定着液Lを噴霧する動作中において、ポンプ72I1,72Jを正回転させ、ノズル71Dが定着液Lを噴霧する動作からノズル71Dが定着液Lを噴霧する動作の停止に移行する際、ポンプ72I1を逆回転させることにより、筐体71Aおよび供給管72Aの内部の圧力を低減する。このとき、制御部8は、バルブ72Hを閉じ、ポンプ72Jの回転を停止させる。
【0082】
すなわち、制御部8が供給ユニット110を制御することにより、ポンプ72I1を逆回転させる。そして、ポンプ72I1を逆回転させることにより筐体71Aおよび供給管72Aの内部の圧力を低減する。これにより、図7の(B)に示すように、定着液Lの噴霧を停止した時に定着液Lの残留によりノズル71Dの先端に形成されるテイラーコーン状の液滴を、図7の(C)に示すように、ノズル71Dの内部に引き揚げることができる。なお、ポンプ72I1は、圧力低減部の一例である。定着装置100を備えたレーザプリンタ1による定着液Lの具体的な噴霧処理については、以下、詳述する。
【0083】
<レーザプリンタ1による噴霧処理>
図8に示すフローチャートは、レーザプリンタ1による用紙Pへの画像形成処理が開始され、転写ローラTRによる感光ドラム61上のトナー像を用紙Pに転写する処理が行われた後の用紙Pへの定着液Lの噴霧処理を示す。
【0084】
なお、図8に示すS20~S40は、図5のS3~S5に対応し、図8に示すS70、S80は、図5のS6、S8に対応するため、その説明を繰り返さない。
【0085】
図8に示すように、ステップS10において、制御部8は、ポンプ72I1,72Jを起動させるとともに、バルブ72G,72Hを開放する。このとき、ポンプ72I1,72Jは、正回転している。ポンプ72I1,72Jは、正回転することにより、タンク72E内の定着液Lを供給管72Aを通過させて筐体71Aに向けて供給する。
【0086】
これにより、定着液Lがポンプ72Jによってカートリッジ72Fからタンク72Eに供給される。また、定着液Lがポンプ72I1によってタンク72Eから筐体71Aに供給される。
【0087】
ステップS50において、制御部8は、ノズル71Dが定着液Lを噴霧する動作からノズル71Dが定着液Lを噴霧する動作の停止に移行する際、ポンプ72I1を逆回転させる。ポンプ72I1を逆回転させる際、制御部8は、バルブ72Hを閉じ、ポンプ72Jの回転を停止させる。これにより、筐体71Aおよび供給管72Aの内部の圧力を低減することができる。筐体71Aおよび供給管72Aの内部の圧力が低減すると、タンク72E内の定着液Lを供給管72Aを通過させて筐体71Aに向けて供給する定着液Lの流れとは逆方向、すなわち、筐体71Aからタンク72Eへと向かう方向へ定着液Lが逆流する。
【0088】
ステップS60において、制御部8は、ポンプ72I1を逆回転させてから所定時間が経過するまで定着液Lの噴霧動作を待機する。所定時間とは、筐体71Aおよび供給管72Aの内部の圧力が適正な圧力になるまでの時間である。詳細には、ポンプ72I1を逆回転させてから1秒にも満たない時間である。制御部8は、所定時間が経過すると、ステップS70において、制御部8は、ポンプ72I1の回転を停止させるとともに、バルブ72Gを閉じる。
【0089】
なお、本発明において、制御部8は、ノズル71Dが定着液Lを噴霧する動作からノズル71Dが定着液Lを噴霧する動作の停止に移行する際、ポンプ72I1を逆回転させる。しかし、これに限定されるものではない。例えば、ポンプ72I1を逆回転させる際に、併せてポンプ72Jを逆回転させる制御を行ってもよい。ポンプ72Jを逆回転させる制御を行う場合、ポンプ72Jは、正回転及び逆回転が可能なポンプが用いられる。また、ポンプ72I1及びポンプ72Jを逆回転させる制御を行う場合、制御部8は、ノズル71Dが定着液Lを噴霧する動作からノズル71Dが定着液Lを噴霧する動作の停止に移行する際、ポンプ72I1及びポンプ72Jを逆回転させる。また、ポンプ72I1及びポンプ72Jを逆回転させる際、制御部8は、バルブ72G及びバルブ72Hを閉じる。
【0090】
<実施形態2の効果>
上記の構成によれば、定着液Lの噴霧動作が停止する際に、ポンプ72I1を逆回転させて定着液Lを供給管72A内において逆流させ、筐体71Aおよび供給管72Aの内部の圧力を低減する。これによりノズル71Dの先端に付着して残留する定着液Lを適時にノズル71Dの内側に引き揚げることができる。
【0091】
また、定着装置100は、新規な構成を設けることなく、上記実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0092】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
1 レーザプリンタ(画像形成装置)
8 制御部
61 感光ドラム
71 噴霧ユニット
71A 筐体
71B ノズル電極
71C 対向電極
71D ノズル
72、110 供給ユニット
72A、72B、72C、72D 供給管
72E タンク
72G、72H バルブ
72I、72J ポンプ
72I1 ポンプ(圧力低減部)
720A 負圧調整タンク
720B 可動部(圧力低減部)
720C ソレノイド
720D プランジャ
720E 押圧部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8