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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157504
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20221006BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G15/20 525
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061766
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】濱谷 政士
(72)【発明者】
【氏名】山城 準
(72)【発明者】
【氏名】山路 崇仁
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸征
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 亮太
【テーマコード(参考)】
2H033
2H270
【Fターム(参考)】
2H033BA02
2H033BA48
2H033BA57
2H033BE07
2H033CA22
2H033CA23
2H033CA26
2H270KA35
2H270KA49
2H270LA01
2H270LA70
2H270LA98
2H270LA99
2H270LC14
2H270MA36
2H270MB25
2H270MB32
2H270MB39
2H270MB41
2H270MB43
2H270MH13
2H270MH14
2H270MH15
2H270QB01
2H270RA14
2H270RB01
2H270RC05
2H270RC10
2H270RC11
2H270RC13
2H270RC14
2H270RC17
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】噴霧ユニットを清掃し、その清掃の完了を検知することができる定着装置を提供する。
【解決手段】制御部(10)は、供給ユニット(72)から噴霧ユニット(71)への定着液(L)の供給の停止状態において、ノズル電極(73B)と対向電極(74)との間の電位差を印加して定着液(L)の噴霧を開始させた後、所定の条件が成立すると、ノズル電極(73B)と対向電極(74)との間の電位差の印加を停止して定着液(L)の噴霧を停止させる掃除噴霧処理(S2)を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート上のトナーを前記シートに定着させるための定着液を噴霧する噴霧ユニットであって、
前記定着液を収容可能な筐体と、
前記筐体内の前記定着液を帯電させるノズル電極と、
前記ノズル電極と間隔を隔てて位置する対向電極と、
前記ノズル電極と前記対向電極との間である電極間の電位差を印加して、前記筐体内の前記定着液を噴霧するノズルと、を有する噴霧ユニットと、
前記定着液を前記噴霧ユニットに向けて供給する供給ユニットと、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記供給ユニットから前記噴霧ユニットへの前記定着液の供給の停止状態において、前記電極間の前記電位差を印加して前記定着液の噴霧を開始させた後、所定の条件が成立すると、前記電位差の印加を停止して前記定着液の噴霧を停止させる掃除噴霧処理を行うことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記ノズル電極に接続され、前記ノズル電極に印加する第1電圧を生成する第1電圧生成回路と、
前記対向電極に接続され、前記対向電極に印加する第2電圧を生成する第2電圧生成回路と、
前記ノズル側に流れる電流を検出する電流検出回路と、
を更に備え、
前記制御部は、
前記第1電圧生成回路により前記ノズル電極に印加される前記第1電圧を制御し、前記ノズル電極に流れる電流を一定とする定電流制御を実行し、
前記第2電圧生成回路により前記対向電極に印加される前記第2電圧を一定とする定電圧制御を実行し、
前記掃除噴霧処理において、前記電流検出回路により検出された電流が所定値を下回ったことを条件として、前記噴霧ユニットに対して前記電位差の印加を停止することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記ノズル電極に接続され、前記ノズル電極に印加する第1電圧を生成する第1電圧生成回路と、
前記対向電極に接続され、前記対向電極に印加する第2電圧を生成する第2電圧生成回路と、
を更に備え、
前記制御部は、
前記第1電圧生成回路及び前記第2電圧生成回路の各々に対してPWM信号を出力して、前記第1電圧生成回路により前記ノズル電極に印加される前記第1電圧及び前記第2電圧生成回路により前記対向電極に印加される前記第2電圧を一定とする定電圧制御を実行し、
前記掃除噴霧処理において、前記第1電圧生成回路に対して出力されるPWM信号のデューティ比が所定値を下回ったことを条件として、前記噴霧ユニットに対して前記電位差の印加を停止することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記掃除噴霧処理において、前記電極間に前記電位差を印加した時から所定の時間が経過したことを条件として、前記噴霧ユニットに対して前記電位差の印加を停止することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項5】
前記ノズル電極に接続され、前記ノズル電極に印加する第1電圧を生成する第1電圧生成回路と、
前記対向電極に接続され、前記対向電極に印加する第2電圧を生成する第2電圧生成回路と、
前記ノズル側に流れる電流を検出する電流検出回路と、
を更に備え、
前記制御部は、
前記第1電圧生成回路に対して出力されるPWM信号のデューティ比を一定にし、
前記第2電圧生成回路により前記対向電極に印加される前記第2電圧を一定とする定電圧制御を実行し、
前記掃除噴霧処理において、前記電流検出回路により検出された電流が所定値を下回ったことを条件として、前記噴霧ユニットに対して前記電位差の印加を停止することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の定着装置と、
感光ドラムと、
前記感光ドラム上の前記トナーを前記シートに転写する転写部材と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記感光ドラムと前記転写部材とにより、シートにトナー像を形成する画像形成処理の前に、前記画像形成装置の動作を確認する動作確認処理を行い、
前記動作確認処理を行った後であって、前記画像形成処理を行う前に、前記掃除噴霧処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、シートにトナー像を形成する画像形成処理を行った後に、前記供給ユニットによる前記噴霧ユニットへの前記定着液の供給を停止させ、前記掃除噴霧処理を行うことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記画像形成処理によりシートにトナー像が形成された後であって、前記トナー像が形成されたシートに後続するシートにトナー像が形成される前に、前記掃除噴霧処理を行うことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記噴霧ユニットよりもシートの搬送方向の下流に設けられ、搬送されてきたシートの後端を検知する検知部を更に備え、
前記制御部は、前記検知部がシートの後端を検知した後に、前記掃除噴霧処理を行うことを特徴とする請求項8または9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
表示部を更に備え、
前記制御部は、前記掃除噴霧処理が完了した後に、前記表示部に前記掃除噴霧処理の完了を示す通知を表示させることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トナーが上面に付着した記録材に対し、トナーを溶解又は膨潤させる定着液を付与して、記録材の上面にトナー像を定着する定着装置がある。特許文献1の定着装置では、制御装置が、定着装置の噴霧ユニットに流れる電流や噴霧ユニットに印加される電圧等をモニターし、当該モニターされた電流等により定着液の噴霧異常を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-166028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には、噴霧異常を検出する手段については開示されているものの、噴霧ユニットの清掃手段と当該清掃手段による清掃の完了を検知する手段については開示されていない。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、噴霧ユニットを清掃し、その清掃の完了を検知することができる定着装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の態様1に係る定着装置は、シート上のトナーを前記シートに定着させるための定着液を噴霧する噴霧ユニットであって、前記定着液を収容可能な筐体と、前記筐体内の前記定着液を帯電させるノズル電極と、前記ノズル電極と間隔を隔てて位置する対向電極と、前記ノズル電極と前記対向電極との間である電極間の電位差を印加して、前記筐体内の前記定着液を噴霧するノズルと、を有する噴霧ユニットと、前記定着液を前記噴霧ユニットに向けて供給する供給ユニットと、制御部と、を備え、前記制御部は、前記供給ユニットから前記噴霧ユニットへの前記定着液の供給の停止状態において、前記電極間の前記電位差を印加して前記定着液の噴霧を開始させた後、所定の条件が成立すると、前記電位差の印加を停止して前記定着液の噴霧を停止させる掃除噴霧処理を行う。
【0007】
上記の構成においては、供給ユニットから噴霧ユニットへの定着液の供給の停止状態において制御部が定着液の噴霧を開始させるので、定着液の噴霧が進むに伴い、ノズル内の定着液は徐々に減少することになる。上記の構成では、制御部は、予め定められた所定の条件が成立するとノズル内の定着液は無くなったと判定する。それゆえ、上記の構成によれば、定着液の噴霧により噴霧ユニットの清掃を行い、その清掃の完了を検知することができる。
【0008】
本発明の態様2に係る定着装置は、上記態様1において、前記ノズル電極に接続され、前記ノズル電極に印加する第1電圧を生成する第1電圧生成回路と、前記対向電極に接続され、前記対向電極に印加する第2電圧を生成する第2電圧生成回路と、前記ノズル側に流れる電流を検出する電流検出回路と、を更に備え、前記制御部は、前記第1電圧生成回路により前記ノズル電極に印加される前記第1電圧を制御し、前記ノズル電極に流れる電流を一定とする定電流制御を実行し、前記第2電圧生成回路により前記対向電極に印加される前記第2電圧を一定とする定電圧制御を実行し、前記掃除噴霧処理において、前記電流検出回路により検出された電流が所定値を下回ったことを条件として、前記噴霧ユニットに対して前記電位差の印加を停止する。
【0009】
上記の構成においては、ノズル内の定着液が減少すると定電流制御ができなくなり、ノズル電極側に流れる電流が小さくなる。制御部は、ノズル側に流れる電流が予め定められた所定の電流値を下回ったことを条件に、ノズル内の定着液は無くなったと判定する。それゆえ、上記の構成によれば、電流の値により、噴霧ユニットの清掃の完了を検知することができる。
【0010】
本発明の態様3に係る定着装置は、上記態様1において、前記ノズル電極に接続され、前記ノズル電極に印加する第1電圧を生成する第1電圧生成回路と、前記対向電極に接続され、前記対向電極に印加する第2電圧を生成する第2電圧生成回路と、を更に備え、前記制御部は、前記第1電圧生成回路及び前記第2電圧生成回路の各々に対してPWM信号を出力して、前記第1電圧生成回路により前記ノズル電極に印加される前記第1電圧及び前記第2電圧生成回路により前記対向電極に印加される前記第2電圧を一定とする定電圧制御を実行し、前記掃除噴霧処理において、前記第1電圧生成回路に対して出力されるPWM信号のデューティ比が所定値を下回ったことを条件として、前記噴霧ユニットに対して前記電位差の印加を停止する。
【0011】
上記の構成においては、ノズル内の定着液が減少すると定電圧制御ができなくなり、制御部から出力されるPWM信号のデューティ比は小さくなる。それゆえ、上記の構成によれば、上記の構成によれば、PWM信号のデューティ比により、噴霧ユニットの清掃の完了を検知することができる。
【0012】
本発明の態様4に係る定着装置は、上記態様1において、前記制御部は、前記掃除噴霧処理において、前記電極間に前記電位差を印加した時から所定の時間が経過したことを条件として、前記噴霧ユニットに対して前記電位差の印加を停止する。
【0013】
上記の構成においては、制御部は、予め記憶された、供給ユニットから噴霧ユニットへの定着液の供給の停止状態において、ノズルより定着液の噴霧を開始してからノズル内の定着液がなくなるまでの時間を基に、ノズル内の定着液は無くなったと判定する。それゆえ、上記の構成によれば、制御部はノズル側の電流等を取得する必要がないため、制御部の処理の負担を軽減することができる。
【0014】
本発明の態様5に係る定着装置は上記態様1において、前記ノズル電極に接続され、前記ノズル電極に印加する第1電圧を生成する第1電圧生成回路と、前記対向電極に接続され、前記対向電極に印加する第2電圧を生成する第2電圧生成回路と、前記ノズル側に流れる電流を検出する電流検出回路と、を更に備え、前記制御部は、前記第1電圧生成回路に対して出力されるPWM信号のデューティ比を一定にし、前記第2電圧生成回路により前記対向電極に印加される前記第2電圧を一定とする定電圧制御を実行し、前記掃除噴霧処理において、前記電流検出回路により検出された電流が所定値を下回ったことを条件として、前記噴霧ユニットに対して前記電位差の印加を停止する。
【0015】
上記の構成においては、制御部は、電流検出回路が検出した電流に応じて、PWM信号のデューティ比を変更しない。それゆえ、上記の構成によれば、電流検出部が検出した電流に応じてPWM信号のデューティ比を変更しなくても良いため、制御部の処理の負担を軽減することができる。
【0016】
本発明の態様6に係る画像形成装置は、上記態様1から5のいずれかにおいて記載の定着装置と、感光ドラムと、前記感光ドラム上の前記トナーを前記シートに転写する転写部材と、を備える。
【0017】
上記の構成において、上記態様1から5と同様の効果を有する画像形成装置を提供することができる。
【0018】
本発明の態様7に係る画像形成装置は、上記態様6において、前記制御部は、前記感光ドラムと前記転写部材とにより、シートにトナー像を形成する画像形成処理の前に、前記画像形成装置の動作を確認する動作確認処理を行い、前記動作確認処理を行った後であって、前記画像形成処理を行う前に、前記掃除噴霧処理を行う。
【0019】
上記の構成においては、画像形成処理を行う前に噴霧ユニットの清掃を行う。それゆえ、上記の構成によれば、画像形成処理時に噴霧ユニットの噴霧異常が起きることを防ぎ、形成されたトナー像の品質を劣化させることなくシートに画像を形成することができる。
【0020】
本発明の態様8に係る画像形成装置は、上記態様7において、前記制御部は、シートにトナー像を形成する画像形成処理を行った後に、前記供給ユニットによる前記噴霧ユニットへの前記定着液の供給を停止させ、前記掃除噴霧処理を行う。
【0021】
上記の構成においては、画像形成処理後に噴霧ユニットの清掃を行う。それゆえ、上記の構成によれば、ノズルに定着液が残存又は付着したままの状態で放置することを防ぎ、噴霧ユニットの噴霧異常が起きることを防ぐことができる。
【0022】
本発明の態様9に係る画像形成装置は、上記態様8において、前記制御部は、前記画像形成処理によりシートにトナー像が形成された後であって、前記トナー像が形成されたシートに後続するシートにトナー像が形成される前に、前記掃除噴霧処理を行う。
【0023】
上記の構成においては、連続印刷する場合、画像形成処理が終了する度に噴霧ユニットの清掃を行う。それゆえ、上記の構成によれば、連続印刷の途中で噴霧ユニットに噴霧異常が起きることを防ぎ、連続印刷されたシートの夫々に形成されたトナー像の品質を劣化させることなく連続印刷することができる。
【0024】
本発明の態様10に係る画像形成装置は、上記態様8または9において、前記噴霧ユニットよりもシートの搬送方向の下流に設けられ、搬送されてきたシートの後端を検知する検知部を更に備え、前記制御部は、前記検知部がシートの後端を検知した後に、前記掃除噴霧処理を行う。
【0025】
上記の構成においては、検知部がシートの後端を検知した後に噴霧ユニットの清掃を行う。それゆえ、上記の構成によれば、噴霧ユニットから定着液が噴霧される定着領域にシートがない状態で清掃を行うため、シートに余計な定着液が噴霧されてしまうことを防ぐことができる。
【0026】
本発明の態様11に係る画像形成装置は、上記態様6から8のいずれかにおいて、表示部を更に備え、前記制御部は、前記掃除噴霧処理が完了した後に、前記表示部に前記掃除噴霧処理の完了を示す通知を表示させる。
【0027】
上記の構成においては、掃除噴霧完了の通知を表示部に表示させる。それゆえ、上記の構成によれば、ユーザに掃除噴霧完了を通知することで、ユーザは噴霧ユニットの清掃が完了したことを認知することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一態様によれば、噴霧ユニットを清掃し、その清掃の完了を検知することができる定着装置及び画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施形態1に係る定着装置を備える画像形成装置の内部構造を示す図である。
図2】実施形態1に係る定着装置の具体的な構成を示す図である。
図3】実施形態1に係る定着装置を備える画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
図4】実施形態1に係る画像形成装置の制御部による制御の流れを示すフローチャートである。
図5】実施形態1に係る定着装置の掃除噴霧処理を示すフローチャートである。
図6】実施形態1に係る画像形成装置の画像形成処理を示すフローチャートである。
図7】実施形態1に係る定着装置の掃除噴霧処理の変形例を示すフローチャートである。
図8】実施形態2に係る定着装置を備える画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
図9】実施形態2に係る定着装置の掃除噴霧処理を示すフローチャートである。
図10】実施形態3に係る画像形成装置の制御部による制御の流れを示すフローチャートである。
図11】実施形態4に係る画像形成装置の制御部による制御の流れを示すフローチャートである。
図12】実施形態4に係る画像形成装置の画像形成処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1に係る定着装置7及び定着装置7を備える画像形成装置1について、図1図6を参照して説明する。
【0031】
[画像形成装置の構成]
図1は、本発明の実施形態1に係る定着装置7を備える画像形成装置1の内部構造を示す図である。なお、説明の便宜上、図1の矢印に示されるように、画像形成装置1の上下方向、左右方向、及び前後方向を定義する。
【0032】
図1に示すように、画像形成装置1は、本体筐体2と、シートの一例としての用紙Pを給紙するフィーダ部3と、用紙Pに画像を形成する画像形成部4と、定着装置7とを備えている。
【0033】
フィーダ部3は、本体筐体2の下部に着脱可能に装着される給紙トレイ31と、給紙トレイ31内の用紙Pを画像形成部4に向けて給紙する給紙機構32とを備えている。給紙機構32は、給紙ローラ32Aと、レジストローラ32Bとを備えている。レジストローラ32Bは、用紙Pの先端位置を揃えるローラであり、後述する制御部10によって適宜停止・回転が切り替えられるようになっている。
【0034】
用紙Pの搬送方向において、レジストローラ32Bよりも下流に第1検知部81が設けられている。第1検知部81は、用紙Pを検知するセンサである。第1検知部81は、用紙Pが当接することで揺動するアクチュエータを有するセンサや、光センサ等を用いることができる。
【0035】
画像形成部4は、本体筐体2内に収容されており、主に、スキャナユニット5と、プロセスカートリッジ6と、転写ローラTRとを備えている。転写ローラTRは、転写部材の一例である。
【0036】
スキャナユニット5は、本体筐体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡などを備えている。このスキャナユニット5では、レーザビームを、後述する感光ドラム61の表面上に高速走査にて照射する。
【0037】
プロセスカートリッジ6は、本体筐体2に着脱可能となっている。プロセスカートリッジ6は、静電潜像が形成される感光ドラム61と、帯電器65(図3参照)と、現像剤の一例としてのトナーを収容するトナー収容部62と、トナー収容部62内のトナーを感光ドラム61に供給する供給ローラ63および現像ローラ64を備えている。
【0038】
このプロセスカートリッジ6では、帯電器65が、回転する感光ドラム61の表面を一様に帯電する。スキャナユニット5は、感光ドラム61の表面にレーザビームを出射して、感光ドラム61の表面を露光することで、感光ドラム61の表面に画像データに基づく静電潜像を形成する。
【0039】
次いで、回転駆動される現像ローラ64が、感光ドラム61の静電潜像にトナーを供給して、感光ドラム61の表面上にトナー像を形成する。その後、感光ドラム61の表面上に担持されたトナー像は、用紙Pが感光ドラム61と転写ローラTRの間で搬送される際に、転写ローラTRに引き寄せられて用紙P上に転写される。
【0040】
定着装置7は、トナー像が形成された用紙P上に定着液Lを噴霧する。具体的には、定着装置7は、帯電された定着液Lを静電噴霧により用紙P上のトナー像に供給することで、用紙P上にトナー像を定着させる装置である。なお、定着装置7の構成については、後で詳述する。
【0041】
定着装置7の下流側には、定着装置7から排出された用紙Pを挟持して下流側に搬送する一対の下流側搬送ローラRDが設けられている。下流側搬送ローラRDによって搬送された用紙Pは、排紙ローラRに搬送され、この排紙ローラRから排紙トレイ21上に排出される。
【0042】
下流側搬送ローラRDの下流側には、第2検知部82が設けられている。第2検知部82は、用紙Pの後端の通過を検知するセンサである。第2検知部82は、用紙Pが当接することで揺動するアクチュエータを有するセンサや、光センサ等を用いることができる。
【0043】
次に、定着装置7の構成について詳細に説明する。図2は、実施形態1に係る定着装置7の具体的な構成を示す図である。図2に示すように、定着装置7は、噴霧ユニット71と、供給ユニット72と、第1回路78と、第2回路79と、制御部10とを備える。
【0044】
噴霧ユニット71は、噴霧ヘッド73と、対向電極74とを備える。噴霧ヘッド73は、定着液Lを収容可能な筐体73Aと、ノズル73C内の定着液Lを帯電させるノズル電極73Bと、定着液Lを噴霧するノズル73Cと、を有する。対向電極74は、ノズル73Cに向かって伸びる複数の突起を有する。対向電極74は、ノズル電極73Bと間隔を隔てて位置する。
【0045】
ノズル電極73Bは、第1回路78と電気的に接続されている。第1回路78は、ノズル電極73Bに正の電圧を印加する。対向電極74は、第2回路79と電気的に接続されている。第2回路79は、対向電極74に負の電圧を印加する。噴霧ユニット71は、ノズル電極73Bと対向電極74との間の電位差が所定の噴霧電位差(所定値)以上である場合に、ノズル73Cから定着液Lを噴霧する。
【0046】
定着液Lは、良好に静電噴霧を行い、かつ、定着を行うために、トナーを溶解させる溶質を誘電率の高い溶媒に分散させたものを使用することが出来る。誘電率の高い溶媒として、安全な水を用いることができる。つまり、本実施形態では、トナーを溶解させる溶質を水に分散するタイプ、いわゆる、水中油滴型のエマルジョンでトナーの溶解を行っている。つまり、溶媒としての水に対して不溶又は難溶な溶質を水に分散した定着液を用いている。また、エマルジョンを良好に形成するために界面活性剤を加えても良い。
【0047】
供給ユニット72は、定着液Lを噴霧ユニット71に向けて供給する。供給ユニット72は、定着液Lを収容可能なタンク72Aと、タンク72Aと接続され、タンク72Aに収容された定着液Lの通過を許容する供給管72Bと、カートリッジ77Aと、供給管77Bと、を有する。
【0048】
供給管72Bには、定着液Lの供給を制御する第1送液部75を有する。第1送液部75は、タンク72A側から順に第1ポンプ75Aおよび第1バルブ75Bが設けられている。第1ポンプ75Aは、タンク72Aから筐体73Aへ定着液Lを送り込むことにより、定着液Lを加圧する機能を有し、図示しないモータにより駆動される。第1バルブ75Bは、タンク72Aから筐体73Aへ供給される定着液Lの流量を電磁バルブにより調整する機能を有している。
【0049】
カートリッジ77Aは、定着液Lを収容するタンクであり、本体筐体2に着脱可能に取り付けられている。供給管77Bは、カートリッジ77Aと接続され、カートリッジ77Aに収容された定着液Lの通過を許容する。
【0050】
供給管77Bには、定着液Lの供給を制御する第2送液部76を有する。第2送液部76は、カートリッジ77A側から順に第2バルブ76Bおよび第2ポンプ76Aが設けられている。第2バルブ76Bは、カートリッジ77Aからタンク72Aへ供給される定着液Lの流量を電磁バルブにより調整する機能を有している。第2ポンプ76Aは、カートリッジ77Aからタンク72Aへ定着液Lを送り込むことにより、定着液Lを加圧する機能を有し、モータにより駆動される。
【0051】
[画像形成装置の電気的構成]
図3は、実施形態1に係る定着装置7を備える画像形成装置1の電気的構成を示すブロック図である。画像形成装置1は、上述した各部に加え、更に本体基板である高電圧生成回路11と、表示部80と、を備えている。制御部10は、高電圧生成回路11、第1送液部75、第2送液部76および表示部80を制御する。
【0052】
高電圧生成回路11は、現像ローラ64と、転写ローラTRと、帯電器65と、ノズル電極73Bと、対向電極74と電気的に接続されている。高電圧生成回路11は、これら各部に対し、電圧を印加する。
【0053】
高電圧生成回路11は、第1回路78と、第2回路79と、を備える。第1回路78は、第1電圧生成回路12を有する。第2回路79は第2電圧生成回路13と、電流検出回路14と、を有する。図3に示す例では、画像形成装置1は、第1電圧生成回路12と、第2電圧生成回路13とを有する高電圧生成回路11を備える。高電圧生成回路11は、単一の電圧生成回路基板上に構成されている。
【0054】
第1電圧生成回路12は、ノズル電極73Bと、電源15と電気的に接続される。第1電圧生成回路12は、電源15から供給される電源電圧を用いて、ノズル電極73Bに印加する第1電圧を生成する。本実施形態では、第1電圧生成回路12は、ノズル電極73Bに一定の電流を出力することで第1電圧を印加する定電流源である。
【0055】
第2電圧生成回路13は、対向電極74と、電源15と電気的に接続される。第2電圧生成回路13は、電源15から供給される電源電圧を用いて、対向電極74に印加する第2電圧を生成する。電流検出回路14は、ノズル電極73Bに流れる電流を検出する。電流検出回路14は、第2電圧生成回路13と対向電極74との間で直列に接続されている。本実施形態では、第2電圧生成回路13は、対向電極74に一定の第2電圧を印加する定電圧源である。
【0056】
制御部10は、第1電圧生成回路12および第2電圧生成回路13をPWM(Pulse Width Moduration)制御により制御する。具体的には、制御部10は、デューティ比を設定し、設定されたデューティ比に基づいてPWM信号PS1、PS2を生成する。制御部10は、PWM信号PS1を第1電圧生成回路12に出力して、第1電圧生成回路12を制御する。制御部10は、PWM信号PS2を第2電圧生成回路13に出力して、第2電圧生成回路13を制御する。なお、制御部10は、PWM制御以外の制御方法で第1電圧生成回路12および第2電圧生成回路13を制御してもよい。
【0057】
制御部10は、ノズル電極73Bに流れる電流をモニターする。より詳細には、制御部10は、電流検出回路14が検出した電流値を取得する。具体的には、電流検出回路14は、ノズル電極73Bに流れる電流を検出する。電流検出回路14は、検出した電流値を表す電気信号FBiを制御部10に送信する。制御部10は、電気信号FBiを受信し、当該電気信号FBiから電流検出回路14が検出した電流値を取得する。
【0058】
[制御部による制御の流れ]
次に、画像形成装置1の制御部10による制御の流れについて、図4から図6のフローチャートを参照して説明する。図4は、画像形成装置1の制御部10による制御の流れを示すフローチャートである。図5は、定着装置7の掃除噴霧処理を示すフローチャートである。図6は、画像形成装置1の画像形成処理を示すフローチャートである。
【0059】
図4に示すように、まず、制御部10は、画像形成装置1の電源がオンされると、画像形成装置1の動作確認処理を行う(S1)。次に、制御部10は、掃除噴霧処理(S2)を行う。
【0060】
ここで、図5を用いて、掃除噴霧処理(S2)について説明する。まず、制御部10は、第1送液部75および第2送液部76を制御して、第1ポンプ75Aおよび第2ポンプ76Aを停止させると共に、第1バルブ75Bおよび第2バルブ76Bを閉鎖する(S10)。つまり、制御部10は、供給ユニット72から噴霧ユニット71への定着液Lの供給を停止する。
【0061】
次に、制御部10は、PWM信号PS2を第2電圧生成回路13に出力する。制御部10は、PWM信号PS2を用いて第2電圧生成回路13を制御して、対向電極74に第2電圧を印加する(S11)。S11の後、制御部10は、PWM信号PS1を第1電圧生成回路12に出力する。制御部10は、PWM信号PS2を用いて第1電圧生成回路12を制御して、ノズル電極73Bに第1電圧を印加する(S12)。つまり、ノズル電極73Bと対向電極74との間で電位差が印加される。当該電極間で電位差が印加されると、定着液Lがノズル73Cから噴霧される。定着液Lが噴霧されると、ノズル電極73Bと対向電極74との間に電流が流れる。
【0062】
次に、制御部10は、電流検出回路14が検出したノズル電極73Bの電流値を、電流検出回路14から取得する(S13)。制御部10は、取得したノズル電極73Bの電流値から、ノズル電極73Bに流れる電流が一定となるように、PWM信号PS1のデューティ比を設定する(S14)。一例として、ノズル電極73Bに流れる電流が100~250μAとなるように、PWM信号PS1のデューティ比が設定される。
【0063】
続いて、制御部10は、対向電極74の電圧が一定となるように、PWM信号PS2のデューティ比を設定する(S15)。制御部10は、S14及びS15で設定されたデューティ比により、PWM信号PS1を第1電圧生成回路12に出力すると共に、PWM信号PS2を第2電圧生成回路13に出力する。制御部10は、PWM信号PS1を用いて第1電圧生成回路12により生成される第1電圧を調整すると共に、PWM信号PS2を用いて第2電圧生成回路13により生成される第2電圧を調整する(S16)。
【0064】
次に、制御部10は、電流検出回路14から、第1電圧および第2電圧を調整した後のノズル電極73Bの電流値を取得する(S17)。制御部10は、取得したノズル電極73Bの電流値が所定値よりも小さいか否かを判定する(S18)。一例として、電流の所定値は、10μAである。取得したノズル電極73Bの電流値が所定値以上である場合(S18でNO)、S14に戻る。取得したノズル電極73Bの電流値が所定値よりも小さい場合(S18でYES)、制御部10は、第1電圧生成回路12を制御して、ノズル電極73Bに印加される第1電圧の印加を停止すると共に、第2電圧生成回路13を制御して、対向電極74に印加される第2電圧の印加を停止する(S19)。つまり、ノズル電極73Bと対向電極74との間の電位差の印加が停止される。S19の後、掃除噴霧処理(S2)は終了する。
【0065】
図4の掃除噴霧処理(S2)において、図5のS10にて、第1ポンプ75Aおよび第2ポンプ76Aは停止し、第1バルブ75Bおよび第2バルブ76Bは閉鎖している。そのため、定着液Lが筐体73Aに供給されない状態である。この状態で、ノズル電極73Bと対向電極74との間に電圧が印加されると、ノズル73Cから定着液が噴霧され、ノズル73Cが空になる。これが噴霧ユニットの清掃である。ノズル73C内の定着液Lが減少すると、第1回路78において定電流制御ができなくなり、ノズル電極73Bに流れる電流が小さくなる。そのため、制御部10は、ノズル電極73Bに流れる電流が所定値を下回ったことを条件に、ノズル73C内に定着液Lはなくなったと判定することができる。つまり、制御部10は、掃除噴霧の完了を検知することができる。
【0066】
再び図4に戻り、制御部10による制御の流れの説明を続ける。
図4に示すように、掃除噴霧処理(S2)の後、制御部10は、掃除噴霧処理が完了したことを示す通知を表示部80に表示する(S3)。これにより、ユーザは掃除噴霧処理が完了したことを認知することができる。
【0067】
次に、制御部10は、図示していない通信部を介して印刷ジョブが受信されたか否かを判定する(S4)。印刷ジョブが受信されていない場合(S4でNO)、制御部10は、S4を繰り返して行う。印刷ジョブを受信した場合(S4でYES)、制御部10は、画像形成処理(S5)を行う。
【0068】
図6を用いて画像形成処理(S5)について説明する。まず制御部10は、用紙Pを画像形成部4に向けて搬送する(S20)。具体的には、制御部10は、給紙機構32を動作させ、給紙トレイ31内の用紙Pを画像形成部4に向けて給紙する。次に、制御部10は、第2電圧生成回路13を制御し、対向電極74に第2電圧を印加させる(S21)。続いて、制御部10は、第1電圧生成回路12を制御し、ノズル電極73Bに第1電圧を印加させる(S22)。第1電圧の印加及び第2電圧の印加により、ノズル73Cから定着液Lが噴霧される。
【0069】
S22の後に、制御部10は、第1送液部75および第2送液部76を制御し、第1ポンプ75Aおよび第2ポンプ76Aを駆動させ、第1バルブ75Bおよび第2バルブ76Bを解放させる(S23)。これにより、定着液Lは、供給ユニット72から噴霧ユニット71へ供給される。
【0070】
次に、制御部10は、電流検出回路14からノズル電極73Bの電流値を取得する(S24)。制御部10は、取得したノズル電極73Bの電流値から、ノズル電極73Bに流れる電流が一定となるように、PWM信号PS1のデューティ比を設定する(S25)。続いて、制御部10は、対向電極74の電圧が一定となるように、PWM信号PS2のデューティ比を設定する(S26)。制御部10は、S25及びS26で設定されたデューティ比により、PWM信号PS1を第1電圧生成回路12に出力すると共に、PWM信号PS2を第2電圧生成回路13に出力する。制御部10は、PWM信号PS1を用いて第1電圧生成回路12により生成される第1電圧を調整すると共に、PWM信号PS2を用いて第2電圧生成回路13により生成される第2電圧を調整する(S27)。
【0071】
次に、制御部10は、用紙Pを画像形成部4の転写位置へと搬送し、用紙Pに画像を形成する(S28)。すなわち、制御部10は、画像形成部4を制御することにより、印刷ジョブにより指定される画像データに基づき、転写位置まで搬送された用紙Pにトナー像を形成する。その後、制御部10は、用紙Pを定着装置7の定着位置へと搬送する。定着液Lは、噴霧ユニット71により、用紙Pの表面上に形成されたトナー像に向けて噴霧される。これにより、用紙Pの表面上に画像が形成される。続いて、制御部10は、画像形成が完了されたか否かを判定する(S29)。画像形成が完了していない場合(S29でNO)、制御部10は、S29を繰り返し、画像形成が完了した場合(S29でYES)、S30に進む。
【0072】
制御部10は、第1送液部75および第2送液部76を制御して、第1ポンプ75Aおよび第2ポンプ76Aを停止させると共に、第1バルブ75Bおよび第2バルブ76Bを閉鎖する(S30)。続いて、制御部10は、第1電圧生成回路12を制御して、ノズル電極73Bに印加される第1電圧の印加を停止すると共に、第2電圧生成回路13を制御して、対向電極74に印加される第2電圧の印加を停止する(S31)。S31の後、画像形成処理(S5)は終了する。
【0073】
図4に示すように、画像形成処理(S5)の後、制御部10は、画像形成装置1の電源がオフされたか否かを判定する(S6)。電源がオフされていない場合(S6でNO)、制御部10は、S4に戻る。電源がオフされた場合(S6でYES)、制御部10は、画像形成装置1の制御を終了する。
【0074】
〔変形例1〕
図7を用いて、実施形態1に係る定着装置7の掃除噴霧処理の変形例を説明する。図7は、実施形態1に係る定着装置7の掃除噴霧処理の変形例を示すフローチャートである。図7に示すように、S40~S42のそれぞれのステップは、図5に示すS10~S12のそれぞれのステップに該当するため、その説明を省略する。
【0075】
S42の後、制御部10は、第1電圧生成回路12に出力するPWM信号PS1のデューティ比を所定値に固定する(S43)。一例として、制御部10は、デューティ比を30%として固定する。続いて、制御部10は、電流検出回路14が検出したノズル電極73Bの電流値を、電流検出回路14から取得する(S44)。制御部10は、対向電極74の電圧が一定となるように、PWM信号PS2のデューティ比を設定する(S45)。制御部10は、S45で設定されたデューティ比によりPWM信号PS2を第2電圧生成回路13に出力し、第2電圧生成回路13により生成される第2電圧を調整する(S46)。
【0076】
次に、制御部10は、電流検出回路14からノズル電極73Bに流れた電流値を取得する(S47)。制御部10は、取得したノズル電極73Bの電流値が所定値よりも小さいか否かを判定する(S48)。一例として、電流の所定値は3μAである。取得したノズル電極73Bの電流値が所定値以上である場合(S48でNO)、S45に戻る。取得したノズル電極73Bの電流値が所定値よりも小さい場合(S48でYES)、制御部10は、第1電圧生成回路12を制御し、ノズル電極73Bに印加される第1電圧の印加を停止すると共に、第2電圧生成回路13を制御し、対向電極74に印加される第2電圧の印加を停止する(S49)。S49の後、掃除噴霧処理(S2)は終了する。
【0077】
制御部10は、電流検出回路14が検出した電流に応じて、PWM信号PS1のデューティ比を変更しない。つまり、制御部10は、第1電圧生成回路12に出力されるPWM信号PS1のデューティ比を一定にしている。そのため、ノズル73C内の定着液Lが減少すると、ノズル電極73Bに流れる電流が小さくなる。そのため、ノズル電極73Bに流れる電流が所定値を下回ったことを条件に、ノズル73C内に定着液Lはなくなったと判定することができる。また、電流検出回路14が検出した電流に応じて第1回路78に出力するPWM信号PS1のデューティ比を変更しなくても良いため、制御部10の処理の負担を軽減することができる。
【0078】
〔変形例2〕
上述した実施形態1および変形例1の定着装置7の掃除噴霧処理において、制御部10は、ノズル電極73Bに流れる電流が所定値を下回ったことを条件に、ノズル73C内に定着液Lはなくなったと判定したが、これに限られるものではない。ノズル電極73Bと対向電極74との間で電位差が印加された時から所定の時間が経過したことを条件に、ノズル電極73Bと対向電極74との間で電位差の印加を停止しても良い。
【0079】
具体的には、掃除噴霧処理において、制御部10は、第1ポンプ75Aおよび第2ポンプ76Aを停止させ、第1バルブ75Bおよび第2バルブ76Bを閉鎖する。供給ユニット72から噴霧ユニット71への定着液Lの供給を停止した状態で、制御部10は、ノズル電極73Bと対向電極74との間に電位差を印加する。
【0080】
次に、制御部10は、ノズル電極73Bと対向電極74との間に電位差を印加したときからの時間を計測する。計測された時間が所定の時間を超えたことを条件に、制御部10は、ノズル電極73Bと対向電極74との間の電位差の印加を停止する。一例として、所定の時間は1秒である。
【0081】
このように、所定の時間が経過したことを条件として、ノズル73C内の定着液Lは無くなったと判定し、ノズル電極73Bと対向電極74との間の電位差の印加を停止しても良い。
【0082】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、図8及び図9を用いて、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0083】
図8は、実施形態2に係る定着装置7Aを備える画像形成装置1Aの電気的構成を示すブロック図である。図9は、実施形態2に係る定着装置の掃除噴霧処理を示すフローチャートである。実施形態2の定着装置7Aを備える画像形成装置1Aは、実施形態1の画像形成装置1と比較して、制御部10が、掃除噴霧処理において、第1回路78Aを定電圧制御する点で異なる。
【0084】
図8に示すように、ノズル電極73Bに接続される第1回路78Aは、第1電圧検出回路16を更に有する。第1電圧検出回路16は、ノズル電極73Bと並列に接続される。第1電圧検出回路16は、ノズル電極73Bに印加される第1電圧を検出する。第1電圧検出回路16が検出した電圧値は、電気信号FBv1により制御部10に送信される。本実施形態では、第1回路78Aは、ノズル電極73Bに一定の第1電圧を印加する定電圧源である。
【0085】
第2回路79Aは、第2電圧検出回路17を更に有している。実施形態1と異なり、第2回路79Aは電流検出回路14を有していない。第2電圧検出回路17は、対向電極74と並列に接続される。第2電圧検出回路17は、対向電極74に印加される第2電圧を検出する。第2電圧検出回路17が検出した電圧値は、電気信号FBv2により制御部10に送信される。本実施形態では、第2電圧生成回路13は、対向電極74に一定の第2電圧を印加する定電圧源である。
【0086】
図9を用いて、実施形態2に係る定着装置の掃除噴霧処理を説明する。図9に示すS50~S52のそれぞれのステップは、図5に示すS10~S12のそれぞれのステップに該当するため、その説明を省略する。
【0087】
S52の後、制御部10は、第1電圧検出回路16から、ノズル電極73Bに印加された第1電圧値を取得すると共に、第2電圧検出回路17から対向電極74に印加された第2電圧値を取得する(S53)。制御部10は、S53にて取得した第1電圧値から、ノズル電極73Bに印加される電圧が一定となるようにPWM信号PS1のデューティ比を設定すると共に、S53にて取得した第2電圧値から、対向電極74に印加される電圧が一定となるように、PWM信号PS2のデューティ比を設定する(S54)。続いて、制御部10は、設定されたデューティ比により、PWM信号PS1を第1電圧生成回路12出力すると共に、PWM信号PS2を第2電圧生成回路13に出力する。制御部10は、PWM信号PS1を用いて、第1電圧生成回路12により生成される第1電圧を調整すると共に、PWM信号PS2を用いて、第2電圧生成回路13により生成される第2電圧を調整する(S55)。
【0088】
次に、制御部10は、第1電圧検出回路16から、S55にて第1電圧を調整した後の第1電圧値を取得すると共に、第2電圧検出回路17から、S55にて第2電圧を調整した後の第2電圧値を取得する(S56)。続いて、制御部10は、S56にて取得した第1電圧値から、ノズル電極73Bに印加される電圧が一定となるように、PWM信号PS1のデューティ比を設定すると共に、S56にて取得した第2電圧値から、対向電極74に印加される電圧が一定となるように、PWM信号PS2のデューティ比を設定する(S57)。
【0089】
制御部10は、S57にて設定された第1電圧生成回路12に出力するPWM信号PS1のデューティ比が、所定値よりも小さいか否かを判定する(S58)。一例として、デューティ比の所定値は20%である。設定されたデューティ比が所定値以上である場合(S58でNO)、S55に戻る。設定されたデューティ比が所定値よりも小さい場合(S58でYES)、制御部10は、第1電圧生成回路12および第2電圧生成回路13を制御し、ノズル電極73Bに印加される第1電圧および対向電極74に印加される第2電圧の印加を停止する(S59)。S59の後、掃除噴霧処理は終了する。
【0090】
実施形態2の構成では、ノズル73C内の定着液Lが減少すると、第1回路78Aは定電圧制御ができなくなり、制御部10から出力されるPWM信号PS1のデューティ比は小さくなる。そのため、第1回路78Aに出力されるPWM信号PS1のデューティ比が所定値を下回ったことを条件に、ノズル73C内に定着液Lはなくなったと判定することができる。
【0091】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について、図10を用いて、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0092】
図10は、画像形成装置の制御部による制御の流れを示すフローチャートである。実施形態3の画像形成装置は、実施形態1の画像形成装置1と比較して、掃除噴霧処理を画像形成処理の後に行う点で異なる。
【0093】
図10に示すS60、S61およびS62のそれぞれのステップは、図4に示すS1、S4およびS5に示すそれぞれのステップに該当するため、その説明を省略する。
【0094】
図10に示すように、S62の後、制御部10は、第2検知部82(検知部)が用紙Pの後端を検知したか否かを判定する(S63)。第2検知部82が用紙Pの後端を検知していない場合(S63でNO)、制御部10は、S63を繰り返して行い、第2検知部82が用紙Pの後端を検知した場合(S63でYES)、掃除噴霧処理(S64)に進む。続いて、制御部10は、掃除噴霧処理(S64)を行う。掃除噴霧処理(S64)の後、制御部10は、掃除噴霧処理が完了したことを示す通知を表示部80に表示する(S65)。その後、制御部10は、画像形成装置の電源がオフされたか否かを判定する(S66)。電源がオフされていない場合(S66でNO)、制御部10は、S61に戻る。電源がオフされた場合(S66でYES)、制御部10は、画像形成装置の制御を終了する。
【0095】
〔実施形態4〕
本発明の実施形態4について、図11および図12を用いて、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0096】
図11は、画像形成装置の制御部による制御の流れを示すフローチャートである。図12は、画像形成装置の画像形成処理を示すフローチャートである。実施形態4の画像形成装置は、実施形態3の画像形成装置1と比較して、連続印刷の画像形成毎に又は異常終了された後の掃除噴霧処理に行う点で異なる。
【0097】
図11に示すS70~S73およびS79のそれぞれのステップは、図4に示すS1~S4およびS6のそれぞれのステップに該当するため、その説明を省略する。図11に示すように、制御部10は、S73において、印刷ジョブを受信したと判定した場合(S4でYES)、画像形成処理(S74)を行う。
【0098】
図12を用いて、画像形成処理(S74)について説明する。図12に示すS80~S88及びS91~S92のそれぞれのステップは、図6に示すS20~S28及びS30~S31のステップにそれぞれ該当するため、その説明を省略する。
【0099】
図12に示すように、S88の後、制御部10は、画像形成が完了されたか否かを判定する(S89)。画像形成が完了した場合(S89でYES)、S91に進む。画像形成が完了していない場合(S89でNO)、制御部10は、画像形成が異常終了したか否かを判定する(S90)。画像形成の異常終了とは、例えば、用紙Pの紙詰まりなどである。画像形成が異常終了していない場合(S90でNO)、S89に戻る。画像形成が異常終了した場合(S90でYES)、S91に進む。画像形成処理(S74)は、S92の後に終了する。
【0100】
図11に示すように、画像形成処理(S74)が終了すると、制御部10は、印刷ジョブに次の頁があるか否か、又は画像形成が異常終了されたか否かを判定する(S75)。印刷ジョブに次の貢が無く、かつ画像形成が異常終了されていない場合(S75でNO)、S79に進む。印刷ジョブに次の貢がある、又は画像形成が異常終了されている場合(S75でYES)、制御部10は、掃除噴霧処理(S76)を行う。掃除噴霧処理(S76)が終了した後、制御部10は、画像形成処理(S74)の終了が異常終了されたものであるか否かを判定する(S77)。
【0101】
S90にて、画像形成が異常終了していない場合(S77でNO)、S74に戻る。S90にて、画像形成が異常終了した場合(S77でYES)、制御部10は、ユーザによって用紙Pの紙詰まりなどの異常終了の原因が解除されたか否かを判定する(S78)。異常終了の原因が解除されていない場合(S78でNO)、S78を繰り返して行う。異常終了の原因が解除された場合(S78でYES)、S74に戻る。
【0102】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、上述の各実施形態における所定の値としての電流値、電圧値、時間及びPWM信号のデューティ比は、一例であり、これに限られるものではない。扱う電流及び電圧、定着装置の大きさ等により、適宜変更することが可能である。
【0103】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
1、1A 画像形成装置
2 本体筐体
3 フィーダ部
4 画像形成部
5 スキャナユニット
6 プロセスカートリッジ
7、7A 定着装置
10 制御部
11 高電圧生成回路
12 第1電圧生成回路
13 第2電圧生成回路
14 電流検出回路
15 電源
16 第1電圧検出回路
17 第2電圧検出回路
21 排紙トレイ
31 給紙トレイ
32 給紙機構
32A 給紙ローラ
32B レジストローラ
61 感光ドラム
62 トナー収容部
63 供給ローラ
64 現像ローラ
65 帯電器
71 噴霧ユニット
72 供給ユニット
72A タンク
72B、77B 供給管
73 噴霧ヘッド
73A 筐体
73B ノズル電極
73C ノズル
74 対向電極
75 第1送液部
75A 第1ポンプ
75B 第1バルブ
76 第2送液部
76A 第2ポンプ
76B 第2バルブ
77A カートリッジ
78、78A 第1回路
79、79A 第2回路
80 表示部
81 第1検知部
82 第2検知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12