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特開2022-157650印刷装置及び印刷装置の洗浄アッセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157650
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】印刷装置及び印刷装置の洗浄アッセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20221006BHJP
   B41J 2/17 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B41J2/165 401
B41J2/165 301
B41J2/17 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061996
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】林 翔
(72)【発明者】
【氏名】川俣 範幸
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056FA10
2C056JB04
2C056JB15
2C056JC10
2C056JC25
2C056JC29
(57)【要約】
【課題】ノズル面を払拭するクリーニング部材の洗浄液が洗浄液槽の外部に漏れる可能性を低減する印刷装置及び印刷装置の洗浄アッセンブリを提供する。
【解決手段】印刷装置は、インクを吐出するノズルが形成されたノズル面を有するヘッドと、洗浄液を保持する洗浄液槽5Aと、洗浄液槽5Aの内部に設けられ、ノズル面を払拭するワイパーと、洗浄液槽5Aの外部から洗浄液槽の内部に延び、ワイパーを保持する保持部材65Aと、保持部材65Aを駆動する第1モータと、洗浄液槽5A、及び保持部材65Aの少なくとも一方に設けられ、洗浄液が洗浄液槽5Aから漏れることを防止する液漏れ防止部材とを備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するノズルが形成されたノズル面を有するインクジェットヘッドと、
洗浄液を保持する洗浄液槽と、
前記洗浄液槽の内部に設けられ、前記ノズル面を払拭するクリーニング部材と、
前記洗浄液槽の外部から前記洗浄液槽の内部に延び、前記クリーニング部材を保持する保持部材と、
前記保持部材を駆動する駆動装置と、
前記洗浄液槽、及び前記保持部材の少なくとも一方に設けられ、前記洗浄液が前記洗浄液槽から漏れることを防止する液漏れ防止部材と
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記液漏れ防止部材は、前記洗浄液槽内に設けられ、前記保持部材を支持する支持面を備えたこと
を特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記洗浄液槽は前記洗浄液を排出する排出口を備え、
前記支持面は前記排出口の下部より高い位置に設けられること
を特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記洗浄液槽は、
側面と、
底面と、
前記側面、又は前記底面より延びる支持面補強部材とを備え、
前記支持面は、前記支持面補強部材に接続すること
を特徴とする請求項2又は3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記洗浄液槽は前記洗浄液を排出する排出口を備え、
前記支持面補強部材は前記排出口の下部より低い位置に設けられること
を特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記支持面と前記洗浄液槽の側面との間において、前記支持面は、前記洗浄液槽の外部から前記洗浄液槽の内部に延びる前記保持部材の最も下側を支持すること
を特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項7】
前記保持部材は、前記クリーニング部材が前記洗浄液槽の前記洗浄液と接触しない時に、前記洗浄液槽の前記洗浄液に接触する案内部を備えたこと
を特徴とする請求項1から6の何れかに記載の印刷装置。
【請求項8】
前記案内部は、前記クリーニング部材と前記支持面との間において、前記クリーニング部材が前記洗浄液槽の前記洗浄液と接触しない状態で前記洗浄液槽の前記底面に向かって延びること
を特徴とする請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記保持部材の上方に設けられ、前記クリーニング部材による前記ノズル面の払拭により飛散した液体、及び前記インクジェットヘッドの吐出による前記インクのミストから前記駆動装置を遮蔽する遮蔽部材を備えたこと
を特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項10】
前記遮蔽部材は開口部を備え、前記開口部は、前記クリーニング部材の移動軌跡と干渉しない大きさであること
を特徴とする請求項9に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記遮蔽部材は、前記開口部を形成する開口縁部の少なくとも一部に、下方へ突出する凸部を備えること
を特徴とする請求項9または10に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記洗浄液槽は側面を備え、
前記凸部は、前記側面よりも前記洗浄液槽の内側に設けられること
を特徴とする請求項11に記載の印刷装置。
【請求項13】
前記凸部は、前記保持部材の上方以外の地点に最下点を有することを特徴とする請求項11又は12に記載の印刷装置。
【請求項14】
洗浄液を保持する洗浄液槽と、
前記洗浄液槽の内部に設けられ、インクジェットヘッドのノズル面を払拭するクリーニング部材と、
前記洗浄液槽の外部から前記洗浄液槽の内部に延び、前記クリーニング部材を保持する保持部材と、
前記保持部材を駆動する駆動装置と、
前記洗浄液槽、及び前記保持部材の少なくとも一方に設けられ、前記洗浄液が前記洗浄液槽から漏れることを防止する液漏れ防止部材と
を備えたことを特徴とする印刷装置の洗浄アッセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及び印刷装置の洗浄アッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のインクジェットプリンタは、インクヘッド、ワイパー、洗浄液槽及びワイパー移動機構を備える。ワイパー移動機構は、軸及び駆動装置を備える。ワイパーは、インクヘッドのノズル面に接触し、ノズル面を払拭する。軸はワイパーを把持し、駆動装置は軸を回転する。ワイパーは、軸の回転により、ノズル面を払拭するクリーニング位置と洗浄液槽に貯留された洗浄液に浸漬する洗浄位置とを移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-83342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記インクジェットプリンタにおいて、洗浄液槽の外部から内部に軸が挿入され、軸の回転、または移動によりワイパーが回転、または移動することで、ワイパーがクリーニング位置と洗浄位置とを移動することが考えられる。しかし、軸に洗浄液が接触すると、洗浄液が軸を介して洗浄液槽の外部に漏れる可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、ノズル面を払拭するクリーニング部材の洗浄液が洗浄液槽の外部に漏れる可能性を低減する印刷装置及び印刷装置の洗浄アッセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る印刷装置は、インクを吐出するノズルが形成されたノズル面を有するインクジェットヘッドと、洗浄液を保持する洗浄液槽と、前記洗浄液槽の内部に設けられ、前記ノズル面を払拭するクリーニング部材と、前記洗浄液槽の外部から前記洗浄液槽の内部に延び、前記クリーニング部材を保持する保持部材と、前記保持部材を駆動する駆動装置と、前記洗浄液槽、及び前記保持部材の少なくとも一方に設けられ、前記洗浄液が前記洗浄液槽から漏れることを防止する液漏れ防止部材とを備えたことを特徴とする。従って、印刷装置は、液漏れ防止部材により洗浄液が洗浄液槽から漏れる可能性を低減できる。
【0007】
前記液漏れ防止部材は、前記洗浄液槽内に設けられ、前記保持部材を支持する支持面を備えてもよい。保持部材に付着した洗浄液は、支持面を介して洗浄液槽に戻る。従って、保持部材に付着した洗浄液が洗浄液槽の外部に漏出する可能性を低減できる。
【0008】
前記洗浄液槽は前記洗浄液を排出する排出口を備え、前記支持面は前記排出口の下部より高い位置に設けられてもよい。排出口より洗浄液が排出されるので、洗浄液の液面の最大高さは排出口の下部の位置になる。支持面は排出口の下部より高い位置に設けられるので、支持面は洗浄液の液面より高い位置になる。従って、支持面に付着した洗浄液は支持面から下方に流れ洗浄液槽に戻り、洗浄液が洗浄液槽の外部に漏出する可能性を低減できる。
【0009】
前記洗浄液槽は、側面と、底面と、前記側面、又は前記底面より延びる支持面補強部材とを備え、前記支持面は、前記支持面補強部材と接続してもよい。支持面は接続する支持面補強部材により補強され、洗浄液は保持部材から支持面を介して支持部材を伝って洗浄液槽に戻ることができる。従って、洗浄液が洗浄液槽の外部に漏出する可能性を低減できる。
【0010】
前記支持面補強部材は前記排出口の下部より低い位置に設けられてもよい。洗浄液槽内の洗浄液の液面の最大高さは排出口の下部の位置になる。支持面補強部材は排出口の下部より低い位置に設けられるので、支持面の洗浄液が、洗浄液槽の洗浄液に戻ることを支持面補強部材は妨げない。従って、洗浄液が洗浄液槽の外部に漏出する可能性を低減できる。
【0011】
前記支持面と前記洗浄液槽の側面との間において、前記支持面は、前記洗浄液槽の外部から前記洗浄液槽の内部に延びる前記保持部材の最も下側を支持してもよい。すなわち、支持面と洗浄液槽の側面との間において、保持部材は、支持面よりも上側に位置する。従って、洗浄液が支持面から保持部材を介して洗浄液槽の外部に漏れる可能性を低減できる。
【0012】
前記保持部材は、前記クリーニング部材が前記洗浄液槽の前記洗浄液と接触しない時に、前記洗浄液槽の前記洗浄液に接触する案内部を備えてもよい。クリーニング部材が前記洗浄液と接触しない時に、案内部洗浄液の液面に接触するので、クリーニング部材及び保持部材に付着した洗浄液を含む液体を、案内部を介して洗浄液槽内に流すことができる。従って、洗浄液を含む液体が洗浄液槽から漏れる可能性を低減できる。
【0013】
前記案内部は、前記クリーニング部材と前記支持面との間において、前記クリーニング部材が前記洗浄液槽の前記洗浄液と接触しない状態で前記洗浄液槽の前記底面に向かって延びてもよい。案内部は洗浄液槽の底面に向かって延びるので、案内部を介して洗浄液を洗浄液槽内に戻しやすい。従って、洗浄液が洗浄液槽から漏れる可能性をさらに低減できる。
【0014】
前記保持部材の上方に設けられ、前記クリーニング部材による前記ノズル面の払拭により飛散した液体、及び前記インクジェットヘッドの吐出による前記インクのミストから前記駆動装置を遮蔽する遮蔽部材を備えてもよい。遮蔽部材によりクリーニング部材によるノズル面の払拭により飛散した液体、及びインクのミストから駆動装置を保護することができる。
【0015】
前記遮蔽部材は開口部を備え、前記開口部は、前記クリーニング部材の移動軌跡と干渉しない大きさであってもよい。開口部は、クリーニング部材の移動軌跡と干渉しないので、クリーニング部材によるノズル面の払拭により飛散した液体、及びインクのミストから駆動装置を保護しつつ、クリーニング部材がノズル面の払拭を行うことができる。
【0016】
前記遮蔽部材は、前記開口部を形成する開口縁部の少なくとも一部に、下方へ突出する凸部を備えてもよい。遮蔽部材に付着した液体は、凸部を介して下方に落下する。従って、洗浄液が遮蔽部材を伝って洗浄液槽から漏れる可能性を低減できる。
【0017】
前記凸部は、前記側面よりも前記洗浄液槽の内側に設けられてもよい。遮蔽部材に付着した液体は、凸部を介して側面よりも内側の洗浄液槽に落下する。従って、洗浄液が洗浄液槽から漏れる可能性を低減できる。
【0018】
前記凸部は、前記保持部材の上方以外の地点に最下点を有してもよい。遮蔽部材に付着した液体は、凸部の最下点を介して、保持部材以外に落下する。従って、凸部を伝う液体は保持部材上に落下する可能性が低減する。
【0019】
本発明の第2態様に係る印刷装置の洗浄アッセンブリは、洗浄液を保持する洗浄液槽と、前記洗浄液槽の内部に設けられ、インクジェットヘッドのノズル面を払拭するクリーニング部材と、前記洗浄液槽の外部から前記洗浄液槽の内部に延び、前記クリーニング部材を保持する保持部材と、前記保持部材を駆動する駆動装置と、前記洗浄液槽、及び前記保持部材の少なくとも一方に設けられ、前記洗浄液が前記洗浄液槽から漏れることを防止する液漏れ防止部材とを備えたことを特徴とする。従って、印刷装置の洗浄アッセンブリは、液漏れ防止部材により洗浄液が洗浄液槽から漏れる可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】印刷装置1の斜視図である。
図2】印刷装置1の内部構造を示す平面図である。
図3】洗浄アッセンブリ5の斜視図である。
図4】洗浄アッセンブリ5の内部構造を取り去った状態の斜視図である。
図5】洗浄アッセンブリ5の平面図である。
図6図5のA-A線における矢印方向から視た洗浄アッセンブリ5の断面図ある。
図7】センサ保持部591の斜視図である。
図8】遮蔽部材7が設けられた状態の洗浄アッセンブリ5の斜視図である。
図9図8のB-B線における矢印方向から視た断面図である。
図10】印刷装置1の電気的構成を示すブロック図である。
図11】キャリッジ30が基準位置にある場合における洗浄アッセンブリ5とキャリッジ30との位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態である印刷装置1を説明する。図1の上方、下方、左下方、右上方、右下方、及び左上方が、各々、印刷装置1の上方、下方、前方、後方、右方、及び左方である。本実施形態において図面に表される機械的要素は、実際のスケールを示す。
【0022】
<印刷装置1の概要>
印刷装置1は、Tシャツ等の布帛及び紙等の印刷媒体に、液体を吐出して印刷を行うインクジェットプリンタである。印刷装置1は、例えば、液体として互いに異なる5種のインク(ホワイト、ブラック、イエロー、シアン、及びマゼンタ)を下方へ向けて吐出することで、印刷媒体にカラー画像を印刷する。以下の説明では、5種のインクのうち、ホワイトのインクを白インクといい、ブラック、シアン、イエロー、及びマゼンタの4色のインクを区別しない場合、カラーインクと総称する。
【0023】
図1に示すように、印刷装置1は、筐体11、プラテン12、トレイ13、プラテン駆動機構14、操作部15、装着部16等を備える。筐体11は箱状であり、前面と後面との各々に開口部を有する。筐体11の右側前方の位置に操作部15が設けられる。操作部15は、ディスプレイ15A及び操作ボタン15Bを備える。ディスプレイ15Aは、各種情報を表示可能な液晶ディスプレイ(LCD)である。操作ボタン15Bは、ユーザが印刷装置1の各種動作に関する指示を入力する際に操作される。
【0024】
プラテン駆動機構14は、プラテンモータ831C(図10参照)の駆動によりプラテン12及びトレイ13を移動させる副走査駆動部83C(図10参照)を内蔵する。プラテン12は、平面視長方形状の板状である。プラテン12の上面に印刷媒体が載置される。印刷媒体を保護するトレイ13は平面視矩形状であり、プラテン12の下方に設けられる。筐体11の右側に装着部16が設けられる。装着部16にはカートリッジ16Aが接続される。カートリッジ16A内に収容された液体はヘッド3(図2参照)に供給される。
【0025】
図2に示すように、筐体11(図1参照)の内部に、枠体20、ガイドシャフト21A、21B、キャリッジ30、キャップ機構40、洗浄アッセンブリ501、502、503(以下、夫々を区別しない場合、洗浄アッセンブリ5と総称する)が設けられる。枠体20は格子状の構造体である。枠体20は、ガイドシャフト21A、21Bを上端で支持する。枠体20は、左右方向中央、且つ、上下方向においてガイドシャフト21A、21Bよりも下側で、プラテン駆動機構14を支持する。
【0026】
ガイドシャフト21A、21Bは、左右方向に延びる。ガイドシャフト21A、21Bは、前後方向に間隔を空けて、互いに平行に配置される。ガイドシャフト21A、21Bは、キャリッジ30を左右方向(以下、主走査方向ともいう)に移動可能に支持する。図2図3は、キャリッジ30が右端まで移動した状態を示す。キャリッジ30は、インクを吐出するヘッド31、32、33(図3参照。以下、夫々を区別しない場合、ヘッド3と総称する)を含む。ヘッド3は、圧電素子を有する、但し、ヘッド3が、インクを吐出する構成として圧電素子の変わりにヒータを有してもよい。ガイドシャフト21Bに沿って設けられた駆動ベルト210は、主走査駆動部83B(図10参照)の主走査モータ831B(図10参照)の駆動により、主走査方向に移動する。キャリッジ30は駆動ベルト210に連結し、駆動ベルト210により主走査方向に移動する。ガイドシャフト21A、21Bにより前後方向から挟まれる領域は、キャリッジ30の移動経路に対応する。
【0027】
プラテン駆動機構14は、ガイドレール14A、14Bを上面に有する。ガイドレール14A、14Bは、前後方向に延びる。ガイドレール14A、14Bは、左右方向に間隔を空けて、互いに平行に配置される。ガイドレール14A、14Bは、プラテン12及びトレイ13を前後方向(以下、副走査方向ともいう)に移動可能に支持する。左右方向においてガイドレール14A、14Bの間に位置する領域は、プラテン12の移動経路に対応する。
【0028】
ガイドレール14A、14Bに沿って移動するプラテン12の移動経路は、ガイドシャフト21A、21Bに沿って移動するキャリッジ30の移動経路の主走査方向における中央部の下方を、前後方向に横切る。以下、プラテン12の移動経路が上下方向においてキャリッジ30の移動経路と交わる領域を、印刷領域20Rという。
【0029】
上下方向においてキャリッジ30の移動経路よりも下側、且つ、主走査方向においてプラテン12の移動経路よりも左側に、キャップ機構40及び洗浄アッセンブリ5が設けられる。キャップ機構40及び洗浄アッセンブリ5は、主走査方向に並び、例えば、キャップ機構40は、洗浄アッセンブリ5に対して左側に配置される。
【0030】
キャップ機構40は、キャップ41、42、43(以下、夫々を区別しない場合、キャップ4と総称する)を有する。洗浄アッセンブリ5は、キャリッジ30のヘッド3を洗浄する為の洗浄液槽5A及びフラッシングボックス5B(図3~5参照)を有する。
【0031】
印刷装置1は、プラテン12が印刷媒体を副走査方向に搬送しながら、キャリッジ30を主走査方向に往復移動する。この時、印刷領域20Rにあるプラテン12に載置された印刷媒体にヘッド3からインクが吐出されることにより、印刷媒体への印刷が行われる。
【0032】
<キャリッジ30>
図2に示すように、キャリッジ30は、ヘッド3を支持する支持部30Aを有する。支持部30Aの前端は、ガイドシャフト21Aにより主走査方向に移動可能に支持される。支持部30Aの後端は、ガイドシャフト21Bにより主走査方向に移動可能に支持される。支持部30Aの後端に駆動ベルト210が接続される。
【0033】
ヘッド31は、構造が共通する第1ヘッド31A及び第2ヘッド31Bを有する。第1ヘッド31Aは、下面にノズル58Aを複数有するノズル面58C(図11参照)を有する。第2ヘッド31Bは、下面にノズル58Bを複数有するノズル面58D(図11参照)有する。ノズル58A、58Bは、水平方向に複数配列される。ノズル58Aから白インクが吐出される。ノズル58Bからカラーインクが吐出される。ノズル58A、58Bの夫々の上下方向の位置は一致する。第1ヘッド31A及び第2ヘッド31Bは、主走査方向に離隔して配列される。第1ヘッド31Aは、第2ヘッド31Bに対して右側に配置される。
【0034】
ヘッド32は、第1ヘッド32A及び第2ヘッド32Bを有する。第1ヘッド32Aは、第1ヘッド31Aの前方に位置する。第2ヘッド32Bは、第2ヘッド31Bの前方に位置する。
【0035】
ヘッド33は、第1ヘッド33A及び第2ヘッド33Bを有する。第1ヘッド33Aは、第1ヘッド32Aの前方に位置する。第2ヘッド33Bは、第2ヘッド32Bの前方に位置する。第1ヘッド31A~33Aと第2ヘッド31B~33Bの構造は共通する。第1ヘッド32Aに対する第2ヘッド32B、及び第1ヘッド33Aに対する第2ヘッド33Bの位置関係は、第1ヘッド31Aに対する第2ヘッド31Bの位置関係と共通する。以下、第1ヘッド31A、32A、33Aを区別しない場合、第1ヘッド3Aと総称する。第2ヘッド31B、32B、33Bを区別しない場合、第2ヘッド3Bと総称する。
【0036】
<キャップ機構40>
図2に示すように、キャップ機構40は、キャップ4を支持する支持部40Aを有する。支持部40Aは、キャップ駆動部83D(図10参照)により上下動可能である。キャップ41は、第1キャップ41A及び第2キャップ41Bを有する。キャップ42は、第1キャップ42A及び第2キャップ42Bを有する。キャップ43は、第1キャップ43A及び第2キャップ43Bを有する。
【0037】
キャリッジ30が移動経路の左端まで移動した状態で、第1ヘッド31Aの下方に第1キャップ41Aが位置する。第2ヘッド31Bの下方に第2キャップ41Bが位置する。第1ヘッド32Aの下方に第1キャップ42Aが位置する。第2ヘッド32Bの下方に第2キャップ42Bが位置する。第1ヘッド33Aの下方に第1キャップ43Aが位置する。第2ヘッド33Bの下方に第2キャップ43Bが位置する。以下、移動経路の左端まで移動したキャリッジ30の位置を、基準位置という。
【0038】
キャリッジ30が基準位置にある状態で支持部40Aが上方に移動することにより、各第1キャップ41A~43Aが、それぞれ第1ヘッド31A~33Aのノズル面58Cに密着してノズル58Aを覆う。各第2キャップ41B~43Bが、それぞれ第2ヘッド31B~33Bのノズル面58Dに密着してノズル58Bを覆う。キャップ4は、印刷装置1において印刷媒体への印刷が行われていない間、ヘッド3のノズル58A、58Bを覆うことによって、インクの乾燥を抑制する。
【0039】
<洗浄アッセンブリ5>
図2に示すように、洗浄アッセンブリ5は、主走査方向において、キャップ機構40とプラテン12との間に位置する。洗浄アッセンブリ5は、洗浄アッセンブリ501~503を有し、例えば、各洗浄アッセンブリ501~503はそれぞれキャップ41~43の右側に位置する。洗浄アッセンブリ501、502、503は前後方向に並ぶ。洗浄アッセンブリ501の前側に洗浄アッセンブリ502が位置する。洗浄アッセンブリ502の前側に洗浄アッセンブリ503が位置する。洗浄アッセンブリ501-503の構造は共通である。図2において、洗浄アッセンブリ501は、第1ワイパー601A、第2ワイパー601B、及びパンチングメタル59Aを有する。洗浄アッセンブリ502は、第1ワイパー602A、第2ワイパー602B、及びパンチングメタル59Bを有する。洗浄アッセンブリ503は、第1ワイパー603A、第2ワイパー603B、及びパンチングメタル59Cを有する。第1ワイパー601A~603A、第2ワイパー601B~603B、及び各パンチングメタル59A~59Cのそれぞれの上側は露出する。
【0040】
第1ワイパー601Aは、第1ヘッド31Aのノズル面58Cを払拭する。第2ワイパー601Bは、第2ヘッド31Bのノズル面58Dを払拭する。パンチングメタル59Aは、フラッシング時に第1ヘッド31A及び第2ヘッド31Bから吐出されるインクを下方に通す。第1ワイパー602Aは、第1ヘッド32Aのノズル面58Cを払拭する。第2ワイパー602Bは、第2ヘッド32Bのノズル面58Dを払拭する。パンチングメタル59Bは、フラッシング時に第1ヘッド32A及び第2ヘッド32Bから吐出されるインクを下方に通す。第1ワイパー603Aは、第1ヘッド33Aのノズル面58Cを払拭する。第2ワイパー603Bは、第2ヘッド33Bのノズル面58Dを払拭する。パンチングメタル59Cは、フラッシング時に第1ヘッド33A及び第2ヘッド33Bから吐出されるインクを下方に通す。
【0041】
以下、第1ワイパー601A、602A、603Aを区別しない場合、第1ワイパー60Aと総称する。第2ワイパー601B、602B、603Bを区別しない場合、第2ワイパー60Bと総称する。第1ワイパー60A及び第2ワイパー60Bを区別しない場合、ワイパー60と総称する。パンチングメタル59A、59B、59Cを区別しない場合、パンチングメタル59と総称する。
【0042】
図3図6に示すように、洗浄アッセンブリ5は、洗浄液槽5A、フラッシングボックス5B、第1ワイプ機構6A、第2ワイプ機構6Bを有する。以下、第1ワイプ機構6Aと第2ワイプ機構6Bを区別しない場合、ワイプ機構6と総称する。洗浄液槽5A及びフラッシングボックス5Bは、夫々、洗浄液を収容可能な容器である。洗浄液槽5Aは、洗浄液の収容空間512A,512Bを有する。図3図5において、図2に示すパンチングメタル59は省略されている。
【0043】
<洗浄液槽5A>
図4及び図5に示すように、洗浄液槽5Aは、第1周壁51L、51F、51S、52L、52F、52S、52R、第1側壁54R、第2側壁55R、第1底壁51B、52B、流入口520(図5参照)、排出口510(図5参照)を有する。第1周壁51L、51F、51S、第1側壁54R、及び第2側壁55Rは、第1底壁51Bから上方に延び、収容空間512Aを形成する。第1周壁52L、52F、52S、52Rは、第1底壁52Bより、上方に延び、収容空間512Bを形成する。
【0044】
第1周壁52Lは、洗浄液槽5Aの左端に設けられ、前後方向に延びる。第1周壁52Fは、第1周壁52Lの前端から右方に延びる。第1周壁52Rは、第1周壁52Fの右端から後方に延びる。第1周壁51Fは、第1周壁52Rの後端から右方に延びる。第1周壁51Fの右端は、後述するフラッシングボックス5Bの第2周壁53Lの後端に接続する。第1周壁52Sは、第1周壁52Lの後端から右方に延びる。第1周壁51Lは、第1周壁52Sの右端から後方に延びる。第1周壁51Sは、第1周壁51Lの後端から右方に延びる。第1周壁51Sの右端は、後述するフラッシングボックス5Bの第2周壁53Sの左端に接続する。第1周壁51L、51F、51S、52L、52F、52S、52Rの夫々の上端の高さは、同じである。
【0045】
図4に示すように、第1周壁51Fには、第1凹部513が設けられる。第1凹部513は、第1周壁51Fの上端から下方に向けて凹んだ凹部である。第1周壁51Sには、第1凹部514が設けられる。第1凹部514は、第1周壁51Sの上端から下方に向けて凹んだ凹部である。
【0046】
図4に示すように、第1凹部513の後ろ側には、第1底壁51Bから上方に向けて延びる支持部材581が設けられている。支持部材581は前後方向に所定の厚みを有する壁部であり、支持部材581の上面は、前後方向および左右方向に延びる支持面581Aとなっている。支持面581Aは、後述する回転軸643A(図5及び図6参照)を支持する。支持部材581は、所定厚み及び所定幅を有し、第1底壁51Bから上方に向けて支持面581Aまで延びる支持面補強部材581Bを前側及び後ろ側に各々備える。支持面581Aは、支持面補強部材581Bと接続する。
【0047】
第1凹部514の前側には、第1底壁51Bから上方に向けて延びる支持部材582が設けられている。支持部材582は前後方向に所定の厚みを有する壁部であり、支持部材582の上面は、前後方向および左右方向に延びる支持面582Aとなっている。支持面582Aは、後述する回転軸647Aを支持する。支持部材582は、所定厚み及び所定幅を有し、第1底壁51Bから上方に向けて支持面582Aまで延びる支持面補強部材582Bを前側及び後ろ側に各々備える。支持面582Aは、支持面補強部材582Bと接続する。支持面581A及び支持面582Aは、洗浄液槽5A内に設けられている。
【0048】
第1周壁52Fには、第2凹部523が設けられる。第2凹部523は、第1周壁52Fの上端から下方に向けて凹んだ凹部である。第1周壁52Sには、第2凹部524が設けられる。第2凹部524は、第1周壁52Sの上端から下方に向けて凹んだ凹部である。
【0049】
図4に示すように、第2凹部523の後ろ側には、第1底壁52Bから上方に向けて延びる支持部材583が設けられている。支持部材583は前後方向に所定の厚みを有する壁部であり、支持部材583の上面は、前後方向および左右方向に延びる支持面583Aとなっている。支持面583Aは、後述する回転軸643B(図5参照)を支持する。支持部材583は、所定厚み及び所定幅を有し、第1底壁52Bから上方に向けて支持面583Aまで延びる支持面補強部材583Bを前側及び後ろ側に各々備える。支持面583Aは、支持面補強部材583Bと接続する。
【0050】
第2凹部524の前側には、第1底壁51Bから上方に向けて延びる支持部材584が設けられている。支持部材584は前後方向に所定の厚みを有する壁部であり、支持部材584の上面は、前後方向および左右方向に延びる支持面584Aとなっている。支持面584Aは、後述する回転軸647B(図5参照)を支持する。支持部材584は、所定厚み及び所定幅を有し、第1底壁52Bから上方に向けて支持面584Aまで延びる支持面補強部材584Bを前側及び後ろ側に各々備える。支持面584Aは、支持面補強部材584Bと接続する。なお、支持面補強部材581B、582B、583B、584Bは、後述するように洗浄液槽5Aからフラッシングボックス5Bへ洗浄液を排出する排出口として機能する第1連通部分541、542の下部である第1底部541B、第1底部542Bより低い位置に設けられている。
【0051】
図4図5に示すように、第1底壁52Bは、第1周壁52L、52F、52S、52R、第2側壁55Rの下端に接続する。図5に示すように、第1底壁52Bの後端側に、流入口520が設けられる。流入口520には非図示の流入ホースが接続される。流入ホースから流入口520を介して収容空間512Bに洗浄液が流入し、収容空間512Bから後述する第2連通部分551を介して収容空間512Aに洗浄液が流入する。従って、洗浄液槽5Aに洗浄液が収容され保持される。
【0052】
図4図5に示すように、第1底壁51Bは、第1周壁51L、51F、51S、第1側壁54R、第2側壁55Rの下端に接続する。図5に示すように、第1底壁51Bの後端に、排出口510が設けられる。排出口510には、非図示の排出ホースが接続される。洗浄液槽5Aの収容空間512Aに収容された洗浄液は、排出口510を介して排出ホースに流れ、外部に排出される。
【0053】
図4及び図5に示すように、第1側壁54Rは、第1周壁51Fの右端と第1周壁51Sの右端とに接続する。第1側壁54Rは、洗浄液槽5Aと後述のフラッシングボックス5Bとの間に設けられ、洗浄液槽5Aとフラッシングボックス5Bとを仕切る。
【0054】
図3図5に示すように、第1側壁54Rは第1連通部分541,542を有する。第1連通部分541,542は、各々第1側壁54Rの上端から下方に切り欠かれた部分である。第1連通部分541の下端を第1底部541Bという。第1連通部分542の下端を第1底部542Bという。第1底部541Bは、第1底部542Bよりも下方に位置する。
【0055】
洗浄液槽5Aに流入口520から洗浄液が流入すると、洗浄液の液面L(図6参照)が第1底部541Bと同じ高さになる迄上昇する。洗浄液が更に流入すると、第1連通部分541を介してフラッシングボックス5Bに流れ込む。第1底部542Bは、第1凹部513よりも下方に位置する。洗浄アッセンブリ5の前方のほう後方よりも下方に位置する状態に傾いた場合、第1凹部513ではなく第1連通部分542からフラッシングボックス5Bへ洗浄液が流れる。従って、第1連通部分541、542は、洗浄液槽5Aからフラッシングボックス5Bへ洗浄液を排出する排出口として機能する。第1底部541Bの高さは、洗浄液槽5Aに流入した洗浄液の液面の最高位と一致する。以下、第1底部541Bの高さで水平に延びる仮想的な平面を、基準液面17という。
【0056】
図4図5に示すように、第2側壁55Rは、収容空間512A及び収容空間512Bの間に設けられる。第2側壁55Rは、第1底壁51Bの左端から上方に向けて延び、且つ、第1周壁52Sから前側に延びる。第2側壁55Rは、第2連通部分551を有する。第2連通部分551は、前後方向において第2側壁55Rと第1周壁52Rとの間に形成された部分である。
【0057】
<フラッシングボックス5B>
図4図5に示すように、フラッシングボックス5Bは、洗浄液槽5Aの右側に接続する。フラッシングボックス5Bは、フラッシングによりヘッド3から吐出されるインクを受ける。フラッシングボックス5Bは、第1側壁54Rの第1連通部分541、542を介して洗浄液槽5Aと連通する。フラッシングボックス5Bは、吐出されたインクを排出する廃液口530を有する。
【0058】
<ワイプ機構6>
図3及び図5に示すように、ワイプ機構6は、第1ワイプ機構6A及び第2ワイプ機構6Bから構成される。図5に示すように、第1ワイプ機構6Aは、第1ワイパー60A、第1ギヤ群612A、及び第1モータ611A(図10参照)を有する。第1ワイパー60Aは、保持部材65A、第1フォームワイパー62A、及び第1ゴムワイパー63Aを有する。第1フォームワイパー62A、及び第1ゴムワイパー63Aは、第1ヘッド3Aのノズル面58Cに接触してノズル面58Cを払拭する。第1モータ611Aは、第1ワイパー60Aの位置を、後述の第1接触位置(図3参照)と第1非接触位置(図11参照)の間で移動させる。
【0059】
第2ワイプ機構6Bは、第2ワイパー60B、第2ギヤ群612B、及び第2モータ611B(図10参照)を有する。第2ワイパー60Bは、保持部材65B、第2フォームワイパー62B、及び第2ゴムワイパー63Bを有する。第2フォームワイパー62B、及び第2ゴムワイパー63Bは、第2ヘッド3Bのノズル面58Dに接触してノズル面58Dを払拭する。第2モータ611Bは、第2ワイパー60Bの位置を、後述の第2接触位置(図3参照)と第2非接触位置(図11参照)との間で移動させる。第1ワイプ機構6A及び第2ワイプ機構6Bの構成は同一である。以下では、第1ワイプ機構6Aについて説明し、第2ワイプ機構6Bの説明は省略する。また、特に説明のない限り、第1ワイパー60Aが第1接触位置に配置された状態を前提として説明する。
【0060】
図5及び図6に示すように、第1ワイプ機構6Aの保持部材65Aは、洗浄液槽5Aの内部の収容空間512Aに設けられ、前後方向に延び、基部64A、回転軸641A、回転軸643A、回転軸642A及び回転軸647Aを有する。保持部材65Aは、第1フォームワイパー62A、第1ゴムワイパー63A、及び基部64Aを保持する。基部64Aは第1フォームワイパー62Aと第1ゴムワイパー63Aを位置ずれしないように固定する。基部64Aは、保持部材65に着脱可能に保持される。基部64Aが保持部材65に保持された状態で基部64Aの前端側から回転軸641Aが前方向に延びる。図6に示すように、回転軸641Aは、第1周壁51Fの第1凹部513内に後方から進入し、前方に突出する。回転軸641Aの基部64A側の一部は、回転軸641Aの他の部分よりも径が大きい回転軸643Aとなっている。回転軸643Aは、支持部材581の支持面581Aにより回転可能に支持される。基部64Aが保持部材65に保持された状態で基部64Aの後端側から後方に向けて、回転軸642Aが延びる。回転軸642Aは、第1周壁51Sの第1凹部514(図4参照)内に前方から進入し、後方に突出する。回転軸642Aの基部64A側の一部は、回転軸642Aの他の部分よりも径が大きい回転軸647Aとなっている。回転軸647Aは、支持部材582の支持面582Aにより回転可能に支持される。また、回転軸641Aの前端側の一部、回転軸642Aの後端側の一部は、夫々、洗浄液槽5Aの外部に位置する。即ち、保持部材65Aは、洗浄液槽5Aの外部から洗浄液槽5Aの内部に延びる。支持面581A及び支持面582Aは、第1連通部分541の第1底部541B、第1連通部分542の第1底部542Bよりも高い位置に設けられている。即ち、支持面581A及び支持面582Aは、排出口として機能する第1連通部分541、542の下部である第1底部541B、542Bよりも高い位置に設けられている。
【0061】
図6に示すように、回転軸641Aにおいて、回転軸643Aは、回転軸641Aの他の部分よりも径が大きい。従って、支持面581Aと洗浄液槽の第1周壁51Fの側面515との間において、支持面581Aは、洗浄液槽5Aの外部から洗浄液槽5Aの内部に延びる保持部材65Aとしての回転軸641Aおよび回転軸643Aの最も下側を支持する。すなわち、支持面581Aと洗浄液槽5Aの側面515との間において、保持部材65Aは、支持面581Aよりも上側に位置する。回転軸642Aにおいて、回転軸647Aは、回転軸642Aの他の部分よりも径が大きい。従って、支持面582Aと洗浄液槽の第1周壁51Sの側面516との間において、支持面582Aは、洗浄液槽5Aの外部から洗浄液槽5Aの内部に延びる保持部材65Aとしての回転軸642Aおよび回転軸647Aの最も下側を支持する。すなわち、支持面582Aと洗浄液槽5Aの側面516との間において、保持部材65Aは、支持面582Aよりも上側に位置する。洗浄液槽5Aの第1周壁52Fに側面525が設けられる第1周壁52Sに側面526が設けられる。保持部材65Bに対する支持面583A,および支持面584Aの関係は、保持部材65Aに対する支持面581A、および支持面582Aと同様である。また、図3に示すように、第1接触位置において、第1フォームワイパー62A、第1ゴムワイパー63A、第2フォームワイパー62B、及び第2ゴムワイパー63Bは、少なくとも一部が洗浄液槽5Aの内部に位置し、他部が洗浄液槽5Aの外に出ていても、第1フォームワイパー62A、第1ゴムワイパー63A、第2フォームワイパー62B、及び第2ゴムワイパー63Bは洗浄液槽5Aの内部に設けられていることになる。
【0062】
図5図6に示すように、回転軸641Aのうち第1周壁51Fよりも前方に突出する部分にギヤ645Aが連結する。ギヤ645Aは、後述する第1ギヤ群612Aに噛み合う。また、ギヤ645Aの後ろ側には、円盤部645Bが設けられている。円盤部645Bは、第1周壁51Fと離間している。従って、円盤部645Bに洗浄液槽5A内の洗浄液が付着する可能性が低減する。回転軸642Aのうち第1周壁51Sよりも後方に突出する部分に、回転子68(図5参照)が連結する。回転子68は、後述する第1センサ73の接触子73A(図3参照)に接触可能である。同様に回転子69(図5参照)は後述する第2センサ74の接触子74A(図3参照)に接触可能である。
【0063】
第1フォームワイパー62Aは前後方向に延びる板状である。第1フォームワイパー62Aは、例えば、発泡樹脂等の多孔質材料からなるワイパーであり、吸水性を有する。第1ゴムワイパー63Aは、第1フォームワイパー62Aに対して右方に配置される。第1ゴムワイパー63Aは、前後方向に延びる板状の支持部と、支持部から上方に向けて延びる。第1ゴムワイパー63Aの右面には上下方向に延びる溝が形成されている。第1ゴムワイパー63Aはゴム製である。第1フォームワイパー62Aの上下方向中央から下端までの部分、及び、第1ゴムワイパー63Aの支持部は、基部64Aにより固定される。第1フォームワイパー62A、及び第1ゴムワイパー63Aの上下方向略中央から上端までの部分は、基部64Aから上方に向けて突出する。
【0064】
図3図5に示すように、第1モータ611A(図10参照)は、洗浄液槽5Aの収容空間512Aの下方に設けられる。第1モータ611Aは、例えば、ステッピングモータである。第1ギヤ群612Aは、第1モータ611Aの動力を第1ワイパー60Aに伝達し、第1ワイパー60Aを回動させる。第1ワイパー60Aは、回動により、第1接触位置(図3参照)と第1非接触位置(図11参照)との間を移動する。第1ワイパー60Aが第1接触位置から第1非接触位置に向けて回動する時の回転方向は限定されないが、本実施形態においては、前方から視た状態で反時計回り方向である。第1ワイパー60Aが第1非接触位置から第1接触位置に向けて回動する時の回転方向は限定されないが、本実施形態においては、前方から視た状態で時計回り方向である。
【0065】
<接触位置>
図5に示すように、第1接触位置、および第2に接触位置において、第2フォームワイパー62Bと第2ゴムワイパー63B、第1フォームワイパー62A、第1ゴムワイパー63Aはこの順で左方から右方に向けて並ぶ。第1接触位置における第1フォームワイパー62Aと第1ゴムワイパー63A、第2接触位置における第2フォームワイパー62Bと、第2ゴムワイパー63Bの夫々の先端は上方を向き、洗浄液槽5Aの第1周壁51L、51F、51S、52L、52F、52S、52R(図3参照)の上端よりも上方に突出する。すなわち、第1接触位置は、第1フォームワイパー62Aと第1ゴムワイパー63Aとが、上方に突出し、第1ヘッド3Aのノズル面58Cに接触可能な位置である。第2接触位置は、第2フォームワイパー62Bと第2ゴムワイパー63Bとが、上方に突出し、第2ヘッド3Bのノズル面58Dに接触可能な位置である。第1接触位置、及び第2接触位置では、第1フォームワイパー62A、第1ゴムワイパー63A、第2フォームワイパー62B、第2ゴムワイパー63Bは、夫々、基準液面17よりも上側に位置する。従って、洗浄液槽5Aの収容空間512A、512Bに洗浄液が収容された場合、第1フォームワイパー62A、第1ゴムワイパー63A、第2フォームワイパー62B、第2ゴムワイパー63Bは、夫々、洗浄液に接触しない。以下、第1接触位置及び第2接触位置を区別しない場合、接触位置と総称する。
【0066】
<非接触位置>
第1非接触位置における第1フォームワイパー62Aと第1ゴムワイパー63A、第2非接触位置における第2フォームワイパー62Bと第2ゴムワイパー63Bの夫々の先端は下方を向く。第1フォームワイパー62A、第1ゴムワイパー63A、第2フォームワイパー62B、第2ゴムワイパー63Bは、夫々、洗浄液槽5Aの第1周壁51L、51F、51S、52L、52F、52S、52R(図3参照)の上端よりも下方に位置する。すなわち、第1非接触位置は、第1フォームワイパー62Aと第1ゴムワイパー63Aとが下方に向き、第1ヘッド3Aのノズル58Aに接触不可能な位置である。第2接触位置は、第2フォームワイパー62Bと第2ゴムワイパー63Bとが下方に向き、第2ヘッド3Bのノズル58Bに接触不可能な位置である。第1非接触位置、及び第2非接触位置では第1ワイパー60Aは洗浄液槽5Aの収容空間512Aに収容され、第2ワイパー60Bは洗浄液槽5Aの収容空間512Bに収容される。
【0067】
第1非接触位置における第1フォームワイパー62Aと第1ゴムワイパー63A、第2非接触位置における第2フォームワイパー62Bと第2ゴムワイパー63Bは、夫々、基準液面17よりも下側に位置する。従って、洗浄液槽5Aの収容空間512A、512Bに洗浄液が収容された場合、第1フォームワイパー62A、第1ゴムワイパー63A、第2フォームワイパー62B、第2ゴムワイパー63Bは、夫々洗浄液に接触する。以下、第1非接触位置及び第2非接触位置を区別しない場合、非接触位置と総称する。非接触位置では、各ワイパー62A、63A、62B、63Bは、各ヘッド3A、3Bのノズル58A,58Bに接触しなければよく、前後方向に向くなどして下方に向かなくてもよい。
【0068】
図6に示すように、洗浄液槽5Aの支持面581Aよりも後方に保持部材65Aは、案内部644Aを備え、洗浄液槽5Aの支持面582Aよりも前方に案内部648Aを備える。即ち、案内部644A、648Aは、それぞれ第1フォームワイパー62A、第1ゴムワイパー63Aと支持面581A、582Aと間に設けられる。第1フォームワイパー62A、第1ゴムワイパー63Aが洗浄液と接触しない時、即ち、第1接触位置にある状態の時に、案内部644A、648Aは、洗浄液槽5Aの第1底壁51Bの底面517に向かって延びる。案内部644Aは,例えば、支持面581Aよりも下方に位置し、案内部648Aは、支持面582Aよりも下方に位置する。図6に示すように、洗浄液槽5Aの液面Lが洗浄液の最大高さである。この時、案内部644A、648Aは、少なくとも一部が洗浄液槽5A内の洗浄液に接触する。第2ワイプ機構6Bも同様の構造であり、保持部材65B(図5参照)は、洗浄液槽5Aの支持面583A(図4参照)よりも後方及び洗浄液槽5Aの支持面584A(図4参照)よりも前方に、夫々洗浄液槽5Aの第1底壁52Bの底面527に向かって伸びる図示しない案内部を備える。なお、第1フォームワイパー62A、第1ゴムワイパー63Aが非接触状態にある状態の時に、洗浄液槽5A内の洗浄液に接触してもよい。
【0069】
<第1センサ73、第2センサ74>
図3に示すように、洗浄液槽5Aの第1周壁51Sの後面に第1センサ73が設けられ、第1周壁52Sの後面に第2センサ74が設けられる。第1センサ73及び第2センサ74は、夫々、上方に突出する接触子73A、74Aを備えた接触式の位置センサである。
【0070】
第1ワイパー60Aが第1接触位置にある状態で、第1センサ73の接触子73Aに対して回転子68が上方から接触する。回転子68は回転軸642Aの軸心から径方向の一部だけに突出して形成されるので、第1ワイパー60Aが第1接触位置から第1非接触位置に移動する場合、回転子68は、後方から視た状態で時計回り方向に回転し、第1センサ73の接触子73Aから離隔する。つまり、第1ワイパー60Aが第1接触位置にない状態で、第1センサ73の接触子73Aに対して回転子68は上方に離隔する。
【0071】
第2ワイパー60Bが第2接触位置にある状態で、第2センサ74の接触子74Aに対して回転子69が上方から接触する。回転子69は回転軸642Bの軸心から径方向の一部だけに突出して形成されるので、第2ワイパー60Bが第2接触位置から第2非接触位置に移動する場合、回転子69は、後方から視た状態で時計回り方向に回転し、第2センサ74の接触子74Aから離隔する。つまり、第2ワイパー60Bが第2接触位置にない状態で、第2センサ74の接触子74Aに対して回転子69は左方に離隔する。
【0072】
<センサ保持部>
図4に示すように、第1周壁51Sの後面には、第1センサ73を保持するセンサ保持部591が設けられる。センサ保持部591は、第1周壁51Sから後方へ突出し、第1センサ73を保持するする一対のリブ591Aと、一対のリブ591Aの間に設けられたリブ591Bを備える。センサ保持部591のリブ591Aは、第1凹部514のよりも下方に設けられる。例えば、リブ591Aは、第1凹部514よりも下方に5mm離間している。リブ591Bは、例えば、第1センサ73を第1周壁51Sから1mm後方へ離した位置に配置させる。従って、第1センサ73が、第1凹部514より離れるため、第1凹部514に付着した洗浄液が第1センサ73に流れる可能性を低減できる。また、第2センサ74を保持するセンサ保持部592もセンサ保持部591と同様の構成を有する。
【0073】
図7に示すように、洗浄液槽5A内において、第1凹部514から第1底壁51Bに向けて、リブ593が設けられる。第1凹部514の下端部に付着した洗浄液が、リブ593を伝わって、洗浄液槽5Aに流れ易くなる。第2凹部524においても同様にリブ(図示略)を設けてもよい。
【0074】
<遮蔽部材7>
図8に示すように、洗浄アッセンブリ5の上面には、遮蔽部材7が設けられている。遮蔽部材7は、前後左右方向に延びる板状の部材であり、洗浄液槽5A及びフラッシングボックス5Bの上部を塞ぐ。従って、遮蔽部材7は、保持部材65Aの上方に設けられ、ワイパー62A,62B,63A,63Bによる前記ノズル面58C,58Dの払拭により飛散した液体、及びヘッド3の吐出によるインクのミストから第1モータ611A,第2モータ611Bを遮蔽する。また、遮蔽部材7は開口部71A、71Bを有する。開口部71Aは、第1ワイプ機構6Aの上部に設けられ、第1ワイパー60Aが接触位置と非接触位置との間で回転移動する場合の移動軌跡と干渉しない大きさで、前後方向に長い矩形に開口している。干渉しない大きさとは、第1ワイパー60Aが接触位置と非接触位置との間で回転移動しても、開口部71Aの縁に第1ワイパー60Aが当たらない大きさである。開口部71Bは、第2ワイパー60Bの上部に設けられ、第2ワイパー60Bが接触位置と非接触位置との間で回転移動する場合の移動軌跡と干渉しない大きさで開口している。
【0075】
図3,4に示すように、印刷装置1は、保持部材65A、65B(図5参照)の軸部の下方に漏れた洗浄液を吸収する吸収部材23、24を第1周壁51S、52S、51F、52F、に夫々備えている。従って、各凹部514、524、513、523の下方に漏れた洗浄液を吸収部材23、24が吸収して回収することができる。また、吸収部材23、24に漏れた洗浄液を案内する案内部を備えてもよい。この場合、吸収部材23、24から染み出した洗浄液を図示外の貯留部に案内部が案内する。従って、吸収部材23、24から染み出した洗浄液による汚れを低減できる。
【0076】
図9に示すように、遮蔽部材7は、開口部71Aを形成する開口縁部711の少なくとも一部に、下方へ凸出する凸部712,713を備える。凸部712,713は、洗浄液槽5Aの第1周壁51F及び51Sよりも洗浄液槽5Aの内側に設けられる。凸部712,713は、保持部材65Aの上方以外の地点に、最下点712A,713Aを夫々有する。従って、遮蔽部材7に付着した液体は、凸部712,713を介して下方に落下する。また、遮蔽部材7に付着した液体は、保持部材65A上に落下する可能性が低減する。
【0077】
<電気的構成>
図10を参照して、印刷装置1の電気的構成を説明する。印刷装置1は、印刷装置1を制御するCPU80を備える。CPU80には、ROM81、RAM82、ヘッド駆動部83A、主走査駆動部83B、副走査駆動部83C、キャップ駆動部83D、ASIC84、表示制御部151、操作処理部152、供給機構76A、排出機構76B、第1モータ611A、第2モータ611B、第1センサ73、及び第2センサ74が、バス80Aを介して電気的に接続されている。
【0078】
ROM81には、CPU80が印刷装置1の動作を制御するための制御プログラム及び初期値等が記憶されている。RAM82には、制御プログラムで用いられる各種データ、フラグ等が一時的に記憶される。ASIC84は、ヘッド駆動部83A、主走査駆動部83B、副走査駆動部83C、キャップ駆動部83Dを制御する。ヘッド駆動部83Aはインクを吐出するヘッド3(第1ヘッド3A及び第2ヘッド3B)に設けられた圧電素子を駆動し、ノズルからインクを吐出させる。主走査駆動部83Bは、主走査モータ831Bを少なくとも含み、主走査モータ831Bの駆動によりキャリッジ30を主走査方向に移動させる。副走査駆動部83Cは、プラテンモータ831Cを少なくとも含み、プラテンモータ831Cの駆動によりプラテン12及びトレイ13(図1参照)を副走査方向に移動させる。キャップ駆動部83Dは、キャップモータ831Dを少なくとも含み、キャップモータ831Dの駆動によりキャップ機構40を上下方向に移動させる。主走査モータ831B、プラテンモータ831C、キャップモータ831Dは、ステッピングモータである。
【0079】
表示制御部151は、CPU80の制御により操作部15のディスプレイ15Aを駆動し、画像を表示させる。操作処理部152は、操作部15の操作ボタン15Bに対する操作を検出する。供給機構76Aのポンプ78は、流入口520との間の流入ホースを介して洗浄液槽5Aに洗浄液を供給する。ポンプ78は、例えば、チューブポンプが用いられる。ソレノイド77は、流入ホースに設けられた弁を開閉する。排出機構76Bのソレノイド79は、排出口510に接続する排出ホースに設けられた弁を開閉する。第1モータ611Aは、駆動により保持部材65Aを駆動し、第1ワイパー60Aを第1接触位置と第1非接触位置との間で移動させる。第2モータ611Bは、駆動により保持部材65Bを駆動し、第2ワイパー60Bを第2接触位置と第2非接触位置との間で移動させる。第1センサ73は、接触子73Aに回転子68が接触した状態でON信号を出力し、接触子73Aに回転子68が接触しない状態でOFF信号を出力する。第2センサ74は、接触子74Aに回転子69が接触した状態でON信号を出力し、接触子74Aに回転子69が接触しない状態でOFF信号を出力する。
【0080】
<周期処理>
印刷装置1のCPU80により実行される周期処理を説明する。CPU80は、所定周期(例えば24時間)でROM81に記憶した制御プログラムを読み出して実行することにより、周期処理を定期的に実行する。なお、周期処理の開始時、洗浄液槽5Aには洗浄液が保持され、供給機構76Aのソレノイド77は、流入口520に接続した流入ホースの弁を閉塞し、ポンプ78は駆動を停止し、排出機構76Bのソレノイド79は、排出口510に接続した排出ホースの弁を閉塞している。CPU80は、第1モータ611A、及び第2モータ611Bを駆動して、第1ワイパー60A及び第2ワイパー60Bを接触位置と、非接触位置の間で、規定回数回動させることにより、第1ワイパー60A及び第2ワイパー60Bを洗浄液によって洗浄する。
【0081】
<本実施形態の作用、効果>
上記実施の形態の印刷装置1は、洗浄アッセンブリ5を備える。洗浄アッセンブリ5では、ノズル58A,58Bが各々形成されたノズル面58C,58Dを夫々払拭する第1フォームワイパー62A、及び第1ゴムワイパー63A、第2フォームワイパー62B、及び第2ゴムワイパー63Bが洗浄液槽5Aの内部に設けられる。洗浄液槽5Aの外部から洗浄液槽5Aの内部に保持部材65Aが延び、第1フォームワイパー62A、及び第1ゴムワイパー63Aを保持する。また、洗浄液槽5Aの外部から洗浄液槽5Aの内部に保持部材65Bが延び、第2フォームワイパー62B、及び第2ゴムワイパー63Bを保持する。第1モータ611Aが保持部材65Aを駆動し、第2モータ611Bが保持部材65Bを駆動する。洗浄液槽5Aの内部に設けられた支持面581A,582Aは保持部材65Aを支持し、支持面583A,584Aは保持部材65Bを支持する。従って、保持部材65Aに付着した洗浄液は、支持面583A,584Aを介して洗浄液槽5Aに戻る。また、保持部材65Bに付着した洗浄液は、支持面581A,582Aを介して洗浄液槽5Aに戻る。従って、保持部材65A、65Bに付着した洗浄液が洗浄液槽5Aの外部に漏出する可能性を低減できる。
【0082】
支持面581A及び支持面582Aは、洗浄液槽5Aからフラッシングボックス5Bへ洗浄液を排出する排出口として機能する第1連通部分541の第1底部541B、第1連通部分542の第1底部542Bよりも高い位置に設けられている。第1連通部分541,542より洗浄液が洗浄液槽5Aからフラッシングボックス5Bへ排出されるので、洗浄液槽5Aの洗浄液の液面の最大高さは第1底部541B、第1底部542Bの位置になる。従って、支持面581A及び支持面582Aは洗浄液の液面Lより高い位置になる。よって、支持面581A、582Aに付着した洗浄液は、支持面581A、582Aから下方に流れ洗浄液槽5Aに戻り、洗浄液が洗浄液槽5Aの外部に漏出する可能性を低減できる。支持面583A,584Aに付着した洗浄液も同様である。
【0083】
洗浄液槽5Aは、側面515,516、525,526、底面517、527を備え、支持面補強部材581B、582Bは、底面517から延び、支持面補強部材583B、584Bは、底面527から延びる。支持面581A~584Aは、夫々、支持面補強部材581B~584Bと接続する。従って、支持面581A~584Aは接続する支持面補強部材581B~584Bにより補強され、洗浄液は保持部材65A、65Bから支持面581A~584Aを介して支持部材581~584を伝って洗浄液槽5Aに戻ることができる。従って、洗浄液が洗浄液槽5Aの外部に漏出する可能性を低減できる。
【0084】
図4に示すように、支持面補強部材581B~584Bは、第1連通部分541、542の第1底部541B、第1底部542Bより低い位置に設けられている。従って、洗浄液槽53Aの内部の洗浄液の液面Lの最大高さは洗浄液槽5Aからフラッシングボックス5Bへの洗浄液の排出口として機能する第1連通部分541、542の第1底部541B、第1底部542Bの位置になる。支持面補強部材581B~584Bは洗浄液槽5Aの排出口の下部より低い位置に設けられるので、支持面581A~584Aの洗浄液が、洗浄液槽5Aの洗浄液に戻ることを支持面補強部材581B~584Bは妨げない。従って、洗浄液が洗浄液槽5Aの外部に漏出する可能性を低減できる。
【0085】
図6に示すように、支持面581Aと洗浄液槽5Aの側面515との間において、支持面581Aは、洗浄液槽5Aの外部から洗浄液槽5Aの内部に延びる保持部材65Aの最も下側を支持してもよい。すなわち、支持面581Aと洗浄液槽5Aの側面515との間において、保持部材65Aは、支持面581Aよりも上側に位置する。従って、洗浄液が支持面581Aから保持部材65Aを介して洗浄液槽5Aの外部に漏れる可能性を低減できる。支持面582A~584Aと洗浄液槽5Aの側面516、525,526との各間においても同様である。
【0086】
図6に示すように、第1フォームワイパー62A、第1ゴムワイパー63Aが洗浄液と接触しない時、即ち、第1接触位置にある状態の時に、案内部644A、648Aは、洗浄液槽5A内の洗浄液の液面Lに接触する。第1フォームワイパー62A、第1ゴムワイパー63及び保持部材65Aに付着した洗浄液を含む液体を案内部644A、648Aにより洗浄液槽5A内に戻すことができる。従って、洗浄液が洗浄液槽5Aから漏れる可能性を低減できる。
【0087】
案内部644A、648Aは、夫々、第1フォームワイパー62A、第1ゴムワイパー63Aと支持面581A、582Aとの間において、第1フォームワイパー62A、第1ゴムワイパー63Aが洗浄液槽5Aの洗浄液と接触しない状態で洗浄液槽5Aの底面517に向かって延びてもよい。案内部644A、648Aは、洗浄液槽5Aの底面517に向かって延びるので、案内部644A、648Aを介して洗浄液を洗浄液槽5A内に戻しやすい。従って、洗浄液が洗浄液槽5Aから漏れる可能性を低減できる。
【0088】
遮蔽部材7は、保持部材65Aの上方に設けられているので、ワイパー62A,62B,63A,63Bによる前記ノズル面58C,58Dの払拭により飛散した液体、及びヘッド3の吐出によるインクのミストから第1モータ611A,第2モータ611Bを遮蔽して保護することができる。
【0089】
遮蔽部材7の開口部71Aは、第1ワイプ機構6Aの上部に設けられ、第1ワイプ機構6Aが接触位置と非接触位置との間で回転移動する場合の移動軌跡と干渉しない大きさで、開口している。また、開口部71Bは、第2ワイプ機構6Bの上部に設けられ、第2ワイプ機構6Bが接触位置と非接触位置との間で回転移動する場合の移動軌跡と干渉しない大きさで開口している。従って、開口部71Aは、第1ワイプ機構6Aの移動軌跡と干渉しないので、開口部71Aを介して、第1ワイプ機構6Aがノズル面58Cの払拭を行うことができる。開口部71Bも同様である。
【0090】
図9に示すように、遮蔽部材7は、開口部71Aを形成する開口縁部711の少なくとも一部に、下方へ突出する凸部712,713を備える。遮蔽部材7に付着した液体は、凸部を介して下方に落下する。従って、洗浄液が遮蔽部材7を伝わって洗浄液槽5Aから漏れる可能性を低減できる。
【0091】
凸部712,713は、洗浄液槽5Aの側面515,516よりも洗浄液槽5Aの内側に設けられる。従って、遮蔽部材7に付着した液体は、凸部712,713を介して側面515,516よりも内側の洗浄液槽5Aに落下する。従って、洗浄液が洗浄液槽5Aから漏れる可能性を低減できる。
【0092】
また、凸部712,713は、保持部材65Aの上方以外の地点に、最下点712A,713Aを夫々有する。従って、遮蔽部材7に付着した液体は、凸部712,713の最下点712A,713Aを介して、保持部材65A以外の地点に落下する。従って、凸部712,713を伝う液体は保持部材上に落下する可能性が低減する。
【0093】
<変形例>
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。印刷装置1は、固定されたキャリッジ30に対して洗浄アッセンブリ5を主走査方向に移動させることにより、キャリッジ30に対して洗浄アッセンブリ5を主走査方向に相対移動させてもよい。
【0094】
支持面補強部材581B~584Bは、第1底壁51B、52Bから延びるものに限られない、第1周壁51F、51S、52F、52S等から延びてもよい。
【0095】
印刷装置1は、ワイパー60を上下方向に直線移動することによって、接触位置と非接触位置とに切り替えてもよい。この場合、ワイパー60を移動させる動力部として、カム機構、ラックアンドピニオン、エアシリンダ等が用いられてもよい。ワイプ機構6は、印刷装置1の枠体20に直接設けられてもよい。この場合、ワイプ機構6のワイパー60は、洗浄液により洗浄されなくてもよい。
【0096】
ワイパー60は、フォームワイパー及びゴムワイパーの一方のみ有し、他方を有さなくてもよい。第1ワイパー60A及び第2ワイパー60Bの夫々において、フォームワイパー及びゴムワイパーは、夫々主走査方向に複数配列されてもよい。フォームワイパーの代わりに、吸水性を有する他の材料により形成されたワイパーが用いられてもよい。ゴムワイパーの代わりに、弾力性を有する他の材料により形成されたワイパーが用いられてもよい。ゴムワイパーは、主走査方向において、フォームワイパーとキャップ機構40との間に設けられてもよい。即ち、ゴムワイパー及びフォームワイパーの主走査方向の位置が入れ替わってもよい。また、クリーニング部材は、ワイパー60に限られずノズル面58C,58Dを拭く布等でもよい。洗浄液槽5Aはフラッシングボックス5Bと別個に設けられてもよい。
【0097】
液漏れ防止部材としての支持面は、各保持部材65A、65Bに対して、前後1対設けられているが、夫々、前後に複数設けてもよい。洗浄液槽5Aの排出口としての第1連通部分541,542が設けられているが、2つに限られず、1でも、3つ以上でもよい。また、支持面補強部材581B~584Bは、各支持部材581~584の前後に一対ずつ設けられているが、前後何れか一方にだけ設けられてもよい。また、案内部644A,648Aは、保持部材65Aに一対設けられているが、一対に限られず、案内部644A,648Aの間に更に追加して設けてもよい。
【0098】
<その他>
第1ヘッド3A、第2ヘッド3Bが本発明の「ヘッド」の一例である。第1ワイパー60A、第2ワイパー60Bが本発明の「クリーニング部材」の一例である。支持面581A~584A、案内部644A,648A、が本発明の「液漏れ防止部材」の一例である。第1連通部分541、542が本発明の「排出口」の一例である。第1底部541B、542Bが本発明の「排出口の下部」の一例である。第1モータ611A、第2モータ611Bが本発明の「駆動装置」の一例である。側面515,516,525,526が本発明の「側面」の一例である。底面517,527が本発明の「底面」の一例である。
【符号の説明】
【0099】
1 印刷装置
3A 第1ヘッド
3B 第2ヘッド
5 洗浄アッセンブリ
5A 洗浄液槽
5B フラッシングボックス
6A 第1ワイプ機構
6B 第2ワイプ機構
7 遮蔽部材
60A 第1ワイパー
60B 第2ワイパー
62A 第1フォームワイパー
62B 第2フォームワイパー
63A 第1ゴムワイパー
63B 第2ゴムワイパー
65A、65B 保持部材
71A,71B 開口部
541、542 第1連通部分
541B、542B 第1底部、第1底部
581A~584A 支持面
581B~584B 支持面補強部材
611A 第1モータ
611B 第2モータ
711 開口縁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11