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特開2022-157716運転支援装置、運転支援プログラム、運転支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157716
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】運転支援装置、運転支援プログラム、運転支援方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/14 20200101AFI20221006BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20221006BHJP
   B60W 40/068 20120101ALI20221006BHJP
【FI】
B60W50/14
G08B21/00 U
B60W40/068
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062102
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角谷 健太
(72)【発明者】
【氏名】小林 佳亮
(72)【発明者】
【氏名】松澤 俊明
(72)【発明者】
【氏名】柿沼 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】後藤 有也
(72)【発明者】
【氏名】平嶋 一督
(72)【発明者】
【氏名】日下 公義
【テーマコード(参考)】
3D241
5C086
【Fターム(参考)】
3D241BA57
3D241BA60
3D241DB26A
5C086AA36
5C086BA22
5C086CA21
5C086CA22
5C086CA30
5C086DA40
5C086FA02
5C086FA17
5C086FA18
(57)【要約】
【課題】本開示はドライバー等に対して車両の挙動をわかりやすく伝える運転支援装置を提供する。
【解決手段】本開示に係る運転支援装置は、車両の横方向加速度と前後方向加速度とを含む車両加速度を検出する車両加速度検出部と、車両加速度検出部の検出結果に基づき、各車輪について、摩擦円、並びに、各車輪について発生する横力、及び、各車輪について発生する前後力、を算出する算出部と、算出部の算出結果に基づき、摩擦円、並びに、各車輪について発生する横力と前後力との合力について、合力の大きさ、又は/及び、合力の方向、に基づく画像を表示する表示部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の状態に係る情報を取得する車両情報取得部と、
前記車両情報取得部の取得結果に基づき、各車輪について、
摩擦円を算出する算出部と、
前記各車輪における前記摩擦円に基づく画像を表示する表示部と、
を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記摩擦円の大きさを変更する摩擦円変更部を備えることを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記車両情報取得部は、横方向加速度と前後方向加速度とを含む車両加速度を検出する車両加速度検出部であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記算出部は前記車両加速度に基づき、前記各車輪について、前記各車輪のタイヤに発生する横力と、前記各車輪の前記タイヤに発生する前後力との合力について、前記合力の大きさであるタイヤ力、及び、前記合力の方向であるタイヤ摩擦方向を算出し、
前記表示部は、前記算出部が算出した前記タイヤ力及び前記タイヤ摩擦方向を画像として表示することを特徴とする請求項3に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記算出部は、前記各車輪について、前記タイヤ力及び前記タイヤ摩擦方向を、第1タイミングと、前記第1タイミングより後の時刻である第2タイミングにおいてそれぞれ算出し、
前記表示部は、
前記第1タイミングで算出される第1タイヤ力及び第1タイヤ摩擦方向を示す第1画像、
並びに、
前記第2タイミングで算出される第2タイヤ力及び第2タイヤ摩擦方向を示す第2画像、
を略同時に表示することを特徴とする請求項4に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記表示部は、
前記第2画像を表示する場合、前記第1画像と異なる色彩として表示することを特徴とする請求項5に記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記表示部は、前記第2画像を表示する場合、前記第1画像を表示してから所定の時間経過したときに前記第1画像を表示しなくなることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記タイヤ力と、前記摩擦円の大きさを比較する比較演算部を備えることを特徴とする請求項4から請求項7のうちのいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項9】
前記比較演算部の比較結果に基づき、前記表示部は、前記タイヤ力が、前記摩擦円の大きさを超えない範囲である予め定められた第1状態である場合、前記第1状態であることを使用者に報知することを特徴とする請求項8に記載の運転支援装置。
【請求項10】
前記比較演算部の比較結果に基づき、前記表示部は、前記タイヤ力が、前記摩擦円の大きさを超えた第2状態である場合、前記第2状態であることを使用者に報知することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の運転支援装置。
【請求項11】
前記表示部に表示される前記摩擦円の大きさと、前記タイヤ力及び前記タイヤ摩擦方向を示す前記画像とを、使用者が拡大縮小させる表示設定変更モードを有することを特徴とする請求項4から請求項10のうちのいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項12】
前記算出部は、前記各車輪について掛かっている荷重の大きさを算出し、
前記表示部は、前記荷重の大きさを前記各車輪のそれぞれについて表示することを特徴とする請求項3から請求項11のうちのいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項13】
前記車両におけるステアリングの舵角を検出する舵角検出部を備え、
前記算出部は、前記車両加速度と前記舵角に基づいて前記車両のステアリング特性を算出し、
前記表示部は、前記ステアリング特性を表示することを特徴とする請求項3から請求項12のうちのいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項14】
車両の挙動を把握するためにコンピュータを、
車両の横方向加速度と前後方向加速度とを含む車両加速度を検出する車両加速度検出手段と、
前記車両加速度検出手段の検出結果に基づき、各車輪について、
摩擦円、
並びに、
前記各車輪のタイヤに発生する横力と、前記各車輪の前記タイヤに発生する前後力との合力について、前記合力の大きさであるタイヤ力、及び、前記合力の方向であるタイヤ摩擦方向
を算出する算出手段と、
前記算出手段の算出結果に基づき、前記各車輪について、
前記摩擦円、
並びに、
前記タイヤ力及び前記タイヤ摩擦方向、
に基づく画像を表示する表示手段、
として機能させるための運転支援プログラム。
【請求項15】
車両の横方向加速度と前後方向加速度とを含む車両加速度を検出する車両加速度検出ステップと、
前記車両加速度検出ステップの検出結果に基づき、各車輪について、
摩擦円、
並びに、
前記各車輪のタイヤに発生する横力と、前記各車輪の前記タイヤに発生する前後力との合力について、前記合力の大きさであるタイヤ力、及び、前記合力の方向であるタイヤ摩擦方向
を算出する算出ステップと、
前記算出ステップの算出結果に基づき、前記各車輪について、
前記摩擦円、
並びに、
前記タイヤ力及び前記タイヤ摩擦方向、
に基づく画像を表示する表示ステップと、
を備えることを特徴とする運転支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運転支援装置、運転支援プログラム、および、運転支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、摩擦円と走行中の加速度とを比較する運転支援装置を開示する。ここで摩擦円とは車両におけるタイヤが滑り出す加速度の限界値に対応して設定されたものであり、加速度センサで検知した加速度と比較可能なものである。この運転支援装置は、走行中に車両に発生する加速度を検出する加速度計と、走行前に設定した加速度の境界領域を記憶するメモリと、走行中に加速度計で検出した加速度と境界領域とを比較する比較手段と、走行中に比較手段による比較に基づき比較結果を報知する報知手段と、を有する。
特許文献2は、走行中の車両について、随時算出される各車輪の駆動力と、その駆動力に応じて変化する車両加速度の大きさと方向とを同時に表示する走行状態表示装置を開示する。この走行状態表示装置は、車内ディスプレイの模擬車両図を用いて車両の走行状態を表示する車両の走行状態表示装置であって、模擬車両図上ないしその近傍に、少なくとも前輪もしくは後輪の駆動力、および車両加速度の大きさと方向とを表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-168958号公報
【特許文献2】特開2015-101310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術は、ドライバー等が設定した加速度の設定値に基づいた摩擦円と、実際に測定された加速度を比較する処理を行っている。しかしながら、現実にタイヤが滑り出す加速度の限界値は、タイヤ荷重により大きく変動するものであり、ドライバー等に対して車両の挙動を正確に伝えるという意味で改善の余地がある。また車両走行中の加速度の大きさと方向を表示すだけでは、タイヤをどの程度適切に使用できているか把握できない。
本願発明は、ドライバー等に対して車両の挙動をわかりやすく伝える運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一の態様は、車両の状態に係る情報を取得する車両情報取得部と、前記車両情報取得部の取得結果に基づき、各車輪について、摩擦円を算出する算出部と、前記各車輪における前記摩擦円に基づく画像を表示する表示部と、を備えることを特徴とする運転支援装置である。
【0006】
本発明の他の態様は、車両の挙動を把握するためにコンピュータを、車両の横方向加速度と前後方向加速度とを含む車両加速度を検出する車両加速度検出手段と、前記車両加速度検出手段の検出結果に基づき、各車輪について、摩擦円、並びに、前記各車輪のタイヤに発生する横力と、前記各車輪の前記タイヤに発生する前後力との合力について、前記合力の大きさであるタイヤ力、及び、前記合力の方向であるタイヤ摩擦方向を算出する算出手段と、前記算出手段の算出結果に基づき、前記各車輪について、前記摩擦円、並びに、前記タイヤ力及び前記タイヤ摩擦方向、に基づく画像を表示する表示手段、として機能させるための運転支援プログラムである。
【0007】
本発明の他の態様は、車両の横方向加速度と前後方向加速度とを含む車両加速度を検出する車両加速度検出ステップと、前記車両加速度検出ステップの検出結果に基づき、各車輪について、摩擦円、並びに、前記各車輪のタイヤに発生する横力と、前記各車輪の前記タイヤに発生する前後力との合力について、前記合力の大きさであるタイヤ力、及び、前記合力の方向であるタイヤ摩擦方向を算出する算出ステップと、前記算出ステップの算出結果に基づき、前記各車輪について、前記摩擦円、並びに、前記タイヤ力及び前記タイヤ摩擦方向、に基づく画像を表示する表示ステップと、を備えることを特徴とする運転支援方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明における運転支援装置は、ドライバー等に対して車両の挙動をわかりやすく伝達するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る運転支援装置のブロック図。
図2】運転支援装置における表示画像。
図3】表示画像における警告表示。
図4】実施の形態2に係る表示画像。
図5】実施の形態3に係る運転支援装置のブロック図。
図6】実施の形態3に係る表示画像。
図7】ステアリング特性を表す表示画像。
図8】実施の形態4に係る運転支援方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、走行中に車両の挙動を確認するための車両モーション表示等の機能を有する運転支援装置はあった。これにより車両の挙動をリアルタイム、または振り返って確認することが可能であった。
しかしながら、タイヤの性能を十分に発揮できているかどうかをドライバーが客観的に判断するための手段は存在しておらず、車両を運転するための技術の向上は主にドライバー個々の感覚に任されていた。
そこで本開示は、タイヤに掛かっている負荷や、ステアリング特性等をリアルタイムに、あるいは、運転後に振り返って確認することを可能にする運転支援装置、運転支援プログラム、および、運転支援方法を提供する。
【0011】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0012】
(実施の形態1)
以下、図1図3を用いて、実施の形態1を説明する。
【0013】
[1-1.構成]
図1は、実施の形態1に係る運転支援装置1のブロック図である。運転支援装置1は、車両情報取得部として、車両の横方向加速度と前後方向加速度とを含む車両加速度を検出する車両加速度検出部12を備える。そして車両加速度検出部12の検出結果に基づき、各車輪について、摩擦円、並びに、タイヤに発生する横力、及び、タイヤに発生する前後力、を算出する算出部7と、算出部7の算出結果に基づき、摩擦円、並びに、各タイヤについて発生する横力と前後力との合力について、合力の大きさ、又は/及び、合力の方向、に基づく画像を表示する表示部10を備える。
ここで摩擦円とは、路面の摩擦係数と各タイヤに発生する力に基づいて算出されるタイヤ力の限界値に相当する。具体的には路面とタイヤの間の摩擦力の大きさが摩擦円の半径として表現されてよい。本明細書において摩擦円は略円板状の表示をされ、表示部10で表示される摩擦円の大きさ、具体的には摩擦円の半径と、タイヤに発生する合力を表す表示の長さとは比較が可能となっている。
ただし摩擦円としては正円でも楕円でもよく、それぞれ軸の長さが異なる楕円を組み合わせてもよい。
なお車両情報取得部として、ここでは車両加速度検出部を例として挙げたが、これに限らない。例えばエンジントルク、ブレーキ液圧等を測定するセンサであってもよく、これらに基づいてタイヤに発生する力を推定してもよい。またタイヤに発生する力を直接測定するセンサを設けてもよい。
算出部7は制御部5の機能として実現されてよい。具体的には制御部5は、CPU、RAMおよびROMなどから構成され、各種制御を実行する。CPUはいわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて様々な機能を実現する。RAMはCPUの作業領域、記憶領域として使用され、ROMはCPUで実行されるオペレーティングシステムやプログラムを記憶する。もちろんCPUの代わりとしてMPU(Micro-Processing Unit)や制御部5としてプログラムの書き換えが不可能なワイヤードロジックを用いてもよい。制御部5としてワイヤードロジックを用いれば、処理速度の向上に有効である。ワイヤードロジックとしては、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などがある。また、制御部5は、1つの半導体素子で構成してもよいし、複数の半導体素子で構成してもよい。複数の半導体素子で構成する場合、特許請求の範囲に記載の各制御を、互いに異なる半導体素子で実現してもよい。さらに、半導体素子と抵抗またはコンデンサなどの受動部品とを含む構成によって制御部5を構成してもよい。
【0014】
算出部7は、各タイヤについて、タイヤに発生する力、具体的にはタイヤに発生する横力と前後力の合力の大きさであるタイヤ力と、該合力の方向であるタイヤ摩擦方向を算出する。表示部10は、算出部7が算出したタイヤ力と、タイヤ摩擦方向を象徴的に表現する画像として表示する。表示部10は、液晶パネルでよく、有機ELパネルでもよい。また表示部10は、車載のメーター又はDA(ディスプレイ オーディオ)に設けられてもよく、車両に乗るドライバーや同乗者のスマートファンやPC(パーソナル コンピュータ)等の情報端末の画面でもよい。その際、制御部5と情報端末は無線で情報の送受信をしてよい。
【0015】
[1-2.算出方法]
ここで摩擦円とタイヤ力と、タイヤ摩擦方向の算出方法について簡単に記載する。ただし本願明細書に記載される算出方法は例示であって請求項の記載内容を限定するものではなく、種々の算出方法が考えられる。
まず鉛直方向をZ軸、車両の前後方向をX軸、X軸とZ軸とに垂直な車軸方向をY軸とした座標を考える。各タイヤにおける摩擦円の算出には、路面の摩擦係数μと、各タイヤに発生する力Fが必要になる。車両が静止状態であるときは、各タイヤに発生する力Fは、車両に掛かる重力と、車両の荷重バランスだけで決まる。すなわち、摩擦円として表示される円板の大きさは摩擦係数μとFの掛け算で決定される。
なお摩擦係数μは、路面の状況、具体的には雨や雪が降っている場合や路面が凍結している場合には大幅に変化し、またタイヤの摩耗量によっても大きく変わる。
走行中、特に旋回や加速、減速している場合には、車両にはX軸方向の力(前後力F)と、Y軸方向の力(横力F)が発生する。各タイヤがどのくらい適切に使われているかはタイヤ力と、タイヤ摩擦方向と、摩擦円の関係で定義できる。具体的には、前後力Fと、横力Fに基づいて算出されるタイヤ力が摩擦円に対してどの程度の大きさかということは、タイヤの限界値に対してどれだけ近づけているかの目安になり、換言すればどれだけタイヤを使い切れているかという運転技術の良し悪しを知ることにつながる。
例えばタイヤにおけるX軸方向とY軸方向の摩擦係数が同じμと仮定する。この時タイヤの性能をどの程度使い切れているかどうかは、数式(1)に従いパーセント表示で表すことができる。
【0016】
【数1】
各タイヤに発生する力Fは、車両の特性と加速度から推定される。例えばホイールベース長をL(ただし簡単のため重心は前後輪から等距離の位置にあるとする)、トレッド幅をd、重心高をh、質量をM、重力加速度をg、車両加速度検出部12(図1参照)によって測定されたX軸方向の加速度をa、Y軸方向の加速度をa、左右の荷重移動の前後バランスをRとすると、各タイヤに発生する力Fは、静的な釣り合い計算により、例えば数式(2)のように計算される。
【0017】
【数2】
ここでは、ばね下慣性力は考慮していない。
【0018】
各タイヤに発生する前後力Fは、タイヤモデルやスリップ率等のタイヤの特性から推定してもよいが煩雑である。そこで例えばX軸方向の加速度から近似的に推定してもよい。具体的には車両に働く空気力のX軸方向の抗力の影響を考慮すると、空気密度ρ、車両の速度V、前面投影面積A、抗力係数Cとすると、タイヤ一つに発生する基本的な前後力FX_Totalは、数式(3)のように計算される。
【0019】
【数3】
加速時に回旋する際の内側タイヤと外側タイヤの回転差を適切にするLSD(リミテッド スリップ デファデンシャル:差動制限装置)装着の場合には、加速時における一つのタイヤに対する前後力FX_Accは、LSD駆配G係数をX、Y軸方向の加速度aとして数式(4)のように推定される。
【0020】
【数4】
また制動時において、タイヤ一つに発生する前後力FX_Brakeは、ブレーキバランスを表す係数をBとして、左右輪に同じ前後力を分配するとして数式(5)のように推定される。
【0021】
【数5】
各タイヤに発生する前後力Fとしては、加速時にはFX_Accを用い、制動時にはFX_Brakeを用いてよい。
【0022】
各タイヤに発生する横力Fについても、簡易的に横方向の加速度aとヨーレートrから推定することができる。まず前側のタイヤ一つについての横力FY_Frontは、車両フロント側の軸重をM、車両の慣性モーメントをI、ホイールベース長をLとすると、数式(6)のように推定される。
【0023】
【数6】
ここでFの前後振り分けは、2輪モデル相当で算出している。
さて左右配分をF比例で分配し、内側タイヤの外側車輪で荷重が増加すると摩擦係数が低下する要素については摩擦係数の低下率εとすると、例えば前側左タイヤに発生する力をFZ_FL、前側右タイヤに発生する力をFZ_FRとすると、前側左タイヤに発生する横力FY_FLは、次の数式(7)のように推定される。
【0024】
【数7】
以上のような推定方法によりタイヤの性能をどの程度使い切れているかを推定することができる。
【0025】
[1-3.動作]
図2に運転支援装置1における表示部10に表示される表示画像11の一例を示す。表示画像11は、FL(左前輪)のタイヤについての情報を表示するタイヤ摩擦表示画像15Aと、FR(右前輪)のタイヤについての情報を表示するタイヤ摩擦表示画像15Bと、RL(左後輪)のタイヤについての情報を表示するタイヤ摩擦表示画像15Cと、RR(右後輪)のタイヤについての情報を表示するタイヤ摩擦表示画像15Dを含む。
タイヤ摩擦表示画像15は、車両停車時においてタイヤに発生する力に相当する摩擦円である1G表示円21と、タイヤについてきわめて大きなグリップ能力を仮定したときの摩擦円である最大摩擦円24を表示する。最大摩擦円24の大きさは、前輪については、例えば9kN、後輪については6kNに対応させてよい。
なお摩擦係数μは、路面の状況、具体的には雨や雪が降っている場合や路面が凍結している場合には大幅に変化し、またタイヤの摩耗量によっても大きく変わるので、それに応じて摩擦円22の大きさを算出する際の計算において摩擦係数μを変更してよい。また摩擦円22の大きさを変更する摩擦円変更部9を制御部5が備えてよい。具体的には、表示部10に、摩擦円22の大きさを変更する設定画面を表示して、使用者が摩擦円22の大きさを変更させることができることが望ましい。
もちろん路面の状況やタイヤの摩耗量を運転支援装置が取得して、摩擦円変更部9が摩擦円22の大きさを変更させてもよい。具体的には路面の温度や濡れを測定することや、タイヤ交換からの走行距離等から摩擦係数μを推定して、それに基づいて摩擦円22の大きさを算出、変更して表示してよい。
また算出部7は、タイヤ力と、タイヤ摩擦方向とを、第1タイミングと、第1タイミングより後の時刻である第2タイミングにおいてそれぞれ算出し、表示部10が、第1タイミングで算出される第1タイヤ力及び第1タイヤ摩擦方向を示す第1画像と、第2タイミングで算出される第2タイヤ力及び第2タイヤ摩擦方向を示す第2画像と、を略同時に表示する。なお、タイミングの数及び各タイミングで算出されるタイヤ摩擦量及びタイヤ摩擦方向を示す画像の数は任意に設定してもよい。
具体的には、例えば左前輪のタイヤについての情報を表示するタイヤ摩擦表示画像15Aにおいて、第2タイミングに相当する最新の測定に係る合力、すなわち第2タイヤ力及び第2タイヤ摩擦方向を第2タイミング合力表示26として矢印で示し、第2タイミングの100ミリ秒前に相当する第1タイミングの測定に係る合力を第1タイミング合力表示28として示す。矢印の長さが合力の大きさ、具体的にはタイヤ力に相当し、矢印の向きが合力の方向、具体的にはタイヤ摩擦方向に相当する。タイヤ摩擦表示画像15はサンプリング間隔を例えば100ミリ秒として、100ミリ秒毎に表示を変更してよい。また複数のタイミングの画像を表示する場合、時間的に前のデータほど輝度を落として表示してもよい。あるいは各タイミングで異なる色彩での表示をしてもよい。また所定の時間経過後は、古い時刻におけるデータについては表示画像11から消去してよい。
【0026】
また運転支援装置1は、タイヤ力と、摩擦円の大きさを比較する比較演算部8を備える。表示部10は、比較演算部8の比較結果に基づき、タイヤ力が、摩擦円22の大きさを超えない範囲である予め定められた第1状態である場合、第1状態であることを使用者に報知する。第1状態とは数式(1)で算出される値が例えば80%から100%の間である。
具体的には、タイヤ摩擦表示画像15Bについて、摩擦円22の半径の80%以上且つ100%以下の大きさに第2タイミング合力表示32がなる場合、タイヤの適切な使用ができていると判定して好適使用表示34が表示される。換言すれば数式(1)で80%以上且つ100%以下であるときタイヤの性能を引き出した走行ができているとドライバーに報知する。好適使用表示34としては最大摩擦円24の外側周縁を例えば緑色に光らせてよい。
【0027】
また表示画像11は、車両の重心位置または車両重心位置での加速度の大きさと向きを表示する重心表示40を含む。重心表示40は、重心の位置を示す重心42と、その時間的な変化を示す重心軌跡44を表示してよい。
【0028】
なお運転支援装置1に係る制御部5は、摩擦円22や合力表示、好適使用表示34についての情報を時間的に連続して記録する記録部(不図示)を備えてよい。具体的には、記録部はSSD(ソリッド ステート ドライブ)やHDD(ハード ディスク ドライブ)であってよい。走行後にドライバーは、記録部から情報を取得して表示部10等に表示させて、自分のドライビングを客観的に振り返ることができてよい。もちろん情報をスマートフォンやPC(パーソナル コンピュータ)などの情報機器に移動させて、情報の解析が行えるようにしてよい。
【0029】
図3は、表示画像11における警告表示36を示す。比較演算部8の比較結果に基づき、表示部10は、タイヤ力が摩擦円22の大きさを超えた第2状態である場合、第2状態であることを使用者に報知する。第2状態とはタイヤの使用状態がタイヤの限界値を超えた状態である。
具体的には第2タイミング合力表示32の長さが摩擦円22の大きさより大きくなった場合、すなわちタイヤに発生する合力の大きさであるタイヤ力が、タイヤの限界値より大きくなり、スリップの可能性が高くなった場合に、制御部5は表示部10に警告表示36を表示するように制御する。警告表示36は、該当するタイヤのタイヤ摩擦表示画像15に重ねて表示してよい。例えば、警告表示36は、タイヤ摩擦表示画像15に重ねて赤色の円板画像を表示してよい。またそのときに警告音を発生してもよい。
【0030】
なお、制御部5は、表示部10に表示される摩擦円22の大きさと、タイヤ力及びタイヤ摩擦方向を示す画像の大きさとを、使用者が拡大縮小させる表示設定変更モードを有してよい。具体的には、摩擦円22が小さい場合に、摩擦円とタイヤに発生する合力に関する画像を合わせて拡大表示させることができることが好ましい。拡大のためには表示部10がタッチパネルであってスワイプ動作によって画像が拡大されてもよく、拡大の倍率を選択できるようになっていてもよい。
【0031】
[1-4.効果等]
本開示に係る運転支援装置1は、車両の状態に係る情報を取得する車両情報取得部と、車両情報取得部の取得結果に基づき、各車輪について、摩擦円を算出する算出部7と、各車輪における摩擦円に基づく画像を表示する表示部10と、を備える。
これにより、ドライバーや同乗者は各タイヤ力の限界等が視覚的に認識できるようになり、より正確なドライビングが可能になるという優れた効果を奏する。
【0032】
本開示に係る運転支援装置1は、摩擦円の大きさを変更する摩擦円変更部9を備える。
これにより、路面の状況、具体的には雨や雪が降っている場合や路面が凍結している場合には大幅に変化し、またタイヤの摩耗量によっても大きく変わる摩擦係数μを反映した摩擦円を算出、表示できる。そのため使用者はより状況に応じた情報を視覚的に得やすくなる。
【0033】
本開示に係る運転支援装置1は、車両情報取得部が、横方向加速度と前後方向加速度とを含む車両加速度を検出する車両加速度検出部である。
車両にはすでに加速度センサが搭載されていて利用できることが多いため、特別なセンサを新たに付加する必要がない。加速度センサは安価で、精度が高いため摩擦円を精度よく求めることができる。また後述するタイヤ摩擦方向を、ドライバーや同乗者が容易にしかも定量的に認識できるようになり、より正確なドライビングが可能になるという優れた効果を奏する。
【0034】
本開示に係る運転支援装置1は、算出部7が車両加速度に基づき、各車輪について、各車輪のタイヤに発生する横力と、各車輪のタイヤに発生する前後力との合力について、合力の大きさであるタイヤ力、及び、合力の方向であるタイヤ摩擦方向を算出し、表示部10は、算出部7が算出したタイヤ力及びタイヤ摩擦方向を画像として表示する。
これにより、ドライバーや同乗者は各タイヤの使用状況が視覚的に認識できるようになり、より正確なドライビングが可能になるという優れた効果を奏する。
【0035】
本開示に係る運転支援装置1は、算出部7が、タイヤ力及びタイヤ摩擦方向を、第1タイミングと、第1タイミングより後の時刻である第2タイミングにおいてそれぞれ算出し、表示部10は、第1タイミングで算出される第1タイヤ力及び第1タイヤ摩擦方向を示す第1画像、並びに、第2タイミングで算出される第2タイヤ力及び第2タイヤ摩擦方向を示す第2画像、を略同時に表示する。
これによりドライバーや同乗者は、時間経過に伴うタイヤの使用状況を連続的に把握できる。そのため例えばサーキット走行時の情報を見る場合、どのような運転をすれば車両の限界性能まで引き出すことができるか等の知見を得ることができ、運転技術の向上につなげることができる。
【0036】
本開示に係る運転支援装置1は、表示部10が、第2画像を表示する場合、前記第1画像と異なる色彩として表示する。
これによりドライバーや同乗者は最新のタイヤの状況を視覚的に認識しやすくなる。そのため、より適切な運転が可能になる。
【0037】
本開示に係る運転支援装置1は、表示部10が、第2画像を表示する場合、第1画像を表示してから所定の時間経過したときに第1画像を表示しなくなる。
これによりドライバーや同乗者は最新のタイヤの状況を視覚的に認識しやすくなる。そのため、より適切な運転が可能になる。
【0038】
本開示に係る運転支援装置1は、タイヤ力と、摩擦円22の大きさを比較する比較演算部8を備える。
これにより、タイヤの使用状態とタイヤの限界性能を比較することができる。そのためドライバーが自らの運転技術でどの程度車両の性能を引き出しているか認識することができる。
【0039】
本開示に係る運転支援装置1は、比較演算部8の比較結果に基づき、表示部は、タイヤ力が、摩擦円22の大きさを超えない範囲である予め定められた第1状態である場合、第1状態であることを使用者に報知する。
これによりドライバーは所定の状態であることを認識できる。具体的には自分の運転技術でタイヤの限界性能まで引き出せているかどうかを確認することができるので運転技術を向上させることができる。
【0040】
本開示に係る運転支援装置1は、比較演算部8の比較結果に基づき、表示部10が、タイヤ力が、摩擦円22の大きさを超えた第2状態である場合、第2状態であることを使用者に報知する。
これによりドライバーや同乗者は、タイヤの限界性能を超えた状況であることを認識できる。そのため危険な運転を避けることができ、また自らの運転技術の向上に繋がるヒントを得ることもできる。
【0041】
本開示に係る運転支援装置1は、表示部10に表示される摩擦円22の大きさと、タイヤ力及びタイヤ摩擦方向を示す画像とを、使用者が拡大縮小させる表示設定変更モードを有する。
これにより、ドライバーはタイヤの限界値が低い場合にも視覚的にタイヤ力の大きさを視認しやすくなる。そのため危険な運転を避けることができ、また自らの運転技術の向上に繋がるヒントを得ることもできる。
【0042】
(実施の形態2)
以下、図4を用いて、実施の形態2を説明する。
【0043】
[2-1.構成]
図4は実施の形態2に係る表示画像10を示す。本実施形態では重心表示40に代えて、各タイヤに発生する力を示す荷重表示50を備える。具体的には算出部7が、各タイヤについて掛かっている荷重の大きさを算出し、表示部10は、荷重の大きさをタイヤのそれぞれについて表示する。その他の構成や、各表示の素となる値の算出方法は、実施の形態1と同様なので、記載を省略する。
【0044】
[2-2.動作]
次に動作について説明する。図4の場合には、車両はブレーキングをしながら図上右方向に旋回している場合の荷重移動を示している。この場合、制動動作により前側のタイヤに荷重が移動する。
このとき車両のイラストを表示画像11の中心に描き、そのタイヤの近傍にそれぞれのタイヤに対応する摩擦円を配置してよい。
荷重が大きいほど輝度を大きくした表示をしてよい。また荷重が小さい時には青色、荷重が大きい場合には赤色というように色で区別してもよく、また1次元バーグラフで荷重の大きさを示してもよい。図4の場合には前輪左側タイヤの荷重を表す荷重表示50Aと、前輪右側タイヤの荷重を示す荷重表示50Bが強調表示されている。
【0045】
[2-3.効果等]
本開示に係る運転支援装置1は、算出部7が各車輪について掛かっている荷重の大きさを算出し、表示部10は、荷重の大きさを車輪のそれぞれについて表示する。
これにより各車輪への荷重の掛かり方が容易に把握できる。そのためドライバーや同乗者は運転状況を認識しやすくなる。
【0046】
(実施の形態3)
以下、図5図7を用いて実施の形態3を説明する。
【0047】
[3-1.構成]
図5は、実施の形態3に係る運転支援装置1のブロック図である。制御部5はステアリングの舵角を検出する舵角検出部20を備える。他の構成は実施の形態1と同様なので記載を省略する。
図6は、実施の形態3に係る表示画像11を示す。表示画像11の例えば中央下部にはステアリング特性を示すステアリング特性表示60を含む。ステアリング特性とはハンドルの操作と車両の挙動の関係を意味する。具体的には車両の方向を変える際の車両の特性を示す。ステアリング特性は、速度上昇に伴って旋回半径が大きくなるアンダーステア(US)、速度上昇に伴って旋回半径が小さくなるオーバーステア(OS)、速度が変化しても旋回半径が変化しないニュートラルステアに分類される、一般的にはサスペンション等の設定により特性を変えることができる。
【0048】
[3-2.動作]
旋回半径の変化は、一般にスタビリティファクタや前後タイヤのスリップ角差などによって表現できる。ここではスタビリティファクタを例にとって説明する。具体的には例えば各タイヤについての横滑り角βとタイヤから発生する横力Fの大きさの比例係数であるコーナーリングパワーKと、重心から前後輪の車軸までの距離の関係で決まる。スタビリティファクタが正の値をとるとき、車両はUSであり、スタビリティファクタが負の値をとるとき、車両はOSとなる。
本実施形態においては、表示部10に表示される表示画像11が、スタビリティファクタを反映したステアリング特性表示60を含む。
図7には、ステアリング特性表示60の一例を示す。この実施例では、スタビリティファクタの大きさを一次元の棒グラフで表示する。スタビリティファクタが正の場合、すなわちアンダーステア状態のとき、ステアリング特性表示60は、US側の表示であるアンダーステア特性表示62A、アンダーステア特性表示62B、アンダーステア特性表示62Cを光らせることで、ドライバーや同乗者にステアリング特性がUSであることを報知する。また、スタビリティファクタが負の場合、すなわちオーバーステア状態のとき、ステアリング特性表示60は、OS側の表示であるオーバーステア特性表示64A、オーバーステア特性表示64Bを光らせることで、ドライバーや同乗者にステアリング特性がUSであることを報知する。
【0049】
[3-3.効果等]
本開示に係る運転支援装置1は、車両におけるステアリングの舵角を検出する舵角検出部20を備え、算出部7は、車両加速度と舵角に基づいて車両のステアリング特性を算出し、表示部10は、ステアリング特性を表示する。
これによりドライバーや同乗者は、車両のステアリング特性を視覚的に認知することができる。そのため、ドライバーはステアリング特性に合わせて適切な運転をすることが可能になり、運転技術を向上させることができる。
【0050】
上記実施の形態1~実施の形態3については、使用者、具体的には例えばドライバーが車両の挙動を把握するためにコンピュータを、車両の横方向加速度と前後方向加速度とを含む車両加速度を検出する車両加速度検出手段と、車両加速度検出手段の検出結果に基づき、各車輪について、摩擦円、並びに、タイヤに発生する横力、及び、タイヤに発生する前後力、を算出する算出手段と、算出手段の算出結果に基づき、摩擦円、並びに、各タイヤについて発生する横力と前後力との合力について、合力の大きさ、又は/及び、合力の方向、に基づく画像を表示する表示手段、として機能させるための運転支援プログラムで実現されてもよい。
【0051】
(実施の形態4)
以下、図8を用いて、実施の形態4を説明する。
図8は、本開示に係る運転支援方法のフローチャートである。まず車両の横方向加速度と前後方向加速度とを含む車両加速度を検出する(ステップS1)。次にステップS1の検出結果に基づき各タイヤについて、摩擦円を算出する(ステップS2)。検出結果に基づき各タイヤについて前記タイヤに発生する横力、及び、前記タイヤに発生する前後力、を算出する(ステップS3)。そして各タイヤについて摩擦円、並びに、各タイヤに発生する横力と前後力との合力について、合力の大きさであるタイヤ力、及び、合力の方向であるタイヤ摩擦方向、に基づく画像を表示する(ステップS4)。
本開示に係る運転支援方法によれば、ドライバーや同乗者は各タイヤの使用状況が視覚的に認識できるようになり、より正確なドライビングが可能になるという優れた効果を奏する。
【0052】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1~4を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1~4で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【符号の説明】
【0053】
1…運転支援装置、5…制御部、7…算出部、8…比較演算部、9…摩擦円変更部、10…表示部、11…表示画像、12…車両加速度検出部、15…タイヤ摩擦表示画像、20…舵角検出部、21…1G表示円、22…摩擦円、24…最大摩擦円、26…第2タイミング合力表示、28…第1タイミング合力表示、32…第2タイミング合力表示、34…好適使用表示、36…警告表示、40…重心表示、42…重心、44…重心軌跡、50…荷重表示、60…ステアリング特性表示、62…アンダーステア特性表示、64…オーバーステア特性表示。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8