IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラザー工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-シート搬送装置 図1
  • 特開-シート搬送装置 図2
  • 特開-シート搬送装置 図3
  • 特開-シート搬送装置 図4
  • 特開-シート搬送装置 図5
  • 特開-シート搬送装置 図6
  • 特開-シート搬送装置 図7
  • 特開-シート搬送装置 図8
  • 特開-シート搬送装置 図9
  • 特開-シート搬送装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157990
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】シート搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/38 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
B65H5/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062563
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】犬塚 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】神川 和也
【テーマコード(参考)】
3F101
【Fターム(参考)】
3F101FA03
3F101FC11
3F101FC16
3F101FD01
3F101FD02
3F101LA01
3F101LB03
(57)【要約】
【課題】ニップ位置と第1ガイド面との間でシートの跳ね音を抑制できるシート搬送装置を提供する。
【解決手段】シート搬送装置1は、ニップ位置N1においてシートSHをニップして搬送方向D1に搬送する搬送ローラ対23、23Pと、ニップ位置N1よりも搬送方向D1の下流に位置してニップ位置N1を通過したシートSHの搬送方向D1を変化させる第1ガイド面100Gを有する金属製の第1ガイド部材100と、ニップ位置N1と第1ガイド面100Gとの間に位置して搬送方向D1の下流に向かうにつれて第1ガイド面100Gに接近する第2ガイド面200Gと、第1ガイド部材100に係合する係合部210と、を有する第2ガイド部材200と、を備える。第1ガイド部材100は、係合部210と係合して第2ガイド面200Gを第1ガイド面100Gに対して位置決めする位置決め部110を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニップ位置においてシートをニップして搬送方向に搬送する搬送ローラ対と、
前記ニップ位置よりも前記搬送方向の下流に位置して前記ニップ位置を通過したシートの前記搬送方向を変化させる第1ガイド面を有する金属製の第1ガイド部材と、
前記ニップ位置と前記第1ガイド面との間に位置して前記搬送方向の下流に向かうにつれて前記第1ガイド面に接近する第2ガイド面と、前記第1ガイド部材に係合する係合部と、を有し、前記第2ガイド面は前記ニップ位置を通過したシートに当接して前記第1ガイド面に向けて案内する第2ガイド部材と、を備え、
前記第1ガイド部材は、前記係合部と係合して前記第2ガイド面を前記第1ガイド面に対して位置決めする位置決め部を有していることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記第1ガイド部材は、前記第1ガイド面を形成する第1ガイド部材本体を有し、
前記位置決め部は、前記第1ガイド部材本体を貫通する貫通孔であり、
前記係合部は、前記第2ガイド部材における前記第2ガイド面とは反対側に位置し、前記第1ガイド部材に向かって突出して前記位置決め部を通過可能な突出部と、
前記突出部の先端から屈曲して前記位置決め部の周縁に係合可能な屈曲部と、を有している請求項1記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記第1ガイド部材本体は、前記搬送方向を変化させるように湾曲して前記第1ガイド面の一部を形成する湾曲部と、
前記湾曲部よりも前記搬送方向の上流で平坦に延びて前記第1ガイド面の他部を形成する平坦部と、を有し、
前記貫通孔は、前記平坦部を貫通し、前記搬送方向に沿って延在する第1貫通孔であって、前記屈曲部及び前記突出部の通過を許容する前記第1貫通孔と、
前記第1貫通孔よりも幅狭で前記平坦部を貫通し、前記搬送方向に沿って延在して前記第1貫通孔に連通する第2貫通孔と、を有し、
前記第2貫通孔は、前記屈曲部が前記第2貫通孔の周縁に係合する状態で、前記突出部と嵌合する請求項2記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記第1貫通孔から前記第2貫通孔に進む方向は、前記搬送方向の下流から上流に向かう方向であり、
前記第1ガイド部材は、前記第1貫通孔から前記搬送方向の下流に離れた位置にあり、かつ前記搬送方向の上流を向く第1規制部を有し、
前記第2ガイド部材は、前記第2ガイド部材における前記第2ガイド面とは反対側、かつ前記第2ガイド面における前記搬送方向の下流端側に位置し、前記第1ガイド部材に向かって突出する第1被規制部を有し、
前記第1規制部は、前記第2貫通孔が前記突出部と嵌合する状態で、前記第1被規制部に当接している請求項3記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記第2ガイド部材は、前記第1被規制部に対して前記第2ガイド面とは反対側に位置し、前記第1規制部から前記搬送方向の上流に逃げた位置から前記搬送方向の下流に向けて突出する返し形状部を有している請求項4記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記第1貫通孔から前記第2貫通孔に進む方向は、前記搬送方向の下流から上流に向かう方向であり、
前記第1ガイド部材を前記第2ガイド部材とは反対側から覆うカバー部材をさらに備え、
前記カバー部材は、前記第2ガイド部材に向かって突出する第2規制部を有し、
前記第2ガイド部材は、前記第2ガイド部材における前記第2ガイド面とは反対側、かつ前記第2ガイド面における前記搬送方向の上流端側に位置し、前記カバー部材に向かって突出する第2被規制部を有し、
前記第2規制部は、前記第2貫通孔が前記突出部と嵌合する状態で、前記第2被規制部に前記搬送方向の下流から対向している請求項3乃至5のいずれか1項記載のシート搬送装置。
【請求項7】
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部よりも下方に位置し、前記画像形成部に搬送される前のシートを収容するシートトレイと、をさらに備え、
前記搬送ローラ対、前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材は、前記シートトレイから前記画像形成部に向かって上向きにUターンする経路の途中に位置している請求項1乃至6のいずれか1項記載のシート搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来のシート搬送装置の一例が開示されている。このシート搬送装置は、搬送ローラ及び搬送ピンチローラと、フロントシュートとを備えている。
【0003】
搬送ローラ及び搬送ピンチローラは、ニップ位置においてシートをニップして搬送方向に搬送する。フロントシュートは金属製であり、湾曲案内面を有している。湾曲案内面は、ニップ位置よりも搬送方向の下流に位置してニップ位置を通過したシートの搬送方向を変化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-163097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来のシート搬送装置において、ニップ位置と湾曲案内面との間には、段差がある。また、湾曲案内面がシートの搬送方向を変化させるときに、シートが湾曲して復元力を蓄える。このため、湾曲案内面に案内されるシートの後端がニップ位置から離れたときに、湾曲するシートの復元力が一気に解放されてシートの後端が跳ね易く、その結果、その跳ねたシートの後端が湾曲案内面に勢いよく当接して跳ね音が生じるおそれがある。
【0006】
特に、フロントシュートが音や振動を伝え易い金属製であることから、跳ね音が耳障りな異音となり易い。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、ニップ位置と第1ガイド面との間でシートの跳ね音を抑制できるシート搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のシート搬送装置は、ニップ位置においてシートをニップして搬送方向に搬送する搬送ローラ対と、
前記ニップ位置よりも前記搬送方向の下流に位置して前記ニップ位置を通過したシートの前記搬送方向を変化させる第1ガイド面を有する金属製の第1ガイド部材と、
前記ニップ位置と前記第1ガイド面との間に位置して前記搬送方向の下流に向かうにつれて前記第1ガイド面に接近する第2ガイド面と、前記第1ガイド部材に係合する係合部と、を有し、前記第2ガイド面は前記ニップ位置を通過したシートに当接して前記第1ガイド面に向けて案内する第2ガイド部材と、を備え、
前記第1ガイド部材は、前記係合部と係合して前記第2ガイド面を前記第1ガイド面に対して位置決めする位置決め部を有していることを特徴とする。
【0009】
本発明のシート搬送装置において、第2ガイド部材の第2ガイド面は、ニップ位置と第1ガイド面との間に位置して搬送方向の下流に向かうにつれて第1ガイド面に接近する。
【0010】
ここで、第1ガイド部材の位置決め部は、第2ガイド部材の係合部と係合して第2ガイド面を第1ガイド面に対して位置決めする。この構成により、仮に第2ガイド部材が第1ガイド部材とは異なる部材に対して位置決めされる構成と比較して、第2ガイド面の第1ガイド面に対する位置決め精度を向上させることができ、第2ガイド面と第1ガイド面との段差を小さくできる。
【0011】
その結果、第2ガイド面がニップ位置を通過したシートに当接して第1ガイド面に向けて案内するときに、湾曲するシートの復元力が緩やかに解放され、さらに、第2ガイド面と第1ガイド面との小さな段差を通過するシートの後端が跳ね難くなる。
【0012】
したがって、本発明のシート搬送装置は、ニップ位置と第1ガイド面との間でシートの跳ね音を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例の画像形成装置の概略断面図である。
図2】第1~第3フレーム部材及び第1、第2ガイド部材を示す斜視図である。
図3図2のA-A断面を示す部分断面図である。
図4図2の要部を拡大した部分斜視図である。
図5】第1ガイド部材の斜視図である。
図6】第2ガイド部材の斜視図である。
図7】第2ガイド部材の斜視図である。
図8図4のB-B断面を示す部分断面図である。
図9図4のC-C断面を示す部分断面図である。
図10図4のD-D断面を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施例について図面を参照しつつ説明する。
【0015】
(実施例)
図1に示すように、実施例の画像形成装置1は、本発明のシート搬送装置の具体的態様の一例である。画像形成装置1は、電子写真方式によりシートSHに画像を形成するレーザプリンタである。
【0016】
図2以降の各図に示す前後方向及び上下方向は、図1に示す画像形成装置1の前後方向及び上下方向に対応させて表示する。
【0017】
<画像形成装置の概略構成>
図1に示すように、画像形成装置1は、略箱状体である装置本体2と、装置本体2内に位置するシートトレイ2C、供給部20、画像形成部3及び排出部29とを備えている。
【0018】
装置本体2は、その底部においてシートトレイ2Cを着脱可能に収容している。シートトレイ2Cは、画像形成部3よりも下方に位置し、画像形成部3に搬送される前のシートSHを積層状態で収容している。シートSHは、用紙やOHPシート等である。
【0019】
また、装置本体2は、排出トレイ2Tを有している。排出トレイ2Tは、装置本体2の上面にある。排出トレイ2Tは、画像形成を終えたシートSHを支持する。
【0020】
さらに、装置本体2は、手差しトレイ2U及びインナーフロントカバー300を有している。インナーフロントカバー300は、本発明の「カバー部材」の一例である。
【0021】
手差しトレイ2Uは、装置本体2の前面の上部分に位置している。手差しトレイ2Uは、図1に実線で示すように起立した位置から、図1に二点鎖線で示すように前向きに突出する位置に回動することにより、ユーザが手差し給紙しようとするシートSH(SH1)を支持する。
【0022】
インナーフロントカバー300は、上下方向において手差しトレイ2Uと、シートトレイ2Cの前端部との間に位置し、装置本体2の前面の一部を構成する外装カバーに沿って上下方向及び幅方向に延びている。インナーフロントカバー300の上端部は、後向きに折れ曲がって上り傾斜するように延びている。
【0023】
画像形成装置1は、搬送経路P1を備えている。搬送経路P1は、シートトレイ2Cの前端部から上向きにUターンしながら供給部20を経由した後、後向きに略水平に進んで画像形成部3を経由し、さらに上向きにUターンしながら排出部29を経由して排出トレイ2Tに至る経路である。搬送経路P1を搬送されるシートSHの搬送方向をD1とする。
【0024】
搬送経路P1を搬送されるシートSHの幅方向は、前後方向及び上下方向に直交する方向であり、図1の紙面に直交する方向である。そして、図1の紙面手前側を幅方向の一方として、図2以降の各図に適宜、幅方向を表示する。
【0025】
図1に示すように、供給部20は、供給ローラ21、分離ローラ22及び分離パッド22Aを有している。供給ローラ21は、搬送経路P1における搬送方向D1の上流端に位置している。供給ローラ21は、シートトレイ2Cに収容されたシートSHを搬送経路P1に送り出す。分離ローラ22及び分離パッド22Aは、供給ローラ21が送り出したシートSHが複数枚重なっている場合に、1枚ずつに分離する。
【0026】
また、供給部20は、搬送ローラ23と、搬送ローラ23に向けて押圧されたピンチローラ23Pとを有している。搬送ローラ23及びピンチローラ23Pは、本発明の「搬送ローラ対」の一例である。
【0027】
さらに、供給部20は、レジストローラ24と、レジストローラ24に向けて押圧されたピンチローラ24Pとを有している。
【0028】
搬送ローラ23及びピンチローラ23Pは、搬送経路P1の一部であってシートトレイ2Cから画像形成部3に向かって上向きにUターンする湾曲経路P1Aの途中に位置している。レジストローラ24及びピンチローラ24Pは、湾曲経路P1Aにおける搬送ローラ23及びピンチローラ23Pよりも搬送方向D1の下流に位置している。
【0029】
搬送ローラ23及びピンチローラ23Pは、供給ローラ21及び分離ローラ22によって送り出されたシートSHをニップ位置N1においてニップして搬送方向D1に搬送する。ニップ位置N1における搬送方向D1は、鉛直上向きに対して若干前方に傾斜する方向である。
【0030】
レジストローラ24及びピンチローラ24Pは、搬送ローラ23及びピンチローラ23Pによって搬送されるシートSHをニップして画像形成部3に向けて搬送する。
【0031】
なお、ユーザがシートSH(SH1)を手差し給紙する場合、そのシートSH(SH1)がインナーフロントカバー300の後向きに上り傾斜する上端部によって、レジストローラ24及びピンチローラ24Pに案内される。そして、レジストローラ24及びピンチローラ24Pは、そのシートSH(SH1)をニップして画像形成部3に向けて搬送する。
【0032】
画像形成部3は、直接転写型のカラー電子写真方式である。画像形成部3は、周知の構成であるプロセスカートリッジ7、転写ベルト6、スキャナ部8及び定着器9等を有している。
【0033】
プロセスカートリッジ7は、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーに対応し、搬送経路P1の略水平部分に沿って直列する4つのカートリッジの集合体である。プロセスカートリッジ7は、各色のトナーにそれぞれ対応する4個の感光体5や、図示しない現像ローラ、帯電器及びトナー収容部等を有している。各感光体5の軸心が延びる方向は、幅方向である。
【0034】
転写ベルト6は、各感光体5に下から対向している。転写ベルト6は、シートトレイ2Cから搬送されてきたシートSHを各感光体5と共に挟持しながら循環する。
【0035】
スキャナ部8は、レーザ光源、ポリゴンミラー、fθレンズ及び反射鏡等を有している。スキャナ部8は、上方からレーザビームをプロセスカートリッジ7内の各感光体5に照射する。
【0036】
定着器9は、プロセスカートリッジ7よりも後方に位置している。定着器9は、加熱ローラ9A及び加圧ローラ9Bを有している。定着器9は、プロセスカートリッジ7の下方を通過したシートSHを加熱ローラ9Aと加圧ローラ9Bとにより加熱及び加圧する。
【0037】
画像形成部3は、以下のようにして、搬送経路P1に沿って搬送されるシートSHに画像を形成する。すなわち、各感光体5の表面は、その回転に伴って、帯電器により一様に正帯電された後、スキャナ部8から照射されるレーザビームの高速走査により露光される。これにより、各感光体5の表面には、シートSHに形成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。次に、トナー収容部からトナーが静電潜像に対応して各感光体5の表面に供給される。そして、シートSHが搬送経路P1に沿って搬送されて画像形成部3を通過する際、各感光体5の表面上に担持されたトナーがシートSHに転写され、定着器9で加熱及び加圧される。その結果、トナーがシートSHに定着する。
【0038】
排出部29は、排出ローラ29A及びピンチローラ29Pを有している。排出ローラ29Aは、搬送経路P1の最下流側に位置している。ピンチローラ29Pは、排出ローラ29Aに向けて押圧されている。排出ローラ29A及びピンチローラ29Pは、定着器9を通過したシートSHをニップして排出トレイ2Tに排出する。
【0039】
<第1フレーム部材、第2フレーム部材及び第3フレーム部材>
図2及び図3に示すように、画像形成装置1は、第1フレーム部材91、第2フレーム部材92及び第3フレーム部材93を備えている。本実施例では、第1~第3フレーム部材91~93はそれぞれ、熱可塑性樹脂の射出成形等によって製造される樹脂成形品である。
【0040】
図示は省略するが、第1~第3フレーム部材91~93は、それぞれの幅方向の両端部が嵌合部や係合部等によって精度良く位置決めされた状態でネジによって締結されることにより、下から上に向かって第1フレーム部材91、第2フレーム部材92、第3フレーム部材93の順で互いに連結されている。
【0041】
図3に示すように、第1フレーム部材91及び第2フレーム部材92は、湾曲経路P1Aの湾曲の内側に位置して、湾曲経路P1Aの一部を区画している。第3フレーム部材93は、湾曲経路P1Aの湾曲の外側に位置して、湾曲経路P1Aにおける搬送方向D1の下流の一部を区画している。
【0042】
第1フレーム部材91は、分離ローラ22及び搬送ローラ23を回転可能に支持している。第2フレーム部材92は、レジストローラ24を回転可能に支持している。第3フレーム部材93は、ピンチローラ24Pを回転可能に支持している。
【0043】
図示は省略するが、シートトレイ2Cは、その前端部の上部分においてピンチローラ23Pを回転可能に支持している。シートトレイ2Cが前向きにスライドして装置本体2から取り外される場合、ピンチローラ23Pもシートトレイ2Cと共に移動し、装置本体2内に存在しなくなる。
【0044】
<第1ガイド部材>
図1に示すように、画像形成装置1は、第1ガイド部材100を備えている。第1ガイド部材100は、湾曲経路P1Aの途中であって、湾曲経路P1Aの湾曲の外側に位置している。インナーフロントカバー300は、第1ガイド部材100を後述する第2ガイド部材200とは反対側から、すなわち前方から覆っている。
【0045】
図2図5に示すように、第1ガイド部材100は、金属製の部材、より詳しくは、鋼板、ステンレス板、アルミニウム板等である金属薄板がプレス加工や折り曲げ加工等されてなる板金部材である。
【0046】
図5に示すように、第1ガイド部材100は、平坦部101及び湾曲部102を有する第1ガイド部材本体100Aと、固定部109A、109Bと、突起108A、108Bと、を有している。
【0047】
平坦部101は、上下方向及び幅方向に平坦に延びている。平坦部101は、その下端縁が前向きに短く折り曲げられることにより、撓み難くなっている。
【0048】
平坦部101は、切り欠き120を有している。切り欠き120は、平坦部101の下端縁における幅方向の中央から上向きに凹む略矩形状の凹部である。
【0049】
湾曲部102は、平坦部101の上端縁に接続している。湾曲部102は、平坦部101の上端縁から側面視略円弧状に湾曲し、かつ幅方向に延びている。湾曲部102の上端縁側は、後向きに上り傾斜するように突出している。
【0050】
固定部109Aは、平坦部101における幅方向の一方に位置する側端縁の上部から後向きに屈曲した後に幅方向の一方に向けて屈曲する小片である。固定部109Bは、平坦部101における幅方向の他方に位置する側端縁の上部から後向きに屈曲した後に幅方向の他方に向けて屈曲する小片である。
【0051】
突起108Aは、湾曲部102の上端縁における幅方向の一方に位置する角部から幅方向の一方に向けて突出している。突起108Bは、湾曲部102の上端縁における幅方向の他方に位置する角部から幅方向の他方に向けて突出している。
【0052】
図2に示すように、第1ガイド部材100は、固定部109A、109Bが第1フレーム部材91における幅方向の両端部にネジによって締結されることにより、第1フレーム部材91に固定されている。
【0053】
第1ガイド部材100の突起108Bは、第1フレーム部材91における幅方向の他方に位置する上端部と、第3フレーム部材93における幅方向の他方に位置する下端部とに挟持されている。
【0054】
図示は省略するが、第1ガイド部材100の突起108Aは、突起108Bと同様に、第1フレーム部材91における幅方向の一方に位置する上端部と、第3フレーム部材93における幅方向の一方に位置する下端部とに挟持されている。
【0055】
図3に示すように、第1ガイド部材100が第1フレーム部材91に固定された状態で、平坦部101は、湾曲部102よりも搬送方向D1の上流に位置して、鉛直方向に平坦に延びている。平坦部101の下端縁は、搬送ローラ23及びピンチローラ23Pのニップ位置N1よりも下方の位置、かつピンチローラ23Pから前方に若干離れた位置にある。
【0056】
また、その状態で、湾曲部102の上端縁は、レジストローラ24及びピンチローラ24Pのニップ位置から前方かつ下方に若干離れた位置にある。
【0057】
第1ガイド部材100は、第1ガイド面100Gを有している。第1ガイド部材本体100Aは、その後方を向く面によって第1ガイド面100Gを形成している。
【0058】
より詳しくは、平坦部101は、その後方を向く平面によって、第1ガイド面100Gにおける搬送方向D1の上流に位置する部分を形成している。湾曲部102は、その後方を向く湾曲面によって、第1ガイド面100Gにおける搬送方向D1の下流に位置して搬送方向D1を変化させる部分を形成している。
【0059】
このような第1ガイド面100Gは、ニップ位置N1よりも搬送方向D1の下流に位置してニップ位置N1を通過したシートSHの搬送方向D1を変化させる。
【0060】
<位置決め部>
図4及び図5に示すように、第1ガイド部材100は、2つの位置決め部110を有している。幅方向の一方に位置する位置決め部110は、切り欠き120から幅方向の一方に若干離れた位置にある。幅方向の他方に位置する位置決め部110は、切り欠き120から幅方向の他方に若干離れた位置にある。幅方向の一方に位置する位置決め部110と、幅方向の他方に位置する位置決め部110とは、勝手違いの同一形状である。
【0061】
図5に示すように、位置決め部110は、第1ガイド部材本体100Aを貫通する貫通孔であり、その貫通孔が第1貫通孔111及び第2貫通孔112を有している。第1貫通孔111は、内幅W1で平坦部101を貫通し、搬送方向D1に沿って上下方向に延在している。第2貫通孔112は、第1貫通孔111の内幅W1よりも狭い内幅W2で平坦部101を貫通し、搬送方向D1に沿って上下方向に延在している。
【0062】
第2貫通孔112は、第1貫通孔111に下方から連通している。第1貫通孔111における切り欠き120の近くで上下方向に延びる端縁と、第2貫通孔112における切り欠き120の近くで上下方向に延びる端縁とは、直線状に連続している。
【0063】
第1貫通孔111から第2貫通孔112に進む方向は、搬送方向D1の下流から上流に向かう方向である。
【0064】
<第1規制部>
図4及び図5に示すように、第1ガイド部材100は、第1規制部121を有している。第1規制部121は、切り欠き120の上端縁である。第1規制部121は、第1貫通孔111よりも上方に位置し、下を向きながら幅方向に直線状に延びている。
【0065】
換言すると、第1規制部121は、第1貫通孔111から搬送方向D1の下流に離れた位置にあり、かつ搬送方向D1の上流を向いている。
【0066】
<第2ガイド部材>
図1に示すように、画像形成装置1は、第2ガイド部材200を備えている。第2ガイド部材200は、湾曲経路P1Aの途中であって、湾曲経路P1Aの湾曲の外側に位置している。
【0067】
図2図4及び図6図10に示すように、第2ガイド部材200は、本実施例では、熱可塑性樹脂の射出成形等によって製造される樹脂成形品である。
【0068】
図6及び図7に示すように、第2ガイド部材200は幅方向に延びており、その幅方向の両端部から2つの延出部209が下向きに延出している。
【0069】
第2ガイド部材200における2つの延出部209の間で上向きに凹む凹部は、ピンチローラ23P、及びピンチローラ23Pを支持する部材との干渉を避けるための空間である。
【0070】
図6に示すように、第2ガイド部材200は、第2ガイド面200Gを有している。第2ガイド面200Gは、第2ガイド部材200における後方を向く面の上端縁から2つの延出部209における上下方向の中間位置まで延びる傾斜面である。
である。
【0071】
第2ガイド面200Gにおける搬送方向D1の上流端200G1は、第2ガイド面200Gの下端である。第2ガイド面200Gにおける搬送方向D1の下流端200G2は、第2ガイド面200Gの上端である。
【0072】
図8及び図9に示すように、第2ガイド面200Gは、搬送方向D1の上流端200G1から下流端200G2まで、鉛直上向きに対して若干前方に傾斜する方向に平面状に延びている。
【0073】
<当接部>
図7に示すように、第2ガイド部材200は、複数の当接部241、242、243を有している。
【0074】
当接部241は、第2ガイド部材200における第2ガイド面200Gとは反対側を向く前面200Fの上端部、かつ幅方向の中央部に位置している。当接部241は、前面200Fから前向きに短く突出する略直方体形状の凸部である。
【0075】
2つの当接部242は、第2ガイド部材200の前面200Fにおける幅方向の両端部から前向きに突出するリブの前端縁である。
【0076】
2つの当接部243は、第2ガイド部材200の2つの延出部209から前向きに突出するリブの前端縁である。
【0077】
図8に示すように、複数の当接部241、242、243は、第1ガイド部材100の平坦部101に後方から当接することで、第2ガイド面200Gの第1ガイド面100Gに対する前後方向の位置決めを行う。
【0078】
本実施例では、当接部241は、第2ガイド面200Gにおける搬送方向D1の下流端200G2と第1ガイド面100Gとの段差G1を小さくし、かつ段差G1が組付け誤差によってばらつくことを抑制するため、前向きの突出長さが0.2mm程度に設定されている。
【0079】
<係合部>
図7に示すように、第2ガイド部材200は、2つの係合部210を有している。2つの係合部210は、第2ガイド部材200における幅方向の両端部に位置している。幅方向の一方に位置する係合部210と、幅方向の他方に位置する係合部210とは、勝手違いの同一形状である。
【0080】
係合部210は、突出部211及び屈曲部212を有している。突出部211は、第2ガイド部材200の前面200F側に位置し、当接部242と当接部243との間で、前向きに突出している。屈曲部212は、突出部211の先端から屈曲し、第2ガイド部材200における幅方向の外側に向けて突出している。
【0081】
図8に示すように、屈曲部212における後方を向く面は、その下端側がその上端側よりも前方に位置するように傾斜している。
【0082】
図5に示すように、第1貫通孔111の内幅W1及び上下方向の長さは、屈曲部212及び突出部211の通過を許容する大きさに設定されている。第2貫通孔112の内幅W2及び上下方向の長さは、突出部211と嵌合する大きさに設定されている。
【0083】
第2ガイド部材200は、以下の手順で第1ガイド部材100に組み付けられる。すなわち、第2ガイド部材200を第1ガイド部材100に対して後方の位置から前向きに移動させ、第1ガイド部材100に向かって突出する突出部211と屈曲部212とを第1貫通孔111に進入させる。
【0084】
そして、突出部211及び屈曲部212が第1貫通孔111を通過する状態とした後、第2ガイド部材200を搬送方向D1の下流から上流に向かう方向に、すなわち下向きに移動させる。その結果、図4に示すように、屈曲部212が第2貫通孔112の周縁に係合し、その状態で、第2貫通孔112が突出部211と嵌合する。
【0085】
第2貫通孔112と突出部211との嵌合状態は、具体的には、第2貫通孔112が突出部211を幅方向において挟持し、かつ第2貫通孔112の下端と突出部211の下端とが当接する状態である。
【0086】
その結果、図8に示すように、複数の当接部241、242、243が第1ガイド部材100の平坦部101に後方から当接し、屈曲部212と共に平坦部101を挟持する。
【0087】
こうして、2つの位置決め部110と2つの係合部210とが係合して第2ガイド部材200が第1ガイド部材100に組み付けられることにより、図7及び図8に示すように、第2ガイド面200Gが第1ガイド面100Gに対して精度良く位置決めされる。
【0088】
第2ガイド面200Gは、ニップ位置N1と第1ガイド面100Gとの間に位置して搬送方向D1の下流に向かうにつれて第1ガイド面100Gに接近する。第2ガイド面200Gは、ニップ位置N1を通過したシートSHに当接して第1ガイド面100Gに向けて案内する。
【0089】
当接部241は、第2ガイド面200Gにおける搬送方向D1の下流端200G2と第1ガイド面100Gとの段差G1を小さくし、かつ段差G1が組付け誤差によってばらつくことを抑制する。このため、シートSHの後端は、第2ガイド面200Gに案内されて小さな段差G1を円滑に通過した後、第1ガイド面100Gに案内される。
【0090】
<第1被規制部及び返し形状部>
図7に示すように、第2ガイド部材200は、複数の第1被規制部221A、221B、221C及び2つの返し形状部222を有している。
【0091】
第1被規制部221A、221B、221Cは、第2ガイド部材200の前面200F側、かつ第2ガイド面200Gにおける搬送方向D1の下流端200G2側に位置している。
【0092】
第1被規制部221Aは、当接部241と、幅方向の一方に位置する当接部242との間で前面200Fから前向きに突出し、かつ上下方向に延びるリブ251Aの上端面である。第1被規制部221Bは、当接部241と、幅方向の他方に位置する当接部242との間で前面200Fから前向きに突出し、かつ上下方向に延びるリブ251Bの上端面である。
【0093】
第1被規制部221Cは、当接部241から若干下方に離れた位置で前面200Fから前向きに突出する凸部の上端面である。
【0094】
2つの返し形状部222は、第1被規制部221Cに下から隣接する状態で前面200Fから前向きに突出し、かつ幅方向に延びるリブ252における幅方向の両端部から上向きに突出している。
【0095】
2つの返し形状部222は、第1被規制部221A、221B、221Cに対して第2ガイド面200Gとは反対側に、すなわち前方に若干離れた位置にある。2つの返し形状部222は、第1規制部121から搬送方向D1の上流に、すなわち下向きに逃げた位置から搬送方向D1の下流に向けて、すなわち上向きに突出している。
【0096】
図4図9及び図10に示すように、第1規制部121は、第2貫通孔112が突出部211と嵌合する状態で、第1被規制部221A、221B、221Cに上から当接している。これにより、第1規制部121は、突出部211が第2貫通孔112から第1貫通孔111に抜けることを抑制できる。
【0097】
2つの返し形状部222は、第2ガイド部材200がユーザの指等に押されて後向きに移動し、第1規制部121が第1被規制部221A、221B、221Cに当接しなくなったときに、第1規制部121に引っ掛かることが可能である。これにより、2つの返し形状部222は、第2ガイド部材200が平坦部101から離れることを規制できる。
【0098】
<第2被規制部及び第2規制部>
図7に示すように、第2ガイド部材200は、2つの第2被規制部232を有している。幅方向の一方に位置する第2被規制部232は、幅方向の一方に位置するリブ251Aの下端に接続して前面200Fから前向きに突出し、かつ幅方向の一方に向かって延びるリブである。幅方向の他方に位置する第2被規制部232は、幅方向の他方に位置するリブ251Bの下端に接続して前面200Fから前向きに突出し、かつ幅方向の他方に向かって延びるリブである。
【0099】
図10に示すように、2つの第2被規制部232は、第2ガイド面200Gにおける搬送方向D1の上流端200G1側に位置し、インナーフロントカバー300に向かって前向きに突出している。
【0100】
インナーフロントカバー300は、2つの第2規制部302を有している。図10では、幅方向の一方に位置する第2被規制部232に対応する第2規制部302を図示し、幅方向の他方に位置する第2被規制部232に対応する第2規制部302は同様であるので図示を省略する。
【0101】
2つの第2規制部302は、第2ガイド部材200に向かって後向きに突出している。2つの第2規制部302は、第2貫通孔112が突出部211と嵌合する状態で、2つの第2被規制部232に搬送方向D1の下流から、すなわち上方から対向している。
【0102】
図10は、シートトレイ2Cが装置本体2から取り外されて、ピンチローラ23Pが装置本体2内に存在しなくなった状態を示している。この場合、ユーザが詰まったシートSHを取り除く作業を行うときに、ユーザの指等が第2ガイド部材200に当接するおそれがある。
【0103】
2つの第2規制部302は、第2ガイド部材200がユーザの指等に押されて搬送方向D1の下流に向けて、すなわち上向きに移動する場合でも、2つの第2被規制部232に上から当接することで、突出部211が第2貫通孔112から第1貫通孔111に抜けることを抑制できる。
【0104】
<作用効果>
実施例の画像形成装置1において、図8及び図9に示すように、第2ガイド部材200の第2ガイド面200Gは、ニップ位置N1と第1ガイド面100Gとの間に位置して搬送方向D1の下流に向かうにつれて第1ガイド面100Gに接近する。
【0105】
ここで、第1ガイド部材100の2つの位置決め部110は、第2ガイド部材200の2つの係合部210と係合して第2ガイド面200Gを第1ガイド面100Gに対して位置決めする。この構成により、仮に第2ガイド部材200が第1ガイド部材100とは異なる部材、例えば、インナーフロントカバー300等に対して位置決めされる構成と比較して、第2ガイド面200Gの第1ガイド面100Gに対する位置決め精度を向上させることができ、第2ガイド面200Gと第1ガイド面100Gとの段差G1を小さくできる。
【0106】
その結果、第2ガイド面200Gがニップ位置N1を通過したシートSHに当接して第1ガイド面100Gに向けて案内するときに、湾曲するシートSHの復元力が緩やかに解放され、さらに、第2ガイド面200Gと第1ガイド面100Gとの小さな段差G1を通過するシートSHの後端が跳ね難くなる。
【0107】
したがって、実施例の画像形成装置1は、ニップ位置N1と第1ガイド面100Gとの間でシートSHの跳ね音を抑制できる。
【0108】
また、この画像形成装置1は、図4及び図8に示すように、第1ガイド部材本体100Aを貫通する貫通孔である位置決め部110が係合部210のフック形状をなす突出部211及び屈曲部212と係合する簡素な構成により、第2ガイド面200Gを第1ガイド面100Gに対して位置決めし、かつ第2ガイド部材200を第1ガイド部材100に固定することができる。これにより、この画像形成装置1は、第2ガイド部材200を固定するためのネジ等の締結具を省略又は削減し易く、本実施例ではその締結具を無くしている。その結果、この画像形成装置1は、部品点数を削減できるとともに、締結具の配置スぺースの省略又は削減による小型化を実現できる。
【0109】
さらに、この画像形成装置1において、図3及び図5に示すように、第1ガイド部材本体100Aは、湾曲部102及び平坦部101を有している。位置決め部110は貫通孔であり、その貫通孔が第1貫通孔111と、第1貫通孔111よりも幅狭で第1貫通孔111に連通する第2貫通孔112とを有している。そして、図4に示すように、第2ガイド部材200を第1ガイド部材100に組み付ける作業時において、屈曲部212及び突出部211を第1貫通孔111に挿通させた後に第2貫通孔112に向けて下向きにスライドさせることで、屈曲部212が第2貫通孔112の周縁に係合する状態で、第2貫通孔112が突出部211と嵌合する。その結果、この画像形成装置1は、第2ガイド面200Gを第1ガイド面100Gに対して位置決めし、かつ第2ガイド部材200を第1ガイド部材100に固定することを容易に実現できる。また、この画像形成装置1は、第2ガイド部材200が第1ガイド部材100の平坦部101に沿ってスライドして平坦部101に固定される構成により、仮に第2ガイド部材200が第1ガイド部材100の湾曲部102に沿ってスライドして湾曲部102に固定される構成と比較して、第2ガイド面200Gの第1ガイド面100Gに対する位置決め精度を一層向上させることができる。
【0110】
また、この画像形成装置1において、第1貫通孔111から第2貫通孔112に進む下向きの方向は、搬送方向D1の下流から上流に向かう方向である。そして、図4図8及び図9に示すように、第1ガイド部材100の第1規制部121は、第2貫通孔112が突出部211と嵌合する状態で、第2ガイド部材200の第1被規制部221A、221B、221Cに上から当接する。この構成により、この画像形成装置1は、突出部211が第2貫通孔112から第1貫通孔111に抜けることを抑制でき、その結果、第2ガイド部材200を第1ガイド部材100に確実性高く固定できる。
【0111】
さらに、この画像形成装置1において、第2ガイド部材200は、2つの返し形状部222を有している。この構成により、第2ガイド部材200がユーザの指等に押されて平坦部101から離れるように後向きに移動し、第1規制部121が第1被規制部221A、221B、221Cに当接しなくなったときに、2つの返し形状部222が第1規制部121に引っ掛かることで、第2ガイド部材200が平坦部101から離れることを規制できる。その結果、この画像形成装置1は、第2ガイド部材200が第1ガイド部材100から外れる不具合を抑制できる。
【0112】
また、この画像形成装置1において、図7に示すように、第2ガイド部材200は、2つの第2被規制部232を有している。図10に示すように、インナーフロントカバー300は、2つの第2規制部302を有している。そして、2つの第2規制部302は、第2貫通孔112が突出部211と嵌合する状態で、2つの第2被規制部232に搬送方向D1の下流から、すなわち上方から対向している。この構成により、2つの第2規制部302は、第2ガイド部材200がユーザの指等に押されて搬送方向D1の下流に向けて、すなわち上向きに移動する場合でも、2つの第2被規制部232に上から当接することで、突出部211が第2貫通孔112から第1貫通孔111に抜けることを抑制できる。その結果、この画像形成装置1は、第2ガイド部材200を第1ガイド部材100に確実性高く固定できる。
【0113】
さらに、画像形成装置1は、図1に示すように、画像形成部3と、画像形成部3よりも下方に位置するシートトレイ2Cと、を備えている。そして、搬送ローラ23、ピンチローラ23P、第1ガイド部材100及び第2ガイド部材200は、シートトレイ2Cから画像形成部3に向かって上向きにUターンする湾曲経路P1Aの途中に位置している。つまり、搬送ローラ23、ピンチローラ23P、第1ガイド部材100及び第2ガイド部材200は、何ら対策を施さなければシートSHの跳ね音が生じ易い位置に配置されている。この点、この画像形成装置1は、位置決め部110及び係合部210により、第2ガイド面200Gの第1ガイド面100Gに対する位置決め精度を向上させることができ、第2ガイド面200Gと第1ガイド面100Gとの段差G1を小さくできることから、ニップ位置N1と第1ガイド面100Gとの間でシートSHの跳ね音を抑制できるという作用効果を確実性高く享受できる。
【0114】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0115】
実施例では、位置決め部110が係合部210と係合することで、第2ガイド面200Gを第1ガイド面100Gに対して位置決めし、かつ第2ガイド部材200を第1ガイド部材100に固定するが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、位置決め部が係合部と係合して第2ガイド面を第1ガイド面に対して位置決めした状態で、締結具によって第2ガイド部材を第1ガイド部材に固定する構成も、本発明に含まれる。
【0116】
実施例では、第2ガイド部材200を前向きに移動させて突出部211及び屈曲部212を位置決め部110に挿入し、次に第2ガイド部材200を下向きに移動させる2つの動作により、第2ガイド部材200を第1ガイド部材100に組み付けるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、第2ガイド部材を前向きに移動させて、スナップフィットである突出部及び屈曲部を位置決め部に挿入する1つの動作だけで、第2ガイド面を第1ガイド面に対して位置決めし、かつ第2ガイド部材を第1ガイド部材に固定する構成も、本発明に含まれる。
【0117】
実施例では、第1貫通孔111から第2貫通孔112に進む方向が搬送方向D1の下流から上流に向かう方向であり、第2ガイド部材200を搬送方向D1の下流から上流に向かう方向に移動させることで第2貫通孔112が突出部211と嵌合するが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、第1貫通孔から第2貫通孔に進む方向は、搬送方向の上流から下流に向かう方向であってもよいし、幅方向であってもよい。
【0118】
実施例では、第1ガイド部材100が板金部材であるが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、第1ガイド部材は、金属製であれば切削加工部材やダイキャスト成型部材等であってもよい。
【0119】
実施例では、位置決め部100が貫通孔であり、係合部210が位置決め部100に向かって突出するが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、係合部が貫通孔であり、位置決め部が係合部に向かって突出してもよい。
【0120】
実施例では、第1ガイド部材100及び第2ガイド部材200が湾曲経路P1Aの途中に位置しているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、第1ガイド部材及び第2ガイド部材は、搬送経路P1における定着器9から排出部29に向かって上向きにUターンする経路の途中に位置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は例えば、画像形成装置、画像読取装置又は複合機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0122】
1…シート搬送装置(画像形成装置)、N1…ニップ位置
SH…シート、D1…搬送方向
23、23P…搬送ローラ対(23…搬送ローラ、23P…ピンチローラ)
100G…第1ガイド面、100…第1ガイド部材
200G…第2ガイド面、210…係合部、200…第2ガイド部材
100A…第1ガイド部材本体、110…位置決め部(貫通孔)
211…突出部、212…屈曲部
102…湾曲部、101…平坦部、111…第1貫通孔
112…第2貫通孔、121…第1規制部
200G2…第2ガイド面における搬送方向の下流端
221A、221B、221C…第1被規制部
222…返し形状部
300…カバー部材(インナーフロントカバー)、302…第2規制部
200G1…第2ガイド面における搬送方向の上流端
232…第2被規制部、3…画像形成部、2C…シートトレイ
P1A…シートトレイから画像形成部に向かって上向きにUターンする経路(湾曲経路)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10