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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157993
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20221006BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B41J2/01 207
B41J2/165 211
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062566
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 善一郎
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA01
2C056EB08
2C056EB23
2C056EB38
2C056EB39
2C056EB40
2C056EB59
2C056EC24
2C056EC57
2C056FA10
(57)【要約】
【課題】回復しにくい異常ノズルを回復させるためのメンテナンス時間を減少させる。
【解決手段】プリンタの制御装置は、検査処理を行うための検査用駆動を行わせ、異常ノズルの数が閾値以上であるか否かを判定する第1モードと、当該検査用駆動を行わせない第2モードと、を選択的に設定する設定処理を実行する。そして、制御装置は、第1モードを設定している際に異常ノズルの数が閾値以上である状態が3日の間継続した場合、設定処理にて第2モードに設定する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッドと、
前記複数のノズルが液体の吐出に異常のある異常ノズルであるか否かを確認するための検査用駆動を前記液体吐出ヘッドに行わせた際に、前記複数のノズルが前記異常ノズルであるか否かを示す判定用信号を出力する信号出力部と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記検査用駆動を行わせ、前記信号出力部から送信された前記判定用信号に基づく前記異常ノズルの数が閾値以上であるか否かを判定する第1モードと、前記検査用駆動を行わせない第2モードと、を選択的に設定する設定処理を実行でき、
前記設定処理にて前記第1モードを設定している際に前記異常ノズルの数が前記閾値以上である状態が第1所定期間の間継続した場合、前記設定処理にて前記第2モードに設定することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッドと、
前記複数のノズルが液体の吐出に異常のある異常ノズルであるか否かを確認するための検査用駆動を前記液体吐出ヘッドに行わせた際に、前記複数のノズルが前記異常ノズルであるか否かを示す判定用信号を出力する信号出力部と、
前記ノズルから液体を排出させる回復動作を行う回復手段と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記検査用駆動を行わせ、前記信号出力部から送信された前記判定用信号に基づく前記異常ノズルの数が閾値以上である状態と判定された後に、前記回復手段に前記回復動作を行わせる第1モードと、前記検査用駆動を行わせ、前記信号出力部から送信された前記判定用信号に基づく前記異常ノズルの数が閾値以上である状態と判定された後であっても、前記回復手段に前記回復動作を行わせない第2モードと、を選択的に設定する設定処理を実行でき、
前記設定処理にて前記第1モードを設定している際に前記異常ノズルの数が前記閾値以上である状態が第2所定期間の間継続した場合、前記設定処理にて前記第2モードに設定することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記設定処理にて前記第2モードに設定した期間が、第3所定期間経過したら、前記第1モードに設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッドと、
前記複数のノズルが液体の吐出に異常のある異常ノズルであるか否かを確認するための検査用駆動を前記液体吐出ヘッドに行わせた際に、前記複数のノズルが前記異常ノズルであるか否かを示す判定用信号を出力する信号出力部と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記検査用駆動を行わせ、前記信号出力部から送信された前記判定用信号に基づく前記異常ノズルの数が閾値以上であるか否かを判定する第1モードと、前記検査用駆動を行わせない第2モードと、を選択的に設定する設定処理を実行でき、
前記設定処理にて前記第1モードを設定している際に、前記異常ノズルの数が前記閾値以上である状態と連続して判定された回数が、第1所定回数に達したら、前記設定処理にて前記第2モードに設定することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項5】
液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッドと、
前記複数のノズルが液体の吐出に異常のある異常ノズルであるか否かを確認するための検査用駆動を前記液体吐出ヘッドに行わせた際に、前記複数のノズルが前記異常ノズルであるか否かを示す判定用信号を出力する信号出力部と、
前記ノズルから液体を排出させる回復動作を行う回復手段と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記検査用駆動を行わせ、前記信号出力部から送信された前記判定用信号に基づく前記異常ノズルの数が閾値以上である状態と判定された後に、前記回復手段に前記回復動作を行わせる第1モードと、前記検査用駆動を行わせ、前記信号出力部から送信された前記判定用信号に基づく前記異常ノズルの数が閾値以上である状態と判定された後であっても、前記回復手段に前記回復動作を行わせない第2モードと、を選択的に設定する設定処理を実行でき、
前記設定処理にて前記第1モードを設定している際に、前記回復動作が第2所定回数行われる間に、前記異常ノズルの数が前記閾値以上である状態が継続している場合、前記設定処理にて前記第2モードに設定することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記設定処理にて前記第2モードを設定している際に、前記異常ノズルの数が前記閾値以上である状態と連続して判定された回数が、第3所定回数に達したら、前記設定処理にて前記第1モードに設定することを特徴とする請求項4又は5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
時刻を示す時刻信号を出力する時計部を、さらに備え、
検査用信号が、所定時刻であることを示す前記時刻信号であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記検査用駆動は、前記制御装置が、前記液体吐ヘッドを制御し、前記ノズルから液体を吐出させるものである請求項1~7のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記制御装置は、
前記設定処理にて前記第2モードを設定している際に、前記異常ノズルの数が前記閾値未満である状態と判定されたら、前記設定処理にて前記第1モードに設定することを特徴とする請求項2又は5に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッドと、
前記複数のノズルが液体の吐出に異常のある異常ノズルであるか否かを確認するための検査用駆動を前記液体吐出ヘッドに行わせた際に、前記複数のノズルが前記異常ノズルであるか否かを示す判定用信号を出力する信号出力部と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
第1条件及び前記第1条件とは異なる第2条件の少なくとも一方を満たした際に、前記検査用駆動を行わせ、前記信号出力部から送信された前記判定用信号に基づく前記異常ノズルの数が閾値以上であるか否かを判定する第1モードと、前記第1条件及び前記第2条件のうちの前記第2条件を満たした際にのみ、前記検査用駆動を行わせない第2モードと、を選択的に設定する設定処理を実行でき、
前記設定処理にて前記第1モードを設定している際に前記異常ノズルの数が前記閾値以上である状態が第1所定期間の間継続した場合、前記設定処理にて前記第2モードに設定することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項11】
前記第2条件は、(a)定刻になったこと、及び、(b)前記検査用駆動から所定期間が経過したこと、のいずれかであることを特徴とする請求項10に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記第2モードは、
前記第2モードの期間において、前記第1条件を満たした際の前記検査用駆動を1度しか行わせないことを特徴とする請求項10又は11に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を吐出する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから液体を吐出する液体吐出装置の一例として、特許文献1には、複数のノズルからインクを吐出して画像の記録を行うプリンタが記載されている。特許文献1に記載のプリンタでは、印刷ジョブがある場合に、印刷ヘッドの各ノズルからインクを吐出させてインクが正常に吐出されない吐出不良ノズル(異常ノズル)の有無を判定するノズル検査を行う。そして、吐出不良ノズルがある場合には、ノズルからインクを吸引する処理であるクリーニングを行う。また、クリーニング後、再度ノズル検査を行い、吐出不良ノズルがなくなるか、クリーニングの回数が所定回数となるまで、クリーニングを繰り返す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-214869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のプリンタにおいては、例えば、印刷ヘッドの複数のノズルが形成されているノズル面にキズがあり、当該キズによって吐出不良となった吐出不良ノズルに対しても繰り返しクリーニングを行う。しかしながら、この場合には、クリーニングを行っても、そのノズルの吐出不良は解消されない。つまり、無駄にメンテナンスの時間を使ってしまうこととなる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、回復しにくい異常ノズルを回復させるためのメンテナンス時間を減少させることが可能な液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体吐出装置は、第1の観点によると、液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッドと、前記複数のノズルが液体の吐出に異常のある異常ノズルであるか否かを確認するための検査用駆動を前記液体吐出ヘッドに行わせた際に、前記複数のノズルが前記異常ノズルであるか否かを示す判定用信号を出力する信号出力部と、制御装置と、を備えている。そして、前記制御装置は、前記検査用駆動を行わせ、前記信号出力部から送信された前記判定用信号に基づく前記異常ノズルの数が閾値以上であるか否かを判定する第1モードと、前記検査用駆動を行わせない第2モードと、を選択的に設定する設定処理を実行でき、前記設定処理にて前記第1モードを設定している際に前記異常ノズルの数が前記閾値以上である状態が第1所定期間の間継続した場合、前記設定処理にて前記第2モードに設定する。
【0007】
また、本発明の液体吐出装置は、第2の観点によると、液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッドと、前記複数のノズルが液体の吐出に異常のある異常ノズルであるか否かを確認するための検査用駆動を前記液体吐出ヘッドに行わせた際に、前記複数のノズルが前記異常ノズルであるか否かを示す判定用信号を出力する信号出力部と、前記ノズルから液体を排出させる回復動作を行う回復手段と、制御装置と、を備えている。そして、前記制御装置は、前記検査用駆動を行わせ、前記信号出力部から送信された前記判定用信号に基づく前記異常ノズルの数が閾値以上である状態と判定された後に、前記回復手段に前記回復動作を行わせる第1モードと、前記検査用駆動を行わせ、前記信号出力部から送信された前記判定用信号に基づく前記異常ノズルの数が閾値以上である状態と判定された後であっても、前記回復手段に前記回復動作を行わせない第2モードと、を選択的に設定する設定処理を実行でき、前記設定処理にて前記第1モードを設定している際に前記異常ノズルの数が前記閾値以上である状態が第2所定期間の間継続した場合、前記設定処理にて前記第2モードに設定する。
【0008】
また、本発明の液体吐出装置は、第3の観点によると、液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッドと、前記複数のノズルが液体の吐出に異常のある異常ノズルであるか否かを確認するための検査用駆動を前記液体吐出ヘッドに行わせた際に、前記複数のノズルが前記異常ノズルであるか否かを示す判定用信号を出力する信号出力部と、制御装置と、を備えている。そして、前記制御装置は、前記検査用駆動を行わせ、前記信号出力部から送信された前記判定用信号に基づく前記異常ノズルの数が閾値以上であるか否かを判定する第1モードと、前記検査用駆動を行わせない第2モードと、を選択的に設定する設定処理を実行でき、前記設定処理にて前記第1モードを設定している際に、前記異常ノズルの数が前記閾値以上である状態と連続して判定された回数が、第1所定回数に達したら、前記設定処理にて前記第2モードに設定する。
【0009】
また、本発明の液体吐出装置は、第4の観点によると、液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッドと、前記複数のノズルが液体の吐出に異常のある異常ノズルであるか否かを確認するための検査用駆動を前記液体吐出ヘッドに行わせた際に、前記複数のノズルが前記異常ノズルであるか否かを示す判定用信号を出力する信号出力部と、前記ノズルから液体を排出させる回復動作を行う回復手段と、制御装置と、を備えている。そして、前記制御装置は、前記検査用駆動を行わせ、前記信号出力部から送信された前記判定用信号に基づく前記異常ノズルの数が閾値以上である状態と判定された後に、前記回復手段に前記回復動作を行わせる第1モードと、前記検査用駆動を行わせ、前記信号出力部から送信された前記判定用信号に基づく前記異常ノズルの数が閾値以上である状態と判定された後であっても、前記回復手段に前記回復動作を行わせない第2モードと、を選択的に設定する設定処理を実行でき、前記設定処理にて前記第1モードを設定している際に、前記回復動作が第2所定回数行われる間に、前記異常ノズルの数が前記閾値以上である状態が継続している場合、前記設定処理にて前記第2モードに設定する。
【0010】
また、本発明の液体吐出装置は、第5の観点によると、液体を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッドと、前記複数のノズルが液体の吐出に異常のある異常ノズルであるか否かを確認するための検査用駆動を前記液体吐出ヘッドに行わせた際に、前記複数のノズルが前記異常ノズルであるか否かを示す判定用信号を出力する信号出力部と、制御装置と、を備えている。そして、前記制御装置は、第1条件及び前記第1条件とは異なる第2条件の少なくとも一方を満たした際に、前記検査用駆動を行わせ、前記信号出力部から送信された前記判定用信号に基づく前記異常ノズルの数が閾値以上であるか否かを判定する第1モードと、前記第1条件及び前記第2条件のうちの前記第2条件を満たした際にのみ、前記検査用駆動を行わせない第2モードと、を選択的に設定する設定処理を実行でき、前記設定処理にて前記第1モードを設定している際に前記異常ノズルの数が前記閾値以上である状態が第1所定期間の間継続した場合、前記設定処理にて前記第2モードに設定する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の液体吐出装置の第1の観点によると、第1所定期間の間、異常ノズルの数が閾値以上である状態が継続している場合、その異常ノズルは回復しにくいノズルであることが多い。そして、第1モードから第2モードに設定されることで検査用駆動を行わせない。このため、検査用駆動によるメンテナンス時間を減少させることができる。
また、本発明の液体吐出装置の第2の観点によると、第2所定期間の間、異常ノズルの数が閾値以上である状態が継続している場合、その異常ノズルは回復しにくいノズルであることが多い。そして、第1モードから第2モードに設定されることで回復動作を行わせない。このため、回復しにくい異常ノズルを回復させるための回復動作によるメンテナンス時間を減少させることができる。
また、本発明の液体吐出装置の第3の観点によると、異常ノズルの数が閾値以上である状態と連続して判定された回数が第1所定回数に達する場合、その異常ノズルは回復しにくいノズルであることが多い。そして、第1モードから第2モードに設定されることで、検査用駆動を行わせない。このため、検査用駆動によるメンテナンス時間を減少させることができる。
また、本発明の液体吐出装置の第4の観点によると、回復動作が第2所定回数行われる間に、異常ノズルの数が閾値以上である状態が継続している場合、その異常ノズルは回復しにくいノズルであることが多い。そして、第1モードから第2モードに設定されることで、回復動作を行わせない。このため、回復しにくい異常ノズルを回復させるための回復動作によるメンテナンス時間を減少させることができる。
また、本発明の液体吐出装置の第5の観点によると、第1所定期間の間、異常ノズルの数が閾値以上である状態が継続している場合、その異常ノズルは回復しにくいノズルであることが多い。そして、第1モードから第2モードに設定されることで、第2条件を満たした際にのみ、検査用駆動を行わせない。このため、検査用駆動によるメンテナンス時間を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係るプリンタの概略構成図である。
図2】キャップ内に配置された検出用電極、及び、検出用電極と高電圧電源回路及び判定回路との接続関係を説明するための図である。
図3】(a)はノズルからインクが吐出された場合の検出用電極の電圧値の変化を示す図であり、(b)はノズルからインクが吐出されなかった場合の検出用電極の電圧値の変化を示す図である。
図4】プリンタの電気的構成を示すブロック図である。
図5】プリンタの待機状態からの動作を示すフローチャートである。
図6図5に示す第1モード処理の流れを示すフローチャートである。
図7図5に示す第2モード処理の流れを示すフローチャートである。
図8】本発明の第2実施形態に係るプリンタの待機状態からの動作を示すフローチャートである。
図9】本発明の第3実施形態に係るプリンタの第2モード処理の流れを示すフローチャートである。
図10】本発明の第4実施形態に係るプリンタの待機状態からの動作を示すフローチャートである。
図11】本発明の第5実施形態に係るプリンタの第2モード処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0014】
<プリンタの全体構成>
図1に示すように、第1実施形態に係るプリンタ1(本発明の「液体吐出装置」)は、キャリッジ2、サブタンク3、インクジェットヘッド4(本発明の「液体吐出ヘッド」)、プラテン5、搬送ローラ6,7、メンテナンスユニット8などを含む。
【0015】
キャリッジ2は、走査方向に延びた2本のガイドレール11,12に支持されている。キャリッジ2は、図示しないベルトなどを介してキャリッジモータ86(図4参照)に接続されており、キャリッジモータ86を駆動させると、キャリッジ2がガイドレール11,12に沿って走査方向に移動する。なお、以下では、図1に示すように、走査方向の右側及び左側を定義して説明を行う。
【0016】
サブタンク3は、キャリッジ2に搭載されている。ここで、プリンタ1は、カートリッジホルダ13を含み、カートリッジホルダ13に4つのインクカートリッジ14が取り外し可能に装着されている。4つのインクカートリッジ14は、走査方向に並んでおり、走査方向の右側に配置されたものから、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインク(本発明の「液体」)を貯留している。サブタンク3は、4本のチューブ15を介してカートリッジホルダ13に装着された4つのインクカートリッジ14と接続されている。これにより、4つのインクカートリッジ14からサブタンク3に上記4色のインクが供給される。
【0017】
インクジェットヘッド4は、キャリッジ2に搭載され、サブタンク3の下端部に接続されている。インクジェットヘッド4には、サブタンク3から上記4色のインクが供給される。また、インクジェットヘッド4は、その下面であるノズル面4aに形成された複数のノズル10からインクを吐出する。より詳細に説明すると、複数のノズル10は、走査方向と直交する搬送方向に配列されることによってノズル列9を形成しており、ノズル面4aにおいて、4列のノズル列9が走査方向に並んでいる。複数のノズル10からは、走査方向の右側のノズル列9を構成するものから、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが吐出される。
【0018】
プラテン5は、インクジェットヘッド4の下方に配置され、複数のノズル10と対向している。プラテン5は、走査方向に記録用紙P(本発明の「被吐出媒体」)の全長にわたって延び、記録用紙Pを下方から支持する。搬送ローラ6は、インクジェットヘッド4及びプラテン5よりも搬送方向の上流側に配置されている。搬送ローラ7は、インクジェットヘッド4及びプラテン5よりも搬送方向の下流側に配置されている。搬送ローラ6,7は、図示しないギヤなどを介して搬送モータ87(図4参照)に接続されている。搬送モータ87を駆動させると、搬送ローラ6,7が回転し、記録用紙Pが搬送方向に搬送される。
【0019】
メンテナンスユニット8は、キャップ71と、吸引ポンプ72と、廃液タンク73とを含む。キャップ71は、プラテン5よりも走査方向の右側に配置されている。そして、キャリッジ2を、プラテン5よりも走査方向の右側のメンテナンス位置に位置させると、複数のノズル10がキャップ71と対向する。
【0020】
また、キャップ71は、キャップ昇降機構88(図4参照)によって昇降可能となっている。そして、キャリッジ2を上記メンテナンス位置に位置させることによって複数のノズル10とキャップ71とを対向させた状態で、キャップ昇降機構88によりキャップ71を上昇させると、キャップ71の上端部がノズル面4aに密着し、複数のノズル10がキャップ71に覆われる。なお、キャップ71はノズル面4aに密着することで複数のノズル10を覆うものであることには限られない。キャップ71は、例えば、インクジェットヘッド4のノズル面4aの周囲に配置される図示しないフレーム等に密着することで、複数のノズル10を覆うものであってもよい。
【0021】
吸引ポンプ72はチューブポンプなどであり、キャップ71及び廃液タンク73と接続されている。そして、メンテナンスユニット8では、上述したように複数のノズル10がキャップ71によって覆われた状態で吸引ポンプ72を駆動させると、複数のノズル10からインクジェットヘッド4内のインクを排出させる、いわゆる吸引パージ(回復動作)を行うことができる。吸引パージによって排出されたインクは廃液タンク73に貯留される。
【0022】
なお、ここでは、便宜上、キャップ71が全てのノズル10をまとめて覆い、吸引パージにおいて、全てのノズル10からインクジェットヘッド4内のインクを排出させるものとして説明を行ったが、これには限られない。例えば、キャップ71が、ブラックインクを吐出する最も右側のノズル列9を構成する複数のノズル10を覆う部分と、カラーインク(イエロー、シアン、マゼンタのインク)を吐出する左側3列のノズル列9を構成する複数のノズル10を覆う部分とを別々に有し、吸引パージにおいて、インクジェットヘッド4内のブラックインク及びカラーインクのいずれかを選択的に排出させることができるようになっていてもよい。あるいは、例えば、キャップ71が、ノズル列9毎に個別に設けられ、吸引パージにおいて、ノズル列9毎に個別に、ノズル10からインクを排出させることができるようになっていてもよい。
【0023】
また、図2に示すように、キャップ71内には、矩形の平面形状を有する検出用電極76が配置されている。検出用電極76は、抵抗79を介して高電圧電源回路77に接続されている。そして、検出用電極76には、後述する検査用駆動の際に、高電圧電源回路77により所定の正の電位(例えば600V程度)が付与される。一方で、インクジェットヘッド4は、グランド電位に保持されている。これにより、インクジェットヘッド4と検出用電極76との間に所定の電位差が生じる。検出用電極76には、判定回路78が接続されている。判定回路78は、検出用電極76から出力された信号の電位と、閾値Vtとを比較し、その結果に応じた信号を出力する。
【0024】
より詳細に説明すると、インクジェットヘッド4と、検出用電極76との間には電位差が生じているため、ノズル10から吐出されたインクは帯電している。キャリッジ2を上記メンテンナンス位置に位置させた状態で、ノズル10から検出用電極76に向けてインクを吐出させると、図3(a)に示すように、帯電したインクが検出用電極76に近づき、検出用電極76にインクが着弾するまで、検出用電極76の電位が、インクジェットヘッド4が駆動されていないときの電位Vaから低下し、電位Vaよりも低い電位Vbに達する。そして、帯電したインクが検出用電極76に着弾した後、検出用電極76の電位が徐々に上昇して電位Vaに戻る。すなわち、インクジェットヘッド4の駆動期間Tdにおいて、検出用電極76の電位が変化する。
【0025】
一方で、ノズル10からインクが吐出されていない場合には、図3(b)に示すように、インクジェットヘッド4の駆動期間Tdにおいて、検出用電極76の電位は、電位Vaからほとんど変化しない。そこで、判定回路78は、これらを区別するために閾値Vt(Va<Vt<Vb)が設定されている。そして、判定回路78は、インクジェットヘッド4の駆動期間Tdにおいて、検出用電極76から出力される電圧信号の最大の電位と閾値Vtとを比較し、その判定結果に応じた判定用信号を出力する。なお、本実施形態では、検出用電極76と、高電圧電源回路77と抵抗79と判定回路78とを合わせたものが、本発明の「信号出力部」に相当する。そして、この信号出力部は、ノズル10が、インクが吐出されない異常ノズルであるか否かに応じた判定用信号を出力する。
【0026】
また、ここでは、高電圧電源回路77により、検出用電極76に正の電位が付与されているが、高電圧電源回路77により、検出用電極76に負の電位(例えば-600V程度)が付与されていてもよい。この場合には、上述したのとは逆に、キャリッジ2を上記メンテンナンス位置に位置させた状態で、ノズル10から検出用電極76に向けてインクを吐出させると、帯電したインクが検出用電極76に近づき、検出用電極76にインクが着弾するまで、検出用電極76の電位が電位Vaから上昇し、検出用電極76にインクが着弾した後、検出用電極76の電位が徐々に低下して電位Vaに戻る。
【0027】
<プリンタの電気的構成>
次に、プリンタ1の電気的構成について説明する。図4に示すように、プリンタ1は、制御装置80を有している。制御装置80は、CPU(Central Processing Unit)81、ROM(Read Only Memory)82、RAM(Random Access Memory)83、フラッシュメモリ84、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)85などからなる。制御装置80は、キャリッジモータ86、インクジェットヘッド4、搬送モータ87、キャップ昇降機構88、吸引ポンプ72、高電圧電源回路77、ドライバIC89等の動作を制御する。なお、本実施形態では、制御装置80は、ドライバIC89を制御することによって、インクジェットヘッド4を制御している。また、制御装置80には、判定回路78から判定用信号が入力される。
【0028】
また、プリンタ1は、以上で説明した構成のほかに、表示部69と操作部70と時計部68とバッテリー66とを有している。表示部69は、例えば、プリンタ1の筐体に設けられた液晶ディスプレイなどである。制御装置80は、表示部69を制御して、プリンタ1の動作に必要な情報等を表示する。操作部70は、例えば、プリンタ1の筐体に設け設けられたボタン、表示部69に設けられたタッチパネルなどである。ユーザが操作部70を操作することによって、制御装置80に対する信号の入力を行うことができる。
【0029】
また、本実施形態では、操作部70が、図示しない電源スイッチを含んでいる。そして、ユーザが電源スイッチを操作することにより、プリンタ1の電源のオンとオフとを切り換えることができる。また、ユーザが操作部70の電源スイッチを操作してプリンタ1の電源をオンにしたときには、操作部70から、プリンタ1の電源がオンになったことを示す電源オン信号が出力され、制御装置80が、この電源オン信号を受信する。
【0030】
時計部68は時刻を計時しており、制御装置80は、時計部68から時刻を示す時刻信号(本発明の「検査用信号」)を受信する。バッテリー66は、少なくとも制御装置80及び時計部68に接続されている。プリンタ1には、図示しないコンセントから電源供給が行われ、このときバッテリー66が充電される。プリンタ1においてコンセントが抜かれた状態では、バッテリー66から少なくとも制御装置80及び時計部68に電力供給が行われる。
【0031】
なお、制御装置80は、CPU81のみが各種処理を行うものであってもよいし、ASIC85のみが各種処理を行うものであってもよいし、CPU81とASIC85とが協働して各種処理を行うものであってもよい。また、制御装置80は、1つのCPU81が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のCPU81が処理を分担して行うものであってもよい。また、制御装置80は、1つのASIC85が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のASIC85が処理を分担して行うものであってもよい。
【0032】
<待機状態からの制御>
次に、プリンタ1において、待機状態からの動作を示す制御装置80による制御について説明する。プリンタ1では、上記待機時に、制御装置80が図5のフローに沿って処理を行う。ここで、図5のフローは、コンセントあるいはバッテリー66から、制御装置80及び時計部68への電力供給が行われている間継続される。
【0033】
図5のフローについてより詳細に説明すると、制御装置80は、時計部68から受信した時刻信号が所定時刻であることを示しておらず(S101:NO)、前回の検査処理(後述する)から所定期間経過しておらず(S102:NO)、後述の記録指令信号を受信していない間は(S103:NO)、待機している。
【0034】
ここで所定期間は、後述の検査処理を定期的に行うための期間であり、制御装置80は、S102において、時計部68からの時刻信号と後述の検査履歴情報とに基づいて、前回の検査処理から所定期間が経過したか否かを判定する。
【0035】
また、時計部68から受信した時刻信号(本発明の「検査用信号」)が所定時刻であることを示しているときに(S101:YES)、制御装置80はS104に進む。本実施形態における所定時刻は、AM6:00などの早朝に設定されているが、特に限定するものではない。
【0036】
また、前回の検査処理から所定期間経過したときにも(S102:YES)、制御装置80はS104に進む。このとき、制御装置80は、検査処理を実行させるための検査フラグ情報をフラッシュメモリ84に記憶させる。前回の検査処理から所定期間経過することで、ノズル10内のインクの粘度が変わって、異常ノズルであるか否かの状態が変わることがある。そこで、本実施形態では、前回の検査処理から所定期間経過したときに、検査用駆動を行わせる。これにより、異常ノズルを正確に把握することができる。
【0037】
また、プリンタ1において記録用紙Pに記録を行うための記録指令信号を受信したときに(S103:YES)、制御装置80はS104に進む。記録指令信号は、プリンタ1で記録用紙Pに記録を行うことを指示する信号であって、外部機器などから制御装置80に送信される。
【0038】
制御装置80は、フラッシュメモリ84に第2モードに設定する第2モードフラグ情報が記憶されているか否かを判定する(S104)。フラッシュメモリ84に第1モードに設定する第1モードフラグ情報が記憶されている場合(S104:NO)、制御装置80は、異常フラグ情報の記憶が継続して3日(本発明の「第1所定期間」)経過しているかを判定する(S105)。S105において、制御装置80は、時計部68からの時刻信号と、記憶された異常フラグ情報とヒモ付けされた後述の検査履歴情報とに基づいて異常フラグ情報の記憶が継続して3日経過しているか否かを判定する。なお、第1モードとは後述の第1モード処理が実行されるモードを示し、第2モードとは後述の第2モード処理が実行されるモードを示す。また、異常フラグ情報とは、後述の検査処理において、ノズル10が異常ノズルである異常ノズルの数が閾値以上である場合に、フラッシュメモリ84に記憶されるフラグ情報である。
【0039】
フラッシュメモリ84に異常フラグ情報が記憶されていない、又は、異常フラグ情報が記憶されているもののその記憶が継続して3日経過していない場合(S105:NO)、第1モード処理に進む(S106)。
【0040】
フラッシュメモリ84の異常フラグ情報の記憶が継続して3日経過している場合(S105:YES)、第1モードから第2モードに設定する(S107:本発明の「設定処理」)。このとき、制御装置80は、フラッシュメモリ84に記憶されているモードフラグ情報を第2モードフラグ情報に更新する。なお、第2モードフラグ情報には更新した時刻情報も含まれる。この後、第2モード処理に進む(S108)。
【0041】
S104において、フラッシュメモリ84に第2モードフラグ情報が記憶されている場合(S104:YES)、制御装置80は、第2モードの設定期間が3日(本発明の「第3所定期間」)経過しているかを判定する(S109)。S109において、制御装置80は、時計部68からの時刻信号と、第2モードフラグ情報とに基づいて、フラッシュメモリ84に第2モードフラグ情報が記憶されてから3日経過しているかを判定する。なお、本実施形態においては、第2モードの設定期間が3日となっているが、適宜変更してもよく、特に限定するものではない。
【0042】
フラッシュメモリ84の第2モードフラグ情報の記憶が継続して3日経過していない場合(S109:NO)、第2モード処理に進む(S108)。
【0043】
フラッシュメモリ84の第2モードフラグ情報の記憶が継続して3日経過している場合(S109:YES)、第2モードから第1モードに設定する(S110:本発明の「設定処理」)。このとき、制御装置80は、フラッシュメモリ84に記憶されているモードフラグ情報を第1モードフラグ情報に更新する。この後、第1モード処理に進む(S106)。
【0044】
上述の実施形態においては、S101~S103よりS104に進んだ後に、S105,S107,S109,S110が実行されているが、これらS105,S107,S109,S110は、専用のフローにて独立して随時又は定期的に処理が行われて、第1及び第2モードのいずれかを設定する設定処理が行われていてもよい。
【0045】
<第1モード処理>
次に、第1モード処理について説明する。図6に示すように、第1モード処理では、制御装置80は、まず、受信した信号が記録指令信号であるかを判定する(S201)。制御装置80が、所定時刻であることを示す時刻信号を受信している場合、及び、フラッシュメモリ84に検査フラグ情報が記憶されている場合のいずれかであると(S201:NO)、検査処理を実行する(S202)。
【0046】
検査処理では、制御装置80は、インクジェットヘッド4を、複数のノズル10の各々から順にインクを吐出させるように駆動させる検査用駆動を行わせるための駆動信号をドライバIC89に送信する。このとき、制御装置80は、時計部68からの時刻信号に基づいて、検査用駆動が行われた時刻の情報である検査履歴情報をフラッシュメモリ84に記憶させる。そして、制御装置80は、検査用駆動時に判定回路78からノズル10毎に出力された判定用信号に基づいて、複数のノズル10のうち、異常ノズルであるノズル10をすべてフラッシュメモリ84に記憶させる。つまり、フラッシュメモリ84に記憶されている前回の異常ノズルであるノズル10の情報から、今回の異常ノズルであるノズル10の情報に更新させる。また、このとき、制御装置80は、フラッシュメモリ84に検査フラグ情報が記憶されている場合は、当該検査フラグ情報を消去する。
【0047】
制御装置80は、フラッシュメモリ84に記憶された異常ノズルの数が閾値以上であるか否かを判定する(S203)。フラッシュメモリ84に閾値以上のノズル10が記憶されている場合(S203:YES)、制御装置80は、フラッシュメモリ84に回復フラグ情報を記憶させる(S204)。なお、回復フラグ情報とは、検査処理において、ノズル10が異常ノズルである異常ノズルの数が閾値以上である場合に、後に吸引パージを実行させてノズル10の異常を回復させるために、フラッシュメモリ84に記憶させるフラグ情報である。
【0048】
制御装置80は、異常フラグ情報をフラッシュメモリ84に記憶させる(S205)。このとき、制御装置80は、記憶した異常フラグ情報と、当該異常フラグ情報に対応する検査処理における検査用駆動の時刻情報とをヒモ付けする。これにより、S105において、異常フラグ情報が記憶されてからの経過時間がわかる。なお、今回の検査用駆動前の検査用駆動に基づく異常フラグ情報がフラッシュメモリ84に記憶されていても、今回の検査用駆動における異常フラグ情報をフラッシュメモリ84に記憶する。こうして、第1モード処理を終了する。
【0049】
S203において、フラッシュメモリ84に記憶された異常ノズルの数が閾値未満である場合(S203:NO)、制御装置80は、フラッシュメモリ84に異常フラグ情報が記憶されている場合は、異常フラグ情報を消去する(S206)。このとき、制御装置80は、回復処理の回数である変数Cを0にリセットし、フラッシュメモリ84に回復フラグ情報が記憶されている場合は、回復フラグ情報を消去する。こうして、第1モード処理を終了する。
【0050】
S201において、受信した信号が記録指令信号である場合(S201:YES)、制御装置80は、時計部68からの時刻信号と、フラッシュメモリ84に記憶された検査履歴情報とに基づいて、1日の間に検査処理を実行したかを判定する(S207)。本実施形態における1日とは、AM0:00~次の日のAM0:00までをいうが、24時間であれば、開始時間と終了時間は適宜設定してもよい。本実施形態における制御装置80は、S207において、検査履歴情報の中に、AM0:00から所定時刻(AM6:00)までの間に検査処理を1度でも実行しているかを判定する。
【0051】
検査処理が1度も実行されていない場合(S207:NO)、制御装置80は、S202と同様な、検査処理を実行する(S208)。この後、制御装置80は、S203~S206と同様なS209~S212を実行する。
【0052】
検査処理が1度でも実行されている場合(S207:YES)、制御装置80は、フラッシュメモリ84に回復フラグ情報が記憶されているかを判定する(S213)。
【0053】
S211の後、及び、S213においてフラッシュメモリ84に回復フラグ情報が記憶されている場合(S213:YES)、制御装置80は、回復処理を実行する(S214)。
【0054】
本実施形態における回復処理では、制御装置80は、吸引パージを行わせる。そして、吸引パージの完了後、制御装置80は、フラッシュメモリ84に記憶されている回復フラグ情報を消去する。
【0055】
S212,S214の後、及び、S213においてフラッシュメモリ84に回復フラグ情報が記憶されていない場合(S213:NO)、制御装置80は、印刷処理を実行する(S215)。つまり、制御装置80は、記録指令信号に基づいて、図示しない給紙機構、及び、搬送モータ87を制御して、給紙機構に記録用紙Pを供給させるとともに、搬送ローラ6,7に、記録用紙Pを、記録用紙Pの最初の記録パスで画像が記録される領域がインクジェットヘッド4の複数のノズル10と対向する位置まで搬送させる。そして、制御装置80は、キャリッジモータ86を制御してキャリッジ2を走査方向に移動させつつ、ドライバIC89を制御して複数の駆動素子を駆動させることによってインクジェットヘッド4に複数のノズル10から記録用紙Pに向けてインクを吐出させる記録パス、を行わせる。
【0056】
この後、制御装置80は、1枚の記録用紙Pへの記録が完了していない場合には、搬送モータ87を制御して、搬送ローラ6,7に記録用紙Pを所定距離搬送させ、再度、記録パスを行わせる動作を1枚の記録用紙Pへの記録が完了するまで繰り返し行う。1枚の記録用紙Pへの画像の記録が完了した場合には、制御装置80は、搬送モータ87を制御して、搬送ローラ6,7に記録が完了した記録用紙Pを排出させる。こうして、第1モード処理が終了する。なお、変形例として、第1モード処理におけるS207及びS213を実行しなくてもよい。
【0057】
<第2モード処理>
次に、第2モード処理について説明する。図7に示すように、第2モード処理では、制御装置80は、まず、受信した信号が記録指令信号であるかを判定する(S301)。所定時刻であることを示す時刻信号を受信している場合、及び、フラッシュメモリ84に検査フラグ情報が記憶されている場合のいずれかであると(S301:NO)、第2モード処理が終了する。このとき、制御装置80は、フラッシュメモリ84に検査フラグ情報が記憶されている場合は、当該検査フラグ情報を消去する。
【0058】
S301において、受信した信号が記録指令信号である場合(S301:YES)、制御装置80は、S213と同様に、フラッシュメモリ84に回復フラグ情報が記憶されているかを判定する(S302)。この後、上述のS214,S215と同様のS303,S304が行われる。こうして、第2モード処理が終了する。
【0059】
変形例として、第2モード処理においては、S301からS302に進み、フラッシュメモリ84に回復フラグ情報が記憶されていても回復処理を実行せずに、印刷処理を実行してもよい。これにより、回復処理を行うためのメンテナンス時間を省略することが可能となる。この結果、記録指令信号を受信してから印刷処理を開始するまでの時間が短くなる。また、回復処理を実行しないため、インクの消費も抑制することができる。
【0060】
以上に述べたように、本実施形態のプリンタ1によると、異常フラグ情報がフラッシュメモリ84に記憶された期間(すなわち、異常ノズルの数が閾値以上である状態が継続する期間)が3日(第1所定期間)経過している場合、その異常ノズルは回復しにくいノズルであることが多い。この場合(S105:YES)、S107において、制御装置80が第1モードから第2モードに設定する。このため、S101~S103を経て第2モード処理に進んでも、検査用駆動を行わせない。このため、検査用駆動による検査処理が行われないため、メンテナンス時間を減少させることができる。また、検査用駆動を行わせないため、インクの消費も抑制することができる。
【0061】
また、制御装置80は、S109において第2モードの設定期間(第2モードフラグ情報が記憶される期間)が3日(第3所定期間)経過したら、S110において第1モードに設定する。これにより、第2モードに設定している間に、環境の変化に伴って異常ノズルが回復しやすい状態になることがある。この場合、3日経過後に、第1モードに設定されるため、検査用駆動を行うことが可能となり、ノズルが回復しているか否かを検査することが可能となる。
【0062】
また、検査処理を行うための検査用駆動の契機となる検査用信号が、時計部68から所定時刻に出力される時刻信号である。これにより、所定時刻であることを示す信号を受信することで、検査用駆動が行われ、ノズルが回復しているか否かを検査することが可能となる。
【0063】
また、検査処理で実行される検査用駆動が、ノズル10からインクを吐出させるように駆動させるものである。このようにノズル10が異常ノズルであるか否かを検査する際に、ノズル10からインクを吐出させて判定するため、ノズル10からインクを吐出させずに検査をするものよりも、当該判定精度が向上する。
【0064】
続いて、第2実施形態に係るプリンタについて、図8を参照しつつ以下に説明する。本実施形態におけるプリンタは、第1実施形態のプリンタ1の待機状態からの動作フローにおけるS105,S109が異なるだけで、それ以外は同様である。このため、第1実施形態と同様なものについては、同符号で示し説明を省略する。
【0065】
<待機状態からの制御>
本実施形態におけるプリンタでは、制御装置80が図8のフローに沿って処理を行う。制御装置80は、上述のS101~S104と同様な、S401~S404を行う。
【0066】
フラッシュメモリ84に第1モードフラグ情報が記憶されている場合(S404:NO)、制御装置80は、異常ノズルの数が閾値以上である状態と連続して判定された回数が3回(本発明の「第1所定回数」)に達しているかを判定する(S405)。つまり、制御装置80は、フラッシュメモリ84に記憶された検査履歴情報と異常フラグ情報(検査用駆動の時刻情報)とに基づいて、異常ノズルの数が閾値以上である状態と連続して判定された回数が3回に達しているかを判定する。
【0067】
当該連続して判定された回数が3回未満の場合(S405:NO)、上述のS106と同様な第1モード処理に進む(S406)。
【0068】
当該連続して判定された回数が3回に達している場合(S405:YES)、上述のS107と同様に、第1モードから第2モードに設定する(S407:本発明の「設定処理」)。この後、上述のS108と同様な第2モード処理に進む(S408)。
【0069】
S404において、フラッシュメモリ84に第2モードフラグ情報が記憶されている場合(S404:YES)、制御装置80は、異常ノズルの数が閾値以上である状態と連続して判定された回数が3回(本発明の「第3所定回数」)に達しているかを判定する(S409)。つまり、制御装置80は、S405と同様な処理を実行する。
【0070】
当該連続して判定された回数が3回未満の場合(S409:NO)、第2モード処理に進む(S408)。
【0071】
当該連続して判定された回数が3回に達している場合(S409:YES)、上述のS110と同様に、第2モードから第1モードに設定する(S410:本発明の「設定処理」)。この後、第1モード処理に進む(S406)。
【0072】
本実施形態においても、これらS405,S407,S409,S410は、専用のフローにて独立して随時又は定期的に処理が行われて、第1及び第2モードのいずれかを設定する設定処理が行われていてもよい。
【0073】
以上に述べたように、本実施形態のプリンタによると、異常ノズルの数が閾値以上である状態と連続して判定された回数が3回(第1所定回数)に達する場合、その異常ノズルは回復しにくいノズルであることが多い。この場合(S405:YES)、S407において、制御装置80が第1モードから第2モードに設定する。このため、S401~S403を経て第2モード処理に進んでも、検査用駆動を行わせない。このため、検査用駆動による検査処理が行われないため、メンテナンス時間を減少させることができる。また、検査用駆動を行わせないため、インクの消費も抑制することができる。
【0074】
また、S409において異常ノズルの数が閾値以上である状態と連続して判定された回数が3回(第3所定回数)に達したら、S410において第1モードに設定する。これにより、第2モードに設定している間に、環境の変化に伴って異常ノズルが回復しやすい状態になることがある。この場合、異常ノズルの数が閾値以上であると連続して判定された回数が3回に達したら、第1モードに設定されるため、検査用駆動を行うことが可能となり、ノズルが回復しているか否かを検査することが可能となる。
【0075】
続いて、第3実施形態に係るプリンタについて、図9を参照しつつ以下に説明する。本実施形態におけるプリンタは、第1実施形態のプリンタ1の第2モード処理が異なるだけで、それ以外は同様である。このため、第1実施形態と同様なものについては、同符号で示し説明を省略する。
【0076】
<第2モード処理>
本実施形態におけるプリンタでは、制御装置80が図9のフローに沿って第2モード処理を行う。制御装置80は、まず、上述のS201と同様に、受信した信号が記録指令信号であるかを判定する(S501)。制御装置80が、所定時刻であることを示す時刻信号を受信している場合、及び、フラッシュメモリ84に検査フラグ情報が記憶されている場合のいずれかであると(S501:NO)、上述のS202と同様な検査処理を実行する(S502)。
【0077】
この後、上述のS203~S205と同様なS503,S504を実行する。S503において、フラッシュメモリ84に記憶された異常ノズルの数が閾値未満である場合(S503:NO)、制御装置80は、フラッシュメモリ84に異常フラグ情報が記憶されている場合は、異常フラグ情報を消去する(S505)。このとき、制御装置80は、回復処理の回数である変数Cを0にリセットし、フラッシュメモリ84に回復フラグ情報が記憶されている場合は、回復フラグ情報を消去する。また、このとき、制御装置80は、フラッシュメモリ84に記憶されているモードフラグ情報を第1モードフラグ情報に更新する(本発明の「設定処理」)。こうして、第2モード処理を終了する。
【0078】
S501において、受信した信号が記録指令信号である場合(S501:YES)、制御装置80は、S502と同様な、検査処理を実行する(S506)。この後、制御装置80は、S503~S505と同様なS507~S509を実行する。
【0079】
次に、制御装置80は、上述のS215と同様な、印刷処理を実行する(S510)。こうして、第2モード処理が終了する。
【0080】
以上に述べたように、本実施形態のプリンタによると、上述の第1実施形態と同様に、異常フラグ情報がフラッシュメモリ84に記憶された期間(すなわち、異常ノズルの数が閾値以上である状態が継続する期間)が3日(本発明の「第2所定期間」)経過している場合、その異常ノズルは回復しにくいノズルであることが多い。この場合(S105:YES)、S107において、制御装置80が第1モードから第2モードに設定する。本実施形態においては、S101~S103を経て第2モード処理に進んだ場合、検査用駆動を行っても、回復処理(回復動作:吸引パージ)を行わせない。このため、回復しにくい異常ノズルを回復させるための回復処理が行われないため、メンテナンス時間を減少させることができる。また、回復処理を実行しないため、インクの消費も抑制することができる。なお、上述の各実施形態と同様な構成においては、同じ効果を得ることができる。
【0081】
また、第2モード処理に設定している際に、異常ノズルの数が閾値未満である状態と判定された場合(S503:NO、S507:NO)、制御装置80は、S505,S509において、第1モードに設定する。これにより、第2モードに設定している間に、異常ノズルの数が閾値未満となって異常ノズルが回復しやすい状態になることがある。この場合、第1モードに設定されるため、検査用駆動を行うことが可能となり、ノズルが回復しているか否かを検査することが可能となる。
【0082】
続いて、第4実施形態に係るプリンタについて、図10を参照しつつ以下に説明する。本実施形態におけるプリンタは、第3実施形態のプリンタの待機時におけるS105,S109が異なるだけで、それ以外は同様である。このため、第3実施形態と同様なものについては、同符号で示し説明を省略する。
【0083】
<待機状態からの制御>
本実施形態におけるプリンタでは、制御装置80が図10のフローに沿って処理を行う。制御装置80は、上述のS101~S104と同様な、S601~S604を行う。
【0084】
フラッシュメモリ84に第1モードフラグ情報が記憶されている場合(S604:NO)、制御装置80は、回復処理が3回(本発明の「第2所定回数」)行われる間に、異常ノズルの数が閾値以上である状態が継続しているかを判定する(S605)。本実施形態においては、フラッシュメモリ84に異常フラグ情報が記憶されるときに、回復処理を実行するための回復フラグ情報が記憶され、異常フラグ情報が消去されるときに回復処理の回数がリセットされる。これより、制御装置80は、フラッシュメモリ84に記憶された回復処理の回数が3回以上であるか否かを判定する。
【0085】
回復処理の回数が3回未満の場合(S605:NO)、上述のS106と同様な第1モード処理に進む(S606)。
【0086】
回復処理の回数が3回以上の場合(S605:YES)、上述のS107と同様に、第1モードから第2モードに設定する(S607:本発明の「設定処理」)。この後、上述のS108と同様な第2モード処理に進む(S608)。
【0087】
S604において、フラッシュメモリ84に第2モードフラグ情報が記憶されている場合(S604:YES)、制御装置80は、上述のS409と同様に、異常ノズルの数が閾値以上である状態と連続して判定された回数が3回(本発明の「第3所定回数」)に達しているかを判定する(S609)。
【0088】
当該連続して判定された回数が3回未満の場合(S609:NO)、第2モード処理に進む(S608)。
【0089】
当該連続して判定された回数が3回に達している場合(S609:YES)、上述のS110と同様に、第2モードから第1モードに設定する(S610:本発明の「設定処理」)。この後、第1モード処理に進む(S606)。
【0090】
本実施形態においても、これらS605,S607,S609,S610は、専用のフローにて独立して随時又は定期的に処理が行われて、第1及び第2モードのいずれかを設定する設定処理が行われていてもよい。
【0091】
以上に述べたように、本実施形態のプリンタによると、回復処理が3回行われる間に、異常ノズルの数が閾値以上である状態が継続している場合、その異常ノズルは回復しにくいノズルであることが多い。この場合(S605:YES)、S607において、制御装置80が第1モードから第2モードに設定する。本実施形態においては、S601~S603を経て第2モード処理に進んだ場合、上述の第3実施形態と同様に、検査用駆動を行っても、回復処理(回復動作:吸引パージ)を行わせない。このため、回復しにくい異常ノズルを回復させるための回復処理が行われないため、メンテナンス時間を減少させることができる。また、回復処理を実行しないため、インクの消費も抑制することができる。なお、上述の各実施形態と同様な構成においては、同じ効果を得ることができる。
【0092】
続いて、第5実施形態に係るプリンタについて、図11を参照しつつ以下に説明する。本実施形態におけるプリンタは、第1実施形態のプリンタ1の第2モード処理が異なるだけで、それ以外は同様である。このため、第1実施形態と同様なものについては、同符号で示し説明を省略する。本実施形態においては、記録指令信号を受信したときが、本発明の「第1条件」を満たすこととなる。また、所定時刻であることを示す時刻信号を受信したときが、本発明の「第2条件」を満たすこととなる。また、検査フラグ情報が記憶されていることが、本発明の「第2条件」を満たすこととなる。
【0093】
<第2モード処理>
本実施形態におけるプリンタでは、制御装置80が図11のフローに沿って第2モード処理を行う。制御装置80は、まず、上述のS301と同様に、受信した信号が記録指令信号であるかを判定する(S701)。制御装置80が、所定時刻であることを示す時刻信号を受信している場合、及び、フラッシュメモリ84に検査フラグ情報が記憶されている場合のいずれかであると(S701:NO)、第2モード処理が終了する。
【0094】
S701において、受信した信号が記録指令信号である場合(S701:YES)、制御装置80は、上述のS207と同様に、1日の間に検査処理を実行したかを判定する(S702)。S702において、検査処理が1度でも実行されている場合(S702:YES)、制御装置80は、上述のS213と同様に、フラッシュメモリ84に回復フラグ情報が記憶されているかを判定する(S709)。
【0095】
検査処理が1度も実行されていない場合(S702:NO)、制御装置80は、上述のS506と同様な、検査処理を実行する(S703)。この後、制御装置80は、上述のS507,S508と同様なS704,S705を実行する。
【0096】
S705の後、及び、S709においてフラッシュメモリ84に回復フラグ情報が記憶されている場合(S709:YES)、制御装置80は、上述のS214と同様なS706を実行する。
【0097】
S704において、フラッシュメモリ84に記憶された異常ノズルの数が閾値未満である場合(S704:NO)、制御装置80は、フラッシュメモリ84に異常フラグ情報が記憶されている場合は、異常フラグ情報を消去する(S707)。このとき、制御装置80は、回復処理の回数である変数Cを0にリセットし、フラッシュメモリ84に回復フラグ情報が記憶されている場合は、回復フラグ情報を消去する。また、このとき、制御装置80は、フラッシュメモリ84に記憶されているモードフラグ情報を第1モードフラグ情報に更新する(本発明の「設定処理」)。
【0098】
S706,S707の後、及び、S709においてフラッシュメモリ84に回復フラグ情報が記憶されていない場合(S709:NO)、制御装置80は、上述のS510と同様な、印刷処理を実行する(S708)。こうして、第2モード処理が終了する。
【0099】
以上に述べたように、本実施形態のプリンタによると、第1実施形態と同様に、異常フラグ情報がフラッシュメモリ84に記憶された期間(すなわち、異常ノズルの数が閾値以上である状態が継続する期間)が3日(第1所定期間)経過している場合、その異常ノズルは回復しにくいノズルであることが多い。この場合(S105:YES)、S107において、制御装置80が第1モードから第2モードに設定する。本実施形態においては、S101~S103を経て第2モード処理に進んだ場合、記録指令信号を受信したとき(本発明の「第1条件」)、所定時刻であることを示す時刻信号を受信したとき(本発明の「第2条件(a)」)、及び、フラッシュメモリ84に検査フラグ情報が記憶されている場合(本発明の「第2条件(b)」)のうちの、記録指令信号を受信したとき以外の場合に、検査用駆動を行わせない。このため、検査用駆動によるメンテナンス時間を減少させることができる。また、検査用駆動を行わせないため、インクの消費も抑制することができる。
【0100】
また、制御装置80は、第2モード処理において、記録指令信号を受信しているときは、検査処理、すなわち、検査用駆動を1日(本発明の「第2モードの期間」)に1度しか行わせない。これにより、第2モードが設定されている期間中に検査用駆動が1度しか行われないため、効果的にメンテナンス時間を減少させることができる。また、検査用駆動が1度しか行われないため、インクの消費も抑制することができる。
【0101】
上述の各実施形態では、吸引パージを行うメンテナンスユニット8が、本発明の「回復手段」に相当する。変形例として、フラッシングを行うインクジェットヘッド4も回復手段の一部としてもよい。そして、フラッシングと吸引パージとを合わせたものが、本発明の「回復動作」であってもよい。また、インクジェットヘッド4だけを回復手段としてもよい。この場合、回復処理として行うフラッシングが本発明の「回復動作」に相当する。なお、フラッシングは、制御装置80がインクジェットヘッド4に、複数の異常ノズルからインクを排出させることである。
【0102】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。上述の各実施形態における検査用駆動の契機が、記録指令信号、所定時刻を示す時刻信号及び検査フラグ情報の記憶であったが、これ以外の契機によって検査処理を行うための検査用駆動が実行されてもよい。
【0103】
また、上述の各実施形態では、インクジェットヘッド4の全てのノズル10について、検査用駆動を行わせたが、これには限られない。例えば、各ノズル列9における1つおきのノズル10等、インクジェットヘッド4の一部のノズル10についてのみ、検査用駆動を行わせ、それ以外のノズル10については、当該検査用駆動時に判定回路78から出力された判定用信号に基づいて、異常ノズルであるか否かを推定してもよい。
【0104】
また、上述の実施形態では、ノズル10から検出用電極76に向けてインクを吐出させたときの検出用電極76の電位に応じて、判定回路78が異常ノズルであるか否かに応じた信号を出力したが、これには限られない。
【0105】
例えば、鉛直方向に延びた検出用電極を配置し、ノズル10から検出用電極と対向する領域を通過するようにインクを吐出させたときの検出用電極の電位に応じて、判定回路から、異常ノズルであるか否かに応じた信号を出力してもよい。あるいは、ノズル10から吐出されたインクを検出する光センサ(本発明の「信号出力部」)を設け、光センサから、異常ノズルであるか否かに応じた信号を出力してもよい。
【0106】
あるいは、例えば、特許第4929699号公報に記載されているのと同様に、インクジェットヘッドのノズルが形成されたプレートに、ノズルからインクが吐出されたときの電圧の変化を検出する電圧検出回路(本発明の「信号出力部」)を接続して、電圧検出回路から制御装置80に、異常ノズルであるか否かに応じた信号を出力するようにしてもよい。
【0107】
あるいは、例えば、特許第6231759号公報に記載されているのと同様に、インクジェットヘッドの基板を、温度検知素子(本発明の「信号出力部」)を備えたものとしてもよい。そして、インクの吐出のために第1印加電圧を印加してヒータを駆動した後に、インクが吐出されないように第2印加電圧を印加してヒータを駆動し、第2印加電圧を印加してから、その後、所定時間が経過するまでの間の、温度検知素子で検知された温度の変化に基づいて、ノズル10が異常ノズルであるか否かに応じた信号を出力するようにしてもよい。
【0108】
また、以上の例では、インクが吐出されないノズル10を異常ノズルと判定したが、これには限られない。例えば、ノズル10からのインクの吐出方向が正常であるか否かに応じた信号を出力する信号出力部を設け、この信号出力部からの信号に基づいて、吐出方向に異常のあるノズル10を異常ノズルと判定してもよい。
【0109】
また、インクが吐出されないこと以外の異常ノズルの状態に応じた信号を出力する信号出力部を設け、信号出力部からの信号に基づいて、異常ノズルの状態に関する情報を取得してもよい。異常ノズルの状態とは、例えば、異常ノズルにおいて、インクの吐出方向に異常がある、しぶきが発生する、気泡が混入している、紙粉が詰まっている等の状態のことである。このとき、検査用駆動としては、ノズル10からインクを吐出させない程度にインクに圧力を付与し、当該ノズル10近傍のインクを振動させてもよい。そして、このノズル10近傍のインクの振動状況に応じた信号を信号出力部から出力させて、異常ノズルの状態に関する情報を取得してもよい。
【0110】
また、回復処理において吸引パージを行わせたが、これには限られない。例えば、サブタンク3とインクカートリッジ14とを接続するチューブ15の途中部分に加圧ポンプが設けられていてもよい。あるいは、プリンタにインクカートリッジと接続された加圧ポンプが設けられていてもよい。そして、複数のノズル10がキャップ71で覆われた状態で、上記加圧ポンプを駆動させることで、インクジェットヘッド4内のインクを加圧してノズル10からインクジェットヘッド4内のインクを排出させる、いわゆる加圧パージを行ってもよい。
【0111】
さらには、パージ処理において、吸引ポンプ72による吸引と加圧ポンプによる加圧の両方を行わせてもよい。
【0112】
また、キャリッジとともに走査方向に移動しつつ複数のノズルからインクを吐出する、いわゆるシリアルヘッドを備えたプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。例えば、走査方向に記録用紙Pの全長にわたって延びたいわゆるラインヘッドを備えたプリンタに本発明を適用することも可能である。
【0113】
また、ノズルからインクを吐出して記録用紙Pに記録を行うプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。Tシャツ、屋外広告用のシート、スマートフォン等の携帯端末のケース、段ボール、樹脂部材など、記録用紙以外の被記録媒体に画像を記録するプリンタにも適用され得る。また、インク以外の液体、例えば、液体状にした樹脂や金属を吐出する液体吐出装置にも適用され得る。
【符号の説明】
【0114】
1 プリンタ(液体吐出装置)
4 インクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)
8 メンテナンスユニット(回復手段)
10 ノズル
76 検出用電極(信号出力部の一部)
77 高電圧電源回路(信号出力部の一部)
78 判定回路(信号出力部の一部)
79 抵抗(信号出力部の一部)
80 制御装置
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