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特開2022-158026コンピュータプログラム、管理方法、および、管理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158026
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】コンピュータプログラム、管理方法、および、管理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20221006BHJP
   G06Q 10/00 20120101ALI20221006BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20221006BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
G06F3/12 334
G06F3/12 310
G06F3/12 373
G06F3/12 378
G06Q10/00 300
G03G21/00 388
G03G21/00 512
B41J29/38 801
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062627
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001058
【氏名又は名称】鳳国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】秦 愛
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5L049
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061HJ08
2C061HN04
2C061HN15
2C061HP06
2H270KA60
2H270LA53
2H270LA60
2H270LA71
2H270MF08
2H270NA01
2H270NA12
2H270NB01
2H270NC07
2H270NC09
2H270NC14
2H270RA02
2H270RA03
2H270RA08
2H270RC02
2H270RC03
2H270RC05
2H270RC16
2H270ZC03
2H270ZC04
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】プリンタが貸し出される前に部材を交換すべきか否かを判断する。
【解決手段】
複数のユーザのそれぞれのプリンタの使用履歴を含む履歴情報を示す履歴データを参照する。対象ユーザに貸し出されるべき対象プリンタに含まれる複数の部材のそれぞれに関して、対象プリンタが対象ユーザに貸出される前に交換すべきことを示す交換条件を部材が満たすか否かを、履歴情報と予定された貸出期間とを使用して判断する。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貸出用のプリンタを管理するコンピュータのためのコンピュータプログラムであって、
複数のユーザのそれぞれのプリンタの使用履歴を含む履歴情報を示す履歴データを参照する第1参照機能と、
対象ユーザに貸し出されるべき対象プリンタに含まれる複数の部材のそれぞれに関して、前記対象プリンタが前記対象ユーザに貸出される前に交換すべきことを示す交換条件を前記部材が満たすか否かを、前記履歴情報と予定された貸出期間とを使用して判断する判断機能と、
をコンピュータに実現させる、コンピュータプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のコンピュータプログラムであって、
前記判断機能は、
前記予定された貸出期間中の予測使用量を、前記履歴情報と、予定された貸出期間と、を使用して決定する決定処理と、
前記複数の部材に含まれる部材が前記交換条件を満たすか否かを、前記予測使用量を使用して判断する条件判断処理と、
を実行する、コンピュータプログラム。
【請求項3】
請求項2に記載のコンピュータプログラムであって、
前記決定処理は、前記履歴情報が、過去の年の期間であって前記予定された貸出期間に含まれる注目期間と同じ期間における前記対象ユーザによる使用量である第1種同期間使用量の履歴を含むことを示す第1条件が満たされる場合に、前記予測使用量を、前記第1種同期間使用量を使用して決定する処理を含む、
コンピュータプログラム。
【請求項4】
請求項2または3に記載のコンピュータプログラムであって、
前記決定処理は、前記履歴情報が、過去の年の期間であって前記予定された貸出期間に含まれる注目期間と同じ期間における前記対象ユーザによる使用量である第1種同期間使用量の履歴を含まずに、前記対象ユーザによる過去の使用量である第1種過去使用量の履歴を含むことを示す第2条件が満たされる場合に、前記予測使用量を、前記第1種過去使用量を使用して決定する処理を含む、
コンピュータプログラム。
【請求項5】
請求項2から4のいずれかに記載のコンピュータプログラムであって、
前記決定処理は、前記履歴情報が、前記対象ユーザによる過去の使用量の履歴を含まずに、過去の年の期間であって前記予定された貸出期間に含まれる注目期間と同じ期間における前記対象ユーザとは異なるユーザによる使用量である第2種同期間使用量の履歴を含むことを示す第3条件が満たされる場合に、前記予測使用量を、前記第2種同期間使用量を使用して決定する処理を含む、
コンピュータプログラム。
【請求項6】
請求項2から5のいずれかに記載のコンピュータプログラムであって、
前記決定処理は、前記予測使用量が基準使用量未満である場合に、前記予測使用量を前記基準使用量に決定する処理を含む、
コンピュータプログラム。
【請求項7】
請求項2から6のいずれかに記載のコンピュータプログラムであって、さらに、
前記対象プリンタに含まれる前記複数の部材のそれぞれの累積使用量を示す部材使用量データを参照する第2参照機能を、前記コンピュータに実現させ、
前記条件判断処理は、前記複数の部材に含まれる第1注目部材に関して、前記第1注目部材の前記累積使用量と前記予測使用量との和が前記第1注目部材に対応付けられた上限使用量を超える場合に、前記第1注目部材が前記交換条件を満たすと判断する処理を含む、
コンピュータプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のコンピュータプログラムであって、さらに、
前記対象プリンタに含まれる前記複数の部材のそれぞれのエラーの累積回数を示す部材エラーデータを参照する第3参照機能を、前記コンピュータに実現させ、
前記条件判断処理は、前記複数の部材に含まれる第2注目部材に関して、前記第2注目部材の前記エラーの前記累積回数がエラー閾値を超える場合に、前記第2注目部材が前記交換条件を満たすと判断する処理を含む、
を前記コンピュータに実現させる、コンピュータプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のコンピュータプログラムであって、さらに、
前記対象プリンタに含まれる前記複数の部材のうち交換された部材を示す交換データを参照する第4参照機能と、
交換された部材の前記累積使用量と前記エラーの前記累積回数との両方をゼロに更新する更新機能と、
を前記コンピュータに実現させる、コンピュータプログラム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載のコンピュータプログラムであって、さらに、
前記対象プリンタに含まれる前記複数の部材のうち前記交換条件を満たすと判断された部材である対象部材を示す対象部材データを出力する出力機能を前記コンピュータに実現させる、
コンピュータプログラム。
【請求項11】
貸出用のプリンタを管理する管理方法であって、
複数のユーザのそれぞれのプリンタの使用履歴を含む履歴情報を示す履歴データを参照する第1参照工程と、
対象ユーザに貸し出されるべき対象プリンタに含まれる複数の部材のそれぞれに関して、前記対象プリンタが前記対象ユーザに貸し出される前に交換すべきことを示す交換条件を前記部材が満たすか否かを、前記履歴情報と予定された貸出期間とを使用して判断する判断工程と、
を備える、管理方法。
【請求項12】
貸出用のプリンタを管理する管理装置であって、
複数のユーザのそれぞれのプリンタの使用履歴を含む履歴情報を示す履歴データを参照する第1参照部と、
対象ユーザに貸し出されるべき対象プリンタに含まれる複数の部材のそれぞれに関して、前記対象プリンタが前記対象ユーザに貸し出される前に交換すべきことを示す交換条件を前記部材が満たすか否かを、前記履歴情報と予定された貸出期間とを使用して判断する判断部と、
を備える、管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、貸出用のプリンタを管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機や複合機などのプリンタが使用されている。特許文献1は、複写機のメンテナンスサービスを開示している。具体的には、複写機は、故障診断機能により異常を検出した場合には、管理サーバに対して異常内容等を送信し、管理サーバは、修理内容および必要部品名とその数量を、サービスマンの携帯電話機に送信する、
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-041691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、プリンタの貸出サービスが提供されている。貸出サービスでは、プリンタの貸出と返却とが繰り返される。貸出の期間中に、プリンタに含まれる部材に不具合が生じ得る。この場合、ユーザ自身による部材の購入と交換、または、管理者への修理の依頼など、ユーザに負担が生じ得る。プリンタが貸し出される前に予め部材を交換すれば、貸出の期間中の不具合は抑制される。しかし、部材を交換すべきか否かを判断する点については、工夫の余地があった。
【0005】
本明細書は、プリンタが貸し出される前に部材を交換すべきか否かを判断する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示された技術は、以下の適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]貸出用のプリンタを管理するコンピュータのためのコンピュータプログラムであって、複数のユーザのそれぞれのプリンタの使用履歴を含む履歴情報を示す履歴データを参照する第1参照機能と、対象ユーザに貸し出されるべき対象プリンタに含まれる複数の部材のそれぞれに関して、前記対象プリンタが前記対象ユーザに貸出される前に交換すべきことを示す交換条件を前記部材が満たすか否かを、前記履歴情報と予定された貸出期間とを使用して判断する判断機能と、をコンピュータに実現させる、コンピュータプログラム。
【0008】
この構成によれば、対象プリンタに含まれる複数の部材のそれぞれに関して、部材が交換条件を満たすか否かの適切な判断が可能である。
【0009】
なお、本明細書に開示の技術は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、管理方法および管理装置、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体(例えば、一時的ではない記録媒体)、等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】システム1000の構成を示すブロック図である。
図2】プリンタ100の印刷実行部900の概略図である。
図3】(A)-(D)は、管理データの例を示す説明図である。
図4】管理データの例を示す説明図である。
図5】プリンタ情報送信処理の例を示すフローチャートである。
図6】管理処理の例を示すフローチャートである。
図7】予測印刷ページ数決定処理の例を示すフローチャートである。
図8】予測印刷ページ数決定処理の例を示すフローチャートである。
図9】交換条件判断処理の例を示すフローチャートである。
図10】交換条件判断処理の例を示すフローチャートである。
図11】交換後処理の例を示すフローチャートである。
図12】インクジェット式の印刷実行部の例を示す概略図である。
図13】(A)は、第3データDB3bの例を示し、(B)は、第5データDB5bの例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
A.第1実施例:
A-1.システム1000の構成:
図1は、システム1000の構成を示すブロック図である。このシステム1000は、プリンタ100と、ユーザ端末200と、管理端末300と、管理サーバ500と、を備えている。管理端末300と管理サーバ500とは、インターネットITに接続されている。プリンタ100とユーザ端末200とは、ローカルエリアネットワークLNに接続されている。ローカルエリアネットワークLNは、インターネットITに接続されている。管理端末300は、インターネットITを介して、管理サーバ500と通信可能である。プリンタ100とユーザ端末200とは、ローカルエリアネットワークLNとインターネットITを介して、管理サーバ500と通信可能である。
【0012】
プリンタ100は、CPU110と、記憶装置115と、表示部140と、操作部150と、印刷実行部900と、通信インタフェース180と、を備えている。これらの要素は、バスを介して互いに接続されている。記憶装置115は、揮発性記憶装置120と、不揮発性記憶装置130と、を含んでいる。プリンタ100は、貸出用のプリンタの例である。
【0013】
表示部140は、画像を表示する装置であり、例えば、液晶ディスプレイである。操作部150は、ユーザによる操作を受け取る装置であり、例えば、表示部140上に重ねて配置されたタッチパネルを含んでいる。ユーザは、操作部150を操作することによって、種々の指示をプリンタ100に入力可能である。通信インタフェース180は、他の装置と通信するためのインタフェースである(例えば、有線LANインタフェース、IEEE802.11の無線インタフェース)。本実施例では、通信インタフェース180は、ローカルエリアネットワークLNに接続されている。印刷実行部900は、所定の方式で、用紙(印刷媒体の一例)上に印刷材を使用して画像を印刷する装置である。印刷実行部900の詳細については、後述する。
【0014】
CPU110は、データ処理装置の例である。揮発性記憶装置120は、例えば、DRAMであり、不揮発性記憶装置130は、例えば、フラッシュメモリである。不揮発性記憶装置130は、プログラムPG1を格納している。CPU110は、プログラムPG1を実行することによって、種々の処理を実行する。CPU110は、プログラムPG1の実行に使用される種々の中間データを、記憶装置115(例えば、揮発性記憶装置120、または、不揮発性記憶装置130)に、一時的に格納する。CPU110によって実行される処理の詳細については、後述する。なお、本実施例では、プログラムPG1は、プリンタ100の製造者によって、ファームウェアとして、不揮発性記憶装置130に予め格納されている。
【0015】
本実施例では、複数のプリンタが、貸出のために使用される。以下、貸出用の複数のプリンタは、プリンタ100と同様の構成を有していることとする。以下、個々のプリンタを区別する必要がない場合には、プリンタを、プリンタ100とも呼ぶ。
【0016】
管理サーバ500は、貸出用の複数のプリンタ100を管理する処理を実行する。管理サーバ500は、CPU510と、記憶装置515と、通信インタフェース580と、を備えている。これらの要素は、バスを介して互いに接続されている。記憶装置515は、揮発性記憶装置520と、不揮発性記憶装置530と、を含んでいる。
【0017】
通信インタフェース580は、他の装置と通信するためのインタフェースである(例えば、有線LANインタフェース、IEEE802.11の無線インタフェース)。本実施例では、通信インタフェース580は、インターネットITに接続されている。
【0018】
CPU510は、データ処理装置の例である。揮発性記憶装置520は、例えば、DRAMであり、不揮発性記憶装置530は、例えば、フラッシュメモリである。不揮発性記憶装置530は、プログラムPG5と、管理データDB1-DB5と、を格納している。不揮発性記憶装置530の記憶領域のうち、管理データDB1-DB5を格納している部分を、それぞれ、記憶領域A1―A5と呼ぶ。CPU510は、プログラムPG5を実行することによって、貸出用プリンタの管理のための処理を実行する。CPU510は、プログラムPG5の実行に使用される種々の中間データを、記憶装置515(例えば、揮発性記憶装置520、または、不揮発性記憶装置530)に、一時的に格納する。CPU510によって実行される処理と、管理データDB1-DB5と、の詳細については、後述する。
【0019】
管理端末300は、複数のプリンタの整備を行う作業者の端末装置である(例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ等)。作業者は、管理端末300を操作して、管理サーバ500によって提供される種々の処理を、制御できる。管理端末300は、CPU310と、記憶装置315と、表示部340と、操作部350と、通信インタフェース380と、を備えている。これらの要素は、バスを介して互いに接続されている。記憶装置315は、揮発性記憶装置320と、不揮発性記憶装置330と、を含んでいる。
【0020】
表示部340は、画像を表示する装置であり、例えば、液晶ディスプレイである。操作部350は、ユーザによる操作を受け取る装置であり、例えば、表示部340上に重ねて配置されたタッチパネルを含んでいる。ユーザは、操作部350を操作することによって、種々の指示を管理端末300に入力可能である。
【0021】
通信インタフェース380は、他の装置と通信するためのインタフェースである(例えば、有線LANインタフェース、IEEE802.11の無線インタフェース)。本実施例では、通信インタフェース380は、インターネットITに接続されている。
【0022】
CPU310は、データ処理装置の例である。揮発性記憶装置320は、例えば、DRAMであり、不揮発性記憶装置330は、例えば、フラッシュメモリである。不揮発性記憶装置330は、プログラムPG3を格納している。CPU310は、プログラムPG3を実行することによって、管理サーバ500によって提供される処理を制御する管理アプリケーションとしての機能を実行する(詳細は、後述)。
【0023】
CPU310は、プログラムPG3の実行に使用される種々の中間データを、記憶装置(例えば、揮発性記憶装置320、または、不揮発性記憶装置330)に、一時的に格納する。なお、本実施例では、管理アプリケーションのプログラムPG3は、図示しないサーバによって提供される。これに代えて、プログラムPG3は、メモリカードなどの携帯型の記録媒体によって提供されてよい。
【0024】
ユーザ端末200は、プリンタ100を使用するユーザの端末装置である(例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ等)。ユーザは、ユーザ端末200を操作して、プリンタ100に画像を印刷させることができる。本実施例では、ユーザ端末200のハードウェア構成は、管理端末300のハードウェア構成と、同じである。ユーザ端末200は、CPU210と、記憶装置215と、表示部240と、操作部250と、通信インタフェース280と、を備えている。これらの要素は、バスを介して互いに接続されている。記憶装置215は、揮発性記憶装置220と、不揮発性記憶装置230と、を含んでいる。ユーザ端末200の要素210、220、230、240、250、280の構成は、管理端末300の要素310、320、330、340、350、380の構成と、それぞれ同じである。本実施例では、通信インタフェース380は、ローカルエリアネットワークLNに接続されている。不揮発性記憶装置230は、プログラムPG2を格納している。CPU210は、プログラムPG2を実行することによって、プリンタ100に画像を印刷させる印刷アプリケーションとしての機能を実行する。なお、本実施例では、印刷アプリケーションのプログラムPG2は、図示しないサーバによって提供される。これに代えて、プログラムPG2は、メモリカードなどの携帯型の記録媒体によって提供されてよい。
【0025】
A-2.印刷実行部900の構成:
図2は、プリンタ100の印刷実行部900の概略図である。本実施例では、印刷実行部900は、レーザ式のカラー印刷装置である。プリンタ100は、ボディ102と、ボディ102内に収容された印刷実行部900と、を備えている。印刷実行部900は、スキャナユニット903と、プロセスユニット904と、転写ユニット905と、定着ユニット906と、給紙ユニット990と、を備えている。
【0026】
スキャナユニット903は、破線で示すように、プロセスユニット904の感光ドラム907に向かって、画像データに基づいてレーザービームを照射し、感光ドラム907を露光する。以下、スキャナユニット903を、露光器903とも呼ぶ。
【0027】
プロセスユニット904は、感光ドラム907と、スコロトロン型帯電器908と、ドラムクリーニングローラ909と、現像カートリッジ910と、の4組のセットを備えている。4組のセットは、イエロY、マゼンタM、シアンC、ブラックKに、それぞれ対応しており、前方から後方に向かって(図中の左側から右側に向かって)、この順番に並んで配置されている。現像カートリッジ910は、対応する色のトナーを収容しており、現像ローラ911と供給ローラ912とを備えている。
【0028】
転写ユニット905は、駆動ローラ913と、従動ローラ914と、搬送ベルト915と、4個の転写ローラ916とを備えている。搬送ベルト915は、その上側部分が4個の感光ドラム907のそれぞれと接触するように、駆動ローラ913および従動ローラ914の周りに巻回されている。4個の転写ローラ916は、4個の感光ドラム907に、それぞれに対応している。転写ローラ916は、対応する感光ドラム907の下方において、搬送ベルト915の上側部分を挟んで配置されている。
【0029】
給紙ユニット990は、転写ユニット905の前方に配置され、駆動ローラ991と、駆動ローラ991に接触する従動ローラ992と、駆動ローラ991の回転を検知する回転センサ999と、を備えている。給紙ユニット990は、図示しない給紙トレイに収容された用紙を、プロセスユニット904へ供給する。図示を省略するが、本実施例では、プリンタ100は、2個の給紙トレイを備えている。給紙ユニット990は、給紙トレイ毎に、設けられる。図2では、1つの給紙ユニット990が、代表して、示されている。
【0030】
定着ユニット906は、転写ユニット905の後方に配置され、加熱ローラ917、および、加熱ローラ917に接触する加圧ローラ918を備えている。
【0031】
印刷実行部900が印刷を実行する場合、スコロトロン型帯電器908は、感光ドラム907の表面を一様に帯電する。スキャナユニット903は、感光ドラム907の表面を露光する。これにより、画像データに基づく静電潜像が、感光ドラム907の表面に形成される。供給ローラ912は、現像カートリッジ910内のトナーを現像ローラ911に供給する。現像ローラ911は、トナーを、感光ドラム907の表面上の静電潜像に供給する。これにより、トナー像が、感光ドラム907の表面上に担持される。給紙ユニット990は、図示しない給紙トレイから、用紙Pを、最も前方の感光ドラム907(本実施例では、イエロYの感光ドラム907)と、搬送ベルト915と、の間に供給する。用紙Pは、搬送ベルト915によって前方から後方へ向かって搬送される。感光ドラム907上のトナー像は、用紙Pが感光ドラム907と転写ローラ916との間に挟まれることによって、用紙Pに転写される。4色のトナー像の転写の後、用紙Pは、加熱ローラ917と加圧ローラ918との間を通過する。用紙P上のトナー像は、加熱ローラ917と加圧ローラ918とによる加熱と加圧とによって、用紙Pに熱定着される。その後、用紙Pは、排紙トレイ104に排出される。トナー像の転写後、感光ドラム907に付着しているトナーは、対応するドラムクリーニングローラ909によって回収される。
【0032】
図3(A)-図3(D)、図4は、貸出用のプリンタの管理に使用される管理データの例を示す説明図である。図3(A)は、第1管理データDB1の例を示している(単に、第1データDB1とも呼ぶ)。第1データDB1は、ユーザ識別子UIDと、貸出プリンタ識別子PIDxと、履歴データ識別子UDIDと、の対応関係を示している。ユーザ識別子UIDは、ユーザの識別情報である。貸出プリンタ識別子PIDxは、ユーザに貸し出されたプリンタの識別情報である。ユーザが現時点でプリンタを借りていない場合、貸出プリンタ識別子PIDxは、空欄である。履歴データ識別子UDIDは、ユーザによるプリンタの使用履歴を示す個別ユーザデータの識別子である。ユーザがプリンタを使用して印刷を行ったことがない場合、履歴データ識別子UDIDは、空欄である。
【0033】
図3(B)は、第2管理データDB2の例を示している(単に、第2データDB2とも呼ぶ)。第2データDB2は、プリンタの使用履歴を示すデータである。第2データDB2は、貸出期間PPと、印刷ページ数NPと、の対応関係を示している。本実施例では、貸出期間PPは、年と月との組み合わせによって、表される。
【0034】
第2データDB2は、複数のユーザに対応する複数の個別ユーザデータを含んでいる。図3(B)は、第2データDB2のうちの第1ユーザUaに対応付けられた個別ユーザデータDB2Uaの例を、示している。個別ユーザデータは、第2データDB2のうち、一人のユーザの使用履歴を示す部分である。個別ユーザデータには、固有な識別子が付与される。個別ユーザデータの識別子は、履歴データ識別子UDID(図3(A))に対応付けられる。以下、第2データDB2を、履歴データDB2とも呼ぶ。個別ユーザデータを、ユーザ履歴データとも呼ぶ。履歴データDB2によって示される履歴情報を、履歴情報DB2iとも呼ぶ。
【0035】
図3(C)は、第3管理データDB3の例を示している(単に、第3データDB3とも呼ぶ)。第3データDB3は、部品番号PNBと、部品名PNMと、耐用ページ数NsUと、の対応関係を示している。部品番号PNBは、プリンタ100の部品の識別情報である。本実施例では、部品番号PNBは、1から始まる整数である。部品名PNMは、部品の名称である。耐用ページ数NsUは、部品の寿命の目安であり、印刷ページ数で表されている。部品の使用開始からの印刷ページ数が耐用ページ数NsUを超える場合、その部品を交換することが好ましい。各部品の耐用ページ数NsU(ひいては、第3データDB3)は、プリンタ100の製造者によって、予め決められている。第3データDB3には、貸出前に交換され得る複数の部品が、予め登録されている。
【0036】
図3(D)は、第4管理データDB4の例を示している(単に、第4データDB4とも呼ぶ)。第4データDB4は、プリンタ識別子PIDと、第1累積印刷ページ数Np1と、の対応関係を示している。プリンタ識別子PIDは、プリンタの識別情報である。第1データDB1(図3(A))の貸出プリンタ識別子PIDxには、このプリンタ識別子PIDが設定される。第1累積印刷ページ数Np1は、プリンタを使用して印刷されたページ数の累積値である(以下、第1累積印刷ページ数Np1を、プリンタ累積値Np1とも呼ぶ)。プリンタ累積値Np1は、プリンタの部品が交換されたか否かに拘らずに、リセットされることなく、カウントされる。
【0037】
図4は、第5管理データDB5の例を示している(単に、第5データDB5とも呼ぶ)。第5データDB5は、プリンタの複数の部品のそれぞれの使用量を示すデータである。第5データDB5は、部品番号PNBと、部品名PNMと、第2累積印刷ページ数Np2と、累積エラー回数Neと、累積クリーニング回数Ncと、交換フラグFと、の対応関係を示している。
【0038】
第5データDB5は、複数のプリンタに対応する複数の個別プリンタデータを含んでいる。図4は、第5データDB5のうちの第1プリンタPaに対応付けられた個別プリンタデータDB5Paの例を、示している。個別プリンタデータは、第5データDB5のうち、1個のプリンタの情報を示す部分である。
【0039】
個別プリンタデータDB5Pa(より一般的には、第5データDB5)には、第3データDB3(図3(C))に登録されている複数の部品と同じ複数の部品が登録されている。第2累積印刷ページ数Np2は、対応する部品を使用して印刷されたページ数の累積値である(以下、第2累積印刷ページ数Np2を、部品累積値Np2とも呼ぶ)。累積エラー回数Neは、対応する部品に関するエラーの累積回数である。累積クリーニング回数Ncは、対応する部品に関するクリーニングの累積回数である。交換フラグFは、部品を交換すべきことを示す交換条件が満たされるか否かを示している。「1」の交換フラグFは、交換条件が満たされることを示し、「0」の交換フラグFは、交換条件が満たされないことを示している。なお、図4中の右向きの矢印と矢印の右側の数値とは、後述する部品交換による値の変化を示している。Np2、Ne、Nc、Fは、対応する部品が交換されたことに応じて、ゼロにリセットされる。すなわち、Np2、Ne、Nc、Fは、最後の部品交換の後の値を示している。
【0040】
なお、第5データDB5は、図4に示すように、複数の部分DP1-DP4を含んでいる。部品使用量データDP1は、PNBとNp2との対応関係を示している。部品エラーデータDP2は、PNBとNeとの対応関係を示している。部品クリーニングデータDP3は、PNBとNcとの対応関係を示している。部品交換データDP4は、PNBとFとの対応関係を示している。
【0041】
A-3.プリンタ情報送信処理:
図5は、プリンタ情報送信処理の例を示すフローチャートである。プリンタ情報送信処理は、プリンタ100の使用履歴を管理サーバ500に登録する処理である。プリンタ100のCPU110は、プリンタ100がユーザに貸し出された後、ユーザによるプリンタ100の起動に応じて、図5の処理を開始する。
【0042】
S110では、CPU110は、ユーザの登録処理を実行する。プリンタ100を借りたユーザは、操作部150を操作することによって、自分のユーザ識別子UIDをプリンタ100に入力する(注目ユーザ識別子UIDとも呼ぶ)。CPU110は、プリンタ100のプリンタ識別子PIDである注目プリンタ識別子PIDと、注目ユーザ識別子UIDと、を示す登録データを、管理サーバ500に送信する。管理サーバ500のCPU510は、プリンタ100からの登録データを使用して、第1データDB1(図3(A))を更新する。注目ユーザ識別子UIDが既に第1データDB1に登録済である場合、CPU510は、注目ユーザ識別子UIDに対応付けられた貸出プリンタ識別子PIDxを、注目プリンタ識別子PIDに設定する。注目ユーザ識別子UIDが第1データDB1に登録されていない場合、すなわち、ユーザが新規のユーザである場合、CPU510は、注目ユーザ識別子UIDと注目プリンタ識別子PIDとの対応関係を、第1データDB1に追加する。
【0043】
なお、プリンタ100の記憶装置115(例えば、不揮発性記憶装置130)には、プリンタ100がユーザに引き渡される前に、注目ユーザ識別子UIDを示すユーザデータが格納されてよい。S110では、プリンタ100のCPU110は、ユーザデータを参照して、注目ユーザ識別子UIDを取得してよい。また、プリンタ100のCPU110は、ユーザにプリンタ100の使用を許容するために、パスワードや秘密鍵を用いる認証を行ってよい。
【0044】
S110の後、プリンタ100のCPU110は、後述するS120、S140、S160の判断処理を、繰り返し実行する(例えば、S120、S140、S160は、1日に複数回、行われる)。
【0045】
S120では、CPU110は、前回のS120の後にプリンタ100が印刷を行ったか否かを判断する。S120の判断結果がYesである場合、S130で、CPU110は、プリンタ100の使用履歴に関する情報を示す使用データを、管理サーバ500に送信する。本実施例では、使用データは、注目ユーザ識別子UIDと、注目プリンタ識別子PIDと、印刷ページ数と、印刷の年月と、を示している。印刷ページ数は、前回のS120の後に、印刷されたページ数である。使用データは、さらに、印刷に使用された用紙サイズなどの印刷に関する種々の情報を示してよい。
【0046】
S135は、使用データの受信に応じて管理サーバ500によって行われる処理である。管理サーバ500のCPU510は、使用データを使用して、第2データDB2(図3(B))と、第4データDB4(図3(D))と、第5データDB5(図4)とを更新する。具体的な処理は、以下の通りである。
【0047】
CPU510は、履歴データDB2(図3(B))のうち、使用データによって示される注目ユーザ識別子UIDに対応する個別ユーザデータを更新する。具体的には、CPU510は、使用データによって示される印刷の年月を含む貸出期間PPに対応付けられた印刷ページ数NPに、使用データによって示される印刷ページ数を加算する。なお、CPU510は、注目ユーザ識別子UIDに対応する個別ユーザデータを、第1データDB1(図3(A))を参照して、検索する。
【0048】
CPU510は、第4データDB4(図3(D))を参照し、使用データによって示される注目プリンタ識別子PIDに対応付けられた第1累積印刷ページ数Np1に、使用データによって示される印刷ページ数を加算する。
【0049】
CPU510は、第5データDB5(図4)のうち、使用データによって示される注目プリンタ識別子PIDに対応する個別プリンタデータを更新する。具体的には、CPU510は、全ての部品の部品累積値Np2に、使用データによって示される印刷ページ数を加算する。
【0050】
なお、注目ユーザ識別子UIDのユーザがこれまでに印刷を行っていない場合、履歴データDB2は、注目ユーザ識別子UIDに対応する個別ユーザデータを含んでいない。この場合、管理サーバ500のCPU510は、注目ユーザ識別子UIDに対応付けられた新たな個別ユーザデータを生成し、第2データDB2に追加する。そして、CPU510は、第1データDB1(図3(A))の注目ユーザ識別子UIDに対応付けられた履歴データ識別子UDIDを、生成した個別ユーザデータの識別子に設定する。
【0051】
S130(図5)の後、プリンタ100のCPU110は、S140へ移行する。この移行は、S135の完了を待たずに行われてよく、S135の完了後に行われてもよい。前回のS120の後にプリンタ100が印刷を行っていない場合(S120:No)、CPU110は、S130を実行せずに、S140へ移行する。
【0052】
S140では、CPU110は、前回のS140の後にプリンタ100のエラーが発生したか否かを判断する。プリンタ100は、種々のエラーを検知するように構成されている。例えば、給紙ユニット990(図2)の回転センサ999は、エンコーダを備えており、駆動ローラ991の回転を検知する。給紙中に駆動ローラ991の回転停止を回転センサ999が検知する場合、検知された回転停止は、給紙ジャムのエラーを示している。図示を省略するが、プリンタ100は、給紙ジャムに限らず、種々のエラー(例えば、レーザ不良など)を検知するための検知装置を備えている。
【0053】
S140の判断結果がYesである場合、S150で、CPU110は、エラーに関する情報を示すエラー履歴データを、管理サーバ500に送信する。本実施例では、エラー履歴データは、注目プリンタ識別子PIDと、前回のS140の後に発生したエラーの回数と、各エラーの分類と、を示している。エラーの分類は、発生したエラーの内容に応じて、予め決められた複数の分類から、決定される。エラーの複数の分類は、給紙ジャム、レーザ不良、など、種々の分類を含む。
【0054】
S155は、エラー履歴データの受信に応じて管理サーバ500によって行われる処理である。管理サーバ500のCPU510は、第5データDB5(図4)のうち、エラー履歴データによって示される注目プリンタ識別子PIDに対応する個別プリンタデータを更新する。具体的には、CPU510は、各エラー毎に、エラーの分類に対応付けられた部品番号PNBの累積エラー回数Neに「1」を加算する。エラーの分類と部品番号PNBとの対応関係は、予め決められている。例えば、給紙ジャムには、給紙ユニット990が対応付けられ、レーザ不良には、露光器903が対応付けられている。なお、エラーの1個の分類に、その分類に関連する2以上の部品番号PNBが対応付けられてもよい。
【0055】
S150(図5)の後、プリンタ100のCPU110は、S160へ移行する。この移行は、S155の完了を待たずに行われてよく、S155の完了後に行われてよい。前回のS140の後にエラーが発生していない場合(S140:No)、CPU110は、S150を実行せずに、S160へ移行する。
【0056】
S160では、CPU110は、前回のS160の後にクリーニングが行われたか否かを判断する。クリーニングは、プリンタ100の部品に付着した異物(例えば、トナーなどの印刷材)を除去する処理である。プリンタ100は、自動的に、クリーニングを実行し得る。例えば、CPU110は、印刷せずに用紙Pを搬送することによって、給紙ユニット990と定着ユニット906とのクリーニングを行う。また、ユーザが、クリーニングを実行し得る。例えば、ユーザは、露光器903を布で拭くことによって、露光器903のクリーニングを行う。本実施例では、クリーニングは、ユーザの指示に応じて、行われる。例えば、ユーザは、印刷物上のトナーの汚れを見つけたことに応じて、プリンタ100にクリーニングを指示する。また、ユーザは、プリンタ100を分解して、露光器903などの部品のクリーニングを行う。これに代えて、CPU110が、自動的に、クリーニングを開始してもよい。例えば、CPU110は、定期的に、クリーニング(例えば、印刷を伴わない用紙Pの搬送)を行ってよい。ユーザが部品のクリーニングを行った場合、ユーザは、クリーニングの分類を示す情報を、操作部150を操作することによって入力する。クリーニングの分類は、クリーニングの内容に応じて、予め決められた複数の分類から、決定される。クリーニングの複数の分類は、用紙Pの搬送、露光器903の拭取、など、種々の分類を含む。
【0057】
S160の判断結果がYesである場合、S170で、CPU110は、クリーニングに関する情報を示すクリーニング履歴データを、管理サーバ500に送信する。本実施例では、クリーニング履歴データは、注目プリンタ識別子PIDと、前回のS160の後に実行されたクリーニングの回数と、各クリーニングの分類と、を示している。
【0058】
S175は、クリーニング履歴データの受信に応じて管理サーバ500によって行われる処理である。管理サーバ500のCPU510は、第5データDB5(図4)のうち、クリーニング履歴データによって示される注目プリンタ識別子PIDに対応する個別プリンタデータを更新する。具体的には、CPU510は、各クリーニング毎に、クリーニングの分類に対応付けられた部品番号PNBの累積クリーニング回数Ncに「1」を加算する。クリーニングの分類と部品番号PNBとの対応関係は、予め決められている。例えば、用紙Pの搬送には、給紙ユニット990と定着ユニット906とが対応付けられ、露光器903の拭取には、露光器903が対応付けられている。
【0059】
S170(図5)の後、プリンタ100のCPU110は、S120へ移行する。この移行は、S175の完了を待たずに行われてよく、S175の完了後に行われてよい。前回のS160の後にクリーニングが実行されていない場合(S160:No)、CPU110は、S170を実行せずに、S120へ移行する。以後、CPU110は、上述した処理を、繰り返す。これにより、管理サーバ500のCPU510は、データDB1、DB2、DB4、DB5を、最新の情報を示すように、更新できる。
【0060】
A-4.管理処理:
図6は、管理処理の例を示すフローチャートである。管理処理は、ユーザに貸し出されるべきプリンタである対象プリンタを、貸出の前に整備するための処理である。後述するように、対象プリンタは、貸出可能な複数のプリンタから選択される。貸出可能な複数のプリンタは、新しいプリンタに限らず、過去の貸出から返却されたプリンタを含む。対象プリンタが、返却されたプリンタである場合、過去の使用によって、対象プリンタの複数の部品のそれぞれが消耗している場合がある。図6の処理では、管理サーバ500は、対象プリンタに含まれる複数の部品から、新たな貸出期間中に不具合を引き起こす可能性のある部品を、抽出する。作業者は、抽出されなかった部品を交換せずに、抽出された部品を新しい部品に交換する。
【0061】
S205では、作業者は、管理端末300(図1)の操作部350を操作することによって、管理アプリケーションを起動する。さらに、作業者は、操作部350を操作することによって、対象ユーザ識別子と、予定された貸出期間(予定貸出期間とも呼ぶ)とを、管理アプリケーションに入力する。対象ユーザ識別子は、プリンタを借りるユーザである対象ユーザのユーザ識別子UIDである(対象ユーザ識別子UIDとも呼ぶ)。予定貸出期間は、対象ユーザによって要求された貸出期間である。本実施例では、貸出期間は、連続な期間であり、年と月との組み合わせによって表される。貸出期間は、「2021年の1月から6月」のように、2ヶ月以上の期間であってよい。S207では、CPU310は、対象ユーザ識別子UIDと予定貸出期間とを示す開始指示データを、管理サーバ500に送信する。
【0062】
S210では、管理サーバ500のCPU510は、開始指示データに応じて、予測印刷ページ数決定処理を実行する。予測印刷ページ数は、予定貸出期間中に対象ユーザによって印刷されるページ数の予測値である。図7図8は、予測印刷ページ数決定処理の例を示すフローチャートである。図8は、図7の続きの処理を示している。
【0063】
S310では、管理サーバ500のCPU510は、開始指示データを参照して、対象ユーザ識別子UIDと予定貸出期間とを取得する。S330では、CPU510は、注目月を、予定貸出期間の最初の月に初期化し、候補ページ数をゼロに初期化する。
【0064】
S340では、CPU510は、第1データDB1(図3(A))を参照し、履歴データDB2(図3(B))中の対象ユーザ識別子UIDに対応付けられたユーザ履歴データ(例えば、ユーザ履歴データDB2Ua)を検索する。S345では、CPU510は、対象ユーザ識別子UIDに対応付けられたユーザ履歴データが検出されたか否かを判断する。
【0065】
検出対象のデータが検出されないことは、対象ユーザ識別子UIDの過去の使用履歴が検出されないことを示している。この場合(S345:No)、S350で、CPU510は、履歴データDB2を参照して、対象ユーザ識別子UIDとは異なる他のユーザの注目月の印刷ページ数NPを取得する。S355で、CPU510は、追加ページ数を、他のユーザの注目月の印刷ページ数NPの平均値に、決定する。例えば、注目月が2月である場合、CPU510は、履歴データDB2中の他の全てのユーザのユーザ履歴データを参照し、他の全てのユーザの2月の印刷ページ数NPの平均値を算出する。S355の後、CPU510は、図8のS390へ移行する。
【0066】
対象ユーザ識別子UIDに対応付けられたユーザ履歴データが検出される場合(S345:Yes)、S360で、CPU510は、履歴データDB2(図3(B))中の対象ユーザ識別子UIDのユーザ履歴データを参照し、過去の年の注目月の使用履歴(具体的には、印刷ページ数NP)を検索する。S365では、CPU510は、対象ユーザ識別子UIDの過去の年の注目月の使用履歴が検出されたか否かを判断する。検出対象のデータが検出される場合(S365:Yes)、S370で、CPU510は、履歴データDB2を参照し、対象ユーザ識別子UIDの過去の年の注目月の印刷ページ数NPを取得する。S375で、CPU510は、追加ページ数を、対象ユーザ識別子UIDの過去の年の注目月の印刷ページ数NPの平均値に、決定する。S375の後、CPU510は、図8のS390へ移行する。
【0067】
対象ユーザ識別子UIDの過去の年の注目月の使用履歴が検出されない場合(S365:No)、S380で、CPU510は、履歴データDB2(図3(B))を参照し、対象ユーザ識別子UIDの過去の全期間の印刷ページ数NPを取得する。S385で、CPU510は、追加ページ数を、対象ユーザ識別子UIDの過去の全期間の印刷ページ数NPの平均値に、決定する。S385の後、CPU510は、図8のS390へ移行する。
【0068】
S390(図8)では、CPU510は、候補ページ数に追加ページ数を加算して、候補ページ数を更新する。追加ページ数は、図7のS355、S375、S385のいずれかで決定されている。S400では、CPU510は、注目月に「1」を加算して、注目月を更新する。S410では、CPU510は、更新された注目月が予定貸出期間内であるか否かを判断する。注目月が予定貸出期間内である場合(S410:Yes)、CPU510は、図7のS340へ移行し、新たな注目月の処理を実行する。更新された注目月が予定貸出期間外である場合(S410:No)、すなわち、予定貸出期間内の全ての月の処理が終了した場合、CPU510は、S420へ移行する。この段階で、候補ページ数は、予定貸出期間内の全ての月の追加ページ数の和を示している。
【0069】
S420では、CPU510は、候補ページ数が基準ページ数未満であるか否かを判断する。基準ページ数は、不具合無く印刷可能な最低ページ数の目安を示している。本実施例では、基準ページ数は、予め決められている(例えば、1000ページ)。候補ページ数が基準ページ数未満である場合(S420:Yes)、S430で、CPU510は、予測印刷ページ数を、基準ページ数に決定し、図7図8の処理(すなわち、図6のS210)を終了する。候補ページ数が基準ページ数以上である場合(S420:No)、S440で、CPU510は、予測印刷ページ数を候補ページ数に決定し、図7図8の処理(すなわち、図6のS210)を終了する。
【0070】
以下に、図7のS375、S385で決定される追加ページ数の例を示す。ここで、予定貸出期間は、「2021年の1月から6月」であることとする。図3(B)のユーザ履歴データDB2Uaが、対象ユーザ識別子UIDの履歴を示すこととする。注目月と、追加ページ数と、追加ページの算出に使用される年月と、の対応関係は、以下の通りである
注目月:追加ページ数:算出に使用される年月(印刷ページ数)
1 : 500 :2018年1月( 500)
2 : 400 :2018年2月( 500)、2019年2月( 300)
3 : 2500 :2018年3月(2000)、2019年3月(3000)
4 : 1500 :2018年4月(1000)、2019年4月(2000)
5 : 500 :2019年5月( 500)
6 : 1225 :全期間
上記の1月-6月の追加ページ数が図8のS440で使用される場合、予測印刷ページ数は、1月-6月の追加ページ数の合計であり、6625ページである。
【0071】
図6のS220では、管理サーバ500のCPU510は、交換条件判断処理を実行する。図9図10は、交換条件判断処理の例を示すフローチャートである。図10は、図9の続きの処理を示している。
【0072】
S520では、管理サーバ500のCPU510は、貸出可能な複数のプリンタから、対象ユーザに貸し出されるべき対象プリンタを選択する。後述するように、対象プリンタの複数の部品のうち交換条件を満たす部品は、対象プリンタが貸し出される前に、交換される。従って、CPU510は、対象プリンタに適したプリンタを貸出可能な複数のプリンタから検索せずに、貸出可能な複数のプリンタからランダムに対象プリンタを選択してよい。
【0073】
なお、貸出可能な複数のプリンタは、貸出用の全てのプリンタから貸出中のプリンタを除いた残りのプリンタである。貸出用の全てのプリンタの識別子PIDのリストは、予め決められている(全プリンタリストとも呼ぶ)。貸出中のプリンタの識別子PIDは、第1データDB1(図3(A))の貸出プリンタ識別子PIDxに設定されている。以下、S520で選択された対象プリンタのプリンタ識別子PIDを、対象プリンタ識別子PIDとも呼ぶ。
【0074】
S530では、CPU510は、第4データDB4(図3(D))を参照し、対象プリンタのプリンタ累積値Np1を取得する。S535では、CPU510は、対象プリンタのプリンタ累積値Np1が上限数Np1U以上であるか否かを判断する。上限数Np1Uは、プリンタの寿命を示すページ数であり、予め決められている。プリンタ累積値Np1が上限数Np1U以上である場合(S535:Yes)、S540で、CPU510は、対象プリンタを廃棄するための処理を実行する。例えば、CPU510は、対象プリンタのプリンタ識別子PIDを、全プリンタリストから削除する。S540の後、CPU510は、S520へ移行し、別のプリンタを選択する。
【0075】
プリンタ累積値Np1が上限数Np1U未満である場合(S535:No)、CPU510は、対象プリンタが対象ユーザに貸し出される前に交換すべきことを示す交換条件を満たす部品を抽出する(詳細は、後述)。交換条件の判断のために、CPU510は、第5データDB5(図4)のうち、対象プリンタ識別子PIDに対応付けられた個別プリンタデータ(例えば、データDB5Pa)を、参照する。以下、第5データDB5のうちの対象プリンタ識別子PIDに対応付けられた個別プリンタデータを、対象プリンタデータとも呼ぶ。以下の説明では、図4のデータDB5Paが、対象プリンタデータであることとする(対象プリンタデータDB5Paとも呼ぶ)。また、予測印刷ページ数が、上記の算出例の6625ページであることとする。
【0076】
S550(図9)で、CPU510は、注目部品番号を「1」に初期化する。S560では、CPU510は、対象プリンタデータDB5Pa(図4)を参照して、注目部品番号に対応付けられたパラメータNp2、Ne、Ncを取得する。具体的には、CPU510は、部品使用量データDP1を参照して、部品累積値Np2を取得し、部品エラーデータDP2を参照して、累積エラー回数Neを取得し、部品クリーニングデータDP3を参照して、累積クリーニング回数Ncを取得する。また、CPU510は、第3データDB3(図3(C))を参照して、注目部品番号に対応付けられた耐用ページ数NsUを取得する。
【0077】
S570では、CPU510は、部品累積値Np2と予測印刷ページ数Npxとの和Nsが、耐用ページ数NsUを超えているか否かを判断する。和Nsが耐用ページ数NsUを超えていることは、注目部品番号の第1累積印刷ページ数Np1が予定貸出期間中に耐用ページ数NsUを超える可能性が高いことを示している。S570の判断結果がYesである場合、CPU510は、S600で、対象プリンタデータDB5Pa(図4)の注目部品番号に対応付けられた交換フラグFを「1」に設定する。S600の後、CPU510は、図10のS610へ移行する。例えば、図4の例では、転写ローラのNp2(35000ページ)とNpx(6625ページ)との和Ns(41625ページ)は、NsU(40000ページ(図3(C)))を超えている。従って、転写ローラの交換フラグFが「1」に設定される。
【0078】
S570の判断結果がNoである場合、S580で、CPU510は、累積エラー回数Neが、エラー閾値NeUを超えているか否かを判断する。本実施例では、エラー閾値NeUは、予め決められている(例えば、NeU=10)。累積エラー回数Neが閾値NeUを超えている場合、注目部品番号に対応する部品が不具合を有している可能性が高い。S580の判断結果がYesである場合、CPU510は、S600で注目部品番号の交換フラグFを「1」に設定し、S610(図10)へ移行する。例えば、図4の例では、給紙ユニット(トレイ2)の累積エラー回数Ne(11)が、閾値NeU(10)を超えている。従って、給紙ユニット(トレイ2)の交換フラグFが「1」に設定される。
【0079】
S580の判断結果がNoである場合、S590で、CPU510は、累積クリーニング回数Ncが、閾値NcUを超えているか否かを判断する。本実施例では、閾値NcUは、予め決められている(例えば、NcU=10)。累積クリーニング回数Ncが閾値NcUを超えている場合、注目部品番号に対応する部品が汚れている可能性が高い。S590の判断結果がYesである場合、CPU510は、S600で注目部品番号の交換フラグFを「1」に設定し、S610(図10)へ移行する。例えば、図4の例では、露光器の累積クリーニング回数Nc(12)が、閾値NcU(10)を超えている。従って、露光器の交換フラグFが「1」に設定される。
【0080】
S590の判断結果がNoである場合、CPU510は、S610(図10)へ移行する。
【0081】
S610では、CPU510は、注目部品番号に「1」を加算して、注目部品番号を更新する。S620では、CPU510は、更新された注目部品番号が、部品リストに存在するか否かを判断する。部品リストは、交換条件判断処理の処理対象の全ての部品のリストである。本実施例では、部品リストは、データDB3、DB5(図3(C)、図4)に登録されている複数の部品のリストである。
【0082】
注目部品番号が部品リストに存在する場合(S620:Yes)、CPU510は、S560(図9)へ移行し、新たな注目部品番号の処理を実行する。注目部品番号が部品リストに存在しない場合(S620:No)、すなわち、全ての部品の処理が完了した場合、CPU510は、図9図10の処理(すなわち、図6のS220)を終了する。
【0083】
図6のS230では、管理サーバ500のCPU510は、交換条件を満たす部品である対象部品のリストを示す対象部品データを生成する。本実施例では、CPU510は、第5データDB5(図4)のうちの対象プリンタデータ(例えば、データDB5Pa)を参照し、「1」の交換フラグFを有する部品の部品番号PNBのリストを、対象部品データとして生成する。そして、CPU510は、生成した対象部品データを、管理端末300へ出力する。管理端末300のCPU310は、受信した対象部品データを参照して、対象部品のリストを表示部340に表示する(図示省略)。
【0084】
S240では、作業者は、表示部340に表示された対象部品のリストを観察することによって、交換すべき対象部品を確認する。そして、作業者は、対象プリンタを分解して、対象部品を新しい部品に交換する。
【0085】
S250では、作業者は、交換した部品の部品番号PNBを、操作部350を操作することによって管理端末300に入力する。S260では、管理端末300のCPU310は、入力された部品番号PNBを示す交換データを、管理サーバ500に送信する。
【0086】
S270では、管理サーバ500のCPU510は、交換データの受信に応じて、交換後処理を実行する。図11は、交換後処理の例を示すフローチャートである。S710では、CPU510は、交換データを取得する。S720では、CPU510は、注目部品番号を「1」に初期化する。S725では、CPU510は、交換データを参照し、注目部品番号を検索する。S730では、CPU510は、注目部品番号に対応する部品が交換されたか否かを判断する。交換データから注目部品番号が検索される場合、S730の判断結果はYesである。この場合、S740で、CPU510は、第5データDB5(図4)のうちの対象プリンタデータ(例えば、データDB5Pa)を更新する。具体的には、CPU510は、注目部品番号に関して、部品累積値Np2と、累積エラー回数Neと、累積クリーニング回数Ncと、交換フラグFと、のそれぞれを、「ゼロ」に設定する。図4の例では、「転写ローラ」と「給紙ユニット(トレイ2)」と「露光器」とが交換される。そして、これらの部品のNp2、Ne、Nc、Fがゼロに設定される。そして、CPU510は、S750へ移行する。
【0087】
交換データから注目部品番号が検索されない場合、すなわち、注目部品番号に対応する部品が交換されていない場合(S730:No)、CPU510は、S740を実行せずに、S750へ移行する。
【0088】
S750では、CPU510は、注目部品番号に「1」を加算して、注目部品番号を更新する。S760では、CPU510は、更新された注目部品番号が、部品リストに存在するか否かを判断する。S760の判断条件は、図10のS620の判断条件と同じである。注目部品番号が部品リストに存在する場合(S620:Yes)、CPU510は、S725へ移行し、新たな注目部品番号の処理を実行する。注目部品番号が部品リストに存在しない場合(S760:No)、すなわち、全ての部品の処理が完了した場合、CPU510は、図11の処理(すなわち、図6のS270)を終了する。以上により、図6の処理が終了する。
【0089】
以上のように、本実施例では、管理サーバ500のCPU510は、プログラムPG5に従って、以下の処理を実行する。図6のS210(具体的には、図7のS350、S370、S380)で、CPU510は、履歴データDB2(図3(B))を参照する。履歴データDB2は、複数のユーザのそれぞれのプリンタの使用履歴を含む履歴情報DB2iを示している。図6のS210、S220では、CPU510は、対象プリンタに含まれる複数の部品のそれぞれに関して、部品が交換条件を満たすか否かを、履歴情報DB2iと予定された貸出期間とを使用して判断する。交換条件は、対象プリンタが対象ユーザに貸し出される前に交換すべきことを示している。以上により、CPU510は、対象プリンタに含まれる複数の部品のそれぞれに関して、部品が交換条件を満たすか否かを、適切に判断できる。
【0090】
図6のS210では、図7図8で説明したように、CPU510は、予定された貸出期間中の予測印刷ページ数Npxを、履歴情報DB2iと、予定された貸出期間と、を使用して決定する。図6のS220では、図9図10で説明したように、CPU510は、部品が交換条件を満たすか否かを、予測印刷ページ数Npxを使用して判断する。CPU510は、予測印刷ページ数Npxを使用することによって、部品が交換条件を満たすか否かを適切に判断できる。
【0091】
図7の第1条件C1は、S345:Yes、かつ、S365:Yesとなる条件である。第1条件C1は、履歴情報DB2iが、第1種同期間使用量の履歴を含むことを示している。本実施例では、第1種同期間使用量は、過去の年の月であって予定貸出期間に含まれる注目月と同じ月における対象ユーザによる印刷ページ数NPである。第1条件C1が満たされる場合(S345:Yes、S365:Yes)、S370、S375、S390、S440(図7図8)で説明したように、CPU510は、第1種同期間使用量を使用して、予測印刷ページ数Npxを決定する(本実施例では、予測印刷ページ数Npxは、第1種同期間使用量の平均値(S375)を使用して決定される)。ユーザは、予定貸出期間に含まれる注目月に、過去の年の同じ月の印刷ページ数NPと同程度のページ数の印刷を行うと推定される。従って、CPU510は、第1種同期間使用量を使用することによって、予測印刷ページ数Npxを適切に決定できる。
【0092】
図7の第2条件C2は、S345:Yes、かつ、S365:Noとなる条件である。第2条件C2は、履歴情報DB2iが、上記の第1種同期間使用量の履歴を含まずに、第1種過去使用量の履歴を含むことを示している。本実施例では、第1種過去使用量は、対象ユーザによる過去の印刷ページ数NPである。第2条件C2が満たされる場合(S345:Yes、S365:No)、S380、S385、S390、S440(図7図8)で説明したように、CPU510は、第1種過去使用量を使用して、予測印刷ページ数Npxを決定する(本実施例では、予測印刷ページ数Npxは、第1種過去使用量の平均値(S385)を使用して決定される)。印刷ページ数NPは、複数のユーザの間で、大きく異なり得る。本実施例では、CPU510は、第2条件C2が満たされる場合には、対象ユーザとは異なる他のユーザの過去の印刷ページ数NPではなく、対象ユーザの過去の印刷ページ数NPを使用して、対象ユーザのための予測印刷ページ数Npxを決定する。従って、CPU510は、予測印刷ページ数Npxを適切に決定できる。
【0093】
図7の第3条件C3は、S345:Noとなる条件である。第3条件C3は、履歴情報DB2iが、対象ユーザによる過去の印刷ページ数NPの履歴を含まないことを示している。本実施例では、履歴データDB2(図3(B))は、多数のユーザの1年以上に亘る過去の期間の印刷ページ数NPの履歴を示している。従って、履歴データDB2は、任意の月に関して、対象ユーザとは異なるユーザによる印刷ページ数NPの履歴を含んでいる。従って、第3条件C3は、履歴情報DB2iが、対象ユーザによる過去の印刷ページ数NPの履歴を含まずに、第2種同期間使用量の履歴を含むことを示している。本実施例では、第2種同期間使用量は、過去の年の月であって予定貸出期間に含まれる注目月と同じ月における対象ユーザとは異なるユーザによる印刷ページ数NPである。
【0094】
第3条件C3が満たされる場合(S345:No)、S350、S355、S390、S440(図7図8)で説明したように、CPU510は、第2種同期間使用量を使用して、予測印刷ページ数Npxを決定する(本実施例では、予測印刷ページ数Npxは、第2種同期間使用量の平均値(S355)を使用して決定される)。印刷ページ数NPは、月から大きな影響を受け得る。注目月には、過去の年の同じ月の印刷ページ数NPと同程度の印刷ページ数NPが見込まれる。本実施例では、CPU510は、第3条件C3が満たされる場合には、注目月とは異なる月の印刷ページ数NPではなく、注目月と同じ月の印刷ページ数NP(すなわち、第2種同期間使用量)を使用して、予測印刷ページ数Npxを決定する。従って、CPU510は、予測印刷ページ数Npxを適切に決定できる。
【0095】
図8のS420、S430で説明したように、予測印刷ページ数Npxが基準ページ数未満である場合に、CPU510は、予測印刷ページ数Npxを基準ページ数に決定する。予測印刷ページ数Npxが過度に小さい場合、予測印刷ページ数Npxを使用して行われる交換条件の判断が、不適切に行われ得る。例えば、貸出期間中に不具合を引き起こし得る部品が、交換条件を満たさないと判断され得る。本実施例では、CPU510は、そのような判断を抑制できる。
【0096】
図9のS560では、CPU510は、対象プリンタに含まれる複数の部品のそれぞれの部品累積値Np2(部品の累積使用量の例)を示す部品使用量データDP1(図4)を参照する。また、交換条件判断処理(図9図10)は、S570、S600の処理を含んでいる。S570の条件が満たされる場合、CPU510は、S600を実行する、すなわち、注目部品番号の部品が交換条件を満たすと判断する。S570の条件は、注目部品番号に関して、注目部品番号に対応付けられた部品累積値Np2と予測印刷ページ数Npxとの和Nsが、注目部品番号に対応付けられた耐用ページ数NsUを超えることである。以上により、CPU510は、予定貸出期間内に不具合を引き起こし得る部品が交換条件を満たすと、適切に判断できる。なお、予測印刷ページ数Npxは、予測使用量の例である。耐用ページ数NsUは、上限使用量の例である。
【0097】
図9のS560では、CPU510は、対象プリンタに含まれる複数の部品のそれぞれの累積エラー回数Neを示す部品エラーデータDP2(図4)を参照する。また、交換条件判断処理(図9図10)は、S580、S600の処理を含んでいる。S580の条件が満たされる場合、CPU510は、S600を実行する、すなわち、注目部品番号の部品が交換条件を満たすと判断する。S580の条件は、注目部品番号に関して、注目部品番号に対応付けられた累積エラー回数Neがエラー閾値NeUを超えることである。以上により、CPU510は、不具合を有し得る部品が交換条件を満たすと、適切に判断できる。
【0098】
図11のS725では、CPU510は、対象プリンタに含まれる複数の部品のうち交換された部品の部品番号PNBを示す交換データを参照する。そして、S740では、CPU510は、交換された部品の部品累積値Np2と累積エラー回数Neとの両方をゼロに更新する(これにより、部品使用量データDP1と部品エラーデータDP2とが更新される)。従って、CPU510は、対象プリンタに関する次回の交換条件判断処理を、部品使用量データDP1と部品エラーデータDP2とを参照することによって、適切に実行できる。
【0099】
図6のS230では、CPU510は、対象プリンタに含まれる複数の部品のうち交換条件を満たすと判断された部品である対象部品を示す対象部品データを出力する。出力された対象部品データは、対象部品の交換などの種々の処理に使用可能である。本実施例では、対象部品データは管理端末300に出力される。管理端末300は、対象部品データを参照して、対象部品のリストを表示部340に表示する。従って、作業者は、表示部340を観察することによって、交換すべき部品を容易に確認できる。
【0100】
なお、ユーザ端末200のCPU210は、プリンタ100を使用するための種々の処理を実行してよい。例えば、CPU210は、管理サーバ500にユーザを登録するための処理を実行してよい。この機能は、プログラムPG2、または、他のプログラムによって、実現されてよい。
【0101】
B.第2実施例:
貸出用のプリンタは、インクジェット式のプリンタであってよい。図5のプリンタ情報送信処理と、図6の管理処理とは、インクジェット式のプリンタにも、適用可能である。
【0102】
図12は、インクジェット式の印刷実行部の例を示す概略図である。この印刷実行部900bは、印刷ヘッド410(単にヘッド410とも呼ぶ)と、第1移動装置430と、第2移動装置440と、インク供給部450と、を有している。
【0103】
第1移動装置430は、キャリッジ433と、摺動軸434と、ベルト435と、複数個のプーリ436、437と、を備えている。キャリッジ433は、ヘッド410を搭載する。摺動軸434は、キャリッジ433を主走査方向(Dx方向に平行な方向)に沿って往復動可能に保持する。ベルト435は、プーリ436、437に巻き掛けられ、一部がキャリッジ433に固定されている。プーリ436は、図示しない主走査モータの動力によって回転する。主走査モータがプーリ436を回転させると、キャリッジ433が摺動軸434に沿って移動する。これによって、用紙Pに対して主走査方向に沿ってヘッド410を移動させる主走査が実現される。
【0104】
第2移動装置440は、用紙Pを支持するように構成されたプラテンPTと、プラテンPT上に配置された用紙Pを保持するように構成された第1搬送ローラ441と第2搬送ローラ442と、ローラ441、442を駆動する図示しない搬送モータと、を備えている。用紙Pは、図示しない用紙トレイから、図示しない給紙ローラによって、第2移動装置440に供給される。第2移動装置440に供給された用紙Pは、第1搬送ローラ441と、第1搬送ローラ441に対となる図示しない従動ローラの間に挟まれ、これらローラによって副走査方向Dy側に搬送される。搬送された用紙Pは、第2搬送ローラ442と、第2搬送ローラ442に対となる図示しない従動ローラの間に挟まれ、これらローラによって副走査方向Dy側に搬送される。
【0105】
インク供給部450は、カートリッジ装着部451と、チューブ452と、バッファタンク453と、を備えている。カートリッジ装着部451には、KYCMの4色のための4個のインクカートリッジKC、YC、CC、MCが着脱可能に装着される。チューブ452は、カートリッジ装着部451とバッファタンク453との間を接続するインクの流路となる可撓性の管である。各インクカートリッジ内のインクは、カートリッジ装着部451、チューブ452、バッファタンク453を介して、ヘッド410に供給される。
【0106】
図示を省略するが、印刷ヘッド410は、KYCMの4色のための4個のノズル群を有している。印刷ヘッド410は、主走査の最中にノズルからインク滴を吐出することによって、用紙P上の主走査方向に延びるバンド領域にドットを形成する(部分印刷とも呼ぶ)。印刷実行部900bは、部分印刷と用紙Pの搬送とを繰り返すことによって、用紙P上に画像を印刷する。
【0107】
図13(A)は、第3データDB3bの例を示し、図13(B)は、第5データDB5bの個別プリンタデータDB5bPaの例を示している。交換条件判断処理の処理対象の部品は、印刷実行部900b(図12)の複数の部品から選択される。図13(A)、図13(B)の例では、印刷ヘッドと、搬送ローラと、キャリッジとが、処理対象である。なお、印刷実行部900bは、印刷ヘッド410の複数のノズルから図示しないインク受入部(例えば、スポンジ)に向かってインク滴を吐出するクリーニング処理を実行するように構成されている。印刷ヘッド410の累積クリーニング回数Ncは、このクリーニング処理の累積回数を示している。
【0108】
C.変形例:
【0109】
(1)予測印刷ページ数の決定方法は、図7図8の方法に代えて、予定貸出期間中の印刷ページ数の予測値を決定する種々の方法であってよい。例えば、図7のS355、S375、S385では、追加ページ数は、平均値に代えて、中央値、最頻値など、1以上の印刷ページ数NPを使用して予め決められた関数に従って算出される種々の値であってよい。
【0110】
図7のS345の判断結果がNoである場合、CPU510は、さらに、履歴データDB2(図3(B))を参照して、過去の年の月であって予定貸出期間に含まれる注目月と同じ月における対象ユーザとは異なる他ユーザによる印刷ページ数NP(すなわち、第2種同期間使用量)を検索してよい。そして、第2種同期間使用量が検索された場合には、CPU510は、S350、S355を実行してよい。第2種同期間使用量が検索されなかった場合には、CPU510は、種々の方法で追加ページ数を決定してよい。例えば、CPU510は、履歴データDB2を参照し、他ユーザの過去の全期間の印刷ページ数NPを取得する。そして、CPU510は、追加ページ数を、取得された印刷ページ数NPを使用して決定する(例えば、取得された印刷ページ数NPの平均値、中央値、最頻値など)。この構成によれば、履歴情報DB2iが第2種同期間使用量を含まない場合に、CPU510は、適切な予測印刷ページ数Npxを決定できる。
【0111】
また、図7のS345の判断結果がNoである場合、CPU510は、履歴情報DB2iが第2種同期間使用量を含むか否かに拘らずに、他ユーザの過去の全期間の印刷ページ数NPを使用して追加ページ数を決定してよい(例えば、平均値、中央値、最頻値など)。また、図7のS365、S370、S375が省略されてよい。例えば、S345の判断結果がYesである場合は、CPU510は、S380、S385を実行してよい。また、履歴情報DB2i(図3(B))が対象ユーザの使用履歴を含むか否かに拘らず、CPU510は、対象ユーザと他ユーザとを含む複数のユーザのそれぞれの全期間の印刷ページ数NPを使用して、追加ページ数を決定してよい(例えば、平均値、中央値、最頻値など)。ここで、CPU510は、全期間に代えて注目月の印刷ページ数NPを使用してよい。
【0112】
いずれの場合も、複数のユーザのそれぞれは、複数の区分(例えば、複数の業種に対応する複数の区分)のいずれかに対応付けられてよい。そして、CPU510は、対象ユーザとは異なる他ユーザの印刷ページ数NPを使用する場合には、対象ユーザの区分とは異なる区分に含まれる他ユーザの印刷ページ数NPを使用せずに、対象ユーザと同じ区分に含まれる他ユーザの印刷ページ数NPを使用してよい。
【0113】
また、図8のS420、S430は、省略されてよい。また、CPU510は、注目月に代えて、注目日、注目週など、予定貸出期間に含まれる種々の長さの注目期間を使用して、追加ページ数、ひいては、予測印刷ページ数Npxを決定してよい。図7図8の処理は、種々の注目期間に適用可能である。
【0114】
(2)貸出用の複数のプリンタは、複数の機種のプリンタを含んでよい。例えば、貸出用のプリンタの複数の機種は、以下の4機種を含んでよい。
(A)第1種レーザ式
(B)第2種レーザ式
(C)第1種インクジェット式
(D)第2種インクジェット式
ユーザは、複数の機種のうちの任意の機種のプリンタを借りてよい。対象ユーザの使用履歴は、例えば、以下の4台のプリンタのそれぞれの使用履歴を含んでよい。
(A)第1プリンタ(第1種レーザ式)
(B)第2プリンタ(第1種レーザ式)
(C)第3プリンタ(第2種レーザ式)
(D)第4プリンタ(第1種インクジェット式)
(第1と第2のプリンタは、同じ第1種レーザ式のプリンタである)
【0115】
ここで、プリンタの使用履歴(図3(B))の記録方法(図5:S135)は、種々の方法であってよい。履歴記録方法は、例えば、以下の3つの履歴記録方法のいずれかであってよい。なお、いずれの履歴記録方法が採用される場合も、管理処理(特に、予測印刷ページ数決定処理)は、参照される履歴データが異なる点を除いて、上記の実施例(図6図10)の処理、または、変形例の処理と同じであってよい。
【0116】
第1履歴記録方法は、プリンタの機種毎の履歴データ(図3(B))を使用して、プリンタの使用履歴を記録する方法である。上記の第1-第4のプリンタと、使用履歴の記録に使用される履歴データと、の対応関係は、以下の通りである。
(A)第1プリンタ(第1種レーザ式) :第1履歴データ
(B)第2プリンタ(第1種レーザ式) :第1履歴データ
(C)第3プリンタ(第2種レーザ式) :第2履歴データ
(D)第4プリンタ(第1種インクジェット式) :第3履歴データ
第1プリンタと第2プリンタとは、同じ第1種レーザ式のプリンタであるので、CPU510は、第1プリンタの使用履歴と第2プリンタの使用履歴とを、共通の第1履歴データに記録する。第1-第3の履歴データは、いずれも、個々のプリンタを区別しない。第1-第3の履歴データは、いずれも、同じ対象ユーザに対応付けられた個別ユーザデータに含まれる。対象ユーザが新たにプリンタを借りる場合、CPU510は、対象ユーザによって要求されたプリンタの機種に対応付けられた履歴データを参照して、予測印刷ページ数を決定する。プリンタの機種の例と、参照される履歴データと、の対応関係は、以下の通りである。
(A)第1種レーザ式 :第1履歴データ
(B)第1種インクジェット式 :第3履歴データ
(C)第2種インクジェット式 :他のユーザの第2種インクジェット式の履歴データ
対象ユーザの個別ユーザデータには、第2種インクジェット式の履歴データが含まれないので、CPU510は、第2種インクジェット式のために、他のユーザの第2種レーザ式の履歴データを参照する(図7:S345:No)。
【0117】
第2履歴記録方法は、共通の1個の履歴データを使用して、全てのプリンタの使用履歴を記録する方法である。上記の第1-第4のプリンタと、使用履歴の記録に使用される履歴データと、の対応関係は、以下の通りである。
(A)第1プリンタ(第1種レーザ式) :第4履歴データ
(B)第2プリンタ(第1種レーザ式) :第4履歴データ
(C)第3プリンタ(第2種レーザ式) :第4履歴データ
(D)第4プリンタ(第1種インクジェット式) :第4履歴データ
CPU510は、全てのプリンタの使用履歴を、共通の第4履歴データに記録する。第4履歴データは、個々のプリンタを区別しない。第4履歴データは、対象ユーザに対応付けられた個別ユーザデータに含まれる。対象ユーザが新たにプリンタを借りる場合、CPU510は、対象ユーザによって要求されたプリンタの機種と印刷方式とに拘わらずに、第4履歴データを参照して、予測印刷ページ数を決定する。プリンタの機種の例と、参照される履歴データと、の対応関係は、以下の通りである。
(A)第1種レーザ式 :第4履歴データ
(B)第1種インクジェット式 :第4履歴データ
(C)第2種インクジェット式 :第4履歴データ
【0118】
第3履歴記録方法は、プリンタの印刷方式毎の履歴データを使用して、プリンタの使用履歴を記録する方法である。上記の第1-第4のプリンタと、使用履歴の記録に使用される履歴データと、の対応関係は、以下の通りである。
(A)第1プリンタ(第1種レーザ式) :第5履歴データ
(B)第2プリンタ(第1種レーザ式) :第5履歴データ
(C)第3プリンタ(第2種レーザ式) :第5履歴データ
(D)第4プリンタ(第1種インクジェット式) :第6履歴データ
第5履歴データは、レーザ式のプリンタの使用履歴を示し、第6履歴データは、インクジェット式のプリンタの使用履歴を示している。第5、第6の履歴データは、いずれも、個々のプリンタを区別しない。第5、第6の履歴データは、いずれも、同じ対象ユーザに対応付けられた個別ユーザデータに含まれる。対象ユーザが新たにプリンタを借りる場合、CPU510は、対象ユーザによって要求されたプリンタの印刷方式に対応付けられた履歴データを参照して、予測印刷ページ数を決定する。プリンタの機種の例と、参照される履歴データと、の対応関係は、以下の通りである。
(A)第1種レーザ式 :第5履歴データ
(B)第1種インクジェット式 :第6履歴データ
(C)第2種インクジェット式 :第6履歴データ
【0119】
(3)交換条件は、図9図10に示す条件に限らず、複数のユーザのそれぞれのプリンタの使用履歴を含む履歴情報DB2iと、予定貸出期間と、を使用して判断される種々の条件であってよい。例えば、図9のS580は、省略されてよい。この場合、第5データDB5、DB5b(図4図13(B))からは、部品エラーデータDP2が省略されてよい。図11のS740では、累積エラー回数Neのリセットは省略されてよい。また、図9のS590は、省略されてよい。この場合、第5データDB5、DB5bからは、部品クリーニングデータDP3が省略されてよい。図11のS740では、累積クリーニング回数Ncのリセットは省略されてよい。
【0120】
(4)交換条件が満たされるか否かの判断には、印刷ページ数に限らず、使用量を示す種々のパラメータが使用されてよい。使用量としては、例えば、「印刷ページ数」、「印刷材のカートリッジの交換回数」、「ローラの回転数」、「印刷材(インク、トナーなど)の使用量」、「プリンタの稼働時間」など、印刷の量を示す種々のパラメータが使用されてよい。「印刷材の使用量」としては、例えば、「印刷されたドットの総数(ドットカウントとも呼ばれる)」が使用されてよい。
【0121】
上記の実施例では、予測印刷ページ数Npxは、複数の部品に共通であり、複数の部品のそれぞれの予測使用量を示している。CPU510は、図6のS210で、予測印刷ページ数Npxを決定することによって、複数の部品のそれぞれの予測使用量を決定している。
【0122】
これに代えて、CPU510は、部品毎に予測使用量を決定してよい。例えば、駆動ローラ991(図2)などのローラの使用量としては、回転数、または、印刷ページ数が使用されてよい。印刷ヘッド410(図12)の使用量としては、ドットカウント、または、累積クリーニング回数が使用されてよい。キャリッジ433の使用量としては、累積移動距離、または、印刷ページ数が使用されてよい。ここで、履歴データによって示される履歴情報は、複数の部品のそれぞれの使用量の履歴を示してよい。CPU510は、このような履歴情報と予定貸出期間とを使用して、複数の部品のそれぞれの予測使用量を決定できる。例えば、CPU510は、部品毎に図7図8の処理を実行することによって、各部品の予測使用量を決定してよい。図6のS220の処理(例えば、図9のS570)では、CPU510は、注目部品が交換条件を満たすか否かを判断するために、注目部品に対応付けられた予測使用量を使用する。
【0123】
このように、CPU510は、1個の予測使用量を、複数の部品のそれぞれの交換条件の判断に共通に使用してよい。これに代えて、CPU510は、予測使用量を、予測使用量に対応付けられる部品の交換条件の判断に使用してよい。
【0124】
(5)交換条件判断処理(図6:S220)の対象の部品は、図3(C)、図13(A)で説明した部品に限らず、プリンタに含まれる任意の部品であってよい。また、インク、トナーなどの印刷材を収容する容器(例えば、現像カートリッジ910(図2)、インクカートリッジMC、CC、YC、KC(図12)など)が、交換条件判断処理の判断結果に従って交換されてよい。このように、プリンタに含まれる種々の部材が、交換条件判断処理の対象であってよい。
【0125】
(6)図6のS230では、CPU510は、管理端末300に代えて、種々の装置に対象部品データ(より一般的には、交換条件を満たす対象部材を示す対象部材データ)を出力してよい。例えば、CPU510は、管理サーバ500の内部の記憶装置515(例えば、不揮発性記憶装置530)、または、管理サーバ500に接続された外部記憶装置に、対象部材データを出力してよい(この場合、CPU510は、対象部材データを、記憶装置に格納する)。また、CPU510は、液晶ディスプレイなどの表示装置に、対象部材データを出力してよい(この場合、CPU510は、対象部材を示す情報を、表示装置に表示させる)。
【0126】
(7)図6のS210、S220(例えば、図7のS340、S350、S370、S380、図9のS530、S560)では、管理サーバ500のCPU510は、不揮発性記憶装置530の記憶領域からデータの少なくとも一部を読み出すことによって、データを参照する。例えば、図7のS380では、CPU510は、履歴データDB2の少なくとも一部を読み出すことによって、履歴データDB2を参照する。データの参照は、データの読み出しに限らず、他の種々の処理を含んで良い。例えば、データDB1-DB5は、管理サーバ500とは異なるデータ管理装置(例えば、データベースサーバ)によって管理されてよい。管理サーバ500のCPU510は、データベースサーバに、データ(例えば、履歴データDB2)によって示される情報を問い合わせるクエリーを送信する。データベースサーバは、クエリーによって要求される情報を示すデータを、管理サーバ500に送信する。このように、データの参照は、クエリーの送信によって、行われてよい。この場合、図5のS130、S150、S170では、プリンタ100のCPU110は、管理サーバ500に代えてデータベースサーバに、データを送信する。S135、S155、S175では、データベースサーバが、プリンタ100からのデータを使用して、種々のデータ(例えば、データDB2、DB4、DB5など)を更新する。なお、データベースサーバの機能は、管理サーバ500によって実現されてよい。CPU510は、プログラムPG5とは異なる別のプログラムを実行することによって、データベース処理部として動作してよい。この場合、図6のS210、S220では、CPU510は、管理サーバ500上で動作するデータベース処理部に、クエリーを送信してよい。一般的には、「データ参照する処理」は、データによって示される情報の少なくとも一部を示すデータを取得する種々の処理であってよい。
【0127】
(8)プリンタの構成は、図2図12の構成に代えて、画像を印刷可能な種々の構成であってよい。例えば、プリンタは、1色(例えば、ブラックK)の印刷材を用いるプリンタであってよい。また、プリンタは、印刷を行うように構成された印刷実行部を有する種々の装置であってよい。例えば、プリンタは、複合機、コピー機、ファクシミリ装置などのように、印刷実行部と読取実行部とを含む装置であってよい。読取実行部は、原稿を光学的に読み取ることによって、読み取った原稿の画像データを生成する装置である。
【0128】
(9)管理サーバ500に代えて、他の種々の装置が、プリンタの部材が交換条件を満たすか否かを判断してよい。例えば、管理端末300が、管理サーバ500の代わりに、図6のS210、S220の処理を実行してよい。ここで、管理サーバ500は、データDB1-DB5を管理するデータベースサーバとして機能してよい。管理端末300のCPU310は、管理サーバ500にクエリーを送信することによって、管理サーバ500から種々の情報を取得できる。また、ネットワークを介して互いに通信可能な複数の装置(例えば、コンピュータ)が、プリンタの部材が交換条件を満たすか否かを判断する処理の機能を一部ずつ分担して、全体として、その処理の機能を提供してもよい(これらの装置を備えるシステムが、管理装置に対応する)。
【0129】
上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図6の交換条件判断処理(S220)の機能を、専用のハードウェア回路によって実現してもよい。
【0130】
また、本発明の機能の一部または全部がコンピュータプログラムで実現される場合には、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、一時的ではない記録媒体)に格納された形で提供することができる。プログラムは、提供時と同一または異なる記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に格納された状態で、使用され得る。「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、メモリカードやCD-ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種ROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスクドライブ等のコンピュータに接続されている外部記憶装置も含み得る。
【0131】
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0132】
100…プリンタ、102…ボディ、104…排紙トレイ、110…CPU、115…記憶装置、120…揮発性記憶装置、130…不揮発性記憶装置、140…表示部、150…操作部、180…通信インタフェース、200…ユーザ端末、210…CPU、215…記憶装置、220…揮発性記憶装置、230…不揮発性記憶装置、240…表示部、250…操作部、280…通信インタフェース、300…管理端末、310…CPU、315…記憶装置、320…揮発性記憶装置、330…不揮発性記憶装置、340…表示部、350…操作部、380…通信インタフェース、410…印刷ヘッド、414…ヘッド駆動部、430…第2移動装置、433…キャリッジ、434…摺動軸、435…ベルト、436…プーリ、440…第1移動装置、441…第1搬送ローラ、442…第2搬送ローラ、450…インク供給部、451…カートリッジ装着部、452…チューブ、453…バッファタンク、490…制御部、500…管理サーバ、510…CPU、515…記憶装置、520…揮発性記憶装置、530…不揮発性記憶装置、580…通信インタフェース、900、900b…印刷実行部、903…スキャナユニット(露光器)、904…プロセスユニット、905…転写ユニット、906…定着ユニット、907…感光ドラム、908…スコロトロン型帯電器、909…ドラムクリーニングローラ、910…現像カートリッジ、911…現像ローラ、912…供給ローラ、913…駆動ローラ、914…従動ローラ、915…搬送ベルト、916…転写ローラ、917…加熱ローラ、918…加圧ローラ、990…給紙ユニット、991…駆動ローラ、992…従動ローラ、999…回転センサ、PT…プラテン、1000…システム、P…用紙、MC、CC、YC、KC…インクカートリッジ、LN…ローカルエリアネットワーク、IT…インターネット
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