(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158486
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】撮像素子、焦点検出装置および撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/357 20110101AFI20221006BHJP
H04N 5/369 20110101ALI20221006BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20221006BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20221006BHJP
G02B 7/34 20210101ALI20221006BHJP
G03B 13/36 20210101ALI20221006BHJP
G03B 17/14 20210101ALI20221006BHJP
【FI】
H04N5/357 200
H04N5/369 600
H04N5/232 120
H04N5/225 300
G02B7/34
G03B13/36
G03B17/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021063431
(22)【出願日】2021-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】中山 史人
(72)【発明者】
【氏名】高木 徹
(72)【発明者】
【氏名】平田 純也
【テーマコード(参考)】
2H011
2H101
2H151
5C024
5C122
【Fターム(参考)】
2H011BA23
2H011BB02
2H101EE08
2H101EE13
2H101EE21
2H151BA06
2H151BA07
2H151CB05
2H151CB09
2H151CB22
2H151CB29
2H151EC04
5C024CY17
5C024EX12
5C024EX43
5C024GX02
5C024GX14
5C122EA68
5C122FB05
5C122FC06
5C122FD07
5C122HB06
(57)【要約】
【課題】光電変換部の一部を覆う遮光部を有し、焦点検出に用いる画素を備える撮像素子において、焦点検出の精度を向上させる。
【解決手段】撮像素子は、マイクロレンズと光電変換部とを有し、第1方向および第1方向と交差する第2方向に沿って配置された複数の画素を有する撮像面を備え、複数の画素は、マイクロレンズと光電変換部との間に配置され、第1境界線よりも第1方向側の光を遮光する第1遮光部を備える第1画素と、マイクロレンズと光電変換部との間に配置され、第2境界線よりも第1方向とは反対側の光を遮光する第2遮光部を備える第2画素と、からなる画素ペアを含み、第1画素の光電変換部に対する第1境界線の第1方向についての相対位置である第1位置と、第2画素の光電変換部に対する第2境界線の第1方向についての相対位置である第2位置との差が、画素ペアの撮像面の第1方向の中心からの距離に応じて異なる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロレンズと光電変換部とを有し、第1方向および前記第1方向と交差する第2方向に沿って配置された複数の画素を有する撮像面を備え、
複数の前記画素は、
前記マイクロレンズと前記光電変換部との間に配置され、第1境界線よりも前記第1方向側の光を遮光する第1遮光部を備える第1画素と、前記マイクロレンズと前記光電変換部との間に配置され、第2境界線よりも前記第1方向とは反対側の光を遮光する第2遮光部を備える第2画素と、からなる画素ペアを含み、
前記第1画素の前記光電変換部に対する前記第1境界線の前記第1方向についての相対位置である第1位置と、前記第2画素の前記光電変換部に対する前記第2境界線の前記第1方向についての相対位置である第2位置との差が、前記画素ペアの前記撮像面の前記第1方向の中心からの距離に応じて異なる、撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
前記第1位置と前記第2位置との平均位置が、前記画素ペアの前記撮像面の前記第1方向の中心からの距離に応じて異なる、撮像素子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像素子において、
前記第1位置と前記第2位置との平均位置が、前記撮像面の前記第1方向の中心からの距離に対して第1の関係で変化する第1画素ペアと、前記第1位置と前記第2位置との平均位置が、前記撮像面の前記第1方向の中心からの距離に対して第2の関係で変化する第2画素ペアと、を有する撮像素子。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像素子において、
前記第1画素ペアにおける前記第1位置は、前記第2画素ペアにおける前記第1位置よりも第1方向側に位置し、前記第1画素ペアにおける前記第2位置は、前記第2画素ペアにおける前記第2位置よりも第1方向側に位置する、撮像素子。
【請求項5】
請求項3または4に記載の撮像素子において、
前記第1画素ペアにおける前記第1位置は、前記第2画素ペアにおける前記第1位置よりも第1方向と反対側に位置し、前記第1画素ペアにおける前記第2位置は、前記第2画素ペアにおける前記第2位置よりも第1方向と反対側に位置する、撮像素子。
【請求項6】
請求項3から5までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1画素ペアと前記第2画素ペアとは、前記第1方向と交差する第2方向の異なる位置に配置される、撮像素子。
【請求項7】
請求項3から5までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1画素ペアの前記第1画素と、前記第1画素ペアの前記第2画素とは、前記第1方向と交差する第2方向の異なる位置に配置される、撮像素子。
【請求項8】
請求項1または2に記載の撮像素子と、
前記撮像素子が有する前記第1画素と前記第2画素からの一対の信号に基づいて、前記撮像素子に入射する光の焦点状態を検出する検出部と、を備える焦点検出装置。
【請求項9】
請求項3から7までのいずれか一項に記載の撮像素子と、
複数の前記画素ペアのうちの前記第1画素ペアが有する前記第1画素と前記第2画素とからの一対の信号に基づいて、前記撮像素子に入射する光の焦点状態を検出する検出部と、を有する焦点検出装置。
【請求項10】
請求項3から7までのいずれか一項に記載の撮像素子と、
前記第1画素ペアが有する前記第1画素と、前記第2画素ペアが有する前記第2画素とからの一対の信号に基づいて、前記撮像素子に入射する光の焦点状態を検出する検出部と、を有する焦点検出装置。
【請求項11】
撮影光学系と、
請求項8に記載の焦点検出装置と、を備える、撮像装置。
【請求項12】
撮影光学系と、
請求項9または10に記載の焦点検出装置と、
前記撮影光学系に関する情報に基づいて、複数の前記画素ペアのうち、前記第1画素ペアと前記第2画素ペアとのうちの何れかを選択する選択部を有し、
前記焦点検出装置が有する前記検出部は、前記選択部により選択された画素ペアの前記第1画素と前記第2画素とからの一対の信号に基づいて焦点状態を検出する、撮像装置。
【請求項13】
請求項12に記載の撮像装置において、
前記選択部は、前記撮影光学系に関する情報に基づいて、前記第1画素ペアの前記第1画素と、前記第2画素ペアの前記第2画素とを選択し、
前記検出部は、前記選択部により選択された前記第1画素と前記第2画素とからの一対の信号に基づいて焦点状態を検出する、撮像装置。
【請求項14】
請求項12または13に記載の撮像装置において、
前記撮影光学系に関する情報は、射出瞳の距離である、撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子、焦点検出装置および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光電変換部の一部を覆う遮光部を有し、焦点検出に用いる画素を備える撮像素子が知られている(例えば、特許文献1)。従来から、焦点検出の精度向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
第1の態様による撮像素子は、マイクロレンズと光電変換部とを有し、第1方向および前記第1方向と交差する第2方向に沿って配置された複数の画素を有する撮像面を備え、複数の前記画素は、前記マイクロレンズと前記光電変換部との間に配置され、第1境界線よりも前記第1方向側の光を遮光する第1遮光部を備える第1画素と、前記マイクロレンズと前記光電変換部との間に配置され、第2境界線よりも前記第1方向とは反対側の光を遮光する第2遮光部を備える第2画素と、からなる画素ペアを含み、前記第1画素の前記光電変換部に対する前記第1境界線の前記第1方向についての相対位置である第1位置と、前記第2画素の前記光電変換部に対する前記第2境界線の前記第1方向についての相対位置である第2位置との差が、前記画素ペアの前記撮像面の前記第1方向の中心からの距離に応じて異なる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】実施の形態における撮像装置の要部構成を説明する横断面図である。
【
図2】実施の形態における撮像装置の要部構成を説明するブロック図である。
【
図3】撮像素子の構成を模式的に説明する図である。
【
図4】撮像面の中央付近の領域に配置される焦点検出画素の断面を模式的に示す図である。
【
図5】第1画素対、第2画素対および第3画素対と射出瞳の距離との関係を模式的に示す図である。
【
図6】撮像面の左側面の領域に配置される画素の断面を模式的に示す図である。
【
図7】撮像面の右側面の領域に配置される画素の断面を模式的に示す図である。
【
図8】焦点検出画素からの信号の出力比とカメラレンズ主光線角度との関係を表す図である。
【
図9】焦点検出画素からの信号の最小出力値とカメラレンズ主光線角度との関係を表す図である。
【
図10】撮像面の左側面、右側面における焦点検出画素の配置の他の例を示す。
【
図11】撮像面の左側面、右側面における焦点検出画素の配置の別の例を示す
【発明を実施するための形態】
【0006】
図面を参照しながら、本実施の形態による撮像素子およびこの撮像素子を備える撮像装置について説明する。
図1は本実施の形態による撮像装置であるデジタルカメラ100の構成を説明する横断面図である。なお、説明の都合上、x軸、y軸、z軸からなる直交座標系を図示の通りに設定する。
図1において、z軸を図面の水平方向、y軸を図面の縦方向、x軸をy軸およびz軸に直交する方向に沿って設定している。
【0007】
デジタルカメラ100は、カメラ本体200と撮影レンズ本体300とにより構成され、撮影レンズ本体300はマウント部(不図示)を介して装着される。カメラ本体200には、マウント部を介して種々の撮影光学系を有する撮影レンズ本体300が装着可能である。上記のマウント部には電気接点201、202が設けられ、カメラ本体200と撮影レンズ本体300とが結合された時には、電気接点201および202を介して電気的な接続が確立される。
【0008】
撮影レンズ本体300は、撮影光学系1と、絞り2と、駆動機構3と、レンズデータ部4とを備えている。撮影光学系1は、被写体像を撮像素子8の撮像面上に結像させるための光学系であり、焦点調節レンズを含む複数のレンズによって構成されている。駆動機構3は、電気接点201を介してカメラ本体200側から入力したデフォーカス量を用いてレンズ駆動量を算出し、レンズ駆動量に応じて撮影光学系1を構成する焦点調節レンズを光軸Lの方向(z方向)に沿って合焦位置へ駆動する。
【0009】
レンズデータ部4は、たとえば不揮発性の記録媒体により構成され、撮影レンズ本体300に関連する各種のレンズ情報、たとえば撮影光学系1の射出瞳の位置等が格納されている。レンズデータ部4は電気接点202を介してカメラ本体200との間で上記のレンズ情報等を送信する。
【0010】
カメラ本体200内部には、制御部5と、撮像素子8および焦点検出演算部14を有する焦点検出装置6とが設けられている。カメラ本体200には操作部11が設けられている。撮像素子8には、CCDやCMOS等の撮像画素と焦点検出画素がxy平面上において二次元状(行と列)に配置される。撮像画素は、撮影光学系1の射出瞳領域の全体を通過した光束を受光して、画像信号を制御部5へ出力する。焦点検出画素は、撮影光学系1の左右または上下等の一部の射出瞳領域を通過した光束を受光して、焦点検出信号を制御部5へ出力する。撮像素子8の撮像画素には、それぞれR(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタが設けられている。撮像画素がカラーフィルタを通して被写体像を撮像するため、撮像信号はRGB表色系の色情報を有する。なお、焦点検出画素にはカラーフィルタが設けられていなくても良いし、全ての焦点検出画素に同一(たとえばG)のカラーフィルタが設けられても良い。なお、撮像素子8については、詳細を後述する。
【0011】
操作部11はユーザによって操作される種々の操作部材に対応して設けられた種々のスイッチを含み、操作部材の操作に応じた操作信号を制御部5へ出力する。操作部材は、たとえばレリーズボタンや、カメラ本体200の背面に設けられた背面モニタ(不図示)にメニュー画面を表示させるためのメニューボタンや、各種の設定等を選択操作する時に操作される十字キー、十字キーにより選択された設定等を決定するための決定ボタン、撮影モードと再生モードとの間でデジタルカメラ100の動作を切替える動作モード切替ボタン、露出モードを設定する露出モード切替ボタン等を含む。
【0012】
さらに、
図2に示すブロック図を用いて、デジタルカメラ100の制御系について説明する。
図2に示すようにデジタルカメラ100は、A/D変換部12と、画像処理回路13と、焦点検出演算部14と、ボディ-レンズ通信部15と、記憶部16とを有している。制御部5は、CPU、ROM、RAMなどを有し、制御プログラムに基づいて、デジタルカメラ100の各構成要素を制御したり、各種のデータ処理を実行したりする演算回路である。制御プログラムは、制御部5内の不図示の不揮発性メモリに格納されている。制御部5は、選択部51を機能として備え、装着された撮影レンズ本体300に応じて、撮像素子8が有する焦点検出画素のうち、焦点検出演算に用いる焦点検出信号を出力する焦点検出画素を選択する。なお、選択部51については、詳細を後述する。制御部5は、撮像素子8およびA/D変換部12の駆動を制御して、撮像素子8に電荷蓄積および撮像信号の読み出し等を行わせる。A/D変換部12は、撮像素子8から出力されたアナログの撮像信号をデジタルに変換する。
【0013】
画像処理回路13は、撮像素子8の撮像画素から出力された撮像信号を画像信号として用い、画像信号に対して種々の画像処理を施して画像データを生成した後、付加情報等を付与して画像ファイルを生成する。画像処理回路13は、生成した画像ファイルをメモリカード等の記録媒体(不図示)に記録する。画像処理回路13は、生成した画像データや記録媒体に記録されている画像データに基づいて、背面モニタ(不図示)に表示するための表示画像データを生成する。
【0014】
焦点検出演算部14は、撮像素子8の焦点検出画素から出力された焦点検出信号を用いて、公知の位相差検出方式によりデフォーカス量を算出する。ボディ-レンズ通信部15は、制御部5に制御され、電気接点201、202を介して撮影レンズ本体300内の駆動機構3やレンズデータ部4と通信を行い、カメラ情報(デフォーカス量や絞り値など)の送信やレンズ情報(射出瞳の位置など)の受信を行う。
記憶部16は、たとえば不揮発性の記憶媒体であり、制御部5が各種の処理を実行するためのプログラムや、制御部5が各種の処理を実行するためのデータ等が記憶される。
【0015】
次に、本実施の形態における撮像素子8について詳細に説明する。
図3は、本実施の形態の撮像素子8を模式的に示す図であり、
図3(a)は撮像素子8の撮像面800を模式的に示し、
図3(b)は焦点検出画素820の断面を模式的に示す。なお、
図3においても、x軸、y軸、z軸からなる直交座標系を、
図1に示す例と同様にして設定する。撮像面800には、複数の撮像画素810と、デフォーカス量の演算に用いる焦点検出信号を取得するための複数の焦点検出画素820とが配置されている。
図3(a)においては、焦点検出画素820に斜線を付して示す。
【0016】
焦点検出画素820は、撮像面800の中心付近(
図3(a)の破線で囲む領域800C)と、撮像面800の左側面(
図3(a)の破線で囲む領域800L)と、撮像面800の右側面(
図3(a)の破線で囲む領域800R)とに、それぞれ所定の画素行(
図3(a)の例ではm行)ごとに配置される。焦点検出画素820は、撮像面800の行方向(x方向)に沿って第n行目の画素行に1つの撮像画素810おき(すなわち焦点検出画素820と撮像画素810とが交互)に配列され、列方向(y方向)に沿ってm行ごとに配列される。なお、
図3(a)においては、x方向に1つの撮像画素810と1つの焦点検出画素820とが交互に配列される例を示したが、x方向の焦点検出画素820の配列はこの例に限定されるものではない。
撮像面800に設けられた複数の焦点検出画素820のうち、一部は第1焦点検出画素8201であり、他は第2焦点検出画素8202である。
図3(a)に示すように、x方向に並ぶ第1焦点検出画素8201と第2焦点検出画素8202とは、一対の画素対(画素ペア)90を構成する。なお、画素ペア90は、
図3(a)に示す例に限定されず、y方向に並ぶ第1焦点検出画素8201と第2焦点検出画素8202とにより構成されてもよい。
【0017】
図3(b)に示すように、画素対90を構成する第1焦点検出画素8201は、マイクロレンズ8211と、光電変換部8221と、マイクロレンズ8211と光電変換部8221との間に配置され、第1境界線L1よりも第1方向側(x方向+側)の光を遮光する第1遮光部8231と、を備える。画素対90を構成する第2焦点検出画素8202は、マイクロレンズ8212と、光電変換部8222と、マイクロレンズ8212と光電変換部8222との間に配置され、第2境界線L2よりも第2方向側(x方向-側)の光を遮光する第2遮光部8232と、を備える。
【0018】
以下、中心付近の領域800Cに配列される焦点検出画素820と、撮像面800の左側面の領域800Lに配列される焦点検出画素820と、撮像面800の右側面の領域800Rに配列される焦点検出画素820と、について分けて説明を行う。
【0019】
-中心付近の領域800C-
図4は、撮像面800の中央付近の領域800Cに配置される複数の焦点検出画素820のうち、画素対90Cを構成する第1焦点検出画素8201Cおよび第2焦点検出画素8202Cの断面を模式的に示す図であり、上述した
図3(b)に示す断面構造と同様の構造を有する。領域800Cには、複数の画素対90Cが配列される。上述したように1つの焦点検出画素820と1つの撮像画素810とがx方向に交互に配列されることから、
図4は、第1焦点検出画素8201Cと第2焦点検出画素8202Cとの間に1つの撮像画素810が配置される場合を一例として示す。なお、配置はこの例に限定されるものではない。
【0020】
第1焦点検出画素8201Cでは、撮影光学系1からの光束がマイクロレンズ8211Cを介して通過した後、一部が第1遮光部8231Cにより遮光(制限)されて光電変換部8221Cに入射する。第1遮光部8231Cは、xy平面上において、第1焦点検出画素8201Cの中心を通るy軸に沿った第1境界線L1Cを端部とし、この端部よりもx方向+側の領域に形成される。すなわち、第1遮光部8231Cは、第1焦点検出画素8201Cの中心よりもx方向+側を通過する光束を制限する。
【0021】
第2焦点検出画素8202Cでは、撮影光学系1からの光束がマイクロレンズ8212Cを介して通過した後、一部が第2遮光部8232Cにより遮光(制限)されて光電変換部8222Cに入射する。第2遮光部8232Cは、xy平面上において、第2焦点検出画素8202Cの中心を通るy軸に沿った第2境界線L2Cを端部とし、この端部よりもx方向-側の領域に形成される。すなわち、第2遮光部8232Cは、第2焦点検出画素8202Cの中心よりもx方向-側を通過する光束を制限する。
【0022】
-左側面の領域800L-
図3(a)に示す撮像面800の左側面の領域800Lに配置される焦点検出画素820について説明を行う。
図5は、領域800Lに設けられた複数の第1画素対90L1、複数の第2画素対90L2および複数の第3画素対90L3(総称する場合には画素対90Lと呼ぶ)と射出瞳の距離との関係を模式的に示す図である。
なお、第1画素対90L1と第2画素対90L2と第3画素対90L3とは、撮像素子8の撮像面上においてy方向の異なる位置に配置される。例えば、第1画素対90L1は
図3(a)に示す第n行目の画素行に配列され、第2画素対90L2は
図3の第n+m行目の画素行に配列され、第3画素対90L3は
図3の第n+2m行目の画素行に配列される。以降は、上記の順序でm行ごとに各画素対90Lが配列される。
図5(a)に示すように、第1画素対90L1を構成する第1焦点検出画素8201L1と第2焦点検出画素8202L1とは、光電変換部8221、8222から第1射出瞳距離PO1の第1射出瞳P1に対応した構成を有する。
図5(b)に示すように、第2画素対90L2を構成する第1焦点検出画素8201L2と第2焦点検出画素8202L2とは、第1射出瞳距離PO1よりも短い第2射出瞳距離PO2の第2射出瞳P2に対応した構成を有する。
図5(c)に示すように、第3画素対90L3を構成する第1焦点検出画素8201L3と第2焦点検出画素8202L3とは、第2射出瞳距離PO2よりも短い第3射出瞳距離PO3の第3射出瞳P3に対応した構成を有する場合を例に挙げる。
【0023】
図6は、撮像面800の領域800Lに配置される複数の焦点検出画素820の断面を模式的に示す図であり、
図6(a)は第1画素対90L1を構成する第1焦点検出画素8201L1および第2焦点検出画素8202L2の断面を模式的に示す。なお、
図6(a)は、第1焦点検出画素8201L1と第2焦点検出画素8202L1との間に1つの撮像画素810が配置される場合を一例として示すが、第1焦点検出画素8201L1と第2焦点検出画素8202L1と撮像画素810との配列はこの例に限定されない。
【0024】
第1焦点検出画素8201L1では、撮影光学系1からの光束がマイクロレンズ8211L1を介して通過した後、一部が第1遮光部8231L1により遮光(制限)されて光電変換部8221L1に入射する。第1焦点検出画素8201L1においては、マイクロレンズ8211L1は、光電変換部8221L1に対してx方向+側に所定距離オフセットされて配置される。第1遮光部8231L1は、xy平面上において、第1焦点検出画素8201L1の中心C1よりもx方向+側を通るz軸に沿った第1基準線L1L1よりもx方向+側の位置を端部(第1境界線)EP1L1とし、この端部EP1L1よりもx方向+側の領域に形成される。第1基準線L1L1は、第1射出瞳位置の一方の瞳がマイクロレンズ8211L1により投影される領域の端部である。第1境界線EP1L1は、第1焦点検出画素8201L1の中心C1からx方向+側の第1位置に形成される。第1位置は、撮像面800の中心から第1焦点検出画素8201L1の配置位置までのx方向の距離に応じて設定される。すなわち、第1焦点検出画素8201L1の配置位置と撮像面800の中心との距離が大きいほど、第1境界線EP1L1と第1焦点検出画素8201L1の中心C1との距離が大きい。
【0025】
第2焦点検出画素8202L1では、撮影光学系1からの光束がマイクロレンズ8212L1を介して通過した後、一部が第2遮光部8232L1により遮光(制限)されて光電変換部8222L1に入射する。第2焦点検出画素8202L1においては、マイクロレンズ8212L1は、光電変換部8222L1に対してx軸+側に所定距離オフセットされて配置される。第2遮光部8232L1は、xy平面上において、第2焦点検出画素8202L1の中心C2よりもx軸+側を通るz軸に沿った第2基準線L2L1よりもx方向-側の位置を端部(第2境界線)EP2L1とし、この端部EP2L1よりもx方向-側の領域に形成される。第2基準線L2L1は、第1射出瞳位置の他方の瞳がマイクロレンズ8211L1により投影される領域の端部である。第2境界線EP2L1は、第2焦点検出画素8202L1の中心C2からx方向+側の第2位置に形成される。第2位置は、撮像面800の中心から第2焦点検出画素8202L1の配置位置までのx方向の距離に応じて設定される。すなわち、第2焦点検出画素8202L1の配置位置と撮像面800の中心との距離が大きいほど、第2境界線EP2L1と第2焦点検出画素8202L1の中心C2との距離が大きい。
【0026】
上述したように、第1焦点検出画素8201L1の光電変換部8221L1の中心C1に対するx方向の相対位置(第1位置)に第1遮光部8231L1の端部(第1境界位置)EP1L1が形成される。第2焦点検出画素8202L1の光電変換部8222L1の中心C2に対するx方向の相対位置(第2位置)に第2遮光部8232L1の端部(第2境界位置)EP2L1が形成される。第1位置と第2位置とは、撮像面200の中心からx方向に沿った第1焦点検出画素8201L1と第2焦点検出画素8202L1との配置位置までの距離に応じて設定される。このため、同一の画素行(第n行目)において、第1位置と第2位置との差は、撮像面800の中心からx方向に沿った第1焦点検出画素8201L1と第2焦点検出画素8202L1との配置位置までの距離に応じて異なることとなる。
【0027】
次に、
図6(b)を参照しながら、第2画素対90L2について説明する。第2画素対90L2は、第1焦点検出画素8201L2および第2焦点検出画素8202L2からなる。
図6(b)は、第1焦点検出画素8201L2と第2焦点検出画素8202L2との間に1つの撮像画素810が配置される場合を例として示すが、配置はこの例に限定されない。第1焦点検出画素8201L2と第2焦点検出画素8202L2とは、上述した第1画素対90L1の第1焦点検出画素8201L1と第2焦点検出画素8202L1と比較して、第1遮光部8231L2および第2遮光部8232L2が異なる。具体的には、第2画素対90L2における第1位置と第2位置との撮像面800の中心からのx方向の距離に対する変化は、第1画素対90L1における第1位置および第2位置との撮像面800の中心からのx方向の距離に対する変化とは異なる。
【0028】
第1焦点検出画素8201L2では、撮影光学系1からの光束がマイクロレンズ8211L2を介して通過した後、一部が第1遮光部8231L2により遮光(制限)されて光電変換部8221L2に入射する。第1焦点検出画素8201L2においては、マイクロレンズ8211L2は、光電変換部8221L2に対してx方向+側に所定距離オフセットされて配置される。第1遮光部8231L2は、xy平面上において、第1焦点検出画素8201L2の中心C1を通るz軸に沿った第1基準線L1L2よりもx方向+側の位置を端部(第1境界線)EP1L2とし、この端部EP1L2よりもx方向+側の領域に形成される。第1基準線L1L2は、第2射出瞳位置の一方の瞳がマイクロレンズ8211L2により投影される領域の端部である。第1境界線EP1L2は、第1焦点検出画素8201L2の中心C1からx方向+側の第1位置に形成される。第1位置は、撮像面800の中心から第1焦点検出画素8201L2の配置位置までのx方向の距離に応じて設定される。すなわち、第1焦点検出画素8201L2の配置位置と撮像面800の中心との距離が大きいほど、第1境界線EP1L2と第1焦点検出画素8201L2の中心C1との距離が大きい。光電変換部8221L2の中心C1に対する第1境界線EP1L2の相対位置(第1位置)は、上述した第1焦点検出画素8201L1における第1位置よりもx方向-側に位置する。
【0029】
第2焦点検出画素8202L2では、撮影光学系1からの光束がマイクロレンズ8212L2を介して通過した後、一部が第2遮光部8232L2により遮光(制限)されて光電変換部8222L2に入射する。第2焦点検出画素8202L2においては、マイクロレンズ8212L2は、光電変換部8222L2に対してx方向+側に所定距離オフセットされて配置される。第2遮光部8232L2は、xy平面上において、第2焦点検出画素8202L2の中心C2を通るz軸に沿った第2基準線L2L2よりもx方向-側の位置を端部(第2境界線)EP2L2とし、この端部EP2L2よりもx方向-側の領域に形成される。第2基準線L2L2は、第2射出瞳位置の他方の瞳がマイクロレンズ8212L2により投影される領域の端部である。第2境界線EP2L2は、第2焦点検出画素8202L2の中心C2からx方向-側の第2位置に形成される。第2位置は、撮像面800の中心から第2焦点検出画素8202L2の配置位置までのx方向の距離に応じて設定される。すなわち、第2焦点検出画素8202L2の配置位置と撮像面800の中心との距離が大きいほど、第2境界線EP2L2と第2焦点検出画素8202L2の中心C2との距離が大きい。光電変換部822L2の中心C2に対する第2境界線EP2L2の相対位置(第2位置)は、上述した第2焦点検出画素8202L1における第2位置よりもx方向-側に位置する。
【0030】
次に、
図6(c)を参照しながら、第3画素対90L3について説明する。第3画素対90Lは、第1焦点検出画素820-1L3および第2焦点検出画素8202L3からなる。
図6(c)では第1焦点検出画素8201L3と第2焦点検出画素8202L3との間には、1つの撮像画素810が配置される場合を一例として示すが、配置はこの例に限定されない。第1焦点検出画素8201L3と第2焦点検出画素8202L3とは、上述した第1画素対90L1の第1焦点検出画素8201L1と第2焦点検出画素8202L1および第2画素対90L2の第1焦点検出画素8201L2と第2焦点検出画素8202L2と比較して、第1遮光部8231L3および第2遮光部8232L3が異なる。具体的には、第3画素対90L3における第1位置と第2位置との撮像面800の中心からのx方向の距離に対する変化は、第1画素対90L1および第2画素対90L2における第1位置および第2位置との撮像面800の中心からのx方向の距離に対する変化とは異なる。
【0031】
第1焦点検出画素8201L3では、撮影光学系1からの光束がマイクロレンズ8211L3を介して通過した後、一部が第1遮光部8231L3により遮光(制限)されて光電変換部8221L3に入射する。第1焦点検出画素8201L3においては、マイクロレンズ8211L3は、光電変換部8221L3に対してx方向+側に所定距離オフセットされて配置される。第1遮光部8231L3は、xy平面上において、第1焦点検出画素8201L3の中心C1よりもx軸-側を通るy軸に沿った第1基準線L1L3よりもx方向+側の位置を端部(第1境界線)EP1L3とし、この端部EP1L3よりもx方向+側の領域に形成される。第1基準線L1L3は、第3射出瞳位置の一方の瞳がマイクロレンズ8211L3により投影される領域の端部である。第1境界線EP1L3は、第1焦点検出画素8201L3の中心C1からx方向+側の第1位置に形成される。第1位置は、撮像面800の中心から第1焦点検出画素8201L3の配置位置までのx方向の距離に応じて設定される。すなわち、第1焦点検出画素8201L3の配置位置と撮像面800の中心との距離が大きいほど、第1境界線EP1L3と第1焦点検出画素8201L3の中心C1との距離が大きい。光電変換部8221L3の中心C1に対する第1境界線EP1L3の相対位置(第1位置)は、上述した第1焦点検出画素8201L1における第1位置および第1焦点検出画素8201L2における第1位置よりもx方向-側に位置する。
【0032】
第2焦点検出画素8202L3では、撮影光学系1からの光束がマイクロレンズ8212L3を介して通過した後、一部が第2遮光部8232L3により遮光(制限)されて光電変換部8222L3に入射する。第2焦点検出画素8202L3においては、マイクロレンズ8212L3は、光電変換部8222L3に対してx方向+側に所定距離オフセットされて配置される。第2遮光部8232L3は、xy平面上において、第2焦点検出画素8202L3の中心C2よりもx軸+側を通るy軸に沿った第2基準線L2L3よりもx方向-側の位置を端部(第2境界線)EP2L3とし、この端部EP2L3よりもx方向-側の領域に形成される。第2基準線L2L3は、第3射出瞳位置の他方の瞳がマイクロレンズ8212L3により投影される領域の端部である。第2境界線EP2L3は、第2焦点検出画素8202L3の中心C2からx方向-側の第2位置に形成される。第2位置は、撮像面800の中心から第2焦点検出画素8202L3の配置位置までのx方向の距離に応じて設定される。すなわち、第2焦点検出画素8202L3の配置位置と撮像面800の中心との距離が大きいほど、第2境界線EP2L3と第2焦点検出画素8202L3の中心C2との距離が大きい。光電変換部822L3の中心C2に対する第2境界線EP2L3の相対位置(第2位置)は、上述した第2焦点検出画素820L1における第2位置および第2焦点検出画素8202L2における第2位置よりもx方向-側に位置する。
【0033】
上述したように、第1焦点検出画素8201Lの光電変換部8221Lの中央部に対する第1境界線(端部)EP1Lのx方向についての相対位置である第1位置と、第2焦点検出画素8202Lの光電変換部822-2Lの中央部に対する第2境界線(端部)EP2-Lのx方向についての相対位置である第2位置との差が、撮像面800の中心からの距離に応じて異なる。
【0034】
-右側面の領域800R-
図3(a)に示す撮像面800の右側面の領域800Rに配置される焦点検出画素820について説明を行う。
図7は、領域800Rに配置される画素の断面を模式的に示す図である。領域800Rには、領域800Lと同様に、
図5に示す第1射出瞳位置PO1、第2射出瞳位置PO2および第3射出瞳位置PO3に対応して、複数の第1画素対90R1、複数の第2画素対90R2および複数の第3画素対90R3が配列される。領域800Lの場合と同様に、例えば、第1画素対90Rは
図3に示す第n行目の画素行に配列され、第2画素対90R2は
図3の第n+m行目の画素行に配列され、第3画素対90R3は
図3の第n+2m行目の画素行に配列される。以降は、上記の順序でm行ごとに各画素対が配列される。
領域800Rにおいても、領域800Lと同様に、第1画素対90R1は第1射出瞳距離PO1の第1射出瞳P1に対応した構成を有し、第2画素対90R2は第1射出瞳距離PO1よりも短い第2射出瞳距離PO2の第2射出瞳P2に対応した構成を有し、第3画素対90R3は第2射出瞳距離PO2よりも短い第3射出瞳距離PO3の第3射出瞳P3に対応した構成を有する場合を例に挙げる。
【0035】
図7(a)に示すように、第1画素対90R1は、第1焦点検出画素8201R1および第2焦点検出画素8202R1からなる。
図7(a)は、第1焦点検出画素8201R1と第2焦点検出画素8202R1との間には、1つの撮像画素810が配置される例を示すが、配置はこの例に限定されない。
【0036】
第1焦点検出画素8201R1では、撮影光学系1からの光束がマイクロレンズ8211R1を介して通過した後、一部が第1遮光部8231R1により遮光(制限)されて光電変換部8221R1に入射する。第1焦点検出画素8201R1においては、マイクロレンズ8211Rは、光電変換部8221R1に対してx方向-側に所定距離オフセットされて配置される。第1遮光部8231R1は、xy平面上において、第1焦点検出画素8201R1の中心C1よりもx方向-側を通るy軸に沿った第1基準線L1R1よりもx方向+側の位置を端部(第1境界線)EP1R1とし、この端部EP1R1よりもx方向+側の領域に形成される。第1基準線L1R1は、第1射出瞳距離PO1の一方の瞳がマイクロレンズ8211R1により投影される領域の端部である。第1境界線EP1R1は、第1焦点検出画素8201R1の中心C1からx方向-側の第1位置に形成され、第1位置は、撮像面800の中心から第1焦点検出画素8201R1の配置位置までのx方向の距離に応じて設定される。すなわち、第1焦点検出画素8201R1の配置位置と撮像面800の中心との距離が大きいほど、第1境界線EP1R1と第1焦点検出画素8201R1の中心C1との距離が大きい。
【0037】
第2焦点検出画素8202R1では、撮影光学系1からの光束がマイクロレンズ8212R1を介して通過した後、一部が第2遮光部8232R1により遮光(制限)されて光電変換部8222R1に入射する。第2焦点検出画素8202R1においては、マイクロレンズ8212R1は、光電変換部8222R1に対してx方向-側に所定距離オフセットされて配置される。第2遮光部8232Rは、xy平面上において、第2焦点検出画素8202R1の中心C2よりもx方向-側を通るy軸に沿った第2基準線L2R1よりもx方向-側の位置を端部(第2境界線)EP2R1とし、この端部EP2R1よりもx方向-側の領域に形成される。第2基準線L2R1は、第1射出瞳距離PO1の他方の瞳がマイクロレンズ8211R1により投影される領域の端部である。第2境界線EP2R1は、第2焦点検出画素8202R1の中心C2からx方向-側の第2位置に形成され、第2位置は、撮像面800の中心から第2焦点検出画素8202R1の配置位置までのx方向の距離に応じて設定される。すなわち、第2焦点検出画素8202R1の配置位置と撮像面800の中心との距離が大きいほど、第2境界線EP2R1と第2焦点検出画素8202R1の中心C2との距離が大きい。
【0038】
上述したように、領域800Rにおいても、第1焦点検出画素8201R1の光電変換部8221R1の中心C1に対するx方向の相対位置(第1位置)に第1遮光部8231R1の端部(第1境界位置)EP1R1が形成され、第2焦点検出画素8202R1の光電変換部8222R1の中心C2に対するx方向の相対位置(第2位置)に第2遮光部8232R1の端部(第2境界位置)EP21が形成される。したがって、領域800Rに配置された第1焦点検出画素8201R1、第2焦点検出画素8202R1においても、領域800Lに配置された第1焦点検出画素8201L1、第2焦点検出画素8202L1と同様に、第1位置と第2位置とは、撮像面800の中心からのx方向の距離に応じて設定され、その差は、撮像面200の中心からx方向に沿った第1焦点検出画素8201R1と第2焦点検出画素8202R1との配置位置までの距離に応じて異なることとなる。
【0039】
次に、
図7(b)を参照しながら、第2画素対90R2について説明する。第2画素対90R2は、第1焦点検出画素8201R2および第2焦点検出画素8202R2からなる。なお、
図7(b)には、第1焦点検出画素8201R2と第2焦点検出画素8202R2との間には、1つの撮像画素810が配置される例を示すが、配置はこの例に限定されない。第1焦点検出画素8201R2と第2焦点検出画素8202R2とは、上述した第1画素対90R1の第1焦点検出画素8201R1と第2焦点検出画素8202R1と比較して、第1遮光部8231R2および第2遮光部8232R2が異なる。具体的には、第2画素対90Rにおける第1位置と第2位置との撮像面800の中心からのx方向の距離に対する変化は、第1画素対90R-1における第1位置および第2位置との変化とは異なる。
【0040】
第1焦点検出画素8201R2では、撮影光学系1からの光束がマイクロレンズ8211R2を介して通過した後、一部が第1遮光部8231R2により遮光(制限)されて光電変換部8221R2に入射する。第1焦点検出画素8201R2においては、マイクロレンズ8211R2は、光電変換部8221R2に対してx方向-側に所定距離オフセットされて配置される。第1遮光部8231R2は、xy平面上において、第1焦点検出画素8201R2の中心C1を通るy軸に沿った第1基準線L1R2よりもx方向+側の位置を端部(第1境界線)EP1R2とし、この端部EP1R2よりもx方向+側の領域に形成される。第1基準線L1R2は、第2射出瞳距離PO2の一方の瞳がマイクロレンズ8211R2により投影される領域の端部である。第1境界線EP1R2は、第1焦点検出画素8201R2の中心C1からx方向+側の第1位置に形成される。第1位置は、撮像面800の中心から第1焦点検出画素8201R2の配置位置までのx方向の距離に応じて設定される。すなわち、第1焦点検出画素8201R2の配置位置と撮像面800の中心との距離が大きいほど、第1境界線EP1R2と第1焦点検出画素8201R2の中心C1との距離が大きい。光電変換部8221R2の中心C1に対する第1境界線EP1R2の相対位置(第1位置)は、上述した第1焦点検出画素8201R1における第1位置よりもx方向+側に位置する。
【0041】
第2焦点検出画素8202R2では、撮影光学系1からの光束がマイクロレンズ8212R2を介して通過した後、一部が第2遮光部8232R2により遮光(制限)されて光電変換部8222R2に入射する。第2焦点検出画素8202R2においては、マイクロレンズ8212R2は、光電変換部8222R2に対してx方向-側に所定距離オフセットされて配置される。第2遮光部8232R2は、xy平面上において、第2焦点検出画素8202R2の中心C2を通るy軸に沿った第2基準線L2R2よりもx方向-側の位置を端部(第2境界線)EP2R2とし、この端部EP2R2よりもx方向-側の領域に形成される。第2基準線L2R2は、第2射出瞳距離PO2の他方の瞳がマイクロレンズ8212R2により投影される領域の端部である。第2境界線EP2R2は、第2焦点検出画素8202R2の中心C2からx方向-側の第2位置に形成される。第2位置は、撮像面800の中心から第2焦点検出画素8202R2の配置位置までのx方向の距離に応じて設定される。すなわち、第2焦点検出画素8202R2の配置位置と撮像面800の中心との距離が大きいほど、第2境界線EP2R2と第2焦点検出画素8202R2の中心C2との距離が大きい。光電変換部8222R2の中心C2に対する第2境界線EP2R2の相対位置(第2位置)は、上述した第2焦点検出画素8202R1における第2位置よりもx方向-側に位置する。
【0042】
次に、
図7(c)を参照しながら、第3画素対90R3について説明する。第3画素対90R3は、第1焦点検出画素8201R3および第2焦点検出画素8202R3からなる。ない、
図7(c)は、第1焦点検出画素8201R3と第2焦点検出画素820-2R3との間に1つの撮像画素810が配置される例を示すが、配置はこの例に限定されない。第1焦点検出画素8201R3と第2焦点検出画素8202R3とは、上述した第1画素対90R1の第1焦点検出画素8201R1と第2焦点検出画素8202R1および第2画素対90R2の第1焦点検出画素8201R2と第2焦点検出画素8202R2と比較して、第1遮光部8231R3および第2遮光部8232R3が異なる。具体的には、第3画素対90R3における第1位置と第2位置との撮像面800の中心からのx方向の距離に対する変化は、第1画素対90R1および第2画素対90R2における第1位置および第2位置の距離の変化とは異なる。
【0043】
第1焦点検出画素8201R3では、撮影光学系1からの光束がマイクロレンズ8211R3を介して通過した後、一部が第1遮光部8231R3により遮光(制限)されて光電変換部8221R3に入射する。第1焦点検出画素8201R3においては、マイクロレンズ8211R3は、光電変換部8221R3に対してx方向-側に所定距離オフセットされて配置される。第1遮光部8231R3は、xy平面上において、第1焦点検出画素8201R3の中心C1よりもx方向+側を通るy軸に沿った第1基準線L1R3よりもx方向軸+側の位置を端部(第1境界線)EP1R3とし、この端部EP1R3よりもx方向+側の領域に形成される。第1基準線L1R3は、第3射出瞳距離PO3の一方の瞳がマイクロレンズ8211R3により投影される領域の端部である。第1境界線EP1R3は、第1焦点検出画素8201R3の中心C1からx方向+側の第1位置に形成される。第1位置は、撮像面800の中心から第1焦点検出画素8201R3の配置位置までのx方向の距離に応じて設定される。すなわち、第1焦点検出画素8201R3の配置位置と撮像面800の中心との距離が大きいほど、第1境界線EP1R3と第1焦点検出画素8201R3の中心C1との距離が大きい。光電変換部8221R3の中心C1に対する第1境界線EP1R3の相対位置(第1位置)は、上述した第1焦点検出画素8201R1における第1位置および第1焦点検出画素8201R2における第1位置よりもx方向+側に位置する。
【0044】
第2焦点検出画素8202R3では、撮影光学系1からの光束がマイクロレンズ8212R3を介して通過した後、一部が第2遮光部8232R3により遮光(制限)されて光電変換部8222R3に入射する。第2焦点検出画素8202R3においては、マイクロレンズ8212R3は、光電変換部8222R3に対してx方向-側に所定距離オフセットされて配置される。第2遮光部8232R3は、xy平面上において、第2焦点検出画素8202R3の中心C2よりもx方向+側を通るy軸に沿った第2基準線L2R3よりもx方向-側の位置を端部(第2境界線)EP2R3とし、この端部EP2R3よりもx方向-側の領域に形成される。第2基準線L2R3は、第3射出瞳距離PO3の他方の瞳がマイクロレンズ8212R3により投影される領域の端部である。第2境界線EP2R3は、第2焦点検出画素8202R3の中心C2からx方向-側の第2位置に形成される。第2位置は、撮像面800の中心から第2焦点検出画素8202R3の配置位置までのx方向の距離に応じて設定される。すなわち、第2焦点検出画素8202R3の配置位置と撮像面800の中心との距離が大きいほど、第2境界線EP2R3と第2焦点検出画素8202R3の中心C2との距離が大きい。光電変換部8222R3の中心C2に対する第2境界線EP2R3の相対位置(第2位置)は、上述した第2焦点検出画素8202R1における第2位置および第2焦点検出画素8202L2における第2位置よりもx方向+側に位置する。
【0045】
上述したように、第1焦点検出画素8201Rの光電変換部8221Rの中央部に対する第1境界線(端部)EP1Rのx方向についての相対位置である第1位置と、第2焦点検出画素8202Rの光電変換部8222Rの中央部に対する第2境界線(端部)EP2Rのx方向についての相対位置である位置第2位置との差が、撮像面800の中心からの距離に応じて異なる。
【0046】
以上で説明した構成を有する、領域800Lに配列される焦点検出画素820と、領域800Rに配列される焦点検出画素820とから出力される信号の特徴について説明する。なお、以下の説明は、領域800Lの焦点検出画素820からの信号の特徴について主として行うが、領域800Rの焦点検出画素820からの信号についても同様の特徴を有する。
また、第1焦点検出画素8201L1、8201L2、8201L3を総称する場合には符号8201Lを、第2焦点検出画素8202L1、8202L2、8202L3を総称する場合には符号8202Lを用いる。
【0047】
図8は、焦点検出画素820からの信号の出力比とカメラレンズ主光線角度との関係を表すグラフであり、横軸はカメラレンズ主光線角度[deg]、縦軸は出力比である。なお、以下の説明において、出力比とは、画素対90を構成する第1焦点検出画素8201からの信号の出力値と第2焦点検出画素8202からの信号の出力値とのうち、低い出力値に対する高い出力値の比(すなわち、高い出力値/低い出力値)である。
図8(a)においては、第1画素対90L1の第1焦点検出画素8201L1からの信号の出力値と第2焦点検出画素8202L1からの信号の出力値との出力比をL51で示し、第2画素対90L2の第1焦点検出画素8201L2からの信号の出力値と第2焦点検出画素8202L2からの信号の出力値との出力比をL52で示し、第3画素対90L3の第1焦点検出画素8201L3からの信号の出力値と第2焦点検出画素8202L3からの信号の出力値との出力比をL53で示す。
【0048】
図8(b)は、第1基準線L1L1、L1L2、L1L3に端部EP1L1、EP1L2、EP1L3を配置し、第2基準線L2L1、L2L2、L2L3に端部EP2L1、EP2L2、EP2L3を配置した場合における、第1焦点検出画素8201Lからの信号と第2焦点検出画素8202Lからの信号との出力比を表すグラフである。
図7(b)においては、第1画素対90L1の第1焦点検出画素8201L1からの信号の出力値と第2焦点検出画素8202L1からの信号の出力値との出力比をL61で示し、第2画素対90L2の第1焦点検出画素8201L2からの信号の出力値と第2焦点検出画素8202L2からの信号の出力値との出力比をL62で示し、第3画素対90L3の第1焦点検出画素8201L3からの信号の出力値と第2焦点検出画素8202L3からの信号の出力値との出力比をL63で示す。
【0049】
図8(a)における出力比L51、L52、L53は、それぞれ
図8(b)における出力比L61、L62,L63と比較して、傾きが緩やかである。このため、
図8(b)と比較して、
図8(a)においては、第1画素対90L1、第2画素対90L2および第3画素対90L3のそれぞれにおいて、出力比が基準値TX1よりも低い値となるカメラレンズ主光線角度の範囲が広くなる。すなわち、第1焦点検出画素8201Lの信号の出力値と第2焦点検出画素8202Lの信号の出力値との間に大きな差が生じない状態で信号を出力可能なカメラレンズ主光線角度が広くなる。
【0050】
図9は、焦点検出画素820からの信号の最小出力値とカメラレンズ主光線角度との関係を表すグラフであり、横軸は絞りカメラレンズ主光線角度[deg]、縦軸は最小出力値である。最小出力値は、第1焦点検出画素8201Lからの信号の出力値または第2小手検出画素8202Lからの信号の出力値の内の小さい方の値である。
図9(a)においては、第1画素対90L1からの信号の最小出力値をL71で示し、第2画素対90L2からの信号の最小出力値をL72で示し、第3画素対90L3からの信号の最小出力値をL73で示す。
図9(b)は、第1基準線L1L1、L1L2、L1L3に端部EP1L1、EP1L2、EP1L3を配置し、第2基準線L2L1、L2L2、L2L3に端部EP2L1、EP2L2、EP2L3を配置した場合における、最小出力値とカメラレンズ主光線角度との関係を表すグラフである。
図9(b)においては、第1画素対90L1からの信号の最小出力値をL81で示し、第2画素対90L2からの信号の最小出力値をL82で示し、第3画素対90L3からの信号の最小出力値をL83で示す。
【0051】
図9(a)における最小出力値L71、L72、L73は、それぞれ
図9(b)における最小出力値L81、L82,L83と比較して、同一のカメラレンズ主光線角度における値が大きい。このため、
図9(b)と比較して、
図9(a)においては、第1画素対90L1、第2画素対90L2および第3画素対90L3のそれぞれにおいて、最小出力値が基準値TX2よりも高い値となるカメラレンズ主光線角度の範囲が広くなる。
【0052】
上記の構成を有する撮像素子8を備えたデジタルカメラ100の焦点検出動作について説明する。
撮影レンズ本体300がカメラ本体200に装着され、マウント部に設けられた電気接点201、202によりカメラ本体200と撮影レンズ本体300との間で電気的な接続が確立される。ボディ-レンズ通信部15は、電気接点201、202を介して、撮影レンズ本体300のレンズデータ部4からレンズ情報、すなわち射出瞳の位置に関する情報を受信する。
【0053】
制御部5の選択部51は、撮影レンズ本体300から受信したレンズ情報に基づいて、第1画素対901、第2画素対902および第3画素対903の中から、装着された撮影レンズ本体300が備える撮影光学系1に適した画素対を選択する。選択部51は、撮影光学系1の射出瞳の位置が所定の第1閾値を超える場合には、第1画素対901を選択する。第1閾値は、第1射出瞳距離PO1に対応して設定される値である。選択部51は撮影光学系1の射出瞳の位置が所定の第2閾値未満(<第1閾値)の場合には、第3画素対903を選択する。第2閾値は、第3射出瞳距離PO3に対応して設定される値である。選択部51は、撮影光学系1の射出瞳の位置が第2閾値以上第1閾値未満の場合(すなわち、第2射出瞳距離PO2に対応する値の場合)には第2画素対902を選択する。すなわち、選択部51は、撮影光学系1の射出瞳位置との差が小さい射出瞳の位置を有する画素対90を選択する。
【0054】
また、撮影レンズ本体300がズームレンズの場合には、ズーム位置によって射出瞳の位置が変化する。この場合、選択部51は、受信したレンズ情報に基づいて、設定されたズームに対応する射出瞳の位置の情報を取得し、取得した射出瞳の位置の情報に適した画素対を、上述のようにして選択する。これにより、設定されたズームに基づいて、選択される画素対90が選択部851により自動的に切り替えることができる。ズームに対応した射出瞳の位置の情報は、レンズデータ部4に予め記憶されている。なお、デジタルカメラ100の記憶部16に予めズームに対応した射出瞳の位置の情報が記憶されていてもよい。
【0055】
また、選択部51は、受信したレンズ情報に基づいて、撮影光学系1の射出瞳の位置が第1射出瞳距離PO1と第2射出瞳距離PO2との中間値に対応する場合には、異なる画素対90から一対の焦点検出画素820を選択する。この場合、具体的には、選択部51は、第1画素対901Lの第2焦点検出画素8202L1と、第2画素対902Lの第1焦点検出画素8201L2とを選択し、第1画素対901Rの第1焦点検出画素8201R1と、第2画素対902Rの第2焦点検出画素8202R2とを選択する。
受信したレンズ情報に基づいて、撮影光学系の射出瞳の位置が第2射出瞳距離PO2と第3射出瞳距離PO3との中間値に対応する場合にも、選択部51は、異なる画素対から一対の焦点検出画素820を選択する。この場合、具体的には、選択部51は、第2画素対902Lの第2焦点検出画素8202L2と、第3画素対903Lの第1焦点検出画素8201L3とを選択し、第2画素対902Rの第1焦点検出画素8201R2と、第3画素対903Rの第2焦点検出画素8202R3とを選択する。
【0056】
焦点検出演算部14は、選択された画素対の第1焦点検出画素8201と第2焦点検出画素8202から出力された焦点検出信号を用いて、公知の位相差検出方式を用いてデフォーカス量を算出する。焦点検出演算部14は、第1焦点検出画素8201の光電変換部8221からの焦点検出信号を順次並べた第1信号列{an}と、第2焦点検出画素8202の光電変換部8222からの焦点検出信号を順次並べた第2信号列{bn}との相対的なズレ量を検出し、撮影光学系1の焦点調節状態、すなわちデフォーカス量を検出する。
【0057】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)撮像面800には、x方向およびy方向に沿って配置された複数の焦点検出画素820が配置される。複数の焦点検出画素820は、マイクロレンズ8211と光電変換部8221との間に配置され、第1境界線L1よりもx方向+側の光を遮光する第1遮光部8231を備える第1焦点検出画素8201と、マイクロレンズ8212と光電変換部8222との間に配置され、第2境界線L2よりもx方向-側の光を遮光する第2遮光部8232を備える第2焦点検出画素8202と、からなる画素対90を含む。第1焦点検出画素8201の光電変換部8221に対する第1境界線L1のx方向+側についての相対位置である第1位置と、第2焦点検出画素8202の光電変換部8222に対する第2境界線L2のx方向+側についての相対位置である第2位置との差が、画素対90の撮像面800のx方向の中心からの距離に応じて異なる。これにより、装着された撮影光学系の射出瞳の位置が変動する場合であっても、軸上での合焦精度を確保するとともに、軸外に配置された焦点検出画素への入射光量の低下を抑制して合焦精度を確保することができる。
【0058】
(2)撮像面800の周辺部の領域800L,800Rにおいて、複数の画素対90のうちの第1画素対901における第1位置と第2位置との撮像面800の中心からのx方向の距離に対する変化は、第2画素対902における第1位置と第2位置の撮像面800の中心からのx方向の距離に対する変化とは、異なる。これにより、装着された撮影光学系の射出瞳の位置が変動する場合であっても、軸上での合焦精度を確保するとともに、軸外に配置された焦点検出画素への入射光量の低下を抑制して合焦精度を確保することができる。
【0059】
(3)撮像面800の周辺部の領域800Lにおいて、第1画素対901Lにおける第1位置は、第2画素対902Lにおける第1位置よりもx方向+側に位置し、第1画素対901Lにおける第2位置は、第2画素対902Lにおける第2位置よりx方向+側に位置する。領域800Rにおいて、第1画素対90Rにおける第1位置は、第2画素対902Rにおける第1位置よりもx方向-側に位置し、第1画素対901Rにおける第2位置は、第2画素対902Rにおける第2位置よりもx方向-側に位置する。これにより、装着された撮影光学系の射出瞳の位置が変動する場合であっても、軸上での合焦精度を確保するとともに、軸外に配置された焦点検出画素への入射光量の低下を抑制して合焦精度を確保することができる。
【0060】
(4)制御部5の選択部51は、撮影光学系1に関する情報に基づいて、複数の画素対90のうち、第1画素対901と第2画素対902と第3画素対903とのうちの何れかを選択する。焦点検出演算部14は、選択部51により選択された画素対90の第1画焦点検出素8201と第2焦点検出画素8202とからの一対の信号に基づいて焦点状態を検出する。これにより、射出瞳の位置が異なる撮影レンズ本体300が装着された場合であっても、射出瞳の位置に適した焦点検出画素820を用いて焦点検出を行うことができる。
【0061】
(5)選択部51は、撮影光学系1に関する情報に基づいて、第1画素対901の第1焦点検出画素8201と、第2画素対902の第2焦点検出画素8202とを選択する。焦点検出演算部14は、選択部51により選択された画素対90の第1画焦点検出素8201と第2焦点検出画素8202とからの一対の信号に基づいて焦点状態を検出する。これにより、焦点検出が可能となる異なる射出瞳の位置を有する撮影レンズ本体300を増やすことができる。また、例えば第1射出瞳距離PO1と第2射出瞳距離PO2との中間の射出瞳距離に対応する専用の焦点検出画素820を新たに設ける必要がないため、撮像画素810の個数を減らす必要がなく、撮影した画像の画質低下を抑制することができる。
【0062】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
図3に撮像面800の領域800L,800Rにおける焦点検出画素820の配置の一例を示したが、焦点検出画素820の配置例は
図3に示すものに限定されない。
(1)
図10に、領域800L,800Rにおける焦点検出画素820の配置の他の例を示す。
図10に示す例では、同一の画素対90の第1焦点検出画素8201と第2焦点検出画素8202とは、y方向の異なる位置に配置される。具体的には、
図10に示す第n行目の画素行には、第1画素対90L1の第1焦点検出画素8201L1が領域800Lに配置され、第1画素対90R1の第1焦点検出画素8201R1が領域800Rに配置される。第n+m行目の画素行には、第1画素対90L1の第2焦点検出画素8202L1が領域800Lに配置され、第1画素対90R1の第2焦点検出画素8202R1が領域800Rに配置される。
【0063】
第n+2m行目の画素行には、第2画素対90L2の第1焦点検出画素8201L2が領域800Lに配置され、第2画素対90R2の第1焦点検出画素8201R2が領域800Rに配置される。第n+3m行目の画素行には、第2画素対90L2の第2焦点検出画素8202L2が領域800Lに配置され、第2画素対90R2の第2焦点検出画素8202R2が領域800Rに配置される。第n+4m行目の画素行には、第3画素対90L3の第1焦点検出画素8201L3が領域800Lに配置され、第3画素対90R3の第1焦点検出画素8201R3が領域800Rに配置される。第n+5m行目の画素行には、第3画素対90L3の第2焦点検出画素8202L3が領域800Lに配置され、第3画素対90R3の第2焦点検出画素8202R3が領域800Rに配置される。以後、上記の配列を繰り返すように焦点検出画素820が配置される。
【0064】
選択部51は、撮影光学系1の射出瞳の位置が上述した第1閾値を超える場合には、第1画素対901(すなわち、第n行目の第1焦点検出画素8201L1、8201R1、および第n+m行目の第2焦点検出画素8202L1,8202R1)を選択する。撮影光学系1の射出瞳の位置が所定の第2閾値未満(<第1閾値)の場合には、選択部51は第3画素対903(すなわち、第n+4m行目の第1焦点検出画素8201L3、8201R3、および第n+5m行目の第2焦点検出画素8202L3、8202R3)を選択する。撮影光学系1の射出瞳の位置が第2閾値以上第1閾値未満の場合には、選択部51は第2画素対902(すなわち、第n+2m行目の第1焦点検出画素8201L2,8201R2、および第n+3m行目の第2焦点検出画素8202L2,8202R2)を選択する。
【0065】
撮影光学系1の射出瞳の位置が第1射出瞳距離PO1と第2射出瞳距離PO2との中間値に対応する場合には、選択部51は、異なる画素対から一対の焦点検出画素820を選択する。この場合、選択部51は、領域800Lにおいては、第n+m行目に配置された第1画素対901の第2焦点検出画素8202L1と、第n+2m行目に配置された第2画素対902の第1焦点検出画素8201L2とを選択する。領域800Rにおいては、選択部51は、第n行目に配置された第1画素対901の第1焦点検出画素8201R1と、第n+3m行目に配置された第2画素対902の第2焦点検出画素8202R2とを選択する。
【0066】
受信したレンズ情報に基づいて、撮影光学系の射出瞳の位置が第2射出瞳距離PO2と第3射出瞳距離PO3との中間値に対応する場合にも、選択部51は、異なる画素対から一対の焦点検出画素820を選択する。この場合、選択部51は、領域800Lにおいては、第n+3m行目に配置された第2画素対902Lの第2焦点検出画素8202L2と、第n+4行目に配置された第3画素対903Lの第1焦点検出画素8201L3とを選択する。領域800Rにおいては、選択部51は、第n+2m行目に配置された第2画素対902Rの第1焦点検出画素8201R2と、第n+5m行目に配置された第3画素対903Rの第2焦点検出画素8202R3とを選択する。
【0067】
(2)
図11に、領域800L,800Rにおける焦点検出画素820の配置の別の例を示す。
図11に示す例においても、同一の画素対90の第1焦点検出画素8201と第2焦点検出画素8202とは、y方向の異なる位置に配置される。具体的には、
図11に示す第n1行目の画素行には、第1画素対90L1の第1焦点検出画素8201L1が領域800Lに配置され、第1画素対90R1の第1焦点検出画素8201R1が領域800Rに配置される。第n1+m行目の画素行には、第1画素対90L1の第2焦点検出画素8202L1が領域800Lに配置され、第1画素対90R1の第2焦点検出画素8202R1が領域800Rに配置される。
【0068】
上記の配列が所定回数繰り返されるように第1画素対901の焦点検出画素820が配置された後の第n2行目以降に第2画素対902の焦点検出画素820が配置される。第n2行目の画素行には、第2画素対90L2の第1焦点検出画素8201L2が領域800Lに配置され、第2画素対90R2の第1焦点検出画素8201R2が領域800Rに配置される。第n2+3行目の画素行には、第2画素対90L2の第2焦点検出画素8202L2が領域800Lに配置され、第2画素対90R2の第2焦点検出画素8202R2が領域800Rに配置される。
【0069】
上記の配列が所定回数繰り返されるように第2画素対902の焦点検出画素820が配置された後の第n3行目以降に第3画素対903の焦点検出画素820が配置される。第n3行目の画素行には、第3画素対90L3の第1焦点検出画素8201L3が領域800Lに配置され、第3画素対90R3の第1焦点検出画素8201R3が領域800Rに配置される。第n3+m行目の画素行には、第3画素対90L3の第2焦点検出画素8202L3が領域800Lに配置され、第3画素対90R3の第2焦点検出画素8202R3が領域800Rに配置される。上記の配列が所定回数繰り返されるように第3画素対903の焦点検出画素820が配置される。
【0070】
選択部51は、撮影光学系1の射出瞳の位置が上述した第1閾値を超える場合には、第1画素対901の焦点検出画素820を選択する。撮影光学系1の射出瞳の位置が所定の第2閾値未満(<第1閾値)の場合には、選択部51は第3画素対903の焦点検出画素820を選択する。撮影光学系1の射出瞳の位置が第2閾値以上第1閾値未満の場合には、選択部51は第2画素対902の焦点検出画素820を選択する。
【0071】
撮影光学系1の射出瞳の位置が第1射出瞳距離PO1と第2射出瞳距離PO2との中間値に対応する場合には、選択部51は、異なる画素対から一対の焦点検出画素820を選択する。この場合、選択部51は、領域800Lにおいては、第n1行目から第n2-1行目までの間に配置された第1画素対901の第2焦点検出画素8202L1と、第n2行目から第n3-1行目までの間に配置された第2画素対902の第1焦点検出画素8201L2とを選択する。領域800Rにおいては、選択部51は、第n1行目から第n2-1行目までの間に配置された第1画素対901の第1焦点検出画素8201R1と、第n2行目から第n3-1行目までの間に配置された第2画素対902の第2焦点検出画素8202R2とを選択する。
【0072】
受信したレンズ情報に基づいて、撮影光学系の射出瞳の位置が第2射出瞳距離PO2と第3射出瞳距離PO3との中間値に対応する場合にも、選択部51は、異なる画素対から一対の焦点検出画素820を選択する。この場合、選択部51は、領域800Lにおいては、第n2行目から第n3-1行目までの間に配置された第2画素対902Lの第2焦点検出画素8202L2と、第n3行目以降に配置された第3画素対903Lの第1焦点検出画素8201L3とを選択する。領域800Rにおいては、選択部51は、第n2行目から第n3-1行目までの間に配置された第2画素対902Rの第1焦点検出画素8201R2と、第n3行目以降に配置された第3画素対903Rの第2焦点検出画素8202R3とを選択する。
【0073】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
5…制御部
6…焦点検出装置
8…撮像素子
14…焦点検出演算部
51…選択部
100…デジタルカメラ
800…撮像面
820…焦点検出画素
8201…第1焦点検出画素
8202…第2焦点検出画素
8211、8212…マイクロレンズ
8221、8222…光電変換部
8231…第1遮光部
8232…第2遮光部