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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160289
(43)【公開日】2022-10-19
(54)【発明の名称】痛み止め剤及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/00 20060101AFI20221012BHJP
   C01B 33/18 20060101ALI20221012BHJP
   C01B 33/141 20060101ALI20221012BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221012BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20221012BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20221012BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
A61K33/00
C01B33/18 E
C01B33/141
A61P29/00
A61P25/04
A61K9/06
A61K47/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021064946
(22)【出願日】2021-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】594044897
【氏名又は名称】山下 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(72)【発明者】
【氏名】山下 芳樹
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4G072
【Fターム(参考)】
4C076AA07
4C076AA09
4C076BB31
4C076CC01
4C076DD21
4C076FF12
4C076FF17
4C076FF43
4C076GG41
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA06
4C086HA21
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA28
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZA08
4C086ZA21
4G072AA25
4G072AA28
4G072BB05
4G072BB13
4G072CC01
4G072DD06
4G072EE01
4G072GG02
4G072GG03
4G072HH30
4G072KK20
4G072LL06
4G072MM02
4G072PP17
4G072UU30
(57)【要約】
【課題】皮膚表面に施用して、病又は衝撃による患部の痛みを緩和させる痛み止め剤及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の痛み止め剤は、シリカの微粒子と、水とを含有し、更に、増粘剤等を含有することができる。水は、無機金属イオンを含むことができる。本発明の痛み止め剤の製造方法は、シリカの微粒子と、水を含む液状媒体とを混合する混合工程を備え、更に、岩石、鉱石及び炭の少なくとも1種に水を接触させる液状媒体調製工程を、混合工程の前に備えることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカの微粒子と、水とを含有することを特徴とする痛み止め剤。
【請求項2】
前記水が無機金属イオンを含む請求項1に記載の痛み止め剤。
【請求項3】
更に、増粘剤を含有する請求項1又は2に記載の痛み止め剤。
【請求項4】
シリカの微粒子と、水を含む液状媒体とを混合する混合工程を備えることを特徴とする、痛み止め剤の製造方法。
【請求項5】
前記液状媒体が無機金属イオンを含む請求項4に記載の痛み止め剤の製造方法。
【請求項6】
前記混合工程において、更に、増粘剤を併用して、該増粘剤を混合する請求項4又は5に記載の痛み止め剤の製造方法。
【請求項7】
前記混合工程の前に、岩石、鉱石及び炭の少なくとも1種に水を接触させる液状媒体調製工程を備える請求項4乃至6のいずれか一項に記載の痛み止め剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚表面に施用して、病又は衝撃による患部の痛みを緩和させる皮膚外用剤として用いられる痛み止め剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帯状疱疹後神経痛、打撲痛等の、皮膚に発症した痛みを抱える患者が少なくないことが知られている。
【0003】
帯状疱疹後神経痛は、疱疹が神経に沿って帯状の赤い斑点となって皮膚に発生する帯状疱疹に関連して、皮膚に、刺されたような痛み、ひりひり又はずきずきする痛み、締め付けられるような痛み、焼けるような痛み等の、帯状疱疹を発症したときには正常であった神経線維が、ウイルスによって傷つけられてしまうことで発症するものである。このような帯状疱疹後神経痛に対して、表面・浸潤・伝達麻酔作用を有するリドカインを用いた緩和剤、治療剤等が知られている。例えば、特許文献1には、水溶性高分子物質、水及び保水剤を必須成分とする粘着性ゲル基剤に、リドカインまたはその塩を1~10重量%配合してなる薬物保持層を支持体上に設けたことを特徴とするリドカイン含有外用貼付剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4-305523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、皮膚表面に施用して、病又は衝撃による患部の痛みを緩和させる痛み止め剤及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、帯状疱疹後神経痛を発症している患者の患部表面(皮膚表面)に、シリカ微粒子及び水を含有する流体を塗布したところ、痛みが緩和されるという知見を得た。これにより、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下に示される。
(1)シリカの微粒子と、水とを含有することを特徴とする痛み止め剤。
(2)上記水が無機金属イオンを含む上記(1)に記載の痛み止め剤。
(3)更に、増粘剤を含有する上記(1)又は(2)に記載の痛み止め剤。
(4)シリカの微粒子と、水を含む液状媒体とを混合する混合工程を備えることを特徴とする、痛み止め剤の製造方法。
(5)上記液状媒体が無機金属イオンを含む上記(4)に記載の痛み止め剤の製造方法。
(6)上記混合工程において、更に、増粘剤を併用して、該増粘剤を混合する上記(4)又は(5)に記載の痛み止め剤の製造方法。
(7)上記混合工程の前に、岩石、鉱石及び炭の少なくとも1種に水を接触させる液状媒体調製工程を備える上記(4)乃至(6)のいずれか一項に記載の痛み止め剤の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の痛み止め剤によれば、病又は衝撃による患部に痛みがある場合に、痛みのある患部表面(皮膚表面)に施用することにより、痛みを緩和することができる。
本発明の痛み止め剤が増粘剤を含有する場合には、粘性を有するものとすることができるので、皮膚表面に塗った際には、所定の位置に確実に定着させることができ、その後、所期の緩和効果を得ることができる。
本発明の痛み止め剤製造方法によれば、帯状疱疹後神経痛、打撲痛等の緩和に好適な痛み止め剤を効率よく製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の痛み止め剤は、シリカの微粒子(以下、単に、「シリカ粒子」という)と、水とを含有し、必要に応じて、他の成分(後述)を含有してもよい組成物(シリカ粒子の分散体)である。
【0009】
上記シリカの結晶性は、特に限定されず、結晶質及び非晶質のいずれでもよい。従って、本発明の痛み止め剤に含まれるシリカ粒子は、結晶粒子及び非晶質粒子のいずれか一方又は両方とすることができる。
【0010】
上記シリカ粒子の構造、形状及びサイズは、特に限定されない。上記シリカ粒子は、中実体及び多孔質のいずれでもよい。また、上記シリカ粒子の表面には、無機金属又はその化合物が担持されていてもよい。
更に、上記シリカ粒子のサイズは、本発明の痛み止め剤が皮膚表面に施用された際に、良好な触感が得られることから、好ましくは1μm以下、より好ましくは100nm以下、特に好ましくは50nm以下である。但し、下限は、通常、1nmである。
【0011】
上記水は、シリカ粒子の分散媒であり、液状媒体の一成分である。この水は、水道水、蒸留水、イオン交換水、超純水、逆浸透膜処理水、活性水素水(天然活性水素水、電解還元水等)等に由来することができる。
また、上記水は、無機金属イオン、有機酸イオン、ハロゲン化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、炭酸イオン等を含むことができる。これらのうち、無機金属イオンが好ましい。
無機金属イオンとしては、Na、K、Mg、Ca、Al、Fe、Cu、Ag等のイオンが挙げられる。
有機酸イオンとしては、クエン酸イオン、乳酸イオン、L-グルタミン酸イオン、コハク酸イオン、アスパラギン酸イオン、アルギン酸イオン、リンゴ酸イオン、グルコン酸イオン、フマル酸イオン、酢酸イオン等が挙げられる。
【0012】
本発明の痛み止め剤を構成するシリカ粒子及び水の含有割合は、特に限定されない。シリカ粒子の割合は、水100質量部に対して、好ましくは0.05~7質量部、より好ましくは0.1~5質量部である。
【0013】
また、本発明の痛み止め剤のpHは、特に限定されないが、通常、6.7~7.3である。
【0014】
本発明の痛み止め剤は、他の成分として、増粘剤、保湿剤、酸化防止剤、防腐剤、抗菌剤、消炎剤、血行促進剤、収斂剤、細胞賦活剤、分散剤、油分、香料、岩石の微粒子、鉱石の微粒子等を、更に含有することができる。
【0015】
本発明の痛み止め剤を皮膚表面の所定の位置に確実に定着させるための、特に好ましい態様は、シリカ粒子、水及び増粘剤を含有する、柔らかいクリーム、ゲル又はクリームゲルといった粘性物である。
【0016】
増粘剤は、痛み止め剤を皮膚表面に施用した際に、滑らかに延展させることができるものであれば、特に限定されず、例えば、澱粉、カルボキシメチル澱粉、メチル澱粉等の澱粉系増粘剤;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系増粘剤;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系増粘剤;グアーガム、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ローカストビーンガム、クインスシード、トラガカントガム、ペクチン、マンナン、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸及びその塩等の天然多糖類系増粘剤;カゼイン、ゼラチン、コラーゲン、アルブミン等の天然たん白類系増粘剤;ポリアルキレングリコール、ポリオキシエチレングリコールジステアリン酸エステル、ミリストイルポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタントリイソステアレート、ポリオキシエチレンメチルグルコース(モノ、ジ又はトリ)ラウレート、ポリオキシエチレンメチルグルコース(モノ、ジ又はトリ)ミリステート、ポリオキシエチレンメチルグルコース(モノ、ジ又はトリ)パルミテート、ポリオキシエチレンメチルグルコース(モノ、ジ又はトリ)ステアレート、ポリオキシエチレンメチルグルコース(モノ、ジ又はトリ)イソステアレート、ポリオキシエチレンメチルグルコース(モノ、ジ又はトリ)オレート等のポリオキシアルキレン系増粘剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ソーダ等のビニル系ポリマー等が挙げられる。尚、本発明の痛み止め剤に含まれる増粘剤は、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。
【0017】
本発明の痛み止め剤が増粘剤を含有する場合、その含有割合は、皮膚表面への延展性の観点から、シリカ粒子の含有量を100質量部としたときに、好ましくは8~70質量部、より好ましくは12~36質量部である。
【0018】
保湿剤としては、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、アルギニン、アスパラギン酸、ロイシン、トリプトファン、グリシン、グリシンベタイン、ヒドロキシウレア、ヒアルロン酸及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、ピロリドンカルボン酸塩、グルコサミン、水溶性コラーゲン、シクロデキストリン、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、アルキレンオキシド誘導体、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0019】
酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、亜硫酸塩、ヒドロキシアニソール等が挙げられる。
【0020】
防腐剤としては、フェノキシエタノ-ル、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、メチルイソチアゾリン、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノ-ル、ジンクピリチオン、ピロクトンオラミン等が挙げられる。
【0021】
抗菌剤としては、オウバク抽出液、ハロカルバン、クロロフェネシン、塩化リゾチーム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、イソプロピルメチルフェノール、チモール、ヘキサクロロフェン、ベルベリン、チオキソロン、サリチル酸及びそれらの誘導体、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、パラクロルメタクレゾール、塩化ベンザルコニウム、フェノキシエタノール、イソプロピルメチルフェノール、石炭酸、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ヘキサクロロフェン、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、ビス(2-ピリジルチオ-1-オキシド)亜鉛、チアントール、ヒノキチオール、トリクロサン、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、クロルヘキシジングルコン酸塩、フェノキシエタノール、レゾルシン、アズレン、サリチル酸、ジンクピリチオン、モノニトログアヤコールナトリウム、ウイキョウエキス、サンショウエキス、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム及びウンデシレン酸誘導体等が挙げられる。
【0022】
消炎剤としては、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸及びその塩、アミノカプロン酸、ヒドロコルチゾン、サリチル酸メチル、アラントイン、アズレン、甘草エキス、シコンエキス、アロエエキス等が挙げられる。
【0023】
血行促進剤としては、メントール、メンチルグリセリルエーテル、乳酸メンチル、ハッカ油、ペパーミント油、カンファー、チモール、スピラントール等が挙げられる。
【0024】
収斂剤としては、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、スルホ石炭酸亜鉛、タンニン酸、ハマメリスエキス等が挙げられる。
【0025】
細胞賦活剤としては、カロチノイド(カロチン、リコピン、アスタキサンチン等)、ビタミンA及びその誘導体(パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール等のレチノール及びその誘導体;デヒドロレチナール等のレチナール及びその誘導体等)、ビタミンB及びその誘導体(チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩、リボフラビン、酢酸リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ピリドキシンジオクタノエート、フラビンアデニンジヌクレオチド、シアノコバラミン、葉酸類、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、コリン類等)、ビタミンC及びその誘導体(ジパルミチン酸L-アスコルビル、テトライソパルミチン酸L-アスコルビル等のL-アスコルビン酸アルキルエステル、L-アスコルビン酸リン酸エステル、L-アスコルビン酸硫酸エステル等)、リボ核酸及びその塩、デオキシリボ核酸及びその塩、α-及びγ-リノレン酸、キサンチン及びその誘導体(カフェイン等)、アミノ酸及びその誘導体(セリン、グルタミン酸、テアニン、ヒドロキシプロリン、ピロリドンカルボン酸等)、ドコサヘキサエン酸及びその誘導体、エイコサペンタエン酸及びその誘導体、アーモンド抽出物、アスパラガス抽出物、アンズ(キョウニン)抽出物、イチョウ抽出物、キハダ(オウバク)抽出物、オオムギ(バクガ)抽出物、キウイ抽出物、キュウリ抽出物、シイタケ抽出物、スギナ抽出物、センブリ抽出物、ダイズ抽出物、ナツメ(タイソウ)抽出物、ツボクサ抽出物、トウガラシ抽出物、トウキンセンカ抽出物、トマト抽出物、ニンニク抽出物、ニンジン抽出物、ヒノキチオール、ブクリョウ抽出物、ブドウ種子油、ブナノキ抽出物、ブナの芽抽出物、モモ抽出物、ユーカリ抽出物、ユリ抽出物、レタス抽出物、レモン抽出物、ローズマリー(マンネンロウ)抽出物、麦芽根抽出物、動物由来抽出物(イカスミ等軟体動物抽出物、貝殻抽出物、貝肉抽出物、魚肉抽出物、鶏冠抽出物、ローヤルゼリー、シルクプロテイン及びその分解物、胎盤抽出物、血清除蛋白抽出物、ラクトフェリン又はその分解物等)、酵母抽出物、微生物醗酵代謝産物(乳酸菌、ビフィズス菌等由来)、霊芝抽出物、胡麻抽出物等が挙げられる。
【0026】
分散剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
【0027】
油分としては、ホホバオイル、オリーブオイル、ココナッツオイル、椿油等の植物性油;馬油、鯨油、羊油、鮫油等の動物性油等が挙げられる。
【0028】
本発明において、痛み止め剤を製造する方法(以下、「本発明の製造方法」という)は、シリカの微粒子(シリカ粒子)と、水を含む液状媒体とを混合する混合工程を備える。この混合工程においては、従来、公知の混合装置を用いることができ、原料成分の全てを一括して混合する方法、及び、原料成分を分割して用い多段混合する方法のいずれを採用してもよい。
【0029】
混合工程で用いるシリカ粒子は、上記説明のとおりである。
【0030】
混合工程で用いる液状媒体としては、水道水、蒸留水、イオン交換水、超純水、逆浸透膜処理水、活性水素水(天然活性水素水、電解還元水等)等の水(以下、「原料水」という)を、そのまま用いることができる。また、水溶性の無機化合物(無機塩)が上記の水に溶解されてなる、無機金属イオン(Naイオン、Kイオン、Mgイオン、Caイオン、Alイオン、Feイオン、Cuイオン、Agイオン等)を含む水溶液;無機酸もしくは有機酸又はそれらの塩が上記の原料水に溶解されてなる水溶液等を用いることができる。これらのうち、無機金属イオンを含む水溶液が好ましい。
尚、無機金属イオンを含む水溶液は、例えば、原料水を、岩石、鉱石及び炭の少なくとも1種に接触させる液状媒体調製工程(後述)に供する方法、原料水に、無機金属元素を含む化合物を溶解する方法等により得ることができる。
【0031】
混合工程におけるシリカ粒子及び液状媒体の混合方法は、特に限定されない。例えば、撹拌下の液状媒体の中にシリカ粒子を添加して、撹拌を継続する方法、容器に所定量のシリカ粒子及び液状媒体を収容し、撹拌する方法等とすることができる。
【0032】
本発明の製造方法では、混合工程において、増粘剤、保湿剤、酸化防止剤、防腐剤、抗菌剤、消炎剤、血行促進剤、収斂剤、細胞賦活剤、分散剤、pH調整剤、消泡剤、油分、香料等を併用することができる。これらのうち、増粘剤を併用することにより、柔らかいクリーム又はゲルといった粘性物であって、皮膚表面における延展性に優れる痛み止め剤を製造することができる。
【0033】
尚、増粘剤を含有する粘性物からなる痛み止め剤は、シリカ粒子及び液状媒体を混合した後、得られた混合液(以下、「シリカ粒子分散液」ともいう)と、増粘剤等の残りの原料成分とを混合することにより、製造することもできる。この方法では、シリカ粒子分散液と、増粘剤を除く成分(保湿剤、防腐剤等)とを先に混合し、その後、得られた混合物と、増粘剤とを混合することが好ましい。この方法は、シリカ粒子分散液の製造を含めると多段混合を適用することとなるが、分散質の分散性に優れた痛み止め剤が得られる点で好ましい。また、この方法では、増粘剤の種類によっては、増粘剤を配合した後、加熱しながら混合してもよい。
【0034】
混合工程において併用可能なpH調整剤としては、クエン酸、乳酸、グリコ-ル酸、コハク酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、リン酸、塩酸、トリエタノ-ルアミン、イソプロパノ-ルアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオ-ル、アルギニン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
【0035】
混合工程において併用可能な消泡剤としては、ポリジメチルシロキサン、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマー等が挙げられる。
【0036】
本発明の製造方法では、混合工程により得られた混合物(好ましくは増粘剤を含有する混合物)を、そのまま、痛み止め剤とすることができるが、本発明の製造方法は、混合工程の後、混合物をより均一なものとする等の目的で、必要に応じて、上記混合物から粗大な分散質を除去する濾過工程、上記混合物の中の気泡を除去する脱泡工程等を備えることができる。
【0037】
次に、無機金属イオンを含む水溶液を調製する工程(液状媒体調製工程)について、説明する。この液状媒体調製工程は、原料水を岩石、鉱石及び炭の少なくとも1種に接触させる工程である。岩石としては、安山岩、閃緑岩、黒曜岩、黒雲母、凝灰岩、蛇紋岩、礫岩等を用いることができる。鉱石としては、ゲルマニウム鉱石、医王石、天照石、モナズ石等を用いることができる。炭としては、活性炭、燃焼用の炭、燻蒸用の炭等を用いることができる。具体的な調製方法としては、原料水を、岩石、鉱石及び炭の各粉砕物に、同時に又は分割して接触させる方法;岩石又は鉱石の粉砕物を基材の表面に付着して得られた複合体を用い、この複合体表面の粉砕物層に、原料水を接触させる方法等が挙げられる。
【0038】
本発明において、増粘剤を用いて、柔らかいクリーム又はゲルといった粘性物からなる痛み止め剤を製造した場合には、そのまま、上方開口部を有する有底容器、チューブ容器等に収容することができる。
【0039】
本発明において、増粘剤の使用の有無に関わらず、高粘性物であるとまでいかない性状の痛み止め剤を、エアゾール形態又はスプレー形態とすることができる。
【実施例0040】
以下、実施例を挙げて、本発明の痛み止め剤の実施形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
【0041】
1.製造原料
痛み止め剤の主原料を以下に示す。
1-1.水
(W1)水道水
(W2)活性水素水(市販品、中性)
(W3)調製水
安山岩、閃緑岩、斜方輝石角閃石安山岩、黒曜岩、黒雲母、石英閃緑岩、緑色凝灰岩、蛇紋岩、見立礫岩、ゲルマニウム鉱石、医王石、天照石、モナズ石及び炭の各小片を混合した後、混合物を粉砕して得られた岩石粉末(粉砕物)と、アルミナボールとを用いて、岩石粉末によりアルミナボールの表面を被覆し、次いで、得られた被覆体を筒状容器内に充填した状態で、筒状容器の一端側から他端側へ、水道水(W1)を通水させ(水と被覆体との接触時間:1~3秒間)て得られた、上記岩石に由来する無機イオンを含む水である。
(W4)調製水
水道水(W1)の代わりに活性水素水(W2)を用いて、上記調製水(W3)の製造方法と同様の操作を行って得られた、上記岩石に由来する無機イオンを含む水である。
【0042】
1-2.シリカ微粒子
テトラアルコキシシランを用いてゾルゲル法により製造した非晶質シリカ微粒子(平均粒子径:10nm)である。
【0043】
1-3.その他
保湿剤、防腐剤及び増粘剤を用いた。
【0044】
2.痛み止め剤の製造及び評価
上記の製造原料を用いて、組成物(G1)~(G4)からなる痛み止め剤を製造し、これを帯状疱疹後神経痛に冒されている患者(12名)の皮膚表面に塗り、痛み止め効果の確認試験を行った。
【0045】
実施例1
上記の水道水(W1)と、非晶質シリカ微粒子とを、非晶質シリカ微粒子の濃度が20000質量ppmとなるように用いて、混合し、白色不透明の、非晶質シリカ微粒子の水分散体を得た。次いで、この非晶質シリカ微粒子水分散体の撹拌下、保湿剤及び防腐剤を添加し、その後、増粘剤を添加して混合することにより、ゲル状粘性物からなる組成物(以下、「組成物(G1)」という)を得た。この組成物(G1)における非晶質シリカ微粒子の含有割合は1.534質量%である。
【0046】
実施例2
水道水(W1)に代えて、活性水素水(W2)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って、非晶質シリカ微粒子の水分散体を得た後、保湿剤、防腐剤及び増粘剤との混合により、ゲル状粘性物からなる組成物(以下、「組成物(G2)」という)を得た。この組成物(G2)における非晶質シリカ微粒子の含有割合は1.534質量%である。
【0047】
実施例3
水道水(W1)に代えて、調製水(W3)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って、非晶質シリカ微粒子の水分散体を得た後、保湿剤、防腐剤及び増粘剤との混合により、ゲル状粘性物からなる組成物(以下、「組成物(G3)」という)を得た。この組成物(G3)における非晶質シリカ微粒子の含有割合は1.534質量%である。
【0048】
実施例4
水道水(W1)に代えて、調製水(W4)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って、非晶質シリカ微粒子の水分散体を得た後、保湿剤、防腐剤及び増粘剤との混合により、ゲル状粘性物からなる組成物(以下、「組成物(G4)」という)を得た。この組成物(G4)における非晶質シリカ微粒子の含有割合は1.534質量%である。
【0049】
痛み止め効果の確認試験を、以下の方法で行った。
組成物(G1)~(G4)を、帯状疱疹後神経痛に冒されている患者の皮膚表面であって、痛みを感じる部分を含む、それより広い領域に塗り広げ、痛みの緩和効果の確認を行ったところ、以下の結果となった。
【0050】
組成物(G1)について、10名の患者に対して施用したところ、4名が3分以内に痛みがなくなったと認識した。
組成物(G2)について、10名の患者に対して施用したところ、7名が3分以内に痛みがなくなったと認識した。
組成物(G3)について、10名の患者に対して施用したところ、8名が3分以内に痛みがなくなったと認識した。
組成物(G4)について、11名の患者に対して施用したところ、11名全てが3分以内に痛みがなくなったと認識した。また、同じ患者が、別の日に、同じ試験を行ったところ、同じ結果を得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の痛み止め剤は、皮膚表面に施用して、患部の痛みを緩和させる皮膚外用剤として用いられる。痛みを引き起こす症状としては、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性末梢神経障害、脳卒中後疼痛、三叉神経痛、幻肢痛、カウザルギー、がん性疼痛、手術後又は外傷後の慢性疼痛等の神経障害性疼痛;打撲症、打ち身、捻挫等が挙げられる。