(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162487
(43)【公開日】2022-10-24
(54)【発明の名称】配線基板及び配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20221017BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20221017BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20221017BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20221017BHJP
【FI】
H05K3/46 X
H05K3/00 J
H05K3/46 Q
H01L23/12 F
H01L23/12 N
H01L21/78 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067403
(22)【出願日】2021-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】谷口 普崇
(72)【発明者】
【氏名】石原 暁秀
【テーマコード(参考)】
5E316
5F063
【Fターム(参考)】
5E316AA12
5E316AA38
5E316AA43
5E316CC04
5E316CC08
5E316CC09
5E316CC32
5E316DD23
5E316DD24
5E316EE31
5E316FF04
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG26
5E316GG28
5E316HH32
5E316JJ12
5F063BA17
5F063BA48
(57)【要約】
【課題】キャビティの底面の外縁部が、ルータによる切削加工溝が形成されるために利用を制限されることがあり、そのような制限を少なくする技術の開発が求められている。
【解決手段】配線基板は、配線基板の表裏の一方の面に開口し、切削加工面である内壁面を有するキャビティと、前記キャビティの底面の外縁部に設けられ、前記キャビティの前記内壁面に連続して形成されている切削加工溝と、を備える配線基板であって、前記キャビティは、前記配線基板の一側面に開口する側面開口を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板の表裏の一方の面に開口し、切削加工面である内壁面を有するキャビティと、
前記キャビティの底面の外縁部に設けられ、前記キャビティの前記内壁面に連続して形成されている切削加工溝と、を備える配線基板であって、
前記キャビティは、前記配線基板の一側面に開口する側面開口を有する。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板であって、
前記キャビティの底面のうち前記側面開口により前記一側面に開放される外縁部が、段付き状に陥没するように切削加工されてなる段差部が設けられている。
【請求項3】
請求項2に記載の配線基板であって、
前記段差部の下段面の幅は、前記切削加工溝の幅より狭い。
【請求項4】
前記1から3の何れか1の請求項に記載の配線基板であって、
前記キャビティは、平面視四角形状をなし、前記キャビティの1辺に前記側面開口が設けられ、前記キャビティの残りの3辺に前記内壁面が設けられている。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1の請求項に記載の配線基板であって、
前記キャビティの底面のうち外縁部を除く全体が、導電層が露出している部品搭載用パッドになっている。
【請求項6】
多層構造の配線基板の一部の層間に剥離層を配置することと、
前記配線基板の表裏の一方から前記剥離層を貫通する位置までルータを突入させて前記配線基板の前記一部を包囲するようにルータを走らせることと、
前記配線基板の前記一部を前記層間で剥離させてキャビティを形成することと、を含む配線基板の製造方法であって、
前記キャビティに、前記配線基板の一側面に開口する側面開口が形成されるようにルータを走らせることを含む。
【請求項7】
請求項6に記載の配線基板の製造方法であって、
前記キャビティの底面のうち前記側面開口により前記一側面に開放される外縁部に、段付き状に陥没する段差部が形成されるようにルータを走らせることを含む。
【請求項8】
請求項7に記載の配線基板であって、
前記配線基板の前記一部を包囲するようにルータを走らせる際に、前記キャビティの底面の外縁部となる位置に切削加工溝を形成することと、
前記段差部の下段面の幅が前記切削加工溝の幅より狭くなるようにルータを走らせることと、を含む。
【請求項9】
請求項6から8の何れか1の請求項に記載の配線基板であって、
前記キャビティを、平面視四角形状に形成することと、
前記キャビティの1辺に前記側面開口が形成されるようにルータを走らせることと、を含む。
【請求項10】
請求項6から9の何れか1の請求項に記載の配線基板であって、
前記配線基板の前記一部に配置される導電層上に、前記表裏の一方から前記剥離層を配置することと、
前記配線基板の前記一部を包囲するようにルータを走らせる際に、前記配線基板の表裏の一方から前記導電層を貫通する位置までルータを突入させることと、
前記キャビティの底面に残る前記導電層により、前記キャビティの底面うち外縁部を除く全体に露出する部品搭載用パッドを形成することと、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線基板とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からキャビティを有する配線基板が知られている(例えば、特許文献1参照)。キャビティを形成するために、例えば、ルータを用いた切削加工が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-245530号公報(
図1C等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の配線基板では、キャビティの底面の外縁部が、ルータ等による切削加工溝が形成されるために利用を制限されることがあり、そのような制限を少なくする技術の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る配線基板は、配線基板の表裏の一方の面に開口し、切削加工面である内壁面を有するキャビティと、前記キャビティの底面の外縁部に設けられ、前記キャビティの前記内壁面に連続して形成されている切削加工溝と、を備える配線基板であって、前記キャビティは、前記配線基板の一側面に開口する側面開口を有する。
【0006】
本開示の一態様に係る配線基板の製造方法は、多層構造の配線基板の一部の層間に剥離層を配置することと、前記配線基板の表裏の一方から前記剥離層を貫通する位置までルータを突入させて前記配線基板の前記一部を包囲するようにルータを走らせることと、前記配線基板の前記一部を前記層間で剥離させてキャビティを形成することと、を含む配線基板の製造方法であって、前記キャビティに、前記配線基板の一側面に開口する側面開口が形成されるようにルータを走らせることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、本実施形態を
図1~
図12を参照して説明する。本実施形態の配線基板10は、
図1に示されるように、コア基板11の表裏の一方の面である第1面11F上に第1ビルドアップ部12Aが積層され、コア基板11の表裏の他方の面である第2面11S上に第2ビルドアップ部12Bが積層されてなる。
【0009】
コア基板11は、絶縁性基材11Kに表裏の両側(第1面11F側と第2面11S側)から導電層13が積層されてなる。第1面11Fの導電層13と、第2面11Sの導電層13とは、それぞれ所定パターンに形成され、絶縁性基材11Kを貫通するスルーホール導体14によって接続されている。
【0010】
第1ビルドアップ部12Aと第2ビルドアップ部12Bは、それぞれコア基板11側から層間絶縁層15と導電層16とが交互に積層されている構造を有する。隣り合う導電層16同士は、層間絶縁層15を貫通する複数のビア導体15Dによって接続されている。ビア導体15Dは、コア基板11に近づくにつれて縮径されるテーパー状になっている。層間絶縁層15は、例えば、プリプレグ(ガラスクロス等の繊維からなる心材を樹脂含侵してなるBステージの樹脂シート)又はビルドアップ基板用の絶縁フィルム(心材を有さず、例えば、無機フィラーを含む熱硬化性樹脂からなるフィルム)で構成されている。
【0011】
第1ビルドアップ部12A及び第2ビルドアップ部12Bの導電層16のうち最も外側(最もコア基板11から離れた側)に配置される最外の導電層16上には、ソルダーレジスト層17が形成されている。ソルダーレジスト層17には、開口部17Aが形成され、上記最外の導電層16のうち開口部17Aによってソルダーレジスト層17から露出する部分によりパッド18が形成されている。
【0012】
配線基板10の表裏の一方の面である第1面10Fには、キャビティ20が開口している。キャビティ20は、第1ビルドアップ部12Aを貫通し、キャビティ20の底面20Mに、コア基板11の第1面11Fを露出させている。具体的には、キャビティ20の底面20Mには、コア基板11の第1面11Fの導電層13が露出し、その露出部分により、部品搭載用のパッド21が形成されている。なお、パッド21には、キャビティ20に収容される電子部品100が搭載される。
【0013】
本実施形態の例では、キャビティ20の内壁面40は、機械加工により形成されている。具体的には、内壁面40は、切削加工により形成される切削加工面になっていて、この切削加工面は、ルータの側面加工で形成される。
【0014】
キャビティ20の底面20Mの外縁部には、溝30が形成されている。本実施形態の例では、溝30は、機械加工により形成されていて、具体的には、ルータの先端部により形成された切削加工溝になっている。溝30(詳細には、溝30の内面)は、キャビティ20の内壁面40に連続して形成されている。溝30の内面は、溝底面30Mと、溝30の溝幅方向で対向する溝外周面30G及び溝内周面30Nと、からなる。溝外周面30Gは、キャビティ20の内壁面40の延長上に配置されていて、内壁面40と連続している。
【0015】
キャビティ20には、配線基板10の一側面10Mに開口する側面開口20Kが形成されている。
図2に示されるように、本実施形態では、キャビティ20は、平面視四角形状をなし、その1辺が側面開口20Kにより配線基板10の一側面10Mに開放されている。キャビティ20は、キャビティ20の残りの3辺側からは、第1ビルドアップ部12Aに囲まれていて、それら3辺に内壁面40及び溝30が設けられている。
【0016】
図1及び
図2に示されるように、キャビティ20の底面20Mの外縁部のうち、側面開口20Kにより配線基板10の一側面10Mに開放されている1辺の外縁部には、段差部34が形成されている。段差部34は、キャビティ20の底面20Mの上記開放されている1辺の外縁部を、段付き状に陥没するように切削加工されてなる。具体的には、段差部34の段差面38が、ルータの側面により切削され、段差部34において段差面38により一段下げられた下段面34Mが、ルータの先端面により切削されている。下段面34Mは、配線基板10の一側面10Mと連絡されている。
【0017】
下段面34Mは、キャビティ20の底面20Mのうち一側面10Mに開放されている1辺において、キャビティ20の残りの3辺に延びる溝30の両端間の全体に直線状に延びている。そして、段差部34の下段面34Mの幅G4は、溝30の溝幅(具体的には、溝30の溝底面30Mの幅)よりも狭くなっている。詳細には、段差部34の下段面34Mの幅G4は、溝30の第1溝部31の幅G1と第2溝部32の幅G2と第3溝部33の幅G3の何れよりも、狭くなっている。なお、第1溝部31は、溝30のうち側面開口20Kとは反対側の1辺の直線状の部分である。第2溝部32と第3溝部33は、それぞれ溝30の残りの2辺の直線状の部分である。なお、本実施形態では、第1溝部31の幅G1と、第2溝部32の幅G2と、第3溝部33の幅G3は、同じになっているが、少なくとも1つが異なっていてもよい。また、本実施形態では、溝30は、深さ方向で略均一幅となるように形成されているが、例えば、溝底面30Mに向かうにつれて溝幅を狭くするように形成されていてもよい。
【0018】
図1に示されるように、溝30の溝底面30Mと、段差部34の下段面34Mとは、コア基板11の第1面11Fから同じ深さに配置されて、滑らかに連続している。溝30と段差部34とは、コア基板11の第1面11Fの導電層13を貫通する深さに形成されている。本実施形態の例では、溝30と段差部34とは、コア基板11全体を貫通する深さまで形成され、溝30の溝底面30Mと段差部34の下段面34Mとには、コア基板11の第2面11S上に配置される層間絶縁層15が露出している。
【0019】
また、本実施形態の例では、キャビティ20の底面20Mのうち外縁部を除く全体が(即ち、溝30と段差部34に囲まれた四角形状の部分全体が)、上述の部品搭載用のパッド21になっている。なお、パッド21は、キャビティ20の底面20Mのうち外縁部を除く部分の一部のみに設けられていてもよい。
【0020】
本実施形態の配線基板10は、例えば、以下のようにして製造される。
(1)
図3(A)に示されるように、絶縁性基材11Kの表裏の両面に銅箔11Cがラミネートされている銅張積層板11Zが用意される。なお、絶縁性基材11Kは、例えば、エポキシ樹脂又はBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂と、ガラスクロスとを含んでいる。
【0021】
(2)
図3(B)に示されるように、銅張積層板11Zの両面にレーザーが照射され貫通孔14Hが形成される。
【0022】
(3)無電解めっき処理が行われ、銅箔11C上と貫通孔14Hの内面に無電解めっき膜(図示せず)が形成される。
【0023】
(4)
図3(C)に示されるように、表裏の銅箔11C上の無電解めっき膜上に、所定パターンのめっきレジスト50が形成される。
【0024】
(5)電解めっき処理が行われ、
図3(D)に示されるように、電解めっきが貫通孔14H内に充填されてスルーホール導体14が形成されると共に、銅箔11C上の無電解めっき膜(図示せず)のうちめっきレジスト50から露出している部分に電解めっき膜13Dが積層される。
【0025】
(6)めっきレジスト50が除去されると共に、めっきレジスト50の下方の無電解めっき膜(図示せず)及び銅箔11Cが除去され、
図4(A)に示されるように、残された電解めっき膜13D、無電解めっき膜及び銅箔11Cにより、絶縁性基材11Kの表裏の両面上に導電層13が形成される。絶縁性基材11Kの両面上の導電層13同士はスルーホール導体14によって接続される。以上により、コア基板11が形成される。
【0026】
(7)
図4(B)に示されるように、コア基板11の第1面11F上の一部に剥離層51が敷設される。剥離層51は、例えば、剥離フィルムで構成されている。なお、例えば、コア基板11の第1面11Fの導電層13は、剥離層51全体の下に配置されるように形成しておく。
【0027】
(8)
図4(C)に示されるように、コア基板11の両面に層間絶縁層15としてのプリプレグと銅箔52が積層されてから、加熱プレスされる。すると、コア基板11の両面上に層間絶縁層15が形成される。第1面11F側の層間絶縁層15により剥離層51が覆われる。なお、上記加熱プレスの際、コア基板11の表裏の両面において、導電層13のパターンの非形成部分がプリプレグの樹脂により埋められる。なお、層間絶縁層15として、プリプレグの代わりにビルドアップ基板用の絶縁フィルムを用いてもよい。この場合、ビルドアップ基板用の絶縁フィルムの上に、銅箔52を積層することなく、直接、後述の(11)における無電解めっき処理により無電解めっき膜を形成することができる。
【0028】
(9)
図5(A)に示すように、コア基板11の両面の層間絶縁層15,15に、レーザーが照射されて、層間絶縁層15を貫通する複数のビアホール15Hが形成される。例えば、これら複数のビアホール15Hは、剥離層51と厚み方向で重ならない位置に形成される。
【0029】
(10)無電解めっき処理が行われ、各層間絶縁層15上に積層されている銅箔52上と、ビアホール15Hの内面とに無電解めっき膜(図示せず)が形成される。
【0030】
(11)
図5(B)に示すように、各層間絶縁層15に積層されている銅箔52上の無電解めっき膜上に、所定パターンのめっきレジスト53が形成される。例えば、めっきレジスト53は、下記(13)で、導電層16が、剥離層51の真上に形成されないように、層間絶縁層15のうち剥離層51の真上に配置される部分全体を覆うように形成される。
【0031】
(12)電解めっき処理が行われ、電解めっきがビアホール15H内に充填されてビア導体15Dが形成される(
図6(A)参照)。次いで、めっきレジスト53が剥離されると共に、めっきレジスト53の下側の無電解めっき膜及び銅箔52が除去される。すると、
図6(B)に示すように、層間絶縁層15上に残された電解めっき膜16D、無電解めっき膜及び銅箔52により、導電層16が形成される。
【0032】
(13)上述した(9)~(12)と同様の工程が繰り返され、
図7に示すように、コア基板11の導電層13上に層間絶縁層15と導電層16とが交互に所定の層数ずつ積層される。また、積層方向で隣り合う導電層16同士が、層間絶縁層15を貫通するビア導体15Dによって接続される。これにより、コア基板11の第1面11F上に第1ビルドアップ部12Aが形成されると共に、コア基板11の第2面11S上に第2ビルドアップ部12Bが形成される。
【0033】
(14)
図8に示されるように、コア基板11から表裏の両側で最も離れている最外の導電層16上にそれぞれソルダーレジスト層17が積層される。
【0034】
(15)
図9に示されるように、コア基板11の表裏の両面のソルダーレジスト層17の所定箇所に、例えば、レーザー加工やフォトリソグラフィー処理により、開口部17Aが形成される。そして、最外の導電層16のうち開口部17Aによりソルダーレジスト層17から露出した部分でパッド18が形成される。
【0035】
(16)次いで、
図10に示されるように、第1ビルドアップ部12A上のソルダーレジスト層17の上から剥離層51を貫通する位置まで(例えばコア基板11を貫通する位置まで)ルータ60を突入させて剥離層51の外縁部をなぞるように四角形の枠状にルータ60を走らせ、環状の凹部54を形成する。なお、ルータ60は、その回転軸方向が、コア基板11の厚み方向となるように配置される。このようにすることで、キャビティ20の内壁面40と、溝30の溝外周面30G及び溝内周面30Nとを、コア基板11に垂直に形成することが可能となる。
【0036】
(17)層間絶縁層15、導電層16、ソルダーレジスト層17、及び剥離層51のうち、環状の凹部54の内側に配置される部分が剥離されて除去され、キャビティ20が形成される(
図11及び
図12参照)。すると、コア基板11の第1面11Fの導電層13のうち環状の凹部54の内側に配置されていた部分が露出して、その露出部分によりパッド21が形成される。また、凹部54のうち導電層13(パッド21)より深い部分がパッド21を取り囲む環状の切削加工溝30Aとなって残される。切削加工溝30Aは、例えば、全体が略均一幅になるように形成される。このようにして、親基板90が得られる。
【0037】
(18)次に、親基板90をルータ60により切断して配線基板10を形成する。具体的には、
図11及び
図12の二点鎖線にて示されるように、親基板90のうち、切削加工溝30Aの1辺部上に(詳細には、この1辺部の幅方向の途中位置に)切断面が形成されるようにルータ60を走らせる。すると、
図1及び
図2に示されるように、この切断面から、配線基板10の一側面10Mが形成されると共に、キャビティ20にこの一側面10Mに開口する側面開口20Kが形成される。また、ルータ60により切断された切削加工溝30Aの1辺部の残った部分が配線基板10の一側面10Mに開放されて段差部34が形成されると共に、切削加工溝30Aの残りの3辺部が上述の溝30として残される。なお、親基板90を切断するルータは、上記(17)においてキャビティ20の内壁面40及び溝30を形成するために用いられたルータ60とは異なるものであってもよい。
【0038】
(19)パッド21に、例えば、有機保護膜(OSP)の形成やNi/Pd/Auめっき等の表面処理がなされる。以上により、配線基板10が完成する。
【0039】
本実施形態の配線基板10の構造及びその製造方法に関する説明は以上である。次に配線基板10の作用効果について説明する。本実施形態の配線基板10では、キャビティ20に配線基板10の一側面10Mに開口する側面開口20Kが設けられるので、キャビティ20の底面20Mの外縁部に溝30が設けられても、従来より利用の制限を少なくすることが可能となる。具体的には、例えば、従来の配線基板のように、キャビティ20の底面20Mの外縁部全体に、溝30が形成されている場合、溝30の上には電子部品100を載置できないため、キャビティ20の外縁部にデッドスペースが生じ易くなる。その結果、配線基板の利用が制限されることがある。これに対し、本実施形態の配線基板10では、キャビティ20の底面20Mのうち配線基板10の一側面10Mに開放される外縁部に、溝30の代わりに段差部34が形成され、この段差部34の下段面34Mの幅が溝30の幅より狭くなっている。従って、キャビティ20の底面20Mの外縁部全体に溝30が形成されている場合に比べて、キャビティ20の外縁部のデッドスペースを少なくすることが可能となる。これにより、キャビティ20や配線基板10のコンパクト化を図ることが可能となると共に、配線基板10の回路の高密度化を図ることが可能となる。
【0040】
また、段差部34の下段面34Mの幅が、溝30の溝底面30Mの幅よりも狭くなっていることで、配線基板10の一側面10Mにパッド21を近づけて配置することができる。これにより、電子部品100を一側面10Mに近づけて配置させることができ、配線基板10の一側方に配置される他の電子部品又は配線基板と、電子部品100とを接続させ易くすることが可能となる。また、キャビティ20が、配線基板10の一側面10Mに開放されていることで、電子部品100の配置の自由度を高めることが可能となる。
【0041】
[第2実施形態]
本実施形態の配線基板10Vは、段差部34を有していない点と、製造方法の上記(20)の工程において、第1実施形態の配線基板10及びその製造方法と異なる。本実施形態の配線基板10Vでは、親基板90を切断して配線基板10Vを形成する際に、
図13の二点鎖線にて示されるように、親基板90のうち切削加工溝30Aの1辺部とパッド21との境界を切断するか、又は、パッド21を切断するように、ルータ60を走らせる。これにより、
図14に示されるように、段差部34を有さない配線基板10Vが形成される。
【0042】
[他の実施形態]
(1)キャビティ20が、四角形状の配線基板10の角部に設けられてもよい。この場合、平面視四角形状のキャビティ20の2辺に、配線基板10の2側面に開口する側面開口20Kが形成される。そして、キャビティ20の残りの2辺には、内壁面40と溝30が形成される。
【0043】
(2)上記実施形態では、キャビティ20が、平面視四角形状であったが、これに限定されず、例えば、四角形以外の多角形状であってもよいし、異形状であってもよい。
【0044】
(3)上記実施形態において、配線基板10又は配線基板10Vを形成する際の親基板90の切断を、ルータの代わりにカッターで行ってもよい。
【0045】
(4)上記実施形態において、コア基板11が設けられていなくてもよい。
【0046】
(5)上記実施形態では、配線基板10又は配線基板10Vが、親基板90が切断されて形成されていたが、親基板90が切断されずに親基板90の縁部にキャビティ20が形成されることで、キャビティ20が一側面10Mに開放される配線基板10又は配線基板10Vが形成されてもよい。例えば、配線基板10を形成する場合、環状の凹部54の1辺部が一側面10Mに開放されるように環状の凹部54を形成すればよい。
【0047】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0048】
10,10V 配線基板
20 キャビティ
20M 底面
20K 側面開口
21 パッド
30 溝
34 段差部
34M 下段面
40 内壁面
51 剥離層