(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162569
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】回転電機、および、回転電機の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
H02K 1/32 20060101AFI20221018BHJP
H02K 1/28 20060101ALI20221018BHJP
H02K 1/24 20060101ALI20221018BHJP
H02K 15/02 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
H02K1/32 Z
H02K1/28 Z
H02K1/24 Z
H02K15/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067428
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000195959
【氏名又は名称】西芝電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145816
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿股 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100196003
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 仁
(72)【発明者】
【氏名】柏原 啓二
【テーマコード(参考)】
5H601
5H615
【Fターム(参考)】
5H601AA19
5H601CC01
5H601CC02
5H601CC13
5H601CC14
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601GA02
5H601GB04
5H601GB12
5H601GB34
5H601GB48
5H601GE02
5H601GE11
5H601GE15
5H615AA05
5H615BB01
5H615BB02
5H615BB07
5H615BB14
5H615BB16
5H615PP02
5H615PP24
(57)【要約】
【課題】予防保全の見地から定期的な簡易洗浄を可能とし、製品寿命を長くすることが可能な回転電機、および、回転電機の洗浄方法を提供する。
【解決手段】回転電機100は、固定子鉄心1aと固定子コイル1bとを有する固定子1と、固定子1の内側に配置され、シャフト3と、回転子鉄心2aと、回転子コイル2bとを有する回転子2と、固定子1と回転子2とを収容するハウジング4と、シャフト3内に、シャフト3の長手軸方向に沿って設けられた第1流路3bと、シャフト3に設けられた洗浄液注入開口部3aと、洗浄液噴出口3cと、を具備する。洗浄液噴出口3cと洗浄液注入開口部3aとは、第1流路3bを含む流路30を介して連通する。洗浄液噴出口3cは、回転子鉄心2aの近傍に設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子鉄心と固定子コイルとを有する固定子と、
前記固定子の内側に配置され、シャフトと、回転子鉄心と、回転子コイルとを有する回転子と、
前記固定子と、前記回転子とを収容するハウジングと、
前記シャフト内に、前記シャフトの長手軸方向に沿って設けられた第1流路と、
前記シャフトに設けられた洗浄液注入開口部と、
洗浄液噴出口と、
を具備し、
前記洗浄液噴出口と前記洗浄液注入開口部とは、前記第1流路を含む流路を介して連通し、
前記洗浄液噴出口は、前記回転子鉄心の近傍に設けられている
回転電機。
【請求項2】
前記回転子は、第1突極部と、第2突極部とを含む複数の突極部を有し、
前記洗浄液噴出口のうちの少なくとも1つは、前記第1突極部と前記第2突極部との間に配置されている
請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記洗浄液噴出口は、洗浄液を円錐状に噴出するノズルの先端部に設けられている
請求項1または2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記洗浄液噴出口は、洗浄液を扇状に噴出するノズルの先端部に設けられている
請求項1または2に記載の回転電機。
【請求項5】
前記洗浄液噴出口は、少なくとも第1噴出口および第2噴出口を含み、
前記第1噴出口は、洗浄液を円錐状に噴出する第1ノズルの先端部に設けられ、
前記第2噴出口は、洗浄液を扇状に噴出する第2ノズルの先端部に設けられている
請求項1または2に記載の回転電機。
【請求項6】
前記洗浄液注入開口部は、前記シャフトの軸端面に形成されているか、あるいは、前記シャフトの軸端近傍の外周面に形成されている
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項7】
前記ハウジングの下部に、前記ハウジングの内部の洗浄液および塵埃を外部に排出する排出口が設けられている
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の回転電機の洗浄方法であって、
前記シャフトの前記洗浄液注入開口部に、洗浄液供給装置の洗浄液供給管を接続する第1接続工程と、
前記洗浄液供給管から前記シャフトに、前記洗浄液注入開口部を介して、洗浄液を供給する洗浄液供給工程と、
前記シャフトを含む前記回転子を回転軸まわりに回転させた状態で、前記洗浄液噴出口から洗浄液を噴出させる洗浄液噴出工程と
を具備する
回転電機の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回転電機、および、回転電機の洗浄方法に関する。より具体的には、発電機または電動機等の回転電機を簡易洗浄可能にすることにより、回転電機の寿命を長くすることに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回転電機について、
図12を参照して説明する。回転電機の固定子コイル91b、および、回転子コイル92bは回転電機のハウジング94の内部にあり手が届かないため、普通点検では清掃出来ない。そのため、内部洗浄を実施する際には、固定子91から回転子92を引き抜いて開放状態にしてから内部洗浄が行われるのが一般的である。固定子91から回転子92を引き抜くためには、そのスペースを確保する必要がある。また、門型クレーン、チェーンブロック、継シャフト、シャフト受け架台などが必要であり、大掛かりな工事となる。回転電機に関する文献としては、例えば、以下の特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転電機のコイルに外部からの塵埃などが付着すると、コイルから発生する熱の放散が妨げられ、また、鉄心通風ダクトも塞がれて冷却効果が低下する。その結果、コイルの温度上昇が増大し、絶縁物の劣化を早めて回転電機の寿命を著しく縮めることとなる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、予防保全の見地から定期的な簡易洗浄を可能とし、製品寿命を長くすることが可能な回転電機、および、回転電機の洗浄方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態における回転電機は、固定子鉄心と固定子コイルとを有する固定子と、前記固定子の内側に配置され、シャフトと、回転子鉄心と、回転子コイルとを有する回転子と、前記固定子と、前記回転子とを収容するハウジングと、前記シャフト内に、前記シャフトの長手軸方向に沿って設けられた第1流路と、前記シャフトに設けられた洗浄液注入開口部と、洗浄液噴出口と、を具備し、前記洗浄液噴出口と前記洗浄液注入開口部とは、前記第1流路を含む流路を介して連通し、前記洗浄液噴出口は、前記回転子鉄心の近傍に設けられていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の実施形態における回転電機の洗浄方法は、前記シャフトの前記洗浄液注入開口部に、洗浄液供給装置の洗浄液供給管を接続する第1接続工程と、前記洗浄液供給管から前記シャフトに、前記洗浄液注入開口部を介して、洗浄液を供給する洗浄液供給工程と、前記シャフトを含む前記回転子を回転軸まわりに回転させた状態で、前記洗浄液噴出口から洗浄液を噴出させる洗浄液噴出工程と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、製品寿命を長くすることが可能な回転電機、および、回転電機の洗浄方法を提供することができる。汚れが少ない時に回転電機を簡易洗浄することにより、回転電機の冷却効果を持続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態における回転電機を洗浄液の流れとともに示す模式図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態における回転電機を模式的に示す概略断面図である。
【
図3】
図3は、回転子を模式的に示す概略断面図である。
【
図4】
図4は、回転子の一部分を模式的に示す概略断面図である。
【
図5】
図5は、ノズルの一例を模式的に示す概略2面図である。
【
図6】
図6は、ノズルの他の一例を模式的に示す概略2面図である。
【
図7】
図7は、回転電機を第1端壁側から見た模式図である。
【
図8】
図8は、シャフトの洗浄液注入開口部に、洗浄液供給管、あるいは、エア供給管を接続可能な様子を模式的に示す図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態における回転電機を模式的に示す概略斜視図である。
【
図10】
図10は、シャフト3の一部分を模式的に示す概略断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態における回転電機の洗浄方法の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、従来例における回転電機を模式的に示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態における回転電機100に関して、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同じ機能を有する部材、部位については、同一の符号が付され、同一の符号が付されている部材、部位について、繰り返しの説明は省略される。
【0011】
(用語の定義)
本明細書において、回転電機100とは、電動機(モータ)、発電機(ジェネレータ)、あるいは、電動機および発電機の双方の機能を有するモータ兼ジェネレータを意味する。
【0012】
本明細書において、シャフト3の第2端部32から第1端部31に向かう方向を第1方向DR1と定義し、第1方向DR1とは反対の方向を第2方向DR2と定義する。
【0013】
(実施形態の概要)
図1を参照して、実施形態における回転電機100の概要について説明する。
図1は、実施形態における回転電機100を洗浄液の流れとともに示す模式図である。
【0014】
(構成・作用)
図1に記載の例では、回転電機100は、固定子1と、回転子2と、ハウジング4と、第1流路3bと、洗浄液注入開口部3aと、洗浄液噴出口3cと、を備える。
【0015】
固定子1は、固定子鉄心1aと、固定子コイル1bとを有する。固定子鉄心1aは、固定子コイル1bを支持する。固定子コイル1bには電流が流れる。回転電機100が発電機である場合には、回転子2が回転駆動されることにより固定子コイル1bを通過する磁束が変化する。こうして、固定子コイル1bに電流が誘起される。他方、回転電機100がモータである場合には、固定子コイル1bに電流を流すことにより、電磁気的作用により回転子2の回転が誘起される。
【0016】
回転子2は、固定子1の内側に配置される。
図1に記載の例では、固定子1は、環状体であり、当該環状体の穴を通過するように回転子2が配置される。回転子2は、シャフト3と、回転子鉄心2aと、回転子コイル2bとを有する。
【0017】
シャフト3は、回転軸AXまわりを回転可能な回転シャフトである。
図1に記載の例では、シャフト3は、回転軸AXまわりを回転可能なように、例えば、ジャーナル軸受(図示せず。)を有するハウジング4によって支持されている。
【0018】
回転子鉄心2aは、回転子コイル2bを支持する。回転子コイル2bには電流が流れる。回転子コイル2bに電流が流れることにより、回転子コイル2bの内部を通過する磁束が形成される。こうして、回転子鉄心2aは、磁石として機能する。
【0019】
ハウジング4は、固定子1と、回転子2とを収容する。固定子1および回転子2がハウジング4内に収容されることにより、固定子1および回転子2がハウジング4によって保護される。また、
図1に記載の例では、ハウジング4は、固定子1および回転子2を支持する構造部材としても機能する。
図1に記載の例では、固定子1は、ハウジング4に固定されており、回転子2は、ハウジング4によって回転可能に支持されている。
【0020】
図1に記載の例では、シャフト3内に、シャフト3の長手軸方向に沿って第1流路3bが設けられている。当該第1流路3bは、洗浄液が通過する流路として機能する。付加的に、当該第1流路3bは、エアが通過する流路として機能してもよい。
【0021】
図1に記載の例では、シャフト3に、洗浄液注入開口部3aが設けられている。洗浄液注入開口部3aから供給される洗浄液は、第1流路3bを通過して、洗浄液噴出口3cに送られる。換言すれば、洗浄液噴出口3cと洗浄液注入開口部3aとは、第1流路3bを含む流路30を介して連通する。なお、洗浄液注入開口部3aへの洗浄液の供給は、洗浄液供給装置を用いて実行される。
【0022】
図1に記載の例では、洗浄液噴出口3cは、回転子鉄心2aの近傍に設けられている。洗浄液噴出口3cは、固定子1および/または回転子2に向けて洗浄液を噴出する。こうして、固定子1および/または回転子2が洗浄液によって洗浄される。
【0023】
(効果)
実施形態における回転電機100は、シャフト3内に設けられた第1流路3bと、回転子鉄心2aの近傍に設けられた洗浄液噴出口3cとを備える。よって、固定子1から回転子2を引き抜く作業を実施することなく、ハウジング4の内部に配置された固定子1および/または回転子2を簡易洗浄することができる。また、汚れが少ない時に回転電機100を簡易洗浄することにより、回転電機100の冷却効果を持続させることができ、回転電機100の絶縁物の温度上昇が抑制される。その結果、回転電機100の製品寿命を長くすることができる。
【0024】
(第1の実施形態)
図2乃至
図9を参照して、第1の実施形態における回転電機100Aについて説明する。
図2は、第1の実施形態における回転電機100Aを模式的に示す概略断面図である。なお、
図2において、回転電機100Aの内部構造を把握し易くするために、回転電機100Aのハウジング4の頂部44の一部が切り欠かれている(換言すれば、ハウジング4の頂部44の一部の記載が省略されている。)。
図3は、回転子2を模式的に示す概略断面図である。
図4は、回転子2の一部分を模式的に示す概略断面図である。
図5は、ノズル5の一例を模式的に示す概略2面図である。
図6は、ノズル5の他の一例を模式的に示す概略2面図である。なお、
図5および
図6において、上側には、概略平面図が記載され、下側には、概略断面図が記載されている。
図7は、回転電機100を第1端壁41側から見た模式図である。
図8は、シャフト3の洗浄液注入開口部3aに、洗浄液供給管830、あるいは、エア供給管930を接続可能な様子を模式的に示す図である。
【0025】
(構成・作用)
第1の実施形態における回転電機100Aは、(1)固定子鉄心1aと固定子コイル1bとを有する固定子1と、(2)固定子1の内側に配置され、シャフト3と、回転子鉄心2aと、回転子コイル2bとを有する回転子2と、(3)固定子1と、回転子2とを収容するハウジング4と、(4)シャフト3内に、シャフト3の長手軸方向に沿って設けられた第1流路3bと、(5)シャフト3に設けられた洗浄液注入開口部3aと、(6)洗浄液噴出口3cと、を具備する。(7)洗浄液噴出口3cと洗浄液注入開口部3aとは、第1流路3bを含む流路30を介して連通する。また、(8)洗浄液噴出口3cは、回転子鉄心2aの近傍に設けられている。
【0026】
図2に記載の例では、洗浄液注入開口部3aは、シャフト3の軸端面31eに形成されている。この場合、軸端面31eに設けられた洗浄液注入開口部3aに、洗浄液供給装置の洗浄液供給管が接続される。なお、
図2に記載の例では、シャフト3の長手軸方向に沿って設けられた第1流路3bの端が洗浄液注入開口部3aである。
【0027】
(効果)
第1の実施形態では、洗浄液注入開口部3aが、シャフト3の軸端面31eに形成されている。この場合、洗浄液注入開口部3aに洗浄液供給装置の洗浄液供給管を容易に接続することができる。なお、洗浄液注入開口部3aと洗浄液供給管との間の接続には、継手(例えば、接続金具)を介しての接続が包含されることは言うまでもない。
【0028】
続いて、
図1乃至
図9を参照して、実施形態(例えば、第1の実施形態、あるいは、後述の第2の実施形態)において採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0029】
(回転電機100の全体構成)
図1に記載の例では、シャフト3は、第1端部31と第2端部32とを有する。第2端部32は、例えば、回転電機100に回転駆動力を付与する原動機、あるいは、回転電機100から回転駆動力を受け取る被駆動装置に連結される直結側の端部である。また、第1端部31は、原動機あるいは被駆動装置とは反対側の端部である。
【0030】
図1に記載の例では、回転電機100は、固定子1および回転子2に加え、交流励磁機70を有する。交流励磁機70は、回転子2を励磁する励磁電流を生成する。交流励磁機70は、例えば、励磁機界磁巻線71と、励磁機電機子巻線72と、整流器とを含む。
【0031】
図2に記載の例では、ハウジング4は、第1端壁41と、第2端壁42とを有する。第1端壁41は、シャフト3の第1端部31を回転可能に支持し、第2端壁42は、シャフト3の第2端部32を回転可能に支持する。
【0032】
図2に記載の例では、ハウジング4は、頂部44と、底部45とを有する。
図2に記載の例では、ハウジング4は、略直方体形状を有するが、ハウジング4の形状は略直方体形状に限定されない。
【0033】
(洗浄液注入開口部3a)
図2に記載の例では、シャフト3の軸端面31e(第1端部31側の軸端面)がハウジング4の外部に位置する。また、当該軸端面31eに洗浄液注入開口部3aが配置されている。この場合、洗浄液注入開口部3aに洗浄液供給管を接続する際に、ハウジング4内にアクセスする必要がない。よって、洗浄液注入開口部3aに洗浄液供給管を接続する作業が容易である。
【0034】
図2に記載の例では、洗浄液注入開口部3aが、シャフト3の回転軸AX上に配置されている。この場合、洗浄液注入開口部3aに洗浄液供給管830(必要であれば、
図8を参照。)が接続された状態で、シャフト3を回転軸AXまわりに円滑に回転させることができる。
【0035】
(洗浄液噴出口3c)
図1に記載の例では、洗浄液噴出口3cは、第1噴出口3c-1および第2噴出口3c-2を含む。洗浄液噴出口3cは、第3噴出口3c-3および第4噴出口3c-4を含んでいてもよい。
【0036】
図1において、第1方向DR1に沿う方向における第1噴出口3c-1の位置は、第1方向DR1に沿う方向における回転子2の第1端部21の存在領域AR1(あるいは、第1方向DR1に沿う方向における固定子1の第1端部11の存在領域)とオーバーラップしている。この場合、第1噴出口3c-1から噴出される洗浄液が、回転子2の第1方向DR1側の端部である第1端部21(あるいは、固定子1の第1方向DR1側の端部である第1端部11)に当たる。よって、回転子2の第1端部21および/または固定子1の第1端部11が効果的に洗浄される。
【0037】
図1において、第1方向DR1に沿う方向における第2噴出口3c-2の位置(あるいは、第3噴出口3c-3の位置)は、第1方向DR1に沿う方向における回転子2の中間部分23の存在領域AR2(あるいは、第1方向DR1に沿う方向における固定子1の中間部分13の存在領域)とオーバーラップしている。この場合、第2噴出口3c-2(あるいは、第3噴出口3c-3)から噴出される洗浄液が、回転子2の中間部分23(あるいは、固定子1の中間部分13)に当たる。よって、回転子2の中間部分23および/または固定子1の中間部分13が効果的に洗浄される。
【0038】
図1において、第1方向DR1に沿う方向における第4噴出口3c-4の位置は、第1方向DR1に沿う方向における回転子2の第2端部22の存在領域AR3(あるいは、第1方向DR1に沿う方向における固定子1の第2端部12の存在領域)とオーバーラップしている。この場合、第4噴出口3c-4から噴出される洗浄液が、回転子2の第2方向DR2側の端部である第2端部22(あるいは、固定子1の第2方向DR2側の端部である第2端部12)に当たる。よって、回転子2の第2端部22および/または固定子1の第2端部12が効果的に洗浄される。
【0039】
図1に記載の例では、第1方向DR1に沿う方向における第1噴出口3c-1の位置と、第1方向DR1に沿う方向における第2噴出口3c-2の位置とが異なっている。また、第1方向DR1に沿う方向における第2噴出口3c-2の位置と、第1方向DR1に沿う方向における第3噴出口3c-3の位置とが異なり、第1方向DR1に沿う方向における第3噴出口3c-3の位置と、第1方向DR1に沿う方向における第4噴出口3c-4の位置とが異なっている。
【0040】
第1噴出口3c-1から噴出される洗浄液は、ハウジング4内の領域AR1を洗浄し、第2噴出口3c-2および第3噴出口3c-3から噴出される洗浄液は、領域AR1よりも第2方向DR2側のハウジング4内の領域AR2を洗浄し、第4噴出口3c-4から噴出される洗浄液は、領域AR2よりも第2方向DR2側のハウジング4内の領域AR3を洗浄する。こうして、複数の噴出口から噴出される洗浄液を用いて、回転軸AXの軸方向に沿って広範囲の領域を洗浄することができる。なお、洗浄液を噴出する噴出口の数は、シャフト3の長さ(あるいは、第1方向DR1に沿う方向における固定子1あるいは回転子2の長さ)に応じて適宜設定される。例えば、シャフト3の長さが長い場合には、噴出口の数を多くし、シャフトの3の長さが短い場合には、噴出口の数を少なくしてもよい。
【0041】
図1に記載の例では、洗浄液噴出口3c(より具体的には、複数の噴出口3c-1乃至3c-4)は、シャフト3を含む回転子2とともに回転軸AXまわりを回転可能である。よって、回転子2が静止中のままでは洗浄液が直接当たらない部位を、回転子2を回転させることにより、好適に洗浄することができる。なお、洗浄時における回転子2の回転は、回転電機100の原動機の動力を用いて行われてもよいし、手動で行われてもよい。
【0042】
(流路30)
図1に記載の例では、洗浄液注入開口部3aと第1噴出口3c-1とを接続する流路30は、シャフト3の長手軸方向に沿って設けられた第1流路3bと、第1流路3bと交差する方向(より具体的には、第1流路3bと垂直な方向)に沿って延在する第1分岐流路30-1とを含む。
図1において、第1流路3bは、シャフト3の回転軸AX上に配置されている。
【0043】
図1において、第1分岐流路30-1の基端(換言すれば、第1流路3b側の端)から第1分岐流路30-1の先端(換言すれば、第1噴出口3c-1側の端)に向かう方向は、シャフト3のラジアル方向(換言すれば、回転軸AXに対して垂直な方向)と一致している。
【0044】
同様に、「K」を2以上の任意の自然数と定義するとき、
図1に記載の例では、洗浄液注入開口部3aと第K噴出口3c-Kとを接続する流路30は、シャフト3の長手軸方向に沿って設けられた第1流路3bと、第1流路3bと交差する方向(より具体的には、第1流路3bと垂直な方向)に沿って延在する第K分岐流路30-Kとを含む。また、第K分岐流路30-Kの基端から第K分岐流路30-Kの先端に向かう方向は、シャフト3のラジアル方向と一致している。
【0045】
(突極部25)
図3に記載の例では、回転子2は、第1突極部25-1と、第2突極部25-2とを含む複数の突極部25を有する。回転子2は、第3突極部25-3と、第4突極部25-4とを有していてもよい。各突極部25には、回転子コイル2b(換言すれば、界磁巻線)が巻回されている。付加的に、各突極部25には、制動巻線2dが配置されていてもよい。
図3に記載の例では、各突極部25は、シャフト3とは別体であり、各突極部25は、シャフト3の外周面に固定されている。
図3に記載の例では、回転子2は、4個の突極部25を有するが、回転子2が有する突極部25の数は、4個以外(例えば、2個)であってもよい。
【0046】
図3に記載の例では、第1噴出口3c-1は、第1突極部25-1と第2突極部25-2との間に配置されている。この場合、第1突極部25-1と第2突極部25-2との間の領域AR5を利用して、第1噴出口3c-1から噴出される洗浄液を拡散させることができる。よって、第1噴出口3c-1から噴出される洗浄液によって洗浄される領域を広くすることができる。
図3に記載の例では、シャフト3は、第1突極部25-1と第2突極部25-2との間に配置された第1角部35-1を有し、第1噴出口3c-1は、当該第1角部35-1に配置されている。
【0047】
図3に記載の例では、第2噴出口3c-2は、第2突極部25-2と第3突極部25-3との間に配置されている。この場合、第2突極部25-2と第3突極部25-3との間の領域AR6を利用して、第2噴出口3c-2から噴出される洗浄液を拡散させることができる。
図3に記載の例では、シャフト3は、第2突極部25-2と第3突極部25-3との間に配置された第2角部35-2を有し、第2噴出口3c-2は、当該第2角部35-2に配置されている。
【0048】
同様に、第3噴出口3c-3および第4噴出口3c-4の各々は、2つの隣接する突極部間に配置される。より具体的には、
図3に記載の例では、第3噴出口3c-3は、2つの隣接する突極部間に配置された第3角部35-3に配置され、第4噴出口3c-4は、2つの隣接する突極部間に配置された第4角部35-4に配置されている。
【0049】
(ノズル5)
図3に記載の例では、洗浄液噴出口3cは、ノズル5の先端部に設けられている。ノズル5は、シャフト3とは別体のノズル部品50によって構成されていることが好ましい。この場合、ノズル部品50をシャフト3に取り付けることにより、シャフト3の流路30に連通する洗浄液噴出口3cを設けることができる。
【0050】
図3に記載の例では、複数の洗浄液噴出口3cのうちの少なくとも1つ(例えば、第1噴出口3c-1)は、洗浄液を円錐状に噴出するノズル5aの先端部に設けられている。洗浄液を円錐状に噴出するノズル5aが採用される場合、ノズル5aから噴出される洗浄液を用いて広範囲の領域を洗浄することができる。例えば、ノズル5aから噴出される洗浄液は、2つの隣接する突極部間の領域AR5内で円錐状に拡散され、固定子1と回転子2との間の環状空間内で更に円錐状に拡散される。
【0051】
図4(a)には、洗浄液噴出口3c(例えば、第1噴出口3c-1)から、洗浄液が円錐状に噴出される様子の一例が記載されている。洗浄液噴出口3cから噴出される洗浄液は、例えば、回転子2の第1端部21(あるいは、固定子1の第1端部11)を広範囲に洗浄する。
図4(a)に記載の例では、洗浄液噴出口3cから噴出される洗浄液の噴出方向の中心軸(円錐状の洗浄液の中心軸)は、シャフトの回転軸AXに垂直である。代替的に、洗浄液噴出口3cから噴出される洗浄液の噴出方向の中心軸は、シャフトの回転軸AXに対して90度以外の角度で傾斜していてもよい。
【0052】
図5には、洗浄液を円錐状に噴出するノズル5aの一例が示されている。ノズル5aの先端部内面5nは、ラッパ形状を有する。
図5に記載の例では、ノズル5aを構成するノズル部品50aは、雄ねじ部51を有する基端部と、洗浄液噴出口3cが設けられる先端部とを有するねじ部品である。ノズル部品50aがねじ部品である場合、ノズル部品50aをシャフト3(より具体的には、シャフト3の雌ねじ部)に取り付ける作業、あるいは、シャフト3に取り付けられたノズル部品を他のノズル部品50aに交換する作業が容易である。
【0053】
図3に記載の例では、複数の洗浄液噴出口3cのうちの少なくとも1つ(例えば、第2噴出口3c-2)は、洗浄液を扇状に噴出するノズル5bの先端部に設けられている。洗浄液を扇状に噴出するノズル5bが採用される場合、より高い水圧での洗浄と、広範囲の洗浄とを両立させることができる。例えば、ノズル5bから噴出される洗浄液は、2つの隣接する突極部間の領域AR6内で扇状に拡散され、固定子1と回転子2との間の環状空間内で更に扇状に拡散される。
【0054】
図4(b)には、洗浄液噴出口3c(例えば、第2噴出口3c-2)から、洗浄液が扇状に噴出される様子の一例が記載されている。洗浄液噴出口3cから噴出される洗浄液は、例えば、回転子2の中間部分23(あるいは、固定子1の中間部分13)を広範囲に洗浄する。
図4(b)に記載の例では、洗浄液噴出口3cから噴出される洗浄液によって形成される扇の幅方向は、シャフト3の回転軸AXに沿う方向と一致している。この場合、シャフト3の回転軸AXに沿う方向において、回転子2あるいは固定子1が広範囲に洗浄される。
【0055】
図4(b)に記載の例では、洗浄液噴出口3cから噴出される洗浄液の噴出方向の中心軸(扇の中心軸)は、シャフトの回転軸AXに垂直である。代替的に、洗浄液噴出口3cから噴出される洗浄液の噴出方向の中心軸は、シャフトの回転軸AXに対して90度以外の角度で傾斜していてもよい。
【0056】
図6には、洗浄液を扇状に噴出するノズル5bの一例が示されている。ノズル5bの洗浄液噴出口3cは、細長形状を有する。洗浄液噴出口3cの長軸AX2は、シャフトの回転軸AXに平行であることが好ましい。
図6に記載の例では、ノズル5bの先端部には、側面視略V字形状の溝55が設けられている。当該溝55は、洗浄液噴出口3cから噴出される洗浄液が、洗浄液噴出口3cの短軸AX3に平行な方向に拡散することを防止する。
【0057】
図6に記載の例では、ノズル5bを構成するノズル部品50bは、雄ねじ部51を有する基端部と、洗浄液噴出口3cが設けられる先端部とを有するねじ部品である。ノズル部品50bがねじ部品である場合、ノズル部品50bをシャフト3(より具体的には、シャフト3の雌ねじ部)に取り付ける作業、あるいは、シャフト3に取り付けられたノズル部品を他のノズル部品50bに交換する作業が容易である。
【0058】
図3に記載の例では、第1噴出口3c-1は、洗浄液を円錐状に噴出する第1ノズル(5a)の先端部に設けられ、第2噴出口3c-2は、洗浄液を扇状に噴出する第2ノズル(5b)の先端部に設けられている。異なる種類のノズルが採用されることにより、洗浄範囲を調整し、洗浄液が直接当たらない領域を低減することができる。また、回転電機100の各部位の特性(例えば、塵埃の堆積の度合い)に応じて、洗浄液の水圧を調整することができる。
【0059】
(排出口61)
図2に記載の例では、ハウジング4の下部46に、排出口61が設けられている。排出口61は、ハウジング4の内部の洗浄液および塵埃を外部に一括排出する。ハウジング4の下部46に排出口61が設けられる場合、ハウジング4の内部の洗浄液および塵埃を迅速に排出することができる。
【0060】
図2に記載の例では、ハウジング4の底部45の上面は、排出口61に向かって高さが低くなる傾斜面47を有する。当該傾斜面47の存在により、ハウジング4の底部45に集まる洗浄液および塵埃が、排出口61に向かって誘導される。よって、ハウジング4の内部の洗浄液および塵埃を更に迅速に排出することができる。
【0061】
図2に記載の例では、傾斜面47は、第2端壁42から第1端壁41に向かうにつれて高さが低くなる傾斜面である。この場合、洗浄液および塵埃は、第1端壁41側に集められる。
図2に記載の例では、排出口61は、第1端壁41、あるいは、第1端壁41と底部45との境界領域に配置されている。
【0062】
付加的に、
図7に例示されるように、ハウジング4の底部45の上面は、ハウジング4の側壁43からシャフト3の直下の領域に向かうにつれて高さが低くなる第2傾斜面48を有していてもよい。この場合、底部45上の洗浄液および塵埃は、第2傾斜面48によって、シャフト3の直下の領域に集められ、当該領域に集められた洗浄液および塵埃は、傾斜面47によって、排出口61に向かって誘導される。
【0063】
図7に記載の例では、排出口61に、閉鎖部材63が取り付けられている。閉鎖部材63は排出口61から取り外し可能である。閉鎖部材63が取り外された状態では、洗浄液および塵埃が、排出口61から排出される。排出口61から排出される洗浄液および塵埃は、任意の容器78に収容される。排出口61に対する閉鎖部材63の着脱を容易にする観点から、閉鎖部材63は、雄ねじ部63mを有し、排出口61は、雄ねじ部63mに螺合する雌ねじ部61fを有することが好ましい。
図7に記載の例では、閉鎖部材63は、排出口61に螺合するボルトである。
【0064】
(第1接続部38)
図8に記載の例では、洗浄液注入開口部3aは、洗浄液供給装置800の洗浄液供給管830が接続される第1接続部38を有する。第1接続部38には、洗浄液供給管830の端部に配置される継手部材840と螺合する雌ねじ部が設けられていてもよい。なお、洗浄時にシャフト3の回転を可能にするために、継手部材840は、洗浄液供給管830に対するシャフト3の相対回転を許容する回転継手841であることが好ましい。
【0065】
なお、
図8に記載の例では、洗浄液供給装置800は、洗浄液を収容する洗浄液容器810と、洗浄液容器810から洗浄液供給管830に洗浄液を供給するポンプ820と、洗浄液供給管830(例えば、可撓性のホース)と、洗浄液供給管830を第1接続部38に接続する継手部材840とを備える。
【0066】
図8に記載の例では、第1接続部38には、エア供給装置900のエア供給管930を接続可能である。回転電機100の洗浄が終了し、第1接続部38から洗浄液供給管830が取り外された後、当該第1接続部38にエア供給管930が接続される。その後、エア供給管930およびシャフト3を介して洗浄液噴出口3cにエアが供給され、洗浄液噴出口3cからエアが噴射される。こうして、固定子1および回転子2が乾燥される。
【0067】
図8に記載の例では、エア供給装置900は、エア供給管930にエアを供給するコンプレッサ920と、エア供給管930(例えば、可撓性のホース)と、エア供給管930を第1接続部38に接続する継手部材940とを備える。なお、乾燥時にシャフト3の回転を可能にするために、継手部材940は、エア供給管930に対するシャフト3の相対回転を許容する回転継手941であることが好ましい。
【0068】
(第2の実施形態)
図9および
図10を参照して、第2の実施形態における回転電機100Bについて説明する。
図9は、第2の実施形態における回転電機100Bを模式的に示す概略斜視図である。なお、
図9において、回転電機100Bの内部構造を把握し易くするために、回転電機100Bの一部が切り欠かれている(換言すれば、回転電機100Bの一部の記載が省略されている。)。
図10は、シャフト3の一部分を模式的に示す概略断面図である。
【0069】
(構成・作用)
第2の実施形態では、洗浄液注入開口部3aが、シャフト3の軸端面31eではなく、シャフト3の軸端近傍の外周面34(より具体的には、シャフト3の外周面のうち、回転子鉄心2aおよび回転子コイル2bによって囲まれる部分よりも軸端面31eに近い部分)に形成されている点で、上述の第1の実施形態とは異なる。その他の点では、第2の実施形態は、第1の実施形態と同様である。
【0070】
図9に記載の例では、シャフト3の第1端部31に交流励磁機70が配置され、軸端面31eに洗浄液注入開口を設けることが困難である。そこで、
図9に記載の例では、シャフト3の軸端近傍の外周面34(より具体的には、シャフト3のうち回転子鉄心2aおよび回転子コイル2bによって囲まれていない部分の外周面)に洗浄液注入開口部3aが設けられている。シャフト3の軸端近傍の外周面34は、比較的、外部からのアクセスが容易な領域である。例えば、ハウジング4の開口部に配置された通風カバー76をハウジング4から取り外すことにより、当該開口部を介して、洗浄液注入開口部3aにアクセスすることができる。
【0071】
洗浄に際しては、シャフト3の軸端近傍の外周面34に設けられた洗浄液注入開口部3aに、洗浄液供給装置の洗浄液供給管が接続される。当該接続は、シャフト3の回転軸AXまわりの回転を許容する任意の回転継手を介して行われることが好ましい。
【0072】
(効果)
第2の実施形態では、洗浄液注入開口部3aが、シャフト3の軸端近傍の外周面34に形成されている。この場合、洗浄液注入開口部3aに洗浄液供給管を容易に接続することができる。
【0073】
なお、
図10に記載の例では、シャフト3の長手軸方向に沿って設けられた第1流路3bに交差する補助流路36の端が洗浄液注入開口部3aである。
図10に記載の例では、シャフト3の外周面34に2個の洗浄液注入開口部3aが形成されている。代替的に、シャフト3の外周面34に形成される洗浄液注入開口部3aの数は、1個、あるいは、3個以上であってもよい。
【0074】
(回転電機100の洗浄方法)
図1乃至
図11を参照して、実施形態における回転電機100の洗浄方法について説明する。
図11は、実施形態における回転電機100の洗浄方法の一例を示すフローチャートである。
【0075】
回転電機100の洗浄方法において、洗浄対象の回転電機100は、第1の実施形態における回転電機100Aであってもよいし、第2の実施形態における回転電機100Bであってもよいし、その他の回転電機であってもよい。回転電機100の各構成については、上述の実施形態において説明済みであるため、回転電機100の各構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0076】
第1ステップST1において、シャフト3の洗浄液注入開口部3aに、洗浄液供給装置800の洗浄液供給管830が接続される。第1ステップST1は、第1接続工程である。
【0077】
第1接続工程(第1ステップST1)では、シャフト3の軸端面31eに形成されている洗浄液注入開口部3a(例えば、
図8を参照。)か、あるいは、シャフト3の外周面34に形成されている洗浄液注入開口部3a(例えば、
図9を参照。)に洗浄液供給管830が接続される。なお、洗浄液注入開口部3aと洗浄液供給管830との間の接続は、回転継手841(例えば、
図8を参照。)を介して行われることが好ましい。
【0078】
第2ステップST2において、洗浄液供給管830からシャフト3に、洗浄液注入開口部3aを介して、洗浄液が供給される。第2ステップST2は、洗浄液供給工程である。
【0079】
洗浄液供給工程(第2ステップST2)は、ポンプ820を用いて、洗浄液容器810から洗浄液供給管830に洗浄液を供給することを含んでいてもよい(例えば、
図8を参照。)。代替的に、洗浄液供給工程(第2ステップST2)は、水道の蛇口から洗浄液供給管830に洗浄液を供給することを含んでいてもよい。この場合、洗浄液供給装置800は、水道を含み、洗浄液は水である。
【0080】
第3ステップST3において、洗浄液噴出口3cから洗浄液が噴出される。第3ステップST3は、洗浄液噴出工程である。
【0081】
洗浄液噴出工程(第3ステップST3)は、(1)少なくとも1つの洗浄液噴出口3cから、洗浄液を円錐状に噴出することを含んでいてもよく、(2)少なくとも1つの洗浄液噴出口3cから、洗浄液を扇状に噴出することを含んでいてもよく、(3)少なくとも1つの洗浄液噴出口3cから洗浄液を円錐状に噴出し、少なくとも他の1つの洗浄液噴出口3cから洗浄液を扇状に噴出することを含んでいてもよい。
【0082】
なお、洗浄液噴出工程(第3ステップST3)は、シャフト3を含む回転子2を回転軸AXまわりに回転させた状態で実行されることが好ましい。また、洗浄液噴出工程(第3ステップST3)は、シャフト3から固定子1に向かう方向(換言すれば、シャフト3の遠心方向)に洗浄液を噴出させることを含むことが好ましい。
【0083】
第4ステップST4において、排出口61(例えば、
図2を参照。)を介して、ハウジング4の内部の洗浄液および塵埃が、ハウジング4外に排出される。第4ステップST4は、排出工程である。
【0084】
排出工程(第4ステップST4)は、閉鎖部材63を排出口61から取り外すことを含んでいてもよい。なお、閉鎖部材63を排出口61から取り外すことは、第2ステップST2の実行前に行われてもよい。
【0085】
第5ステップST5において、シャフト3の洗浄液注入開口部3aから、洗浄液供給管830が取り外される。第5ステップST5は、第1取外工程である。
【0086】
第6ステップST6において、シャフト3の洗浄液注入開口部3aに、エア供給装置900のエア供給管930が接続される。第6ステップST6は、第2接続工程である。
【0087】
第2接続工程(第6ステップST6)では、シャフト3の軸端面31eに形成されている洗浄液注入開口部3a(例えば、
図8を参照。)か、あるいは、シャフト3の外周面34に形成されている洗浄液注入開口部3a(例えば、
図9を参照。)にエア供給管930が接続される。なお、洗浄液注入開口部3aとエア供給管930との間の接続は、回転継手941(例えば、
図8を参照。)を介して行われることが好ましい。
【0088】
第7ステップST7において、エア供給管930からシャフト3に、洗浄液注入開口部3aを介して、エアが供給される。第7ステップST7は、エア供給工程である。
【0089】
エア供給工程(第7ステップST7)は、コンプレッサ920を用いて、エア供給管930にエアを供給することを含んでいてもよい(例えば、
図8を参照。)。
【0090】
第8ステップST8において、洗浄液噴出口3cからエアが噴射される。第8ステップST8は、エア噴射工程である。エア噴射工程(第8ステップST8)は、シャフト3を含む回転子2を回転軸AXまわりに回転させた状態で実行されることが好ましい。
【0091】
第9ステップST9において、シャフト3の洗浄液注入開口部3aから、エア供給管930が取り外される。第9ステップST9は、第2取外工程である。
【0092】
第10ステップST10において、排出口61が閉鎖部材63によって閉鎖される。第10ステップST10は、排出口閉鎖工程である。
【0093】
(効果)
実施形態における回転電機100の洗浄方法では、固定子1から回転子2を引き抜く作業を実施することなく、ハウジング4の内部に配置された固定子1および/または回転子2を簡易洗浄することができる。また、汚れが少ない時に回転電機100を簡易洗浄することにより、回転電機100の冷却効果を持続させることができ、回転電機100の絶縁物の温度上昇が抑制される。その結果、回転電機100の製品寿命を長くすることが可能となる。
【0094】
本発明は上記各実施形態または各変形例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態又は各変形例は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態又は各変形例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態又は他の変形例にも適用可能である。さらに、各実施形態又は各変形例における任意付加的な構成は、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0095】
1…固定子、1a…固定子鉄心、1b…固定子コイル、2…回転子、2a…回転子鉄心、2b…回転子コイル、2d…制動巻線、3…シャフト、3a…洗浄液注入開口部、3b…第1流路、3c…洗浄液噴出口、3c-1…第1噴出口、3c-2…第2噴出口、3c-3…第3噴出口、3c-4…第4噴出口、4…ハウジング、5、5a、5b…ノズル、5n…先端部内面、11…第1端部、12…第2端部、13…中間部分、21…第1端部、22…第2端部、23…中間部分、25…突極部、25-1…第1突極部、25-2…第2突極部、25-3…第3突極部、25-4…第4突極部、30…流路、30-1…第1分岐流路、30-2…第2分岐流路、30-3…第3分岐流路、30-4…第4分岐流路、31…第1端部、31e…軸端面、32…第2端部、34…外周面、35-1…第1角部、35-2…第2角部、35-3…第3角部、35-4…第4角部、36…補助流路、38…第1接続部、41…第1端壁、42…第2端壁、43…側壁、44…頂部、45…底部、46…下部、47…傾斜面、48…第2傾斜面、50、50a、50b…ノズル部品、51…雄ねじ部、55…溝、61…排出口、61f…雌ねじ部、63…閉鎖部材、63m…雄ねじ部、70…交流励磁機、71…励磁機界磁巻線、72…励磁機電機子巻線、76…通風カバー、78…容器、91…固定子、91b…固定子コイル、92…回転子、92b…回転子コイル、94…ハウジング、100、100A、100B…回転電機、800…洗浄液供給装置、810…洗浄液容器、820…ポンプ、830…洗浄液供給管、840…継手部材、841…回転継手、900…エア供給装置、920…コンプレッサ、930…エア供給管、940…継手部材、941…回転継手
【手続補正書】
【提出日】2022-07-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子鉄心と固定子コイルとを有する固定子と、
前記固定子の内側に配置され、シャフトと、回転子鉄心と、回転子コイルとを有する回転子と、
前記固定子と、前記回転子とを収容するハウジングと、
前記シャフト内に、前記シャフトの長手軸方向に沿って設けられた第1流路と、
前記シャフトに設けられた洗浄液注入開口部と、
洗浄液噴出口と、
を具備し、
前記洗浄液噴出口と前記洗浄液注入開口部とは、前記第1流路を含む流路を介して連通し、
前記洗浄液噴出口は、前記回転子鉄心の近傍に設けられ、
前記洗浄液注入開口部に洗浄液供給管が接続されることにより、前記シャフトに、洗浄液が供給されて前記洗浄液噴出口から洗浄液が噴出され、前記洗浄液注入開口部にエア供給管が接続されることにより、前記シャフトにエアが供給されて前記洗浄液噴出口からエアが噴射され、洗浄液が付着した前記固定子および前記回転子が乾燥されるように構成される
回転電機。
【請求項2】
前記回転子は、第1突極部と、第2突極部とを含む複数の突極部を有し、
前記洗浄液噴出口のうちの少なくとも1つは、前記第1突極部と前記第2突極部との間に配置されている
請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記洗浄液噴出口は、洗浄液を円錐状に噴出するノズルの先端部に設けられている
請求項1または2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記洗浄液噴出口は、洗浄液を扇状に噴出するノズルの先端部に設けられている
請求項1または2に記載の回転電機。
【請求項5】
前記洗浄液噴出口は、少なくとも第1噴出口および第2噴出口を含み、
前記第1噴出口は、洗浄液を円錐状に噴出する第1ノズルの先端部に設けられ、
前記第2噴出口は、洗浄液を扇状に噴出する第2ノズルの先端部に設けられている
請求項1または2に記載の回転電機。
【請求項6】
前記洗浄液注入開口部は、前記シャフトの軸端面に形成されているか、あるいは、前記シャフトの軸端近傍の外周面に形成されている
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項7】
前記ハウジングの下部に、前記ハウジングの内部の洗浄液および塵埃を外部に排出する排出口が設けられている
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の回転電機の洗浄方法であって、
前記シャフトの前記洗浄液注入開口部に、洗浄液供給装置の前記洗浄液供給管を接続する第1接続工程と、
前記洗浄液供給管から前記シャフトに、前記洗浄液注入開口部を介して、洗浄液を供給する洗浄液供給工程と、
前記シャフトを含む前記回転子を回転軸まわりに回転させた状態で、前記洗浄液噴出口から洗浄液を噴出させる洗浄液噴出工程と、
前記洗浄液注入開口部から、前記洗浄液供給管を取り外す工程と、
前記シャフトの前記洗浄液注入開口部に、エア供給装置の前記エア供給管を接続する第2接続工程と、
前記洗浄液供給管から前記シャフトに、前記洗浄液注入開口部を介して、エアを供給するエア供給工程と、
前記洗浄液噴出口からエアを噴射させるエア噴射工程と
を具備する
回転電機の洗浄方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態における回転電機は、固定子鉄心と固定子コイルとを有する固定子と、前記固定子の内側に配置され、シャフトと、回転子鉄心と、回転子コイルとを有する回転子と、前記固定子と、前記回転子とを収容するハウジングと、前記シャフト内に、前記シャフトの長手軸方向に沿って設けられた第1流路と、前記シャフトに設けられた洗浄液注入開口部と、洗浄液噴出口と、を具備し、前記洗浄液噴出口と前記洗浄液注入開口部とは、前記第1流路を含む流路を介して連通し、前記洗浄液噴出口は、前記回転子鉄心の近傍に設けられ、前記洗浄液注入開口部に洗浄液供給管が接続されることにより、前記シャフトに、洗浄液が供給されて前記洗浄液噴出口から洗浄液が噴出され、前記洗浄液注入開口部にエア供給管が接続されることにより、前記シャフトにエアが供給されて前記洗浄液噴出口からエアが噴射され、洗浄液が付着した前記固定子および前記回転子が乾燥されるように構成されていることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
また、本発明の実施形態における回転電機の洗浄方法は、前記シャフトの前記洗浄液注入開口部に、洗浄液供給装置の前記洗浄液供給管を接続する第1接続工程と、前記洗浄液供給管から前記シャフトに、前記洗浄液注入開口部を介して、洗浄液を供給する洗浄液供給工程と、前記シャフトを含む前記回転子を回転軸まわりに回転させた状態で、前記洗浄液噴出口から洗浄液を噴出させる洗浄液噴出工程と、前記洗浄液注入開口部から、前記洗浄液供給管を取り外す工程と、前記シャフトの前記洗浄液注入開口部に、エア供給装置の前記エア供給管を接続する第2接続工程と、前記洗浄液供給管から前記シャフトに、前記洗浄液注入開口部を介して、エアを供給するエア供給工程と、前記洗浄液噴出口からエアを噴射させるエア噴射工程と、を具備することを特徴とする。