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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022162646
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】長尺照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/04 20060101AFI20221018BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20221018BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20221018BHJP
【FI】
F21S8/04 110
F21S8/04 130
F21V17/00 154
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067545
(22)【出願日】2021-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000111166
【氏名又は名称】DNライティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】中村 康仁
(72)【発明者】
【氏名】霜田 俊文
【テーマコード(参考)】
3K011
【Fターム(参考)】
3K011AA01
3K011AA03
3K011GA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】長尺照明器具において金属部と樹脂部の熱膨張係数の相違による不具合の発生を簡単で堅固な構造で防止する
【解決手段】金属製長尺支持基台25a、25bに、照明器具支持体21の上部空間を覆い、支持基台上25a、25bに長さ方向に列設された照明光発光素子からの照明光を拡散させる樹脂製の長尺半筒形光拡散カバー23と、光拡散カバー23の両端を閉じる端部部材22,22とが、支持基台25a、25bに対して長さ方向に摺動自在に組み合わされる。光拡散カバー23および端部部材22と支持基台25a、25bとの熱膨張係数の相違により、光拡散カバー23と端部部材22が温度変化に応じて支持基台25a、25bに対して移動するのを、端部部材22,22と一体的に設けられたフック26,26が支持基台25bとの間に設けた遊び28,29で吸収して、膨張係数の差に起因する長さのずれを吸収する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の長尺の支持基台と、
該支持基台に支持された樹脂成形構造体であって、該支持基台の上部空間を覆い該支持基台上に長さ方向に列設された発光素子から射出された照明光を拡散させる長尺の半筒形光拡散カバーと該カバーの両端を閉じる端部部材とを備えた照明器具本体とからなる長尺照明器具において、
前記照明器具本体が、前記支持基台に対して、長さ方向に摺動可能に組み合わされ、該照明器具本体の熱膨張係数と前記支持基台の熱膨張係数との相違に起因する長さのずれを吸収する遊び用隙間を、前記支持基台と前記照明器具本体の端部部材との間に設けてなる照明器具。
【請求項2】
前記支持基台に少なくとも一つの係合部が設けられ、前記樹脂成形構造体の端部部材に、該係合部に長さ方向に前記長さのずれと略等しい遊びを持って係合される少なくとも一つ係合部材が設けられてなる請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記係合部が前記支持基台の長さ方向両端縁と該両端縁から内側に離れた位置に設けられた孔部との間に形成された橋梁部であり、前記係合部材が前記支持基台の下において該橋梁部を前記長さ方向に前記長さのずれと略等しい遊びを持って挟むように上向きに設けられた断面略U字型のフック部材である請求項2記載の照明器具。
【請求項4】
前記係合部が前記支持基台の長さ方向両端縁から内側に離れた位置に設けられた孔部であり、前記係合部材が前記支持基台の下において該孔部に前記長さ方向に前記長さのずれと略等しい遊びを持って臨むように嵌入した上向きに設けられた突出部材である請求項2記載の照明器具。
【請求項5】
さらに前記端部部材の下方に位置する非光透過性の部材が前記支持基台に固定して設けられ、該非光透過性の部材と前記樹脂成形構造体との間に前記長さのずれと略等しい遊びを設けてなる請求項2記載の照明器具。
【請求項6】
前記非光透過性の部材が、前記遊び用隙間を外から見えないように目隠しをする覆い部材を兼ねている請求項5記載の照明器具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井等の被取付部に取り付けて使用される長尺の照明器具、特に金属製の器具支持体と樹脂製の光拡散カバーを備えた長尺照明器具の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、天井等の被取付部に取り付けて使用される長尺の照明器具として、多数のLED発光素子を直線状に配設して用いた長尺の照明器具が知られている。そのような照明器具は、例えば長尺の筐体内に長尺の照明体を収容し、この照明体を透光性のカバー、例えば光拡散性を有する透光性の乳白色の合成樹脂製カバーで覆って構成されている。また、照明体としては、例えば長尺の印刷配線基板上に所定間隔をおいて列状に複数のLED発光素子等の光源を配設したものが用いられる。
【0003】
このような長尺照明器具は、金属製の支持基台と樹脂製の光拡散性透光カバーを備えており、点灯時は自己発熱により照明器具基台と樹脂カバーが熱により膨張し、金属と樹脂の膨張係数の相違によって下記のような不具合が生じるので、両部材の膨張係数の違いを考慮した対策が求められている。
【0004】
すなわち、図1(a)に示すように、照明器具支持体11の両端に端部部材12,12を備え、両端部部材12,12の間に透光カバー13が設けられた構造の器具の場合には、点灯時に樹脂製の透光カバー13が金属製の支持体11に比して大きく膨張したときに端部部材12,12とカバー13の端面の当接面に過剰な圧力がかかって不具合が生じないよう、非点灯時に両部材の間に膨張係数の違い(数mm)を考慮した隙間14を設けることが行われている。その照明器具の内部構造を概略的に示す図1(b)に、金属製の照明器具本体の基台15と樹脂製の光拡散性透光カバー13の関係を示す。金属製の器具本体の要部をなす基台15は、その中央部15aと両端部15b、15bが一体となった1枚の金属製の板部材であって、その下に、端部部材12,12と一体となったフック16,16が、基台15の中央部15aと両端部15b、15bと間の開口に下から上に延びて係合し、基台15の両端部15b、15bを挟むようにして係合している。照明器具が点灯して透光カバー13が熱せられると、図1(c)に示すように透光カバー13は膨張して長くなり、その両端が端部部材12,12に当接して前記隙間14が見えなくなる。このようにして端部部材12,12とカバー13の端面の当接面に不具合が生じないようにしているが、非点灯時に隙間14が見えるので外観上のみならず、埃が入るという点からも好ましくない。
【0005】
従来、意匠の観点からこの隙間を無くしたいという要望があり、隙間を無くす簡易的な手法として、端部部材にLED照明器具使用時の透光カバーの膨張差分の可動域を設け、端部部材と樹脂製の透光カバーとの隙間を無くし、さらに端部部材と透光カバーが嵌合する箇所を設けることにより簡易的な固定をして外殻の隙間を無くすようにするものが知られている。(特許文献1)
【0006】
その他の従来方法としては、樹脂製の透光カバーと端部部材を接着、溶着などにより完全に固定し、透光カバーと金属製の支持基台を別の方法で固定する方法もあるが、加工の工程が増え、構成部品が増えるため、より複雑になるという難点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-21441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の照明器具においては、金属製の器具本体にネジで固定された端部部材にLED照明器具使用時の熱膨張差分の可動域を設け、端部部材と透光カバーとが長さ方向に膨張代を吸収するように摺動可能に組み合わされ、さらに端部部材と透光カバーが嵌合する箇所を設けることで簡易的な固定がなされ、外殻の隙間を無くすことができるようにしているが、樹脂製の端部部材と樹脂製の透光カバーが別部材で可動域をもって組み込まれているため、構造が複雑になるとともに、照明器具全体の剛性に難がある。
【0009】
また、樹脂製透光カバーと端部部材を完全に固定させ、透光カバーと器具本体金属部を別の方法で固定する方法では、加工の工程が増えて構成部品が増えるため、より複雑になるという難点がある。
【0010】
本発明の目的は、上記事情に鑑み、簡単で堅固な構造で金属部と樹脂部との熱膨張係数の相違による不具合の発生を防止することのできる長尺照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による長尺照明器具は、上記課題を解決するため、金属製の長尺の支持基台とこの支持基台に支持された樹脂成形構造体であって、支持基台の上部空間を覆い支持基台上に長さ方向に列設された発光素子から射出された照明光を拡散させる長尺の半筒形光拡散カバーと、この光拡散カバーの両端を閉じる端部部材とを備えた照明器具本体とからなる照明器具において、支持基台に対して照明器具本体が、長さ方向に摺動可能に組み合わされ、照明器具本体の熱膨張係数と支持基台の熱膨張係数との相違に起因する長さのずれを吸収する遊び用隙間を、前記支持基台と前記端部部材との間に設けて照明器具本体の摺動を可能にし、光拡散カバーと端部部材との間に温度変化により間隙が発生するのを防止するようにしたことを特徴とするものである。
【0012】
前記支持基台に対して照明器具本体を長さ方向に摺動可能に組み合わせる構造としてはいかなる周知の構造も採用可能であり、例えば支持基台の長さ方向側縁部に光拡散カバー(以下単にカバーという)の側面の下端縁を摺動自在にレールのように組み合わせた構造としてもよい。
【0013】
そのように支持基台に対して摺動可能に設けられた照明器具本体を熱膨張係数の相違によって支持基台に対して長さ方向に移動する範囲を制限しつつ保持するための構造、すなわち金属製の支持基台と樹脂製の構造体である照明器具本体との膨張時の長さのずれを吸収する隙間を設ける熱膨張吸収機構としては、支持基台に長さ方向に離れた少なくとも一つの係合部を設け、樹脂成形構造体にこの係合部に膨張係数の違いによる長さのずれの大きさと略等しい遊びを持って係合される少なくとも1つ(好ましくは一対)の係合部材を設けて、その遊びで長さのずれを吸収するものとすることができる。ここで略等しいというのは、その膨張係数の差に対応する長さのずれと同じかそれ以上で、その対応する長さ以下は含まない。
【0014】
また、前記係合部が支持基台の長さ方向両端縁と両端縁から内側に離れた位置に設けられた開口部との間に形成された橋梁部であり、前記係合部材が支持基台の下においてこの橋梁部を長さ方向に遊びを持って挟むように上向きに設けられた一対の断面略U字型のフック部材であり、遊びが前記長さのずれの大きさと略等しいものとすることもできる。
【0015】
あるいは、前記係合部が支持基台の長さ方向両端縁から内側に離れた位置に設けられた開口部であり、前記係合部材が支持基台の下においてその開口部に長さ方向に遊びを持って臨むように嵌入した上向きに設けられた突出部材であり、その遊びが前記長さのずれの大きさと略等しいものとしてもよい。
【0016】
これらの遊び、すなわち膨張時における長さのずれを吸収する隙間は、カバーと一体とされた端部部材と支持基台の嵌合部に設けられるのが好ましい。
さらに、意匠性改善のため、端部部材の下面に非光透過性の部材を追加することができる。その場合、この非光透過性の部材は金属製の支持基台側に固定して、上記膨張差分の長さのずれを端部部材との間に上記隙間を設けて熱膨張吸収機構とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、長尺照明器具において、金属製の支持基台と樹脂製の照明器具本体とが摺動可能に組み合わされ、両者の間に熱膨張係数の相違による長さのずれを吸収する隙間を設けたので、熱膨張時に照明器具本体の光拡散カバーと端部部材の間に間隙が生ずることを防止でき、簡単で堅固な構造で金属部と樹脂部との熱膨張係数の相違による不具合の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】従来の照明装置を示す概略図で、(a)は非点灯時の側面図、(b)はその断面図、(c)は膨張時の断面図
図2】本発明の一実施形態による照明装置を示す概略図で、(a)は非点灯時の側面図、(b)はその断面図、(c)は点灯した膨張時の断面図、(d)は本発明の他の実施形態による照明装置を示す概略図で、その非点灯時の断面図、(e)はその膨張時の断面図
図3】本発明の一実施形態を示す斜視図
図4図3の実施形態を分解して示す分解斜視図
図5】同実施形態の図4の光拡散カバーの一部をカットし、片方の端部部材の内側を示す拡大斜視図
図6】同実施形態の端部部材を示すもので、(a)はその内側から見た図、(b)はその一部拡大図、
図7】同実施形態の非点灯時を示すもので、(a)はその側面図、(b)はその長さ方向に沿った中央縦断面図、(c)はその上から見た横断面図
図8】同実施形態の点灯した膨張時を示すもので、(a)はその側面図、(b)はその縦断面図、(c)はその上から見た横断面図
図9】同実施形態の端部部材の下部とその下方の非光透過性部材の詳細を拡大して示す一部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明による長尺照明器具の実施形態について、図面を参照して説明する。
図2に本発明の実施形態の概略を示す。本発明の長尺照明器具は、図2の(a)に示すように、照明器具の全体を支持する金属製の支持基台を含む照明器具支持体21の上に支持基台の上部空間を覆い支持基台上に長さ方向に列設された発光素子から射出された照明光を拡散させる長尺の半筒形光拡散カバー23と、この光拡散カバー23の両端を閉じる端部部材22,22とを備えたもので、透光カバー23と端部部材22,22とは隙間のない結合面24で結合されている。照明器具が点灯しない常温時には、図2の(b)に示すように、基台中央部25aと基台両端部25b、25bを有する支持基台の上に、図2中左右方向である長さ方向に摺動自在に載置された透光カバー23の両端に結合された端部部材22,22の下に、支持基台の下に長さ方向に延び、照明器具本体22+23の熱膨張係数と支持基台21の熱膨張係数との相違に起因する長さのずれを吸収する遊び用隙間28,28をおいて基台両端部25b、25bを下から長さ方向に挟む一対のフック26,26が、それぞれ基台両端部25b、25bの長さ方向内方に隙間28をもって対峙している。照明器具が点灯して加熱されると、図2の(c)に示すように、照明器具本体22+23の熱膨張係数と支持基台21の熱膨張係数との相違に起因して照明器具本体22+23が支持基台より大きく長さ方向に延びるので、その長さ方向に余計に延びた分だけフック26,26が長さ方向外方に移動して、前記隙間がその長さのずれを吸収して、前記遊び用隙間28、28が無くなり、その分だけ基台両端部25b、25bの長さ方向外側に隙間29,29ができる。
【0020】
これらの隙間28,28,29,29は、いずれも照明器具支持体21の中の支持基台の下方にあるので、支持基台に固定あるいは結合された覆い部材(後述)によって外から見えないようにすることができる。
【0021】
上記図2の(a)、(b)、(c)は、基台両端部25b、25bを一対の断面略U字型のフック26,26が下から長さ方向に遊び28,28,29,29をもって挟む実施形態を示すものであるが、同様の作用をする他の構成として、図2の(d)、(e)に示すように、基台中央部55aと基台両端部55b、55bの間の開口部に下から長さ方向に遊び58,58,59,59をもって端部部材22,22と結合された突出部材56、56が嵌入するように上向きに設けてもよい。その遊びは前記長さのずれの大きさと略等しいものとしてもよい。
【0022】
以下、図3から図9を参照して図2の実施形態の具体的構造を詳細に説明する。図3は、その外観を示す斜視図で、支持基台35の上に上面33aと側面33bを有する断面コの字型の透光カバー33が、その長さ方向両端に結合された一対の端部部材32と一体となって支持基台35に長さ方向に僅か(前記熱膨張係数の相違による膨張長さのずれに対応する長さ。例えば2~3mm)の距離だけ摺動可能に組み合わされている。
【0023】
図4に、図3の照明器具を分解して示す。支持基台35は、側縁に透光カバー33を長さ方向に摺動可能に支持する(透光カバー33の側面33bの下端に形成されたカバー摺動部33d、33dが摺動可能に係合する)レール部35c、35cを有し、中央部35aと橋梁部を形成する両端部35b、35bとの間に一対の開口部35d、35dが設けられている。透光カバー33の両端に接続される一対の端部部材32,32は、その下部が結合部37を介してフック部材36,36に一体的に結合されている。フック部材36,36は、橋梁部35b、35bを長さ方向前後に遊びをもって挟むフック部36,36とフック部と対向して立ち上がった立上部36a、36aとで長さ方向断面が略U字型のフック部材を構成している。(図7図8図9参照)
【0024】
支持基台35の下に、端部部材32,32の下部に一体的に結合された非光透過性の部材31,31が設けられている。非透過部材31,31は、フック部36,36を下から覆う下カバー31bと側方から覆う側面カバー31cと長さ方向外側から覆う端面カバー31dを備え、3方から目隠しとして覆うとともに、支持基台35、35の一対の開口部35d、35dのそれぞれの側縁に下から嵌入して不動状態で結合する一つの開口部35d毎に一対の係止部31a、31aを備えている。これは照明器具全体の意匠的品質を向上させるために設けられた化粧部材で、この非透過部材31,31は支持基台35に固設されるため、照明器具が点灯された熱膨張時には、透光カバー33の熱膨張により端部部材32,32を含む樹脂構造体23+32の膨張長さが支持基台35のそれより長く膨張したときに端部部材32,32との間に熱膨張係数の相違により生じた長さの相違による長さのズレに対応する隙間(図9の40、41,42)ができる。
【0025】
次に、図5図6を参照して、透光カバー33と端部部材32、32との結合状態を説明する。透光カバー33の側面33b、33bの下端には、その長さ全体に亘ってカバー内方に向かって突出した突起部33c、33cがカバー摺動部33d、33dと平行に設けられており、この突起部33c、33cの末端と透光カバー33の末端が、端部部材32の内側に四角く突出した枠部32aの外側に嵌着され、枠部の下部とその下に枠部32aと並行に内側に突出した副枠部32b、32bとの間に形成された隙間である端部部材係合部32c、32cに突起部33cが嵌入して係合されている。その係合部32c、32cには枠部32aの下面に隆起して奥に行くほど高くなる斜面32d、32d(図6b)が形成され、この枠部32a下面の斜面32d、32dと副枠部32b、32bの上面との間に透光カバー33の突起部33c、33cの末端を圧入することにより透光カバー33を端部部材32に固定し、結合させている。
【0026】
このように構成された照明器具において上記熱膨張係数の相違によって生じる長さのずれを吸収する熱膨張吸収機構の構成と作用を、図7から図9を参照して、以下詳細に説明する。図7は、非点灯時、すなわち金属部と樹脂部との熱膨張に大差がない常温時における上記実施形態による照明器具の状態を示すもので、(a)は側面図、(b)は長さ方向に沿った中央縦断面図、(c)は透光カバーを水平面で切った支持基台を上から見下ろす横断面図である。この状態では、金属製の支持基台35a、35bと樹脂製の透光カバー33および端部部材32,32とは熱膨張による膨張長さに差がないので、図7(b)に示すように支持基台の橋梁部(係合部)35b、35bに係合するフック部材の立上部36a、36aが橋梁部35b、35bに外側から内側に向かって当接し、橋梁部35b、35bとフック36,36との間に非点灯時の遊びによる隙間38、38ができる。このとき図7(a)、(b)に示すように端部部材32,32の端面と非透過部材31,31の端面とは面一になっている。
【0027】
図8は、点灯時、すなわち金属部と樹脂部との熱膨張に差が出た状態における上記実施形態による照明器具の状態を示すもので、(a)は側面図、(b)は長さ方向に沿った中央縦断面図、(c)は透光カバーを水平面で切った支持基台を上から見下ろす横断面図である。この状態では、金属製の支持基台35a、35bと樹脂製の透光カバー33および端部部材32,32とは熱膨張による膨張長さに差があるので、図8(b)に示すように支持基台の橋梁部(係合部)35b、35bに係合するフック36、36が橋梁部35b、35bに内側から外側に向かって当接し、橋梁部35b、35bとフック部材の立上部36a、36aとの間に点灯時の遊びによる隙間39,39ができる。このとき図8(a)、(b)に示すように端部部材32,32の端面は非透過部材31,31の端面より膨張差の分だけ外側にはみ出している。
【0028】
図9は、本発明の照明器具の上記実施形態の端部下方の一部拡大従断面図で、橋梁部35bとフック部材36との位置関係を拡大して示すである。図9によく示すように、支持基台の橋梁部35bとフック部材36との間には、長さ方向前後に、照明器具本体の熱膨張係数と前記支持基台の熱膨張係数との相違に起因する長さのずれを吸収する遊び用隙間38‘、39’が設けられ、両隙間38‘、39’は、上述のように照明器具本体がより大きく膨張するに従って、フック部材36が図中左に移動し、フック36側の隙間38‘が小さく、立上部36a側の隙間39’が大きくなり、端部部材32の下部と非透過部材31の端面カバー31dとの間の隙間40、41、42が小さくなる。図9は、その隙間38’、39’が非点灯時の状態(図7)から点灯時の状態(図8)へと変化する途中の状態を示しており、端部部材32の端面が非透過部材31の端面カバー31dの端面より外側へずれ始めているところを示している。
【0029】
このように、照明器具の点灯により温度が上昇して樹脂部が金属部よりも大きく熱膨張したとき、樹脂側の構造体に固定されたフック部36,36が金属の係合部35bに対して遊びをもって係合されているため、透光カバー33は端部部材32とともに長さ方向に伸びて不具合が生じることはない。また、消灯により温度が下がって透光カバー33が短くなったとき、透光カバー32は端部部材32に固定され、樹脂側の構造体に固定されたフック部36,36が金属の係合部35bに対して遊びをもって係合されているため、透光カバー33と端部部材32はともに収縮して短くなるので、透光カバー33と端部部材32の間に照明器具の外観を損ねる隙間ができることはない。
【0030】
以上、本発明の照明器具の一実施形態について設明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された通りの技術的思想にあり、実施形態に制限されるものでないことは言うまでもない。例えば、支持基台に対して照明器具本体を長さ方向に摺動可能に組み合わせる構造としては、上記実施形態のようにレールに長さ方向に延びた突起を摺動可能に組み合せたものでなく、例えば支持基台にレール状部分を形成し、透光カバーの下端にそのレール状部分の上を滑る滑動部または転がる転動部を設けたものとしてもよい(その意味では本発明では「摺動」は滑動、転動を含む広義のものである。)また、上記実施形態では、熱膨張吸収機構として機械的「隙間」を長さのずれを吸収する遊びとしているが、この「隙間」は必ずしも空間としての隙間に限定的に解釈すべきものではなく、例えば機械的空間をスポンジのような柔らかい弾性を持った材料で充填してもよい。あるいは、上記実施形態で使用される断面略U字状のフック部材は、剛性の高い材料(例えば硬質樹脂)で構成され、変形しない金属製支持基台の橋梁部(係合部)との間に隙間(遊び)をおいて対峙しているが、必ずしも空間をもった隙間でなくでもよく、要するに係合部と若干に遊びをもって組み合わされていればよいので、例えば多少の弾力を持って隙間なく係合する態様としてもよい。具体的には、フック部材をゴム製あるいはエラストマー製とし、機械的隙間なく支持基台に係合させてもよい。その場合、請求項で規定する「遊び用隙間」は、ゴムやエラストマーの変形可能の部分を遊びと見做して、遊び用隙間の範疇に含むものとする。
【符号の説明】
【0031】
11 照明器具支持体
12 端部部材
13 光拡散カバー、透光カバー
12+13 照明器具本体
14 膨張係数の違いを考慮した隙間
15 基台、支持基台
15a 基台中央部
15b 基台両端部、係合部
16 フック
21 照明器具支持体
22 端部部材
23 透光カバー
24 透光カバーと端部部材の隙間のない結合面
25a 基台中央部
25b 基台両端部、係合部
26 フック、係合部材
31 非透過部材、非光透過性の部材
31a 支持基台への係止部
31b 非透過部材の下カバー
31c 非透過部材の側面カバー
31d 非透過部材の端面カバー
32 端部部材
32a 端部部材枠部
32b 端部部材副枠部
32c 端部部材嵌合部
33 透光カバー
33a 透光カバー上面
33b 透光カバー側面
33c カバー突起部
33d カバー摺動部
35 支持基台
35a 基台中央部
35b 係合部、橋梁部
35c カバー摺動レール部
35d 開口部
36 フック、フック部材
36a フック部材の立上部
37 端部部材連結部
38 非点灯時の遊びによる隙間
38’ 非点灯時側の遊びによる隙間
39 点灯時の遊びによる隙間
39’ 点灯時側の遊びによる隙間
40 端部部材と非透過部材との隙間
41 端部部材と非透過部材との隙間
42 端部部材と非透過部材との隙間
55a 基台中央部
55b 基台両端部、係合部
56 突出部材、係合部材
58 非点灯時の遊びによる隙間
59 点灯時の遊びによる隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9