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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022164220
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】日射遮蔽部材
(51)【国際特許分類】
   E04F 10/08 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
E04F10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021069565
(22)【出願日】2021-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000152424
【氏名又は名称】株式会社日建設計
(71)【出願人】
【識別番号】709002141
【氏名又は名称】瀬尾製作所株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197147
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 雅美
(74)【代理人】
【識別番号】100110320
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 知子
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(72)【発明者】
【氏名】山梨 知彦
(72)【発明者】
【氏名】寺島 和義
(72)【発明者】
【氏名】庭本 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】村上 博昭
(72)【発明者】
【氏名】舘 景士郎
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 良輔
【テーマコード(参考)】
2E105
【Fターム(参考)】
2E105DD03
2E105DD08
2E105DD14
2E105FF24
2E105FF26
2E105GG01
2E105GG13
(57)【要約】
【課題】
様々な外壁の形状に対応して配置可能であり、効率良く日光を遮蔽し、美感にも優れた日射遮蔽部材を提供すること。
【解決手段】
建物の外面に沿って配置される日射遮蔽部材において、複数のカップ状部材1を線状部材(W1,W2)により連結して配置することを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外面に沿って配置される日射遮蔽部材において、
複数のカップ状部材を線状部材により連結して配置することを特徴とする日射遮蔽部材。
【請求項2】
請求項1に記載する日射遮蔽部材において、該線状部材を並列して配置し、該カップ状部材を面状に配置することを特徴とする日射遮蔽部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の日射遮蔽部材において、該線状部材を回転又は該線状部材の一部を移動させることにより、該カップ状部材の角度を変化させることを特徴とする日射遮蔽部材。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の日射遮蔽部材において、該カップ状部材の底面又は側面の少なくとも一部に開口部が形成されていることを特徴とする日射遮蔽部材。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の日射遮蔽部材において、該カップ状部材は、金属板をヘラ絞り又はプレス絞りで形成することを特徴とする日射遮蔽部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日射遮蔽部材に関し、特に、建物の外面に沿って配置される日射遮蔽部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建物の外壁や窓に照射する光を遮蔽又は減衰させ、建物の外壁が熱くなるのを防止し、また、窓から入射する日光を弱め、さらには、建物の美観を向上させるため種々の日射遮蔽部材が提案されている。また、これらの日射遮蔽部材は、外部からの視線を遮る目隠しの機能も備えている。具体的には、遮光ルーバーや板状の格子などの構造体を外壁に沿って配置したり、最近ではグリーンカーテンのように植物の葉を用いる例もある。
【0003】
従来の日射遮蔽部材は、比較的フラットな外壁に沿って配置されることが多く、例えば、曲面が多用された外壁を備えた建物には、適切な日射遮蔽部材が提案されていなかった。また、窓の位置に対応して配置される日射遮蔽部材においては、遮蔽量が調整可能なものは、遮光ルーバーのように構造が大掛かりであり、一般的に普及していないのが実情である。
【0004】
さらに、建物を外壁に沿って日射遮蔽部材を配置した場合には、直線的な構造物が多く、建物のイメージも殺風景なものとなり易いことも、普及が進まない原因であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、上述したような問題を解決し、様々な外壁の形状に対応して配置可能であり、効率良く日光を遮蔽し、また、目隠し機能も備え、美感にも優れた日射遮蔽部材を提供することである。さらに、窓等に対応して遮蔽量を調整可能にすることも可能な日射遮蔽部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の日射遮蔽部材は、以下のような技術的特徴を有する。
(1) 建物の外面に沿って配置される日射遮蔽部材において、複数のカップ状部材を線状部材により連結して配置することを特徴とする。
【0007】
(2) 上記(1)に記載する日射遮蔽部材において、該線状部材を並列して配置し、該カップ状部材を面状に配置することを特徴とする。
【0008】
(3) 上記(1)又は(2)に記載の日射遮蔽部材において、該線状部材を回転又は該線状部材の一部を移動させることにより、該カップ状部材の角度を変化させることを特徴とする。
【0009】
(4) 上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の日射遮蔽部材において、該カップ状部材の底面又は側面の少なくとも一部に開口部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
(5) 上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の日射遮蔽部材において、該カップ状部材は、金属板をヘラ絞り又はプレス絞りで形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、建物の外面に沿って配置される日射遮蔽部材において、複数のカップ状部材を線状部材により連結して配置するため、様々な外壁の形状に対応して配置可能であり、効率良く日光を遮蔽し、美感にも優れた日射遮蔽部材を提供することが可能となる。
【0012】
また、カップ状部材を接続する線状部材を回転又はその一部を移動させることにより、該カップ状部材の角度を変化させ、例えば、窓等に対応して遮光量を調整可能にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の日射遮蔽部材に使用するカップ状部材の一例を示す斜視図である。
図2】本発明の日射遮蔽部材の一例を示す斜視図である。
図3図2の日射遮蔽部材を説明する正面図である。
図4図3の応用例を示す図である。
図5】本発明の日射遮蔽部材を建物のベランダに配置した様子を示す図である。
図6】本発明の日射遮蔽部材に使用される線状部材の張力調整や配置固定を説明する図である。
図7図6の線状部材の固定に使用される器具を説明する図である。
図8】本発明の日射遮蔽部材において、カップ状部材の角度を変化させる構造を説明する図である。
図9図8の実施例に使用される駆動部の一例を説明する図である。
図10図8の実施例に使用される駆動部の他の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について好適例を用いて詳細に説明する。
本発明は、図1及び2に示すように、建物の外面に沿って配置される日射遮蔽部材において、複数のカップ状部材1を線状部材(W1,W2)により連結して配置することを特徴とする。
【0015】
本発明に使用されるカップ状部材1は、図1に示すように、胴部10及び該胴部に繋がる底部12から構成されるカップ状部材である。開口部側(底部12の反対側)には、外側に広がるラッパ状の周縁部11が必要に応じて形成される。また、胴部10は円筒状が好ましいが、これに限らず、角型の筒状や、円錐台や角錐台に形成することも可能である。
【0016】
カップ状部材1は、建物の外壁に沿って配置された際に、開口部側(周縁部11がある側)が外側を向くように配置することで、見る角度によって形状が変わり、建物の美観を高めることが可能となる。また、カップ状部材1は厚みがあるため、特定の方向から見ない限り、カップ状部材1の先を見通すことができない。このため、カップ状部材1は目隠し機能も優れている。されに、カップ状部材の外側と内側で、色彩を変更したり、反射特性を変化させることで、より多彩な外観を形成することも可能となる。
【0017】
カップ状部材1は、樹脂材料で形成することも可能であるが、金属材料で構成することで、金属色や光沢を表現することができ、重厚感がある外観とすることが可能である。金属材料で形成する際には、金属板をヘラ絞り又はプレス絞りを用いて、カップ状に成形することができる。また必要に応じて、金属製のカップ状部材の表面に黒錆やメッキ処理を施すことも可能である。
【0018】
カップ状部材1は、日光を遮蔽した際にカップ状部材1自体が熱くなるが、カップ状部材の表面積も大きいため、熱放射も効率的に行われ、カップ状部材1自体がより高温になるのを抑制できる。その結果、カップ状部材1から壁面に向かう熱輻射も抑制され、建物の外壁の温度上昇をさらに抑えることが可能となる。
【0019】
カップ状部材1の底部12には、開口が形成されている。開口の形状は、図3に示す円形状の開口部30や、図4に示す三日月状の開口部31など、種々の形状が採用できる。この開口部(30,31)は、カップ状部材自体のデザイン性を高める機能もあるが、通風孔として機能し、カップ状部材が風に煽られて、外壁を損傷することを防止することにも寄与する。また必要に応じて、胴部10の一部に後述する貫通孔以外の開口部を形成することも可能である。
【0020】
カップ状部材1の胴部10には、線状部材が貫通する貫通孔(20,20’,21,22,22’,23)が設けられている。図2に示すように、貫通孔20(20’)及び22(22’)を利用して線状部材W1(W2)が配置される。線状部材とカップ状部材は、溶接や固着部品などを利用して、互いに強固に固定される。
【0021】
線状部材は、最低1本あれば、複数のカップ状部材を連結することが可能となるが、線状部材が捩じれ、それに伴いカップ状部材の角度が変化することを抑制するため、図2に示すように、最低2本以上の線状部材で接続することが好ましい。
【0022】
また、カップ状部材の配置をより安定的に維持するために、貫通孔21及び23を利用して、図2の線状部材W1(W2)に対して垂直な方向に配置される他の線状部材を貫通配置することも可能である。
線状部材としては、金属ワイヤー等が好適に利用される。
【0023】
図5は、カップ状部材を面状に配置したものであり、領域A及びBがそれに該当する。図5は、建物のベランダの手すり部分を利用して配置されているが、建物の外壁に沿って面状に配置することも可能である。しかも、図2に示すように線状部材に沿って直線状にカップ状部材が配列されているため、外壁の曲面に沿っても容易に配置を変化させることが可能であり、本発明の日射遮蔽部材は、多種多様な形状の外壁に適用することができる。
【0024】
図6は、カップ状部材1を保持する線状部材W1(W2)に係る構造を説明する図である。1本の線状部材には、その両端に線状部材を支持する支持手段(不図示)が配置されている。この支持手段に線状部材W1(W2)を一定の張力で引っ張る機構を組み込むことが好ましいが、図6の線状部材の途中にターンバックルのような張力調整手段TBを配置し、必要に応じて、線状部材の張力調整を行うことも可能である。
【0025】
さらに、カップ状部材が風に煽られ、外壁に接触することを抑制するため、線状部材W1(W2)を外壁から所定の位置に固定する固定手段4を設けることも可能である。固定手段4は、図7に示すように線状部材(W1,W2)を保持する部分と、外壁に固定されるアンカー部分ACと両者を接続する部分から構成されている。例えば、アンカー部分ACを壁面に開けた穴に配置固定し、固定手段4全体を外壁に固定する。
【0026】
固定手段4に対して線状部材W1(W2)は単に貫通配置するだけでも良いが、ターンバックルTBと同様に、線状部材の先端にネジ式の固定部(40,41)を設け、固定手段4に捩じ込む量を調整することで張力調整機能を付与することも可能である。
【0027】
図8は、日射遮蔽部材のカップ状部材1の角度を変化させる機構について説明したものである。特に窓に沿って配置される日射遮蔽部材においては、遮蔽量を変化させるニーズは高い。線状部材W1(W2)の両端に配置される線状部材の支持手段(H1~H4)を適宜回転させることで、線状部材に固定されたカップ状部材が回転する構成となっている。カップ状部材を確実に回転させるには、図2に示すように、線状部材は、2本以上を互いに平行になるよう配置することが好ましい。
【0028】
支持手段(H1~H4)の回転駆動方法としては、図9に示すように支持手段(H1~H4)の外周に歯車を形成し、中間歯車(H12,H23,H34)を介して同じ方向に回転させることができる。当然、モーター等の動力源(不図示)から駆動力がいずれかの歯車に伝達され、支持手段を回転させている。中間歯車の代わりに、支持手段(H1~H4)の歯車に架け渡されるチェーンを利用することも可能である。
【0029】
また、図10に示すように、支持手段(H1~H4)を個々独立に駆動する駆動源を設けることも可能である。当然、変化する角度(θ1~θ4)は同じであっても良いし、異なっていても良い。
【0030】
図9及び10では、2本の線状部材(W1,W2)を回転移動させたが、いずれか一本の線状部材を移動させることで、カップ状部材の角度を変化させることも可能である。図8の上下の支持手段は、個々独立に制御することも可能であるが、好ましくは、連動して同じ動きをすることが好ましい。なお、カップ状部材の相互の配置関係においては、カップ状部材1が回転しても互いに衝突しないような間隔で配置されることは、言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上のように、本発明によれば、様々な外壁の形状に対応して配置可能であり、効率良く日光を遮蔽し、また、目隠し機能も備え、美感にも優れた日射遮蔽部材を提供することが可能となる。さらに、窓等に対応して遮蔽量を調整可能にすることも可能な日射遮蔽部材を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0032】
1 カップ状部材
30,31 開口部
W1,W2 線状部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10