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特開2022-16525印刷回路基板のめっき方法及びこれを用いた印刷回路基板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022016525
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】印刷回路基板のめっき方法及びこれを用いた印刷回路基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/11 20060101AFI20220114BHJP
   H05K 3/42 20060101ALI20220114BHJP
   C25D 5/10 20060101ALI20220114BHJP
   C25D 7/00 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
H05K1/11 H
H05K3/42 610B
C25D5/10
C25D7/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185066
(22)【出願日】2021-11-12
(62)【分割の表示】P 2020013414の分割
【原出願日】2020-01-30
(31)【優先権主張番号】10-2019-0075748
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ジョン チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ヨン クォン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミン スー
(72)【発明者】
【氏名】ムン、セオン ジェ
(57)【要約】
【課題】印刷回路基板のめっき方法及びこれを用いた印刷回路基板を提供する。
【解決手段】
本発明の実施例に係る印刷回路基板のめっき方法は、貫通ホールが形成された基板をめっき液に接触させ、電極に対向するように基板を配置する段階と、基板の両面にそれぞれパルス電流を印加し、少なくとも1回は基板の両面に反対極性のパルス電流が印加され、少なくとも1回は基板の両面にパルス正電流が印加される段階と、を含み、貫通ホールの中間から端部まで充填されるめっきが形成されることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通ホールが形成された基板と、
前記貫通ホールを充填し、前記基板の両面に延長されたビアと、を含み、
前記ビアは、
前記貫通ホールの内部に形成され、前記基板の両面上に延長され、両端部に前記基板の表面に凹状の溝部が形成された第1めっき層と、
前記溝部に充填され、前記第1めっき層上に形成され、前記基板上に延長して形成された第2めっき層と、を含み、
前記第1めっき層は、前記溝部の下部に配置された領域が前記貫通ホールの中心部に配置された領域よりも大きな結晶粒を有する印刷回路基板。
【請求項2】
前記第1めっき層は、
前記貫通ホールの中心部に内壁側に拡張する微細結晶粒領域と、
前記溝部の下部に形成され、前記微細結晶粒領域により囲まれた粗大結晶粒領域と、を含み、
前記粗大結晶粒領域の金属粒子は、前記微細結晶粒領域の金属粒子よりも大きく形成される請求項1に記載の印刷回路基板。
【請求項3】
前記微細結晶粒領域は、前記貫通ホールの内壁に沿って前記基板の表面に延長される請求項2に記載の印刷回路基板。
【請求項4】
前記微細結晶粒領域は、
前記貫通ホールの中心部に内壁側に拡張する第1微細結晶粒領域と、
前記第1微細結晶粒領域と前記粗大結晶粒領域との間に配置され、前記貫通ホールの内壁に沿って前記基板の表面に延長される第2微細結晶粒領域と、を含み、
前記第2微細結晶粒領域の金属粒子は、前記第1微細結晶粒領域の金属粒子よりも小さく形成される請求項3に記載の印刷回路基板。
【請求項5】
前記第1めっき層において前記溝部の深さは、150μm以下であり、
前記基板上に、前記ビアに接続する回路パターンが形成され、前記回路パターンの厚さは、30μm以下である請求項1~4のいずれか一項に記載の印刷回路基板。
【請求項6】
前記貫通ホールの内壁及び基板の表面に形成されたシード層をさらに含み、
前記第1めっき層は、前記シード層上に形成された電解めっき層である請求項1~5のいずれか一項に記載の印刷回路基板。
【請求項7】
前記基板上に銅箔層が形成され、
前記貫通ホールの内壁及び前記銅箔層に形成されたシード層をさらに含み、
前記第1めっき層は、前記シード層上に形成された電解めっき層である請求項1~6のいずれか一項に記載の印刷回路基板。
【請求項8】
前記基板は、内部に回路層のない絶縁材である請求項1~6のいずれか一項に記載の印刷回路基板。
【請求項9】
前記基板は、内部に複数の回路層が形成されたビルドアップ層を含む請求項1~8のいずれか一項に記載の印刷回路基板。
【請求項10】
前記基板の表面において前記第1めっき層の厚さは、前記第2めっき層の厚さよりも大きく形成される請求項1~9のいずれか一項に記載の印刷回路基板。
【請求項11】
貫通ホールが形成された基板と、
前記貫通ホールを満たし、前記基板の両面に延長されたビアと、を含み、
前記ビアは、前記貫通ホールの内部に形成された第1めっき層と、前記第1めっき層上に形成された第2めっき層と、を含み、
前記第1めっき層は、微細結晶粒領域と粗大結晶粒領域とを含み、前記粗大結晶粒領域の金属粒子は、前記微細結晶粒領域の金属粒子よりも大きい印刷回路基板。
【請求項12】
前記第1めっき層は、前記基板の両面上に延長され、両端部に前記基板の表面に凹状の溝部が形成される請求項11に記載の印刷回路基板。
【請求項13】
前記第2めっき層は、前記溝部を満たし、前記基板上に延長される請求項12に記載の印刷回路基板。
【請求項14】
前記微細結晶粒領域は、前記貫通ホールの内壁に沿って前記基板の表面に延長される請求項11~13いずれか一項に記載の印刷回路基板。
【請求項15】
前記微細結晶粒領域は、
前記貫通ホールの中心部に内壁側に拡張する第1微細結晶粒領域と、
前記第1微細結晶粒領域と前記粗大結晶粒領域との間に配置され、前記貫通ホールの内壁に沿って前記基板の表面に延長される第2微細結晶粒領域と、を含み、
前記第2微細結晶粒領域の金属粒子は、前記第1微細結晶粒領域の金属粒子よりも小さい請求項11~14のいずれか一項に記載の印刷回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷回路基板のめっき方法及びこれを用いた印刷回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品及び印刷回路基板の集積度が高くなることにより、印刷回路基板においての高速信号伝達及び高放熱特性等が、さらに要求されている。
【0003】
印刷回路基板においては、信号伝逹のためにPTH(Plated Through Hole)の形態の貫通ビアが形成されるが、現在のめっき技術の限界により、ホールの壁面のみをめっきし、残りは絶縁樹脂インクで満たす形態が一般的である。しかし、このように形成されたビアの場合、異種材料間(例えは、銅と絶縁樹脂)の熱膨脹係数(CTE、Coefficient of Thermal Expansion)の差のために、品質の信頼性が低く、放熱特性が不足であって、5Gアンテナモジュール等の高速信号伝逹及び高放熱特性が要求される製品には適用しにくいという短所があった。
【0004】
一方、印刷回路基板の放熱特性を高めるために、複数のビアを一部分が重なるように積み上げるスタガードビア(Staggered via)や、完全に重なるように積み上げるスタックドビア(Stacked via)が用いられている。このようなビアを通して放熱特性を改善することができるが、ビアを積み上げる際に発生する層間ビアのクラック(crack)、剥離(delamination)等の不良が生じており、スタックドビアに起因した信号のノイズ(noise)等の問題も発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-228124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、高速信号伝達及び高放熱特性を確保可能なビアを形成できる印刷回路基板のめっき方法及びこれを用いた印刷回路基板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る印刷回路基板のめっき方法は、貫通ホールが形成された基板をめっき液に接触させ、電極に対向して基板を配置する段階と、基板の両面にそれぞれパルス電流を印加し、少なくとも1回は基板の両面に反対極性のパルス電流が印加され、少なくとも1回は基板の両面にパルス正電流が印加される段階と、を含み、貫通ホールの中間から端部までめっきが形成されることができる。
【0008】
一方、本発明の他の側面に係る印刷回路基板は、貫通ホールが形成された基板と、貫通ホールを満たし、基板の両面に延長されたビアと、を含み、ビアは、貫通ホールの内部に形成され、基板の表面に凹状の溝部が形成された第1めっき層と、溝部に満たされ、第1めっき層に結合され、基板上に延長して形成された第2めっき層と、を含み、第1めっき層は、溝部の下部に配置された領域が上記貫通ホールの中心部に配置された領域よりも大きい結晶粒を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施例に係る印刷回路基板のめっき方法を示すフローチャートである。
図2】本発明の一実施例に係る印刷回路基板のめっき方法を例示する図である。
図3】本発明の一実施例に係る印刷回路基板のめっき方法を例示する図である。
図4】本発明の一実施例に係る印刷回路基板のめっき方法を例示する図である。
図5】本発明の一実施例に係る印刷回路基板のめっき方法を例示する図である。
図6】本発明の一実施例に係る印刷回路基板を示す図である。
図7】本発明の一実施例に係る印刷回路基板の第1めっき層を示す図である。
図8】本発明の一実施例に係る印刷回路基板のビアを示す写真である。
図9】本発明の一実施例に係る印刷回路基板のビアを示す写真である。
図10】本発明の一実施例に係る印刷回路基板のビアを示す写真である。
図11】本発明の他の実施例に係る印刷回路基板を示す図である。
図12】本発明のまた他の実施例に係る印刷回路基板を示す図である。
図13】本発明のまた他の実施例に係る印刷回路基板を示す図である。
図14】本発明のまた他の実施例に係る印刷回路基板を示す図である。
図15】本発明のまた他の実施例に係る印刷回路基板を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る印刷回路基板の実施例を添付図面を参照して詳細に説明し、添付図面を参照して説明するに当たって、同一または対応する構成要素には同一の図面符号を付し、これに対する重複説明を省略する。
【0011】
また、以下で使用する「第1」、「第2」等の用語は、同一または対応する構成要素を区別するための識別記号に過ぎず、同一または対応する構成要素が第1、第2等の用語により限定されることはない。
【0012】
また、「結合」とは、各構成要素間の接触関係において、各構成要素間に物理的に直接接触する場合のみを意味するものではなく、他の構成が各構成要素の間に介在され、その他の構成に構成要素がそれぞれ接触している場合まで包括する概念として使用される。
【0013】
<印刷回路基板のめっき方法>
図1は、本発明の一実施例に係る印刷回路基板のめっき方法を示すフローチャートであり、図2から図5は、本発明の一実施例に係る印刷回路基板のめっき方法を例示する図である。
【0014】
図1を参照すると、本発明の一実施例に係る印刷回路基板のめっき方法は、基板10を配置する段階S110と、基板10の両面にパルス電流を印加する段階S120とを含む。
【0015】
基板10を配置する段階S110においては、電解めっきを行うために基板10を配置する。基板10には、貫通ホール13が形成され、貫通ホール13の内部にめっきによるビアが形成されることができる。
【0016】
貫通ホール13が形成された基板10は、めっきが行われるように、めっき液に接触される。例えば、めっき液が入っためっき槽(図示せず)内に基板10が配置され、基板10がめっき液に浸されることができる。
【0017】
また、めっきのための電極(図示せず)に基板10が対向するように配置されることができる。電極は、対向した基板10の面と電位差を形成し、基板10に電流を印加することができる。例えば、一対の電極の間に基板10が位置し、基板10の両面がそれぞれ電極に向くように基板10を配置することができる。また、基板10の両面及び貫通ホール13の内壁には、めっきのためのシード層13aを形成することができる。
【0018】
基板10の両面にパルス電流を印加する段階S120は、基板10の一面10a及び他面10bに電流を印加し、電解めっきを行う。このとき、基板10には、パルス電流(pulsed current)を印加することができる。このとき、本実施例では、PPR(periodic pulse reverse)方式で基板10に電流を印加することができる。すなわち、めっき過程において電極は、基板10に対して正電流(forward current)だけではなく逆電流(reverse current)を形成することができる。
【0019】
特に、本実施例に係るめっき方法は、基板10の両面に反対極性のパルス電流が印加される過程を少なくとも1回含む。例えば、基板10の一面10aに第1パルス電流が加えられ、基板10の他面10bに第2パルス電流が加えられる時に、一定の時間の間に第1パルス電流と第2パルス電流とが互いに異なる極性を有することができる。具体的に、第1パルス電流は、逆電流を印加する区間を含む第1サイクルC1を有し、第2パルス電流は、第1パルス電流の逆電流を印加する区間と時間的にオーバーラップ(overlap)され、正電流を印加する区間を含む第2サイクルC2を有することができる。
【0020】
ここで、時間的にオーバーラップされるとは、対象になる2つの区間が所定の時間の間に共に存在することを意味する。言い換えれば、2つの区間が同時に存在する時間的領域があれば十分であり、各区間の時間的長さ、開始及び終了の時点等は、制限されずに設定できる。
【0021】
一方、第1パルス電流の第1サイクルC1と第2パルス電流の第2サイクルC2とは、繰り返される周期を有することができるが、1回でサイクルが終了することもある。また、第1サイクルC1と第2サイクルC2とは、同一の周期を有することが好ましいが、これに限定されず、互いに異なる周期を有するサイクルであってもよい。
【0022】
また、本実施例に係るめっき方法は、基板10の両面にパルス正電流を印加する過程を少なくとも1回含む。例えば、基板10の両面において、一定の時間の間に第1パルス電流と第2パルス電流が、めっきが形成される同一の極性を有することができる。具体的に、第1パルス電流の第1サイクルC1は、正電流を印加する区間も含み、第2パルス電流の第2サイクルC2において正電流が印加される区間と時間的にオーバーラップされることができる。
【0023】
図2及び図3を参照すると、基板10の一面10aには、対向した第1電極が配置され、第1電極が基板10の一面10aと電位差を形成し、第1パルス電流を印加することができる。このとき、第1パルス電流の第1サイクルC1には、逆電流を印加する第1-1区間及び正電流を印加する第1-2区間が発生することができる。
【0024】
また、基板10の他面10bには、対向した第2電極が配置され、第2電極が基板10の他面10bと電位差を形成し、第2パルス電流を印加することができる。このとき、第2パルス電流の第2サイクルC2には、高電流密度の正電流を印加する第2-1区間、及び第2-1区間よりも電流密度の低い低電流密度の正電流を印加する第2-2区間が発生することができる。
【0025】
このとき、図2を参照すると、基板10の両面に反対極性のパルスを印加するために、第1サイクルC1の第1-1区間と第2サイクルC2の第2-1区間とが時間的にオーバーラップされることができる。言い換えれば、所定の時間の間に、基板10の一面10aには第1パルス電流により逆電流を印加し、同時に基板10の他面10bには第2パルス電流により正電流を印加することができる。
【0026】
正電流が印加された基板10の他面10bにおいては、めっきが形成される反面、逆電流が印加された基板10の一面10aにおいては、めっきが分解することが生じ得る。また、基板10の一面10aには逆電流が印加され、表面においてめっき加速剤2及びめっき抑制剤4等のめっき添加剤が基板10の他面10bにおいて分離することも起こり得る。このとき、貫通ホール13の内壁においてもめっき加速剤2及びめっき抑制剤4が分離することがある。
【0027】
一方、全体的には、基板10の一面10aが向く第1電極が陰極となり、基板10の他面10bが向く第2電極が陽極となるので、めっき液にある金属イオン等の陽イオン6が、第1電極に向けて移動する流れが形成され得る。これにより、基板10の貫通ホール13の内部においても第1電極に向ける金属イオン等の陽イオン6の流れが形成され得る。
【0028】
このとき、基板10の一面10aにおいてのめっき分解、めっき添加剤の分離及び/または貫通ホール13の内部においての金属イオン等の陽イオン6の流れを調整するために、第1パルス電流の逆電流及び第2パルス電流の正電流の値は調整することができる。本実施例においては、第1パルス電流の逆電流と第2パルス電流の正電流は、それぞれが印加される基板10面に対して類似の電流値を有するように設定され、互いに極性は反対であるが、類似の電流値を有するように設定される。また、基板10の両面に正電流が共に加えられる時(例えば、第1-2区間、第2-2区間)に比べて高い電流値を有するように設定されることができる。
【0029】
図3を参照すると、基板10の両面に同一極性の正電流パルスを印加するために、第1サイクルC1の第1-2区間と第2サイクルの第2-2区間とが時間的にオーバーラップされることができる。言い換えれば、所定の時間の間に、基板10の両面には同時に第1パルス電流及び第2パルス電流により正電流を印加することができる。
【0030】
正電流が印加された基板10の両面には、めっきが形成される。特に、基板10の両面に反対極性を加えた後に基板10の両面に正電流を印加すると、貫通ホール13の中間から端部まで充填されるめっきを形成することができる。具体的に、上述したように、基板10の両面に反対極性のパルス電流が印加されるとき、逆電流が印加された基板10の表面及び貫通ホール13の内壁においては、めっき加速剤2及びめっき抑制剤4が分離することがある。その後、基板10の両面にパルス正電流を印加すると、貫通ホール13の中間にめっき加速剤2の密度が集中し、貫通ホール13の中間から端部まで充填されるめっきを形成することができる。
【0031】
めっき液に含まれためっき加速剤(Accelerator)2は、特定の領域/部分等においてめっき速度を加速する役割を担うと知られている。めっき液には、めっき加速剤2と共にめっき抑制剤(Suppressor)4が含まれるが、めっき抑制剤4は、濃度が低いほど基板10に対するめっき加速剤2の吸着が容易となり、めっき加速の効果が大きくなることができる。
【0032】
めっき液は、めっき加速剤2及びめっき抑制剤4を含み、めっき抑制剤4は、上記めっき加速剤2よりも大きな分子量を有することができる。例えば、めっき加速剤2は、ジスルフィド(disulfide)結合(-S-S)、またはメルカプト(mercapto)基(-SH)を含有するbis(sodiumsulfopropyl)disulfide(SPS)、mercaptopropylsulfonic acid(MPS)、3-N,N-Dimethylaminodithiocarbamoyl-1-propanesulfonic acid(DPS)、3-S-isothiuronium propyl sulfonate(UPS)、3-(benzothiazolyl-2-mercapto)-propyl-sulfonic acid sodium salt(ZPS)等の有機物であり得る。また、例えば、めっき抑制剤4は、ポリエーテル(polyether)系列の高分子物質と窒素原子を含有した作用基を有する有機物であり得る。これにより、めっき抑制剤4は、高分子物質であってめっき加速剤2に比べて分子量及び大きさが大きくてもよい。
【0033】
図3に示すように、基板10の両面に反対極性を加えた後に、基板10の両面に正電流を印加すると、めっき加速剤2及びめっき抑制剤4等のめっき添加剤が基板10に再び吸着され得る。
【0034】
一方、基板10の貫通ホール13の内部においては、めっき液の流れが基板10の表面に比べて邪魔を受けることになる。これにより、基板10の表面では、貫通ホール13の内部に比べて相対的に速い流速が形成され、めっき抑制剤4の再吸着が速く発生し、めっき加速剤2の作用は相対的に少なくなる。反対に、流速の遅い貫通ホール13の内部においては、めっき抑制剤4の再吸着過程が遅くなり、分子量または大きさの小さいめっき加速剤2の吸着が相対的に容易となり得る。これにより、貫通ホール13の内部ではめっき加速剤2の密度が増加し、めっきの加速効果が大きくなって貫通ホール13の内部のめっき成長が集中的に発生することができる。このとき、基板10の表面においては、めっき抑制剤4の密度が増加するので、基板10表面のめっきは最小化することも共に発生することができる。
【0035】
また、本実施例に係るめっき方法は、基板10の両側に均一なめっきが形成されるように、基板10の他面10bに逆電流を印加し、基板10の一面10aに、逆電流と時間的にオーバーラップされる正電流を印加することができる。
【0036】
すなわち、基板10の面を反対にして、上述のめっき過程と対称的にめっきが行われることができる。具体的に、第2パルス電流の第2サイクルC2は、逆電流を印加する区間を含み、第1パルス電流の第1サイクルC1は、第2パルス電流の逆電流を印加する区間と時間的にオーバーラップされ、正電流を印加する区間を含むことができる。また、第1パルス電流の第1サイクルC1と第2パルス電流の第2サイクルC2は、それぞれ2番目の正電流を印加する区間を含み、2番目の正電流を印加する区間は、時間的にオーバーラップされることができる。
【0037】
図4及び図5を参照すると、第1サイクルC1において第1-2区間よりも電流密度の高い高電流密度の正電流を印加する第1-3区間、及び第1-3区間よりも電流密度の低い低電流密度の正電流を印加する第1-4区間がさらに発生することができる。また、第2サイクルC2においては、逆電流を印加する第2-3区間、及び第2-1区間よりも電流密度の低い低電流密度の正電流を印加する第2-4区間がさらに発生することができる。このとき、基板10両面に反対極性のパルス電流が印加されるように、第1サイクルC1の第1-3区間と第2サイクルの第2-3区間とが時間的にオーバーラップされることができる。ここで、基板10の一面10a及び他面10bで生じる現状は、図2及び図3を参照して説明した現状とは反対の方向性を示す。すなわち、図2及び図3において基板10の一面10aで生じる現状は、図4及び図5においては基板10の他面10bで生じ、図2及び図3において基板10の他面10bで生じる現状は、図4及び図5において基板10の一面10aで生じることができる。ただし、貫通ホール13の内部においてめっき加速剤2の密度が増加し、めっきの加速効果が大きくなって、貫通ホール13の内部においてのめっき成長が集中的に発生する現状は方向性に関係なく同様に生じることができる。
【0038】
したがって、図2から図5に示された第1サイクルC1及び第2サイクルC2をそれぞれ有する第1パルス電流及び第2パルス電流を基板10の両面に印加すると、基板10の両面には、対称的に均一なめっきが形成され、貫通ホール13の内部においては、めっきが中間から両側端部まで充填されることができる。このとき、基板10の両面においてのめっきは、厚さの成長が持続的に抑制され、貫通ホール13がめっきで充填される過程にも厚く成長されないように維持されることができる。
【0039】
一方、本実施例では、第1サイクルC1及び第2サイクルC2において対応する区間が時間的に一致することを例示したが、これに限定されない。第1サイクルC1及び第2サイクルC2において対応する区間が一定の時間の間にオーバーラップされることができれば十分であり、各区間の時間的長さ、開始及び終了の時点は、異ならせて設定されることもできる。
【0040】
<印刷回路基板>
【0041】
図6は、本発明の一実施例に係る印刷回路基板を示す図である。
【0042】
図6を参照すると、本発明の一実施例に係る印刷回路基板110は、基板110及びビアVを含み、ビアVは、第1めっき層120及び第2めっき層130を含むことができる。
【0043】
基板110は、回路が形成される部分であって、回路パターンを電気的に絶縁させる絶縁層を含む。基板110の両面の回路パターンを接続させるビアVを形成するために、基板110には貫通ホール113が形成される。
【0044】
図6を参照すると、本実施例においての基板110は、内部に回路層のない絶縁材112からなることができる。例えば、厚さ0.3mm以上の厚いコア絶縁材が基板110を構成することができる。このとき、貫通ホール113は、直径150μm以上であって、ドリリング等の機械的加工により形成できる。
【0045】
ビアVは、回路の一部であって、基板110の両面に形成された回路パターンを接続させる部分である。ビアVは、導電性材質であって銅等の金属を含むことができ、基板110に形成された貫通ホール113を満たし、基板110の両面に延長された構造を有することができる。
【0046】
ビアVは、第1めっき層120及び第2めっき層130を含む。第1めっき層120は、貫通ホール113の内部に形成され、基板110の表面に凹状の溝部121が形成される。例えば、第1めっき層120の両端は、基板110の両面の上まで延長されるが、第1めっき層120の両端に凹状の溝部121が形成され、溝部121の底は基板110の表面110a、110bよりも低く形成されることができる。
【0047】
図7は、本発明の一実施例に係る印刷回路基板の第1めっき層を示す図である。図7は、図6において第2めっき層130が形成される前の第1めっき層120の形成された形状を示す図である。
【0048】
図6及び図7を参照すると、第1めっき層120は、貫通ホール113の両端の一部を除き、貫通ホール113の内部を隙間なく充填する形態で形成されることができる。また、第1めっき層120の端部は、貫通ホール113の内壁に沿って基板110の表面上に延長された形態を有することができる。すなわち、第1めっき層120は、ビアVのランドまで延長することができる。
【0049】
このとき、貫通ホール113の内壁にシード層113aが形成され、第1めっき層120は、シード層113a上に形成された電解めっき層であることができる。上述のめっき方法で説明したように、電解めっきのためにシード層は基板110の表面及び貫通ホール113に形成されることができる。また、第1めっき層120は、電解めっき層であって、上述のめっき方法により貫通ホール113の中間から両端部まで形成されることができる。
【0050】
第2めっき層130は、溝部121に充填され、第1めっき層120上に形成され、基板110上に延長して形成される。例えば、第1めっき層120が形成された後に、2次で追加めっきを行って第1めっき層120上に第2めっき層130が形成され、第2めっき層130により溝部121が充填されることができる。
【0051】
図6及び図7を参照すると、第2めっき層130は、第1めっき層120が充填された後に残った貫通ホール113の端部を充填し、ビアVのランドまで延長されて、第1めっき層120上に平坦な上面を有する構造で形成されることができる。すなわち、凹状の溝部121を有する第1めっき層120上に、ブラインドビアのような形態で第2めっき層130が形成され、一体のビアVを形成することができる。
【0052】
このとき、基板110上に、ビアVに接続された回路パターン(図示せず)が形成され、第1めっき層120において溝部121の深さdは、150μm以下であり、回路パターンの厚さは、30μm以下であることができる(本実施例において、回路パターンの厚さはビアVランドの厚さと類似であるため、回路パターンの厚さの代わりにビアVランドの厚さtで示す)。これにより、図7に示すように、第1めっき層120が形成された後に、1回のめっきにより、深さ150μm以下の溝部121を充填して、厚さが30μm以下である微細な回路パターンを形成することができる。第2めっき層130は、回路パターンを形成するめっき工程により形成できる。
【0053】
また、基板110の表面において第1めっき層120の厚さは、第2めっき層130の厚さよりも大きく形成されることができる。例えば、上述しためっき方法により貫通ホール113の内部においてめっき層を成長させる時に、電流条件等を調整して基板110上に形成される第1めっき層120の厚さを調整することができる。
【0054】
特に、本実施例の第1めっき層120は、上述のめっき方法により形成され、めっき層内において結晶粒の大きさの異なる領域が形成されることができる。具体的に、第1めっき層120において溝部121の下部に配置された領域126が貫通ホール113の中心部に配置された領域122、124よりも大きい結晶粒を有することができる。
【0055】
図8から図10は、本発明の一実施例に係る印刷回路基板110のビアVを示す写真である。図9は、図8において第2めっき層130が形成される前の第1めっき層120の形成された形状を示し、図10は、図9に示された第1めっき層120を拡大した写真である。
【0056】
図8から図10を参照すると、第1めっき層120は、微細結晶粒領域122、124と粗大結晶粒の領域126とを含んで形成されることができる。結晶粒は、1つの結晶核から成長した結晶格子の集合体であって、金属または合金の断面を燎微鏡等で見ると、粒子形態として識別することができる。第1めっき層120は、結晶粒の大きさが確実に区分される2つの領域に大きく区分できる。
【0057】
微細結晶粒領域122、124は、貫通ホール113の中心部及び貫通ホール113の内壁に形成され、貫通ホール113の中心部から貫通ホール113の内壁側に拡張する形態を有することができる。すなわち、貫通ホール113の内壁付近にある第1めっき層120は、大部分が微細結晶粒領域122、124であり、貫通ホール113の中心に近い第1めっき層120は、基板110の厚さ方向において中間部分のみが微細結晶粒領域122、124であり得る。
【0058】
図9を参照すると、微細結晶粒領域122、124は、貫通ホール113の内壁に沿って基板110の表面に延長する構造を有することができる。
【0059】
粗大結晶粒領域126は、金属粒子が微細結晶粒領域122、124の金属粒子よりも大きく形成される。粗大結晶粒領域126は、溝部121の下部に形成されることができる。また、微細結晶粒領域122、124に囲まれた構造を有することができる。
【0060】
また、本実施例の微細結晶粒領域122、124は、再び結晶粒の大きさが区分される2つの領域に区分できる。
【0061】
図10を参照すると、本実施例において第1めっき層120の端部では、微細結晶粒領域122、124が2つの領域に区分されることができる。具体的に、微細結晶粒領域122、124は、貫通ホール113の中心部に内壁側に拡張される第1微細結晶粒領域122と、第1微細結晶粒領域122と粗大結晶粒領域126との間に配置され、貫通ホール113の内壁に沿って基板110の表面に延長される第2微細結晶粒領域124とを含むことができる。このとき、第2微細結晶粒領域124の金属粒子は、第1微細結晶粒領域122の金属粒子よりも小さく形成されることができる。すなわち、微細結晶粒領域122、124の大部分が第1微細結晶粒領域122で形成され、粗大結晶粒領域126と接する微細結晶粒領域122、124の境界付近においては、粒子の大きさがより小さい第2微細結晶粒領域124で形成されることができる。
【0062】
図11は、本発明の他の実施例に係る印刷回路基板を示す図である。
【0063】
本実施例に係る印刷回路基板は、貫通ホール213の形成された基板210の構造が上述の実施例と異なる。すなわち、シード層213a、第1めっき層220、第2めっき層230等は、上述の実施例と類似している。
【0064】
図11を参照すると、本実施例に係る基板210は、内部に複数の回路層が形成されたビルドアップ層を含む。ビルドアップ層は、複数の絶縁層212を備えており、複数の絶縁層212は、順に積層され、絶縁層212の間には内部回路パターン214が形成されることができる。
【0065】
図12は、本発明のまた他の実施例に係る印刷回路基板を示す図である。
【0066】
本実施例に係る印刷回路基板は、基板310上に銅箔層316が形成された点から、上述の実施例と異なる。すなわち、シード層313a、第1めっき層320、第2めっき層330等は、上述した実施例と類似している。
【0067】
図12を参照すると、本実施例の基板310は、絶縁材の両側に銅箔が形成された銅張積層板を用いて形成することができる。銅張積層板の絶縁材が基板310となり、銅張積層板の銅箔が銅箔層316として残ってビアVまたは回路パターンの一部を形成することができる。
【0068】
具体的に、基板310上に銅箔層316が形成され、第1めっき層320のシード層313aは、銅箔層316上に形成されることができる。すなわち、第1めっき層320のシード層313aは、貫通ホール313の内壁及び銅箔層316に形成された構造を有することができる。第1めっき層320は、上述した実施例と同様に、シード層313a上に形成されることができる。
【0069】
図13は、本発明のまた他の実施例に係る印刷回路基板を示す図である。
【0070】
本実施例に係る印刷回路基板は、貫通ホール413の形成された基板410の構造が、上述の実施例(図12の実施例)と異なる。すなわち、シード層413a、銅箔層416、第1めっき層420、第2めっき層430等は、上述の実施例と類似している。
【0071】
図13を参照すると、本実施例に係る基板410は、複数の絶縁層412を備えたビルドアップ層を含む。複数の絶縁層412が順に積層され、絶縁層412の間には内部回路パターン414が形成されることができる。
【0072】
図14は、本発明のまた他の実施例に係る印刷回路基板を示す図であり、図15は、本発明のまた他の実施例に係る印刷回路基板を示す図である。
【0073】
本実施例らは、第1めっき層120の溝部121の変形例を例示する。上述の実施例においては、第1めっき層120の溝部121が、一般的なブラインドビアが形成される溝と類似の構造を提示したが、溝部121の形態がこれに限定されることはない。
【0074】
図14を参照すると、第1めっき層120'において溝部121'の側壁が非常に険しく形成され、溝部121'の底と略垂直構造に形成されることができる(A1参照)。
【0075】
また、図15を参照すると、第1めっき層120"において溝部121"は、尖った構造に形成され、溝部121"の底がほとんど形成されない構造に形成されることもできる(A2参照)。例えば、溝部121"は、内部に充填される第2めっき層130が逆円錐構造を有するように、下に行くほど内部直径が細くなって1点に収斂する構造を有することができる。
【0076】
以上、本発明の一実施例について説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば特許請求の範囲に記載された本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除または追加等により本発明を様々に修正及び変更することができ、これも本発明の権利範囲内に含まれるものといえよう。
【符号の説明】
【0077】
C1 第1サイクル
C2 第2サイクル
V ビア
2 めっき加速剤
4 めっき抑制剤
10、110、210、310、410 基板
13、113、213、313、413 貫通ホール
120、120'、120"、220、320、420 第1めっき層
122 第1微細結晶粒領域
124 第2微細結晶粒領域
126 粗大結晶粒領域
121、121'、121" 溝部
130、230、330、430 第2めっき層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15