(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022165894
(43)【公開日】2022-11-01
(54)【発明の名称】モジュール支持金具、太陽光発電設備、及びモジュール施工方法
(51)【国際特許分類】
E04D 13/18 20180101AFI20221025BHJP
H02S 20/23 20140101ALI20221025BHJP
【FI】
E04D13/18 ETD
H02S20/23 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021158124
(22)【出願日】2021-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2021070855
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】510311621
【氏名又は名称】株式会社エクソル
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】川勝 一司
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108KK01
2E108LL01
2E108MM05
2E108MM06
2E108NN07
(57)【要約】
【課題】太陽電池モジュールの設置を容易に行えるようにする。
【解決手段】モジュール支持金具100における設置側金具110が、太陽電池モジュールの金属枠の裏板部が載置される裏板載置部111と、裏板部の内側端縁が当接するように裏板載置部111から突出した当接突起112とを備え、枠側金具120が、裏板載置部111との間に金属枠を挟む挟持部121と、挟持部121から裏板載置部111に向かって挿入間隙T11に応じた突出長で突出し、挟持部121と裏板載置部111との間隙を挿入間隙T11に規制するとともに当接突起121との間に金属枠を挟む規制突起122と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状のモジュール本体、及び、当該モジュール本体の外周を保持する金属枠、を有する太陽電池モジュールを、所定の設置場所に支持するモジュール支持金具であって、
前記金属枠が、前記モジュール本体の前記外周に連結される連結部、前記モジュール本体と交差する方向について前記連結部から前記モジュール本体の受光面とは反対の裏面の側へと延出する側板部、及び、当該側板部における前記連結部とは反対側の端縁から前記裏面に沿って前記モジュール本体の中央側へと延出した裏板部、を有しており、
前記設置場所に取り付けられる設置側金具と、
前記設置側金具との間に前記金属枠を挟むように、当該金属枠が挿入される挿入間隙を開けて配置される枠側金具と、
前記枠側金具を前記設置側金具に固定する固定部材と、を備え、
前記設置側金具が、
前記金属枠の前記裏板部が載置される裏板載置部と、
前記裏板部における前記側板部とは反対側の内側端縁が当接するように前記裏板載置部から突出した当接突起と、を備え、
前記枠側金具が、
前記裏板載置部との間に前記金属枠を挟む挟持部と、
前記挟持部から前記裏板載置部に向かって前記挿入間隙に応じた突出長で突出し、前記挟持部と前記裏板載置部との間隙を前記挿入間隙に規制するとともに前記当接突起との間に前記金属枠を挟む規制突起と、を備えたことを特徴とするモジュール支持金具。
【請求項2】
前記裏板載置部には、当該裏板載置部に載置された前記裏板部を押し上げるように突出し、前記金属枠を前記挟持部に押圧する押圧突起が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のモジュール支持金具。
【請求項3】
前記固定部材が、
前記設置側金具の前記裏板載置部における前記裏板部の載置側とは反対の裏面にボルト頭部が摺接し、前記設置側金具の前記裏板載置部及び前記枠側金具の前記挟持部をボルト部分が貫通するように、前記挿入間隙に挿入された前記金属枠を避けて前記裏板載置部に立設された固定ボルトと、
前記挟持部を貫通した前記ボルト部分の先端部に螺合されて前記枠側金具を前記設置側金具に締結固定する締結ナットと、を備え、
前記固定ボルトの前記ボルト頭部が多角形柱状を有しており、
前記裏板載置部における前記裏面には、前記ボルト頭部における側面に当接するように突出して前記ボルト頭部の回り止めを行う頭部回り止め突起が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のモジュール支持金具。
【請求項4】
前記固定部材が、
前記設置側金具の前記裏板載置部における前記裏板部の載置側とは反対の裏面にボルト頭部が摺接し、前記設置側金具の前記裏板載置部及び前記枠側金具の前記挟持部をボルト部分が貫通するように、前記挿入間隙に挿入された前記金属枠を避けて前記裏板載置部に立設された固定ボルトと、
前記挟持部を貫通した前記ボルト部分の先端部に螺合されて前記枠側金具を前記設置側金具に締結固定する締結ナットと、を備え、
前記裏板載置部には、前記ボルト部分が貫通する貫通孔が形成されており、
前記貫通孔には、挿入された前記ボルト部分が回り止めされるように、前記貫通孔の内側における周方向の少なくとも一箇所で内側に突出した回り止め突起が設けられていることを特徴とする請求項1~3のうち何れか一項に記載のモジュール支持金具。
【請求項5】
平板状のモジュール本体、及び、当該モジュール本体の外周を保持する金属枠、を有する太陽電池モジュールと、
前記太陽電池モジュールを、所定の設置場所に支持する、請求項1~4のうち何れか一項に記載のモジュール支持金具と、
を備えたことを特徴とする太陽光発電設備。
【請求項6】
前記設置場所における前記設置側金具の取付け位置から離れた支持位置に取り付けられ、前記モジュール本体の前記裏面における、前記金属枠から離れた被支持部分を支持する裏面支持部材を更に備えたことを特徴とする請求項5に記載の太陽光発電設備。
【請求項7】
前記裏面支持部材が、
前記設置側金具と同じ形状を有し、前記支持位置に取り付けられる裏面設置側金具と、
前記モジュール本体及び前記裏面設置側金具よりも柔軟な素材で形成されて前記被支持部分に接する緩衝部材と、
前記緩衝部材及び前記裏面設置側金具の相互間に配置され、前記緩衝部材を前記裏面設置側金具に固定する固定金具と、
を備えたことを特徴とする請求項6に記載の太陽光発電設備。
【請求項8】
平板状のモジュール本体、及び、当該モジュール本体の外周を保持する金属枠、を有する太陽電池モジュールを、請求項1~4のうち何れか一項に記載のモジュール支持金具を少なくとも一対用いて前記設置場所に設置するモジュール施工方法であって、
前記設置場所において前記太陽電池モジュールを間に挟む少なくとも一対の金具設置位置のうち第1設置位置に、一対の前記モジュール支持金具のうちの第1金具を、前記固定部材を介して前記枠側金具が前記設置側金具に固定された完成状態で設置する第1金具設置工程と、
前記第1設置位置に設置された前記第1金具における前記挿入間隙に、前記内側端縁が前記当接突起に当接するように前記金属枠を挿入して前記太陽電池モジュールを前記設置場所に配置するモジュール配置工程と、
前記一対の設置位置のうちの第2設置位置に、一対の前記モジュール支持金具のうちの第2金具を、前記設置側金具との間に前記金属枠を挟むように、前記固定部材を介して前記枠側金具が前記設置側金具に固定された完成状態で設置する第2金具設置工程と、を備えたことを特徴とするモジュール施工方法。
【請求項9】
前記第1金具設置工程及び前記第2金具設置工程は、前記規制突起に押し当てられて前記枠側金具の回り止めを行う回り止め治具を用い、前記枠側金具の回り止めを行いつつ、前記枠側金具を前記設置側金具に固定する工程であることを特徴とする請求項8に記載のモジュール施工方法。
【請求項10】
平板状のモジュール本体、及び、当該モジュール本体の外周を保持する金属枠、を有する太陽電池モジュールを、請求項1~4のうち何れか一項に記載のモジュール支持金具を少なくとも一対用いて前記設置場所に設置するモジュール施工方法であって、
前記設置場所において前記太陽電池モジュールを間に挟む少なくとも一対の金具設置位置のうち第1設置位置に、一対の前記モジュール支持金具のうちの第1金具を、前記固定部材を介して前記枠側金具が前記設置側金具に仮組された仮組状態で設置する第1金具仮組工程と、
前記第1設置位置に設置された前記第1金具における前記挿入間隙に、前記内側端縁が前記当接突起に当接するように前記金属枠を挿入して前記太陽電池モジュールを前記設置場所に配置するモジュール配置工程と、
前記一対の設置位置のうちの第2設置位置に、一対の前記モジュール支持金具のうちの第2金具を、前記設置側金具との間に前記金属枠を挟むように、前記固定部材を介して前記枠側金具が前記設置側金具に仮組された仮組状態で設置する第2金具仮組工程と、
仮組状態の一対の前記モジュール支持金具それぞれにおける前記枠側金具を、前記固定部材を介して前記設置側金具に本組付けする本組工程と、を備えたことを特徴とするモジュール施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールを支持するモジュール支持金具、そのようなモジュール支持金具を利用した太陽光発電設備、及びモジュール施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球環境問題に対する関心の高まりを受けて、温室効果ガスの削減等に効果が期待される太陽光発電が注目されている。太陽光発電設備において太陽電池モジュールを設置する構造は以前より種々知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような太陽電池モジュールの設置場所として建築物の屋根等が挙げられる。そして、このような設置場所としての屋根は、傾斜していたり、高所であったりして、太陽電池モジュールの設置作業に困難さを伴うことが多い。
【0005】
従って、本発明は、上記のような課題に着目し、太陽電池モジュールの設置を容易に行うことができるモジュール支持金具、太陽光発電設備、及びモジュール施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のモジュール支持金具は、平板状のモジュール本体、及び、当該モジュール本体の外周を保持する金属枠、を有する太陽電池モジュールを、所定の設置場所に支持するモジュール支持金具であって、前記金属枠が、前記モジュール本体の前記外周に連結される連結部、前記モジュール本体と交差する方向について前記連結部から前記モジュール本体の受光面とは反対の裏面の側へと延出する側板部、及び、当該側板部における前記連結部とは反対側の端縁から前記裏面に沿って前記モジュール本体の中央側へと延出した裏板部、を有しており、前記設置場所に取り付けられる設置側金具と、前記設置側金具との間に前記金属枠を挟むように、当該金属枠が挿入される挿入間隙を開けて配置される枠側金具と、前記枠側金具を前記設置側金具に固定する固定部材と、を備え、前記設置側金具が、前記金属枠の前記裏板部が載置される裏板載置部と、前記裏板部における前記側板部とは反対側の内側端縁が当接するように前記裏板載置部から突出した当接突起と、を備え、前記枠側金具が、前記裏板載置部との間に前記金属枠を挟む挟持部と、前記挟持部から前記裏板載置部に向かって前記挿入間隙に応じた突出長で突出し、前記挟持部と前記裏板載置部との間隙を前記挿入間隙に規制するとともに前記当接突起との間に前記金属枠を挟む規制突起と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の太陽光発電設備は、平板状のモジュール本体、及び、当該モジュール本体の外周を保持する金属枠、を有する太陽電池モジュールと、前記太陽電池モジュールを、所定の設置場所に支持する、上述したモジュール支持金具と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の第1のモジュール施工方法は、平板状のモジュール本体、及び、当該モジュール本体の外周を保持する金属枠、を有する太陽電池モジュールを、上述のモジュール支持金具を少なくとも一対用いて前記設置場所に設置するモジュール施工方法であって、前記設置場所において前記太陽電池モジュールを間に挟む少なくとも一対の金具設置位置のうち第1設置位置に、一対の前記モジュール支持金具のうちの第1金具を、前記固定部材を介して前記枠側金具が前記設置側金具に固定された完成状態で設置する第1金具設置工程と、前記第1設置位置に設置された前記第1金具における前記挿入間隙に、前記内側端縁が前記当接突起に当接するように前記金属枠を挿入して前記太陽電池モジュールを前記設置場所に配置するモジュール配置工程と、前記一対の設置位置のうちの第2設置位置に、一対の前記モジュール支持金具のうちの第2金具を、前記設置側金具との間に前記金属枠を挟むように、前記固定部材を介して前記枠側金具が前記設置側金具に固定された完成状態で設置する第2金具設置工程と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明の第2のモジュール施工方法は、平板状のモジュール本体、及び、当該モジュール本体の外周を保持する金属枠、を有する太陽電池モジュールを、上述のモジュール支持金具を少なくとも一対用いて前記設置場所に設置するモジュール施工方法であって、前記設置場所において前記太陽電池モジュールを間に挟む少なくとも一対の金具設置位置のうち第1設置位置に、一対の前記モジュール支持金具のうちの第1金具を、前記固定部材を介して前記枠側金具が前記設置側金具に仮組された仮組状態で設置する第1金具仮組工程と、前記第1設置位置に設置された前記第1金具における前記挿入間隙に、前記内側端縁が前記当接突起に当接するように前記金属枠を挿入して前記太陽電池モジュールを前記設置場所に配置するモジュール配置工程と、前記一対の設置位置のうちの第2設置位置に、一対の前記モジュール支持金具のうちの第2金具を、前記設置側金具との間に前記金属枠を挟むように、前記固定部材を介して前記枠側金具が前記設置側金具に仮組された仮組状態で設置する第2金具仮組工程と、仮組状態の一対の前記モジュール支持金具それぞれにおける前記枠側金具を、前記固定部材を介して前記設置側金具に本組付けする本組工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のモジュール支持金具によれば、枠側金具に設けられた規制突起によって、枠側金具の挟持部と設置側金具の裏板載置部との間隙が、両者間に太陽電池モジュールの金属枠を配置しなくとも、当該金属枠の挿入に必要な挿入間隙に規制される。これにより、一部のモジュール支持金具については、太陽電池モジュールの配置前で作業者の作業スペースに余裕がある状態で予め設置し、その後で太陽電池モジュールの金属枠を挿入間隙に挿入して設置する等といった施工作業が可能となる。また、金属枠の挿入間隙への挿入という容易な作業だけで、裏板部の内側端縁に当接する設置側金具の当接突起と枠側金具の規制突起で金属枠が挟まれるので、金属枠、つまりは太陽電池モジュールの位置決めを完了することができる。このように、上記のモジュール支持金具によれば、良好な作業性の下で太陽電池モジュールの設置を容易に行うことができる。また、本発明の太陽光発電設備、第1のモジュール施工方法、及び第2のモジュール施工方法の何れにおいても、本発明のモジュール支持金具が利用されていることから、太陽電池モジュールの設置を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る太陽光発電設備を示す図である。
【
図2】
図1に示されているモジュール支持金具及び基礎部材を、
図1中のエリアAR11を拡大して示す図である。
【
図3】
図1に示されているモジュール支持金具及び基礎部材を、
図2中の矢印V11方向から見た平面図である。
【
図4】
図1~
図3に示されているモジュール支持金具及び基礎部材を表す三面図である。
【
図5】
図4に示されている設置側金具を表す三面図である。
【
図6】
図4に示されている枠側金具を表す三面図である。
【
図7】設置側金具及び枠側金具が基礎部材に取り付けられ、固定部材で固定されて、モジュール支持金具が構成される様子を示す模式図である。
【
図8】締結ナットによる締結時における枠側金具の回り止めを行う回り止め治具を示す図である。
【
図9】
図1~
図8に示されているモジュール支持金具を用いて、
図1に示されている太陽光発電設備を施工するモジュール施工方法におけるステップS111~ステップS113を示す模式図である。
【
図10】モジュール施工方法におけるステップS114~ステップS116を示す模式図である。
【
図11】第2実施形態の太陽光発電設備を示す側面図である。
【
図12】
図11に示されているスレート屋根を対象としたモジュール施工方法におけるステップS211~ステップS213を示す模式図である。
【
図13】モジュール施工方法におけるステップS214~ステップS216を示す模式図である。
【
図14】第3実施形態のモジュール支持金具及び基礎部材を表す、
図4と同様の三面図である。
【
図15】第4実施形態のモジュール支持金具及び基礎部材を表す、
図4と同様の三面図である。
【
図16】
図15に示されている設置側金具及び基礎部材を表す三面図である。
【
図17】第6実施形態のモジュール支持金具及び基礎部材を表す、
図3と同様の平面図である。
【
図18】
図17に示されているモジュール支持金具及び基礎部材を、回り止め治具とともに表す三面図である。
【
図21】
図17及び
図18に示されている設置側金具及び枠側金具が基礎部材に取り付けられ、固定部材で固定されて、モジュール支持金具が構成される様子を示す模式図である。
【
図22】第7実施形態の太陽光発電設備を、
図1と同様の上面図で示した図である。
【
図23】
図22に模式的に示されている裏面支持部材を示す三面図である。
【
図24】
図23に示されている緩衝部材及び固定金具を示す斜視図である。
【
図25】第8実施形態における太陽光発電設備を裏面支持部材に注目して示す図である。
【
図26】第9実施形態における太陽光発電設備を示す図である。
【
図27】
図26に示されている裏面支持部材を、側面図と背面図で示した図である。
【
図28】第10実施形態における太陽光発電設備を示す図である。
【
図29】
図28に示されている裏面支持部材を示す三面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のモジュール支持金具、太陽光発電設備、及びモジュール施工方法の一実施形態について、以下、図面を参照して説明する。先ず、第1実施形態について説明する。
【0013】
図1は、第1実施形態に係る太陽光発電設備を示す図である。
【0014】
本実施形態の太陽光発電設備1は、2枚の太陽電池モジュール10が隣り合って配列されたアレイ構造の設備である。太陽電池モジュール10は、長方形平板状のモジュール本体11、及び、当該モジュール本体11の外周を保持する金属枠12、を有する発電モジュールである。太陽光発電設備1は、設置場所として、傾斜屋根の一種である折板屋根A11が採用されている。この折板屋根A11の上に、2枚の太陽電池モジュール10が6個のモジュール支持金具100と、6個の基礎部材150と、を用いて設置されている。
【0015】
この太陽光発電設備1では、平面視で長方形状を有する太陽電池モジュール10が2枚、各太陽電池モジュール10の短辺が折板屋根A11の傾斜方向D11に短辺が沿うとともに長辺同士が隣り合うように傾斜方向D11に沿って配列されている。これら2枚の太陽電池モジュール10が、基礎部材150を介してモジュール支持金具100によって折板屋根A11の上に支持されている。そして、太陽電池モジュール10は、1つの長辺が2個のモジュール支持金具100及び基礎部材150によって支持されている。具体的には、傾斜方向D11について、軒側端部及び棟側端部それぞれの一の長辺が、2個のモジュール支持金具100及び基礎部材150によって支持される。また、隣り合う2本の長辺が、2個のモジュール支持金具100及び基礎部材150によってまとめて支持される。
【0016】
図2は、
図1に示されているモジュール支持金具及び基礎部材を、
図1中のエリアAR11を拡大して示す図である。また、
図3は、
図1に示されているモジュール支持金具及び基礎部材を、
図2中の矢印V11方向から見た平面図である。
【0017】
本実施形態の太陽光発電設備1では、傾斜方向D11に対する直交断面が略台形状となるように折り曲げられた折板屋根A11の、台形頂部A111に基礎部材150が固定され、モジュール支持金具100は、この基礎部材150に取り付けられる。基礎部材150は、金属板を折り曲げる板金加工によって、一面にレール溝151における溝スリット152が開口した四角筒状に形成されたレール部材となっている。基礎部材150は、レール溝151が折板屋根A11の傾斜方向D11に沿って延在するように折板屋根A11の台形頂部A111に接着シート153を介して接着固定される。この基礎部材150のレール溝151に嵌合するようにモジュール支持金具100が取り付けられる。
【0018】
モジュール支持金具100は、設置側金具110と、枠側金具120と、固定部材130と、を備えている。設置側金具110は、上記の基礎部材150を介して設置場所たる折板屋根A11の台形頂部A111に取り付けられる板金加工金具である。枠側金具120は、設置側金具110との間に太陽電池モジュール10の金属枠12を挟むように、当該金属枠12が挿入される挿入間隙T11を開けて配置される板金加工金具である。固定部材130は、枠側金具120を設置側金具110に固定する部材であって、固定ボルト131と、締結ナット132とを備えている。
【0019】
ここで、モジュール支持金具100及び基礎部材150の更なる説明に先立って、先ず、太陽電池モジュール10の金属枠12の構成について説明する。金属枠12は、長方形平板状のモジュール本体11の外周を保持する長方形額縁状の枠である。そして、この金属枠12が、連結部12a、側板部12b、及び裏板部12c、を有している。連結部12aは、モジュール本体11の外周に連結される部位である。側板部12bは、モジュール本体11と交差する方向について連結部12aからモジュール本体11の受光面11aとは反対の裏面11bの側へと直角に延出する部位である。そして、裏板部12cは、側板部12bにおける連結部12aとは反対側の端縁からモジュール本体11の裏面11bに沿ってモジュール本体11の中央側へと直角に延出した部位である。
【0020】
このような太陽電池モジュール10の金属枠12が、折板屋根A11の上の基礎部材150に取り付けられたモジュール支持金具100によって支持される。
【0021】
図4は、
図1~
図3に示されているモジュール支持金具及び基礎部材を表す三面図である。また、
図5は、
図4に示されている設置側金具を表す三面図であり、
図6は、
図4に示されている枠側金具を表す三面図である。
【0022】
基礎部材150に取り付けられるモジュール支持金具100は、上述したように設置側金具110と、枠側金具120と、固定部材130と、を備えている。設置側金具110は、基礎部材150に取り付けられる部材であって、裏板載置部111と、当接突起112と、を備えている。
【0023】
裏板載置部111は、基礎部材150のレール溝151の一端開口151aから当該レール溝151へと差込み嵌入される。そして、溝スリット152からレール溝151の深さ方向について一部が露出し、その露出した部分に、金属枠12の裏板部12cが載置されるように構成されている。裏板載置部111は、中央突条部分111aと、一対の側端部111bと、一対の当接端部111cと、を備えている。中央突条部分111aは、長方形帯状の部分と、その一対の長辺から直角に折下げられた側壁部分とで突条に構成される部位である。一対の側端部111bは、中央突条部分111aにおける一対の側壁部分の各下端縁から左右に延出した部位であり、基礎部材150のレール溝151の内部において後述の支持突起154によって溝底151b側から支持される。一対の当接端部111cは、一対の側端部111bそれぞれの端縁における中央の所定長さの部分が直角に折起こされた部位であり、基礎部材150のレール溝151の内部において後述のストッパ突起155に当接する。また、中央突条部分111aにおける長手方向の両端部には、後述の当接突起112とともに、頂部が平坦な台地状に膨出して金属枠12の裏板部12cに接触する接面部111dが設けられている。裏板部12cは、基礎部材150に取り付けられた設置側金具110における接面部111dと、その幅方向の両側に位置する基礎部材150の上面部分との上に載置される。
【0024】
当接突起112は、裏板部12cが上記のように載置されたとき、
図2及び
図3に示されているように当該裏板部12cにおける側板部12bとは反対側の内側端縁12c-1が当接するように裏板載置部111から突出した部位である。本実施形態では、当接突起112は、設置側金具110における中央突条部分111aにおける長手方向の両端部に上記の接面部111dとともに台地状に膨出して一対が形成されている。各当接突起112は、接面部111dよりも高くなるように形成され、接面部111dに載置された裏板部12cの内側端縁12c-1が当接するように構成されている。
【0025】
以上に説明した設置側金具110とともにモジュール支持金具100を構成する枠側金具120は、挟持部121と、規制突起122と、を備えている。挟持部121は、裏板載置部111との間に金属枠12を挟む部位である。また、規制突起122は、挟持部121から裏板載置部111に向かって上記の挿入間隙T11に応じた突出長L11で突出し、挟持部121と裏板載置部111との間隙を挿入間隙T11に規制する部位である。更に、規制突起122は、
図3に示されているように、設置側金具110における当接突起112との間に金属枠12を挟む。この規制突起122は、挟持部121からの突出方向D12に対する直交断面がL字状に形成され、挟持部121に対する平面視で当該挟持部121の中央を挟んで線対称となるように一対が形成されている。
【0026】
枠側金具120は、このような挟持部121及び規制突起122が一体となって折曲げ加工によって形成された板金加工部品である。挟持部121は略矩形板状に形成され、その対向一対の側縁から突出方向D12に折下げられ、更に突出方向D12に沿った折り目で挟持部121の中央側に略直角に折り曲げられることで、断面L字状の一対の規制突起122が形成される。また、挟持部121は、一端部に、裏板載置部111から離れるように折上げられた形状の庇部123が形成されている。
【0027】
固定部材130は、上述したように固定ボルト131及び締結ナット132を備えている。固定ボルト131は、設置側金具110の裏板載置部111における裏板部12cの載置側とは反対の裏面にボルト頭部131aが摺接するように配置される。そして、裏板載置部111及び挟持部121をボルト部分131bが貫通するように、挿入間隙T11への金属枠12の挿入エリアを避け、回り止めされた状態で固定ボルト131が裏板載置部111に立設されている。
【0028】
枠側金具120の挟持部121には、ボルト部分131bの貫通孔124が略中央に形成されている。他方、設置側金具110の裏板載置部111では、中央突条部分111aの略中央に、ボルト部分131bが貫通する貫通孔111eが形成されている。更に、この貫通孔111eには、挿入されたボルト部分131bが回り止めされるように、貫通孔111eの内側における周方向の4箇所で内側に突出した回り止め突起111fが設けられている。これら4つの回り止め突起111fは、ボルト部分131bが挿入された後にポンチ加工によって形成される。尚、ボルト部分の貫通孔に設ける回り止め突起は、周方向について少なくとも一箇所に設けられていればよく、その設置数は4箇所に限るものではない。即ち、回り止め突起の設置数は、本実施形態とは異なり、一箇所~三箇所、あるいは5箇所以上等というように適宜に設定された数であってもよい。
【0029】
また、本実施形態では、固定ボルト131として、ボルト頭部131aが六角形柱状を有するものが採用されている。そして、裏板載置部111の裏面には、ボルト頭部131aにおける側面に当接するように突出してボルト頭部131aの回り止めを行う頭部回り止め突起111gが設けられている。この頭部回り止め突起111gは、上記の4つの回り止め突起111fとは異なり、固定ボルト131の取付け前に、貫通孔111e等と共に事前に加工されている。また、ボルト頭部は、六角形柱状に限るものではなく、その形状は、本実施形態とは異なり、四角柱柱状や八角形柱状等というように他の多角形柱状であってもよい。そして、頭部回り止め突起についても、多角形柱状の側面に当接してボルト頭部の回り止めを行うものであれば、その設置数は一箇所、あるいは三箇所以上等というように適宜に設定し得るものである。
【0030】
更に、裏板載置部111における両端部の接面部111dには、裏板載置部111に載置された裏板部12cを押し上げるように突出し、金属枠12を枠側金具120の挟持部121に押圧する押圧突起111hが設けられている。本実施形態では、この押圧突起111hが、裏面側からのバーリング加工によって開けられる貫通孔の縁の周壁として形成される。
【0031】
そして、設置側金具110及び枠側金具120が基礎部材150に次のように取り付けられ、固定部材130で固定されて、モジュール支持金具100が構成される。
【0032】
図7は、設置側金具及び枠側金具が基礎部材に取り付けられ、固定部材で固定されて、モジュール支持金具が構成される様子を示す模式図である。
【0033】
モジュール支持金具100が構成されるに当たっては、まず、レール部材たる基礎部材150の一端開口151aからレール溝151に設置側金具110の裏板載置部111が、図中に矢印で示されている差込み方向D13に差込み嵌入される。このとき、レール溝151における対向一対の内側面それぞれには、3つの支持突起154と、1つのストッパ突起155と、が設けられている。3つの支持突起154は、
図4に示されているように内向きに突出して差込み方向D13に3つが配列されて形成されている。これら3つの支持突起154は、一端開口151aから差込み嵌入される裏板載置部111の、溝底151b側への移動を規制するように、裏板載置部111における一対の側端部111bを溝底151b側から棚状に支える。このときの支持位置では、当接突起112及び接面部111dは、レール溝151の内部に沈み込んだ状態となる。1つのストッパ突起155は、基礎部材150が傾斜屋根たる折板屋根A11の上に固定されたときに傾斜方向D11について支持突起154よりも低くなる位置に、
図4に示されているように内向きに突出して形成されている。このストッパ突起155は、傾斜方向D11の低位側への裏板載置部111のスライド移動を規制するように、この低位側から裏板載置部111における一対の当接端部111cに当接する。
【0034】
このようにしてレール溝151に裏板載置部111が差込み嵌入されると、次に溝スリット152から突出している固定ボルト131のボルト部分131bが挟持部121の貫通孔124(
図6参照)を貫通するように、枠側金具120が取り付けられる。その後、締結ナット132がボルト部分131bに螺合されて枠側金具120が設置側金具110に締結固定される。このときには、挟持部121から突出した規制突起122の先端が、突き当て対象物たる基礎部材150における溝スリット152の両側の上壁156の上面に突き当たることで、挟持部121と裏板載置部111との間隙が上述の挿入間隙T11に規制される。このとき、締結ナット132の螺合によって裏板載置部111は、一対の当接端部111cにおける上端縁111c-1が基礎部材150における上壁156の裏面に突き当たるまで引き上げられる。当接端部111cの上端縁111c-1が上壁156の裏面に突き当たった状態では、当接突起112及び接面部111dが溝スリット152から突出して、太陽電池モジュール10の金属枠12の裏板部12cや、その内側端縁12c-1が当接可能となる。
【0035】
ここで、本実施形態では、締結ナット132による締結時に枠側金具120が固定ボルト131のボルト軸131cまわりに回転してしまわないように、以下に説明する回り止め治具が用いられる。
【0036】
図8は、締結ナットによる締結時における枠側金具の回り止めを行う回り止め治具を示す図である。
【0037】
この
図8に示されているように、回り止め治具140は、締結ナット132の締結時に枠側金具120における一対の規制突起122に押し当てられて枠側金具120の回り止めを行う治具部材である。この回り止め治具140は、断面C字状に折り曲げ形成された板金加工部材であり、一対の規制突起122に押し当てられるように基礎部材150に被せられる。この状態で締結ナット132の締結が行われるが、締結時の引き上げによってレール溝151の溝スリット152から突出する当接突起112及び接面部111dと干渉しないように、回り止め治具140には、干渉除けの貫通孔141が形成されている。
【0038】
次に、本実施形態のモジュール支持金具100を用いたモジュール施工方法について説明する。
【0039】
図9は、
図1~
図8に示されているモジュール支持金具を用いて、
図1に示されている太陽光発電設備を施工するモジュール施工方法におけるステップS111~ステップS113を示す模式図である。また、
図10は、モジュール施工方法におけるステップS114~ステップS116を示す模式図である。尚、これらの
図9及び
図10では、設置場所たる折板屋根A11については図示が省略されている。
【0040】
モジュール施工方法のステップS111では、
図1に示されている折板屋根A11における6個所のうち最も低位側の軒側に固定された2つの基礎部材150それぞれに、モジュール支持金具100が取り付けられる。この取付けでは、まず、各基礎部材150のレール溝151に各モジュール支持金具100の設置側金具110における裏板載置部111が差込み方向D13に差込み嵌入される。この差込み嵌入は、裏板載置部111が支持突起154によって支持されてストッパ突起155に当接するまで行われる。その後、固定部材130における固定ボルト131のボルト部分131bが挟持部121を貫通し、規制突起122が基礎部材150の上壁156に当接するように、枠側金具120が取付け方向D14に取り付けられる。更に、締結ナット132が、トルク締め前の状態で軽くボルト部分131bに螺合される。
【0041】
次のステップS112では、各モジュール支持金具100における締結ナット132のトルク締めが順次に行われるが、各トルク締めは、規制突起122に突き当てるように回り止め治具140が基礎部材150に被せられて行われる。この回り止め治具140の突き当てによってトルク締めの際における枠側金具120の回転が止められ、枠側金具120が設置側金具110に締結固定される。このとき、棟側における隣の基礎部材150は、モジュール支持金具100が装着の状態となっている。
【0042】
ここまでのステップS111及びS112が、次のような第1金具設置工程となっている。まず、
図1に示されているように、本実施形態におけるモジュール施工方法は、太陽電池モジュール10を、モジュール支持金具100を太陽電池モジュール10の1枚につき2対用いて折板屋根A11に設置するモジュール施工方法である。そして、太陽電池モジュール10を間に挟む二対の金具設置位置のうち軒側の第1設置位置に、各対のモジュール支持金具100のうちの第1金具を設置する工程となっている。また、この工程は、回り止め治具140が用いられ、枠側金具120の回り止めを行いつつ、枠側金具120が設置側金具110に固定された完成状態でモジュール支持金具100が設置される。
【0043】
ステップS111及びS112の第1金具設置工程に続くステップS113は、2枚の太陽電池モジュール10のうち軒側の1枚が配置されるモジュール配置工程となっている。このステップS113では、第1金具たるモジュール支持金具100の挿入間隙T11に、内側端縁12c-1が当接突起112に当接するように金属枠12が挿入されて太陽電池モジュール10が配置される。また、このときには、太陽電池モジュール10の棟側端部は、モジュール支持金具100が未装着の棟側の基礎部材150の上に載置される。このステップS113の作業をより具体的に説明すると、作業者は、まず、棟側端部を若干持ち上げて太陽電池モジュール10を斜めに保持する。そして、作業者は、その斜めの状態のまま、金属枠12の軒側を規制突起122に当接するまで挿入間隙T11へと挿入する。このような斜めの挿入により、設置側金具110における押圧突起111hや当接突起112と干渉しないように金属枠12の軒側が挿入間隙T11に挿入されることとなる。このような斜めの挿入作業の後、作業者は、持ち上げていた太陽電池モジュール10の棟側端部を棟側の基礎部材150の上まで降ろす。この棟側降下によって、金属枠12の棟側における内側端縁12c-1が当接突起112に当接して棟側へと引いても抜けない状態になるとともに、押圧突起111hによって金属枠12の棟側が上方へと押し上げられて枠側金具120の挟持部121に押圧される。
【0044】
ステップS113のモジュール配置工程の次に、ステップS114及びステップS115が実行されて、棟側の基礎部材150にモジュール支持金具100を設置する第2金具設置工程が行われる。まず、ステップS114では、棟側の2つの基礎部材150それぞれに、太陽電池モジュール10の金属枠12における棟側に隣接するように設置側金具110が取り付けられる。設置側金具110は、裏板載置部111が差込み方向D13に基礎部材150のレール溝151に差込み嵌入されることで取り付けられる。ステップS115では、固定ボルト131のボルト部分131bに挟持部121が貫通されるとともに規制突起122が基礎部材150に当接するように、枠側金具120が取付け方向D14に取り付けられる。その後、締結ナット132が螺合され、回り止め治具140によって枠側金具120が回り止めされた状態で、締結ナット132がトルク締めされる。このトルク締めによって、枠側金具120が設置側金具110に固定される。以上に説明したステップS114及びステップS115によって、太陽電池モジュール10を挟む二対の金具設置位置のうちの棟側の第2設置位置に、棟側のモジュール支持金具100(第2金具)が完成状態で設置されることとなる。
【0045】
続くステップS116では、ステップS114及びステップで設置された軒側の太陽電池モジュール10を支持する棟側のモジュール支持金具100を、今度は棟側の太陽電池モジュール10を支持する軒側のモジュール支持金具100として用いる。即ち、このモジュール支持金具100における設置側金具110と枠側金具120との間の挿入間隙T11に棟側の太陽電池モジュール10の金属枠12が挿入される。この挿入は上述したステップ113と同様に、内側端縁12c-1が当接突起112に当接するように行われる。この後、図示は省略するが、ステップ114及びステップS115と同じ作業が繰り返されて、棟側の太陽電池モジュール10を支持する棟側のモジュール支持金具100が設置される。この棟側のモジュール支持金具100の設置を以て、
図1に示されている太陽光発電設備1が完成する。
【0046】
以上に説明した第1実施形態のモジュール支持金具100、太陽光発電設備1、及びモジュール施工方法によれば、次のような効果を得ることができる。即ち、枠側金具120の規制突起122によって、挟持部121と設置側金具110の裏板載置部111との間隙が、両者間に太陽電池モジュール10の金属枠12を配置しなくとも、当該金属枠12の挿入に必要な挿入間隙T11に規制される。これにより、軒側の2つのモジュール支持金具100については、太陽電池モジュール10の配置前で作業者の作業スペースに余裕がある状態で予め設置し、その後で太陽電池モジュール10の金属枠12を挿入間隙T11に挿入して設置する施工作業が可能となる。また、金属枠12が挿入間隙T11へ挿入されると、裏板部12cの内側端縁12c-1に当接する設置側金具110の当接突起112と枠側金具120の規制突起122で金属枠12が挟まれる。これにより、金属枠12の挿入という容易な作業によって、金属枠12、つまりは太陽電池モジュール10の位置決めを完了することができる。このように、上記のモジュール支持金具100によれば、良好な作業性の下で太陽電池モジュール10の設置を容易に行うことができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、太陽光発電設備1の施工後のメンテナンスにおいて太陽電池モジュール10の交換が必要となった際に、次のように良好な作業性の下で容易にモジュール交換を行うことができる。即ち、本実施形態では、交換対象の太陽電池モジュール10の棟側のモジュール支持金具100における枠側金具120を外し、交換対象の太陽電池モジュール10の棟側を持ち上げて斜め上方に引き抜くだけで当該太陽電池モジュール10を取り外すことができる。そして、その取外しによって開いたスペースに新品の太陽電池モジュール10を、棟側を持ち上げて斜めに差し入れ、その軒側を降ろし、上述の取外し時に除かれた枠側金具120を改めて取り付けることで交換作業が終了する。このように、本実施形態によれば、交換対象以外の他の太陽電池モジュール10を動かさなくてもよいという良好な作業性の下で、容易にモジュール交換を行うことができる。
【0048】
ここで、本実施形態では、裏板載置部111には、当該裏板載置部111に載置された裏板部12cを押し上げるように突出し、金属枠12を挟持部121に押圧する押圧突起111hが設けられている。この構成によれば、挿入間隙T11に挿入された金属枠12が押圧突起111hによって挟持部121に押圧されるので、モジュール支持金具100における支持強度を向上させることができる。
【0049】
また、本実施形態では、固定部材130が、固定ボルト131と、締結ナット132とを備えている。そして、固定ボルト131のボルト頭部131aが多角形柱状を有しており、裏板載置部111の裏面には、ボルト頭部131aの回り止めを行う頭部回り止め突起111gが設けられている。この構成によれば、まず、固定ボルト131と締結ナット132という作業性の良好な部品を備えた固定部材130を採用することで、枠側金具120の設置側金具110への固定作業について作業性を向上させることができる。その上で、多角形柱状のボルト頭部131aの側面に当接する頭部回り止め突起111gによって、締結ナット132による締結作業において固定ボルト131の軸回りの意図せぬ回転を止めることができるので、固定作業の作業性を一層向上させることができる。
【0050】
また、本実施形態では、裏板載置部111には、ボルト部分131bが貫通する貫通孔111eが形成されている。そして、この貫通孔111eには、挿入されたボルト部分131bが回り止めされるように、貫通孔111eの内側における周方向の4箇所で内側に突出した回り止め突起111fが設けられている。この構成によれば、貫通孔111eの内側に4箇所設けられた回り止め突起111fによって、締結作業において固定ボルト131の軸回りの意図せぬ回転を止めることができるので、固定作業の作業性を一層向上させることができる。
【0051】
また、本実施形態では、挟持部121は、一端部に、裏板載置部111から離れるように折上げられた形状の庇部123が形成されている。この構成によれば、挟持部121に上記の庇部123が設けられている側を金属枠12の挿入側とすることで、その挿入口が、挿入し易い広口形状となるので、金属枠12、つまりは太陽電池モジュール10の設置について作業性を向上させることができる。
【0052】
また、規制突起122は、挟持部121からの突出方向に対する直交断面がL字状に形成された部位となっている。この構成によれば、例えば規制突起122を円柱状、角柱状、パイプ状等に形成する場合に比べて、枠側金具120の重量の増大を抑えつつ規制突起122の強度を向上させることがきる。
【0053】
また、本実施形態では、枠側金具120には規制突起122が一対形成されている。この構成によれば、一対の規制突起122によって規制される、枠側金具120と設置側金具110との挿入間隙T11の維持強度を向上させることがきる。
【0054】
また、本実施形態では、設置側金具110が、設置場所たる折板屋根A11に固定される基礎部材150を介して折板屋根A11に取り付けられるものとなっている。この構成によれば、設置場所の形状や状態等に適した基礎部材を用意することで、種々の設置場所に対して設置側金具110、つまりはモジュール支持金具100を共通して取り付けることができる。これにより、モジュール支持金具100の汎用性を向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態では、基礎部材150は、設置側金具110の裏板載置部111が一端開口151aから差込み嵌入されるレール溝151が設けられ、当該レール溝151が折板屋根A11の傾斜方向D11に沿って延在するように固定されるレール部材となっている。また、レール溝151における対向一対の内側面それぞれには、支持突起154とストッパ突起155が設けられている。支持突起154は、一端開口151aから差込み嵌入される裏板載置部111の、溝底151b側への移動を規制するように、内向きに突出して溝底151b側から裏板載置部111を棚状に支える部位である。ストッパ突起155は、傾斜方向D11について支持突起154よりも低くなる位置で更なる低位側への裏板載置部111のスライド移動を規制するように、内向きに突出して低位側から裏板載置部111に当接する部位である。そして、裏板載置部111には、レール溝151の内部において支持突起154に支持される一対の側端部111bと、ストッパ突起155に当接する一対の当接端部111cと、が設けられている。この構成によれば、基礎部材150のレール溝151への裏板載置部111の差込み嵌入を、支持突起154に一対の側端部111bが支えられることで、溝底151b側への裏板載置部111の落込み等が効果的に回避されたスライドによって行うことができる。また、ストッパ突起155に一対の当接端部111cが当接することで、裏板載置部111が傾斜方向D11に滑って基礎部材150から抜け落ちてしまう等といった事態を効果的に回避することができる。
【0056】
また、
図1に示されている本実施形態の太陽光発電設備1における太陽電池モジュール10の支持に上述したモジュール支持金具100が利用されるので、良好な作業性の下で太陽電池モジュール10の設置を容易に行うことができる。
【0057】
また、
図9及び
図10を参照して説明した本実施形態のモジュール施工方法によれば、上述したモジュール支持金具100が用いられて設置場所に太陽電池モジュール10が支持される。従って、本実施形態のモジュール施工方法によれば、良好な作業性の下で太陽電池モジュール10の設置を容易に行うことができる。
【0058】
また、このモジュール施工方法を繰り返すことで、良好な作業性の下で、太陽電池モジュール10を次のように複数枚(本実施形態では2枚)配列することができる。即ち、太陽電池モジュール10を支持した一対のモジュール支持金具100のうちの一方が、その隣に配置する2枚目の太陽電池モジュール10を支持するための、完成状態で設置された第1金具と看做すことができる。つまり、1枚目の太陽電池モジュール10の設置が終了した状態は、2枚目の太陽電池モジュール10の設置における第1金具設置工程が完了した状態と看做すことができる。このため、上記のモジュール配置工程及び第2金具設置工程を続けて行うことで、最初の1枚目の太陽電池モジュール10と同様に2枚目の太陽電池モジュール10の設置を行うことができる。このように、設置済みの太陽電池モジュール10におけるモジュール支持金具100を、次の太陽電池モジュール10に対する第1金具と看做してモジュール施工方法を繰り返すことで、太陽電池モジュール10を複数枚配列することができる。
【0059】
ここで、本実施形態では、第1金具設置工程(ステップS11及びステップS12)及び第2金具設置工程(ステップS14及びステップS14)では、回り止め治具140を用いて枠側金具120の回り止めを行いつつ、枠側金具120の固定が行われる。この構成によれば、回り止め治具140を用いて枠側金具120の回り止めを行いつつ枠側金具120を設置側金具110に固定することで、固定作業の作業性を向上させることができる。
【0060】
次に第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、設置場所たる屋根と、この屋根にモジュール支持金具100を固定するための基礎部材が異なる他は、
図1~
図10を参照して説明した第1実施形態と同様である。以下、第2実施形態について、この第1実施形態との相違点に注目して説明する。
【0061】
図11は、第2実施形態の太陽光発電設備を示す側面図である。
【0062】
この
図11に示されている第2実施形態の太陽光発電設備2は、その設置場所が、傾斜屋根の一種であるスレート屋根A21となっている。そして、モジュール支持金具100を固定するための基礎部材250が、このスレート屋根A21への設置に対応した部材となっている。この基礎部材250がスレート屋根A21の上に固定され、その基礎部材250にモジュール支持金具100が取り付けられ、そのモジュール支持金具100によって太陽電池モジュール10が支持される。
【0063】
次に、本実施形態におけるスレート屋根A21を対象としたモジュール施工方法について説明する。
【0064】
図12は、
図11に示されているスレート屋根を対象としたモジュール施工方法におけるステップS211~ステップS213を示す模式図である。また、
図13は、モジュール施工方法におけるステップS214~ステップS216を示す模式図である。尚、これらの
図12及び
図13では、スレート屋根A21については図示が省略されている。
【0065】
モジュール施工方法のステップS211では、
図11に示されているスレート屋根A21における軒側の基礎部材250それぞれに、モジュール支持金具100が取り付けられる。この取付けでは、まず、基礎部材250に設置側金具110における裏板載置部111が差込み方向D13に差込み嵌入される。その後、固定ボルト131が挟持部121を貫通し、規制突起122が基礎部材250に当接するように、枠側金具120が取付け方向D14に取り付けられる。更に、締結ナット132が、トルク締め前の状態で軽くボルト部分131bに螺合される。
【0066】
次のステップS212では、回り止め治具140によって枠側金具120の回転が止められた状態で締結ナット132のトルク締めが行われ、枠側金具120が設置側金具110に締結固定される。このとき、棟側における隣の基礎部材250は、モジュール支持金具100が未装着の状態となっている。
【0067】
ここまでのステップS211及びS212が、軒側の第1設置位置に軒側のモジュール支持金具100である第1金具を設置する第1金具設置工程となっている。
【0068】
ステップS211及びS212の第1金具設置工程に続くステップS213は、軒側の太陽電池モジュール10が配置されるモジュール配置工程となっている。このステップS213では、第1金具たるモジュール支持金具100の挿入間隙T11に、内側端縁12c-1が当接突起112に当接するように金属枠12が挿入されて太陽電池モジュール10が配置される。また、このときには、太陽電池モジュール10の棟側端部は、モジュール支持金具100が未装着の棟側の基礎部材250の上に載置される。具体的には、太陽電池パネル10の棟側が持ち上げられて若干斜めに保持された状態で金属枠12が挿入間隙T11に挿入され、その後、棟側が基礎部材250の上に降ろされることで、太陽電池パネル10が配置される。この降下時に、金属枠12の内側端縁12c-1が当接突起112に当接して位置決めされることとなる。
【0069】
ステップS213のモジュール配置工程の次に、ステップS214及びステップS215が実行されて、棟側の基礎部材250にモジュール支持金具100を設置する第2金具設置工程が行われる。まず、ステップS214では、棟側の2つの基礎部材250それぞれに、太陽電池モジュール10の金属枠12における棟側に隣接するように設置側金具110が取り付けられる。ステップS214では、設置側金具110の裏板載置部111が差込み方向D13に基礎部材250に差込み嵌入される。次のステップS215では、枠側金具120が、固定ボルト131が挟持部121を貫通し、規制突起122が基礎部材250に当接するように取付け方向D14に取り付けられる。その後、締結ナット132が固定ボルト131に螺合され、回り止め治具140によって枠側金具120が回り止めされた状態で、締結ナット132がトルク締めされる。このトルク締めによって、枠側金具120が設置側金具110に固定される。以上に説明したステップS214及びステップS215によって、棟側の第2設置位置に棟側のモジュール支持金具100(第2金具)が完成状態で設置されることとなる。
【0070】
続くステップS216では、ステップS214及びステップで設置された棟側のモジュール支持金具100における設置側金具110と枠側金具120との間の挿入間隙T11に、棟側の2枚目の太陽電池モジュール10の金属枠12が挿入される。この挿入は上述したステップ113と同様に、内側端縁12c-1が当接突起112に当接するように行われる。この後、図示は省略するが、ステップS214及びステップS215と同じ作業が繰り返されて、棟側の太陽電池モジュール10を支持する棟側のモジュール支持金具100が設置される。この棟側のモジュール支持金具100の設置を以て、
図11に示されている太陽光発電設備2が完成する。
【0071】
以上に説明した第2実施形態でも、上述の第1実施形態と同様に、良好な作業性の下で太陽電池モジュール10の設置を容易に行えることは言うまでもない。
【0072】
次に第3実施形態について説明する。この第3実施形態は、枠側金具の形状が上述の第1実施形態と異なっている。以下、第3実施形態について、この第1実施形態との相違点に注目して説明する。他方で、太陽光発電設備や施工方法等については、第1実施形態と略同じであるので、図示や説明を省略する。
【0073】
図14は、第3実施形態のモジュール支持金具及び基礎部材を表す、
図4と同様の三面図である。尚、この
図14では、
図4に示されている第1実施形態の構成要素と同等な構成要素には、
図4と同じ符号が付されており、以下では、それら同等な構成要素についての重複説明を割愛する。
【0074】
この第3実施形態のモジュール支持金具300では、枠側金具320における一対の規制突起322は、その突出端部が、規制端部322aと、回り止め端部322bと、を有して形成されている。規制端部322aは、突き当て対象物たる基礎部材150の上壁156に突き当たることで枠側金具320と設置側金具110との間隙を第1実施形態の場合と同様に規制する部位である。回り止め端部322bは、この規制端部322aから更に延出し、基礎部材150の上壁156近傍の側面に当接することで枠側金具320の回り止めを行う。
【0075】
以上に説明した第3実施形態でも、上述の第1実施形態と同様に、良好な作業性の下で太陽電池モジュール10の設置を容易に行えることは言うまでもない。
【0076】
また、本実施形態では、規制突起322における突出端部が規制端部322aと回り止め端部322bとを有して形成されている。この構成によれば、枠側金具320の回り止めを行うに当たり、第1実施形態において説明した回り止め治具140等が不要となるので作業コストを低減させることができる。
【0077】
次に第4実施形態について説明する。この第4実施形態は、設置場所たる屋根、及び基礎部材及び設置側金具の形状が上述の第1実施形態と異なっている。以下、第4実施形態について、この第1実施形態との相違点に注目して説明する。他方で、太陽光発電設備や施工方法等については、第1実施形態と略同じであるので、図示や説明を省略する。
【0078】
図15は、第4実施形態のモジュール支持金具及び基礎部材を表す、
図4と同様の三面図である。また、
図16は、
図15に示されている設置側金具及び基礎部材を表す三面図である。尚、この
図15及び
図16では、
図4に示されている第1実施形態の構成要素と同等な構成要素には、
図4と同じ符号が付されており、以下では、それら同等な構成要素についての重複説明を割愛する。
【0079】
第4実施形態では、太陽電池モジュール10の設置場所が、ハゼ式折板屋根A41の上であり、基礎部材が、ハゼ式折板屋根A41におけるハゼA411に取り付けられるハゼ掴み金具450となっている。そして、本実施形態では、設置側金具410は、ハゼ掴み金具450におけるハゼA411への取付け部451とは反対側に、金属枠12が裏板載置部411へと載置可能に、板金加工により一体形成されている。
【0080】
ハゼA411への取付け部451は、
図16に示されているように開閉自在の一対の腕部であり、ハゼA411を左右両側から挟み、取付け部451を貫通するボルト452で締め付けることでハゼA111に固定される。本実施形態のモジュール支持金具400の設置側金具410における裏板載置部411は、一対の腕部である取付け部451の上端を繋ぐ平坦な頂部が、ハゼA411に沿うように長方形帯板状に延在した部位となっている。この裏板載置部411の両端部に、太陽電池モジュール10の金属枠12における内側端縁12c-1に当接する当接突起412、金属枠12との接触面411d、及び金属枠12を枠側金具120へと押し上げる押圧突起411hが設けられている。裏板載置部411の裏面には、ボルト頭部131aを回り止めする頭部回り止め突起411gが形成され、固定ボルト131を取り付けるための中央の貫通孔には、固定ボルト131の回り止め突起411fが、第1実施形態と同様に4箇所に設けられている。
【0081】
本実施形態では、ハゼ掴み金具450がハゼA411に取り付けられることで、自動的に設置側金具410もハゼ式折板屋根A41に取り付けられることとなる。そして、第1実施形態と同様の手順で枠側金具120が取り付けられ、固定部材130の固定ボルト131に締結ナット132が螺合されてトルク締めされることでモジュール支持金具400が完成する。その後は、第1実施形態と同様に太陽電池モジュール10の金属枠12が順次に挿入されて、ハゼ式折板屋根A41の上に太陽電池モジュール10が配列された太陽光発電設備が完成することとなる。
【0082】
以上に説明した第4実施形態でも、上述の第1実施形態と同様に、良好な作業性の下で太陽電池モジュール10の設置を容易に行えることは言うまでもない。
【0083】
また、本実施形態では、モジュール支持金具400における設置側金具411が、ハゼ掴み金具450におけるハゼA411への取付け部451とは反対側に一体形成されたものとなっている。この構成によれば、ハゼ式折板屋根A41の上に太陽電池モジュール10を設置する際に必要な基礎部材としてのハゼ掴み金具450と、モジュール支持金具400における設置側金具411が一体形成されているので部品点数を低減させることができる。
【0084】
次に第5実施形態について説明する。この第5実施形態は、モジュール施工方法が第1実施形態と異なるのみで、各種部材や設置場所等は第1実施形態と同様である。以下、第5実施形態について、この第1実施形態との相違点に注目して説明する。また、以下の説明では、第5実施形態のモジュール施工方法について図示は割愛し、
図9及び
図10に示されている第1実施形態のモジュール施工方法を適宜に参照する。
【0085】
この第5実施形態のモジュール施工方法では、基礎部材150を介してモジュール支持金具100を設置するステップS111及びステップS112と、ステップS114及びステップS115が、何れもトルク締めを行わない仮組工程となっている。即ち、ステップS111及びステップS112が、トルク締めを行わず締結ナット132が緩めに締結されて枠側金具120が設置側金具110に仮組された仮組状態で第1金具である軒側のモジュール支持金具100を設置する第1金具仮組工程となっている。また、ステップS114及びステップS115は、第2金具である棟側のモジュール支持金具100が同様の仮組状態で設置される第2金具仮組工程となっている。
【0086】
そして、本実施形態では、2枚の太陽電池モジュール10を支持する6個のモジュール支持金具100が何れも仮組状態で設置された後に、次のような本組工程が行われる。この本組工程は、仮組状態の6個のモジュール支持金具100それぞれにおける枠側金具120を各締結ナット132のトルク締めにより設置側金具110に本組付けする工程となっている。また、本実施形態では、上記の第1金具仮組工程及び第2金具仮組工程において、上述の回り止め治具140が用いられて枠側金具120が設置側金具110に組付けられる。尚、本組工程では、太陽電池モジュール10の金属枠12に枠側金具120の規制突起122が当接している。この当接によって既に回り止めされた状態となっているので、本実施形態では本組工程において回り止め治具140を用いないこととしているが、念のために回り止め治具140を用いることとしてもよい。
【0087】
以上に説明した第5実施形態でも、上述の第1実施形態と同様に、良好な作業性の下で太陽電池モジュール10の設置を容易に行えることは言うまでもない。
【0088】
また、本実施形態によれば、第2金具仮組工程を繰り返すことで、良好な作業性の下で、太陽電池モジュール10を次のように複数枚配列することができる。即ち、太陽電池モジュール10を仮組状態で支持した一対のモジュール支持金具100のうちの一方が、2枚目の太陽電池モジュール10を支持するための、仮組状態で設置された第1金具と看做すことができる。つまり、1枚目の太陽電池モジュール10の第2金具仮組工程が終了した状態は、2枚目の太陽電池パネの設置における第1金具仮組工程が完了した状態と看做すことができる。このため、第2金具仮組工程を続けて行うことで、最初の1枚目の太陽電池モジュール10と同様に2枚目の太陽電池モジュール10の仮組設置を行うことができる。このように、設置済みで仮組状態のモジュール支持金具100を、次の太陽電池モジュール10に対する第1金具と看做して第2金具仮組工程を繰り返すことで、太陽電池モジュール10を複数枚、仮組状態で配列することができる。この場合、本組工程については、隣の太陽電池モジュール10の仮組設置が終了する度に行ってもよい。あるいは、何枚かの太陽電池モジュール10の仮組設置が終了した段階や、目的とする全ての太陽電池モジュール10の仮組設置が終了した段階でまとめて行うこととしてもよい。
【0089】
ここで、本実施形態では、第1金具仮組工程及び第2金具仮組工程が回り止め治具140を用いて行われる。この構成によれば、回り止め治具140を用いて枠側金具120の回り止めを行いつつ枠側金具120を設置側金具110に組付けることで、固定作業の作業性を向上させることができる。
【0090】
次に第6実施形態について説明する。この第6実施形態は、
図1~
図10を参照して説明した第1実施形態の変形例となっている。第6実施形態では、設置側金具や枠側金具の形状が上述の第1実施形態と異なっている。以下、第6実施形態について、この第1実施形態との相違点に注目して説明する。他方で、太陽光発電設備や施工方法等については、第1実施形態と略同じであるので、図示や説明を省略する。
【0091】
図17は、第6実施形態のモジュール支持金具及び基礎部材を表す、
図3と同様の平面図であり、
図18は、
図17に示されているモジュール支持金具及び基礎部材を、回り止め治具とともに表す三面図である。また、
図19は、
図17及び
図18に示されている設置側金具を表す三面図であり、
図20は、
図17及び
図18に示されている枠側金具を表す三面図である。そして、
図21は、
図17及び
図18に示されている設置側金具及び枠側金具が基礎部材に取り付けられ、固定部材で固定されて、モジュール支持金具が構成される様子を示す模式図である。尚、これらの
図17~
図21では、
図1~
図10に示されている第1実施形態の構成要素と同等な構成要素のうち、第6実施形態の説明に用いるものに
図1~
図10と同じ符号が付されており、以下では、それら同等な構成要素についての重複説明を割愛する。
【0092】
第6実施形態では、設置場所は、第1実施形態と同様の折板屋根A11となっている。そして、太陽電池モジュール10が、折板屋根A11の台形頂部A111に固定された基礎部材150に取り付けられたモジュール支持金具600を介して設置されて太陽光発電設備6が施工される。
【0093】
このとき、本実施形態では、まず、設置側金具610の裏板載置部611において、長手方向の前後2箇所の当接突起112それぞれを幅方向に挟むように、2対のレール嵌合リブ611iが設けられている。
図18に示されているように、基礎部材150の溝スリット152は、一対の上壁156それぞれの内側端縁から溝底151bに向かって延出したレール内壁152aの間に形成された空間となっている。これら一対のレール内壁152aそれぞれと、基礎部材150における一対の側壁157との間には間隙が開いている。設置側金具610が、
図21に示されているように、一端開口151aからレール溝151に差込み方向D13へと差込み嵌入されると、レール嵌合リブ611iがレール内壁152aの内面を摺擦しながら側壁157との間の間隙をスライド移動する。また、このときには、当接端部111cが側壁157の内面を摺擦しながらレール内壁152aとの間の間隙をスライド移動する。更に、レール嵌合リブ611i及び当接端部111cは、レール内壁152aと側壁157の間の間隙において、各上端縁が上壁156の裏面に当接して摺擦しつつスライド移動することにもなっている。このように摺擦しながらのスライド移動により、移動中の設置側金具610における上下方向及び幅方向のブレ等が抑制され、設置側金具610をスムーズにレール溝151へと差込み嵌入することができる。
【0094】
次に、本実施形態では、枠側金具620の挟持部621は、第1実施形態における庇部123に相当する構造が設けられておらず、上面から見た平面視で、軸線回りに回転対称の長方形状となっている。この挟持部621の中央部には、平面視で菱形状の膨出部621aがプレス加工により上方へと膨出形成されている。この膨出部621aの中心に、固定部材130における固定ボルト131が貫通する貫通孔624が形成されている。
【0095】
尚、挟持部に形成する膨出部の形状は、本実施形態のような菱形状に限るものではなく、その形成場所も挟持部の中央部に限るものではない。固定ボルトの貫通孔の周囲を膨出させたものであれば、その形状は例えば平面視で円形や楕円形等といった任意の形状を採用し得る。また、その形成位置についても、挟持部の端縁側に多少寄った位置に形成されることとしてもよい。また、膨出方向についても、本実施形態のように上方に限るものではなく、下方に凸となるように膨出させることとしてもよい。
【0096】
また、長方形状の挟持部621の一対の短辺側の側縁からは、
図20に示されているように、突出方向D12に対する直交断面が略U字状となった一対の規制突起622が、第1実施形態において説明した挿入間隙T11に応じた突出長L11で突出している。これら一対の規制突起622は、U字の開口側が互いに向き合うように設けられている。具体的には、挟持部621の短辺側の側縁で帯板状の突出辺が略直角に折り曲げられ、その突出辺における一対の測辺部分が挟持部621の中央側へと略直角に折起こされることで、略U字状の規制突起622が、開口側が向き合うように一対形成される。
【0097】
そして、上記のように基礎部材150に取り付けられた設置側金具610の固定ボルト131が貫通孔624を貫通するように枠側金具620が設置側金具610に被せられる。このとき、略U字状の一対の規制突起622の先端が基礎部材150の上壁156に当接し、枠側金具620と設置側金具610との間に、太陽電池モジュール10の金属枠12が挿入される挿入間隙T11が形成される。その後、貫通孔624を貫通した固定ボルト131に締結ナット132が螺合されることで、枠側金具620が設置側金具610に締結固定されてモジュール支持金具600が構成される。また、この締結固定時には、第1実施形態と同様に、回り止め治具140が一対の規制突起622に突き当てられるように設置され、枠側金具620の回り止めがなされた状態で締結ナット132の締め付けが行われる。このようにモジュール支持金具600が構成された基礎部材150が折板屋根A11に固定されて太陽電池モジュール10の設置に供される。
【0098】
以上に説明した第6実施形態でも、上述の第1実施形態と同様に、良好な作業性の下で太陽電池モジュール10の設置を容易に行えることは言うまでもない。
【0099】
また、本実施形態では、基礎部材150のレール内壁152aと側壁157との間の間隙を、設置側金具610のレール嵌合リブ611i及び当接端部111cがスライド移動するように設置側金具610が基礎部材150に取り付けられる。この構成によれば、移動中の設置側金具610のブレ等が抑制され、設置側金具610をスムーズに基礎部材150におけるレール溝151へと差込み嵌入することができる点は上述した通りである。
【0100】
また、本実施形態によれば、枠側金具620の挟持部621が軸線回りに回転対称に形成されていることで取付けの方向性が無くされており、作業者は、この枠側金具620の向きを気にすることなく取付け作業を行うことができる。
【0101】
また、本実施形態によれば、枠側金具620における一対の規制突起622が、断面略U字状に形成されていることで、突出方向D12の強度の向上が図られている。
【0102】
また、本実施形態によれば、枠側金具620の挟持部621に膨出部621aが形成されている。そして、この膨出部621aに設けられた貫通孔624を貫通した固定ボルト131に螺合された締結ナット132が締め込まれることで、枠側金具620が設置側金具610に締結固定される。このとき、締結ナット132による締結力は、貫通孔624の周辺部分に掛かる。本実施形態では、この貫通孔624の周辺部分が膨出部621aとなって強度の向上が図られているので、締結ナット132の締結力によって、例えば一対の規制突起622が互いに離れる方向に開いてしまう等といった変形を効果的に抑えることができる。また、本実施形態における枠側金具620は、
図11~
図13に示されている第2実施形態のスレート屋根A21用のモジュール支持金具100における枠側金具120に替えて用いることが可能である。また、本実施形態における枠側金具620は、
図15及び
図16に示されている第4実施形態のハゼ式折板屋根A41用のモジュール支持金具400における枠側金具120に替えて用いることも可能である。
【0103】
次に第7実施形態について説明する。この第7実施形態は、
図1~
図10を参照して説明した第1実施形態の変形例、特に、
図1に示されている太陽光発電設備1の変形例となっている。以下、第7実施形態について、この第1実施形態との相違点に注目して説明する。他方で、モジュール支持金具や施工方法等については、第1実施形態と略同じであるので、図示や説明を省略する。
【0104】
図22は、第7実施形態の太陽光発電設備を、
図1と同様の上面図で示した図である。
【0105】
この第7実施形態の太陽光発電設備7は、第1実施形態と同様の折板屋根A11に第1実施形態と同様のモジュール支持金具100を介して太陽電池モジュール10が設置されたものである。そして、本実施形態では、更に、太陽電池モジュール10におけるモジュール本体11の、受光面11aとは反対の裏面11bを支持する裏面支持部材760が設置されている。裏面支持部材760は、折板屋根A11における設置側金具110の取付け位置から離れた支持位置に取り付けられ、モジュール本体11の裏面11bにおける、金属枠12から離れた被支持部分11b-1を支持する。本実施形態では、1枚の太陽電池モジュール10につき、2箇所の被支持部分11b-1を支持するように2つの裏面支持部材760が設置されている。裏面支持部材760は、積雪時に受光面11aに掛かる積雪荷重を裏面11bから支える役割を担う。
【0106】
図23は、
図22に模式的に示されている裏面支持部材を示す三面図である。
【0107】
裏面支持部材760は、第1実施形態と同様の基礎部材150を介して折板屋根A11に取り付けられるものであり、裏面設置側金具761と、緩衝部材762と、固定金具763と、固定部材764と、を備えている。裏面設置側金具761は、太陽電池モジュール10の設置のために設けられた第1実施形態と同様の設置側金具110と同じ形状を有し、折板屋根A11における支持位置に基礎部材150を介して取り付けられる。緩衝部材762は、モジュール本体11及び裏面設置側金具761よりも柔軟な素材であるゴム等の弾性樹脂で形成され、モジュール本体11における被支持部分11b-1に面着し、積雪荷重が掛かると若干潰れつつこの積雪荷重を支える。固定金具763は、緩衝部材762及び裏面設置側金具761の相互間に配置され、緩衝部材762を裏面設置側金具761に固定する。
【0108】
図24は、
図23に示されている緩衝部材及び固定金具を示す斜視図である。
【0109】
図23及び
図24に示されているように、緩衝部材762は、矩形ブロック状の部材であり、一面で被支持部分11b-1に面着する。固定金具763は、裏面設置側金具761の上面に載置されて固定されるU字溝状の被固定部763aと、この被固定部763aにおける一対の上端縁から翼状に延出した一対の緩衝部材固定部763bと、を備えている。緩衝部材固定部763bには、緩衝部材762における被支持部分11b-1への面着側とは反対の裏面が接着固定される。固定部材764は、固定金具763における被固定部763aを裏面設置側金具761の上面に固定するもので、
図23に示されているように固定ボルト764aと締結ナット764bを備えている。固定ボルト764aは、設置側金具110と同じ形状の裏面設置側金具761の裏面にボルト頭部764a-1が摺接するように取り付けられる。他方、U字溝状の被固定部763aの底面には、ボルト固定用の貫通孔763a-1が設けられており、この貫通孔763a-1を貫通したボルト部分764a-2に締結ナット764bが取り付けられる。
【0110】
以上に説明した第7実施形態でも、上述の第1実施形態と同様に、良好な作業性の下で太陽電池モジュール10の設置を容易に行えることは言うまでもない。
【0111】
また、本実施形態では、太陽光発電設備7に裏面支持部材760が設けられている。この構成によれば、積雪時の積雪荷重が裏面支持部材760によって支えられることから、積雪荷重によるモジュール本体11の撓みを抑えることができる。
【0112】
また、本実施形態では、裏面支持部材760が、太陽電池モジュール10の設置用の設置側金具110と同じ形状の裏面設置側金具761に、緩衝部材762が固定金具763によって固定された構造となっている。この構成によれば、裏面支持部材760の一構成部品である裏面設置側金具761として、太陽電池モジュール10の設置用の設置側金具110を流用することができるので、部品コストを抑えることができる。
【0113】
尚、本実施形態では、緩衝部材の一例として、本実施形態のように矩形ブロック状の緩衝部材762が例示されているが、緩衝部材はこれに限るものではない。緩衝部材は、例えば円形ブロック状のもの等であってもよく、その具体的な形状を問うものではない。
【0114】
また、本実施形態では、太陽光発電設備の一例として、裏面支持部材760が太陽電池パネル10の1枚当たり2セットずつ設置された太陽光発電設備7が例示されている。しかしながら、太陽光発電設備はこれに限るものではなく、裏面支持部材のセット数については、設置場所で想定される積雪量等に応じて適宜に設定し得るものである。
【0115】
緩衝部材の形状や、裏面支持部材のセット数に関する以上の事情は、本実施形態と同様に裏面支持部材を備える後述の第8~第10実施形態についても同様に言えることである。
【0116】
次に第8実施形態について説明する。この第8実施形態は、
図15及び
図16を参照して説明した第4実施形態における太陽光発電設備に、積雪荷重を支えるための裏面支持部材を設けた変形例となっている。以下、第8実施形態について、この第4実施形態との相違点に注目して説明する。他方で、モジュール支持金具や施工方法等については、第4実施形態と略同じであるので、図示や説明を省略する。
【0117】
図25は、第8実施形態における太陽光発電設備を裏面支持部材に注目して示す図である。
【0118】
この第8実施形態の太陽光発電設備8は、太陽電池モジュール10がハゼ式折板屋根A41に、
図15及び
図16に示されている第4実施形態のモジュール支持金具400を用い、ハゼ掴み金具450を介して設置されたものである。そして、本実施形態では、太陽電池モジュール10のモジュール本体11の裏側に、積雪荷重を支えるための裏面支持部材860が設置されている。この裏面支持部材860における裏面設置側金具861は、第4実施形態と同様の設置側金具410と同じ形状を有し、板金加工によりハゼ掴み金具450と一体形成されている。本実施形態における緩衝部材862及び固定金具863は、各々上述の第7実施形態と同様の部材であり、固定ボルト864a及び締結ナット864bを有する固定部材864によって裏面設置側金具861に固定されている。
【0119】
以上に説明した第8実施形態でも、上述の第1実施形態と同様に、良好な作業性の下で太陽電池モジュール10の設置を容易に行えることは言うまでもない。
【0120】
また、本実施形態でも、上述の第7実施形態と同様に、裏面支持部材860の設置によって、積雪荷重によるモジュール本体11の撓みを抑えることができる。
【0121】
次に第9実施形態について説明する。この第9実施形態は、陸屋根に太陽電池モジュール10が設置されたものである。陸屋根への設置を可能とするために、モジュール支持金具がここまでの実施形態と異なっているが、設置側金具と、枠側金具と、固定部材と、を備えるという技術概念自体は同様であり、モジュール支持金具についての詳細な説明については割愛する。また、施工方法等については、第1実施形態と略同じであるので、図示及び説明を省略する。
【0122】
図26は、第9実施形態における太陽光発電設備を示す図である。
【0123】
この第9実施形態の太陽光発電設備9は、陸屋根A91に太陽電池モジュール10が、置き基礎950を介してモジュール支持金具900によって設置されたものとなっている。太陽電池モジュール10は、平坦な陸屋根A91に、受光に適した傾斜を付けた状態で設置される。本実施形態では、この傾斜を設けるため、モジュール支持金具900として、低位側支持金具900L及び高位側支持金具900Hが用意されている。これら2種類の支持金具は、置き基礎950からの高さ以外は、互いに同じ構造を有している。即ち、低位側支持金具900L及び高位側支持金具900Hは、何れも、設置側金具910L,910H、枠側金具920L,920H、及び固定部材930L,930Hと、を備えている。設置側金具910L,910Hは、側面視でZ字状に形成されて置き基礎950に固定され、Z字の上辺に当たる部分が、所望の傾斜角で傾斜しており、当該部分で太陽電池モジュール10の金属枠12を裏側から支持する。枠側金具920L,920Hは、設置側金具910L,910Hとの間に金属枠12を挟むように配置される。ここで、設置側金具910L,910Hにおいて金属枠12の載置部分には、下向きに凸のバーリング加工が施され、内側に雌ねじを有するネジ孔が形成されている。そして、本実施形態の固定部材930L,930Hが固定ボルトとなっており、当該固定ボルトが枠側金具920L,920Hの上方から設置側金具910L,910Hのネジ孔を目掛けて捩じ込まれる。これにより、設置側金具910L,910Hとの間に金属枠12を挟んだ枠側金具920L,920Hが固定ボルトとしての固定部材930L,930Hによって設置側金具910L,910Hに固定される。
【0124】
そして、本実施形態でも、上述の第7及び第8実施形態と同様に、積雪荷重を支えるために太陽電池モジュール10のモジュール本体11を裏側から支持する裏面支持部材960が設けられている。この裏面支持部材960も、傾斜の低位側に設けられる低位側支持部材960L及び高位側に設けられる高位側支持部材960Hの2種類が用意されている。これら2種類の支持部材も、置き基礎950からの高さ以外は、互いに同じ構造を有しており、以下では、高位側支持部材960Hを代表例とし、単に裏面支持部材960と呼んで説明を行う。
【0125】
図27は、
図26に示されている裏面支持部材を、側面図と背面図で示した図である。
【0126】
裏面支持部材960は、上記のモジュール支持金具900と同様に置き基礎950を介して陸屋根A91に取り付けられるものであり、裏面設置側金具961と、緩衝部材962と、固定金具963と、固定部材964と、を備えている。裏面設置側金具961は、太陽電池モジュール10の設置のために設けられた設置側金具と同じ側面視でZ字状の形状を有し、陸屋根A91における支持位置に置き基礎950を介して取り付けられる。この裏面設置側金具961は、置き基礎950にアンカーボルト951によって固定される。尚、
図26を参照した説明では割愛したが、モジュール支持金具900における設置側金具910L,910Hも置き基礎950にアンカーボルト951によって固定される。
【0127】
緩衝部材962は、ゴム等の弾性樹脂で矩形ブロック状に形成され、モジュール本体11における被支持部分11b-1に面着し、積雪荷重が掛かると若干潰れつつこの積雪荷重を支える。固定金具963は、緩衝部材962及び裏面設置側金具961の相互間に配置され、緩衝部材962を裏面設置側金具961に固定する。固定部材964は固定ボルトであり、裏面設置側金具961においてバーリング加工によって形成されたネジ孔に固定金具963を貫通して捩じ込まれる。これにより、固定金具963は、裏面設置側金具961に固定される。緩衝部材962は、この固定金具963に接着固定される。
【0128】
以上に説明した第9実施形態でも、上述の第1実施形態と同様に、良好な作業性の下で太陽電池モジュール10の設置を容易に行えることは言うまでもない。
【0129】
また、本実施形態でも、上述の第7及び第8実施形態と同様に、裏面支持部材960の設置によって、積雪荷重によるモジュール本体11の撓みを抑えることができる。
【0130】
次に第10実施形態について説明する。この第10実施形態は、金属横葺屋根に太陽電池モジュール10が設置されたものである。金属横葺屋根への設置を可能とするために、モジュール支持金具がここまでの実施形態と異なっているが、設置側金具と、枠側金具と、固定部材と、を備えるという技術概念自体は同様であり、モジュール支持金具についての詳細な説明については割愛する。また、施工方法等については、第1実施形態と略同じであるので、図示及び説明を省略する。
【0131】
図28は、第10実施形態における太陽光発電設備を示す図である。
【0132】
この第10実施形態の太陽光発電設備16は、金属横葺屋根A161に太陽電池モジュール10が、基礎部材170を介してモジュール支持金具160によって設置されたものとなっている。基礎部材170は、溝レール状の横葺縦桟171と、一対の桟支持金具172と、を備えている。一対の桟支持金具172が、横葺縦桟171の両端を支持するように金属横葺屋根A161に接着固定され、横葺縦桟171の各端部が各桟支持金具172に固定されて基礎部材170が構成されている。モジュール支持金具160は、この基礎部材170に固定される設置側金具161、枠側金具162、及び固定部材163と、を備えている。設置側金具161は、溝レール状の横葺縦桟171の内側に長手方向に挿入されて固定され、太陽電池モジュール10の金属枠12を裏側から支持する。枠側金具162は、設置側金具161との間に金属枠12を挟むように配置される。そして、固定ボルトと締結ナットを有する固定部材163が、設置側金具161との間に金属枠12を挟んだ枠側金具162を設置側金具161に固定する。
【0133】
尚、桟支持金具172の固定手法については、本実施形態のような接着固定に限るものではない。桟支持金具172の固定手法は、固定対象の金属屋根の形態等に応じ、接着固定以外の例えば木ネジ固定等としてもよい。
【0134】
そして、本実施形態でも、上述の第7~第9実施形態と同様に、積雪荷重を支えるために太陽電池モジュール10のモジュール本体11を裏側から支持する裏面支持部材180が設けられている。
【0135】
図29は、
図28に示されている裏面支持部材を示す三面図である。
【0136】
裏面支持部材180は、上記のモジュール支持金具160と同様に基礎部材170を介して金属横葺屋根A161に取り付けられるものであり、裏面設置側金具181と、緩衝部材182と、固定金具183と、固定部材184と、を備えている。裏面設置側金具181は、太陽電池モジュール10の設置のために設けられた設置側金具161と同じ形状を有し、金属横葺屋根A161における支持位置に基礎部材170を介して取り付けられる。この裏面設置側金具181は、基礎部材170において桟支持金具172で金属横葺屋根A161に固定された溝レール状の横葺縦桟171の内側に挿入されて固定される。
【0137】
緩衝部材182は、ゴム等の弾性樹脂で矩形ブロック状に形成され、モジュール本体11における被支持部分11b-1に面着し、積雪荷重が掛かると若干潰れつつこの積雪荷重を支える。固定金具183は、緩衝部材182及び裏面設置側金具181の相互間に配置され、緩衝部材182を裏面設置側金具181に固定する。固定部材184は固定ボルト184a及び締結ナット184bを備えている。固定ボルト184aは、裏面設置側金具181の裏面にボルト頭部184a-1が摺接するように取り付けられる。この固定ボルト184aのボルト部分184a-2が固定金具183を貫通して締結ナット184bが締め込まれることで、固定金具183が裏面設置側金具181に固定される。緩衝部材182は、この固定金具183に接着固定される。
【0138】
以上に説明した第10実施形態でも、上述の第1実施形態と同様に、良好な作業性の下で太陽電池モジュール10の設置を容易に行えることは言うまでもない。
【0139】
また、本実施形態でも、上述の第7~第9実施形態と同様に、裏面支持部材180の設置によって、積雪荷重によるモジュール本体11の撓みを抑えることができる。
【0140】
尚、以上に説明した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。係る変形によってもなお本発明のモジュール支持金具、太陽光発電設備、及びモジュール施工方法の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【0141】
例えば、上述した第1~第10実施形態では、本発明にいう太陽光発電設備及びモジュール施工方法の一例として、太陽電池モジュール10が2枚配列された太陽光発電設備1,・・・,16及びその施工方法が例示されている。しかしながら、本発明にいう太陽光発電設備及びモジュール施工方法は、これらに限るものではなく、太陽電池モジュールの施工枚数は1枚であってもよく、もちろん複数枚であってもよい。太陽電池モジュールの施工枚数は、設置場所や、発電条件等に応じて適宜に設定し得るものである。
【0142】
また、上述した第1~第10実施形態では、本発明にいう太陽光発電設備の一例として、太陽電池モジュール10が屋根に直付け設置される太陽光発電設備1,2,6,7,8,16や、陸屋根A91に置き基礎950を介して設置される太陽光発電設備9が例示されている。しかしながら、本発明にいう太陽光発電設備は、これらに限るものではなく、太陽電池モジュール、大地や屋根に設けられた架台に設置されるもの等であってもよい。
【0143】
また、上述した第1~第10実施形態では、本発明にいう枠側金具の一例として、規制突起122,322,622が一対設けられた枠側金具120,320,620,920L,920H,162が例示されている。また、本発明にいう設置側金具の一例として、当接突起112,412が一対設けられた設置側金具110,410,910L,910H,161が例示されている。しかしながら、本発明にいう枠側金具や設置側金具はこれらに限るものではなく、規制突起や当接突起の設置数は適宜に設定し得るものである。
【符号の説明】
【0144】
1,2,6,7,8,9,16 太陽光発電設備
10 太陽電池モジュール
11 モジュール本体
11a 受光面
11b 裏面
11b-1 被支持部分
12 金属枠
12a 連結部
12b 側板部
12c 裏板部
12c-1 内側端縁
100,300,600,900,160 モジュール支持金具
110,610,910L,910H,161 設置側金具
111,411,611 裏板載置部
111a 中央突条部分
111b 側端部
111c 当接端部
111d,411d 接面部
111e,124,141,624 貫通孔
111f,411f 回り止め突起
111g,411g 頭部回り止め突起
111h,411h 押圧突起
112,412 当接突起
120,320,620,920L,920H,162 枠側金具
121,621 挟持部
122,322,622 規制突起
123 庇部
130,930L,930H,163 固定部材
131 固定ボルト
132 締結ナット
140 回り止め治具
150,250,170 基礎部材
151 レール溝
151a 一端開口
151b 溝底
152 溝スリット
152a レール内壁
153 接着シート
154 支持突起
155 ストッパ突起
156 上壁
157 側壁
171 横葺縦桟
172 桟支持金具
322a 規制端部
322b 回り止め端部
450 ハゼ掴み金具
451 取付け部
452 ボルト
611i レール嵌合リブ
621a 膨出部
760,860,960,180 裏面支持部材
761,861,961,181 裏面設置側金具
762,862,962,182 緩衝部材
763,863,963,183 固定金具
763a 被固定部
763a-1 貫通孔
763b 緩衝部材固定部
764,864,964,184 固定部材
764a,864a,184a 固定ボルト
764a-1,184a-1 ボルト頭部
764a-2,184a-2 ボルト部分
764b,864b,184b 締結ナット
900L 低位側支持金具
900H 高位側支持金具
950 置き基礎
951 アンカーボルト
960L 低位側支持部材
960H 高位側支持部材
A11 折板屋根
A111 台形頂部
A21 スレート屋根
A41 ハゼ式折板屋根
A411 ハゼ
A91 陸屋根
A161 金属横葺屋根
D11 傾斜方向
D12 突出方向
D13 差込み方向
D14 取付け方向
L11 突出長
T11 挿入間隙