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特開2022-168129条件付きハンドオーバを実行する端末装置、基地局装置、制御方法、及びプログラム
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  • 特開-条件付きハンドオーバを実行する端末装置、基地局装置、制御方法、及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168129
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】条件付きハンドオーバを実行する端末装置、基地局装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/10 20090101AFI20221027BHJP
【FI】
H04W36/10
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143076
(22)【出願日】2022-09-08
(62)【分割の表示】P 2019183267の分割
【原出願日】2019-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 洋樹
(57)【要約】
【課題】ハンドオーバ時の端末装置とハンドオーバ先の基地局装置とにおいて使用される通信パラメータのミスマッチを防ぐこと。
【解決手段】端末装置は、接続中の基地局装置から、ハンドオーバ先の候補である候補基地局装置と接続した場合に使用すべき通信パラメータと前記候補基地局装置へハンドオーバを実行する条件とを受信し、条件に基づいて候補基地局装置へハンドオーバする場合に、通信パラメータと関連付けられた識別情報であって、候補基地局装置が通信パラメータを特定するための識別情報を含んだメッセージを候補基地局装置へ送信する。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置であって、
接続中の基地局装置から、ハンドオーバ先の候補である候補基地局装置と接続した場合に使用すべき通信パラメータと前記候補基地局装置へハンドオーバを実行する条件とを受信する受信手段と、
前記条件に基づいて前記候補基地局装置へハンドオーバする場合に、前記通信パラメータと関連付けられた識別情報であって、前記候補基地局装置が前記通信パラメータを特定するための前記識別情報を含んだメッセージを前記候補基地局装置へ送信する送信手段と、
を有することを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記受信手段は、前記基地局装置から、前記通信パラメータと共に前記識別情報を受信する、ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記受信手段は、前記候補基地局装置から前記基地局装置へ送信された前記通信パラメータと前記識別情報とを、前記基地局装置から受信する、ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項4】
前記受信手段は、前記基地局装置からRRCReconfigurationメッセージにより前記通信パラメータと前記条件とを受信する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項5】
前記識別情報は、RRC Transaction IDであり、
前記送信手段は、RRC Transaction IDを含んだRRCReconfigurationCompleteメッセージを前記候補基地局装置へ送信する、ことを特徴とする請求項4に記載の端末装置。
【請求項6】
前記通信パラメータを受信したことに応じて、前記通信パラメータの受信完了を示す信号を前記基地局装置へ通知する通知手段をさらに有する、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項7】
前記通知手段により通知される前記信号は、RRCReconfigurationCompleteメッセージである、ことを特徴とする請求項6に記載の端末装置。
【請求項8】
端末装置のハンドオーバ先の候補の基地局装置であって、
前記端末装置と接続中の他の基地局装置へ、前記端末装置が前記基地局装置と接続した場合に使用すべき通信パラメータを通知する通知手段と、
前記他の基地局装置から前記通信パラメータを通知された前記端末装置が前記基地局装置へハンドオーバを実行する際に、前記通信パラメータと関連付けられた識別情報であって、前記基地局装置が前記通信パラメータを特定するための前記識別情報を含んだメッセージを、前記端末装置から受信する受信手段と、
を有することを特徴とする基地局装置。
【請求項9】
前記通知手段は、前記他の基地局装置へ、前記通信パラメータと共に前記識別情報を通知する、ことを特徴とする請求項8に記載の基地局装置。
【請求項10】
前記通知手段は、前記他の基地局装置からの要求に応じて、前記通信パラメータと前記識別情報とを前記他の基地局装置へ通知する、ことを特徴とする請求項9に記載の基地局装置。
【請求項11】
前記他の基地局装置からの要求は、Handover Requestであり、
前記通知手段は、Handover Request Ackにより前記通信パラメータと前記識別情報とを前記他の基地局装置へ通知する、ことを特徴とする請求項10に記載の基地局装置。
【請求項12】
前記通知手段によって通知された識別情報と前記メッセージに含まれる識別情報とが対応する場合に、前記通知手段により通知された通信パラメータを用いて前記端末装置と通信する通信手段を有する、ことを特徴とする請求項9から11のいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項13】
前記識別情報は、RRC Transaction IDであり、
前記受信手段は、RRC Transaction IDを含んだRRCReconfigurationCompleteメッセージを前記端末装置から受信する、ことを特徴とする請求項8から12のいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項14】
端末装置によって実行される制御方法であって、
接続中の基地局装置から、ハンドオーバ先の候補である候補基地局装置と接続した場合に使用すべき通信パラメータと前記候補基地局装置へハンドオーバを実行する条件とを受信することと、
前記条件に基づいて前記候補基地局装置へハンドオーバする場合に、前記通信パラメータと関連付けられた識別情報であって、前記候補基地局装置が前記通信パラメータを特定するための前記識別情報を含んだメッセージを前記候補基地局装置へ送信することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項15】
前記基地局装置から、前記通信パラメータと共に前記識別情報が受信される、ことを特徴とする請求項14に記載の制御方法。
【請求項16】
前記候補基地局装置から前記基地局装置へ送信された前記通信パラメータと前記識別情報とが、前記基地局装置から受信される、ことを特徴とする請求項14に記載の制御方法。
【請求項17】
前記基地局装置からRRCReconfigurationメッセージにより前記通信パラメータと前記条件とが受信される、ことを特徴とする請求項14から16のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項18】
前記識別情報は、RRC Transaction IDであり、
RRC Transaction IDを含んだRRCReconfigurationCompleteメッセージが前記候補基地局装置へ送信される、ことを特徴とする請求項17に記載の制御方法。
【請求項19】
前記通信パラメータが受信されたことに応じて、前記通信パラメータの受信完了を示す信号を前記基地局装置へ通知することをさらに含む、ことを特徴とする請求項14から18のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項20】
通知される前記信号は、RRCReconfigurationCompleteメッセージである、ことを特徴とする請求項19に記載の制御方法。
【請求項21】
端末装置のハンドオーバ先の候補の基地局装置によって実行される制御方法であって、
前記端末装置と接続中の他の基地局装置へ、前記端末装置が前記基地局装置と接続した場合に使用すべき通信パラメータを通知することと、
前記他の基地局装置から前記通信パラメータを通知された前記端末装置が前記基地局装置へハンドオーバを実行する際に、前記通信パラメータと関連付けられた識別情報であって、前記基地局装置が前記通信パラメータを特定するための前記識別情報を含んだメッセージを、前記端末装置から受信することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項22】
端末装置に備えられたコンピュータに、
接続中の基地局装置から、ハンドオーバ先の候補である候補基地局装置と接続した場合に使用すべき通信パラメータと前記候補基地局装置へハンドオーバを実行する条件とを受信させ、
前記条件に基づいて前記候補基地局装置へハンドオーバする場合に、前記通信パラメータと関連付けられた識別情報であって、前記候補基地局装置が前記通信パラメータを特定するための前記識別情報を含んだメッセージを前記候補基地局装置へ送信させる、
ためのプログラム。
【請求項23】
端末装置のハンドオーバ先の候補の基地局装置に備えられたコンピュータに、
前記端末装置と接続中の他の基地局装置へ、前記端末装置が前記基地局装置と接続した場合に使用すべき通信パラメータを通知させ、
前記他の基地局装置から前記通信パラメータを通知された前記端末装置が前記基地局装置へハンドオーバを実行する際に、前記通信パラメータと関連付けられた識別情報であって、前記基地局装置が前記通信パラメータを特定するための前記識別情報を含んだメッセージを、前記端末装置から受信させる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、条件付きハンドオーバ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラ通信システムでは、端末装置が移動しても接続が維持されるようにするために、接続先の基地局装置を順次切り替えるハンドオーバ処理が実行される。このようなハンドオーバ処理による接続先の基地局装置の切り替えの期間を短縮するため、ハンドオーバ元の基地局装置が、ハンドオーバ先の基地局装置との間の通信のための通信パラメータと、ハンドオーバを実行すべき条件とを事前に端末装置へ提供し、端末装置が、その条件が満たされたことを確認した場合に、自律的にハンドオーバを実行する手法が検討されている。この手法は、条件付きハンドオーバと呼ばれる。条件付きハンドオーバでは、ハンドオーバ元の基地局装置が、ハンドオーバ先の候補基地局装置に対して、端末装置との通信にそれぞれ使用すべき通信パラメータを問い合わせ、これらの候補基地局装置と端末装置が接続した場合の通信パラメータを取得する (非特許文献1、非特許文献2参照)。そして、ハンドオーバ元の基地局装置は、これらの通信パラメータを端末装置へ通知する。また、端末装置がハンドオーバの候補基地局装置との通信に使用すべき通信パラメータを、実際にハンドオーバが実行される前に変更することができる(非特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】3GPP寄書、R2-1906209
【非特許文献2】3GPP寄書、R3-193147
【非特許文献3】3GPP寄書、R2-1909676
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
端末装置がハンドオーバの候補基地局装置との通信に使用すべき通信パラメータが変更された場合に、その通信パラメータの変更が端末装置に通知されないうちに、端末装置が変更前の通信パラメータを用いて条件付きハンドオーバを実行することがありうる。この場合、候補基地局装置は、変更された後の通信パラメータを使用し、一方で、端末装置は変更前の通信パラメータを使用することにより、パラメータのミスマッチが発生してしまいうる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、条件付きハンドオーバ時の端末装置とハンドオーバ先の基地局装置とにおいて使用される通信パラメータのミスマッチを防ぐ技術を提供する。
【0006】
本発明の一態様による端末装置は、接続中の基地局装置から、ハンドオーバ先の候補である候補基地局装置と接続した場合に使用すべき通信パラメータと前記候補基地局装置へハンドオーバを実行する条件とを受信する受信手段と、前記条件に基づいて前記候補基地局装置へハンドオーバする場合に、前記通信パラメータと関連付けられた識別情報であって、前記候補基地局装置が前記通信パラメータを特定するための前記識別情報を含んだメッセージを前記候補基地局装置へ送信する送信手段と、を有する。
【0007】
本発明の一態様による基地局装置は、端末装置のハンドオーバ先の候補の基地局装置であって、 前記端末装置と接続中の他の基地局装置へ、前記端末装置が前記基地局装置と接続した場合に使用すべき通信パラメータを通知する通知手段と、前記他の基地局装置から前記通信パラメータを通知された前記端末装置が前記基地局装置へハンドオーバを実行する際に、前記通信パラメータと関連付けられた識別情報であって、前記基地局装置が前記通信パラメータを特定するための前記識別情報を含んだメッセージを、前記端末装置から受信する受信手段と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ハンドオーバ時の端末装置とハンドオーバ先の基地局装置とにおいて使用される通信パラメータのミスマッチを防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】無線通信システムの構成例を示す図である。
図2】基地局装置及び端末装置のハードウェア構成例を示す図である。
図3】ハンドオーバ先の候補基地局装置の構成例を示す図である。
図4】端末装置の構成例を示す図である。
図5】ハンドオーバ元の基地局装置の構成例を示す図である。
図6】システムで実行される処理の流れの例を示す図である。
図7】システムで実行される処理の流れの例を示す図である。
図8】システムで実行される処理の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち2つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
(システム構成)
図1に、本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す。なお、図1の例では、2つの基地局装置と1つの端末装置とが示されているが、当然にこれらより多数の基地局装置及び端末装置が存在しうる。
【0012】
基地局装置101及び基地局装置102は、例えば、第5世代(5G)のセルラ通信システムにおける無線基地局装置である。基地局装置101及び基地局装置102は、それぞれ、自装置が通信可能な範囲であるセル111及びセル112において、そのセルの範囲内に存在する端末装置と通信可能に構成される。端末装置121は、自装置が存在する位置を含んだセルを提供している基地局装置と接続して無線通信を行うことができる。なお、端末装置121は、送受信対象のユーザデータが存在しない場合、待受け状態(例えばRRC_Idle状態やRRC_Inactive状態)に遷移して、消費電力を抑制することができるが、本実施形態では、接続状態(例えば、RRC_Connected状態)となり、いずれかの基地局装置との間で接続を確立して通信を行っているものとする。
【0013】
本実施形態では、端末装置121は、セル111を形成している基地局装置101と接続中に移動して、基地局装置102が形成しているセル112の範囲内に移動するものとする。この場合、端末装置121は、自装置の移動に伴って、基地局装置101との間の無線通信における無線品質が劣化し、基地局装置102からの無線信号の無線品質が良化することにより、接続先の基地局装置の切り替え、すなわち、ハンドオーバを実行する。このとき、このハンドオーバは、ハンドオーバ元の基地局装置101が端末装置121にハンドオーバの指示を送信することによって行われうるが、端末装置121が所定の条件を満たしたと判定した場合に自律的にハンドオーバを開始してもよい。端末装置121によって条件が満たされた場合に行われる自律的なハンドオーバは、条件付きハンドオーバと呼ばれる場合がある。本実施形態では、端末装置121が、この条件付きハンドオーバを実行するものとする。
【0014】
条件付きハンドオーバでは、端末装置121は、接続中の基地局装置101から、ハンドオーバ先の候補である1つ以上の候補基地局装置のそれぞれについて、端末装置121がその候補基地局装置と接続した場合に使用すべき通信パラメータの情報を取得する。なお、本実施形態では、基地局装置102が候補基地局装置である。通信パラメータは、一例において無線リソース制御(RRC)のパラメータであり、例えば、通信に使用される周波数帯域幅、MIMO(Multi-Input Multi-Output)のレイヤ数などを含む。
【0015】
この通信パラメータの情報は、例えば、接続中の基地局装置101が、端末装置121との間で現在実行中の通信で達成されている通信品質を達成可能で、かつ、候補基地局装置において使用可能な通信パラメータの情報でありうる。このため、接続中の基地局装置101は、例えば、候補基地局装置(基地局装置102)に対して、端末装置121との間で現在使用中の通信パラメータを提供し、端末装置121と候補基地局装置とが接続した場合に使用されるべき通信パラメータとして、その通信パラメータと同様の通信性能を獲得可能な通信パラメータを候補基地局装置から取得しうる。例えば、基地局装置102は、基地局装置101から通知された通信パラメータと同じ通信パラメータを、基地局装置101に通知しうる。また、基地局装置102は、例えば、基地局装置101から通知された通信パラメータと同じ通信パラメータと全く異なるが、同等の通信性能を獲得可能な通信パラメータを基地局装置101に通知してもよいし、基地局装置101から通知された通信パラメータと一部のみが異なる通信パラメータを基地局装置101に通知してもよい。基地局装置102は、一例において、基地局装置101から通知された通信パラメータとの差分を示す情報を、基地局装置101へ通知してもよい。また、基地局装置102は、基地局装置101からの通信パラメータの通知を受けることなく、例えば定期的に、使用されるべき通信パラメータを基地局装置101へ通知してもよい。基地局装置101は、このようにして基地局装置102から取得した通信パラメータの情報を、端末装置121へ転送する。
【0016】
端末装置121は、この通信パラメータの情報を用いることにより、例えば基地局装置102からの無線信号の無線品質が、基地局装置101からの無線信号の無線品質より十分に高い場合などの条件が満たされたことによって、接続先の基地局装置を基地局装置102に自律的に切り替える処理を実行する。条件付きハンドオーバでは、端末装置121は、基地局装置102へハンドオーバすると決定したことに応じて、ハンドオーバ成功メッセージ(例えば、RRCReconfigurationCompleteメッセージ)を、基地局装置102へ送信し、これを基地局装置102が受け付けることによってハンドオーバが完了する。
【0017】
ここで、端末装置121がハンドオーバを実行する条件の情報は、接続中の(ハンドオーバ元の)基地局装置101によって、端末装置121に通知される。例えば、基地局装置101は、端末装置121において測定された基地局装置102からの無線信号の無線品質から基地局装置101からの無線信号の無線品質を減じた値が所定値を超えることを、ハンドオーバの条件として通知しうる。このとき、基地局装置101は、例えば、全ての候補基地局装置に対して共通の所定値を設定してもよいが、候補基地局装置ごとに異なる所定値を設定してもよい。例えば、基地局装置101は、各候補基地局装置から通知された通信パラメータに基づいて、その通信パラメータでの通信に十分に成功することができる無線品質を特定し、その無線品質が高いほど、所定値を高く設定しうる。例えばMIMOのレイヤ数が多いことなどにより信号の復調に失敗する可能性が高いような通信パラメータの候補基地局装置に対しては、所定値を高くして、十分に候補基地局装置側の無線品質が高い状況となってからハンドオーバが開始されるようにしうる。また、現在の通信で達成されている通信性能を達成できないような通信パラメータを使用する候補基地局装置に対しては、所定値を高く設定し、端末装置121がその候補基地局装置へハンドオーバしにくくしてもよい。これにより、端末装置121が、現在と同等の通信性能を達成可能な候補基地局装置へ接続するようにすることができる。また、基地局装置101は、優先的に接続すべき候補基地局装置が存在する場合は、その候補基地局装置についての所定値を低く設定し、その候補基地局装置にハンドオーバしやすくしてもよい。なお、常に一定の条件が用いられてもよく、この場合は、基地局装置101から端末装置121へ、条件の情報が通知されなくてもよい。
【0018】
基地局装置101は、例えば、端末装置121との間での通信において、通信中に無線ベアラの追加などの通信パラメータの変更を行うことがありうる。このような場合、例えば、基地局装置101は、変更した通信パラメータを候補基地局装置(基地局装置102)へ通知し、その候補基地局装置から、端末装置121と接続した場合に使用すべき、変更後の通信パラメータを取得し、その変更後の通信パラメータを端末装置121へ通知しうる。これにより、端末装置121は、条件付きハンドオーバにおいて、変更後の通信パラメータを用いて、候補基地局装置と接続を確立することができる。
【0019】
一方、条件付きハンドオーバでは、端末装置121において、どのようなタイミングで条件が満たされるかを基地局装置101や基地局装置102が事前に知ることはできない。このため、通信パラメータの変更処理中のハンドオーバが発生し、端末装置121と、ハンドオーバ先の基地局装置102との間で、通信パラメータのミスマッチが発生しうる。
【0020】
例えば、基地局装置102が、基地局装置101へ変更後の通信パラメータを送信した後で、端末装置121にその通信パラメータが届く前にハンドオーバ処理が開始されると、端末装置121は基地局装置102との通信に変更前の通信パラメータを使用し、基地局装置102は変更後の通信パラメータを使用しうる。例えば、基地局装置101と端末装置121との間の無線品質が劣化し、端末装置121が変更後の通信パラメータの受信に失敗している間に、ハンドオーバが実行されうる場合に、このような事象が発生しうる。この場合、端末装置121と基地局装置102とで使用される通信パラメータが異なるため、これらの装置間での通信を行うことができない。
【0021】
また、端末装置121が変更後の通信パラメータの受信に成功した場合に、その受信成功を示す情報を基地局装置101へ送信し、基地局装置101がその情報を基地局装置102に転送することにより、基地局装置102は、その情報を受信していない状態で端末装置121がハンドオーバしてきた場合、変更前の通信パラメータを使用することもできる。しかしながら、例えば端末装置121が変更後の通信パラメータの受信には成功しているにも関わらず、基地局装置101がその受信成功を示す情報の受信に失敗し、結果としてその情報が基地局装置102へ送信されない場合がある。この場合、端末装置121は、変更後の通信パラメータを使用し、ハンドオーバ先の基地局装置102は、変更前の通信パラメータを使用するため、これらの装置間の通信が失敗してしまう。
【0022】
本実施形態では、このような通信パラメータのミスマッチを防ぐため、端末装置121が、ハンドオーバを実行する際に、そのハンドオーバ後に使用する通信パラメータと関連付けられた識別情報を、ハンドオーバ先の基地局装置102へ通知する。この識別情報の通知は、例えばハンドオーバ成功メッセージに含められる。
【0023】
例えば、端末装置121は、通信パラメータを接続中の基地局装置101から受信したことに応じて、その通信パラメータに対応する識別情報を生成して、基地局装置101へ通知する。また、基地局装置101は、その通知された識別情報を基地局装置102へ通知してもよい。すなわち、端末装置121が、生成した識別情報を、その識別情報に対応する通信パラメータを決定した候補基地局装置へ、接続中の基地局装置101を介して通知しうる。そして、端末装置121は、例えば、ハンドオーバ先の基地局装置102について、自装置が有する最新の通信パラメータに対応する識別情報を含んだハンドオーバ成功メッセージを、そのハンドオーバ先の基地局装置102へ送信する。これにより、端末装置121がハンドオーバ成功メッセージにおいて識別情報を送信することにより、端末装置121がどの通信パラメータを用いてハンドオーバ先の基地局装置102と接続しようとしているかを基地局装置102が認識することができる。例えば、基地局装置102は、受信した識別情報が、自装置が管理している最新の通信パラメータと関連付けられている場合、端末装置121がその通信パラメータを使用した通信を試行していることを認識し、ハンドオーバ後に、その通信パラメータでの通信を実行することができる。一方、基地局装置102は、例えば、過去の第1の通信パラメータに識別情報が関連付けられており、かつ、第2の通信パラメータに更新したものの、その通信パラメータに関連付けられた識別情報が受信されていない場合に、端末装置121から、未知の識別情報を受信した場合、第2の通信パラメータを用いて通信を行うようにしてもよい。また、基地局装置102は、未知の識別情報が付加されたハンドオーバ成功メッセージを受信した場合、そのメッセージを破棄してもよい。また、基地局装置102は、例えば、端末装置121に対して、使用すべき通信パラメータを別途通知してもよい。
【0024】
また、ハンドオーバ先の候補である基地局装置102が、通信パラメータと共に識別情報を生成して、基地局装置101を介して端末装置121へ通知してもよい。この場合、基地局装置102は、生成した通信パラメータの全てに対して識別情報が関連付けられるため、端末装置121からのハンドオーバ成功メッセージに含まれる識別情報に基づいて使用する通信パラメータを適切に選択することができる。例えば、第1の通信パラメータに第1の識別情報が関連付けられ、その後更新された第2の通信パラメータに第2の識別情報が関連付けられた場合に、基地局装置102は、第1の識別情報が含められたハンドオーバ成功メッセージを受信した場合、第1の通信パラメータを使用して、端末装置121と通信することができる。なお、基地局装置101は、未知の識別情報を含んだハンドオーバ成功メッセージを受信した場合、そのメッセージを破棄しうる。また、基地局装置102は、過去の通信パラメータに関連付けられている第1の識別情報を含んだハンドオーバ成功メッセージを受信した場合、そのメッセージを破棄してもよい。
【0025】
また、基地局装置102は、端末装置121と接続中の基地局装置101へ、通信パラメータに関連付けられた第1の識別情報を通知しておき、基地局装置101が、その第1の識別情報に関連付けられた第2の識別情報を生成して、端末装置121と共有する。端末装置121は、ハンドオーバ条件が満たされた場合に、この第2の識別情報を含んだハンドオーバ成功メッセージを、基地局装置102へ送信する。なお、第2の識別情報は、例えば、基地局装置101が通信パラメータを端末装置121へ通知する際のRRCメッセージにおける、RRC Transaction IDであってもよい。すなわち、通信パラメータの端末装置121への通知の際には、RRCメッセージが送信され、そのメッセージには、RRC Transaction IDが付与される。このため、このRRC Transaction IDを第2の識別情報として流用してもよい。基地局装置102は、第2の識別情報を含んだハンドオーバ成功メッセージを受信すると、その第2の識別情報を基地局装置101へ通知する。そして、基地局装置101は、その第2の識別情報と関連付けられている第3の識別情報を、基地局装置102へ通知しうる。そして、基地局装置102は、その第3の識別情報が、第1の識別情報と一致する場合に、その第1の識別情報と関連付けられた通信パラメータを端末装置121が使用していることを特定する。このように、基地局装置102は、受信した識別情報が、どの通信パラメータに関連付けられているかを、ハンドオーバ元の基地局装置101を介して特定することができる。
【0026】
このように、端末装置121が条件付きハンドオーバを実行する際に、自装置が受信できている通信パラメータに関連付けられている識別情報を、ハンドオーバ先の基地局装置102へ通知する。これにより、基地局装置102は、この識別情報に関連付けられている通信パラメータで端末装置121がハンドオーバ後の通信を行おうとしていることを認識することができる。そして、基地局装置102は、その識別情報に関連付けられた通信パラメータを用いて、ハンドオーバ後の端末装置121と通信することができる。例えば、基地局装置102は、過去の通信パラメータの履歴を保持しておくことにより、過去の通信パラメータに関連付けられた識別情報を受信した場合に、その過去の通信パラメータを用いて端末装置121と通信することができる。なお、基地局装置102は、過去の通信パラメータを保持しておかなくてもよく、この場合、過去の通信パラメータに関連付けられた識別情報を含んだハンドオーバ成功メッセージを受信した際には、そのメッセージを破棄しうる。同様に、基地局装置102は、自装置が認識できない識別情報を含んだハンドオーバ成功メッセージを受信した場合には、そのメッセージを破棄しうる。これにより、端末装置121と基地局装置102との間で通信パラメータが一致していない状況での通信が試行されることを防ぐことができる。
【0027】
(装置構成)
図2に本実施形態に係る基地局装置(基地局装置101並びに基地局装置102)及び端末装置のハードウェア構成例を示す。これらの装置は、一例において、プロセッサ201、ROM202、RAM203、記憶装置204、及び通信回路205を含んで構成される。プロセッサ201は、汎用のCPU(中央演算装置)や、ASIC(特定用途向け集積回路)等の、1つ以上の処理回路を含んで構成されるコンピュータであり、ROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、基地局装置/端末装置の全体の処理や、上述の各処理を実行する。ROM202は、基地局装置/端末装置が実行する処理に関するプログラムや各種パラメータ等の情報を記憶する読み出し専用メモリである。RAM203は、プロセッサ201がプログラムを実行する際のワークスペースとして機能し、また、一時的な情報を記憶するランダムアクセスメモリである。記憶装置204は、例えば着脱可能な外部記憶装置等によって構成される。通信回路205は、例えば、無線通信用の回路によって構成される。基地局装置/端末装置は、他の装置との通信のための通信回路205として、例えばセルラ通信用のベースバンド回路及びRF回路等とアンテナとを含んで構成される。なお、図2では、1つの通信回路205が図示されているが、基地局装置/端末装置は、複数の通信回路を有しうる。例えば、基地局装置は、端末装置との間の通信のための通信回路に加えて、他の基地局装置との通信のための有線又は無線の通信回路を有してもよい。また、端末装置は、基地局装置との通信のための通信回路に加えて、例えば無線LAN等の通信回路を有してもよい。
【0028】
図3に、本実施形態に係るハンドオーバの候補基地局装置(基地局装置102)の機能構成例を示す。候補基地局装置は、例えば、その機能として、通信部301、通信パラメータ生成部302、情報保持部303、及び、使用パラメータ判定部304を有する。なお、これらの機能は、例えば、プロセッサ201が、ROM202や記憶装置204に記憶されたプログラムを実行することによって実現されてもよいし、専用のハードウェアによって実現されてもよい。図3は、本実施形態に係る手法に関連する機能を例示したものであり、基地局装置は一般的な基地局装置としての機能を当然に有する。
【0029】
通信部301は、例えば、端末装置121との間の無線通信を実行するための機能部である。通信部301は、例えば、第5世代のセルラ通信方式等の、端末装置が隣接する基地局装置にハンドオーバを実行しうる無線通信方式によって、無線通信を行うことができる。なお、本実施形態では、第5世代のセルラ通信方式が用いられるものとするが、第3世代の無線通信方式、ロングタームエボリューション通信方式、第5世代以降の無線通信方式等、各世代の通信方式が用いられてもよいし、セルラ通信方式以外の通信方式が用いられてもよい。また、通信部301は、他の基地局装置(基地局装置101)との間の有線又は無線通信を実行するための機能をも有する。通信部301は、例えば、セルラ通信規格で規定されている基地局装置間インタフェースを通じて、他の基地局装置との通信を行う。
【0030】
通信パラメータ生成部302は、端末装置121が基地局装置102に接続した場合に通信に使用すべき通信パラメータを生成する。通信パラメータ生成部302は、例えば、端末装置121が接続中の基地局装置101から、条件付きハンドオーバのためのハンドオーバ要求を受信したことに応じて、通信パラメータを生成し、そのハンドオーバ要求への応答信号に、生成した通信パラメータの情報を含めて送信する。なお、ハンドオーバ要求に、基地局装置101が端末装置121との通信に使用している通信パラメータの情報が含められてもよく、この場合、通信パラメータ生成部302は、この受信した通信パラメータに基づいて、端末装置121が基地局装置102に接続した場合に通信に使用すべき通信パラメータを生成しうる。例えば、通信パラメータ生成部302は、基地局装置101と端末装置121との間の通信において得られる通信性能と同等の通信性能を獲得可能となるように、通信パラメータを生成する。そして、通信パラメータ生成部302は、例えば、基地局装置101から受信した通信パラメータと生成した通信パラメータとの差分の値を、基地局装置101へ通知しうる。この場合、基地局装置101は、基地局装置102へ通知した通信パラメータとその差分の値とに基づいて(例えば、これらの値を加算することによって)、基地局装置102において使用されるべき通信パラメータを特定する。なお、通信パラメータ生成部302は、生成した通信パラメータそのものを基地局装置101へ通知してもよい。なお、通信パラメータ生成部302は、通信パラメータと共に、その通信パラメータに関連付けられた識別情報を生成して、基地局装置101へ通知してもよい。なお、基地局装置101へ通知された通信パラメータ(及び必要に応じて識別情報)は、基地局装置101によって端末装置121へ転送される。なお、識別情報は、基地局装置101において生成されてもよく、この場合、例えばハンドオーバ要求時に、その識別情報が基地局装置102に通知されうる。この場合は、通信パラメータ生成部302は、識別情報を生成する必要はない。
【0031】
情報保持部303は、通信パラメータ生成部302によって生成された通信パラメータと、その通信パラメータに関連付けられた識別情報とを保持する。なお、情報保持部303は、例えば、通信パラメータ生成部302によって生成された識別情報を記憶する場合は、その識別情報と共に生成された通信パラメータと関連付けてその識別情報を記憶する。また、情報保持部303は、端末装置121から基地局装置101を介して通知された識別情報を取得した場合、その直前に基地局装置101を介して端末装置121へ送信していた通信パラメータと関連付けてその識別情報を記憶する。
【0032】
使用パラメータ判定部304は、端末装置121からのハンドオーバ成功メッセージに含まれる識別情報に基づいて、端末装置121との通信に使用する通信パラメータを決定する。使用パラメータ判定部304は、例えば、受信した識別情報が情報保持部303に保持されている場合、その識別情報に関連付けられた通信パラメータを、その端末装置121との通信に使用する通信パラメータと判定する。また、使用パラメータ判定部304は、受信した識別情報が情報保持部303に保持されておらず、識別情報に関連付けられていない最新の通信パラメータがある場合は、その通信パラメータを、端末装置121との通信に使用する通信パラメータと判定する。なお、使用パラメータ判定部304は、受信した識別情報が情報保持部303に保持されていない場合、ハンドオーバ成功メッセージを破棄してもよい。また、使用パラメータ判定部304は、端末装置121からのハンドオーバ成功メッセージに含まれる識別情報を基地局装置101へ転送し、基地局装置101から別の識別情報を取得し、その別の識別情報が情報保持部303に保持されているか否かによって、使用する通信パラメータを決定してもよい。例えば、使用パラメータ判定部304は、基地局装置101から取得した別の識別情報が情報保持部303に保持されている場合、その別の識別情報に関連付けられている通信パラメータを、端末装置121との通信に使用する通信パラメータと判定する。また、使用パラメータ判定部304は、基地局装置101から取得した別の識別情報が情報保持部303に保持されていない場合、ハンドオーバ成功メッセージを破棄しうる。また、使用パラメータ判定部304は、基地局装置101から取得した別の識別情報が情報保持部303に保持されていない場合、端末装置121との通信に用いる通信パラメータを生成し、ハンドオーバ成功メッセージの応答として端末装置121へその通信パラメータを通知して、通信を開始してもよい。このときに、基地局装置102は、基地局装置101へ、端末装置121との通信に使用していた通信パラメータを問い合わせた上で、端末装置121との通信のための通信パラメータを生成してもよい。
【0033】
図4は、端末装置の機能構成例を示す図である。端末装置は、例えば、通信部401、情報取得部402、条件判定部403、及びメッセージ生成部404を含む。これらの機能は、例えば、プロセッサ201が、ROM202や記憶装置204に記憶されたプログラムを実行することによって実現されてもよいし、専用のハードウェアによって実現されてもよい。なお、図4は、本実施形態に係る手法に関連する機能を例示したものであり、端末装置は一般的な端末装置としての機能を当然に有する。
【0034】
通信部401は、例えば、基地局装置との間の無線通信を実行するための機能部である。通信部401は、例えば、第3世代の無線通信方式、ロングタームエボリューション通信方式、第5世代の無線通信方式等、各世代のセルラ通信方式等の、端末装置が隣接するセルに移行しうる無線通信方式によって、無線通信を行うことができる。なお、セルラ通信方式以外の方式が用いられてもよい。
【0035】
情報取得部402は、接続中の基地局装置101から、ハンドオーバ先の候補である1つ以上の候補基地局装置(例えば基地局装置102)について、その候補基地局装置と接続した場合に使用すべき通信パラメータの情報を取得する。なお、この通信パラメータは、例えば、候補基地局装置のそれぞれから接続中の基地局装置101を介して受信される。また、情報取得部402は、例えば、接続中の基地局装置101から、ハンドオーバを自律的に開始するための条件を取得しうる。なお、条件は、候補基地局装置ごとに定められてもよいし、一部または全ての候補基地局装置に共通に定められてもよい。また、情報取得部402は、候補基地局装置のそれぞれによって、通信パラメータに関連付けられた識別情報が生成されている場合は、その識別情報を通信パラメータと共に取得してもよい。また、情報取得部402は、例えば、候補基地局装置のいずれかからの通信パラメータを取得した際に、その通信パラメータに関連付ける識別情報を生成して取得してもよい。このように識別情報を生成した場合、生成した識別情報は、後述のメッセージ生成部404によって、ハンドオーバが実行される前に、基地局装置101へ通知される。例えば、通信パラメータが基地局装置101からのRRCReconfigurationメッセージで受信された場合、そのメッセージへの応答であるRRCReconfigurationCompleteメッセージによって、基地局装置101へ、識別情報が通知されうる。
【0036】
また、情報取得部402は、候補基地局装置が識別情報を生成した場合、この識別情報とは異なる別の識別情報を、接続中の基地局装置101との間で共有してもよい。情報取得部402は、例えば、基地局装置101から候補基地局装置の通信パラメータの情報を取得する際のRRCメッセージのRRC Transaction IDを、この別の識別情報として取得しうる。また、上述のように、情報取得部402は、通信パラメータの受信に応じて別の識別情報を生成して取得し、その生成した識別情報を基地局装置101へ通知することによって、この別の識別情報を基地局装置101と共有してもよい。
【0037】
条件判定部403は、例えば情報取得部402によって取得された、ハンドオーバ開始の条件が満たされたかを判定する。例えば、条件判定部403は、基地局装置102からの無線信号の無線品質と、接続中の基地局装置101からの無線信号の無線品質を測定し、その測定値と、基地局装置102について通知された条件とに基づいて、ハンドオーバを開始するか否かを判定する。条件判定部403は、例えば、基地局装置102からの無線信号の無線品質と基地局装置101からの無線信号の無線品質との差が所定値を超えた場合や、基地局装置101からの無線信号の無線品質が所定レベルを下回った場合や、基地局装置102からの無線信号の無線品質が所定レベルを超えた場合等に、ハンドオーバを開始すると判定しうる。
【0038】
メッセージ生成部404は、例えば、条件付きハンドオーバの条件が満たされてハンドオーバ処理が開始される場合に、そのハンドオーバ先の基地局装置から通知された通信パラメータに関連付けられた識別情報を含んだハンドオーバ成功メッセージを生成する。メッセージ生成部404は、例えば、基地局装置102から通信パラメータと識別情報とを(基地局装置101を介して)受信した場合は、その識別情報を含んだハンドオーバ成功メッセージを生成する。また、メッセージ生成部404は、基地局装置102から通信パラメータを受信したことに応じて自装置が識別情報を生成した場合も、この識別情報を含んだハンドオーバ成功メッセージを生成しうる。なお、この場合、メッセージ生成部404は、通信パラメータを受信したことに応じて、ハンドオーバ処理の開始前に、識別情報を基地局装置101に通知するためのメッセージを生成しうる。例えば、基地局装置101から、基地局装置102との通信で使用すべき通信パラメータをRRCReconfigurationメッセージで取得した場合、メッセージ生成部404は、その通信パラメータに関連付けて生成した識別情報を含めたRRCReconfigurationCompleteメッセージを生成する。また、メッセージ生成部404は、例えば基地局装置101との間でのみ共有される識別情報(例えばRRC Transaction ID等)を含んだハンドオーバ成功メッセージを生成してもよい。この場合、基地局装置102は、その識別情報を事前に知らないが、ハンドオーバ元の基地局装置101へ問い合わせることにより、どの通信パラメータに対応するハンドオーバ成功メッセージであるかを認識することができる。メッセージ生成部404が生成したハンドオーバ成功メッセージは、通信部401を介して基地局装置102へ送信される。また、例えば、識別情報を通知するためのメッセージは、基地局装置101へ送信されうる。
【0039】
図5は、ハンドオーバ元の基地局装置101の機能構成例を示す図である。基地局装置101は、例えば、通信部501、情報転送部502、及び識別情報通知部503を含む。これらの機能は、例えば、プロセッサ201が、ROM202や記憶装置204に記憶されたプログラムを実行することによって実現されてもよいし、専用のハードウェアによって実現されてもよい。なお、図5は、本実施形態に係る手法に関連する機能を例示したものであり、端末装置は一般的な端末装置としての機能を当然に有する。なお、基地局装置は、接続中の端末装置から見るとハンドオーバ元の基地局装置として動作する一方で、他の基地局装置に接続中の端末装置から見るとハンドオーバ先の基地局装置として動作する。このため、基地局装置は、図3図5の機能をいずれも有するように構成されうる。
【0040】
通信部501は、図3の通信部301と同様である。情報転送部502は、例えば、ハンドオーバの候補基地局装置から通信パラメータや識別情報を受信して、端末装置へ転送する。また、端末装置が通信パラメータを受信したことに応じて識別情報を生成する場合、情報転送部502は、端末装置が生成した識別情報を候補基地局装置へ転送しうる。なお、情報転送部502は、少なくとも候補基地局装置から受信した通信パラメータを端末装置へ転送するように構成され、識別情報の転送を行わなくてもよい。識別情報通知部503は、例えば、それまで自装置に接続していた端末装置がハンドオーバした先の基地局装置から、その端末装置からその基地局装置へ送信されたハンドオーバ成功メッセージに含まれていた識別情報を受信し、その識別情報に対応する別の識別情報を特定する。そして、識別情報通知部503は、その特定した別の識別情報を、ハンドオーバ先の基地局装置へ通知する。なお、ハンドオーバ先の基地局装置と、端末装置との間で共通の識別情報が使用される場合は、識別情報通知部503は省略されてもよい。
【0041】
(処理の流れ)
続いて、本実施形態で実行される処理の流れのいくつかの例について説明する。なお、以下に示す処理は一例に過ぎず、例えば上述のような変形が行われてもよいし、以下に示すような各種メッセージと異なるメッセージによって情報の伝達が行われてもよい。
【0042】
図6は、端末装置121が、通信パラメータを受信したことに応じて識別情報を生成する場合の例を示している。本処理では、初期状態として、端末装置121と基地局装置101とが接続状態であり(S601)、ユーザデータの通信を行っているものとする。このとき、例えば、基地局装置101は、この時点で使用している通信パラメータAを、ハンドオーバ先の候補である基地局装置102へ通知して、ハンドオーバ要求メッセージを送信する(S602)。そして、基地局装置102は、例えば、この通知された通信パラメータと同等の通信性能を獲得可能な通信パラメータA1を含んだ応答メッセージを、基地局装置101へ送信する(S603)。基地局装置101は、取得した通信パラメータA1を、端末装置121へ転送する(S604)。この通信パラメータA1の転送は、例えば、RRCReconfigurationメッセージなどのRRCメッセージによって送信されうる。なお、基地局装置101は、例えば初回の通信パラメータの通知の際に、端末装置121がハンドオーバを自律的に実行するか否かを判定するための条件を併せて通知しうる。なお、これは一例であり、通信パラメータと条件は別個に通知されてもよい。
【0043】
端末装置121は、通信パラメータA1を受信したことに応じて、その通信パラメータA1に関連付けた識別情報aを生成し、接続中の基地局装置101へ通知する(S605)。この識別情報aの通知は、例えば、RRCReconfigurationCompleteメッセージなどのRRCメッセージによって行われうる。基地局装置101は、受信した識別情報aを、基地局装置102へ転送する(S606)。S602~S606の手順により、端末装置121とハンドオーバ先の候補の基地局装置102との間で、通信パラメータA1及びその関連付けられた識別情報aが共有される。
【0044】
その後、例えば、基地局装置101は、接続中の端末装置121との間で無線ベアラを増やすなどの通信パラメータの変更が行われた場合に、S602と同様にして、変更後の通信パラメータBを基地局装置102へ通知する(S607)。そして、基地局装置101は、基地局装置102から、その通信パラメータBに対応すると共に、端末装置121との通信に使用されるべき通信パラメータB1の情報を取得する(S608)。その後、基地局装置101は、この取得した通信パラメータB1を、端末装置121へ転送する(S609)。なお、ここでは、例えば無線環境の劣化により、基地局装置101からの通信パラメータB1の端末装置121への転送に失敗したものとする。
【0045】
ここで、端末装置121が、通信パラメータB1の受信に成功しないうちに、ハンドオーバ開始条件が満たされたと判定し、基地局装置102へのハンドオーバ処理を開始したものとする。この場合、端末装置121は、例えば、基地局装置102から基地局装置101を介して受信した通信パラメータのうちの最新のものである通信パラメータA1を使用すると判定する。その結果、端末装置121は、通信パラメータA1に関連付けられた識別情報aを含んだハンドオーバ成功メッセージを、基地局装置102へ送信する(S610)。なお、ハンドオーバ成功メッセージは、例えば、RRCReconfigurationCompleteメッセージでありうる。基地局装置102は、このメッセージを受信すると、識別情報aが含まれていることを確認し、それに関連付けられている通信パラメータA1を使用して端末装置121と通信すると判定する。これにより、端末装置121と基地局装置102との間で、パラメータA1を用いた通信のための接続が確立される(S611)。
【0046】
なお、本処理例では、端末装置121が、S609において通信パラメータB1を受信することができない状態でハンドオーバを開始したが、この通信パラメータB1の受信に成功し、かつ、その通信パラメータB1に関連付けた識別情報b(不図示)が基地局装置101(又は基地局装置102)に届かない状態でハンドオーバが開始された場合にも対応可能である。例えば、S610において、基地局装置102は、識別情報bを含んだハンドオーバ成功メッセージを受信すると、その識別情報bが未知の識別情報であるため、識別情報と関連付けられていない通信パラメータB1を使用すべきと判定してもよい。この場合、端末装置121と基地局装置102との間で、パラメータB1を用いた通信のための接続が確立される。なお、基地局装置102は、未知の識別情報を含んだハンドオーバ成功メッセージを受信した場合には、このメッセージを破棄してもよい。また、基地局装置102は、未知の識別情報を含んだハンドオーバ成功メッセージを受信した場合には、端末装置121との通信に用いる通信パラメータを新たに生成し、その生成した通信パラメータを端末装置121に通知して、通信を開始してもよい。
【0047】
また、基地局装置101は、S606において、受信した識別情報aを保持し、基地局装置102へ転送しなくてもよい。この場合、例えば、図8を用いて後述するように、基地局装置102が、識別情報aを含んだハンドオーバ成功メッセージを受信した場合、この識別情報aを基地局装置101へ送信して問い合わせを行い、その識別情報aに関連付けられた通信パラメータA1を特定しうる。これにより、端末装置121と基地局装置102との間で、パラメータA1を用いた通信のための接続を確立することができる。
【0048】
次に、図7を用いて、基地局装置102が、通信パラメータを生成する際に併せて識別情報を生成し、その識別情報を基地局装置101及び端末装置121へ通知する場合の処理例について説明する。なお、図6の処理と同様の処理については、同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0049】
本実施形態では、基地局装置102は、基地局装置101から受信した通信パラメータAと同等の通信性能を得ることができる通信パラメータA1を生成した際に、その通信パラメータA1と関連付けた識別情報aを生成する。そして、基地局装置102は、生成した通信パラメータA1と識別情報aとを基地局装置101へ通知する(S701)。そして、基地局装置101は、この通信パラメータA1と識別情報aとを端末装置121へ転送し(S702)、端末装置121から応答信号を受信する(S703)。なお、本処理例では、この時点で端末装置121と基地局装置102との間で通信パラメータA1及びその関連付けられた識別情報aが共有されるため、S606のような基地局装置101から基地局装置102への情報の通知は行われなくてもよい。
【0050】
その後、基地局装置102は、基地局装置101と端末装置121との間の通信の通信パラメータの変更に伴い、新たな通信パラメータB1とそれに関連付けた識別情報bとを生成し、基地局装置101へ通知する(S704)。そして、基地局装置101は、この受信した情報を端末装置121へ転送する(S705)。ここで、端末装置121が、この情報の受信に成功しないうちにハンドオーバ処理を開始したものとすると、図6の場合と同様に、端末装置121が、通信パラメータA1に関連付けられた識別情報aを含んだハンドオーバ成功メッセージを基地局装置102へ送信し(S610)、通信パラメータA1を用いた通信のための接続が確立される(S611)。
【0051】
なお、本処理例では、端末装置121が、通信パラメータB1及びその識別情報bの受信に成功したが、その成功を通知する応答信号(不図示)が基地局装置101に届かない状態でハンドオーバが開始された場合であっても、端末装置121と基地局装置102との間で通信パラメータB1と識別情報bとの関係が共有されている。このため、端末装置121が識別情報bを含んだハンドオーバ成功メッセージを送信した場合、基地局装置102は、その識別情報bに関連付けられた通信パラメータB1を使用すると判断することができる。
【0052】
次に、図8を用いて、基地局装置101と基地局装置102との間で共有される識別情報と、端末装置121と基地局装置101との間で共有される識別情報とが異なる場合の処理例について説明する。なお、図6の処理と同様の処理については、同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0053】
本処理例では、基地局装置102が、通信パラメータA1と共に、それに関連付けた識別情報a1を生成し、基地局装置101へ通知する(S801)。基地局装置101は、この識別情報a1を記憶し、一方で、別の識別情報a2を端末装置121と共有しながら、端末装置121へ通信パラメータA1を転送する(S802)。そして、基地局装置101は、端末装置121から応答信号を受信する(S803)。なお、この時の識別情報a2は、基地局装置101が生成して端末装置121へ通知してもよいが、例えば、RRC Transaction IDなど、通信時に割り振られる識別情報であってもよい。基地局装置101は、端末装置121との間で共有した識別情報a2を、基地局装置102との間で共有した識別情報a1に関連付けて記憶する。同様に、通信パラメータの変更が行われた場合に、基地局装置102は、通信パラメータB1とそれに関連付けた識別情報b1とを基地局装置101へ通知し(S804)、基地局装置101は、別の識別情報b2を端末装置121と共有しながら、変更後の通信パラメータB1を端末装置121へ通知する(S805)。
【0054】
ここで、端末装置121が、通信パラメータB1の情報の受信に成功しないうちに、基地局装置101へのハンドオーバ処理を開始したものとする。この場合、端末装置121は、直前に通信パラメータA1を取得した際に基地局装置101と共有した識別情報a2を含んだハンドオーバ成功メッセージを基地局装置102へ送信する(S806)。基地局装置102は、この識別情報a2を解釈することができないため、この識別情報a2をハンドオーバ元の基地局装置101へ転送して、基地局装置101と基地局装置102との間で共有されている識別情報のうち、識別情報a2に関連付けられたものがあるかを問い合わせる(S807)。基地局装置101は、この問い合わせに応じて、識別情報a2と関連付けて記憶している識別情報a1を、問い合わせに対する回答として、基地局装置102へ送信する(S808)。これにより、基地局装置102は、識別情報a2が、通信パラメータA1と関連付けられることを認識することができ、この結果、端末装置121と基地局装置101との間で、通信パラメータA1を用いた通信のための接続が確立される(S611)。
【0055】
以上のようにして、端末装置121とハンドオーバ先の候補である基地局装置102(又は基地局装置101)との間で、基地局装置102が端末装置121と通信する場合に使用されるべき通信パラメータと、その通信パラメータに関連付けられた識別情報とを共有し、その識別情報を用いて条件付きハンドオーバが実行される。これにより、端末装置121が使用しようとする通信パラメータを、ハンドオーバ先の基地局装置102が正確に認識することができるようになるため、ハンドオーバ後に端末装置121と基地局装置102とが通信できなくなることを防ぐことができる。
【0056】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8