(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170263
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド、及び、その製造方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20221102BHJP
B41J 2/16 20060101ALI20221102BHJP
【FI】
B41J2/14 305
B41J2/16 503
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076286
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】田中 大樹
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF65
2C057AG44
2C057AG82
2C057AG99
2C057AP25
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】構造的クロストークの抑制と、アクチュエータ収容室内への水分の侵入の抑制とを、共に実現する。
【解決手段】ヘッド1は、複数の個別流路20が形成された流路基板11と、流路基板11の表面に固定された複数のアクチュエータ12xと、流路基板11の表面に固定され、複数のアクチュエータ12xを覆う保護基板13とを備えている。保護基板13は、各アクチュエータ12xを収容するアクチュエータ収容室12cを画定するための壁部を13w有する。壁部13wは、流路基板11における2つの圧力室21の間を隔てる隔壁11b1と鉛直方向に重なり、かつ、接着剤からなる接着部Aを介して流路基板11の表面に接着されている。保護基板13及び接着部Aにおける各アクチュエータ収容室13cを画定する部分に、保護膜Cが形成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル及び前記ノズルに連通する圧力室をそれぞれ含む複数の個別流路が形成された流路基板と、
前記流路基板の表面に固定され、前記複数の個別流路の前記圧力室のそれぞれと前記表面と直交する直交方向に重なる複数のアクチュエータと、
前記表面に固定され、前記複数のアクチュエータを覆う保護基板と、を備え、
前記保護基板は、1又は2以上の前記アクチュエータをそれぞれ収容する複数のアクチュエータ収容室を画定するための壁部を有し、
前記壁部は、前記流路基板における2つの前記圧力室の間を隔てる隔壁と前記直交方向に重なり、かつ、接着剤からなる接着部を介して前記表面に接着されており、
前記保護基板及び前記接着部における、前記複数のアクチュエータ収容室のそれぞれを画定する部分に、前記接着剤の水分透過性よりも低い水分透過性を有する保護膜が形成されていることを特徴とする、液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記複数のアクチュエータ収容室の少なくとも1つと外部とを連通する第1連通孔と、前記複数のアクチュエータ収容室を互いに連通させる第2連通孔と、が前記保護基板に形成されており、
前記第1連通孔を封止する封止部材をさらに備えていることを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記複数のアクチュエータ収容室は、前記直交方向と直交する列方向に配列されており、
前記列方向に互いに離隔した複数の前記第1連通孔が前記保護基板に形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記複数のアクチュエータ収容室は、前記直交方向と直交する列方向に配列されており、
前記列方向に隣接する2つの前記第2連通孔が、前記列方向に互いに重ならないことを特徴とする、請求項2又は3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
複数の前記第2連通孔が、前記列方向に千鳥状に配置されていることを特徴とする、請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記第2連通孔は、前記壁部における前記表面に接着される一端を除く部分に形成されていることを特徴とする、請求項2~5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記複数のアクチュエータ収容室は、前記直交方向と直交する列方向に配列されており、
前記第2連通孔は、前記アクチュエータと前記列方向に重ならない位置において、前記複数のアクチュエータ収容室の前記直交方向の全長に亘って形成されていることを特徴とする、請求項2~6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記保護膜は、酸化タンタル、酸化ハフニウム及び酸化アルミニウムの少なくともいずれかからなることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記複数のアクチュエータ収容室の前記直交方向の長さは、100μm以上であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
前記複数のアクチュエータの表面にも、前記保護膜が形成されていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項11】
前記壁部は、前記接着部を構成する感光性接着剤からなることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項12】
前記保護基板は、前記壁部とは別部材からなる板部であって、前記壁部における前記表面に接着される一端と反対側の他端に接続しかつ前記複数のアクチュエータと前記直交方向に重なる板部を有することを特徴とする、請求項11に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項13】
流路基板の表面に複数のアクチュエータを形成するアクチュエータ形成工程と、
前記アクチュエータ形成工程の後、前記表面に、前記複数のアクチュエータを覆うように、保護基板を固定する保護基板固定工程と、を備え、
前記保護基板は、1又は2以上の前記アクチュエータをそれぞれ収容する複数のアクチュエータ収容室を画定するための壁部を有し、
前記複数のアクチュエータ収容室の少なくとも1つと外部とを連通する第1連通孔と、前記複数のアクチュエータ収容室を互いに連通させる第2連通孔と、が前記保護基板に形成されており、
前記保護基板固定工程において、前記壁部を接着剤からなる接着部を介して前記表面に接着し、
前記保護基板固定工程の後、前記第1連通孔を介して前記保護基板の外部から内部にガスを注入することにより、前記保護基板及び前記接着部における、前記複数のアクチュエータ収容室それぞれを画定する部分に、前記接着剤の水分透過性よりも低い水分透過性を有する保護膜を形成する保護膜形成工程と、
前記保護膜形成工程の後、前記第1連通孔を封止部材で封止する封止工程と、をさらに備え、
前記壁部を、前記流路基板における2つの圧力室の間を隔てる隔壁と前記表面と直交する直交方向に重なるように配置することを特徴とする、液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項14】
前記保護膜形成工程において、原子層積層法を用いることを特徴とする、請求項13に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項15】
前記保護膜は、酸化タンタル、酸化ハフニウム及び酸化アルミニウムの少なくともいずれかからなることを特徴とする、請求項14に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項16】
前記保護膜形成工程の前に、前記流路基板に、ノズル及び前記ノズルに連通する圧力室をそれぞれ含む複数の個別流路を形成し、
前記保護膜形成工程において、前記ガスの注入時に、前記ノズルを別の封止部材で封止することを特徴とする、請求項13~15のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項17】
前記保護基板固定工程において、前記接着部を構成する感光性接着剤からなる前記壁部を前記表面に形成した後、前記保護基板の板部であって前記複数のアクチュエータと前記直交方向に重なる板部を、前記壁部における前記表面に接着される一端と反対側の他端に接続することを特徴とする、請求項13~16のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護基板が複数のアクチュエータ収容室を画定するための壁部を有する液体吐出ヘッド、及び、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において、保護基板は、圧電素子(アクチュエータ)毎のアクチュエータ収容室を画定するための支持部(壁部)を有する。支持部は、圧力室基板における2つの圧力室の間を隔てる隔壁とZ方向(直交方向)に重なり、かつ、接着剤を介して圧力室基板に接着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によると、保護基板の支持部(壁部)が圧力室基板の隔壁とZ方向(直交方向)に重なることで、構造的クロストーク(あるアクチュエータの変形による振動が当該アクチュエータに隣接する別のアクチュエータに伝わる現象)を抑制できる。しかしながら、保護基板の壁部と流路基板との間の接着剤を介して、保護基板の外部からアクチュエータ収容室内に水分が侵入し、アクチュエータが水分により破壊され得る。
【0005】
本発明の目的は、構造的クロストークの抑制と、アクチュエータ収容室内への水分の侵入の抑制とを、共に実現できる液体吐出ヘッド及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る液体吐出ヘッドは、ノズル及び前記ノズルに連通する圧力室をそれぞれ含む複数の個別流路が形成された流路基板と、前記流路基板の表面に固定され、前記複数の個別流路の前記圧力室のそれぞれと前記表面と直交する直交方向に重なる複数のアクチュエータと、前記表面に固定され、前記複数のアクチュエータを覆う保護基板と、を備え、前記保護基板は、1又は2以上の前記アクチュエータをそれぞれ収容する複数のアクチュエータ収容室を画定するための壁部を有し、前記壁部は、前記流路基板における2つの前記圧力室の間を隔てる隔壁と前記直交方向に重なり、かつ、接着剤からなる接着部を介して前記表面に接着されており、前記保護基板及び前記接着部における、前記複数のアクチュエータ収容室のそれぞれを画定する部分に、前記接着剤の水分透過性よりも低い水分透過性を有する保護膜が形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法は、流路基板の表面に複数のアクチュエータを形成するアクチュエータ形成工程と、前記アクチュエータ形成工程の後、前記表面に、前記複数のアクチュエータを覆うように、保護基板を固定する保護基板固定工程と、を備え、前記保護基板は、1又は2以上の前記アクチュエータをそれぞれ収容する複数のアクチュエータ収容室を画定するための壁部を有し、前記複数のアクチュエータ収容室の少なくとも1つと外部とを連通する第1連通孔と、前記複数のアクチュエータ収容室を互いに連通させる第2連通孔と、が前記保護基板に形成されており、前記保護基板固定工程において、前記壁部を、前記流路基板における2つの圧力室の間を隔てる隔壁と前記表面と直交する直交方向に重なるように配置し、接着剤からなる接着部を介して前記表面に接着し、前記保護基板固定工程の後、前記第1連通孔を介して前記保護基板の外部から内部にガスを注入することにより、前記保護基板及び前記接着部における、前記複数のアクチュエータ収容室それぞれを画定する部分に、前記接着剤の水分透過性よりも低い水分透過性を有する保護膜を形成する保護膜形成工程と、前記保護膜形成工程の後、前記第1連通孔を封止部材で封止する封止工程と、をさらに備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るヘッド1を備えたプリンタ100の平面図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿ったヘッド1の断面図である。
【
図4】
図2のIV-IV線に沿ったヘッド1の断面図である。
【
図5】保護基板13とアクチュエータ12x及び個別流路20との関係を示す
図2に対応する平面図である。
【
図6】保護基板13を示す
図5に対応する平面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係るヘッドの保護基板213を示す
図6に対応する平面図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係るヘッドの保護基板313を示す
図6に対応する平面図である。
【
図10】本発明の第4実施形態に係るヘッドの保護基板413を示す
図3の部分拡大図に対応する断面図である。
【
図11】本発明の第5実施形態に係るヘッドの保護基板513を示す
図3に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るヘッド1は、
図1に示すように、プリンタ100に備えられている。プリンタ100は、4つのヘッド1を含むヘッドユニット1xと、プラテン3と、搬送機構4と、制御部5とを備えている。
【0010】
ヘッドユニット1xは、紙幅方向(鉛直方向と直交する方向)に長尺であり、位置が固定された状態でノズル22(
図2及び
図3参照)から用紙9に対してインクを吐出するライン式である。4つのヘッド1は、それぞれ紙幅方向に長尺であり、紙幅方向に千鳥状に配列されている。
【0011】
プラテン3は、ヘッドユニット1xの下方に配置された平板部材であり、プラテン3の上面に用紙9が載置される。
【0012】
搬送機構4は、搬送方向(鉛直方向及び紙幅方向と直交する方向)にプラテン3を挟んで配置された2つのローラ対4a,4bを有する。制御部5の制御により搬送モータ(図示略)が駆動されると、ローラ対4a,4bが用紙9を挟持した状態で回転し、用紙9が搬送方向に搬送される。
【0013】
制御部5は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)を有する。ASICは、ROMに格納されたプログラムに従い、記録処理等を実行する。記録処理において、制御部5は、PC等の外部装置から入力された記録指令(画像データを含む。)に基づき、搬送モータ(図示略)及び各ヘッド1のドライバIC19(
図3参照)を制御することで、搬送機構4による用紙9の搬送と、各ヘッド1による用紙9へのインクの吐出とを行わせ、用紙9上に画像を記録する。
【0014】
次いで、ヘッド1の構成について説明する。
【0015】
ヘッド1は、
図2及び
図3に示すように、流路基板11と、アクチュエータ基板12と、配線基板18と、2つの保護基板13とを有する。
【0016】
流路基板11は、鉛直方向(直交方向)に積層されかつ互いに接着された4枚のプレート11a~11dで構成されている。4枚のプレート11a~11dのうち、最上層のプレート11aは、例えば樹脂の射出成型で形成され、2つの共通流路31が形成されている。プレート11b~11dは、例えば樹脂(例えばLCP:液晶ポリマー)や金属(例えばSUS:ステンレス鋼)で構成され、複数の個別流路20が形成されている。
【0017】
複数の個別流路20は、紙幅方向(列方向)に配列され、2つの個別流路列20Rを構成している。各個別流路列20Rは、紙幅方向に配列された複数の個別流路20で構成される。2つの個別流路列20Rは、搬送方向に並んでいる。複数の個別流路20は、全体として紙幅方向に千鳥状に配列されている。
【0018】
2つの共通流路31は、
図2に示すように、それぞれ紙幅方向に延び、かつ、搬送方向に並んでいる。搬送方向において2つの共通流路31の間に、複数の個別流路20が配置されている。2つの共通流路31は、それぞれ供給口31xを介してサブタンク(図示略)に連通している。サブタンクは、インクを貯留するメインタンクに連通し、メインタンクから供給されたインクを貯留する。サブタンク内のインクは、制御部5の制御によりポンプ(図示略)が駆動されることで、各供給口31xから共通流路31に流入する。
【0019】
2つの共通流路31のうち
図2の左側の共通流路31は、2つの個別流路列20Rのうち
図2の左側の個別流路列20Rに属する複数の個別流路20と連通している。2つの共通流路31のうち
図2の右側の共通流路31は、2つの個別流路列20Rのうち
図2の右側の個別流路列20Rに属する複数の個別流路20と連通している。
【0020】
各個別流路20は、
図2に示すように、圧力室21と、ノズル22と、接続流路23と、幅狭流路24と、幅広流路25とを含む。
【0021】
圧力室21は、鉛直方向と直交する面において搬送方向に長尺な略矩形状である。圧力室21における搬送方向の一端に接続流路23が接続し、圧力室21における搬送方向の他端に幅狭流路24が接続している。
【0022】
幅狭流路24は、圧力室21の幅(紙幅方向の長さ)よりも小さい幅を有し、絞りとして機能する。幅広流路25は、圧力室21の幅(紙幅方向の長さ)と略同じ幅を有する。
【0023】
圧力室21と、幅狭流路24と、幅広流路25とは、
図3に示すように、プレート11bに形成された貫通孔で構成されている。
【0024】
接続流路23は、プレート11cに形成された貫通孔で構成され、圧力室21とノズル22とを互いに連通させている。
【0025】
ノズル22は、プレート11dに形成された貫通孔で構成され、流路基板11の下面に開口している。
【0026】
図2に示すように、各供給口31xから共通流路31に流入したインクは、対応する個別流路列20Rに属する複数の個別流路20に供給される。各個別流路20においては、共通流路31からのインクが、幅広流路25に流入し、幅狭流路24を通って圧力室21に流入する。そして後述のようにアクチュエータ12x(
図3参照)が変形し、圧力室21の容積が減少することで、圧力室21内のインクに圧力が付与され、接続流路23を通ってノズル22からインクが吐出される。また、ノズル22からのインクの吐出に伴い、共通流路31から各個別流路20にインクが供給され、サブタンクから共通流路31にインクが供給される。
【0027】
アクチュエータ基板12は、
図3に示すように、プレート11bの上面に固定されており、下から順に、振動板12aと、共通電極12bと、複数の圧電体12cと、複数の個別電極12dとを含む。
【0028】
振動板12a及び共通電極12bは、プレート11bの上面の全域に配置され、プレート11bに形成された全ての圧力室21を覆っている。一方、圧電体12c及び個別電極12dは、圧力室21毎に設けられており、当該圧力室21と鉛直方向に重なっている。
【0029】
アクチュエータ基板12は、さらに、絶縁膜12i及び複数の配線12eを含む。
【0030】
絶縁膜12iは、二酸化シリコン(SiO2)等からなり、共通電極12bの上面において圧電体12cが設けられていない部分、圧電体12cの側面、及び、個別電極12dの上面を覆っている。絶縁膜12iにおいて、個別電極12dと鉛直方向に重なる部分には、貫通孔が設けられている。
【0031】
配線12eは、個別電極12d毎に設けられており、絶縁膜12iの上記貫通孔に先端が入り込むことで、当該個別電極12dと電気的に接続されている。
【0032】
配線基板18は、COF(Chip On Film)等からなり、アクチュエータ基板12の上面の搬送方向の中央に、その一端が固定されている。配線基板18は、複数の配線12eのそれぞれと電気的に接続される複数の個別配線18eと、共通電極12bと電気的に接続される共通配線(図示略)とを有する。
【0033】
配線基板18の他端は、制御部5(
図1参照)に接続されている。配線基板18の一端と他端との間には、ドライバIC19が実装されている。
【0034】
ドライバIC19は、個別配線18eを介して個別電極12dと電気的に接続され、共通配線を介して共通電極12bと電気的に接続されている。ドライバIC19は、共通電極12bの電位をグランド電位に維持する一方、制御部5からの制御信号に基づいて駆動信号を生成し、当該駆動信号を個別電極12dに付与することで、個別電極12dの電位を所定の駆動電位とグランド電位との間で変化させる。このとき、圧電体12cにおいて個別電極12dと共通電極12bとで挟まれた部分(アクチュエータ12x)が、圧電横効果により面方向に収縮する。これに伴い、アクチュエータ基板12において圧力室21と鉛直方向に重なる部分が圧力室21に向かって凸となるように変形することにより、圧力室21の容積が減少し、圧力室21内のインクに圧力が付与される。
【0035】
2つの保護基板13は、
図3に示すように、アクチュエータ基板12の上面に固定されている。保護基板13は、個別流路列20R毎に設けられており、当該個別流路列20Rに対応する複数のアクチュエータ12xを覆っている。
【0036】
各保護基板13は、壁部13wと、板部13pとを有する。
【0037】
壁部13wは、保護基板13の側壁に該当する。壁部13wの下端は、接着剤(例えば、エポキシ系又はシリコーン系の接着剤)からなる接着部Aを介して、アクチュエータ基板12の上面に接着されている。
【0038】
板部13pは、保護基板13の上壁に該当し、壁部13wの上端に接続している。板部13pは、
図5に示す保護基板13の外形を画定するものであり、鉛直方向と直交する面において紙幅方向に長尺な矩形状を有し、当該個別流路列20Rに対応する複数のアクチュエータ12xと鉛直方向に重なっている。
【0039】
壁部13wは、
図5及び
図6に示すように、それぞれ紙幅方向に延びる一対の第1壁部13w1と、それぞれ搬送方向に延びる複数の第2壁部13w2とを含む。各第2壁部13w2は、
図4に示すように、プレート11bにおける2つの圧力室21の間を隔てる隔壁11b1と、鉛直方向に重なっている。
【0040】
このような壁部13wの構成により、それぞれ1つのアクチュエータ12xを収容する複数のアクチュエータ収容室13cが画定されている。複数のアクチュエータ収容室13cは、
図5に示すように、紙幅方向に配列されている。また、各アクチュエータ収容室13cの高さ(鉛直方向の長さ)Hは、100μm以上である(
図4参照)。
【0041】
板部13pにおける搬送方向及び紙幅方向の中央には、
図5及び
図6に示すように、第1連通孔13xが形成されている。第1連通孔13xは、板部13pを鉛直方向に貫通し、当該保護基板13が画定する複数のアクチュエータ収容室13cのうちの1つと、外部とを連通している。第1連通孔13xは、
図5に示すように、板状の封止部材14によって封止されている。
【0042】
各第2壁部13w2は、一対の第1壁部13w1の一方(
図5に示すように幅広流路25と鉛直方向に重なる第1壁部13w1)から、搬送方向に延びている。各第2壁部13w2の先端は、一対の第1壁部13w1の他方に接続していない。各第2壁部13w2の先端と、一対の第1壁部13w1の他方との間の空間が、複数のアクチュエータ収容室13cを互いに連通させる第2連通孔13yを構成している。第2連通孔13yは、
図5に示すようにアクチュエータ12xと紙幅方向に重ならない位置において、
図3に示すようにアクチュエータ収容室13cの鉛直方向の全長に亘って形成されている。
【0043】
このような保護基板13の構成において、保護基板13の内壁面全体に保護膜Cが形成されている(
図3及び
図4参照)。保護膜Cは、接着部Aを構成する接着剤の水分透過性よりも低い水分透過性を有する材料(例えば、酸化タンタル、酸化ハフニウム及び酸化アルミニウムの少なくともいずれか)からなる。保護膜Cは、保護基板13及び接着部Aにおける各アクチュエータ収容室13cを画定する部分に形成されており、さらに各アクチュエータ12xを構成する個別電極12dの上面や圧電体12cの側面にも形成されている。
【0044】
次いで、
図7を参照し、ヘッド1の製造方法について説明する。
【0045】
先ず、プレート11bとなるシリコン単結晶基板の表面に、アクチュエータ12xを形成する(S1:アクチュエータ形成工程)。具体的には、プレート11bとなるシリコン単結晶基板の表面に、熱酸化等によって二酸化シリコンの膜からなる振動板12aを形成する。その後、振動板12aの表面に共通電極12bを形成し、共通電極12bの表面に複数の圧電体12cを形成し、各圧電体12cの表面に個別電極12dを形成する。さらにその後、スパッタリング、エッチング等により、絶縁膜12i及び複数の配線12eを形成する。
【0046】
S1の後、プレート11bとなるシリコン単結晶基板の表面に、それぞれ個別流路列20Rに対応する複数のアクチュエータ12xを覆うように、2つの保護基板13を固定する(S2:保護基板固定工程)。具体的には、壁部13wの下端を接着剤からなる接着部Aを介してプレート11bとなるシリコン単結晶基板の表面に接着し、板部13pが複数のアクチュエータ12xを覆うように配置する。
【0047】
S2の後、流路基板11に流路(共通流路31及び個別流路20)を形成する(S3)。具体的には、プレート11bとなるシリコン単結晶基板を所定の厚みになるまで研磨した後、シリコン単結晶基板の下面からエッチングを施して各個別流路20の圧力室21、幅狭流路24及び幅広流路25を形成する。この段階で、シリコン単結晶基板はプレート11bとなる。その後、プレート11bの下面にプレート11cを接着し、プレート11cの下面にプレート11dを接着し、さらにプレート11cの上面にプレート11aを接着することで、共通流路31及び個別流路20が形成された流路基板11が完成する。このとき、流路基板11の表面と直交する方向において壁部13wが隔壁11b1と重なるように配置される(
図4参照)。
【0048】
S3の後、流路基板11の下面に形成されたノズル22を封止部材(封止部材14とは別の部材)で封止する(S4)。
【0049】
S4の後、保護基板13の内壁面全体に保護膜Cを形成する(S5:保護膜形成工程)。具体的には、S1~S4で形成された流路基板11、アクチュエータ基板12及び保護基板13を含む部材をガス室に配置し、原子層積層法を用いてガス室内にガスを注入する。これにより、第1連通孔13xを介して保護基板13の外部から内部にガスが注入され、第2連通孔13yを介して複数のアクチュエータ収容室13cにガスが行き渡ることにより、保護基板13及び接着部Aにおける各アクチュエータ収容室13cを画定する部分、及び、各アクチュエータ12xを構成する個別電極12dの上面や圧電体12cの側面に、保護膜Cが形成される。このとき、ノズル22は封止部材で封止されているため、ノズル22には保護膜Cが形成されない。
【0050】
S5の後、第1連通孔13xを封止部材14で封止する(S6:封止工程)。これにより、アクチュエータ収容室13cと外部との連通が遮断される。
【0051】
S6の後、流路基板11の表面に配線基板18の一端を固定する(S7)。具体的には、配線基板18の一端を、熱硬化性の接着剤を介して流路基板11の表面に配置し、加熱加圧により接着剤を硬化させる。これにより、個別配線18eと配線12eとが電気的に接続し、共通配線(図示略)と共通電極12bとが電気的に接続する。これにより、ヘッド1が完成する。
【0052】
以上に述べたように、本実施形態によれば、
図4に示すように保護基板13の壁部13wが流路基板11の隔壁11b1と鉛直方向に重なることで、構造的クロストーク(あるアクチュエータ12xの変形による振動が当該アクチュエータ12xに隣接する別のアクチュエータ12xに伝わる現象)を抑制できる。また、
図3及び
図4に示すように、保護基板13及び接着部Aにおける各アクチュエータ収容室13cを画定する部分に保護膜Cが形成されたことで、接着部Aを介した外部からアクチュエータ収容室13c内への水分の侵入(ひいては、アクチュエータ12xの破壊)を抑制できる。
【0053】
保護基板13には、
図5及び
図6に示すように、アクチュエータ収容室13cと外部とを連通する第1連通孔13xと、複数のアクチュエータ収容室13cを互いに連通させる第2連通孔13yとが形成されている。この場合、保護基板13に複数のアクチュエータ収容室12cが画定された構成においても、S5(保護膜形成工程)において、第1連通孔13x及び第2連通孔13yを介して複数のアクチュエータ収容室13cにガスを行き渡らせ、保護膜Cを効率よく形成することができる。また、S5(保護膜形成工程)の後、第1連通孔13xは封止部材14によって封止される(S6)。これにより、第1連通孔13xを介した外部からアクチュエータ収容室13c内への水分の侵入(ひいては、アクチュエータ12xの破壊)を抑制できる。
【0054】
第2連通孔13yは、
図5に示すようにアクチュエータ12xと紙幅方向に重ならない位置において、
図3に示すようにアクチュエータ収容室13cの鉛直方向の全長に亘って形成されている。第2連通孔13yが、アクチュエータ12xと紙幅方向に重なる位置において、
図3に示すようにアクチュエータ収容室13cの鉛直方向の全長に亘って形成された場合、壁部13wによる隔壁11b1の拘束力が低減し、構造的クロストークの抑制効果が低減し得る。これに対し、本構成では、第2連通孔13yがアクチュエータ12xと紙幅方向に重ならないため、壁部13wによる隔壁11b1の拘束力が低減せず、構造的クロストークの抑制効果を維持できる。また、第2連通孔13yがアクチュエータ収容室13cの鉛直方向の全長に亘って形成されているため、S5(保護膜形成工程)において、第2連通孔13yを介して複数のアクチュエータ収容室13cにガスが行き渡り易く、全アクチュエータ収容室13cに対して保護膜Cを確実に形成することができる。
【0055】
S5(保護膜形成工程)において、原子層積層法を用いる。この場合、保護膜Cを容易に形成できる。
【0056】
保護膜Cは、酸化タンタル、酸化ハフニウム及び酸化アルミニウムの少なくともいずれかからなる。この場合、原子層積層法に適した材料を用いて、原子層積層法を実効的に実現できる(ひいては、保護膜Cを容易に形成できる)。
【0057】
アクチュエータ収容室13cの高さ(鉛直方向の長さ)Hは、100μm以上である(
図4参照)。アクチュエータ収容室13cの高さが100μm未満の場合、原子層積層法等で注入されるガスのアクチュエータ収容室13cに入る空気抵抗が高くなり、S5(保護膜形成工程)においてアクチュエータ収容室13cにガスを十分に行き渡らせることができない(ひいては、保護膜Cをアクチュエータ収容室13c全体に形成することが困難になり得る)。これに対し、本構成では、アクチュエータ収容室13cの高さが100μm以上であるため、原子層積層法等で注入されるガスのアクチュエータ収容室13cに入る空気抵抗が低く、S5(保護膜形成工程)においてアクチュエータ収容室13cにガスを十分に行き渡らせることができる(ひいては、保護膜Cをアクチュエータ収容室13c全体に形成できる)。
【0058】
アクチュエータ12xの表面(個別電極12dの上面や圧電体12cの側面)にも、保護膜Cが形成されている(
図3及び
図4参照)。この場合、仮に外部からアクチュエータ収容室13c内に水分が侵入したとしても、アクチュエータ12xの破壊を抑制できる。なお、保護膜Cは薄いため、保護膜Cによってアクチュエータ12xの変形が阻害されることはない。
【0059】
S5(保護膜形成工程)において、ガスの注入時に、ノズル22を封止部材(封止部材14とは別の部材)で封止する(S4参照)。ノズル22に保護膜Cが形成されると、インクの吐出に不具合が生じ得る。本構成では、ガス注入時にノズル22を封止することで、ノズル22に保護膜Cが形成されること(ひいてはインクの吐出に不具合が生じること)を抑制できる。
【0060】
<第2実施形態>
続いて、
図8を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。
【0061】
第1実施形態(
図6)では、1つの保護基板13に対して1つの第1連通孔13xが形成されているが、第2実施形態(
図8)では、1つの保護基板213に対して2つの第1連通孔13xが形成されている。2つの第1連通孔13xは、紙幅方向(列方向)に互いに離隔している。
【0062】
本実施形態によれば、S5(保護膜形成工程)において、紙幅方向の端部に配置されたアクチュエータ収容室13cにもガスを十分に行き渡らせることができる(ひいては、全アクチュエータ収容室13cに対して保護膜Cを確実に形成することができる。)。
【0063】
<第3実施形態>
続いて、
図9を参照し、本発明の第3実施形態について説明する。
【0064】
第1実施形態(
図6)では、各保護基板13において、第2連通孔13yが紙幅方向に一列に配置されているが、第3実施形態(
図9)では、各保護基板313において、第2連通孔13yが紙幅方向(列方向)に千鳥状に配置されており、紙幅方向に隣接する2つの第2連通孔13yが紙幅方向に互いに重ならない。
【0065】
紙幅方向に隣接する2つの第2連通孔13yが紙幅方向に互いに重なる場合(
図6参照)、第2連通孔13yが形成された部分において保護基板13の強度が局所的に低下し、S2(保護基板固定工程)において保護基板13が破損し得る。これに対し、本実施形態では、紙幅方向に隣接する2つの第2連通孔13yが紙幅方向に互いに重ならないため、保護基板313の局所的な強度低下が抑制され、S2(保護基板固定工程)において保護基板313が破損し難い。
【0066】
また本実施形態によれば、第2連通孔13yが紙幅方向に千鳥状に配置されたことで、保護基板313の強度低下がより抑制され、S2(保護基板固定工程)において保護基板313がより破損し難い。
【0067】
<第4実施形態>
続いて、
図10を参照し、本発明の第4実施形態について説明する。
【0068】
第1実施形態では、
図6に示すように、第2壁部13w2が一対の第1壁部13w1の一方から延び、第2壁部13w2の先端が一対の第1壁部13w1の他方に接続せず、第2壁部13w2の先端と一対の第1壁部13w1の他方との間の空間によって第2連通孔13yが構成されている。また
図3に示すように、第2連通孔13yがアクチュエータ収容室13cの鉛直方向の全長に亘って形成されている。
【0069】
これに対し、第4実施形態では、
図10に示すように、第2壁部13w2が一対の第1壁部13w1の両方に接続し、第2壁部13w2の上端(流路基板11の上面に接着される一端とは反対側の他端)に形成された貫通孔によって第2連通孔13yが構成されている。第2連通孔13yは、アクチュエータ収容室13cの鉛直方向の上部のみに形成されている。また、第4実施形態において、第2連通孔13yは、第2壁部13w2における搬送方向の一端及び他端のそれぞれに設けられている。
【0070】
第2連通孔13yが、壁部13wにおける下端を含む部分に形成されている場合、壁部13wによる隔壁11b1(
図4参照)の拘束力が低減し、構造的クロストークの抑制効果が低減し得る。これに対し、本実施形態では、第2連通孔13yが壁部13wにおける下端を除く部分に形成されているため、壁部13wによる隔壁11b1の拘束力が低減せず、構造的クロストークの抑制効果を維持できる。つまり、構造的クロストークの抑制効果を維持しつつ、第2連通孔13yによって複数のアクチュエータ収容室13cを連通させること(ひいては、S5(保護膜形成工程)において保護基板413の内壁面全体に保護膜Cを効率よく形成すること)ができる。
【0071】
<第5実施形態>
続いて、
図11を参照し、本発明の第5実施形態について説明する。
【0072】
第1実施形態(
図3)では、保護基板13の壁部13wと板部13pとが一部材で構成されるが、第5実施形態(
図11)では、保護基板513の壁部13wと板部13pとが別部材で構成される。
【0073】
本実施形態において、壁部13wは、接着部Aを構成する感光性接着剤からなる。板部13pは、壁部13wとは別の、板状の部材からなる。板部13pは、壁部13wの上端に接続し、複数のアクチュエータ12xと鉛直方向(直交方向)に重なっている。
【0074】
また本実施形態では、S2(保護基板固定工程)において、先ず、感光性接着剤からなる壁部13wを、フォトマスクを用いてプレート11bとなるシリコン単結晶基板の表面に形成する。その後、板部13pを、複数のアクチュエータ12xを覆うように配置し、壁部13wの上端に固定する。
【0075】
本実施形態によれば、壁部13wが感光性接着剤からなることで、壁部13wの形成時に、フォトマスクを使った位置精度の良いパターニングを行うことができる。
【0076】
また、壁部13wを位置精度よく形成できるため、板部13pについて高い位置精度は要求されない。したがって、壁部13w及び板部13pを含む保護基板513を容易かつ高精度に形成できる。
【0077】
<変形例>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0078】
第4実施形態(
図10)では、第2連通孔13yが第2壁部13w2の上端に形成されているが、第2連通孔13yが第2壁部13w2における下端を除く部分に形成されれば(例えば、第2壁部13w2における上端と下端との間の中間部分に形成された場合でも)、壁部13wによる隔壁11b1の拘束力が低減せず、構造的クロストークの抑制効果を維持できる。
【0079】
また、第4実施形態(
図10)のように第2連通孔13yが第2壁部13w2における下端を除く部分に形成されている場合は、第2連通孔13yがアクチュエータ12xと紙幅方向に重なっていても、壁部13wによる隔壁11b1の拘束力が低減し難い。
【0080】
第1連通孔13xは、上述の実施形態(
図6、
図9)では保護基板の天面に形成されているが、保護基板の側面(保護基板の外面を構成する壁部13w)に形成されてもよい。
【0081】
上述の実施形態(
図7)では、S2(保護基板固定工程)の後かつS5(保護膜形成工程)の前に、流路基板に流路を形成する(S3)が、これに限定されない。例えば、S2(保護基板固定工程)の前に、流路基板に流路を形成してもよい。或いは、S5(保護膜形成工程)の後に、流路基板に流路を形成してもよい。
【0082】
液体吐出ヘッドは、ライン式に限定されず、シリアル式(紙幅方向と平行な走査方向に移動しつつノズルから吐出対象に対して液体を吐出する方式)であってもよい。
【0083】
吐出対象は、用紙に限定されず、例えば布、基板等であってもよい。
【0084】
ノズルから吐出される液体は、インクに限定されず、任意の液体(例えば、インク中の成分を凝集又は析出させる処理液等)であってよい。
【0085】
本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリ、コピー機、複合機等にも適用可能である。また、本発明は、画像の記録以外の用途で使用される液体吐出装置(例えば、基板に導電性の液体を吐出して導電パターンを形成する液体吐出装置)にも適用可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 ヘッド(液体吐出ヘッド)
11 流路基板
11b1 隔壁
12x アクチュエータ
13;213;313;413;513 保護基板
13c アクチュエータ収容室
13p 板部
13w 壁部
13x 第1連通孔
13y 第2連通孔
14 封止部材
20 個別流路
21 圧力室
22 ノズル
A 接着部
C 保護膜