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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022170563
(43)【公開日】2022-11-10
(54)【発明の名称】固定構造及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/02 20060101AFI20221102BHJP
   G03B 11/00 20210101ALI20221102BHJP
【FI】
H04M1/02 C
G03B11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021076765
(22)【出願日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】橋渡 良生
【テーマコード(参考)】
2H083
5K023
【Fターム(参考)】
2H083AA04
2H083AA05
2H083AA26
2H083AA58
5K023AA07
5K023BB25
5K023MM07
5K023MM25
5K023RR08
(57)【要約】
【課題】撮像用電子部品を保護する透光性部材と遮光部材との間の隙間からの水平方向の光を遮光する。
【解決手段】固定構造(5)は、電子機器の筐体内に、発光部(41)の周囲を囲み、光を遮光する遮光部材(43)を固定する固定構造であって、遮光部材(43)に接触し、発光部(41)を保護するとともに、光を透過する透光性部材(11)と、遮光部材(43)に対して透光性部材(11)側とは反対側に配置されており、遮光部材(43)を透光性部材(11)に向けて押圧する弾性部材(14)と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の筐体内に、撮像用電子部品の周囲を囲み、光を遮光する遮光部材を固定する固定構造であって、
前記遮光部材に接触し、前記撮像用電子部品を保護するとともに、光を透過する透光性部材と、
前記遮光部材に対して前記透光性部材側とは反対側に配置されており、前記遮光部材を前記透光性部材に向けて押圧する弾性部材と、を備える固定構造。
【請求項2】
前記撮像用電子部品及び前記遮光部材が設けられる基板を備え、
前記弾性部材は、前記基板と接続され、前記基板を前記透光性部材に向かって押圧することを特徴とする請求項1に記載の固定構造。
【請求項3】
前記撮像用電子部品は、光を前記透光性部材に向けて出射する発光部であることを特徴とする請求項1または2に記載の固定構造。
【請求項4】
前記撮像用電子部品は、前記透光性部材を通過した光を受光する撮像素子であることを特徴とする請求項1または2に記載の固定構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の固定構造と、前記撮像用電子部品と、前記遮光部材と、を備えることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定構造及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、カメラとフラッシュとが設けられた撮影装置におけるフラッシュが設けられた部分の周りに貼り付けられるとともに、遮光材料からなる後付パーツが開示されている。これにより、撮影装置を透光性材料からなる後付ケースで覆う場合において、フラッシュからの光が後付ケースを透過してカメラのレンズ部分に映り込むことにより、撮影画像に悪影響を与えることを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-230427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている技術において、後付ケースには貫通孔が形成されており、撮影装置が後付ケースで覆われている状態で、撮影装置のカメラ及びフラッシュが貫通孔から露出している。
【0005】
このため、カメラ及びフラッシュについて防水及び防塵の機能を付与するためには、後付ケースの貫通孔の上に、後付ケースとは別の透光性材料からなる部品を設ける必要がある。この場合、当該部品と後付ケースとの間の隙間から光が漏れるため、当該隙間を埋めるための遮光用テープを設ける必要がある。また、遮光用テープを隠すために、上記部品に印刷層を設ける必要がある。
【0006】
本発明の一態様は、撮像用電子部品を保護する透光性部材と遮光部材との間の隙間からの水平方向の光を遮光することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る固定構造は、電子機器の筐体内に、撮像用電子部品の周囲を囲み、光を遮光する遮光部材を固定する固定構造であって、前記遮光部材に接触し、前記撮像用電子部品を保護するとともに、光を透過する透光性部材と、前記遮光部材に対して前記透光性部材側とは反対側に配置されており、前記遮光部材を前記透光性部材に向けて押圧する弾性部材と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、撮像用電子部品を保護する透光性部材と遮光部材との間の隙間からの水平方向の光を遮光することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1に係る電子機器の一部を示す背面図である。
図2図1に示す電子機器のA線-A線矢視断面図である。
図3図2に示す電子機器のうち点線で囲まれた部分の拡大断面図である。
図4図3に示す電子機器の一部の構成に対する比較例の構成を示す図である。
図5】本発明の実施形態2に係る電子機器の一部の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
<電子機器1の構成>
図1は、本発明の実施形態1に係る電子機器1の一部を示す背面図である。図2は、図1に示す電子機器1のA線-A線矢視断面図である。なお、図2では、筐体2、フラッシュ部4、透光性部材11、飛散防止フィルム12及び両面テープT1以外の構成を省略している。また、図1及び図2において、筐体2の背面21の左端21Aから右端21Bに向かう方向をX軸方向、フラッシュ部4から透光性部材11に向かう方向をZ軸方向、X軸方向及びZ軸方向の両方の方向と直交する方向をY軸方向とする。
【0011】
図1に示すように、電子機器1は、筐体2と、カメラ3と、フラッシュ部4と、を備える。電子機器1はスマートフォンであるが、これに限定されない。例えば、電子機器1はタブレットまたはPC(Personal Computer)であってもよい。筐体2の正面側には、図示しない表示パネルが設けられている。
【0012】
背面21には、カメラ3及びフラッシュ部4が設けられる。透光性部材11は、カメラ3及びフラッシュ部4を覆うように背面21に設けられる。透光性部材11は、例えば、光を透過させる透光性を有する樹脂またはガラスで形成されている。透光性部材11は、カメラ3及びフラッシュ部4について防水及び防塵の機能を付与するためのものである。
【0013】
図2に示すように、透光性部材11におけるZ軸の負の方向側には飛散防止フィルム12が貼り付けられている。飛散防止フィルム12は、アクリル系、ポリエステルまたはポリエチレンを母材とし、表面処理としてフッ素等による撥水処理が施されている。
【0014】
筐体2は、飛散防止フィルム12の周縁背面が両面テープT1によって貼り付けられる貼り付け部22Aを有する。背面21には、貼り付け部22Aを囲むように透光性部材11の周縁側面を覆う略矩形状の枠部22が形成されている。
【0015】
カメラ3は、静止画像及び動画を撮影する。フラッシュ部4は、光を出射する。フラッシュ部4の詳細については後述する。図1に示すように、印刷層P1が、カメラ3の周囲に設けられるとともに、枠部22の内周に沿って設けられている。図1に示す斜線部分は、印刷層P1を示している。
【0016】
図3は、図2に示す電子機器1のうち点線DLで囲まれた部分の拡大断面図である。電子機器1は、電子機器1の筐体2内に遮光部材43を固定する固定構造5を備える。図3に示すように、固定構造5は、透光性部材11と、飛散防止フィルム12と、基板13と、弾性部材14と、を備える。フラッシュ部4は、発光部41と、窓部材42と、遮光部材43と、を有する。
【0017】
透光性部材11は、Z軸における正の方向側から遮光部材43に接触し、発光部41を保護するとともに、光を透過する。基板13には発光部41、窓部材42及び遮光部材43が設けられる。基板13は、フラッシュ部4の各部材を支持するものである。
【0018】
弾性部材14は、遮光部材43に対して透光性部材11側とは反対側に配置されており、遮光部材43を透光性部材11に向けて押圧する。具体的には、弾性部材14は、基板13と接続され、基板13を透光性部材11に向かって押圧する。また、弾性部材14は、例えば、クッション材であるが、これに限定されず、板バネ、シリコンゴム、ポリウレタンゴムまたはフッ素ゴム等であってもよい。弾性部材14は、フレーム23に設けられている。フレーム23は、筐体2の外装と一体であり、筐体2の内部に形成されている。なお、弾性部材14は、電子機器1の筐体2に収容される他の部品に設けられてもよい。
【0019】
弾性部材14は、基板13におけるZ軸の負の方向側の裏面13Aに対して部分的に接続されている。つまり、弾性部材14と裏面13Aとの接触面の面積は、裏面13Aの全体の面積よりも小さい。これにより、弾性部材14が裏面13Aに対して全体的に接続されている場合に比べて、弾性部材14のサイズを小さくすることができ、電子機器1の製造コストを削減することができる。
【0020】
ただし、これに限定されず、弾性部材14は、裏面13Aに対して全体的に接続されていてもよい。つまり、弾性部材14と裏面13Aとの接触面の面積は、裏面13Aの全体の面積と同一であってもよい。これにより、例えば、基板13に弾性部材14を貼り付けたものを一つの部品として作成する場合、基板13に弾性部材14を貼り付けたものの外形を一工程で加工することができる。よって、基板13の外形の加工と弾性部材14の外形の加工とを別工程で行う必要がなくなるため、電子機器1の製造コストを削減することができる。特に、基板13のサイズが小さい場合に有効である。
【0021】
発光部41は、光を透光性部材11に向けて出射する撮像用電子部品である。撮像用電子部品とは、カメラ3による撮像に用いられる電子部品を意味する。撮像用電子部品としては、フラッシュ部4の発光部41以外に、例えば、カメラ3が有する撮像素子であってもよい。つまり、本発明の一態様は、発光部41以外の撮像用電子部品の周囲を囲み、光を遮光する遮光部材43を固定する固定構造5にも適用されてもよい。発光部41は、例えば、LED(Light Emitting Diode)である。
【0022】
窓部材42は、例えば、発光部41からの光を透過させる透光性を有する樹脂で形成されている。窓部材42におけるZ軸の負の方向側には開口部OPが形成されている。発光部41と開口部OPとの間に形成された空間は、窓部材42によって覆われている。窓部材42に開口部OPが形成されることにより、発光部41と窓部材42との間に距離D1が生じる。距離D1は、Z軸方向に沿った距離である。
【0023】
遮光部材43は、発光部41の周囲を囲み、発光部41から出射される光を遮光する。遮光部材43は、全体的に着色されている着色部材であり、窓部材42の外周面42Sに接触している。これにより、フラッシュ部4をZ軸における負の方向に向かって見た場合、窓部材42の外周が遮光部材43によって着色される。なお、遮光部材43は、部分的に着色されていてもよい。この場合、遮光部材43における窓部材42と対向する面が着色される。
【0024】
遮光部材43におけるZ軸の正の方向側の端部43Eは、凸形状である。これにより、遮光部材43と透光性部材11とが線接触するため、透光性部材11と遮光部材43との間の隙間からの水平方向の光を効率的に遮光することができる。端部43Eは、遮光部材43における透光性部材11と対向する部分である。
【0025】
また、透光性部材11と窓部材42との間に隙間が形成されている。より正確には、飛散防止フィルム12と窓部材42との間に隙間が形成されている。これにより、飛散防止フィルム12と窓部材42とが接触しないため、遮光部材43と透光性部材11とを線接触させることができる。さらに、電子機器1の各部材の寸法誤差等を許容して電子機器1を組み立てることができるように、または、透光性部材11に衝撃が加わったとしても、その衝撃が窓部材42に直接伝達されないようにすることができる。
【0026】
以上により、固定構造5の構成から、弾性部材14により遮光部材43が透光性部材11に向かって押圧されることにより、透光性部材11と遮光部材43との間の隙間を封止することができる。よって、透光性部材11と遮光部材43との間の隙間からの水平方向の光を遮光することができる。
【0027】
また、弾性部材14により、遮光部材43が設けられた基板13が透光性部材11に向かって押圧される。これにより、遮光部材43に対して全体的に均一に基板13から圧力が加わるため、遮光部材43における透光性部材11との接触部分を、透光性部材11に対して均一に押圧することができる。よって、透光性部材11と遮光部材43との間の隙間を効率的に封止することができる。
【0028】
さらに、弾性部材14によって遮光部材43が設けられた基板13が透光性部材11に向かって押圧されることにより、発光部41と窓部材42との間の距離D1が安定する。このため、距離D1が不安定になることによるフラッシュ部4の発光性能への影響を低減することができる。
【0029】
その上、弾性部材14によって遮光部材43が透光性部材11に向けて押圧されることにより、発光部41から出射された光が、透光性部材11と遮光部材43との間の隙間から漏れることを低減することができる。
【0030】
<比較例の構成>
図4は、図3に示す電子機器1の一部の構成に対する比較例の構成を示す図である。図4に示すように、比較例においては、電子機器は、弾性部材14及び遮光部材43を備えていない。透光性部材11と窓部材42Aとの間には、カバー15が設けられている。カバー15には開口部OP2が形成されており、開口部OP2に窓部材42Aの突起部42Bが嵌め込まれている。
【0031】
透光性部材11とカバー15とが両面テープT2により固定されており、カバー15と窓部材42Aとが両面テープT3により固定されている。また、両面テープT2が比較例の電子機器の外部から見えないように、透光性部材11におけるZ軸の負の方向側に印刷層P2が設けられている。印刷層P2は、両面テープT2を覆う。両面テープT2は、透光性部材11とカバー15との間の隙間からの水平方向の光を遮光するためのものである。
【0032】
以上により、比較例の電子機器は、弾性部材14及び遮光部材43を備えていないため、両面テープT2を覆う印刷層P2を透光性部材11に設ける必要がある。これに対し、電子機器1では、弾性部材14が遮光部材43を透光性部材11に向けて押圧するため、両面テープがなくても透光性部材11と遮光部材43との間の隙間からの水平方向の光を遮光することができる。また、図1に示すように、フラッシュ部4の周囲において、印刷層P1を透光性部材11に設ける必要がないため、電子機器1のデザイン性の自由度を向上することができる。
【0033】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。図5は、本発明の実施形態2に係る電子機器の一部の構成を示す断面図である。図5に示す構成は、図3に示す構成に比べて、窓部材42が設けられていない点と、発光部41が撮像素子41Aに変更されている点と、が異なる。
【0034】
実施形態2に係る電子機器が備えるカメラ3の構成は、図5に示す構成であってもよい。カメラ3は、撮像素子41Aと、遮光部材43と、を有する。カメラ3は、撮像素子41A及び遮光部材43以外にレンズ等の他の部品を有するが、当該他の部品については図示を省略する。
【0035】
透光性部材11は、撮像素子41Aを保護する。撮像素子41Aは、基板13に設けられる。撮像素子41Aは、透光性部材11を通過した光を受光する撮像用電子部品である。撮像素子41Aは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサである。遮光部材43は、撮像素子41Aの周囲を囲み、透光性部材11と遮光部材43との間の隙間から撮像素子41Aに向かう光を遮光する。
【0036】
弾性部材14によって遮光部材43が透光性部材11に向けて押圧されることにより、透光性部材11と遮光部材43との間の隙間が封止される。これにより、当該隙間から撮像素子41Aに向かって入り込む光を低減することができるため、撮像素子41Aが撮像する画像に及ぶ影響を低減することができる。
【0037】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る固定構造は、電子機器の筐体内に、撮像用電子部品の周囲を囲み、光を遮光する遮光部材を固定する固定構造であって、前記遮光部材に接触し、前記撮像用電子部品を保護するとともに、光を透過する透光性部材と、前記遮光部材に対して前記透光性部材側とは反対側に配置されており、前記遮光部材を前記透光性部材に向けて押圧する弾性部材と、を備える。
【0038】
本発明の態様2に係る固定構造は、上記の態様1において、前記撮像用電子部品及び前記遮光部材が設けられる基板を備え、前記弾性部材は、前記基板と接続され、前記基板を前記透光性部材に向かって押圧してもよい。
【0039】
本発明の態様3に係る固定構造は、上記の態様1または2において、前記撮像用電子部品は、光を前記透光性部材に向けて出射する発光部であってもよい。
【0040】
本発明の態様4に係る固定構造は、上記の態様1または2において、前記撮像用電子部品は、前記透光性部材を通過した光を受光する撮像素子であってもよい。
【0041】
本発明の態様5に係る電子機器は、上記の態様1から4のいずれかにおいて、前記固定構造と、前記撮像用電子部品と、前記遮光部材と、を備えてもよい。
【0042】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 電子機器
2 筐体
5 固定構造
11 透光性部材
13 基板
14 弾性部材
41 発光部(撮像用電子部品)
41A 撮像素子(撮像用電子部品)
43 遮光部材
図1
図2
図3
図4
図5