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特開2022-17195トランザクションを実行するためのデバイスおよびその作動方法
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  • 特開-トランザクションを実行するためのデバイスおよびその作動方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022017195
(43)【公開日】2022-01-25
(54)【発明の名称】トランザクションを実行するためのデバイスおよびその作動方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 9/32 20060101AFI20220118BHJP
【FI】
H04L9/32 200Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021110454
(22)【出願日】2021-07-02
(31)【優先権主張番号】10 2020 208 342.8
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100195408
【弁理士】
【氏名又は名称】武藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】アルナチャラム・ポンヌラジ・マノランジス
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・ヘップラー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・クンツ
(72)【発明者】
【氏名】スクマラン・アナガ・クンネカッツカラ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】トランザクションを実行するためのデバイス自体がステートチャネルをセットアップすることなく、分散型台帳技術(DLT)システムに関連付けられたステートチャネルを介してトランザクションを実行するための方法、システム、デバイス、プログラムお及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】方法は、第1のデバイスが、第2のデバイスに、第1のデバイス用の分散型台帳技術(DLT)システムに関連付けられたステートチャネルをセットアップさせる第1のメッセージを送信するステップと、第2のデバイスから、第1のデバイス用のステートチャネルがセットアップされていることを信号通知する第2のメッセージを受信するステップと、ステートチャネルを介して少なくとも1つのトランザクションを実行するステップと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
例えば分散型台帳技術(DLT)システム(10)に関連付けられた少なくとも1つのステートチャネルを介してトランザクションを実行するように構成されたデバイス(200)を作動させるための方法、特にコンピュータ実装方法であって、少なくとも1つのさらなるデバイス(300)に第1のメッセージ(N1)を送信するステップ(102)であって、前記第1のメッセージ(N1)が、前記少なくとも1つのさらなるデバイス(300)に、前記デバイス(200)用のステートチャネル(SC)をセットアップさせる、ステップ(102)と、前記少なくとも1つのさらなるデバイス(300)から第2のメッセージ(N2)を受信するステップ(104)であって、前記第2のメッセージ(N2)が、前記デバイス(200)用の前記ステートチャネル(SC)がセットアップされていることを信号通知する、ステップ(104)と、前記ステートチャネル(SC)を介して少なくとも1つのトランザクション(T)を実行するステップ(106)とを含む、方法。
【請求項2】
例えば前記ステートチャネル(SC)を介する将来のトランザクションに関する初期ステート(AZ)を規定するステップ(100)をさらに含み、例えば前記第1のメッセージ(N1)が前記初期ステートに基づいて作成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第3のメッセージ(N3)を前記少なくとも1つのさらなるデバイス(300)に送信するステップ(110)をさらに含み、前記第3のメッセージ(N3)が、前記少なくとも1つのさらなるデバイス(300)に、監視機器(WT)を初期化させ(e10)、前記監視機器(WT)が、前記DLTシステム(10)を例えば繰り返し、例えば定期的に、設定可能なイベントについて、例えば前記デバイス(200)用の前記ステートチャネル(SC)に関するイベントについて監視するように構成される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第3のメッセージ(N3)が前記第1のメッセージ(N1)に含まれ、例えば前記第1のメッセージ(N1)と組み合わされる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのさらなるデバイス(300)にタイミング情報(TI)を送信するステップ(112)をさらに含み、前記タイミング情報(TI)が、前記ステートチャネル(SC)を介して実行され得るトランザクション(T)に対する前記デバイス(200)の時間的挙動を特徴付け、例えば、前記タイミング情報(TI)が、前記デバイス(200)、例えば1つのまたは前記監視機器(WT)が新たなステートについて通知する更新間隔(e59)を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記タイミング情報(TI)が、前記第1のメッセージ(N1)と共に、または前記第1のメッセージ(N1)の後に、前記少なくとも1つのさらなるデバイス(300)に送信される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
現在のステートを特徴付けるステート情報(ZI)を例えば前記監視機器(WT)に送信するステップ(114)をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのさらなるデバイス(300)に第4のメッセージ(N4)を送信するステップ(116)をさらに含み、前記第4のメッセージ(N4)が、前記少なくとも1つのさらなるデバイス(300)に、前記ステートチャネル(SC)を削除させる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのさらなるデバイス(300)が、前記DLTシステム(10)でトランザクションを実行する、例えば、a)前記デバイス(300)用の1つのまたは前記ステートチャネル(SC)をセットアップする、b)前記デバイス(300)用の1つのまたは前記ステートチャネル(SC)を削除する、c)例えば、前記ステートチャネル(SC)を介して実行され得るトランザクションに対する前記デバイス(200)の時間的挙動を特徴付ける複数のまたは前記タイミング情報(TI)に基づいて1つのまたは前記監視機器WTを初期化するように構成される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
例えば分散型台帳技術(DLT)システム(10)に関連付けられた少なくとも1つのステートチャネルを介してトランザクションを実行するためのデバイス(200)であって、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成された、デバイス(200)。
【請求項11】
Internet-of-Things(モノのインターネット)デバイスとして構成され、例えば、前記デバイス(200)が、例えば既存のステートチャネル(SC)を介してトランザクションを実行するように構成され、例えば、前記デバイス(200)が、1つのまたは前記DLTシステム(10)に直接アクセスするようには構成されない、請求項10に記載のデバイス(200)。
【請求項12】
センサデータ(SD)を決定するための少なくとも1つのセンサ機器(208)を備える、請求項10または11に記載のデバイス(200)。
【請求項13】
ステートチャネル(SC)を介してトランザクションを実行するための少なくとも1つのデバイス(200)用の、例えば請求項10から12のいずれか一項に記載の少なくとも1つのデバイス(200)用の、例えば分散型台帳技術(DLT)システム(10)に関連付けられた前記ステートチャネル(SC)を管理するための方法であって、例えば前記デバイス(200)から第1のメッセージ(N1)を受信するステップ(150)であって、前記第1のメッセージ(N1)が、前記デバイス(200)用のステートチャネル(SC)がセットアップされるべきであることを示す、ステップ(150)と、前記ステートチャネル(SC)をセットアップするステップ(152)と、第2のメッセージN2を前記デバイス(200)に送信するステップ(154)であって、前記第2のメッセージ(N2)が、前記ステートチャネル(SC)がセットアップされていることを信号通知する、ステップ(154)とを含む、方法。
【請求項14】
例えば前記デバイス(200)から第3のメッセージ(N3)を受信するステップ(160)であって、前記第3のメッセージ(N3)が、監視機器(WT)を初期化(162)すべきであることを示し、前記監視機器(WT)が、前記DLTシステム(10)を例えば繰り返し、例えば定期的に、設定可能なイベントに関して、例えば前記デバイス(200)用の前記ステートチャネル(SC)に関するイベントに関して監視するように構成される、ステップ(160)と、任意選択で前記監視機器(WT)を初期化するステップ(162)とをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
例えば前記デバイス(200)からタイミング情報(TI)を受信するステップ(165)をさらに含み、前記タイミング情報(TI)が、前記ステートチャネル(SC)を介して実行され得るトランザクション(T)に対する前記デバイス(200)の時間的挙動を特徴付け、例えば、前記タイミング情報(TI)が、前記デバイス(200)、例えば1つのまたは前記監視機器(WT)が新たなステートについて通知する更新間隔(AI)を含む、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
例えば前記デバイス(200)から現在のステートを特徴付けるステート情報(ZI)を受信するステップ(167)と、任意選択で、受信された前記ステート情報(ZI)を例えば前記監視機器(WT)に送信するステップ(169)とをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項または13から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
例えば前記デバイス(200)から第4のメッセージ(N4)を受信するステップ(170)であって、前記第4のメッセージ(N4)が、前記ステートチャネル(SC)が削除されるべきであることを示す、ステップ(170)と、任意選択で、前記ステートチャネル(SC)を削除するステップ(172)とをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項または13から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
ステートチャネル(SC)を介してトランザクションを実行するための少なくとも1つのデバイス(200)用の、例えば請求項10から12のいずれか一項に記載の少なくとも1つのデバイス(200)用の、例えば分散型台帳技術(DLT)システム(10)に関連付けられた前記ステートチャネル(SC)を管理するためのデバイス(300)であって、請求項13から17のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成された、デバイス(300)。
【請求項19】
請求項10から12のいずれか一項に記載の少なくとも1つのデバイス(200)と、請求項18に記載の少なくとも1つのデバイス(300)とを備えるシステム(1000)。
【請求項20】
少なくとも1つの分散型台帳技術(DLT)システム(10)をさらに備える、請求項19に記載のシステム(1000)。
【請求項21】
命令(PRG)を含むコンピュータ可読記憶媒体(SM)であって、前記命令(PRG)が、コンピュータ(202)によって実行されるときに、前記コンピュータ(202)に、請求項1から9のいずれか一項または13から17のいずれか一項に記載の方法を実施させる、コンピュータ可読記憶媒体(SM)。
【請求項22】
命令を含むコンピュータプログラム(PRG)であって、コンピュータ(202)によって前記プログラム(PRG)が実行されるときに、前記命令が前記コンピュータ(202)に、請求項1から9のいずれか一項または13から17のいずれか一項に記載の方法を実施させる、コンピュータプログラム(PRG)。
【請求項23】
請求項22に記載のコンピュータプログラムを伝送するおよび/または特徴付けるデータキャリア信号(DCS)。
【請求項24】
a)例えば分散台帳技術(DLT)システム(10)に関連付けられた少なくとも1つのステートチャネル(SC)を介して、トランザクション、例えばオフチェーントランザクションを実行すること(502)、b)例えば分散台帳技術(DLT)システム(10)に関連付けられた少なくとも1つのステートチャネル(SC)を管理すること(504)、c)IoT(Internet-of-Things(モノのインターネット))デバイス(200)が、トランザクション、例えばEoT(Economy-of-Things(モノの経済))トランザクションを少なくとも1つのステートチャネルを介して実行することを可能にすること(506)、d)少なくとも1つのIoTデバイス(200)用の、例えば分散台帳技術(DLT)システム(10)に関連付けられた少なくとも1つのステートチャネル(SC)を管理すること(508)、e)例えば少なくとも1つのIoTデバイス(200)用の、例えば分散台帳技術(DLT)システム(10)に関連付けられた少なくとも1つのステートチャネルを介してトランザクションを実行するための少なくとも1つのデバイス(200)用の監視機器(WT)を管理すること(510)、という要素のうちの少なくとも1つのための、請求項1から9のいずれか一項もしくは13から17のいずれか一項に記載の方法、または請求項10から12のいずれか一項に記載のデバイス(200)、または請求項18に記載のデバイス(300)、または請求項19もしくは20に記載のシステム(1000)、または請求項21に記載のコンピュータ可読メモリ媒体(SM)、または請求項22に記載のコンピュータプログラム(PRG)、または請求項23に記載のデータキャリア信号(DCS)の使用(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば分散型台帳技術(DLT:Distributed-Ledger-Technologie)システムに関連付けられた少なくとも1つのステートチャネルを介してトランザクションを実行するように構成されたデバイスを作動させるための、特にコンピュータ実装された方法に関する。
【0002】
さらに、本開示は、少なくとも1つのステートチャネルを介してトランザクションを実行するためのデバイスに関する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Stefan Dziembowski、Sebastian Faust、およびKristina Hostakova。2018。General State Channel Networks(一般的なステートチャネルネットワーク)。In Proceedings of the 2018 ACM SIGSAC Conference on Computer and Communications Security(CCS’18)。Association for Computing Machinery、New York、NY、USA、949-966。DOI:https://doi.org/10.1145/3243734.3243856
【非特許文献2】S.Dziembowski、L.Eckey、S.FaustおよびD.Malinowski、「Perun:Virtual Payment Hubs over Cryptocurrencies(Perun:暗号通貨での仮想決済ハブ)」、2019 IEEE Symposium on Security and Privacy(SP)、San Francisco、CA、USA、2019、pp.106-123、doi:10.1109/SP.2019.00020
【非特許文献3】Nakamoto,Satoshi。(2009)。Bitcoin:A Peer-to-Peer Electronic Cash System(ビットコイン:ピアツーピア電子キャッシュシステム)、https://bitcoin.org/bitcoin.pdf
【非特許文献4】Patrick McCorry、Surya Bakshi、Iddo Bentov、Sarah Meiklejohn、およびAndrew Miller。2019。Pisa:Arbitration Outsourcing for State Channels(Pisa:ステートチャネルのための仲裁アウトソーシング)。In Proceedings of the 1st ACM Conference on Advances in Financial Technologies(AFT’19)。Association for Computing Machinery、New York、NY、USA、16-30、DOI:https://doi.org/10.1145/3318041.3355461
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
例示的な実施形態は、例えば分散型台帳技術(DLT)システムに関連付けられた少なくとも1つのステートチャネルを介してトランザクションを実行するように構成されたデバイスを作動させるための方法、特にコンピュータ実装方法であって、少なくとも1つのさらなるデバイスに第1のメッセージを送信するステップであって、第1のメッセージが、少なくとも1つのさらなるデバイスに、デバイス用のステートチャネルをセットアップさせる、ステップと、少なくとも1つのさらなるデバイスから第2のメッセージを受信するステップであって、第2のメッセージが、デバイス用のステートチャネルがセットアップされていることを信号通知する、ステップと、ステートチャネルを介して少なくとも1つのトランザクションを実行するステップとを含む、方法に関する。これにより、さらなる例示的な実施形態では、例えばトランザクションを実行するためのデバイス自体がステートチャネルをセットアップすることなく、ステートチャネルを介してトランザクションの実行が可能になる。これにより、さらなる例示的な実施形態では、例えば比較的わずかな計算能力および/もしくは通信帯域幅ならびに/または比較的少ないメモリリソースを有し得る、あるいはさらなるデバイスと定期的にはデータ通信を実施することができないデバイスも、トランザクションの実行のためにステートチャネルを利用することができる。
【0005】
さらなる例示的な実施形態では、ステートチャネルは、特に1つのまたは上記DLTシステムを使用することなく、少なくとも2つの当事者デバイス間でステートまたはステートを特徴付ける情報の交換を可能にする。したがって、ステートチャネルを介して比較的迅速に様々なステートまたは対応する情報を交換することができ、そのために対応するDLTシステムのトランザクションを必要としない。したがって、さらなる例示的な実施形態では、ステートチャネルを介して実行されるトランザクションは、「オフチェーン」トランザクションと呼ぶこともできる。
【0006】
さらなる例示的な実施形態では、例えば後述する[参考文献2]に記載されているような少なくとも1つのステートチャネル(英語:state channel)を、例えばトランザクションを実行するために使用することができる。
【0007】
ここで、以下に挙げる文書[参考文献1]および[参考文献2]を本明細書に明示的に組み込む。
【0008】
Stefan Dziembowski、Sebastian Faust、およびKristina Hostakova。2018。General State Channel Networks(一般的なステートチャネルネットワーク)。In Proceedings of the 2018 ACM SIGSAC Conference on Computer and Communications Security(CCS’18)。Association for Computing Machinery、New York、NY、USA、949-966。DOI:https://doi.org/10.1145/3243734.3243856[参考文献1]。
【0009】
S.Dziembowski、L.Eckey、S.FaustおよびD.Malinowski、「Perun:Virtual Payment Hubs over Cryptocurrencies(Perun:暗号通貨での仮想決済ハブ)」、2019 IEEE Symposium on Security and Privacy(SP)、San Francisco、CA、USA、2019、pp.106-123、doi:10.1109/SP.2019.00020[参考文献2]。
【0010】
さらなる例示的な実施形態では、例えばリソースの潜在消費者とリソースの提供者との間、または対応するデバイス間で、例えば署名されたトランザクションおよび/またはステート情報および/またはステート更新を、ステートチャネルを介して伝送することができる。
【0011】
さらなる例示的な実施形態では、ステートチャネルを介して、1時間あたりに比較的多数の(例えば署名された)トランザクションを伝送することができ、したがって、それに応じて、リソースの要求および/または提供を動的に行うことができる。
【0012】
さらなる例示的な実施形態では、ステートチャネルは、例えばいわゆる台帳チャネル(Ledger Channel)であってもよく、台帳チャネルは、例えばDLTシステムによって実現可能である。
【0013】
さらなる例示的な実施形態では、DLTシステムは、少なくとも1つのブロックチェーンおよび/または少なくとも1つの有向非巡回グラフ(英語:directed acyclic graph、DAG)を備えることができる。
【0014】
さらなる例示的な実施形態では、ブロックチェーンは、例えばマークルツリーの原理に従って、暗号化方法(例えば、それぞれのデータブロックのハッシュ値の形成)を使用して互いにリンクされたデータブロックの連鎖とみなすことができる。これにより、ブロックチェーンでの改ざん耐性の高いデータ記憶が可能である。
【0015】
さらなる例示的な実施形態では、ブロックチェーンは、分散型または非中央集権型データバンクの形態で実現することができ、ブロックチェーンネットワークの複数のネットワーク要素(「ノード」)がそれぞれ、ブロックチェーンのデータブロックを記憶する。ブロックチェーン技術の基本的な態様は、例えば以下の刊行物に記載されている:Nakamoto,Satoshi。(2009)。Bitcoin:A Peer-to-Peer Electronic Cash System(ビットコイン:ピアツーピア電子キャッシュシステム)、https://bitcoin.org/bitcoin.pdf。
【0016】
さらなる好ましい実施形態では、DLTまたはブロックチェーンは、1つまたは複数のスマートコントラクトを記憶することができ、スマートコントラクトは、例えば例示的な実施形態によるステートチャネルの確立とも関連して例えば情報の記憶を可能にするが、例えばブロックチェーンに記憶された情報に基づいて、および/またはブロックチェーンに関して実行されるトランザクションに基づいて、プログラミング言語と同様に、クエリおよびさらなるプログラム機能の実行も可能にする。これにより、さらなる例示的な実施形態では、契約上の規制に対応する論理リンクおよび/またはリソースの利用を特徴付ける情報などを、1つまたは複数のスマートコントラクトによって、ブロックチェーンに記憶することができる。
【0017】
さらなる例示的な実施形態では、第1のメッセージを送信するステップは、方法を実施するデバイス、すなわち例えばトランザクションを実行するためのデバイスから少なくとも1つのさらなるデバイスに直接行われるように構成される。
【0018】
さらなる例示的な実施形態では、第1のメッセージを送信するステップは、方法を実施するデバイス、すなわち例えばトランザクションを実行するためのデバイスから少なくとも1つのさらなるデバイスに、少なくとも1つのさらなるデバイスまたは機器、例えばゲートウェイを介して行われ、ゲートウェイは、トランザクションを実行するためのデバイスから第1のメッセージを受信し、次いで第1のメッセージを少なくとも1つのさらなるデバイスに送信または転送するように構成される。
【0019】
さらなる例示的な実施形態では、これは、例として以下に記載する1つまたは複数のさらなるメッセージにも同様に当てはまる。
【0020】
さらなる例示的な実施形態では、この方法は、例えばステートチャネルを介する将来のトランザクションに関する初期ステートを規定するステップをさらに含み、例えば第1のメッセージが初期ステートに基づいて作成されるように構成される。
【0021】
さらなる例示的な実施形態では、初期ステートを規定するステップは、将来のトランザクションのための条件を交渉することを含み、条件は、例えば契約、例えばスマートコントラクトなどのデジタルコントラクトによって保持することができる。さらなる例示的な実施形態では、スマートコントラクトは、例えばDLTシステムにアンカーされ、例えばDLTシステムのブロックチェーンにアンカーされる。
【0022】
さらなる例示的な実施形態では、この方法は、第3のメッセージを少なくとも1つのさらなるデバイスに送信するステップをさらに含み、第3のメッセージが、少なくとも1つのさらなるデバイスに、監視機器を初期化させ、監視機器が、DLTシステムを例えば繰り返し、例えば定期的に、設定可能なイベントについて、例えばデバイス用のステートチャネルに関するイベントについて監視するように構成されることができる。これは、例えば、トランザクションを実行するためのデバイスがデータ接続を一時的に有さず、したがってステートチャネルを介して例えばステート更新を受信することができないときに有利であり得る。
【0023】
さらなる例示的な実施形態では、監視機器は、例えばここで本明細書に明示的に組み込む後述の[参考文献3]に従って構成される。
【0024】
Patrick McCorry、Surya Bakshi、Iddo Bentov、Sarah Meiklejohn、およびAndrew Miller。2019。Pisa:Arbitration Outsourcing for State Channels(Pisa:ステートチャネルのための仲裁アウトソーシング)。In Proceedings of the 1st ACM Conference on Advances in Financial Technologies(AFT’19)。Association for Computing Machinery、New York、NY、USA、16-30、DOI:https://doi.org/10.1145/3318041.3355461、[参考文献3]。
【0025】
さらなる例示的な実施形態では、第3のメッセージが第1のメッセージに含まれ、例えば第1のメッセージと組み合わされるように構成される。
【0026】
さらなる例示的な実施形態では、この方法は、少なくとも1つのさらなるデバイスにタイミング情報を送信するステップをさらに含み、タイミング情報が、ステートチャネルを介して実行され得るトランザクションに対するデバイスの時間的挙動を特徴付け、例えば、タイミング情報が、デバイス、例えば1つのまたは上記監視機器が新たなステートについて通知する更新間隔を含むように構成される。これにより、少なくとも1つのさらなるデバイスは、更新間隔に時間的に適合するように監視機器を初期化することができ、すなわち、監視機器の動作を、トランザクションを実行するためのデバイスの時間的挙動に適合させることができる。
【0027】
さらなる例示的な実施形態では、タイミング情報が、第1のメッセージと共に、または第1のメッセージの後に、少なくとも1つのさらなるデバイスに送信されるように構成される。
【0028】
さらなる例示的な実施形態では、この方法は、現在のステートを特徴付けるステート情報を例えば監視機器に送信するステップをさらに含むように構成される。これにより、監視機器は、ステートチャネルを介してトランザクションの現状について通知され、例えばそれに応じて監視機器自体の動作を調整することができる。
【0029】
さらなる例示的な実施形態では、この方法は、第4のメッセージを少なくとも1つのさらなるデバイスに送信するステップをさらに含み、第4のメッセージが、少なくとも1つのさらなるデバイスに、ステートチャネルを削除させるように構成される。したがって、例えばトランザクションを実行するためのデバイスに関して、少なくとも1つのさらなるデバイスによるステートチャネルの削除も実施することができ、これは、トランザクションを実行するためのデバイスの負担をさらに軽減する。
【0030】
さらなる例示的な実施形態では、少なくとも1つのさらなるデバイスは、DLTシステムでトランザクションを実行する、例えば、a)デバイス用の1つのまたは上記ステートチャネルをセットアップする、b)デバイス用の1つのまたは上記ステートチャネルを削除する、c)例えば、ステートチャネルを介して実行され得るトランザクションに対するデバイスの時間的挙動を特徴付ける複数のまたは上記タイミング情報に基づいて1つのまたは上記監視機器を初期化するように構成されることができる。したがって、少なくとも1つのさらなるデバイスは、例えばステートチャネルを管理するステップを実施し、それにより例えばトランザクションを実行するためのデバイスを「負担軽減」することができ、したがって、トランザクションを実行するためのデバイスは、さらなる例示的な実施形態では、対応する計算時間または他のリソースを消費する必要がない。これにより、さらなる例示的な実施形態では、トランザクションを実行するためのデバイスの複雑さを軽減することができる。
【0031】
さらなる例示的な実施形態は、例えば分散型台帳技術(DLT)システムに関連付けられた少なくとも1つのステートチャネルを介してトランザクションを実行するためのデバイスに関し、デバイスは、上記請求項の少なくとも一項に記載の方法を実施するように構成される。
【0032】
さらなる例示的な実施形態では、デバイスは、Internet-of-Things(モノのインターネット)デバイスとして構成されることができ、例えば、デバイスは、例えば既存のステートチャネルを介してトランザクションを実行するように構成され、例えば、デバイスは、1つのまたは上記DLTシステムに直接アクセスするようには構成されない。さらなる例示的な実施形態では、DLTシステムへのアクセスは、例えばステートチャネルのセットアップおよび/または削除のために少なくとも1つのさらなるデバイスによって実施することができる。
【0033】
さらなる例示的な実施形態では、デバイスは、センサデータを決定するための少なくとも1つのセンサ機器を備えることができる。例えば、デバイスは、IoTセンサデバイスとして構成することができる。さらなる例示的な実施形態では、IoTセンサデバイスは、DLTシステムへのアクセスに関する少なくとも1つのさらなるデバイスによるサポートにより、例えばEconomy-of-Things(モノの経済)の意味での例えばセンサデータの提供または販売などのトランザクションのためにステートチャネルを利用することができ、IoTセンサデバイスは、例えば、少なくとも1つのさらなるデバイスによってステートチャネルをセットアップもしくは削除し、および/または他の方法で管理させることができる。
【0034】
さらなる例示的な実施形態は、ステートチャネルを介してトランザクションを実行するための少なくとも1つのデバイス用の、例えば実施形態による少なくとも1つのデバイス用の、例えば分散型台帳技術(DLT)システムに関連付けられたステートチャネルを管理するための方法に関し、この方法は、例えばデバイスから第1のメッセージを受信するステップであって、第1のメッセージが、デバイス用のステートチャネルがセットアップされるべきであることを示す、ステップと、ステートチャネルをセットアップするステップと、第2のメッセージをデバイスに送信するステップであって、第2のメッセージが、ステートチャネルがセットアップされていることを信号通知する、ステップとを含む。
【0035】
さらなる例示的な実施形態では、この方法は、例えばデバイスから第3のメッセージを受信するステップであって、第3のメッセージが、監視機器を初期化すべきであることを示し、監視機器が、DLTシステムを例えば繰り返し、例えば定期的に、設定可能なイベントに関して監視し、例えばデバイス用のステートチャネルに関するイベントに関して監視するように構成される、ステップと、任意選択で監視機器を初期化するステップとをさらに含むことができる。
【0036】
さらなる例示的な実施形態では、この方法は、例えばデバイスからタイミング情報を受信するステップをさらに含み、タイミング情報が、ステートチャネルを介して実行され得るトランザクションに対するデバイスの時間的挙動を特徴付け、例えば、タイミング情報が、デバイス、例えば1つのまたは上記監視機器が新たなステートについて通知する更新間隔を含むことができる。
【0037】
さらなる例示的な実施形態では、この方法は、例えばデバイスから現在のステートを特徴付けるステート情報を受信するステップと、任意選択で、受信されたステート情報を例えば監視機器に送信するステップとをさらに含むことができる。
【0038】
さらなる例示的な実施形態では、この方法は、例えばデバイスから第4のメッセージを受信するステップであって、第4のメッセージが、ステートチャネルが削除されるべきであることを示す、ステップと、任意選択で、ステートチャネルを削除するステップとをさらに含むことができる。
【0039】
さらなる例示的な実施形態は、ステートチャネルを介してトランザクションを実行するための少なくとも1つのデバイス用の、例えば実施形態による少なくとも1つのデバイス用の、例えば分散型台帳技術(DLT)システムに関連付けられたステートチャネルを管理するためのデバイスに関し、デバイスは、実施形態による方法を実施するように構成される。さらなる例示的な実施形態では、ステートチャネルを管理するためのデバイスは、複数のステートチャネルも、例えば、1つまたは複数のステートチャネルを介してトランザクションを実行するために複数または多数の(IoT)デバイスに関して管理することができ、したがって、(IoT)デバイスから、例えばステートチャネルのセットアップおよび/または削除など計算および/または(データ)通信集約的なプロセスを比較的取り除くことができる。
【0040】
さらなる例示的な実施形態では、ステートチャネルを管理するためのデバイスまたは対応する機能は、例えば、例えば携帯電話もしくはラップトップコンピュータなどのモバイル端末デバイスで、または固定機器でも、例えばソフトウェアエージェント(コンピュータプログラム)の形で実現することができる。
【0041】
さらなる例示的な実施形態では、ステートチャネルを管理するためのデバイスまたは対応する機能は、例えばウォレットサービスの形で、すなわち例えばDLTシステムにアクセスするためのプライベート暗号鍵を記憶または管理するサービスの形で実現することができる。
【0042】
さらなる例示的な実施形態は、実施形態によるトランザクションを実行するための少なくとも1つのデバイスと、トランザクションを実行するための少なくとも1つのデバイス用の、例えば分散型台帳技術(DLT)システムに関連付けられたステートチャネルを管理するための少なくとも1つのデバイスとを備えるシステムに関する。
【0043】
さらなる例示的な実施形態では、システムが、少なくとも1つの分散台帳技術(DLT)システムをさらに備えることができる。
【0044】
さらなる例示的な実施形態は、命令を含むコンピュータ可読記憶媒体であって、命令が、コンピュータによって実行されるときに、コンピュータに、実施形態による方法を実施させる、コンピュータ可読記憶媒体に関する。
【0045】
さらなる例示的な実施形態は、命令を含むコンピュータプログラムであって、命令が、コンピュータによるプログラムが実行されるときに、コンピュータに、実施形態による方法を実施させる、コンピュータプログラムに関する。
【0046】
さらなる例示的な実施形態は、実施形態によるコンピュータプログラムを伝送するおよび/または特徴付けるデータキャリア信号に関する。
【0047】
さらなる例示的な実施形態は、a)例えば分散台帳技術(DLT)システムに関連付けられた少なくとも1つのステートチャネルを介して、トランザクション、例えばオフチェーントランザクションを実行すること、b)例えば分散台帳技術(DLT)システムに関連付けられた少なくとも1つのステートチャネルを管理すること、c)IoT(Internet-of-Things(モノのインターネット))デバイスが、トランザクション、例えばEoT(Economy-of-Things(モノの経済))トランザクションを少なくとも1つのステートチャネルを介して実行することを可能にすること、d)少なくとも1つのIoTデバイス用の、例えば分散台帳技術(DLT)システムに関連付けられた少なくとも1つのステートチャネルを管理すること、e)例えば少なくとも1つのIoTデバイス用の、例えば分散台帳技術(DLT)システムに関連付けられた少なくとも1つのステートチャネルを介してトランザクションを実行するための少なくとも1つのデバイス用の監視機器を管理すること、という要素のうちの少なくとも1つのための、実施形態による方法および/または実施形態によるデバイスおよび/または実施形態によるシステムおよび/または実施形態によるコンピュータ可読記憶媒体および/または実施形態によるコンピュータプログラムおよび/または実施形態によるデータキャリア信号の使用に関する。
【0048】
本発明のさらなる特徴、適用例、および利点は、図面の各図に示されている本発明の例示的な実施形態の以下の説明から明らかになる。ここで、記載または図示するすべての特徴は、各請求項またはそれらの従属先の請求項におけるそれらの要約に関係なく、また本明細書または図面におけるそれらの表現または図示に関係なく、単独で、または任意の組合せで本発明の主題を成す。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】例示的な実施形態による概略的な簡略ブロック図である。
図2A】さらなる例示的な実施形態による方法の概略的な簡略フローチャートである。
図2B】さらなる例示的な実施形態による方法の概略的な簡略フローチャートである。
図3A】さらなる例示的な実施形態による方法の概略的な簡略フローチャートである。
図3B】さらなる例示的な実施形態による方法の概略的な簡略フローチャートである。
図3C】さらなる例示的な実施形態による方法の概略的な簡略フローチャートである。
図3D】さらなる例示的な実施形態による方法の概略的な簡略フローチャートである。
図4】さらなる例示的な実施形態による概略的な簡略ブロック図である。
図5】さらなる例示的な実施形態による概略的な簡略ブロック図である。
図6】さらなる例示的な実施形態による概略的な簡略ブロック図である。
図7A】さらなる例示的な実施形態による概略的な簡略フローチャートである。
図7B】さらなる例示的な実施形態による概略的な簡略フローチャートである。
図8】さらなる例示的な実施形態による概略的な簡略タイミングチャートである。
図9】さらなる例示的な実施形態による使用の態様を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、例示的な実施形態による簡略ブロック図を概略的に示し、例えば分散型台帳技術(DLT)システム10に関連付けられた少なくとも1つのステートチャネルSCを介してトランザクションTを実行するためのデバイス200が提供されている。
【0051】
さらなる例示的な実施形態(図2A参照)は、デバイス200を作動させるための方法、特にコンピュータ実装方法に関し、この方法は、少なくとも1つのさらなるデバイス300に第1のメッセージN1を送信するステップ102(図1も参照、例えば、直接、または例えばゲートウェイなど図1に示されてない別の機器を介して)であって、第1のメッセージN1が、少なくとも1つのさらなるデバイス300に、デバイス200用のステートチャネルSCをセットアップさせる、ステップ102と、少なくとも1つのさらなるデバイス300から第2のメッセージN2を受信するステップ104(図2A)(少なくとも1つのさらなるデバイスから直接、または例えばゲートウェイなど図1に示されていない別の機器を介して)であって、第2のメッセージN2が、デバイス200用のステートチャネルSCがセットアップされていることを信号通知する、ステップ104と、ステートチャネルSCを介して少なくとも1つのトランザクションTを実行するステップ106(図2A)とを含む。これにより、さらなる例示的な実施形態では、例えばトランザクションTを実行するためのデバイス200自体がステートチャネルSCをセットアップすることなく、ステートチャネルSCを介してトランザクションTの実行が可能になる。これにより、さらなる例示的な実施形態では、例えば比較的わずかな計算能力および/もしくは通信帯域幅ならびに/または比較的少ないメモリリソースを有し得る、あるいはさらなるデバイスと定期的にはデータ通信を実施することができない、および/または他の理由により、ステートチャネルのセットアップのために実施され得るステップを少なくとも一時的に、もしくは場合によっては制限を伴ってしか実施することができないデバイス200も、トランザクションTの実行106のためにステートチャネルSCを利用することができる。
【0052】
さらなる例示的な実施形態では、ステートチャネルSCは、特に1つのまたは上記DLTシステム10を使用することなく、少なくとも2人の当事者(例えば、リソースの提供者と潜在消費者との)間でステートまたはステートを特徴付ける情報の交換を可能にする。したがって、ステートチャネルSCを介して比較的迅速に様々なステートまたは対応する情報を交換することができ、そのために対応するDLTシステム10のトランザクションを必要としない。DLTシステム10のトランザクションは、スケーリングが比較的悪いことがある。したがって、さらなる例示的な実施形態では、ステートチャネルSCを介して実行されるトランザクションは、「オフチェーン」トランザクションと呼ぶこともできる。言い換えると、さらなる例示的な実施形態では、デバイス200は、ステートチャネルSCのセットアップまたは削除を自ら実施することなく、ステートチャネルSCを介して多数のトランザクションTを効率的に実行することができる。
【0053】
さらなる例示的な実施形態では、例えば後述する[参考文献2]に記載されているような少なくとも1つのステートチャネルSCを、例えばトランザクションTを実行するために使用することができる。
【0054】
ここで、以下に挙げる文書[参考文献1]および[参考文献2]を本明細書に明示的に組み込む。
【0055】
Stefan Dziembowski、Sebastian Faust、およびKristina Hostakova。2018。General State Channel Networks(一般的なステートチャネルネットワーク)。In Proceedings of the 2018 ACM SIGSAC Conference on Computer and Communications Security(CCS’18)。Association for Computing Machinery、New York、NY、USA、949-966。DOI:https://doi.org/10.1145/3243734.3243856[参考文献1]。
【0056】
S.Dziembowski、L.Eckey、S.FaustおよびD.Malinowski、「Perun:Virtual Payment Hubs over Cryptocurrencies(Perun:暗号通貨での仮想決済ハブ)」、2019 IEEE Symposium on Security and Privacy(SP)、San Francisco、CA、USA、2019、pp.106-123、doi:10.1109/SP.2019.00020[参考文献2]。
【0057】
さらなる例示的な実施形態では、例えばリソースの潜在消費者とリソースの提供者との間、または対応するデバイス間で、例えば署名されたトランザクションおよび/またはステート情報および/またはステート更新を、ステートチャネルを介して伝送することができる。
【0058】
例えば、例示的な実施形態によるシステム1000(図1)は、デバイス200、300、および任意選択でDLTシステム10を備えることができる。
【0059】
さらなる例示的な実施形態では、システム1000はまた、ステートチャネルSCを介してトランザクションTを実行するための少なくとも1つのさらなるデバイス200’、および/またはデバイス200、200’用のステートチャネルSCを管理するための少なくとも1つのさらなるデバイス300’を備えることができる。さらなる例示的な実施形態では、デバイス200’は、例えば、デバイス200と同等または少なくとも類似の構成を有することができる。さらなる例示的な実施形態では、デバイス300’は、例えば、デバイス300と同等または少なくとも類似の構成を有することができる。
【0060】
さらなる例示的な実施形態では、ステートチャネルSCを介して、例えばデバイス200、200’間で、1時間あたりに比較的多数の(例えば署名された)トランザクションTを伝送することができ、したがって、それに応じて、トランザクションによって実行可能なリソースの要求および/または提供を動的に行うことができる。
【0061】
さらなる例示的な実施形態では、ステートチャネルSCは、例えばいわゆる台帳チャネル(Ledger Channel)であってもよく、台帳チャネルは、例えば1つのもしくは上記DLTシステム10によって、またはDLTシステム10に基づいて実現可能である。
【0062】
さらなる例示的な実施形態では、DLTシステム10は、少なくとも1つのブロックチェーン12および/または少なくとも1つの有向非巡回グラフ(英語:directed acyclic graph、DAG、図示せず)を備えることができる。
【0063】
さらなる例示的な実施形態では、ブロックチェーン12は、例えばマークルツリーの原理に従って、暗号化方法(例えば、それぞれのデータブロックのハッシュ値の形成)を使用して互いにリンクされたデータブロックの連鎖とみなすことができる。これにより、ブロックチェーン12でのデータの偽造防止された記憶が可能である。
【0064】
さらなる例示的な実施形態では、ブロックチェーン12は、分散型または非中央集権型データバンクの形態で実現することができ、ブロックチェーンネットワークの複数のネットワーク要素(「ノード」)がそれぞれ、ブロックチェーン12のデータブロックを記憶する。ブロックチェーン技術の基本的な態様は、例えば以下の刊行物に記載されている:Nakamoto,Satoshi。(2009)。Bitcoin:A Peer-to-Peer Electronic Cash System、https://bitcoin.org/bitcoin.pdf。
【0065】
さらなる好ましい実施形態では、DLTまたはブロックチェーン12は、1つまたは複数のスマートコントラクト14を記憶することができ、スマートコントラクト14は、例えば例示的な実施形態によるステートチャネルSCの確立にも関連して、例えば情報の記憶を可能にするが、例えばブロックチェーン12に記憶された情報に基づいておよび/またはブロックチェーン12に関して実行されるトランザクションTに基づいて、プログラミング言語と同様に、クエリおよびさらなるプログラム機能の実行も可能にする。これにより、さらなる例示的な実施形態では、契約上の規制に対応する論理リンクおよび/またはリソースの利用を特徴付ける情報などを、例えば1つもしくは複数のスマートコントラクト14によって、または少なくとも1つのスマートコントラクト14に関連してブロックチェーン12に記憶することができ、例えばいわゆるファンディングまたはアンカートランザクションを記憶することができ、これらは例えばさらなる例示的な実施形態においてステートチャネルSCをセットアップするために使用可能である。
【0066】
さらなる例示的な実施形態では、第1のメッセージN1を送信するステップ102は、方法を実施するデバイス200、すなわち例えばトランザクションTを実行するためのデバイス200から少なくとも1つのさらなるデバイス300に直接行われるように構成される。
【0067】
さらなる例示的な実施形態では、第1のメッセージN1を送信するステップ102は、方法を実施するデバイス200、すなわち例えばトランザクションTを実行するためのデバイス200から少なくとも1つのさらなるデバイス300に、少なくとも1つのさらなるデバイス(図1には図示せず)または機器、例えばゲートウェイを介して行われ、ゲートウェイは、デバイス200から第1のメッセージN1を受信し、次いで第1のメッセージN1を少なくとも1つのさらなるデバイス300に送信または転送するように構成される。
【0068】
さらなる例示的な実施形態では、これは、例として以下に記載する1つまたは複数のさらなるメッセージN2、N3、N4、TI、ZIにも同様に当てはまる。
【0069】
さらなる例示的な実施形態(図2A参照)では、この方法は、例えばステートチャネルSCを介する将来のトランザクションTに関する初期ステートAZを規定するステップ100をさらに含み、例えば第1のメッセージN1が初期ステートAZに基づいて作成されるように構成される。
【0070】
さらなる例示的な実施形態では、初期ステートAZを規定するステップ100は、将来のトランザクションTのための条件を交渉することを含み、条件は、例えば、契約、例えばスマートコントラクト14などの例えばデジタルコントラクトによって、例えばデバイス300によってDLTシステム10で実行可能な上述したアンカートランザクションによって保持することができる。さらなる例示的な実施形態では、スマートコントラクト14は、例えばDLTシステム10にアンカーされ、例えばDLTシステム10のブロックチェーン12にアンカーされる。
【0071】
さらなる例示的な実施形態(図2B参照)では、この方法は、第3のメッセージN3を少なくとも1つのさらなるデバイス300に送信するステップ110をさらに含み、第3のメッセージN3が、少なくとも1つのさらなるデバイス300に、任意選択の監視機器WT(図1)を初期化させ、監視機器WTが、DLTシステム10を例えば繰り返し、例えば定期的に、設定可能なイベントについて、例えばデバイス200用のステートチャネルSCに関するイベントについて監視するように構成されることができる。これは、例えば、デバイス200が、ステートチャネルSCを共有して利用するデバイス200’へのデータ接続を一時的に有さず、したがってステートチャネルSCを介して例えばステート更新を受信することができないときに有利であり得る。
【0072】
さらなる例示的な実施形態では、任意選択の監視機器WTは、例えばここで本明細書に明示的に組み込む後述の[参考文献3]に従って構成される。
【0073】
Patrick McCorry、Surya Bakshi、Iddo Bentov、Sarah Meiklejohn、およびAndrew Miller。2019。Pisa:Arbitration Outsourcing for State Channels(Pisa:ステートチャネルのための仲裁アウトソーシング)。In Proceedings of the 1st ACM Conference on Advances in Financial Technologies(AFT’19)。Association for Computing Machinery、New York、NY、USA、16-30、DOI:https://doi.org/10.1145/3318041.3355461、[参考文献3]。
【0074】
さらなる例示的な実施形態では、第3のメッセージN3が第1のメッセージN1に含まれ、例えば第1のメッセージと組み合わされるように構成される。
【0075】
さらなる例示的な実施形態(図2B参照)では、この方法は、少なくとも1つのさらなるデバイス300(図1)にタイミング情報TIを送信するステップ112をさらに含み、タイミング情報TIが、ステートチャネルSCを介して実行され得るトランザクションTに対するデバイス200の時間的挙動を特徴付け、例えば、タイミング情報TIが、デバイス200、例えば1つのまたは上記監視機器WTが新たなステートについて通知する更新間隔を含むように構成される。これにより、少なくとも1つのさらなるデバイス300は、更新間隔に時間的に適合するように監視機器WTを初期化することができ、すなわち、監視機器WTの動作を、トランザクションTを実行するためのデバイス200の時間的挙動に適合させることができる。
【0076】
さらなる例示的な実施形態では、タイミング情報TIが、第1のメッセージN1と共に、または第1のメッセージN1の後に、少なくとも1つのさらなるデバイス300に送信されるように構成される。
【0077】
さらなる例示的な実施形態(図2B参照)では、この方法は、現在のステートを特徴付けるステート情報ZIを例えば監視機器WTに送信するステップ114をさらに含むことができる。これにより、監視機器WTは、ステートチャネルSCを介してトランザクションTの現状について通知され、例えばそれに応じて監視機器WT自体の動作を調整することができる。
【0078】
さらなる例示的な実施形態では、この方法は、第4のメッセージN4を少なくとも1つのさらなるデバイス300に送信するステップ116をさらに含み、第4のメッセージN4が、少なくとも1つのさらなるデバイス300に、ステートチャネルSCを削除させるように構成される。したがって、例えばトランザクションTを実行するためのデバイス200に関して、少なくとも1つのさらなるデバイス300によるステートチャネルSCの削除を実施することができ、これは、トランザクションTを実行するためのデバイス200の負担をさらに軽減する。
【0079】
例として上に記載したブロック100~116は、さらなる例示的な実施形態では異なる順序で実施することもできる。さらなる例示的な実施形態では、例として上に記載したブロック100~116の少なくとも1つを省略する、すなわち実施しないこともできる。同じことが、例として以下に記載する方法にも当てはまる。
【0080】
さらなる例示的な実施形態では、少なくとも1つのさらなるデバイス300(図1)は、DLTシステムでトランザクションを実行する(図1からの両矢印A1参照)、例えば、a)デバイス200用の1つのまたは上記ステートチャネルSCをセットアップする、b)デバイス200用の1つのまたは上記ステートチャネルSCを削除する、c)例えば、ステートチャネルSCを介して実行され得るトランザクションTに対するデバイス200の時間的挙動を特徴付けるタイミング情報TIに基づいて任意選択の1つのまたは上記監視機器WTを初期化するように構成されることができる。したがって、少なくとも1つのさらなるデバイス300は、例えばステートチャネルSCを管理するステップを実施し、それにより例えばデバイス200を「負担軽減」することができ、したがって、デバイス200は、さらなる例示的な実施形態では、対応する計算時間または他のリソースを消費する必要がない。これにより、さらなる例示的な実施形態では、トランザクションを実行するためのデバイス200の複雑さを軽減する、またはデバイス200の耐用寿命(例えばバッテリ動作寿命)を延ばすことができる。
【0081】
デバイス300と任意選択の監視機器WTとの通信は、図1に両矢印A2によって表されている。任意選択の監視機器WTとDLTシステム10との通信は、図1に両矢印A3によって表されている。
【0082】
任意選択のデバイス200’と任意選択のデバイス300’との通信は、図1に両矢印N1’、N2’によって表されている。任意選択のデバイス300’とDLTシステム10との通信は、図1に両矢印A1’によって表されている。
【0083】
さらなる例示的な実施形態は、例えば分散型台帳技術(DLT)システム10に関連付けられた少なくとも1つのステートチャネルSCを介してトランザクションTを実行するためのデバイス200(図1)に関し、デバイス200は、実施形態による方法を実施するように構成される。
【0084】
さらなる例示的な実施形態では、デバイス200は、IoT(Internet-of-Things(モノのインターネット))デバイス200として構成されることが企図され、例えば、デバイス200は、例えば既存のステートチャネルSCを介してトランザクションTを実行するように構成され、例えば1つのまたは上記DLTシステム10に直接アクセスするようには構成されない。さらなる例示的な実施形態では、DLTシステム10へのアクセスは、例えばステートチャネルSCのセットアップおよび/または削除のために少なくとも1つのさらなるデバイス300によって実施することができる。
【0085】
さらなる例示的な実施形態では、デバイス200は、センサデータを決定するための少なくとも1つのセンサ機器を備えることができる。例えば、デバイス200は、IoTセンサデバイス200として構成することができる。さらなる例示的な実施形態では、IoTセンサデバイス200は、DLTシステム10へのアクセスに関する少なくとも1つのさらなるデバイス300によるサポートにより、例えばEoT(Economy-of-Things(モノの経済))の意味での例えばセンサデータの提供または販売などのトランザクションTのためにステートチャネルSCを利用することができ、IoTセンサデバイス200は、例えば、少なくとも1つのさらなるデバイス300によってステートチャネルSCをセットアップもしくは削除し、および/または他の方法で管理させることができる。さらなる例示的な実施形態では、デバイス200は、例えばステートチャネルを介するいわゆるコミットメントトランザクションによって、センサデータまたは一般にリソース自体を提供および/または販売するためのトランザクションを実行する。
【0086】
さらなる例示的な実施形態(図3A参照)は、ステートチャネルSCを介してトランザクションTを実行するための少なくとも1つのデバイス用の、例えば実施形態による少なくとも1つのデバイス200、200’用の、例えば分散型台帳技術(DLT)システム10に関連付けられたステートチャネルSCを管理するための方法に関し、この方法は、例えばデバイス200から1つのまたは上記第1のメッセージN1を受信するステップ150(デバイスから直接、または間接的に、すなわち、メッセージN1をデバイス200から例えばゲートウェイに送信することもでき、ゲートウェイが、図3Aによる方法を実施するためのデバイス300にメッセージN1を転送する)であって、第1のメッセージN1が、デバイス200用のステートチャネルSCがセットアップされるべきであることを示す、ステップ150と、ステートチャネルSCをセットアップするステップ152と、第2のメッセージN2をデバイス200に送信するステップ154(直接または例えばゲートウェイを介して)であって、第2のメッセージN2が、ステートチャネルSCがセットアップされており、例えばデバイス200によって今後使用することができることを信号通知する、ステップ154とを含む。
【0087】
さらなる例示的な実施形態(図3B参照)では、この方法は、例えばデバイス200から1つのまたは上記第3のメッセージN3を受信するステップ160であって、第3のメッセージN3が、監視機器WTを初期化すべきであることを示し、監視機器WTが、DLTシステム10を例えば繰り返し、例えば定期的に、設定可能なイベントに関して監視し、例えばデバイス200用のステートチャネルSCに関するイベントに関して監視するように構成される、ステップ160と、任意選択で監視機器WTを初期化するステップ162とをさらに含むことができる。
【0088】
さらなる例示的な実施形態(図3C参照)では、この方法は、例えばデバイス200からタイミング情報TIを受信するステップ165をさらに含み、タイミング情報TIは、ステートチャネルSCを介して実行され得るトランザクションTに対するデバイス200の時間的挙動を特徴付け、例えば、タイミング情報TIは、デバイス200、例えば1つのまたは上記監視機器WTが新たなステートについて通知する更新間隔を含むように構成される。
【0089】
さらなる例示的な実施形態(図3D参照)では、この方法は、例えばデバイス200から現在のステートを特徴付けるステート情報ZIを受信するステップ167と、任意選択で、受信されたステート情報ZIを例えば監視機器WTに送信するステップ169とをさらに含むことができる。これにより、デバイス200自体がそのステート情報ZIを監視機器WTに送信する必要がなくなる。したがって、これは、さらなる例示的な実施形態では、むしろデバイス300によって実施することができる。
【0090】
さらなる例示的な実施形態(図3D参照)では、この方法は、例えばデバイス200から1つのまたは上記第4のメッセージN4を受信するステップ170であって、第4のメッセージN4が、ステートチャネルSCが削除されるべきであることを示す、ステップ170と、任意選択で、ステートチャネルSCを削除するステップ172とをさらに含むことができる。これは、例えば、デバイス300が、対応するトランザクション、例えばいわゆる決済トランザクションをDLTシステム10で実行することによって行うことができる。
【0091】
さらなる例示的な実施形態は、ステートチャネルSCを介してトランザクションTを実行するための少なくとも1つのデバイス用の、例えば実施形態による少なくとも1つのデバイス200、200’用の、例えば1つのまたは上記分散型台帳技術(DLT)システム10に関連付けられたステートチャネルSCを管理するためのデバイス300、300’(図1)に関し、デバイス300、300’は、実施形態による方法(例えば図3A図3D参照)を実施するように構成される。さらなる例示的な実施形態では、ステートチャネルSCを管理するためのデバイス300、300’は、例えば、1つまたは複数のステートチャネルを介してトランザクションを実行するために複数または多数の(IoT)デバイス200,200’に関して複数のステートチャネルSCを管理することもでき、したがって、(IoT)デバイス200,200’から、例えばステートチャネルSCのセットアップおよび/または削除など計算および/または(データ)通信集約的なプロセスを比較的取り除くことができる。
【0092】
さらなる例示的な実施形態では、ステートチャネルSCを管理するためのデバイス300、300’または対応する機能は、例えば携帯電話もしくはラップトップコンピュータなどのモバイル端末デバイスで、または固定機器で、例えばソフトウェアエージェント(コンピュータプログラム)の形でも実現することができる。
【0093】
さらなる例示的な実施形態では、ステートチャネルSCを管理するためのデバイス300、300’または対応する機能は、例えばウォレットサービスの形で、すなわち例えばDLTシステム10にアクセスするためのプライベート暗号鍵を記憶または管理するサービスの形で実現することができる。
【0094】
さらなる例示的な実施形態(図1参照)は、実施形態によるトランザクションTを実行するための少なくとも1つのデバイス200と、トランザクションを実行するための少なくとも1つのデバイス用の、例えばトランザクションTを実行するための少なくとも1つのデバイス200用の、例えば1つのまたは上記分散型台帳技術(DLT)システム10に関連付けられたステートチャネルSCを管理するための少なくとも1つのデバイス300とを備えるシステム1000に関する。
【0095】
さらなる例示的な実施形態では、システム1000が、少なくとも1つの分散台帳技術(DLT)システム10をさらに備えることができる。
【0096】
図4は、さらなる例示的な実施形態による簡略ブロック図を概略的に示す。構成200’’または300’’が図示されており、例えばこれらは、さらなる例示的な実施形態では、図1によるデバイス200、200’、300、300’のうちの少なくとも1つを備えることができる。さらなる例示的な実施形態によるデバイス200、300は、原則として構造的に同等の構造物200’’、300’’を備えているが、例えば計算能力および/またはメモリ容量および/または通信帯域幅などに関して互いにかなり異なる場合があることに留意されたい。
【0097】
構成200’’、300’’は、少なくとも1つの計算コア202aを備える計算デバイス202(「コンピュータ」)と、a)データDAT、b)特に実施形態による方法を実施するためのコンピュータプログラムPRG、という要素のうちの少なくとも1つの少なくとも一時的な記憶のために計算デバイス202に割り当てられたメモリデバイス204とを備える。
【0098】
さらなる好ましい実施形態では、データDATは、トランザクションTのデータを少なくとも一時的および/または部分的に含むことができ、そのようなトランザクションTのデータは、デバイス200’’の場合には、例えばステートチャネルSCを介するコミットメントトランザクションTのデータであり、デバイス300’’の場合には、例えばステートチャネルSCをセットアップするためのファンディングもしくはアンカートランザクションのデータ、および/またはステートチャネルSCを削除するための決済トランザクションのデータである。
【0099】
さらなる好ましい実施形態では、メモリデバイス204は、揮発性メモリ204a(例えばワーキングメモリ(RAM))、および/または不揮発性メモリ204b(例えばフラッシュEEPROM)を備える。
【0100】
さらなる例示的な実施形態では、計算デバイス202は、以下の要素のうちの少なくとも1つを備えることができる:マイクロプロセッサ(μP)、マイクロコントローラ(μC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、プログラマブルロジックデバイス(例えばFPGA、フィールドプログラマブルゲートアレイ)、ハードウェア回路、グラフィックプロセッサ(GPU、グラフィックスプロセッシングユニット)、またはそれらからの任意の組合せ。
【0101】
さらなる例示的な実施形態は、命令PRGを含むコンピュータ可読記憶媒体SMであって、命令PRGが、コンピュータ202によって実行されるときに、コンピュータ202に、実施形態による方法を実施させる、コンピュータ可読記憶媒体SMに関する。
【0102】
さらなる例示的な実施形態は、命令を含むコンピュータプログラムPRGであって、命令が、コンピュータ202によるプログラムが実行されるときに、コンピュータ202に、実施形態による方法を実施させる、コンピュータプログラムPRGに関する。
【0103】
さらなる例示的な実施形態は、実施形態によるコンピュータプログラムPRGを特徴付けるおよび/または伝送するデータキャリア信号DCSに関する。データキャリア信号DCSは、例えばデバイス200の任意選択のデータインターフェース206を介して受信可能であり、さらなる例示的な実施形態では、データインターフェース206を介して例えばメッセージN1、N2または情報TI、ZIの1つまたは複数も伝送可能であり、ならびに/あるいは、例えばステートチャネルSCを介して伝達可能なもしくは伝達され得る他の情報も、またデバイス300’’の場合には例えばデバイス300’’とDLTシステム10との間で伝送可能な情報(例えば図1からの両矢印A1参照)、および/またはデバイス300’’と監視機器WTとの間で伝送可能な情報(例えば図1からの両矢印A2参照)も伝送可能である。
【0104】
さらなる好ましい実施形態では、デバイス200’’は、リソースRを提供するための任意選択のリソースインターフェース208を備え、リソースインターフェース208は、例えばセンサ機器を備え、またはセンサ機器208として構成することができる。したがって、この例では、デバイス200は、例えばコミットメントトランザクションTの枠組みで、ステートチャネルSCを介してそのセンサデータSDをさらなるデバイス200’に販売することができる。
【0105】
さらなる好ましい実施形態では、センサデータSDに対する見返りとして、通貨のある金額またはこの金額を特徴付ける情報を、センサデータSDの購入者200’から、例えば同様にコミットメントトランザクションTによってステートチャネルSCを介して伝送することができ、この伝送は、いわゆるマイクロペイメント、すなわち少額の支払いの形で行うこともできる。このようにして、さらなる例示的な実施形態では、センサデータSDは、比較的小さな粒度(例えば、比較的低額の支払いに対応する個々のセンサデータ値など)で取引または販売することができる。
【0106】
さらなる例示的な実施形態では、通貨または通貨のタイプを特徴付ける情報の代替としてまたは補完として、支払いに関する情報を利用することもでき、この情報は、例えばステートチャネルSCに関連付けられたスマートコントラクト14に含めることができ、財産または資産もしくは資産価値、コスト、金銭、暗号通貨、約束手形、バウチャーなどの要素の少なくとも1つを特徴付ける。
【0107】
図5は、さらなる例示的な実施形態による簡略ブロック図を概略的に示す。2つの当事者デバイス400、410が図示されており、これらは、例えば、リソースの提供者400およびリソースの潜在消費者410であってもよい。リソースは、例えば電気エネルギーであってもよい。
【0108】
提供者400にはデバイス401が割り当てられ、デバイス401は、DLTシステム10’と通信することができ(両矢印A13参照)、また、例えばDLTシステム10’外で、すなわちオフチェーンで、直接(またはゲートウェイ(図示せず)を介して)消費者410または消費者410の少なくとも1つの構成要素412と通信することもできる(両矢印A10参照)。
【0109】
さらなる例示的な実施形態では、消費者410にデバイス411が割り当てられ、デバイス411は、その機能に関して、上に記載した例示的な実施形態によるデバイス200に少なくとも部分的に対応する。デバイス411は、消費者410のさらなるデバイス412と通信し(両矢印A11参照)、デバイス412は、その機能に関して、例えば上に記載した例示的な実施形態によるデバイス300に少なくとも部分的に対応する。通信A11を介して、デバイス411は、例えばメッセージN1、N2、N3、N4または情報TI、ZIを消費者410のさらなるデバイス412と交換することができ、例えば、消費者412のさらなるデバイス412に、例えば提供者400のデバイス401との例えばコミットメントトランザクションの直接の交換のためのステートチャネルを確立させる(両矢印A10参照)。このために、消費者410のさらなるデバイス412は、例えばDLTシステム10’とデータ通信を行うことができる(両矢印A12参照)。
【0110】
さらなる例示的な実施形態では、DLTシステム10’にステートチャネルフレームワーク11’が割り当てられ、ステートチャネルフレームワーク11’は、例えば[参考文献2]の意味において、例えばステートチャネルの管理(例えばセットアップ、削除など)を可能にする。
【0111】
総じて、2つの当事者デバイス400、410は、さらなる例示的な実施形態では、オンチェーントランザクションA12、A13、すなわちDLTシステム10’とのトランザクション、例えばファンディングまたはアンカートランザクションおよび/または決済トランザクションも、オフチェーントランザクションA10、例えばコミットメントトランザクションも実行することができる。
【0112】
図6は、さらなる例示的な実施形態による簡略ブロック図を概略的に示し、2つの当事者デバイス400、410が、オンチェーントランザクションA21、A23、A24も、オフチェーントランザクションA22も実行することができる。ここで、両矢印A22によるデータ交換は、例えばステートチャネルを介するオフチェーントランザクション(例えばコミットメントタイプの)に対応し、例えばステートチャネルは、デバイス401(例えば図1によるデバイス200と類似または同一)のためにデバイス402(例えば図1によるデバイス300と類似または同一)によってセットアップ可能である。
【0113】
さらなる例示的な実施形態では、デバイス411は、例えば図1によるデバイス200または200’と同等に、すなわち、例えば図1によるデバイス200または200’と同一または少なくとも類似して構成される。
【0114】
さらなる例示的な実施形態では、デバイス413は、例えば図1によるデバイス300または300’と同等に、すなわち、例えば図1によるデバイス300または300’と同一または少なくとも類似して構成される。さらなる例示的な実施形態では、デバイス413は、ウォレットサービスの機能、すなわち例えばDLTシステム10’にアクセスするためのプライベート暗号鍵を記憶または管理するサービスの機能を備えることもできる。
【0115】
さらなる例示的な実施形態では、当事者デバイス410に任意選択のゲートウェイ414が割り当てられ、ゲートウェイ414は、例えばデバイス411からのメッセージ、例えばタイプN1のメッセージ(デバイス411用のステートチャネルをセットアップすることを求めるデバイス413への要求)を受け取り、これを例えばデバイス413に転送し、デバイス413は、例えばデバイス411用のステートチャネルをセットアップする。例えば、ゲートウェイ414はまた、デバイス413からタイプN2のメッセージ(ステートチャネルがセットアップされているという情報)を受信し、デバイス411に転送することができる。同様に、ゲートウェイ414は、さらなる例示的な実施形態では、デバイス411、413、415のうちの少なくとも2つの間でさらなるまたは他のメッセージを交換または転送することもできる。
【0116】
さらなる例示的な実施形態では、当事者デバイス410に任意選択の監視機器415が割り当てられ、監視機器415は、例えばデバイス411に関して、例えばDLTシステム10’のDLTトランザクションを観察することができる。さらなる例示的な実施形態では、任意選択の監視機器415とデバイス411との間でのデータ交換も、ゲートウェイ414を介して行うことができる。
【0117】
図7Aは、さらなる例示的な実施形態による簡略ブロック図を概略的に示し、領域BR1を第1の当事者(例えば消費者)に割り当てることができ、領域BR2を例えばDLTシステム10(図1)または任意選択の関連するステートチャネルフレームワーク(例えば[参考文献2]による)に割り当てることができ、領域BR3を例えば第2の当事者(例えばリソースの提供者)に割り当てることができる。
【0118】
さらなる例示的な実施形態では、以下の要素のうちの1つまたは複数が消費者BR1に割り当てられる。
a)ステートチャネルSCでトランザクションT(図1)を実行するためのデバイス200、例えばIoTデバイス200、
b)例えばDLTシステム10に関連付けられた、デバイス200用のステートチャネルSCを管理するためのデバイス300、
c)監視機器WT。
さらなる例示的な実施形態では、以下の要素のうちの1つまたは複数が提供者BR3に割り当てられる。
a)ステートチャネルSCでトランザクションT(図1)を実行するためのデバイス200’、例えばIoTデバイス200’、
b)例えばDLTシステム10に関連付けられた、デバイス200’用のステートチャネルSCを管理するためのデバイス300’であって、例えばウォレットサービスの機能も有することができるデバイス300’、
c)監視機器WT’、
d)ゲートウェイGW。
【0119】
さらなる例示的な実施形態では、ブロックB1は、初期ステートの初期化または交渉100(図2A参照)を表す。これは例えば、デバイス200、200’間の合意の締結であり、合意は、例えばデジタル契約、例えばスマートコントラクト14(図1)によって特徴付けることができ、スマートコントラクト14は、さらなる例示的な実施形態では、例えばデバイス300、300’の少なくとも1つによる例えば対応するアンカートランザクションの実行により、例えばDLTシステム10においてもアンカー可能である。さらなる例示的な実施形態では、デバイス200、200’は、オフチェーンで、すなわち例えばDLTシステム10とのトランザクションなしで交渉100を行い(矢印e1、e2参照)、ここで、矢印e1は、例えば、初期ステートが生成される、またはデバイス200’に伝えられる旨のメッセージを表し、矢印e2は、例えば、初期ステートがデバイス200’によって確定される旨のメッセージを表す。
【0120】
さらなる例示的な実施形態では、ブロックB2は、ステートチャネルSC(図1)を生成するためのプロセスを表す。デバイス200は、例えば図1図2AによるメッセージN1に対応するメッセージe3をデバイス300に送信し、デバイス300に、デバイス200用のステートチャネルSCを確立させる。矢印e4は、デバイス300によるデバイス200用のステートチャネルSCの初期化または確立を表す。
【0121】
さらなる例示的な実施形態では、デバイス200’は、代替または補完として、デバイス300’に、デバイス200とのトランザクションTのためのデバイス200’用の1つのまたは上記ステートチャネルSCをセットアップさせることもでき、デバイス200’は、対応するメッセージe5をゲートウェイGWに送信し、ゲートウェイGWは、メッセージを、メッセージe6の形式でデバイス300’に転送する。矢印e6’は、デバイス300’によるデバイス200’用のステートチャネルSCの初期化または確立を表す。
【0122】
さらなる例示的な実施形態では、デバイス300は、ステートチャネルSCの確立e4後に、ブロックB3で、メッセージe7(例えば図1図2AによるメッセージN2に対応する)をデバイス200’に送信する。
【0123】
さらなる例示的な実施形態では、デバイス300’は、ステートチャネルSCの確立e6’後に、ブロックB3で、ゲートウェイGWを介してメッセージe8、e9(例えば図1図2AのメッセージN2に対応する)をデバイス200’に送信する。
【0124】
さらなる例示的な実施形態では、デバイス300は、ブロックB4で、ステートチャネルSCに関するDLTシステム10のトランザクションの監視e11のために任意選択の監視機器WTを初期化し(矢印e10参照)、監視機器WTは、例えばメッセージe12によってデバイス300に初期化の確定を通知する。さらなる例示的な実施形態では、デバイス300は、監視機器WTのメッセージe10によってデバイス200のタイミング情報TI(図3C参照)を伝えることができ、デバイス300は、タイミング情報TIを、場合によっては前もって(例えばメッセージe3(図7A)と共に)デバイス200から受信している。したがって、監視機器WTは、その動作、例えば、DLTシステム10でDLTトランザクションを監視するときのその時間的な挙動を、デバイス200の時間的な挙動に適合させることができる。
【0125】
さらなる例示的な実施形態では、ブロックB4と同様のブロックB5で、さらなる監視機器WT’を、この場合には提供者の領域BR3で初期化することができ(矢印e13参照)、例えば、デバイス200’について、デバイス200’がデバイス200とのトランザクションを実行するステートチャネルSCに関連するDLTシステム10でのDLTトランザクションを監視する(e14)。監視機器WT’は、例えばメッセージe15により、デバイス300’の初期化を確定することができる。
【0126】
さらなる例示的な実施形態では、ブロックB6で、トランザクション、例えばオフチェーントランザクションを実行することができ、すなわち、例えばデバイス200、200’の間で直接、例えば新たなステートの提案e16および/または承認e17を特徴付けるコミットメントトランザクションを実行することができる。
【0127】
さらなる例示的な実施形態では、新たなステートの承認e17に関連付けられたブロックB7で、メッセージe18(ブロックB8も参照)をデバイス200から監視機器WTに送信することができ、デバイス200’によって受け入れられたこの新たなステートを監視機器WTに通知する。この知識により、監視機器WT、例えば場合によっては監視機器WTによって決定される将来のDLTトランザクションを適切に評価することができる(例えば、DLTトランザクションによって特徴付けられるステートは、デバイス200によって伝えられてデバイス200’の側でも受け入れられるステートに対応するときに正しいと評価することができる)。
【0128】
代替として、さらなる例示的な実施形態では、デバイス200’は、デバイス200によって提案された新たなステートを拒否することができる(矢印e19参照)。
【0129】
さらなる例示的な実施形態では、矢印e20は、デバイス200’の側での新たなステートの提案を表す。
【0130】
さらなる例示的な実施形態では、デバイス200は、ブロックB9で、デバイス200’の側でメッセージe20によって提案された新たなステートを承認することができ(矢印e21参照)、デバイス200’はデバイス300’に、メッセージe22、e23によってゲートウェイを介して承認e21を通知する(ブロックB10参照)。
【0131】
代替として、デバイス200は、さらなる例示的な実施形態では、デバイス200’によって提案された新たなステートを拒否することができる(矢印e24参照)。
【0132】
さらなる例示的な実施形態では、例えばブロックB11(図7B参照)において、それ以降、デバイス200、200’によりオフチェーントランザクションe16、17、e19、e20、e21、e24のために利用されるステートチャネルSC(図1)を削除することができ、例えば、デバイス300により(矢印e26参照)および/またはデバイス300’により(矢印e29参照)、例えばDLTシステム10における1つまたは複数のいわゆる決済トランザクションの実行により削除することができる。さらなる例示的な実施形態では、デバイス200または200’によって、デバイス300および/または300’にステートチャネル(図2BによるメッセージN4に類似)の削除を行わせることができる(矢印e25またはe27、e28参照)。
【0133】
さらなる例示的な実施形態では、チャレンジ期間(challenge-period)は、ステートチャネルSCの削除によって開始される(矢印e30参照)。例えば、チャレンジ期間中、例えば当事者の1人による改ざんにより、決済トランザクションe26、e29によって特徴付けられたステートが正しくないという見解を少なくとも1人の当事者が示したとき、決済トランザクションe26、e29によって特徴付けられるステートを否認することができる。
【0134】
さらなる例示的な実施形態では、例えば、監視機器WTは、ステートチャネルSCの削除e26、e29に関する情報e31(ブロックB12参照)を受け取った後、決済トランザクションe26、e29によって特徴付けられるステートが正しいかどうかを、例えばメッセージe18(図7A)によって得られた情報との比較によって検査する。
【0135】
例えば、監視機器WTが、より新しい(すなわち、時間的により最近の)ステートに関する知識を有する限り、監視機器WTは、このより新しいステートをブロックB13でDLTシステム10に登録することができる(矢印e33参照)。
【0136】
さらなる例示的な実施形態では、例えば、監視機器WT’は、監視機器WTの側でのより新しいステートの登録e33に関する情報e34を受け取った後、そのより新しいステートが正しいかどうかを、例えばメッセージe22、23(図7A)によって得られた情報との比較によって検査する(ブロックB14、矢印e35参照)。
【0137】
監視機器WT’が、より新しいステートを有効とみなす限り、監視機器WT’の側でこのより新しいステートをDLTシステム10に登録することができ(ブロックB15の矢印e36参照)、したがって例えばいわばより新しいステートの有効性を確定することができる。
【0138】
さらなる例示的な実施形態では、デバイス300は、ステートチャネルSCを閉じ(矢印e37参照)、任意選択でその閉鎖についてデバイス200に通知する(矢印e38参照)。
【0139】
さらなる例示的な実施形態では、デバイス300’は、ステートチャネルSCを閉じ(矢印e39参照)、任意選択でその閉鎖についてデバイス200’に通知する(矢印e40、e41参照)。
【0140】
図8は、さらなる例示的な実施形態による簡略タイミング図を概略的に示す。領域R1には、デバイス200(図1図7A図7B)に関連付けられたトランザクション、例えばコミットメントトランザクションが図示されており、ここでは例として4つが図示され、4つのうちの1つに参照符号e50が付されている。
【0141】
領域R2には、監視機器WTに関連付けられたプロセスが図示されており、矢印e51は、デバイス200が監視機器WTに新たなステートe50について通知することを表す。ここで、さらなる例示的な実施形態では、監視機器WTは、DLTシステム10の監視e52を開始する。
【0142】
さらなる例示的な実施形態では、矢印e53は、デバイス200が再び監視機器WTに新たなステートについて通知することを表し、ここで、例えば、監視機器WTによるDLTシステム10の監視が継続される(参照符号e54参照)。次いで、監視機器WTは、ブロックe55で新たなステートを公開する。
【0143】
領域R3には、チャレンジ期間e56(図7Aからの矢印e30も参照)と、それに続く実行期間e57(実行期間)とが表されており、実行期間e57中、例えばここでもDLTシステム10(図1)とのトランザクションによって現在のステートが実行または確定される。
【0144】
領域R4では、領域R1と同様に、デバイス200’(図1図7A図7B)に関連付けられたトランザクション(個々に参照符号を付されていない)、例えばコミットメントトランザクションが、ここでは例として4つ図示されている。矢印e58は、例えば上に記載したチャレンジ期間e56を開始する、ステートチャネルSCを介する新たなステートの公開を表す。
【0145】
さらなる例示的な実施形態では、両矢印e59は、デバイス200の更新間隔を表し、両矢印e60は、更新間隔e59、監視e54、および公開e55からの合計に相当する期間を表す。さらなる好ましい実施形態では、期間e60は、チャレンジ期間e56よりも短く、それにより、例えばデバイス200のデータ接続が少なくとも一時的に中断されたときでも、信頼性の高い競合の解決が可能であることが保証される。したがって、さらなる例示的な実施形態では、デバイス200、200’が例えば相互に制限されたデータ接続しか有さない構成または環境においてさえ、ステートチャネルの閉鎖(例えば、決済および競合解決を含む)が、ステートチャネルSCを介するトランザクションのためのプロトコルのセキュリティ保証を損なわないことを実現可能である。
【0146】
さらなる例示的な実施形態では、システム1000(図1)の構成要素の時間的挙動を特徴付ける変数は以下のものである。
【0147】
a)チャレンジ期間CP:当事者デバイス(例えば、デバイス200)が、例えばコミットメントトランザクションによって提案されたステートS(n)に応答することができる時間。チャレンジ期間は、さらなる例示的な実施形態では、例えば競合時に、より新しいステートS(m)(ここで、m>n)を公開するために使用することができる。
【0148】
b)更新間隔AI:デバイス200が任意選択の監視機器WTに新たなステートについて通知するデバイス200の時間間隔(例えば図7Aからの矢印e18参照)。例えば、接続が悪いもしくは断続的である、または電気エネルギー供給が制限されているIoTデバイス200では、より頻繁なデータ通信は、例えば可能でないか、または一時的なエネルギー節約ステートに基づき有意義でないので、更新間隔が比較的長くなることがある。
【0149】
c)監視間隔M:監視機器が例えば新たなステートについて通知可能であり、例えばステートチャネルSCに関するDLTシステム10の新たなステートまたはイベントに応答するように構成されている、監視機器WT、WT’の監視間隔M。
【0150】
d)公開間隔P(W):競合時に最新の既知のステートを公開する、監視機器WT、WT’のための時間間隔。
【0151】
さらなる例示的な実施形態では、上述した変数CP、AI、M、P(W)は、以下の条件が満たされるように互いに適合される。
AI+M+P(W)<CP、これは、すでに上に記載した図8によっても例として示されている。
【0152】
さらなる例示的な実施形態(図9参照)は、a)例えば分散台帳技術(DLT)システム10に関連付けられた少なくとも1つのステートチャネルSCを介して、トランザクションT、例えばオフチェーントランザクションを実行すること502、b)例えばDLTシステム10に関連付けられた少なくとも1つのステートチャネルSCを管理すること504、c)IoT(Internet-of-Things(モノのインターネット))デバイス200、200’が、トランザクションT、例えばEoT(Economy-of-Things(モノの経済))トランザクションを少なくとも1つのステートチャネルSCを介して実行することを可能にすること506、d)少なくとも1つのIoTデバイス200、200’用の、例えばDLTシステム10に関連付けられた少なくとも1つのステートチャネルSCを管理すること508、e)例えば少なくとも1つのIoTデバイス200、200’用の、例えばDLTシステム10に関連付けられた少なくとも1つのステートチャネルSCを介してトランザクションTを実行するための少なくとも1つのデバイス200、200’用の監視機器WT、WT’を管理すること510、という要素のうちの少なくとも1つのための、実施形態による方法および/または実施形態によるデバイスおよび/または実施形態によるシステムおよび/または実施形態によるコンピュータ可読記憶媒体および/または実施形態によるコンピュータプログラムおよび/または実施形態によるデータキャリア信号の使用500に関する。
【0153】
さらなる例示的な実施形態は、例えば物理的および/または論理的観点において、ステートチャネルSCの管理(例えば、セットアップ、削除)と、ステートチャネルSCを介するトランザクションTの実行との分離を可能にする。したがって、例えば、デバイス300は、DLT通信に使用可能であり、例えばDLT通信は例えばステートチャネルSCのセットアップおよび削除のために利用可能であり、一方、デバイス200は、1つまたは複数のステートチャネルSCを介してトランザクションTを実行する。これにより可能となるのは、例えば、比較的わずかな計算またはメモリまたは通信リソースを有するデバイス200も、プロトコル、例えば第2層プロトコル、すなわち例えばステートチャネルSC用のプロトコルに関与することができ、またはこれらのプロトコルを、例えばデバイス200、200’間での例えばピアツーピアトランザクションT用に利用することができ、一方、DLT通信は例えばデバイス300、300’によって実行されるので、デバイス200がDLT通信について考慮する必要はないということである。特に、さらなる例示的な実施形態は、例えばデバイス200、200’がDLTシステム10と通信しないものの、第2層プロトコルによって可能にされる安全性および信頼性に関する保証がデバイス200、200’のオフチェーントランザクションTに関しても得られる、または与えられることを可能にする。
【0154】
さらなる例示的な実施形態および用途を以下に記載する。それらは、それぞれ個別に単独で、および/または例として上に記載した実施形態の1つまたは複数と互いに組み合わせて複合可能である。
【0155】
さらなる例示的な実施形態では、当事者400、410(図5)は、例えば充電ステーション、または例えば複数の充電ステーションを有する電気エネルギー貯蔵装置を充電するための充電インフラストラクチャの操作者であってもよい。さらなる例示的な実施形態では、別の当事者は、車両フリートの所有者、または車両の所有者もしくは運転者であってもよい。
【0156】
例えば充電用のステートチャネルを確立するために、例えば、例えばデバイス200(図1)が割り当てられている車両と、例えばデバイス200’が割り当てられている充電ステーションとが、初期ステート(例えば、図2Aからの任意選択のステップ100および/または図7Aからの矢印e1、e2も参照)に合意する。さらなる例示的な実施形態では、デバイス200、200’は、例えばデジタル契約14により特徴付けられる初期ステートを、それぞれのさらなるデバイス300、300’(例えば、図7Aからの矢印e3、e5、e6参照)に送信し、デバイス300、300’は、例えば、デバイス200、200’用のステートチャネルをセットアップするように提供される。
【0157】
すべての関与する当事者デバイスのステートチャネルSCが初期化されると(矢印e4、e6’)、デバイス200、200’がそれについて通知され(矢印e7、e8、e9)、ここで、ステートチャネルSCを介してトランザクションTを実行することができる。
【0158】
充電により長い期間、例えば数時間かかると予想される場合、さらなる例示的な実施形態では、自動車または充電ステーションは、それに応じて、それらのそれぞれのデバイス200、200’によって監視機器WT、WT’を例えば繰り返し、例えば定期的に、例えば30分ごとに更新することができ(したがって、更新間隔AIは、例として30分である)、これは、デバイス200、200’の側で提供され得るまたは要求され得る接続を低減し、したがって、リソース(例えば、帯域幅、エネルギー)を節約する。さらなる例示的な実施形態では、これに基づき(更新間隔AI=30分)、チャレンジ期間は30分超に設定される。
【0159】
さらなる例示的な実施形態は、シェアリングエコノミーの分野における用途に関する。シェアリングエコノミーの原理は、例えば工具、例えば電動工具(例えばドリル)などのような物品を貸与し、貸与期間中に利用料が支払われるという考え方に基づく。
【0160】
電動工具のためのレンタルステーションでは、例えばドリルを貸与するためのモダリティ、例えば、利用期間ごとの支払い、最大利用期間、貸付期間などを交渉することができる(図2Aからの任意選択のステップ100および/または図7Aからの矢印e1、e2参照)。次に、例えば対応するさらなるデバイス300、300’によって、例えばユーザまたは借り手とドリルまたは貸し手とに割り当てられるデバイス200、200’間のステートチャネルSCが確立される。ステートチャネルSCを介して、設定可能なまたは交渉された利用期間に対して例えば直接の支払いを行うことができ、デバイス200、200’間の対応する例えばピアツーピアデータ伝送に関して、例えばステートチャネルSCのために例えばローカル有線および/または無線通信プロトコルが使用可能である。
【0161】
貸与されたドリルの電気エネルギーを節約するために、さらなる例示的な実施形態では、ドリルが、例えば新たなステートを伝達するために、例えば24時間に1回、制限付きデータ通信を有することができる。したがって、さらなる例示的な実施形態では、チャレンジ期間を24時間超に設定することができる。さらなる例示的な実施形態では、チャレンジ期間は、例えば、動的に(ステートチャネルSCの存在中に)適応させることもでき、すなわち延長または短縮することができる。例えば、(例えば、デバイス200’のための通信を行うことができない建設現場での使用により)ドリルのデバイス200’がより長時間、例えば1週間、または合意された貸与期間全体にわたってオフライン(データ接続なし)であると予想されるとき、それに応じて、チャレンジ期間を例えば1週間超に延長することができる。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
【外国語明細書】